東方入郷記   作:あおのん

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ちょっと文字量多くなっちゃった。

あとお気に入り10件。全俺が泣いた。ありがとうございます!!




釣りにいってみよう

 

本日は快晴。空を見上げてみると、雲一つなかった。

 

思わず伸びをしてみた。日差しが眩しいが、日の光がここまで良い物に感じられたのは初めてだ。

 

あっちの世界にいた頃は勉強やらなんやら忙しかったからなぁ……。

 

幻想卿に来たおかげで大学受験回避できてよかったー、とか考えてしまう俺は少しポジティブすぎるのだろうか。……全然考え方を曲げる気はないが。

 

いやでも高三の夏は大変なものなんだぜ? ……って去年部活の先輩が言ってた。勉強勉強勉強と勉強三昧らしい。

良い大学にいくためには勉強しなきゃいけない。周りを蹴落として勝ち上がる形式のことをゼロサムゲームと言うらしい。まさしく今の受験戦争がこれに当てはまる。ちなみに今このことを思った理由は特に無い。ふと思いついただけだ。

 

まあ将来やりたいこととかも特に無かったし、志望校も適当に決めてたからな俺。ホントこの世界来れてよかった。

最近の楽しみは幽香さんの笑顔を見ることと、幽香さんとおしゃべりすること。ていうか今の生き甲斐です。あと花達を見るのも結構楽しい。

 

今日も夢幻館周辺には向日葵や花達が元気に咲いていた。

手に持った如雨露で水をやると、心なしか花達も喜んでいるような気がする。

あー、平和だ。吹き抜けていく風が涼しい。

 

……と思っていた時期が俺にもありました。

 

「あぢぃ……」

さっきまではホント生命の象徴ーとか、平和の象徴ーとか思ってた太陽だが、今となっては俺を干からびさせようとするものとなっていた。

 

ただいま幽香さんの手伝いなう。今やっているのは花に水をあげること。

全然苦じゃないんだけどね。むしろ結構楽しいんだコレ。

ただ……季節が夏なんだよね、今。

そう、暑いのだ。気付いたら風止んでるし。

帽子とかも無いから直射日光バリバリだよ。……バリバリってなんだろ。

あと花の量が尋常じゃないんだよね……。広いんだよかなり。

あぢぃー、しぬぅー。嫌だー、俺は幽香さんの笑顔を見るまで死ねんのだー……。

 

ちょろちょろ……。

ぼーっとしながら適度に水をあげていたら、如雨露の水が空になっていた。えーっと、井戸は……あっちだっけ?

そうそう、幻想卿の生活レベルはかなり低かった。俺井戸初めて見たもん。あのキーコキーコやるタイプのやつ。

あと囲炉裏とかね。夢幻館は中は結構和風だ。縁側とかあったし。

 

こういうところで生活していると、現代がどれだけ発達しているかがわかる。ネットが使えないのは少し辛い。まあ幽香さんと話してる方が全然楽しいからいいけど。

 

フラフラーと井戸まで歩き水を汲み上げる。ついでに少し顔を濡らしてみた。くー、つめてっ。

 

どうするかな、どうせならティーシャツ脱いで濡らしてもいいかもしれない。んー、でもこんだけ日差し強いとすぐ乾いちゃうか? でも汗だくもなんか気持ち悪いしな……。

と、その場で少し考え込む俺の頬に、なにか冷たいものが当てられた。

 

「ひゃっ!?」

「ふふ、精が出るわね、春」

振り返ってみるとそこには、俺と違って全く暑さを感じさせない幽香さんの姿があった。柔らかそうな癖っ毛の髪と、お決まりの赤いチェックの姿が今日も綺麗だ。片手で日傘を差す姿はさながら令嬢といったところか。いやイメージなだけで令嬢とか見たことないんだけどさ。

頬に押し当てられていたのは麦茶の入ったコップだった。コレ……まさか俺に?

俺のためにわざわざ持ってきてくれたの? 

もうなんていうか……幽香さん俺です結婚してください。

ううっ、幽香さん良い人過ぎるよ……あと可愛い。

強い日差しの中でもやはり幽香さんは魅力的だった。

 

「ありがとうございます、幽香さん」

「今日は日差しが強いわね。水分はきちんととりなさい」

 

五分ほど休憩し、幽香さんパワーで癒された俺は怒涛の勢いで水遣りを終わらせた。いや、ちゃんと丁寧にしましたけどね? なんというか物凄い最適化された動きだった。

 

結果これまでよりかなり速く終わった気がする。おい幽香さんパワーマジで存在するんじゃねぇのこれ。

終わった旨を井戸の近くにある屋根付きのベンチに座っていた幽香さんに報告すると、疲れを労ってくれた。その微笑で俺は……白米三杯余裕です。疲れなんて無かったんや。

 

ニヤけていた俺は最高にキモかったと思う。

 

さて、時刻はお昼時。今日は俺が飯当番だったかな。

そのまま館に戻って昼飯の準備するか。えーと……うーん、確か素麺が戸棚のどっかにあったような。

 

 

この夢幻館に住まわせてもらって約十日間が経った。ちゃんと数えているんだが、どうにもここ数日は時間が経つのが凄く早く感じる。それくらい充実している。

これがリア充ってやつか。幽香さんみたいな人と暮らせるだけで既に何それギャルゲ? 状態なのであながち間違っていない気がする。

 

飯は俺と幽香さんが二日おきに交代して作っている。昨日まで幽香さんが作ってくれていたので、今日は俺だ。

 

そんなことより幽香さんの手料理はやばかった。何がってまず料理を作ってるときの幽香さんのエプロン姿! 的確に俺のストライクゾーンを抉ってくる幽香さん。……最高です。ありがとうございます。マジで吐血するかと思った。ちなみに鼻血はちょっと出た。あれ、料理関係なくなってる?

いや、でも料理の腕も見事なものだった。俺の作る料理なんててんで話にならないくらい。幽香さんは美味しいといってくれたけど、なんだか申し訳なかった。精進します。

こんなことならもっと料理スキル磨いとくべきったぜ……。そうか母ちゃんが俺に料理を覚えさせようとしたのはこのときのためだったんだな……!? ……実際は母ちゃんが楽したいだけだったんだろうけど。

 

またくだらないことを考えながら、茹でた素麺を井戸の水で冷し、ちゃんと手で揉んでぬめりを取ってから、氷とともに皿に盛り付ける。んでネギ振りかけて完成。お手軽でいいよね素麺。おっとつゆ忘れてた。

幽香さんはこの家にあるものは基本好きにして構わない、と言ってくれた。ホントにいい人すぎる。

 

……申し訳ない。あと、情けない。俺今ただのヒモじゃん。

 

でも幽香さんに何か仕事がないか聞いても、特にないわ、という返事ばかりだし、幽香さんに言われた仕事だって一日三時間もかければ余裕で終わる。

 

 

暇な時間は花を眺めたり、少し太陽の畑から出て森を探検したりしていた。川を見つけた時は思わず飛び込んでしまった。水がすげぇ綺麗なんだもん。魚がたくさん泳いでいた。

 

あ、今度空いた時間は釣りにでも行ってみるか。

 

ちなみになんだが幻想卿にある食材はほとんど外にあるものと同じだった。調味料とかも普通にあったし。幽香さんが言うには人里で普通に売ってるんだって。世界が違うのに不思議なもんだな。

それとも俺と同じように幻想郷にきちゃったとかかな。うーん、わからん。

 

 

素麺を持って幽香さんを探すと、幽香さんはベランダで本を読んでいた。

 

 

(うわ……)

 

 

幽香さんはやっぱり……綺麗だった。

 

パラソルの陰で本を読んでいる姿は、この世のものとは思えないほど神秘的で、俺は知らず知らずのうちに立ち止まってしまっていた。

 

「……あら、春? どうかしたの?」

 

そんな俺に気付いたのか幽香さんが声をかけてくれる。

 

「あ! いえ、す、すいません……。ぼーっとしてました……」

 

「さっきもフラフラしてたし……熱中症かしら」

 

「い、いや! そんなんじゃないですよ! ピンピンしてます。あ、昼御飯作ってきました。素麺で申し訳ないですが」

 

「こんな暑い日にはピッタリね。ありがとう、じゃあお昼にしましょうか」

 

ふー、危なかった……。み、見惚れてたなんてチキン童貞の俺にはとてもじゃないが言えない。顔赤くなけりゃいいんだが……。

 

そのままベランダのウッドデッキで二人でランチ。字で見るとすげぇオシャレなんだけどなー。どうも甘い雰囲気はない。まあ素麺だしな……。

 

 

 

 

素麺を食べ終わると、自由にしていいと言われたので、早速川に行ってみることにした。ただし、日が暮れるまでには帰ること、あんまり遠くまで行くと、妖怪が出るから気をつけること、を約束させられた。

 

まだ幽香さんには言ってないけど俺は一応能力持ってるから、まあなんとかなるだろう。しかも結構逃走用だし。

 

 

それよりちゃんと注意してくれる幽香さんが優しくて凄く嬉しかった。女神かこの人。幽香さんはきっと良いお母さんになるだろうな……。ん?

 

お母さん幽香さん…………イイ!

 

 

相変わらず頭が春な俺だった。

 

 

 

 

太陽の畑から少し離れた所に森があって、そこを少し歩くと、川が見えてくる。

移動中に道端に落ちてる手頃なサイズの木の枝を拾っておいた。

 

ちょうどくつろげそうな岩があったのでそこの上に陣取り、幽香さんが貸してくれたミニチェアと水筒を置いて、エサとなりそうな物を探す。なにからなにまですいません、幽香さん……。

 

「うーん……やっぱミミズとかがいいよな。バッタなんかでもいいんだっけ?」

 

幸い虫は触れるので、ミミズがいそうなジメジメした土とかバッタがいそうな草むらとかを適当に探ってみる。

 

 

……ハッ。

 

気付けば十五分くらい虫取りをしていた。……なにしてんの俺。借りた虫かごの中は虫だらけになっており、まぁ今日一日は余裕でなんとかなりそうだ。てか入れすぎてキモい。

この辺凄いいっぱい虫いるな。

 

 

さて、頑張ろう。釣りとかやったことないけど、もし食べれそうなのが釣れたらきっと幽香さんも喜ぶ。

 

……『幽香さんが喜ぶ』?

 

あれ、暇つぶしのはずだったのに俄然やる気出てきた。

 

 

「うおっしゃー! やったらぁぁぁ!!」

 

雄叫びを投げながら俺は、初めての釣りを開始した。

 

 

そう、全ては! 幽香さんに褒められるため!!!

 





能力をそろそろ出すと言ったな。あれは嘘だ。

……はい、すいません。プロット無しだと思考ブレまくって笑える。
そろそろ! そろそろ出しますんで!!

ゆうかりんかわいいよゆうかりん。
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