異世界はスマートフォンとともに 改   作:Sayuki9284

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3話目です。今回もよろしくお願いします。


第3話 ファッションキングザナック

 

徐々に意識が戻り、ゆっくりと目を開ける。直後に飛び込んできた景色は、先程神様のいた所でみた景色とほぼ変わらなかった。

 

続いて起き上がって周りを見る。こっちは違った。森、山、草原、それに道のようなものが1本、目の届く範囲いっぱいまで続いていたのだ。

 

 

「ここが異世界……なのか?」

 

 

優輝翔はそう疑問に思いながらスマホを取り出して電話帳を開く。確かにそこには『神様』という2文字が記されていた。

 

 

(夢じゃなかったんだな……)

 

 

優輝翔はそう確信すると、立ち上がって地図を開いた。そして1番近くにある町の位置を確認してから、道沿いを歩き始める。

 

町までは結構距離があるようだが、急がなくても日が暮れるまでには問題なく着く距離なので、優輝翔はゆっくりと歩いて向かうことにした。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~〜〜〜〜〜〜〜

 

 

ガタッ ゴトッ

 

「ん?」

 

 

しばらく歩いていると、何やら後ろから物音が聞こえてきた。

 

優輝翔が振り返ると、少し遠くからこちらに向かって1台の馬車が走ってくるのが見えた。何やらすごく高級感のある馬車だ。恐らく乗っているのはどこぞの貴族か何かだろう。

 

優輝翔は変に絡まれるのもあれなので、大人しく道を開けて馬車を先に行かせる。しかし馬車は優輝翔の隣を通り過ぎるとすぐにその場で停止してしまい、中から勢いよくお洒落で高そうな服を着た紳士が飛び降りてきた。そして不思議に思って立ち止まっていた優輝翔へと一直線に駆け寄り、その両肩をガシッと掴む。

 

 

「き、君っ!ちょっといいかねっ!」

 

 

紳士は優輝翔の身体をガクガク揺らしながらそう尋ねると、優輝翔は首を傾げながらも悪意はなさそうなので素直に頷いた。

 

 

「そ、そうかっ。で、では質問だがっ、この服はいったいどこで手に入れたのかねっ!?」

 

「服?」

 

 

優輝翔のその疑問の言葉を無視して、紳士は優輝翔から手を離すと優輝翔の周りをグルグルと周回しながら唸り始める。

 

 

「う~む…。服の生地や、刺繍、デザインや、縫製技術のひとつをとってもなんと素晴らしいことか…。」

 

 

その紳士の言葉を聞いて、優輝翔はふと自分の服装を思い出す。

 

 

(そう言えばこの服……元の世界にいた時に悪徳社長や評判の悪い政治家のとこから盗みに盗んだ物のひとつだったな。確か値段も桁が違っていたような…。)

 

 

優輝翔はそう思いながら紳士にある提案をした。

 

 

「もしやあなたは服飾関係を携わる方でしょうか?もしそうならこの服をお譲りしましょうか?」

 

「ほ、ほんとかねっ!?」

 

 

優輝翔の提案に紳士が勢いよく食いつく。優輝翔としてはこの服に何ら未練があるわけでもなく、ましてや売ることでよりこの世界に適応した服と高い金を得ることが出来るかもしれないので、万々歳だった。

 

 

「ええ。ただ代わりと言ってはなんですが、この服を売る代金とは別に1着、俺の着れる服を用意していただけると嬉しいのですが。」

 

「よかろう!馬車に乗りたまえ!次の町まで行けば私の店があるので、そこで君の服を用意させよう。服もその時に売ってくれ!」

 

「そうですか。ありがとうございます。」

 

 

優輝翔はそう言って紳士と握手を交わすと、紳士の乗っていた高級感溢れる(実際に中もふかふかの椅子と背もたれが置かれていた。)馬車に乗り、町までの時間を紳士(名をザナックさんと言うらしい)と色々話しながら過ごしたのだった……

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~〜〜〜〜〜〜〜

 

 

3時間後、ザナックさんと優輝翔を乗せた馬車は無事に最寄り町『リフレット』に着いた。

 

 

「さぁ、着いたぞ。ここが私の店だ。」

 

 

ザナックさんに言われて馬車を降りると、優輝翔は目の前にある店を見上げた。

 

 

(……読めないか。でも何となく英語に似てるな。)

 

 

優輝翔は看板の文字を見て心の中でそう呟いてから、キョロキョロと辺りを見渡した。当然と言うべきか、そこには優輝翔が初めて見る景色が広がっている。

 

 

(これが中世……異世界…。)

 

 

優輝翔はそう思ってほんの少しの間目を瞑り感慨に浸ってから、先に店に入っていったザナックさんを追って店に入った。

 

 

「おお、来たか。ではそこの試着室を使ってくれたまえ。すぐに店の者に君にあった着替えをいくつか持って行かせるから、その中から気に入ったものを選んでくれればいい。」

 

「分かりました。」

 

 

優輝翔はそう返事をして試着室に入る。

 

そして店員の人に持ってきてもらった服に着替えを進めたのだが、ちょっとここで問題が発生した。なんと着替えてる途中で何度もザナックさんが乱入してきては、最終的には下着から何から全て売ってくれと言い出したのだ。

 

これには流石の優輝翔も怒りを通り越して呆れてしまい、結果流されるように全てのものをザナックさんに売った。まぁこの貸しは服の料金に迷惑料として上乗せしてもらうことで返してもらうとしよう。

 

 

(というか使用済みの下着なんて需要あんのかよ……)

 

 

優輝翔はそう思いながら自身の選んだ服を確認する。優輝翔の選んだ服は全体的に派手さはなくシックな感じで、動きにくさもなかった。

 

 

「悪くないな。」

 

 

優輝翔がそう言って納得していると、ザナックさんが見るからにホクホクとした顔で優輝翔の元へとやって来た。

 

 

「いやぁ、良い買い物をさせてもらった。それで、いったいいくら欲しいかね?無論、金に糸目はつけん!」

 

「そうですね…。俺としても多いに越したことは無いですが……ひとまず、ザナックさんの想定額を聞いても?」

 

「ふむ。私としては最低でも金貨30枚以上は出せると思っとる。上限としては倍の60枚あたりだ。」

 

「なるほど…。では金貨58枚でどうでしょうか?」

 

「乗った!」

 

 

優輝翔の提案にザナックさんが勢いよく頷く。

 

ちなみに増えた金貨のうち、約20枚、つまり500万円分は服の料金であり、残りの8枚、80万円は馬鹿高い迷惑料なのだが、まぁそのことは話す必要は無いだろう、うん。

 

 

「では決まりですね。内訳は白金貨5枚、金貨7枚、銀貨10枚でお願いできますか?」

 

「あい分かった。待っていたまえ。」

 

 

ザナックさんはそう言って店の奥に入っていく。

 

ちなみに内訳の理由は持ち数を減らして重さを軽減することと、使い勝手を良くすることだ。

 

そして戻ってきたザナックさんからお金を受け取って中身を確認すると、優輝翔は近くの宿屋の場所をザナックさんに尋ねた。

 

 

「ああ、それなら『銀月』という宿屋が近くにあるよ。ほら、この道を右手に真っ直ぐ行けばすぐだ。」

 

「分かりました。いろいろとありがとうございました。」

 

「なに、また珍しい服を手に入れたら持ってきてくれたまえ。」

 

 

ザナックさんに別れを告げ、優輝翔は『銀月』までの道を歩き始める。その道すがら、優輝翔はスマホの地図画面を開いてあることを確認した。

 

 

「……やっぱり、スマホだとちゃんと翻訳されて出てくるんだな。」

 

 

優輝翔はそう言って先程の店の文字が『ファッションキング・ザナック』と書いてあったことを確かめると、ついでに『銀月』の正確な位置を確認してスマホの画面を閉じた。

 

 

 




話の進みが遅いと思う方もいるかもしれませんが、どうか寛大なお心で読み続けて頂ければ幸いです。
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