異世界はスマートフォンとともに 改   作:Sayuki9284

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今話もよろしくお願いします(。ᵕᴗᵕ。)

さて、本日はこのSS上で非常に重要になってくる人物の登場です。まぁタイトルから推察できてる人がほとんどでしょう。

それではお楽しみくださいませ(。ᵕᴗᵕ。)


第20話 狐の子

 

ホテルをチェックアウトして、近くの店で昼食を取った優輝翔たちは、ホテル代で使った白金貨を補充するために1度全員で王都のギルドに赴いた後、男女で分かれて王都の探索をすることにした。

 

3人と分かれた優輝翔はまずスマホで近くの防具屋を検索して1番近くの店に向かった。前から手に入れたいと思っていた守りの装備を手に入れるためだ。鎧とは言わない。あれは重い。

 

 

「ここか。」

 

 

優輝翔は目の前に建つふるめ…ゲフンゲフン…歴史を感じる煉瓦造りの立派な建物の前に立ってそう呟くと、『ベルクト』と書かれているその看板を一瞥し中に入った。

 

 

「いらっしゃいませ。ようこそベルクトへ。」

 

 

優輝翔が中に入ると、扉を開けてすぐの所に立っていたお姉さんが綺麗にお辞儀しつつそう言った。

 

 

「鎧とか重いものじゃない防具を見たいんだが……」

 

「その前に、お客様は当店を初めてご利用ですか?」

 

「ん?ああ、そうだけど…。」

 

「でしたら、先にお客様のご身分を証明する物、もしくはどなた様からの紹介状などをお見せいただきたいのですが……」

 

 

(なるほど、流石貴族街の店といったところか。)

 

 

優輝翔はそう思って軽くため息を吐くと、ポケットから公爵からもらったメダルを取り出してお姉さんに見せた。お姉さんはそのメダルを確認すると、再び頭を深く下げる。

 

 

「ありがとうございました。改めて、ようこそベルクトへ。本日は鎧でない防具をお求めとの事でしたが、軽くて防御性能に優れた装備ということでよろしいでしょうか?」

 

 

お姉さんの言葉に優輝翔は首を縦に振ると、さらに付け足す。

 

 

「ああ。あとなるべく派手じゃないのがいいな。そういうのはあるか?いちよう金に糸目はつけないつもりだが……」

 

「そうですね…………でしたら…。」

 

 

お姉さんは少しだけ考え込むように目を伏せた後、優輝翔に1度頭を下げて店の奥に入っていった。そしてすぐにどこからか白いファー付きコートを手に戻ってくると、それを広げながら口を開く。

 

 

「こちらはいかがでしょうか?耐刃、耐熱、耐寒、耐撃に加えて、非常に高い攻撃魔法に対する耐魔の付与も施されております。ただ1つ問題がありまして、最後の耐魔に関しましては装備されたその方の持つ適性のみに発揮され、逆に持っていない適性のダメージは倍加してしまうといった性能も付いておりまして……」

 

「買おう。」

 

「へっ?」

 

 

優輝翔の一言にお姉さんは思わず素の声で驚き、ポカンと優輝翔を見つめる。

 

 

「だから買うって言ったんだ。俺の言った条件も満たしているしな。」

 

「あ、はい。かしこまりました。こちらは今お召しになられますか?」

 

「そうだな。」

 

 

優輝翔がそう言って頷くと、お姉さんは「失礼します」と一言入れて優輝翔にコートを着させた。

 

 

「ありがとう。あといくつか小太刀やナイフのようなものも見せてもらっていいか?出来ればこれくいの……」

 

 

優輝翔はそう言って服の中から1本のナイフを取り出してお姉さんに見せる。その後優輝翔は4本のナイフと1本の刀も新たに購入すると、合計白金貨3枚をお姉さんに支払って店を出ていった。

 

優輝翔が買ったものリスト

 

・白のファーコート・・・耐刃、耐熱、耐寒、耐撃、耐魔(全属性)の性能。金貨8枚。

 

・小さな緑色の魔石が付いたナイフ × 8・・・斬れ味が良く、投げた時のスピードが速い。各金貨1枚と銀貨5枚。

 

・匠の刀・・・岩をも斬れると言われるほど切れ味がいい。金貨10枚。

 

・刀の手入れ道具・・・おまけ。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「ここ、どこだろう…?」

 

 

1人のまだ顔に幼さの残る女の子が、キョロキョロと周りを見渡しながらそう呟いた。先程から同じ場所を行ったり来たりして困り果てた顔をするその女の子は、誰の目から見ても明らかに迷子の子猫(?)、そのものである。

 

だがこの女の子が今いる場所は王都の、それも人が行き交う大通りの真ん中であって、決して森の中などの人気が皆無の場所ではないのに、何故その女の子の近くを通っている人々は、誰も女の子を助けようと声をかけないのだろうか?

 

その裏には、その女の子の姿形と、この国の歴史というものがあった。

 

 

まず始めにこの女の子の容姿から説明しておこう。

 

年の瀬は12、3ほど。袖口に白色のフリルが付いた全体的にピンク色のワンピースと茶色のブーツを身につけ、胸元にある赤いリボンの留めには翠色に輝く楕円の宝石を付けている。

 

そして髪は綺麗な山吹色のストレートなのだが、問題はそこに生える同色の2本の耳と、お尻の辺りから生えているもふもふの尻尾だ。

 

そう、この女の子はただの女の子ではなく、異世界ならではの獣人(狐)の女の子なのである。

 

だがなぜ獣人と言うだけで、この街の人たちは誰も女の子に手を貸さないのだろう?別にこの女の子が凶暴な見た目をしているわけではなく、どちらかと言うとお淑やかでまだ幼く弱々しい外見をしているし、言葉が通じないわけでもない。それなのに何故?

 

その理由には、2つ目のこの国の歴史が関係していた。

 

この国、ベルファスト王国には古くから獣人などの亜人という普通の人族以外の種族を見下す風習があり、前国王の時にその認識を改める法が制定されたものの、未だにこの国の人々のほとんどが亜人たちと馴染めずにいるのだ。中でも歴史を持つ頭の固い貴族達の多くは未だに亜人たちを軽蔑の対象として見ているものも少なくない。

 

しかし、あくまでそれはこの国の人々の事情であって、他所から来たものには関係の無いことである。例えば優輝翔とか。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「どうしたんだ?」

 

「ひゃぁっ!」

 

 

優輝翔が女の子に近づいて優しく声をかけると、女の子はびっくりした声をあげて数歩後ろに下がった。そして涙目になりながら怯えるように震える手を胸の前で握ると、恐る恐る優輝翔に尋ねる。

 

 

「あ、あの……なんでしゅか…?」

 

「いや…、さっきからずっと同じ場所をキョロキョロしながらいたから。迷子か?」

 

「………ぅ……ぅぅ……」

 

「う?」

 

「ぅ……うわぁぁぁんっ!!」

 

「は?おい、ちょっ……」

 

 

優輝翔は突然泣き出して体当たりしてきた女の子を慌てて抱き止めると、困ったように頭を掻きつつ周りを見た。何人かこちらを見ている人はいたが、足を止めてまで見ている人はいなさそうである。

 

優輝翔は安心したように1つ息を吐き、とりあえず落ち着かせようと女の子の髪を撫でた。

 

 

「大丈夫。大丈夫だ。1人で怖かったのか?」

 

「グスン……はい…。」

 

「そうか。ならもう大丈夫だから、とりあえず泣き止もうな。」

 

 

優輝翔がそう言いながら女の子と目線を合わせてハンカチを目元に当てると、女の子はそっとそのハンカチを握る手に自分のを重ね、涙を拭き始めた。

 

優輝翔はその間もひたすら女の子の背を優しく撫で続け、やがて女の子が少しずつ落ち着きを取り戻してくると、怖がらせないように優しい笑みを見せながら話しかけた。

 

 

「もう大丈夫か?」

 

「……はい。あの、ありがとうございました//」

 

「どういたしまして。」

 

 

優輝翔は女の子の頭を撫でながらそう言って差し出されたハンカチを受け取ると、ポケットにしまって代わりにスマホを取り出した。

 

 

「それで、改めて聞くけど道に迷ったのか?」

 

「は、はい…。」

 

「そうか。ここには親と一緒に?」

 

「い、いえっ。お姉ちゃんと来たんですけど……気づいたらはぐれてて……」

 

「待ち合わせ場所とかは何も決めてないのか?」

 

「いえ。いちよう『ルカ』という魔法屋で……」

 

「魔法屋か……丁度いいな。」

 

「えっ?」

 

 

優輝翔はそう言うと不思議そうな声をあげた女の子を無視してスマホで素早く『ルカ』の場所を検索した。

 

 

「見つけた。じゃあ行こうか。」

 

「えっ?えと、どこに行くんですか?」

 

「ルカだよ。俺も丁度どっかの魔法屋に行こうとしてたから。」

 

「えっ?そ、そうなんですか?」

 

「ああ。」

 

 

優輝翔はそう言うと女の子にそっと手を差し出した。それに対し少し困惑した顔を見せる女の子に、優輝翔は少し腰を落として優しく言葉を添える。

 

 

「またはぐれたら困るだろう?一緒に行くぞ。」

 

「あ、はい…//」

 

 

女の子は少しだけ頬を染めてそう言うと、優輝翔の手を遠慮気味に、されどしっかりと力強く握り返した。そしてふたりはスマホの地図を頼りに魔法屋『ルカ』までの道を歩き始めるのだった……

 

 




このSSの第2ヒロイン、登場でございます。
(*´꒳`ノノ゙☆パチパチ

ちなみにですが、ここで言うヒロインとはお嫁さんになった順番、ではなく、優輝翔の信頼度の高い順です。ちなみに1位は2位と遥かな差をつけてダントツ(2位も3位とはかなり差があります)なのですが、この小説の常連さんは分かりますよね?
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