異世界はスマートフォンとともに 改 作:Sayuki9284
いつの間にか50話超えましたね……
次の目標は『目指せ100』です!
それでは今話もどうぞ
翌日、優輝翔たちが庭のテラスで寛いでいると、ライムさんが窓を開けて入ってきた。
「失礼します。優輝翔様、オルトリンデ公爵殿下とスゥシィお嬢様がいらっしゃいました。」
「え?何でまた?まぁいいや。とりあえずここに通して。」
優輝翔がそう言うと、ライムさんは1度下がる。すると優輝翔と一緒のテーブルにいたリンゼはすぐさま別のテーブルに移動するために席を立った。
「悪いな、リンゼ。」
「いえ、構いません//」
優輝翔の言葉にリンゼは笑顔でそう言って去る。そんな何気ない姿にも、優輝翔はどこか安心感を覚えていた。
「やぁ、こんにちは。引越しはもう落ち着いたかい?」
「ええ、まぁ。…………細かいところは幾つか残ってますが、大方片付いてますよ。」
公爵の挨拶に優輝翔は紅茶を飲みながら答えた。
「こんにちはじゃ、ユミナ姉様!」
「ええ、こんにちは。スゥ。」
ユミナはそう答えると、スゥと喋りやすいように優輝翔のテーブルに移動する。そして全員が席につきライムさんが公爵とスゥの分のお茶を運んでくると、公爵はそれを一口飲んでから口を開いた。
「ふぅ…。それにしても、まさかユミナまで婚約者にしてしまうとはね。」
「ああ……まぁ、星の数いる男達の中から俺を選んでくれたんですから、幸せにはするつもりです。」
「はぅ…///」
優輝翔の発言にユミナは顔を赤く染める。それを見て公爵は声を上げて笑い始めた。
「はははっ。これは一本取られたな。まったく、こんなことならスゥもその流れに乗じて貰ってもらおうかな?」
「いや、流石にそれは。スゥはまだまだこれからだと思いますけど……」
「わらわは大歓迎じゃがな!」
スゥの満面の笑みでの発言に、優輝翔は苦笑いで答える。優輝翔としてもスゥはいい子なのはいい子だが、如何せん若すぎた。何せスゥはまだ10歳になったばかり。元の世界でいう小学4年生だ。最低でも中学生になってもらわないと、優輝翔は婚約する気になれなかった。
「はははっ。まぁ今日のところは引き下がろう。」
「今日のところは?」
「ううん!……実は、今日は君たちに依頼を持ってきたんだ。」
「………………はぁ。その依頼とは?」
優輝翔はあからさまに話を逸らした公爵にため息を吐き、めんどくさそうにその内容を尋ねた。
その内容は以下の通りである。
『
・ベルファスト王国は晴れてミスミドとの国交を結び、両国王が顔合わせを行うになった。
・ただどちらかの国王がどちらかの国の王都に行くにはリスクを伴う。
・そこで「ゲート」が使える優輝翔にミスミドの王都まで行ってもらいたい。
・報酬は弾み、ギルドランクも間違いなく上がるとのこと。
・尚、優輝翔たちがミスミドに行く時はオリガさんたちも護衛の騎士団とともに帰国する予定。
』
「なるほど。……………分かりました。お受けします。」
優輝翔は1度全員の顔を見渡してから、公爵に返事を返した。公爵曰く、出発は3日後。つまりあと今日を抜いて2日間しかアルマとのんびり過ごすことはできないようだ。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
公爵たちが帰ると、優輝翔はすぐに少し表情を暗ませているアルマのもとに歩み寄った。
「アルマ。」
「ひゃ、ひゃいっ//なんでしょうか…?//」
「……お昼、みんなで食べたら、ふたりでデートに行こうか//」
「え……、はいっ///」
優輝翔の思いもよらない提案に、アルマは嬉しそうに頷く。そしてクレアさんが作ってくれた昼ごはんをみんなで食べ終わると、優輝翔はアルマを連れて王都の貴族外へと繰り出して行った。
「優輝翔さんっ//この服どうですかっ?//」
最初に入った可愛らしい内装の服飾店で、アルマは優輝翔に1着のワンピースを自分の前に当てながらそう尋ねた。色は黄色で、腰のところには可愛らしいリボンがつけられている。
「うん、可愛いよ//でももっとよく見たいから、1度試着室で着てごらん//ついでに他にアルマが可愛いと思う服も一緒にな//」
「はいっ//」
優輝翔の言葉にアルマは嬉しそうに頷いて服を選んでいく。ただ1度に持って入ると言っても限度はあるので、まずは5着ほど服を選んでアルマは試着室に入っていった。
「優輝翔さんっ//まずは1着目ですけど、どうですか?//」
「ああ、可愛い。ショートパンツだし、活発さもあっていいと思うぞ。」
「えへへっ//じゃあまた着替えますね//」
そう言って2着目、3着目、4着目と着替えていき、最後の5着目。アルマは先程のワンピースを身にまとって優輝翔に感想を尋ねた。
「優輝翔さん、どうですか?//」
「……すごく、可愛い//今すぐベッドに押し倒したいな//」
「っ///」
優輝翔がそう言いながら試着室に乗り込んでアルマの頬を撫でつつ軽く抱きしめると、アルマは一気に顔を紅く染めた。
「……夜まで、我慢してください//」
「……ああ、そうだな//」
優輝翔はそう言うとアルマから離れる。そしてまだ恥ずかしそうにしているアルマを見て笑みを浮かべながら尋ねた。
「それで、どうするんだ?5着とも買うか?」
「えっ?//えっと……もうちょっと、選んでもいいですか?//」
「ああ//今日は好きなだけ付き合ってやるよ//」
「はいっ//」
優輝翔の言葉にアルマは嬉しそうに返事して1度カーテンを閉じた。その後他の店もハシゴしながら、最終的に3時間以上かけて20着以上もの服を購入すると、それらを全部優輝翔の「ストレージ」にしまって、ふたりは休憩がてらカフェに訪れた。
「すみません。ガトーショコラとデラックスパンケーキ、紅茶のストレートとミルクをお願いします。」
「畏まりました。少々お待ちください。」
店員が注文を紙に書いて去っていくと、優輝翔はアルマの方を振り向いて会話し始める。
「さて、この後はどこに行こうか?」
「えっと、とりあえず色んなお店を見て回っても……」
「ああ、もちろん。今日は何でも好きなもん買ってやる。」
「はいっ//ありがとうございますっ//」
優輝翔の優しさにアルマは頬を染めて頷く。その後頼んだものが届くと二人は会話をやめて食べ始めた。
「う〜ん、美味しいです//」
「こっちも美味い。」
「ほんとですか?//いいなぁ〜//」
「食べてみるか?。」
「ふぇっ?//」
優輝翔がそう言ってアルマにフォークを差し出すと、アルマは驚いて固まった。そして徐々に顔を赤く染め上げると、恥ずかしそうに目を右往左往させながらもパクリと優輝翔に差し出されたガトーショコラを食べた。
「美味いか?」
「……コクン///」
アルマの反応に優輝翔が思わず笑い出す。それに対しアルマは頬をふくらませると、「ふんっ//」と言って顔を横に向けた。
「はははっ。ごめんごめん。なぁ、アルマ。俺も一口欲しいんだけど//」
「へっ?//あ、えっと……………あ、あーん…///」
「あーん//……うん、美味い//アルマの味もするな//」
「……もう…//優輝翔さんのエッチ…//」
アルマはそう言ってまた「ふんっ///」と顔を逸らす。しかしその顔はさっきよりもさらに赤く染まっており、優輝翔はもう照れ隠しにしか見えなかった。