異世界はスマートフォンとともに 改   作:Sayuki9284

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第6話です。
今話もどうぞよろしくお願いします。
まだ序盤なので3話以降あまり原作と相違はないですが、それでも読んでくださる方に感謝を……


第6話 ギルド

 

翌日、優輝翔は昨日会ったばかりの双子と一緒に朝からギルドへと向かった。

 

昨日、夕食後に3人で話し合った結果、一緒にギルドに行ってパーティーを組もうという話になったのだ。優輝翔としてもちょうどギルド登録をしようとしていたところだし、双子も双子で(特にエルゼが)昨日の出来事で懲りたのか、これからはギルドから依頼を受けて収入を得ようという話になり、それならばということで、そういう結論に辿り着いたのである。

 

優輝翔としても1人きりよりは何かと都合が良かったし、エルゼたちとしても優輝翔には強くて優しい頼れる人という印象がついていたので、お互いに何ら問題はなかった。

 

ギルドに着くと、3人は真っ直ぐに空いている受付へと向かった。

 

 

「すみません。ギルド登録をお願いしたいのですが……」

 

「はい。後ろの方も含め3人ですね。ギルド登録は初めてでしょうか?もしそうであれば簡単に説明の方を致しますが……」

 

「お願いします。」

 

「畏まりました。」

 

 

受付のお姉さんは軽く頭を下げると、ギルドについての説明を始めた。

 

以下、内容を簡単にまとめるとこんな感じだ。

 

1、ギルドは依頼者からの仕事を紹介してその仲介料を取る機関である。

 

2、仕事はその難易度によってランク分けされており、その難易度は下から順に、黒<紫<緑<青<赤<銀<金という順番になっている。

 

3、下位の者が上位ランクの仕事を受けることはできない。しかし、パーティーの過半数が上位ランクに達していれば、下位ランクの者がいても関係なく上位ランクの仕事を受けることができる。

 

4、依頼に失敗した場合、違約料が発生することがある。

 

5、さらに数回依頼に失敗し、悪質だと判断された場合は、ギルド登録を抹消される。この場合、もうどこの町のどこのギルドでも再登録は不可となる。

 

6、(その他)、5年間依頼をひとつも受けないと登録失効になる、複数の依頼は受けられない、討伐依頼は依頼書指定の地域以外で狩っても無効、基本、ギルドは冒険者同士の個人的な争いには不介入、ただし、ギルドに不利益をもたらすと判断された場合は別…etc

 

「以上で説明を終わります。他に何か不明な点などが出てきましたら、係のものにお尋ねください。」

 

「分かりました。」

 

「それではこちらに必要事項の記入をお願い致します。」

 

 

お姉さんはそう言って3枚の用紙と羽根ペンを優輝翔たちに差し出した。優輝翔はそれを受け取り案の定文字が読めないのを見ると、自分の横に来て今まさに用紙に文字を書き込もうとしているリンゼに話しかけた。

 

 

「リンゼ。リンゼたちは確か読み書きは普通に出来るんだよな?」

 

「えっ?あ、はい。できますけど……」

 

「なら俺のも頼めるか?実は読み書きをまだほとんど覚えてないんだ。」

 

「そうなんですか?分かりました。」

 

 

リンゼは優輝翔の頼みに快く頷くと、自分のと一緒に優輝翔のも書き上げた。

 

 

「出来ました。」

 

「ありがとな、リンゼ。」

 

「ふぁっ//ど、どういたしまして…//」

 

 

優輝翔がリンゼの頭にポンっと手を置いてお礼を言うと、リンゼは少し頬を染めて言葉を返した。優輝翔はそんなリンゼに軽く微笑むと、既に書き上げていたエルゼの用紙と一緒にお姉さんに渡した。

 

するとお姉さんは引き出しからピンと黒いカードを3枚ずつ出し、優輝翔たちにカードに血を染み込ませるように伝えた。

 

そして優輝翔たちがそれも終えると、お姉さんは最後にギルドカードについての説明(簡単に言うと、持ち主本人以外の人が持てば10秒ほどで灰色になる)を行って、ギルド登録の終了を優輝翔たちに伝えた。

 

 

「さあ!依頼を探しに行きましょうか!」

 

 

エルゼが元気よくそう言うと、他2人もそれに頷いて3人で依頼ボードの前に立った。

 

…………は、いいのだが……

 

「読めないんだよな……」

 

 

仕方ないので、優輝翔はリンゼに通訳してもらいながら3人で依頼を吟味し、最終的に1枚の依頼を選び出した。

 

内容は一角狼の討伐。数は5匹で、報酬は銅貨18枚だ。エルゼたち曰くこのメンツなら難しくない相手らしいので、その内容で1人6千円なら悪くない依頼だろう。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~〜〜〜〜〜〜〜

 

 

依頼申請を終えてギルドを出た3人は、優輝翔の武器調達のため町の武器屋に来ていた。

 

店の名前は『武器屋熊八』。その名の通り、店主も一目熊のような大男である。

 

 

「優輝翔はどんな武器がいいの?」

 

 

店の中を見て回りながら、エルゼがそう聞いてくる。

 

 

「そうだな…。(基本は素手で十分なんだが……)とりあえず、使いやすそうな剣を見てみてもいいか?」

 

「もちろんよ!ねっ?リンゼっ。」

 

「うんっ。優輝翔さんの場合はやっぱり力よりも速さが武器だと思うので、片手剣はどうですか?」

 

 

リンゼがそう言って片手剣のコーナーを指で指す。そして優輝翔がそこに行ってしばらく剣を見ていると、1本の剣に目が止まった。

 

いや、『刀』と言った方が正解なのだろう。

 

優輝翔はその刀をそっと両手で持って重さを確かめる。そしてその後はそっと刀を抜いて刃の形や質を見てから、ひとつ頷くとそれをまた鞘にしまった。

 

 

「あら、それ…。やっぱり故郷の剣が気になるの?優輝翔。」

 

 

優輝翔が刀を持って色々試しているのが気になったのか、エルゼが傍からそう優輝翔に聞いてきた。

 

 

「まぁな。とりあえずひとつはこれにするよ。」

 

「えっ?ひとつはって……いくつか買うんですか?」

 

「ああ、ちょっとな。」

 

 

優輝翔はリンゼの問いに軽くそう答えると、ナイフや小太刀などが売ってるエリアに行き、そこで数点物色してから店主のところに向かった。

 

 

「会計をお願いします。」

 

「はいよ。えーと……合計で金貨3枚と銀貨2枚ですね。」

 

「「えっ!?」」

 

あまりに金額が高かったせいか、優輝翔の後ろで待っていた双子が同時に声を上げて驚いた。

 

「金貨3枚って……」

 

「優輝翔さん……いったい何を買ったんですか…?」

 

「別に。ただ切れ味のいいナイフとを幾つかだけだ。」

 

 

優輝翔はそう言って金貨4枚で会計を済ませ、買ったナイフを自分の服の至る所に仕込んでいった。

 

 

「よし、じゃあ行くか。」

 

「優輝翔……あんたそれじゃまるで……」

 

「暗殺者……」

 

 

双子がそう言いながら固まっているが、優輝翔はそれに対して軽く口角を上げるだけで特に返答はせず、次の店へと歩き始めた。

 

そしてその後、必要なものを全て買い終えた優輝翔たちは3人揃って依頼の指定場所である東の森へと歩き始めたのだった……

 

 


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