東方入郷記   作:あおのん

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まーた長くなってしまった……。

4kちょいです。以後気をつけます。ふぇぇ。

タイトル通りあの子が出ます。口調合ってんのかな……。




蟲を操る女の子と

 

雄叫びを上げてから、はや二時間が経った。未だにアタリは一本も無い。

 

あれ、おっかしいな。どう◯つの森みたいに魚の目の前に投げればいいんじゃないのかよ。どういうことなの。

適当に竿をつんつん動かしてみたり、場所を変えたりはしているんだが、やはりヒットはない。ここの魚警戒心強すぎだろ。

 

 

時刻は恐らくおやつ時。最も太陽が高く上り、気温が高い時間を少し過ぎたくらいだろう。

 

日差しは木の葉などで半分くらい遮られているのだが、残念ながらこの暑さはどうにもならない。もう少し深いところまで行けば涼しいんだろうけどな。所謂森林浴ってやつ?

 

 

唯一の救いは外の世界みたいに蝉がいないことだ。聞こえるは野鳥のさえずりと、風に揺れる木の葉達の音だけ。

 

 

うーん、こういうのものどかでいいなぁ。

 

ただ、暑い。

俺はコレを解決するために自分も川に浸かりながら釣りをするという斬新なスタイルを開発していた。

むしろ平泳ぎしながら釣りしてる。海だと泳ぎ釣りっていうのは本当にあるらしいけどね。川でやる人はいないだろう。たぶん。

 

なお成果は出ていない模様。やかましいわ!

 

……あまりの暇さに、自分でボケて、自分でツッコム、という恐怖の流れを体現してしまっていた。

「……こんなことなら網借りてきた方がよかったなぁ」

釣るより捕らえた方が早そうだ。だが今さら戻るわけには行かない。何故ならこのままだと手ぶらで帰ることになってしまい、幽香さんに何もお土産が無いからだ。なんとしても……釣る! できれば食えるの!

「うーんエサがダメなのか?」

 

贅沢な魚どもめ! でもたまに引き上げるとエサは食われてるんだよね。何これただのエサやりじゃん。

 

うーむ……。

 

 

「あれ、お兄さん何してるの?」

 

「ん?」

 

 

不貞腐れたように竿をプラプラしていると、後ろから声が掛けられた。振り返ってみると、そこにいたのは頭からなんか触覚みたいなのが生えた、緑の髪の女の子だった。

 

おお……。

 

 

そういや俺まだ幻想郷に来て二人しか会ってないんだよね。一人目は言わずもがな。

 

来てから十日も経ってるのに、全然他の人を見ることができなかったのは、ここら辺は誰も通ることがないから。

 

決して俺がぼっちの才能を持ってるとかそういうのは違うんだ。ええ、決して。

 

 

というのも、幽香さんは周りからはかなり恐れられているらしい。そのため太陽の畑周辺には全然人は通らないんだと。あーんなに綺麗で優しくて可愛くて笑顔が素敵で気配りもできてたまにSな人がなのにな。わからぬ。

 

まあちょっと地形が複雑なのと道がガタガタなのも要因の一つ。

 

 

幽香さんがSというのは一昨日発覚した。その日の朝、俺は少し寝坊してしまったのだが、なんと幽香さんが起こしてくれたのだ。美女に起こされるってこれ凄いよ。最高。朝からあのボイスはヤバい。

 

 

 

でも起こし方が鼻の頭に熱湯をかけるとかいう行動だったんだよね。少量だけど。

 

 

悲鳴をあげて飛び起きると、犯人である幽香さんは、それはそれは眩しい笑顔で、良い反応ね、と言っていた。

 

悪いのは俺なので別に文句を言う気はなかったが、さすがにあんな起こし方はちょっと……。

 

 

……と思っていたのだが。その犯罪的な笑顔に俺は自然と、あ、ありがとうございます……と感謝の言葉を口にしていた。

 

……しょうがない、よね。

 

 

 

ええと、何の話だっけ。お茶目な幽香さん可愛いって話だっけ?

 

って、違う、幽香さんがSだって話か。ちなみにこれよりも幽香さんがSだと確定付られる出来事があったのだが。

 

 

「よー、リグルちゃん一昨日ぶりー」

 

「うん、こんにちわ。で何やってるの?」

 

「釣りだよ釣り。見てわかんないか?」

 

「いや平泳ぎしながら釣りしてる人初めて見たよ……あー! ほら魚逃げちゃってるじゃん」

 

最初はちゃんと岩の上に座ってたんだよ! でも暇なのと暑いので気付いたら泳いでたんだ。ちなみにパンツ一丁。

 

 

さて。この女の子はリグルちゃん。蛍の妖怪だそうだ。熱湯寝起きドッキリの日の午後に、幽香さんの所に遊びに来た。

 

その時の幽香さんによるリグルちゃんイジメは凄かった。活き活きしてたもん。すっげぇ可愛かった。もちろん幽香さんが。リグルちゃんそこ変われ! ってずっと思ってたもん。俺はMの気があるのかもしれん。

 

 

あ、リグルちゃんも普通に可愛いんだ。頭の触覚とか凄い触りたい。あとマントを羽織っていてなんだか微笑ましい。リグルちゃん小さいから背伸びしてる感が出て余計にな。

 

 

一旦川から上がって、リグルちゃんの前まで行く。……ってなんで逃げるの?

 

 

「うわわ! 変態! 来ないで!」

 

……そういや俺パン一じゃん。

 

パン一男が小さい女の子を追い掛ける……これは犯罪臭がしますね。言ってる場合か。

 

「あっはっは、ごめんごめん」

 

濡れたパンツの上からそのまま短パンとティーシャツを着る。ちなみに服は幽香さんが人里で適当に見繕ってきてくれた。俺もう死ぬまで幽香さんに奉仕します。

 

 

 

 

「ふんふん、つまり変態お兄さんは魚を取って幽香さんに褒められたいんだね?」

 

「まだ気にしてるのかリグルちゃん。下着がなんだよー。まあ他は合ってる」

 

犯罪未遂をした後、俺はリグルちゃんとどうやったら釣りがうまく行くか話し合っていた。

 

「……まあ勘弁してあげる。でも釣りかぁ。道具はあるけどほとんど私もしたことないよ」

 

「そっか……やっぱもう俺が脱いで潜って取ろうかな。手で」

 

「お兄さん魚舐めすぎ」

 

「じゃあリグルちゃんが脱いで潜って取るか」

 

「……幽香さーん、お兄さんがーー」

「心の底からごめんなさい!」

 

そこには小さな女の子に全力で土下座する一人の男の姿があった。俺です。

 

 

「……お兄さんは幽香さんが好きなの?」

 

「え!? え、あ、うん。いやその」

 

「……意外とピュアなんだね。……よし、私が一肌脱いだげるよ!」

 

「あ、あり、がとう、ございます」

 

 

心の中では幽香さん大好きぃぃぃ結婚してぇぇぇとか思ってんのに、人に言われるとこうも恥ずかしくなるのか……。初知り。

 

「とりあえずお兄さん、竿見せてよ」

 

「ん? あ、はい」

 

リグルちゃんに竿を渡す。……なんかリグルちゃんのセリフがえっちな意味に聞こえちゃった俺は変態なのかな。

 

一応言っておく。俺はロリコンでない。

 

目の前の小さな蛍妖怪さんは、竿を触りながらふむふむ……と呟いてる。

あ、止まった。

 

と、今度は凄い呆れ顔で俺を見ていた。なんだなんだ?

 

 

「お兄さん……これ針ないじゃん」

 

「え? エサって結んでたらなんとかなるんじゃないの?」

 

確かザリガニとかカエルとかは針いらないって聞いたことがあるんだが。その事を伝えてみる。

 

 

「いや……よくわかんないけど絶対針の方が楽だよね?」

 

「それもそうだ。でも針持ってないんだよね俺」

 

「うーん……よし。待ってて」

 

 

そう言うとリグルちゃんは目をつぶって一匹の蟲を呼んだ。

 

出た。リグルちゃんの能力。

 

確か『蟲を操る程度の能力』だったか。

 

リグルちゃんはこの能力を用いて、幽香さんの花の管理に一役買っているらしい。太陽の畑で害虫とか滅多に見ないのはこれが理由だ。

 

幽香さんもいじめてはいたものの、仲のいい姉妹、といった感じだった。二人の関係はかなり良好みたいです。

 

まさか百合!? リグルちゃんは俺のライバルだったか!

 

……なに考えてんだ俺。

 

 

親指の頭くらいのサイズの蟲にリグルちゃんが何かを呟くと、その蟲はどこかに飛んで行った。

 

五分ほどで帰ってきた。

 

 

っておお!

 

「ん、ありがとね。はいお兄さん針」

 

「おおー! あざっすリグルちゃん!」

 

ほうほう蟲に針持ってこさせるとは便利な能力だなぁ……俺のと違って。

 

 

 

リグルちゃんにお礼を言って釣竿に針をつけた。なんだか釣竿っぽい。早速川に投げ込んでみる。

 

 

 

 

 

 

すると、どうだ。

 

「俺釣りの才能あるんじゃね……?」

 

一時間で五匹釣れた。しかも丸々太った三十センチくらいのサイズ。リグルちゃんが言うには食べれるらしい。

 

一匹目が釣れた頃はリグルちゃんとキャーキャーはしゃいだんだが、三匹目くらいからイェーイくらいのノリになった。大量だ。

 

 

 

あの二時間は何だったんだろう。まあ釣れたからいいや。

 

魚たちはとりあえず持ってきたバケツに入れておいた。

 

しつこい位リグルちゃんにお礼をいい、はしゃいで釣りの最中でまた脱いだティーシャツを探す。ちゃんと他は着てるよ。

 

「えーと。この辺に……」

 

「……あ、あれお兄さんの服じゃない?」

 

「え?」

 

リグルちゃんの指差す方向を見てみると、俺のシャツは岩に引っかかって、風が吹いたら川に落ちそうだった。あーりゃりゃ……まあ別に濡れても大丈夫だけど。

 

「私取ってくるよ」

 

「え、大丈夫? 結構足場急だよ?」

 

「だいじょーぶだいじょ……わぁぁぁ!」

 

 

フラグだったか。つるっと足を滑らせたリグルちゃんは岩から落ちてしまった。

 

 

……って下岩じゃん!! やべぇ!!

 

俺は全力で手を伸ばすが、少し届かない! クソ!

 

こうなったら……能力だな。久々に役に立ちそうな場面だ!

 

そのまま岩から飛び出し、リグルちゃんの真上に移動。だいたい距離は二メートルってとこか。で、下の石がそのさらに一メートルちょっとくらい。

 

これなら一回でいけるな……うまくいけ!

 

 

 

「わぁぁぁぁ……あれ? 痛くない?」

 

「ふー……間一髪セーフ……」

 

なんとかリグルちゃんを腕で抱きとめることができた。あ、焦ったー……。

 

「あれ、なんでお兄さんが下にいるの? え?」

 

「んー……俺の能力だよ。まだ言ってなかったね」

 

そういえば幽香さんにも言ってないや。意外と言う機会ないんだよね。

よし、釣りにも協力してくれたしサービスだ。

 

「ふっふっふ、リグルちゃんには教えちゃおう。俺の能力はね、『二メートル五十センチ先に移動する程度の能力』だ!」

 

 

そう、まさに程度!

 

「……二メートル五十センチだけなの?」

 

なんだその微妙な顔は。あんた助けられた側でしょーが!

 

とりあえず下ろしてやると、微妙ーとか言ってた癖に、結構根掘りは掘り能力のことを聞いてきた。まあ、教えてあげた。隠すほどのものじゃないし。

 

この能力はホントに二メートル五十センチ先に移動する、というだけのものだ。正確に言うと、心臓あたりを中心とした二メートル五十センチ先に移動できる。方角はどこでもOK。

 

ちなみに誤差はゼロだ。えっへん。

 

……ああ、一人でメジャー使って測ってた時のこと思い出した。

あの微妙な気持ちを体験したことがあるのはきっと俺だけだろう。

 

 

 

 

その後バケツやらなんやらを持ってリグルちゃんと家に帰って、幽香さんに成果を見せた。

 

幽香さんは大変喜んでくれて、本来晩御飯を作るのは俺だったのだが、生の魚を捌けないこともあり、幽香さんが作ってくれた。その時ちゃんと捌き方は教わったので、多分もう俺もできるはず。次は料理まで自分でやって、幽香さんに食べてもらいたい。でも相変わらずうまかった!

 

だが更に幸運な出来事があった。

 

なんと幽香さんはその日の夜、ご飯を食べ終わったあとに、俺の頭を撫でててくれたのだ。

 

 

柔らかい手はまるで絹のようで、なんだか凄く安心した。もっとも、照れすぎて俺は赤面してしまったが。

 

 

 

ああ……もうホントに幸せ……。さようならシャンプー。君を使うことはもうない。

 

 

 

幸せすぎて次の日スキップで花に水をあげていたら、リグルちゃんに凄い変な目で見られたのはまあ……しょうがないよ。うん。

 

 

ちなみになんだかんだでちゃんとシャンプーはしました。もったいなかったけどな!!

 





よーやく能力出せたー……。微妙、だよね?(汗)


後半なんか駆け足だったような。精進します。

感想、指摘、批評、あれやれよ! おうイチャイチャあくしろよ、など感想お待ちしております。
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