異世界はスマートフォンとともに 改   作:Sayuki9284

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今話もよろしくお願いします(。ᵕᴗᵕ。)


第41話 一気に四人目!?

「えっと……ツッコミどころが多かったのですが、まず“ 婚約者 ”……ですか?」

 

 

ユミナ姫が首を傾げながら優輝翔にそう尋ねる。

 

 

「ん?……ああ、俺はまだ結婚とかする気はないからな。せめて後1、2年は冒険者やってたいし。」

 

「でも結婚しても冒険はできるんじゃあ……」

 

「それに関してはたぶんもうひとつのツッコミ所と被ると思うけど、俺の最初の婚約者と2人目の婚約者は俺とパーティー組んでる同じ冒険者でな。まだ始めてそんなに経ってないし、まだ今のうちは冒険を楽もうってことになったんだ。結婚するってなったら、子育てとかも考えて、そうなると冒険は出来ないだろう?まぁ他にもいろいろ理由はあるが、一番の理由はそれだな。」

 

「………………」

 

 

優輝翔の言葉にユミナ姫がポカンと小さく口を開けて固まる。そんな中、最初に反応したのは公爵だった。

 

 

「はははっ。優輝翔くんはモテモテだなぁ。その上冒険者としての力もあり、人望もある。ひょっとしてそのままどっかの王様にでもなっちゃうんじゃないかい?」

 

「ないですね。まぁ既存の国ではなく、新しくできた新興国の第1国王とかならほぼ自由に国のこと決められるんでなってみたいですけど、どっかの国の次代国王とかになるのはありえないですね。」

 

「ははっ。なるほど。確かになるならその方がいいか……」

 

 

公爵はそう言ってチラリと兄の国王を見た。陛下はその目線を受け取ると、少し考えてから優輝翔にあることを尋ねた。

 

 

「つまり、優輝翔殿はこの国の次代国王になる気はないということだな?」

 

「えっ?えっと……どこからそういう話になったのかは知りませんが、はっきり言ってないですね。」

 

「そうか…。まぁそれであるならばそれでも構わん。だからユミナ。お前はお前のやりたいようにしなさい。」

 

「へっ?!///」

 

 

陛下がいきなりユミナ姫に話を振ると、ユミナ姫はポンっと顔を真っ赤に染め上げた。

 

 

「え、えっと……お父様?//それはどういう……//」

 

「ははっ。なに、見ていたら分かるよ。なぁ、ユエル。」

 

「ええ。遂にユミナもそういう時期なのね……」

 

「お、お父様っ//お母様っ//」

 

 

ユミナ姫が立ち上がって真っ赤な顔でそう叫ぶ。対して隣にいた優輝翔はこの流れに若干取り残されつつ、状況を冷静に整理しようとしていた。

 

 

(えっと……つまり、どういう事だ?ユミナ姫も俺を好きってことか?でも俺、ユミナ姫にしたことなんて父親の陛下を治したくらいで……)

 

 

優輝翔がそんなふうに頭の中で色々考えていると、それを察したのか、優輝翔の腕の中にいたアルマがユミナ姫の方を向いてド直球に尋ねた。

 

 

「えっと、ユミナさ…姫、も、優輝翔さんが好きなんですか…?//」

 

「えっと……まず、前まで通りさん付けで構いません。あと質問についてですが………yes…です……//」

 

「優輝翔さん……//」

 

 

ユミナ姫が真っ赤な顔を手で覆い隠しながらそう言うと、アルマが懇願するような目で優輝翔を見上げた。その目はユミナの事も受け入れてくれと言ってるように優輝翔は思えた。

 

 

「はぁ…。ユミナ姫はいいのか?俺とは今日初対面のはずだけど……」

 

「問題ありません//優輝翔様は心優しいお方ですから//」

 

「いや、父親の陛下を助けただけでそんな……」

 

「そうではありませんっ//私の目が、そう判断しているのですっ//」

 

「目?」

 

 

優輝翔の疑問の声に、答えてくれたのは目の前にいた父親の国王だった。

 

 

「ユミナはな、『魔眼』の持ち主なのだよ。人の性質を見抜く力を持っているんだ。まぁほぼ直感のようなものだが、外れたことはないから信じてよい。」

 

「魔眼……」

 

 

優輝翔はそう呟きながら横にいるお姫様を見つめる。正確に言えば、その目、オットアイを。

 

魔法書や歴史書を読み漁ってる優輝翔故に、魔眼なるものの存在は認識していたが、それを実際に見ることになるとは思ってもみなかったのだ。

 

(魔眼ね……)

 

優輝翔はため息をつくと、続いて柔らかい笑みを浮かべユミナ姫に聞いた。

 

 

「さっきも言ったけど、俺には既に3人の婚約者がいて、それぞれ身分も年齢もバラバラだ。それでも俺が好きになったんだから “身分による” 差別をするつもりはないし、あと、ユミナ姫と婚約したからって次代国王になる気も……」

 

「分かっていますっ//それでも私は優輝翔様の横にいたいのです//シャルロッテから魔法も学んでいましたので冒険者になる事も吝かではありませんし、他の婚約者の方とも仲良くなりたいのです//どうかっ//どうか私と結婚してくださいっ///」

 

 

ユミナ姫はそう言って優輝翔に深く頭を下げる。優輝翔は少し困ったように頬をかくと、すっと片手を伸ばしてユミナ姫の頭を撫で始めた。

 

 

「あっ……//」

 

「まぁ、まだ婚約だけど//それでよければよろしくな、ユミナ//」

 

 

優輝翔がそう言うと、ユミナは目に涙を浮かべ、空いている左手側に思いっきり抱きついて、満面の笑みでこう言った。

 

 

「はいっ///よろしくお願いしますっ///」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「で、一気に2人も新たに婚約したのね。」

 

 

そう言って深いため息をついたのは、ついこの間優輝翔と婚約したエルゼだ。その隣には少しだけ驚いた顔をしたリンゼと、かなり驚いた顔をした八重がいる。

 

その向かいに座るのは、中心に優輝翔を置いて両隣に腕に抱きつきながら座るアルマとユミナ。

 

ちなみにここは既に銀月の食堂である。2人とも晴れて優輝翔の婚約者になったということで、優輝翔と共に銀月で生活することになったのだ。まぁアルマはオリガさんがミスミドに帰るまでの短い間だが……

 

 

「それで、これから一緒に過ごすってことだけど、冒険者業はどうするの?」

 

「ああ、それに関してはまずユミナは一緒に冒険者業をやっていくらしい。確か魔法が使えるんだよな。」

 

「はいっ//いちよう闇、風、土の3属性が使えます//」

 

「3属性ですか…。ちなみに腕前の方は?」

 

「いちよう宮廷魔術師のシャルロッテに指導していただいておりましたので、ある程度は……」

 

「シャルロッテさんが……それなら安心でしょうか。」

 

 

リンゼがそう言うと優輝翔は首を傾げながらリンゼに尋ねる。

 

 

「ん?リンゼはシャルロッテさんを知ってるのか?」

 

「あ、はい。何せこの国1の魔術師ですから。」

 

「へぇ…。まぁさすがリンゼと言ったところか。」

 

「いえ、そんな……//」

 

 

優輝翔の感心したような言葉に、リンゼの頬が紅く染まる。

 

ちなみにほんのひと月ほど前まではシャルロッテさんがリンゼの最も尊敬する人物だったのだが、今ではただ素晴らしい人物という認識でしかない。何せ、自身の最愛の人がそのまま最強なのだから。

 

 

「ところで、アルマ殿はどうするでござるか?」

 

「アルマは留守番だ。何か学校の宿題も持ってきてるらしいから、それをやっておくんだよな?」

 

「はい//終わったあとは適当に囲碁やオセロなどをしてみなさんの帰りを待ってますね//」

 

 

アルマがそう言うと、リンゼは思い出したかのようにアルマに語りかける。

 

 

「そう言えばアルマさんも囲碁をやってらっしゃるんですよね。私もやっていますので、この後よければどうですか?」

 

「ほんとですか?お願いします!」

 

 

リンゼの誘いにアルマが嬉しそうに両の拳を胸の前で握ってそう言った。

 

 

「さて、じゃあこの後どうする?リンゼとアルマは囲碁として、ユミナは町の見学でもするか?」

 

「冒険者業は明日からでしょうか?」

 

「ああ。ちょっとエルゼが2日前に大怪我したばっかでな。あと5日は冒険者業は中止の予定だ。」

 

「そうなんですね。じゃあ町の見学を。」

 

「よし。エルゼと八重はどうするる?」

 

「拙者はこの後1人刀でも振って修行しようと思ってるでごさるが……」

 

「あ、じゃあ私もい……」

 

「エルゼ。」

 

「あぅ……//だって身体動かしたいんだもん……//」

 

 

優輝翔の咎めにエルゼが涙目になりながらそう告げると、優輝翔はため息をはいて口を開いた。

 

 

「あと5日は我慢しろ。その代わり我慢できたら最後の日あたりにとっておきのプレゼント用意してやるから。」

 

「えっ?///ほ、ほんとっ?///じゃ、じゃあ……まぁ……//」

 

 

エルゼはそう言って頬を染めながら頷いた。その後、エルゼは優輝翔からスマホを借りて麻雀を、リンゼとアルマはリンゼの部屋で囲碁を、八重は中庭で修行を、そして優輝翔とユミナはリフレットの町中へと繰り出していったのだった……

 

 

 


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