異世界はスマートフォンとともに 改   作:Sayuki9284

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今話もよろしくお願いします(。ᵕᴗᵕ。)


第13話 公爵家

翌日、優輝翔たちは公爵家令嬢のスゥたちと共に王都へと辿り着いた。

 

ちなみに優輝翔は4人の中で1番の実力者ということで、スゥを直接護衛するためにスゥとレイムさんの乗る馬車に乗っている。そしてその間は流石にスマホでゲームをしたり本を読んだりは出来ないので、優輝翔は暇つぶし代わりにまだ10歳になったばかりというスゥに日本の昔話や有名な映画のストーリーなどを読み聞かせていた。

 

そうこうしているうちに、馬車は庶民エリアから貴族エリアと呼ばれるエリアに突入し、やがて1軒の一際大きな大豪邸の前に出た。そして5、6人の門番が協力して開けた重そうな扉から中に入ると、大きな庭を暫く進んだ後に馬車が止まる。するとスゥが勢いよく扉を開けて外へ出ていったので、優輝翔たちもそれに続き、レイムさんに開けてもらった扉から家の中に入った。

 

 

「おかえりなさいませ、お嬢様。」

 

「うむ!」

 

 

いつからいたのか、スゥが中に入るとすぐに正面にあった赤い絨毯の両隣に並んでいたメイドさんたちが頭を下げた。そしてさらにその赤い絨毯を辿って目で正面に続く階段を登ってみると、そこには1人の見るからに高価な服を着た、スゥと同じ金髪の逞しい男性の姿があった。

 

 

「スゥ!」

 

「父上!」

 

 

男性、もといスゥの父である公爵が娘の名を叫びながら階下に駆け下りてくると、スゥもスゥで一直線に自身の父親のところへ駆けて行きその胸に飛び込んだ。

 

 

「おお、スゥ…。良かった…。本当に良かった…!」

 

「大丈夫、わらわはなんともありませぬ。昨日、早馬に持たせた手紙にそう書いてあったではありませぬか。」

 

「うむ……手紙が着いたときは、ほんとに生きた心地がしなかったよ…。」

 

 

男性は娘の生をしっかり感じるかのようにきつく抱きしめながらそう言うと、ふと優輝翔たちに気づいて視線を向けた。

 

 

「おお!君たちがスゥを助けてくれた冒険者だね!」

 

 

公爵はそう言いながら優輝翔たちに近づくと両手で1番前にいた優輝翔の手を握りしめる。

 

 

「ありがとう…。本当にありがとう…。」

 

「いえ、俺たちは人として当たり前のことをしただけですから。」

 

「そうか…。謙虚なんだな、君たちは。」

 

 

公爵はそう言うと嬉しそうに笑った。

 

そしてその後もう少し詳しいことを話すため、場所を2階のテラスに移した。テーブルは2つあったので、優輝翔はとりあえず未だに緊張気味だった3人を別のテーブルに押しやり、話し合いは自分と公爵のふたりで行うことにした。

 

 

「なるほど。君たちは手紙輸送の依頼で王都まで来たのか。」

 

「はい。まぁ1度は来てみたかったですからね。依頼を終えたら少しの間観光もするつもりです。」

 

「そうか。それではぜひ楽しんでいってくれ。王都は国の首都なだけあって他では見られないようなものもあるからな。」

 

 

公爵はそう言って笑いながら紅茶を一口飲む。そして「ふぅ…」と息を吐くと、少し真剣味を帯びた顔で呟いた。

 

 

「にしても、君たちがその依頼を受けてなければ……」

 

「……ちなみに、襲撃して来た者に心当たりは?」

 

「ない…とも言えんな。立場上、私のことを邪魔に思っている貴族もいるだろうし。」

 

「……やっぱめんどくさいですね。上の立場って……」

 

 

優輝翔が顔を顰めつつそう呟くと、公爵は苦笑いしながらまた紅茶を口にした。するとテラスの戸が開いて、レイムさんと一緒に薄桃色の可愛らしいドレスに着替えたスゥが出てきた。

 

 

「父上、お待たせしたのじゃ。」

 

「おお、エレンとは話せたかい?」

 

「うむ、襲われた件はあれなので黙っておいたのじゃ…。」

 

「あはは…、そうだね。」

 

 

スゥが席に着くと、レイムさんがスゥの紅茶を入れるついでにそれぞれに紅茶のお代わりとお菓子の追加をしてくれた。

 

 

「あの、エレン、というのはもしかして……」

 

「ん?ああ、すまない。エレンは私の妻だ。すまないね、娘の恩人なのに姿も見せず…。妻は目が悪くてね……」

 

「病気……ですか?」

 

「ああ、もう5年も前だ。一命は取り留めたが代わりに視力を失ったよ……」

 

 

公爵がそう言いながら辛そうに拳を握りしめる。スゥはそんなお父さんを心配し少しでも安心させるかのように自分の両手でその拳の片方をそっと包み込んだ。

 

 

「……医者は?」

「ダメだった。魔法も試したが宮廷魔導師を以てしても治すのは無理だと言われたよ。」

 

「こんな時……お爺様がいらっしゃれば……」

 

 

スゥのその言葉に、優輝翔は疑問を感じて公爵に問いかける。

 

 

「スゥのお爺さんは、もしかしてエレンさんを治すことの出来る何かを持っていらっしゃったんですか…?」

 

「ああ。スゥの祖父……妻の父は特別な魔法の使い手でね。あらゆる状態異常を治す魔法を使えたんだ。」

 

「……ちなみに、その魔法の属性は?」

 

「ん?無属性魔法だが、それがどうした?」

 

 

優輝翔はその言葉を聞くと、公爵が首を傾げながらそう聞いてくるのに対し、口角を釣り上げながら告げた。

 

 

「すぐに詳しい魔法の効果と魔法の名称を教えてください。そうすれば俺がエレンさんを治します。」

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「あら?珍しい……お客様、ですか?」

 

 

優輝翔がベッドに横たわるエレンさんの元まで行くと、エレンさんはそう言いながら身体を起こしてベッドに腰掛けた。

 

 

「白鷺優輝翔です。呼ぶ時は優輝翔が名前ですので、ぜひそちらでお願いします。」

 

「えっと、はい…。……あの、あなた?」

 

「ああ、大丈夫だよ。エレン、優輝翔殿はスゥの命の恩人だ。」

 

「まぁ!」

 

 

公爵の言葉を聞いて、エレンさんは混乱したような驚きの声あげたが、すぐに目の前にいるであろう優輝翔に頭を下げた。

 

 

「ありがとうございます!スゥを……娘を助けていただいて……」

 

「大丈夫です。人として当たり前のことをしただけですから。それより、今からあなたの目を治したいので楽にしてもらえませんか?」

 

「えっ!?」

 

 

優輝翔の言葉を聞いてまたも驚きの声をあげて少し困惑した様子を見せたエレンさんだが、その後スゥや公爵から「大丈夫」との掛け声をもらって落ち着きを取り戻すと、静かにその場に沈静した。

 

 

「いきます……「リカバリー」。」

 

 

優輝翔がエレンさんの目の前に手を添えてそう唱えると、優輝翔の手から魔法陣が広がり、やがてそれが消えると、エレンさんが徐々に目を開いて辺りを見渡した。

 

 

「……どうですか?」

 

「……見え…る……見える……っ!見えますっ!見えますわっ!あなたっ!スゥシィっ!」

 

「エレンっ!」

 

「母上っ!」

 

 

エレンさんがその場から立ち上がってそう叫ぶと、すぐさま公爵とスゥが駆け寄ってきてふたりでエレンさんをきつく抱きしめた。

 

優輝翔はそんな3人を邪魔しないようにそっとその場から離れたのだが、すぐさまデジャブとでも言いたくなるように後ろ、前、そして今度は横も合わせて3人の少女に抱きつかれた。

 

 

「優輝翔さん……優輝翔さん…っ!////」

 

「やっぱあんた、すごすぎるわよ…///」

 

「うぅ……流石でござるよ…、優輝翔殿…//」

 

 

3人は涙を流しながらそれぞれそう言った。優輝翔は「はぁ…」と短く息を吐いて少し苦笑いを浮かべると、3人の頭を順に優しく撫で始めたのだった……

 

 

 


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