異世界はスマートフォンとともに 改   作:Sayuki9284

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今話もよろしくお願いします。
今少し元々書きだめしてあったストーリーに手を加えていて、その関係でもしかしたら今まで出した話もいじるかも知れませんが、ストーリーの流れにほとんど影響、変化はないので安心してください。


第7話 初戦闘

 

リフレットを出て約2時間。優輝翔たちは無事に東の森まで辿り着いていた。

 

森の中に入ってしばらく経った頃、優輝翔は突如前方から2つの気配がものすごい勢いでこちらに向かって来るのを感じ取った。優輝翔は自分の後ろをついてきていた双子を手で合図して静止させると、そっと腰を落として剣に手を添える…。

 

 

ザシュッ!ザシュッ!

 

 

直後、前方から2匹の灰色の狼が連続して飛び出してきた。額に立派な角も生えていることから、この生き物が一角狼で間違いないのだろう。

 

尚、優輝翔がこのことを認識するのにかかった時間は僅か0.2秒。そして狼が飛び出してきてから0.5秒と経たないうちに、優輝翔はうち1匹に向かって素早くナイフを投げつけていた。

 

 

「わふっ!」

 

 

優輝翔の投げたナイフが見事片目に突き刺さり、刺された狼は失速した。そしてその隙に優輝翔はもう片方の狼の首を刀で飛ばし、続いて残ったもう一匹の狼の命の灯火も消し去った。

 

ここまでにかかった時間、僅か1.8秒。

 

 

「うわぁぁ…//」

 

「す、すごい……」

 

 

双子は優輝翔の戦いぶりに思わずとも驚きの声を漏らしていた。

別に打合せしていたわけではない。ただ、自分たちもと思った時には既に戦いが終わっていただけだった……

 

そんな呆然とした様子の双子に、優輝翔はそっと両の手の平を差し出す。

 

 

「次がもう来る。今度は任せたぜ。」

 

「「!!」」

 

「……ええ、任せておいて。」

 

「スー…ハー…スー…ハー……行きます。」

 

 

双子はそう言うとそれぞれ優輝翔の手に自分の手を軽く合わせてから臨戦態勢に入った。そして3匹の狼が飛び出してきた瞬間、リンゼが炎の魔法で瀕死に追い込み、エルゼが強烈なパンチを繰り出して戦いを終えた。

 

流石双子と言うべきだろう。実に息の合ったコンビネーションプレーであった。

 

 

「ふぅ。案外簡単だったわね。」

 

 

エルゼがそう言いながら汗を拭う仕草を見せる。別にそこまで汗はかいてないだろうから、単にそうしたい気分なのだろう。

 

 

「よし、じゃあさっそく角を切り取るか。」

 

 

優輝翔はそう言って倒した狼の角を採取していく。

このような討伐依頼の場合には倒した証拠として必ず討伐部位というものが必要になるそうで、その討伐部位というのは魔物ごとにほぼ決まっているらしいのだ。それが今回の一角狼で言うと、角に当たるのである。

 

ちなみに魔物の討伐部位以外の箇所も持って帰れば売ることは出来るそうなのだが、まぁそれは馬車で移動している人や空間系の魔法を使える人の特権だそうだ。

 

角の採取を終えると優輝翔たちはまた2時間掛けてリフレットの町へと戻った。そしてギルドに行って依頼完了の報告をする。

 

 

「はい。一角狼の角5本、確かに受け取りました。ではギルドカードの提出をお願いします。」

 

 

受付のお姉さんの言葉に優輝翔たちがカードを差し出すと、お姉さんは引き出しからハンコのようなものをひとつ取り出してカードに押し付けた。

するとそこから小さな魔法陣(?)のようなものが広がり、またすぐに消える。

 

 

「今のは?」

 

「これはカードにあなた方の実績を記録する魔道具です。こうして実績を積み重ねていけば、ランクアップの基準を満たした時には自然とカードの色が変わる仕組みです。」

 

 

お姉さんは優輝翔の疑問に丁寧に答えると、優輝翔たちにカードを返して小さな小袋を渡してきた。

 

 

「こちらが報酬の銅貨18枚になっております。ご確認ください。」

 

 

お姉さんに言われ優輝翔は枚数を確認すると、エルゼとリンゼに6枚ずつ分けた。

 

 

「ではこれにて依頼完了になります。お疲れ様でした。」

 

 

お姉さんの言葉に、優輝翔たちは軽く頭を下げてからギルドを出る。

するとエルゼがポンっと手を叩いて優輝翔とリンゼにある提案をした。

 

 

「ねぇ、折角だし、どこかで初依頼成功のお祝いでもしない?私、お腹すいちゃった。」

 

「そう言えば、もうお昼すぎてるもんね。」

 

「でしょ?リンゼもお腹すいてるみたいだし、優輝翔はどう?」

 

「ああ、俺もちょうど腹が減ってたんだ。どこか食べに行こうか。」

 

「やった!」

 

 

エルゼはそう言って可愛らしく胸の前で両の拳を握って喜ぶと、リンゼと一緒に飲食店を物色し始めた。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~〜〜〜〜〜〜〜

 

 

その後、優輝翔たちはエルゼが選んだ『パレント』という喫茶店に入った。ちなみに選考理由は、「私の空腹センサーが反応したから」らしい。

 

注文を終えると、優輝翔は双子に昨日から考えていた頼みを伝える。

 

 

「2人とも、ちょっといいか?」

 

「ええ、いいわよ。」

 

「何でしょうか?」

 

「実は2人に2つほど頼みがあるんだが……」

 

 

優輝翔がそう言うと、2人は1度顔を見合わせてから笑顔で頷いた。

 

 

「ありがとう。実は俺に文字の読み書き、そして魔法を教えて欲しいんだ。」

 

「「えっ!?」」

 

 

優輝翔の言葉に2人は同時に声を上げて驚いた。その反応に優輝翔は少し首をかしげながら2人に尋ねる。

 

 

「どうした?何か変な事言ったか?」

 

「い、いえ、そうではないんですが……」

 

「魔法を教えてほしいって……適性はあるの?」

 

「適性?」

 

 

エルゼの疑問に、優輝翔も適性が何かわからずに疑問で返す。するとリンゼが適性について簡単に説明し始めた。

 

 

「適性とは、その人がどのタイプの魔法が使えるか、というもので、生まれ持った適性によっては、魔法を発動できない人も少なくありません。」

 

「なるほど。すべては適性次第か…。(そんな話は聞いてないぞ、神様。)」

 

 

優輝翔は内心で少しだけ愚痴ると、双子に適性の調べ方を尋ねる。

 

 

「それならここに……」

 

 

リンゼはそう言って自身の持っていたポーチを開くと、中から綺麗な色をした小石を幾つか取り出した。そしてそれを綺麗に並べると、1番左を指さして説明し始める。

 

 

「左から順番に水、火、土、風、光、闇、無の魔石、です。これを手に持って、水なら『水よ来たれ』。火なら『火よ来たれ』。と唱えれば、魔石の反応の有無で、適性は確認できます。」

 

「なるほどな。ちなみにその反応は?」

 

「水なら水が出て、火ならそのまま火が魔石から出てきますよ。」

 

「ならここではできないか…。じゃあリンゼ、悪いけどあとで一緒に適性の確認をしてもらってもいいか?」

 

「はいっ。もちろんです。」

 

 

リンゼはそう言って心地よく頷いてくれたところで、全員分の料理がテーブルに運ばれてきた。

 

 

「じゃあ乾杯!」

 

「「乾杯!!」」

 

 

エルゼの音頭に、優輝翔とリンゼが続く。そして3人は美味しい食事に舌づつみを打ちながら、一旦先程とは全く関係のない、たわいもない話を始めるのだった。

 

 

 




今話もありがとうございました。
短くて進むのも遅いですがどうか気長にお願いします。隙間時間にさっと読めると思うのも利点だとは思うので。

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