東方入郷記   作:あおのん

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二ヶ月ぶりの投稿とかマジ笑えない。書き方忘れちまったよ。

今日から遅筆と名乗ろう。





現金で何が悪いのか

 

 

 

 

 

「ちょ、おま、俺初心者なんですけど!? うぉわっ」

 

 

「いきなり私に一発被弾させておいて初心者扱いしろだなんて言われても説得力が無いぜ!」

 

 

冷や汗が頬を伝う。イヤイヤんなこと言われましてもただただ頑張った結果なんですけど!?

 

視界いっぱいに燦然と輝く色とりどりの弾幕。さっきまでは単発だったのだが、気付いたら視界を覆い尽くすほどの連射になっていた。

 

青、赤、緑、黄、橙、紫……なに、炎色反応なの? そこそこな大きさの弾幕が、人一人がギリギリ通れるかどうかってくらいの間隔で向かってくる。

 

 

 

あの……ガチになりすぎじゃないですかね、魔理沙さんよ。

 

身体を捻り、宙に投げ、身を屈め、必死に顔を反らす。軟体動物ですか俺。

身体柔らかくて良かったとつくづく思います。ありがとうストレッ◯マン。

 

 

ってんなこと考えてる暇ねーから!

 

 

「こん……にゃろ!」

 

 

弾幕と弾幕の間を辛うじて潜り抜け、一瞬だけ姿が見えた魔理沙に向かって霊弾を打ち出す。

……が、次の瞬間魔理沙の弾幕がまた放たれ俺の弾幕が簡単に掻き消される。まだ魔理沙の弾幕は生きているというのに。

 

 

威力もぼろ負けですかそーですか。

 

よし……詰んだんじゃね? これ。

 

 

幸いにも今は避け続けることが出来ているが、それもいつ尽きるかわからない。正直もうバテバテだ。空を飛ぶのも案外楽じゃないんだぜ? 身体の制御やらなんやらに結構魔力やら意識やら割かないといけないし。

 

 

あんまりこっちに気を取られすぎると今度は弾幕が避けられなくなる。そうそう、ほらちょうど今みたいにーーーーぃぃ!?

 

 

「あだっ……がはっ!?」

 

「いぇーい、一発被弾だぜ」

 

 

腹部に一発受けてしまった。空中にいたため、全く衝撃が吸収できず、モロに地面に叩きつけられる。恐らくもう少し空を飛ぶのに慣れていたら上手く反動制御が出来たんだろうが……できるわけがあるだろうか。いやない。

 

 

おぉぉ……やべぇ超イテェ。な、なにこれ食ったモン全部でてきそう……。

 

 

油断大敵とは言うが、油断しなくても危ない事態に陥ることは多々ある。いやまぁ今のは油断じゃなくて他のこと考えてただけですけどね?

 

 

……やめよう仰向けの状態でこんなこと考えてると虚しくなってきた。

 

あー……星が綺麗だなぁ。

 

 

「おーい、もうダウンか? 残機はもあ一機だぜ?」

 

「は……く……ぁ……」

 

 

声を出そうとしたが、上手く呼吸が出来ないことに初めて気付く。恐らく地面に叩きつけられた際に肺の空気が全て吐き出されたのだろう。

 

その割りにそこまで思考が焦っていない辺りアドレナリンがドバドバ出てるのかもしれない。

 

 

「はぁ……はぁ……っあー、おーい……もうちょっと手加減しようぜ姉さん……」

 

 

「嫌だぜ」

 

 

即答かよ畜生。

 

寝っ転がってて顔が見えないからわからないけど、なんか声音から凄くイイ笑顔をしているような気がするんですが。

 

 

あー、こいつ結構Sなのか……。うん、幽香さんで間に合ってます。ていうか幽香さんしかいらないんで、俺。

 

 

仰向けの体勢のまま荒い息を必死に鎮める。流石に今狙って来るほど魔理沙は鬼畜ではなかったので少々安心したような、いっそのことトドメさして欲しかったような……あぁ、こんなこと考えちゃダメなのに。

 

 

 

 

そういえば幽香さんは今も俺を見ているのだろうか。

自分より年下の女の子からの攻撃が一発当たったくらいで仰向けになってしまうような情けない姿を。

 

 

 

 

情けねぇなぁ。クソ。

 

 

手が動こうとしない。足が動かない。

きっと起き上がることはそう難しく無い。ただ心が、意思が、立ち上がるなと言っている。

 

 

 

いや、立ち上がりたくないと言っている。

 

 

痛い。怖い。正直舐めてた。たかが遊びだろうと。

だが実際はどうだ。しっかり痛いししっかり怖い。

 

 

ドッヂボールってスポーツがあるじゃん? 俺アレ苦手だったんだよね。すげぇ速度でボールが迫ってくるとか怖すぎでしょ。

 

 

まぁスピード感も球の量も全然違うが、このスポーツが一番近いような気がする。

 

 

ただし同じ方向から野球部のやつが三人同時にボールを投げて来るぐらいの怖さがあるという条件が付くが。

……まあどちらにせよそんな説明をする機会はないだろう。っていうかこの状況どう見てもリンチ。

 

 

タチが悪いことに球に触ること自体がNGだ。迂闊に触ればドカンである。いや爆発はしなかったけどさ。

 

 

なんにせよ平和な時代を過ごしていた俺には間違いなく無縁なものだったわけで。

 

 

 

……いや、こんなのはただの言い訳か。

 

 

一度陥った負のスパイラルはなかなか解けなかった。

 

考えれば考えるほどネガティブに。するとその分身体は重くなり、勝とうという意思を奪って行く。

 

 

 

いつになれば俺は立ち上がるのだろうか。

そもそも今どれくらい寝っ転がっているのだろう。こんなんじゃ幽香さんに失望されちゃうよな……。

 

 

ふと幽香さんの表情が気になり、重い身体に鞭打って、恐らく幽香さんがいるであろう方向に首を回す。

 

幽香さんがいたのは、上から見ると俺の頭の方向だった。

 

 

目が合う。

ーーどうしてそんな俺を気遣うような表情を?

 

 

幽香さんは真っ直ぐと俺を見ていた。その瞳は不安げで、悲しげで。

どこか俺に申し訳なさを感じているようで。

 

 

ーー俺がこんなんだから? だから幽香さんはそんな顔をしているのか?

 

本当に、本当に情けない。

 

 

そちらを見ていることに気づいた幽香さんは、口を動かしていた。

 

 

きっと声を出しているんだろう。だが俺と幽香さんとの距離は十メートル弱。その声は届かない。

 

 

でもなんと言いたいのかはわかった。

 

 

 

 

が、ん、ば、っ、て。

 

 

 

 

……現金だよなぁ俺。たった一言でこんなに全身に力が漲るなんて。

 

 

幽香さんには、あれだけ特訓を手伝ってもらった。

こんなもんで諦めるのか? ここが限界なのか? いや、違う!

 

 

思い出せ! 正直幽香さんの特訓のがキツかっただろうが俺! 魔理沙のはまだ意識保てるけど幽香さんのは一瞬で気絶だぜ? んならこんなの全然余裕じゃねぇか。

 

 

 

なにより……好きな人にそんな顔させてちゃ、ダメだよな。

 

 

思いには力があるという。自己暗示で病気が治ったりする例があるように。

 

 

手は……動く。足も……動く。

身体は……重いけど重くない。重くないったら重くねぇ! 怖いもの? 幽香さんに嫌われること以上に怖いものなんて、ない!

 

こういうときこそポジディブシンキングだよな!

 

 

身体を起こし、立ち上がってみれば、しんどいけど、案外いけそうな感じだった。

 

 

 

「っはー、っはー。ふぅ……」

 

「随分と長い休憩だったな」

 

「っはぁ? ちげぇし。昨日のテレビ思い出してただけだし」

 

 

幻想郷にテレビは無いが。

 

 

魔理沙は箒の上で器用に寝っ転がっていた。ぐぬぬ。この生意気少女め。外見以外全く可愛くないな、こいつ。

 

 

「まぁなんでもいいや。で、続けるのか?」

 

「当たり前だろ」

 

 

目に物を見せてやらねばなるまい。

 

 

思考が明るくなると、今度は色々と思考が走り始める。

 

どうすれば避けられるのか。どうすれば攻撃が当てられるのか。

 

 

まず回避……。そういえば魔理沙は知りたがってたよな。俺の、能力。

 

 

 

……ふふふ、教えてやろうじゃないか!! 使うだけで内容は教えないけども!

 

今思えば幽香さんも二メートル五十センチを駆使すれば回避に役立つって言ってたじゃないか。なんで忘れてたんだ、俺。

 

 

「その意気やよし!」

 

 

そんな返事とともに、本当に俺の身体を慮ってくれない弾幕が放射状に放たれる。

 

 

この程度ならまだ能力を使うまでもない。

慣れてはいないが地上より空中の方が機動力があるので、飛んで回避する。

 

 

 

にしてもよくこんだけポンポン撃って魔力が尽きないもんだ。

 

俺からだと魔理沙の位置はわからない。それほどの弾幕に覆い隠されてしまっている。

 

 

力の保有量はそんなに変わらないように思えるんだが……なにかタネがあるのだろうか。

 

力の込め過ぎ? そう思ってかなり弱めの霊力を込めて弾を作るが、不安定過ぎて掻き消えてしまった。うーん、わからん。

 

 

わからないことを考えていても仕方ない。

 

とりあえず残りの霊力から考えて、そう長く戦うことは出来ない。短期決戦に持ち込むしかない。

 

短期決戦といえば……近距離戦? そんなことを考えている間に一カ所だけ弾幕の来ない空白地帯があった。

 

 

罠かもしれないけど……飛び込むしかねぇ!

 

 

「ええい、ままよ!」

 

 

全速力で滑空する。

読み通り、やはりそこだけは弾幕が薄かった。右腕に霊力を溜めながら魔理沙の姿を探す……っていない!?

 

 

「にゃはは、かかったな!」

 

 

少し上からの声。どうやら本当にあの不自然な弾幕の空白は罠だったようだ。

見上げると魔理沙は悪戯っぽい笑みを抱えていた。……大量の弾幕の傍で。

 

 

「これで終わりだぜ!」

 

 

言葉とともに流星群の如く、降り注いで来る弾幕。その内の一発が、今俺に当たろうとしていた。

 

さっきまでだったら諦めてたけどな……今はそうも言ってられねぇんだよ!

 

 

出番だぜ! 俺の能力ちゃん!

 

 

「な!?」

 

 

魔理沙が驚きの声を上げる。それもそのはず。急に相手が瞬間移動したんだからな! 二メートル五十センチだけだけど!

 

 

右へ左へ上へ下へ、時には正面から来た弾幕の真後ろに移動して、弾幕を躱す。

 

 

さっきに比べればだいぶ楽だ。二メートル五十センチの感覚は身体に染み付いている。ここからどこまで移動するのかなんて簡単にわかるんだよ!

 

 

「は? え、なんで急にそんなところに……」

 

「為せば成るってな! お返しだこん畜生!」

 

 

根性論だとは思うが為せば成るっていう言葉は好きだ。なんとなく。

 

根性論だとは思うが、テンションが上がってる時、このセリフほど頼れる言葉も少ないと思う。

 

 

 

ここからは、俺のターンだ!

 

 

さっきから溜めていた霊力を解放する。同時に全身を襲う倦怠感。

 

流石に半径三から四メートルはありそうな弾を作ると、もうほとんど霊力は空っぽだった。

 

 

「あっぶな!」

 

 

……が、願い虚しく間一髪で避けられてしまう。

 

 

 

 

 

さて、ここまでは狙い通り。

 

 

 

今がチャンスだ。俺の弾幕を躱すのに必死で、魔理沙の弾幕が途絶えた。

 

ここでフルバースト。

両腕からありったけの弾幕を放つ。

 

 

霊力が底を尽きそうだ。

それでもやめない。最後の一滴まで……搾り出せ!

 

 

時間にして十秒ほどだろうか。

当たっているのか、当たっていないのかもわからないが、ただただ弾幕を放ち続けた。

 

 

「っ」

 

 

と、本当に限界が訪れる。いきなり思考がぶっ飛んだ。空を飛ぶための魔力も失い、気付けば俺の体は逆さまに。

 

ああ、流石にもう……無理ぽ。

 

 

 

 

俺が覚えているのはそこまでである。

 

 

ただ、最後にお疲れ様という声と、柔らかい感触に身を包まれたような感触がしたような。

 

 





さて……三年になって体育大会準備やら中間考査やらでかなり忙しくめちゃめちゃ更新が遅れたことをまず謝罪せねば。ごめんなさい。


言い訳だけすると色々とナイーブなときに戦闘シーン書くのは辛かった……。恐らく次回更新は(未定だけど)かなり自由に書くつもりです。

では。


感想批評などいただけるとありがたいです。
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