異世界はスマートフォンとともに 改 作:Sayuki9284
あと昨日から今月末にかけて最後の後書きのところにアンケートも出しているので、宜しければご協力ください。
『パレント』での初依頼達成祝賀会を終えた後、エルゼは1人単独で依頼を受けに、そして優輝翔はリンゼに魔法を教えてもらうため、リンゼとともに『銀月』へと戻っていった。
「ミカさん。ちょっといいですか?」
「あ、優輝翔くんっ。いいよ、どうしたの?」
優輝翔がカウンターから声をかけると、ミカさんがすぐに厨房から顔を出す。
「実はリンゼに魔法を教えてもらうことになったので、裏庭の方を使わせてほしいのですが……」
「えっ、優輝翔くんって魔法も使えたんだ?」
「ええ、まぁ。それを確かめるためでもあるんですけどね。いいですか?」
「うん、もちろん。今は他にお客さんもいないんだし、自由に使って。」
「ありがとうございます。」
優輝翔はお礼を言うと、笑顔で手を振るミカさんに見送られながらリンゼと中庭に向かった。
そして中庭にあった木製の椅子にテーブルを挟んで座ると、さっそくリンゼから魔法についての講義を受け始めた。
「えっと、ではまずは基本的なところから……魔法には、『属性』というものが全部で7つ存在しています。えっと……内訳は、さっきお話しした通り、です。」
「確か水、火、土、風、光、闇、そして無だったな。」
「はい。そしてその中で私は水、火、光の3つの属性を使うことが出来るんですが、先に言っておくと、これは珍しい方なんですよ。」
「大抵は1つか2つ、もしくは適性なしなのか?」
「はい。例えばお姉ちゃんなら、無属性の1つしか適性がありません。」
「なるほど。他には何かあるか?」
「はい。次は属性の相性なのですが、例えば私の場合、火属性が1番得意なんですけど、光属性はあまり使えません。」
「苦手ということか…。そこんところもあの石ころで確認はできるのか?」
「はい。もちろんです。」
リンゼは優輝翔の問いにそう答えると、再びポーチから7つの小石を取りだして、その中から水の魔石を指で挟んで持った。
「水よ来たれ」
リンゼがそう唱えると、リンゼの持つ水の魔石から少量の水が零れれる。
「これは……少ないのか?」
「いえ、これが一般的だそうですよ。そしてこの場合、水の量や澄み具合で、魔法を発動した人の魔力量と質が分かるようになっています。」
「なるほどな。」
優輝翔は納得してリンゼから残りの説明を聞いた。
以下、簡単に要約すると、
『
1、光は別名を神聖魔法と言い、治癒魔法もここに含まれる。
2、闇は主に召喚魔法(契約した魔獣や魔物を使役する魔法)のことを指す。
3、無は特殊な魔法で、滅多に同じ魔法を使える人がいないことから、別名を個人魔法という。
ex)「ゲート」「ブースト」…etc
』
という事だ。
「さて、では優輝翔さんの適性を調べてみましょう。」
「よし、分かった。」
優輝翔はそう言って立ち上がると、まずは水の魔石から試す。
「水よ来たれ」
プシャーっ!!
「っ!」
「きゃっ!」
優輝翔が魔法を唱えた瞬間、先程のリンゼの時とは比較するのが烏滸がましい程の大量の水が魔石から溢れ出してきた。
流石の優輝翔もこのままでは服がびしょ濡れになってしまうため、慌てて魔石をテーブルに投げ捨てる。その時点でも既に靴は中までびしょびしょで、地面にはいくつか水溜まりが出来ていた。
「……リンゼ、今のはかなりの魔力量と見ていいのか?」
「あ、はい…。それに、それだけじゃなくて…、魔力の質も、すごい、です。ほんとに、ありえないくらい、澄んでて……」
リンゼは余程衝撃的だったのか、途切れ途切れになりながら言葉を紡ぐ。
優輝翔も最初は驚いたものの、すぐにこれについて分析し始めた。
結果、
(まぁ、神様に能力値を底上げしてもらったお陰だろうな。)
と結論を出した。そしてまだ余韻が残ってるのかぼーっとしているリンゼを置いて、次々と適性を確認していく。
「火よ来たれ」
ボワァァ!!
結果、魔石から猛烈に燃え盛る青白い色の炎が生まれた。
「土よ来たれ」
ザァーっ!!
結果、ものすごく綺麗な砂浜の土のようなものが土砂崩れのように流れ出た。
「風よ来たれ」
ビュゥゥっ!!
結果、綺麗で透き通った黄緑色の風が暴風みたいに吹き出た。
「光よ来たれ」
ピカァァっ!!
結果、太陽のように眩しく神々しい光が溢れ出た。
「闇よ来たれ」
モワァ……
結果、恐ろしく禍々しい闇が周囲一帯に広がった。
「無よ来たれ」
……………………シーン。
結果、反応なし。
「なるほど。俺は無属性以外の6属性というわけか。」
「………………えっ!あ、ち、違うんです!優輝翔さん!」
優輝翔が納得していると、先程まで優輝翔の行動を見ながら呆然と突っ立っていたリンゼが、突如そう声を上げながら首と手を横に振った。
「違うって……何がだ?」
「えっと、無属性魔法は特殊、なんです。だから、何か実在の魔法を唱えてみて、それが発動するかどうか、もしくは少しでも魔石に反応があるかどうかで、適性を調べるんです。」
「そうなのか。なら……」
リンゼの説明に優輝翔はもう一度無属性の魔石を持って立ち上がると、先程少し便利だと感じた魔法を唱える。
「ゲート」
…………結果、魔法はちゃんと発動した。
「………………「ブースト」。」
…………結果、こちらもちゃんと発動した。
「「…………………………」」
「全部だな……」
「そう、ですね……」
優輝翔の呟いた言葉に、リンゼがポツリと言葉を返す。そのあまりの衝撃に2人は動き出すことが出来ず、しばらくの間その場に立ち尽くしていたのだった……