異世界はスマートフォンとともに 改   作:Sayuki9284

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もう14話目ですね。

実はもう少し先……と言っても週一なので実際は数ヶ月ほど先なんですけど、少し大幅な修正と加筆をしてまして…。量もさることながら内容も濃くしすぎたせいかちょっとスランプ気味で手が止まってまして……

数ヶ月あるので間に合えばいいんですけど、もしかしたらそこで話が止まるかも知れません。まぁまだまだ先なんですけど、いちよう先にお詫びとお願いをしておきます。

皆さんもし間に合わなかったらごめんなさい。そして出来れば間に合うようにコメントなので応援のメッセージなど頂ければ幸いです。

皆さんの一言一言が書いている人の力になるので、是非メッセージお待ちしております。

図々しくて申し訳ございません。

それでは今話もどうぞ。



第14話 公爵家からの報酬

 

「君たちには本当に世話になった。感謝してもし切れないほどだ。まさか娘やレイムの命だけではなく、妻の目まで治してくれるとは…。本当に…、本当にありがとう……」

 

 

応接間で優輝翔たちの向かいに座る公爵が改めて優輝翔たちにそう言いながら頭を深々と下げた。

 

ちなみにここには優輝翔たち4人と公爵、そして公爵の後ろで立って控えているレイムさんがいて、スゥは目が見えるようになったエレンさんといっぱい話をしたいからとここにはいない。

 

 

「いえ、俺としてもまだ知らなかった無属性魔法を知れましたし、エレンさんの件はそのお礼とでも考えてください。それにスゥの件も何回も言ったように、俺たちは人として当たり前のことを……」

 

「いや、悪いがそういうわけにはいかん。君たちにはきちんとお礼をしたいのだ。レイム。」

 

「はっ。」

 

 

公爵が優輝翔の言葉を遮りそう言ってレイムさんを呼ぶと、レイムさんはすぐに手に持っていた茶色の小袋と同色の小箱の乗った銀のお盆を公爵の手の届く位置に差し出した。そして公爵はそこからまずは小袋を手で持つと、優輝翔の前に置く。

 

 

「まずはこれから受け取ってくれ。娘を助けてもらったお礼と、道中の護衛に対しての礼だ。中に白金貨で40枚入ってる。」

 

「「「「!?」」」」

 

 

公爵から出された予想をはるかに超える金額に、優輝翔たちが一斉に目を丸くする。白金貨で40枚、つまり日本円に換算すると1人1千万という大金を貰うことになるのだ。

 

そして公爵は立て続けに小箱の方も手に取って優輝翔に差し出す。

 

 

「そしてこれは妻を助けてもらった礼だ。」

 

 

そう言って公爵が小箱を開けると、中には4枚の銀色のメダルが入っていた。

 

 

「これは…?」

 

「これは我が公爵家のメダルだ。これがあれば検問所は素通り。貴族しか利用できない施設も利用できる。なにかあったら公爵家が後ろ盾になるという証だ。君たちの身分証明になってくれるだろう。」

 

「いいんですか?そんな高価なもの……」

 

「なに、気にすることは無いさ。本来ならこの程度のはずがないんだ。逆にこっちが申し訳ないくらいだよ。」

 

 

公爵がそう言いながら申し訳なさそうに顔を暗くさせる。優輝翔はそんな公爵に一言「大丈夫ですよ」とだけ声をかけると、個人個人で刻まれている文字が違うらしいメダルを3人に配ってから自分のを手に取る。一方、お金に関しては流石に持ち歩くことは出来ないので、それぞれ1枚ずつ手元に残してから公爵経由でギルドへ預けてもらうことにした。

 

そしてそろそろお暇しようと玄関に移動すると、スゥとエレンさんも見送りのために急いで優輝翔たちの元に駆けつけてくれた。

 

 

「優輝翔さん、娘のことも、私自身のことも、本当にありがとうございました。」

 

「いえ。それよりも今までの分、たっぷりスゥと遊んであげてください。」

 

「はい。」

 

「優輝翔!また来るのじゃぞ!待ってるからな!」

 

「ああ、また来る。じゃあな。」

 

 

優輝翔はそう言って2人との会話を終えると、既に馬車に乗っていた3人に続いて馬車に乗り込んだ。

 

そして公爵家の面々に見送られながら、4人は公爵家を後にするのだった……

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「それにしても……私たちもこれをもらって良かったんでしょうか…?」

 

 

公爵家から十分離れた広場のようなところで馬車を止めると、リンゼはそう言いながら先程貰ったメダルを取り出した。

 

 

「ん?何故だ?」

 

「何故って…、だってエレンさんを治したのは優輝翔さんなんですよ……」

 

「そう言われてみればそうね。それに今思うと私たちはリザードマンをちょっと倒しただけで、争いに気づいたのも、レイムさんの命を救ったのも優輝翔だったし……」

 

「さらに言えば、拙者は雇われでござる。なのに優輝翔殿と同じ報酬は……」

 

 

そう顔を暗くしながら呟く3人に、優輝翔が首をかしげながら声をかける。

 

 

「別にいいだろ?俺たちはパーティーメンバーだ。」

「でも拙者は……」

 

「なら八重も混ざれよ。というかスカウトしようか。」

 

「「「えっ!」」」

 

 

優輝翔の言葉に八重のみならず双子までも驚きの声をあげた。そしてリンゼが少しダークな目を向けて優輝翔に問いかける。

 

 

「あれ、優輝翔さん……もしかして八重さんのこと……」

 

「ん?なんだ?リンゼは八重をパーティーメンバーに入れるのは嫌なのか?」

 

「ふぇっ//い、いえっ//優輝翔さんがいいならっ//それに、八重さんともせっかく仲良くなりましたし//」

 

 

優輝翔がリンゼの頭を撫でつつ顔を近づけて目を見ながらそう言うと、すぐにリンゼは頬を染めて目を少し逸らしながらそう言った。

 

ちなみに言っておくが、リンゼの発言に偽りはない。ただ嫉妬しただけで、八重との仲は良好である。

 

 

「さっすが優輝翔!//やったじゃないっ、八重。」

 

「い、いいんでござるか…?」

 

「いいも何も、リーダーの優輝翔がこう言ってるんだし。もちろん私ももっと八重といたいしね。」

 

「エルゼ殿…っ//有難く、お受けするでござる!//」

 

 

八重はそう言って涙を流しながら頭を下げた。そんな八重をリンゼとエルゼが嬉しそうに背中を撫でたり言葉をかけたりしている。

 

優輝翔はそんな3人を微笑ましく見つめつつも、いつまでもこの場にいるわけにいかないので3人に声をかけた。

 

 

「よし、そろそろ依頼を終わらせにいこうか。」

 

「っと、そうね。危うく忘れるところだったわ。」

 

「そう言えば、依頼の手紙の送り先はどなたなのでござるか?」

 

「えっと確か……ソードレック子爵、ですね。」

 

 

リンゼがザナックさんから受け取った手紙の送り主を見ながらそう答えると、八重は驚いたように目を見開いた。

 

 

「なんとっ!せ、拙者が会おうとしていたのもその人でござるよっ!」

 

「「「えっ!?」」」

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~〜〜〜〜〜〜〜

 

 

子爵家の応接間で優輝翔たちは子爵と対面する。子爵は公爵よりも一回り大きな体つきをしていて、その顔も温厚そうな公爵とは反対に険しく、見るからに武人と呼ぶのが相応しいような人物であった。

 

 

「さて、私がカルロッサ・ガルン・ソードレックだが、お前たちがザナックの使いか?」

 

「はい。この手紙を渡すように依頼を受けました。子爵に返事をいただくようにとも言われております。」

 

 

優輝翔がそう言いながらザナックさんからの手紙を差し出すと、子爵はそれをナイフで封を切って開き、中身にざっと目を通した。

 

 

「……なるほど。少し待て、返事を書く。」

 

 

子爵はそう言って部屋を出て行く。すると入れ替わりにメイドさんが入ってきて、お茶を菓子を優輝翔たちに用意し始めた。そして優輝翔たちが暫く寛いでいると、片手に手紙を持った子爵がズカズカと部屋に戻ってきた。

 

 

「待たせたな。これをザナックに渡してくれ。」

 

 

子爵はそう言って手紙を優輝翔に手渡すと、そのまま目線を今度は八重へと向けた。

 

 

「ところで……さっきから気になっていたんだが、そこのお前。どこかで…いや、会ったことはないな。しかし……名前は何という?」

 

 

首を捻りながら子爵が八重の目を見てそう尋ねると、八重も子爵の目を真っ直ぐ見つめ返しながら名を名乗った。

 

 

「拙者の名は九重八重。九重重兵衛の娘にござる。」

 

「なっ!お前、重兵衛殿の娘か!」

 

 

子爵はそう言って驚いたように目を見開くと、すぐに「ガッハッハッ」と笑いながら膝を叩いて嬉しそうにまじまじと八重の顔を眺め始めた。

 

 

「うむ、間違いない。若い頃の七重殿に瓜ふたつだな。母親似でよかったなあ!ハッハッハっ」

 

 

子爵は楽しそうに笑いながら、少し昔を懐かしむように言葉を紡ぎ始めた。

 

 

「いやぁ……懐かしい。私がまだ若い鼻垂れ小僧だったとき、こっぴどくしごかれたもんだ。いや、あれは厳しかった。もう20年も前になるのか。そうか…、そりゃ娘も生まれてこんなに大きくなるわな…。」

 

「父上は今まで育ててきた剣士の中で、子爵殿ほど才に満ち溢れ、腕が立つ者はいなかったといつも口にしてござる。」

 

「ほほう?世辞でも嬉しいものだな、師に褒められるというのは。」

 

 

満更でもなさそうに子爵がそう言って笑みを浮かべる。そんな子爵に、八重は少し真剣味を帯びた口調で告げた。

 

 

「もし、子爵殿と出会うことがあらば、ぜひ一手指南していただけとも、父上は申していたでござるよ?」

 

「ほう…?」

 

 

子爵は八重の言葉に面白そうに目を細め、ペロリと唇舐めた。

 

 

 


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