異世界はスマートフォンとともに 改 作:Sayuki9284
活動報告に上げさせて頂きましたが、今日からまた週一投稿を再開させていただきます。
今まで待っていてくださった皆様。本当に、本当にありがとうございました!これからもぜひ、よろしくお願いします!
「……ん……」
明け方。可愛らしい少女の口の隙間から小さな声が漏れ出す。
「リンゼ。起きたか?」
「……優輝翔、さん…?」
「ああ。おはよう。」
「……はい//おはようございます//」
リンゼがそう返すと、優輝翔は優しくリンゼの頭を二、三度撫で、そのまま手を離さずに会話を続けた。
「よく眠れたか?」
「はい//すごく…//」
「そうか…、よかった。違和感とかないか?どこか痛むとか……」
「大丈夫です//……あの、私……」
「どうした?」
「……私、夢じゃないですよね?なんで、私は……」
「リンゼ……」
リンゼが何を訴えたいかを理解した優輝翔は少し顔を暗くして目を瞑ると、しばらくしてゆっくり目を開き、リンゼに告げた。
「そうだな。その話は後できちんとしておこうか。じゃなきゃリンゼもモヤモヤしたままだろうしな。」
優輝翔はそう言うと、身体を起こして立ち上がり、何か作ってもらって来ると言って部屋を出ていった。
リンゼは大人しく寝て待ってようと思ったのだが、ふと視界の端に優輝翔が置きっぱなしにしていた『すまーとふぉん』なるものが写り、ちょっとだけと手を伸ばした。
「えっと、確かここを触ったら……あっ、ついた。えっと……なんて書いてるんだろ…?これは……」
「こーら。何やってんだリンゼ。」
「へっ//あ、ごめんなさい…//」
「たっく。まぁいいさ。リンゼなら。」
優輝翔はそう言うと、ベッドに腰掛けてリンゼを起こすと、自分の膝に座らせて後ろから抱きかかえる形でスマホの使い方を教え始めた。
「これは電話。こっちはメール。こっちは……って説明がめんどくさいな。いいや。後で全部まとめて教えてやるよ。あ、それとこの見た事ない難しい字あるだろ?これは漢字って言って……」
優輝翔はその後リンゼが急な高熱で道端で倒れていたという嘘を真に受けて心配しているエルゼがお粥を運んできてくれるまで、しばらくリンゼにまだ教えていなかった漢字や、簡単なスマートフォンの使い方を説明し続けた。
その後リンゼに病人のフリをしてもらい、心配しながらお粥を運んできたエルゼと八重を上手く切り抜けると、午後からは将棋や囲碁など、とにかく部屋の中でできることをして過ごした。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
翌日、優輝翔はエルゼたちにリンゼと王都でお泊まりデートしてくると言って銀月を出た。エルゼたちはまだリンゼの体調を心配していたが、療養も兼ねてることを伝えると渋々納得してくれた。
「さてと、じゃあとりあえず今日はホテル取ってゆっくりするか。」
「そうですね。」
「何したい?漢字の勉強でもしてみるか?古代文字の勉強とかもしてみようと思うんだが……」
「はいっ//じゃあそうしますっ//」
リンゼとしては優輝翔のすまーとふぉんとやらを早く自由に触れるようになりたかったので、優輝翔の提案は大歓迎だった。
「ところで優輝翔さん。ここ貴族街ですけど、こっちでホテル取るんですか?」
「ああ。今回はお詫びだからな。全額俺が払うから気にするな。」
「でも、ちょっと申し訳ないというか……」
「いいって。その代わり、たっぷりと夜はお前を味見させてもらうからな。」
「あぅ…///」
優輝翔の耳元で囁かれた言葉にリンゼは一気に顔を赤く染め上げる。そんな可愛い彼女を連れて王都でも有数の超高級貴族御用達ホテルに入ると、ノータイムで1番高い部屋を1週間とった。
「それでは代金が白金貨7枚になります。」
「はっ、白金貨7枚?!」
リンゼはあまりの額に、ここがホテルのロビーであることも忘れて思わず声を上げた。優輝翔はそんなリンゼに軽く笑みを浮かべつつ、何事もないかのように白金貨7枚を支払って部屋に案内してもらった。
「うわぁぁ…//」
「さすが最高級ホテルだな。」
案内された部屋は元の世界の一流ホテルと大差ないほど上質な部屋で、窓の外にはアレフィスの象徴である美しい湖の全貌が確認できた。
「いい部屋だな。」
「そうですね//」
「どうする?ちょっと歩くか?湖の周りは行ったことないだろ?」
「はいっ//」
優輝翔の提案にリンゼも嬉しそうに賛同した。そして2人は10分程かけて湖の畔にやってくると、周りに誰もいない自然のグリーンカーペットの上に座って、どちらかともなく手を繋いで身体を寄せあった。
「……静かだな。」
「そうですね//」
「なんだか久しぶりだよ。この感じ。大切な誰かと自然の中で2人きり。俺はこの時間が1番好きなのかもしれない。」
「ふふっ//私も、同じかもしれないです…//」
リンゼはそう言ってよりベッタリと優輝翔に体を預ける。優輝翔はそんな可愛い彼女の頭を優しく撫でると、そのまま額にキスを落とした。
「……ダメですよ?//優輝翔さん//ここはまだ外なんですから//」
「わかってる//キスだけだ//」
「だめ//恥ずかしいですから//」
「ダメか?//ひどいな//」
「ふふっ//その分夜にたっぷりと私を食べてください//」
「ああ、覚悟してろよ//お前のその罪悪感と全部まとめて食ってやる//」
優輝翔がそう言うと、リンゼはハッとしたように体を強ばらせた。
気づかれてしまった。気づかれてないと思ってないのに。
やっぱり優輝翔さんには……
「……敵わないですね///」
「今日は寝かさないからな//ほんとうに//」
「はい//私の心も、記憶も、過去も、思い出も、全部//優輝翔さんが壊して、優輝翔さんで埋めて、優輝翔さん色に染めてください///そして……」
リンゼはそう言って優輝翔の顔を見上げると、一拍おいて告げた。
「私の全てを、優輝翔さんの全てにしてください///」
「……今日から1週間で、必ずそのお前の願いを叶えてやる///覚悟してろ///リンゼ・シルエスカ///」
優輝翔がそう言い終わると、2人は向かい合ったそのままにゆっくりと唇を重ね合う。
刻は既に夕暮れ。2人の斜め後方から差し込む日差しが湖に寄り添うように2人の影を作った。
これはその光景をたまたまホテルの窓から目にしたものの話だが、その影はハートの形になっていたそうだ。
まるでようやく、2人が真の意味で愛で結ばれたことを証明するかのように……
そしてこの後、二人の間に何があったのか、この一週間何をしていたのかは、誰にも知ることが出来なかった。
ただひとつ言えるのは、この二人はどこの世界のどのカップルにも負けないほど、お互いの愛を育んだということである……