ゆうかりん視点で書いてみました。
ホントは三人称で書こうとしたんだけど……難しすぎて笑った。そのせいで投稿が昼間に……もう三人称は書かぬ。書ける人マジで凄い。
私は意外と寂しがり屋なのかもしれない。ここ数十日を過ごすうちに、そんな考えが何度か頭をよぎった。
ここ数年の私の日常は静かだった。無色で冷たく、まるで一日一日をただ時間を潰すために生きる、意思のないからくり人形のようだった。
もしかしたら戦闘が好きなのも、そんな静かな日常に飽き飽きしていたからなのかもしれない。
戦いの中の緊張感や張り詰めた空気は、自分は今ここに生きている、と実感させてくれる。
だが最近は静かな日常も悪くないように思えてきた。彼ーー春が来てからは。
いや、少し違うだろうか。今までのものが静かな日常だとすれば、今は本当の日常、と言えるかもしれない。
違いとしては……少し、騒がしくなったことだろうか。決して悪い意味ではない。
この騒がしさは、私がきっと心の底で欲していたものーー他人との親しみや触れ合いであり、それを、彼は与えてくれた。
つまり何が言いたいかというと、私はここ数十日を凄く気に入っているということだ。
何気無いことが楽しいと、思える。
私は元来人間がそんなに好きではなかったのだが、彼は例外だった。
不思議な人間だと思う。一度元の世界に戻りたくないのか尋ねたことがあるのだが、その時の彼は、
「え? うーん全然思わないですね。ってあ! も、もしかして俺はやっぱり幽香さんの邪魔になっているとかでしょうか! す、すいません……出て行きますね……ありがとうございました…………」
と見るからに肩をすくめて、トボトボ歩いて出て行こうとした。慌てて引き留めたが、私はその時、自分に驚いた。
春が出て行く、と行った時、私は明らかに嫌悪したのだ。寂しくもあった。出て行って欲しくない。そんな感情が、確かにあった。
口から直接出すことは躊躇われたが、私は存外、彼に依存し始めているのかもしれない。
「あれ、幽香さん、どうかしました?」
ベランダでただ何をするわけでもなく、ボーッとしていると、日課の水遣りを終えた彼が、声を掛けて来た。
そう言えばまだ聞いていないことがあった。
「お疲れ様、春。よければ少し話に付き合ってもらえるかしら」
「俺なんかでよければ、喜んで!」
何がそんなに楽しいのだろう。彼は笑いながらテーブル越しのイスに座った。
私のような者にこうも眩しく笑顔を向ける存在は……少し考えて見たがリグルしか浮かばなかった。
「ねぇ、どうしてあなたはそんなに霊力を持っているの?」
「……え?」
まさか気付いていないのだろうか。そう思わせるほど気の抜けた返事だった。
実はまず私が彼に興味を持ったのはこの霊力である。人間としてはかなりのモノだ。無論、博麗の巫女には劣るが。
いつものように怠惰な日常を過ごしていると、突如太陽の畑に霊力らしき気配が現れ、確認に行ってみるとそこにいたのが春だった。
見た目は人畜無害そうだが、最初は警戒していた。しかし、近くの花たちに聞いても、全く危険はなさそうとのことだった。
そして、彼が外の世界から来た住人だと判明してから有耶無耶になってしまっていたのだが……。
「お、俺そんな素敵な力持ってるんですか!?」
どうやら本当に気づいていなかったらしい。少し詳しく話してみるとまず外の世界では霊力など存在が疑われているものだったようだ。
「そうか……俺あんな微妙な能力以外にも持ってたんだな」
「能力? 春も何か持っているのかしら?」
「そうだ言ってなかった……。ええ、持ってるんですよ実は。かーなーり微妙な能力ですけどね」
聞いてみれば、二メートル五十センチ先に移動する能力だという。…………。
「ふふっ……」
「あー! 幽香さん酷いです! 笑わないって言ったじゃないですかー!」
「あら、そうだったかしら。いいじゃない、可愛らしくて」
「か、可愛らしい……だと……。……馬鹿にされてるのに嬉しい、なんだこれ」
なんだかブツブツ言っていて最後の方はよく聞こえなかった。
「て、そうだ。春も……ってことは、幽香さんも持ってるんですか?」
「ええ、私のは花を操る程度の能力よ」
「あ。超似合う」
何気無く呟かれた言葉だったが、似合うという言葉は妙に嬉しいものだった。
「……そんなことより、春の霊力が多い仮説を立ててみたの。ちょっとその能力を使ってくれるかしら」
「え? あ、はい」
そう言うと彼は立ち上がって、少し後ろに歩くと、次の瞬間には何事もなかったかのようにまたイスに座っていた。
……なるほど。どうやらだいたい合っているようだ。
それにしても器用だ。彼の話だと二メートル五十センチピッタリしか移動できないはずなのだが、その能力を使った上でイスに座るとは。
「くだらない能力ですけどめちゃくちゃ使い込みましたからねー……二メートル五十センチの間隔ならほぼ完璧に覚えましたよ!」
どうだと胸を張る春はなんだか子供のようだった。
「訓練の賜物ね。……ふふっ」
「今間違いなく俺の訓練想像して笑いましたよね!?」
「……さあ、どうかしら。それより。あなたの霊力が多い理由はだいたい予想がついたわ。ちなみに回数制限なんかはあるのかしら」
「えーと……うーん、小さい頃は五回もやればバテバテになってたんですけどね。今は多分かなり使えますよ。去年何回出来るか数えようとしたらトイレに行きたくなったんでやめちゃいましたけどね」
「もう少し続ける意思はなかったの……」
呆れた。
だが、昔は回数制限があったが、今はない。これは私の仮説を証明するものだ。
彼が移動する際、彼の霊力が減少したのを感じた。
私の仮説は、彼の能力は『霊力を消費することで二メートル五十センチ先に移動する程度の能力』というものではないか、というものだ。
先程の話からして、きっと、何度も何度もこの能力を使い続けていたのだろう。
霊力、妖力、魔力に関わらず、これらは使い続けると保有できる絶対値が増えていく。彼は能力の反復練習によって、この霊力を得たと見て間違いないだろう。
「ほうほう……つまりその霊力ってのは俺の能力の副産物なんですね」
「そうね。これもまさに訓練の賜物よ。霊力の使い方はわかる?」
「いえ、全く。まずそんなものを持っている自覚が無いです」
このことを話してはみたものの、やはり今まで知らなかったものが今自分の中にあるとわかっても、イマイチピンときてはいないらしい。
……彼が霊力を扱えるようになるまでは時間がかかりそうだ。だが操れるようになれば、案外強くなるかもしれない。
彼の能力による移動は過程を飛ばして結果を得るようなもので、超高速で動くのではなく、突然そこに現れるものだった。
瞬間移動、というものだろうか。距離が決まっているのはネックだが、攻撃を避けるのには重宝するかもしれない。
私は戦いに飢えて相手を探していたが、今まで好敵手らしき人物はいなかった。
だが、今考えついた。いないなら育てればいいのだ。
「ふふ……。春、明日から霊力を扱う練習をしましょうか」
「え、ホントですか! おおー! ついに俺も手からレーザー出したり出来るんですね!?」
ああ……彼をまた気に入ってしまいそうだ。
きっと今私は黒い笑みを浮かべているだろう。そう思いつつ、明日からのことを想像するのだった。
これからはもっと楽しくなりそうね……ふふ。
お気に入り20件! 全俺が号泣。
さて今回は春くんの能力について、少し掘り下げてみました。彼は今後苦労するでしょう。まあゆうかりんと一緒に過ごせるんだからこれぐらい我慢しろ!!
自分の書いてるキャラに嫉妬するとか俺もなかなか末期だな……ゆうかりんかわいいよゆうかりん。
感想、指摘、批評など、お待ちしております。