異世界はスマートフォンとともに 改 作:Sayuki9284
今話もよろしくお願いします(。ᵕᴗᵕ。)
翌日。昼になってようやくエルゼと銀月に帰ってきた優輝翔に、ユミナが昨日届いたという王家からの手紙を差し出してきた。
まぁなんで翌日の昼まで帰らなかったのかは言わなくても分かるだろう。ちなみに今、優輝翔たちは手ぶらである。昨日デートで買った荷物は全て、優輝翔が必死で見つけ出した収納魔法にしまってあるのだ。
「内容は?」
優輝翔は受け取った手紙の封が切られてるのを見て、ユミナにそう尋ねた。
「王宮への呼び出しです。優輝翔様と私、後リンゼさんたちもみんな。」
「みんな?何故だ?」
「優輝翔様以外の皆さんにはただ1度顔を合わせておきたいだけのようですが、優輝翔さんにはなんでも爵位を授与したいらしく……」
「爵位っ?!」
ユミナの言葉にエルゼが声をあげて驚き、尊敬の眼差しを優輝翔に向けたが、優輝翔はただただ顔を顰めるだけだった。
「……断れるのか?」
「ちょっ、なんでっ?もったいない……」
「俺は特定の国に仕えるつもりはないし、貴族は事務作業やコネとか体裁を保つのが面倒だ。金なら有り余ってるしな。」
優輝翔が少しイライラした口調でそう言うと、エルゼも流石にこれ以上は言えずに食い下がった。そんなふたりの様子を見て、ユミナも少し気を使いながら優輝翔に告げる。
「えっと、断る際は通常きちんとした公式の場でそれ相応の理由を述べる必要が……」
「通常?他にもあるのか?」
「い、いえっ。ですが優輝翔様でしたらお父様も無理強いはしないでしょうし、冒険者業を理由にしても大丈夫だと思います!何かあれば私からもお父様にお話しますし……」
「はぁ……で、今日やるのか?呼び出しってことは。」
優輝翔が少しイライラした雰囲気を引っ込めたことで、ユミナは安心したように息を吐いて質問に答えた。
「いえ。今日はただの打ち合わせのようなものですから。ですからもう今日のうちに断るのもありだと思います。それでしたらお父様も代わりに欲しいものなどを優輝翔様に直接お尋ねするかもしれませんし……」
「なるほどな。分かったよ。だが行くのは少し休んでからだ。あとその話の時はちゃんと俺の横にいろよ。」
「あっ、はいっ。もちろんです。」
ユミナの返事を聞いて優輝翔はエルゼとともに上の階に上がっていく。ユミナはふたりを見送ると、「ふぅ……」と大きく溜息をついて椅子に腰をかけた。そしてこの後のことを考えながら、「はぁぁ……」と息を吐いて頭を抱えるのだった……
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「おお、優輝翔殿。ユミナと皆の者も、よく来たな。」
レオン将軍とオリガさんの3人でお茶を楽しんでいた様子の陛下は部屋に入ってきた優輝翔たちを見てそう言うと、立ち上がって久しぶりに会えた娘を抱きしめた。
「どうだ?優輝翔殿とは順調か?」
「はいっ//同じ婚約者の皆さんや冒険の仲間の方とも仲良くさせてもらってます//」
ユミナがそう言って優輝翔の後ろでいつの間にか膝まづいているリンゼたちを見る。陛下はその様子に苦笑いしながら優輝翔に近づいた。
「そう畏まらんでよい。楽にしてくれ。それはそうと優輝翔殿。久しぶりだな。」
「ええ。陛下こそ、もうすっかり体調もいいようで。」
「はははっ。お蔭さまでな。」
その後優輝翔がアルマたちも交えて将軍、オリガさんと順番に挨拶して話していると、ふとオリガさんの表情が固まり震える声で優輝翔に尋ねてきた。
「ゆ、優輝翔さん……?そ、その子は……」
「ああ、この白虎は白帝ですよ。今は琥珀って名前で俺の仲間ですけど。」
『!!』
優輝翔の言葉に3人全員が驚き目を見開く。その後優輝翔が琥珀を仲間にした経緯を皆に説明すると、陛下と将軍は驚き呆れ、オリガさんはただただ信じられないというような顔で琥珀と優輝翔を交互に見続けていた。
「そんな……では白帝様は優輝翔様のお仲間で……優輝翔さん、いえ様は……」
「いいですよ、今まで通りで。アルマも最初はオリガさんみたいになってましたけど、今は普通に琥珀抱っこしてますし。」
優輝翔がそう言って自分の隣で琥珀を抱き抱えているアルマを見る。その妹を、オリガさんは信じられないと言った目で見つめていた……
「アルマ……」
「大丈夫だよ、お姉ちゃん。」
アルマはそう言って琥珀をオリガさんの元に連れていく。オリガさんも最初はどうすればいいのか戸惑っていたが、琥珀自ら喋ってオリガさんに抱かれると、少し落ち着きを取り戻した。
「それにしても白帝様と契約してしまうとは……優輝翔さ、いえ、優輝翔様はいったい……」
「だから今まで通り……って、言っても無駄か。あと、俺はただの冒険者ですよ。」
優輝翔がそう言って肩をすくめると、急に部屋のドアが開き勢いよくひとりのよく知った女性が走り込んできた。
「ここに優輝翔さんがいらっしゃるとお聞きしましたが!!?」
「えっ?あ、はい。ここに……」
「優輝翔さん!!」
宮廷魔術師のシャルロッテさんは優輝翔の存在を確認し大声でその名を呼ぶと、血走った目でズカズカと優輝翔の前に歩いてきた。
そして優輝翔の前にグイっと何本かのグラスを差し出す。
「あのメガネもっと製造してください!!解読が追いつきません!!」
「いや、確かにそんな髪ボサボサで隈ありまくりの顔みたらそう思いましたけど……こんなに?」
「こんなにです!!お礼はありますからほら!!!」
シャルロッテさんはそう言って後ろのメイドたちに持たせている紙の束や本の山を見せる。それが何かは優輝翔も直ぐに分かったので、優輝翔も直ぐに素早くモデリングで幾つかの眼鏡を作り出すと、シャルロッテさんはそれをひったくるように取り、流れるようにお礼だけ言ってこの場を去っていった。
(嵐だな……)
優輝翔がそう思いながらメイドたちから受け取ったものを「ストレージ」にしまい溜息を吐くと、後ろから陛下がすまないと謝ってきた。
「あの子も悪気はないんだが……」
「分かってますよ。それより、なんか爵位の話が舞い込んできたのですが、断っても?」
優輝翔が少し声のトーンを下げてそう聞くと、陛下は苦笑いしながら首を縦に振った。
「もちろん構わんよ。こちらとしても余の命を救ってくれたものに何もせんのは周りが黙ってないのでな。」
陛下の言葉に優輝翔の隣に駆けつけるように寄ってきたユミナが安堵の息を吐く。これでもし陛下が渋って優輝翔に爵位を進めれば、優輝翔の機嫌がさらに悪くなっていたかもしれないで、これで一安心だ。
「まぁそんな事だろうとは思ってましたよ。」
「ははは。ところで、聞くのは2度目だが今も欲しいものはないのか?なければ余の方で何か代わりのものを優輝翔殿に授けることになるが……」
「例えば?」
「まぁ報奨金はもちろんとして、例えば国宝庫から1品、とかだな。」
陛下がそう言うと、ユミナが笑顔を浮かべて優輝翔に告げた。
「いいんじゃないでしょうか?//優輝翔様//国宝庫なら優輝翔様に直接何か欲しいものを探してもらうことも可能ですし//ね?お父様。」
目が笑っていない。いったいいつの間にそんな技術を身につけたのやら。
陛下はそんなことを思いながら愛娘の言葉に頷く。
「う、うむ。優輝翔殿が欲しい物が見つかるかもしれんし、余はそれでも構わん。」
「なるほど………………でしたら……」
その後、優輝翔は爵位の代わりとなる3つのものを王様に頼み、早速その中のひとつである国宝を、国宝庫に漁りに行ったのだった……