顔なし傭兵の冒険譚   作:コジマ白狼天狗

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第二話一章「そこからしか、たどり着けない街」

────灰色の空。

これは私(ぼく)の知っている空。黒く、死に至る空。だが、かつては蒼く、生に溢れた空だった事を私は覚えて(記憶して)いる────

 

 

「い…お…い……おい!」

いきなりの大声に意識が覚醒する。

同時に、かなりの眩しさを感じ見渡す。

辺りは太陽を激しく反射する砂漠と、コンクリートの残骸。

右を向くと、さっきの声は隣を歩いていた若々しい20代程の男性と気づいた。

今回のクライアント(依頼元)、合衆国に属する特殊部隊の一人で分隊長の────

「(Mr.Nathan)ネイサンさん?」

 

ネイサン「あぁ…どうした?いきなりぼーっと立って」

 

「失礼しました、少し考え事をしていて…」

僕は何かを考えていた…? 何を…?

 

ネイサン「考えるのは良いがぼーっとは立たないでくれ。トリップしてるかと思っちまうぞ? 」

 

そこに、バンダナを巻いたスキンヘッドで大きな髭を生やした体格のいい男性も合流してきた。

ネイサン「ドミ! 遅れたな」

たしか、彼の名前はドミトリ。いつもはドミと周りに呼ばれている。ネイサンの幼馴染で同時に軍学校に入ったらしい。腕っ節は強いが少々言葉のふざけが過ぎているように見える、その髭に似合わず20代後半の男性だ。

 

ドミ「すまねぇ。少しクソひり出してたら遅れた。つか流石にクルートはクスリとかやらねぇだろ。キマってはいるけどよ」

 

ネイサン「だろうな!」

ハハハ!

二人が笑っている中で思い出した。私、いや僕の名前。今はクルートと名乗っている事に──

クルート「相変わらず元気ですね。お二人

共」

 

ネイサン「こんな砂まみれでガサガサな中東に久々に来たんだ。このくらいのテンションで行かないと湿気る。」

 

ドミ「実際の湿度はカピカピだけどな!」

 

相変わらずアメリカ映画のノリだ。

とりあえず僕の名前とある程度の記憶は戻ったが、肝心な事が抜けている。

クルート「ふふふ……所で、今回の任務をおさらいしたいのですが…良いでしょうか?」

 

ドミ「あー、ぼーっと突っ立てったし。なんかど忘れしてたら危ないから再確認するか。誰もいないし歩きながらだが。な、ネイサン。」

 

ネイサン「ああ、では任務概要の再確認だ。十数日前、うちの国からある研究している物質の研究資料のコピーと試作品を盗まれた。」

 

ドミ「何でも無尽蔵のエネルギーを生み出す事が出来るとか何とかな」

 

ネイサン「まぁ無尽蔵のエネルギーは試作品では出せないとの事で破壊すれば何とかなるが、研究資料のコピーはかなりまずい。」

ネイサン「この資料の詳細は更に極秘らしく開示されなかったが、バリエーションや応用が書かれているらしい……そしてこの物質、製造時と破壊時に大規模な生命体への汚染が発生する。つまり、この汚染を利用すれば化学兵器にもなる上に作った物質を動力源に強力な兵器も使える。」

ドミ「……もはやSFの世界だよな」

クルート「もう僕の居る警備会社とか民間用強化外骨格の人工筋肉やHMDが数年前のSF世界ですけとね」

 

ネイサン「……話を戻す。盗まれたモノはこの中東諸国のどこかにあるらしい。俺らの目的は情報収集のため、この砂漠から廃棄された都市区画にある、同盟を結んでる国の秘密基地にたどり着くことだな。」

クルート「そうでしたそうでした!いやーすっかり忘れてました」

ネイサン「大丈夫か?何でもスローリーに任務を押し付けられて、過労死するんじゃないか?」

 

クルート「大丈夫です!社長のスローリーさんも疲れてますし!そもそもこれくらい別の任務よりかは……」

僕は苦笑いする。

 

ネイサン「まったく…こんなこと言いたくないが、クルートも含め、お前の母国、体壊すくらい仕事をするな。」

クルート「僕はまぁ、例外といいますか…特殊警備系の会社ですし……」

 

ドミ「いや、法律的には警備だがこれはどう見ても前線で動くタイプのPMCs(民間軍事会社)だろ……。そういや話は変わるけどよ、なんで俺らもクルートも昨日から歩きなんだ?機密保持だからって流石に疲れてくるぞ。」

クルート「強化外骨格とかなかったら無理でしたねー」

 

ネイサン「世間話はそこまでにしないとな。着いたぞ。」

 

前を向く。そこにあったものは

所々崩落し砂まみれになった大小様々な建造物と、兵器や車両が多数朽ちている大きな道路だった。

 

ドミ「おぉーでっけぇ都市跡だな…」

ネイサン「ああ。今じゃ地図から消えたが、ここはリゾート地やビジネス街が一つになったダウンタウン(都心)だったらしい。さぞ繁栄していたんだろう。」

 

僕たち3人は道沿いの公園だったであろう場所で立ち止まる。

 

ネイサン「さて、ここからが面倒なんだ。この広い都市から地下にある隠し通路のどれかを発見しないといけない。まずは周りで手がかり探しだ。」

 

クルート「あ、ここに看板がありますね。」

 

巨大な地図看板がある。珍しく液晶画面ではなく、塗料で描かれた多言語の看板だ。看板の設置年数表記からこの都市が滅んで数十年は過ぎている事と、当然ながら現在の砂と朽ちた機械にまみれた廃都市とは地形が三分の二程違うことが解った。

 

ドミ「まぁ、そうだわな。」

クルート「ですよねーハハハ……あ。」

ネイサン「どうした?」

ドミトリとネイサンが首をかしげる。

 

クルート「そういえばネイサンさんの地図は?」

ドミ「そうだよネイサン。お前暗号と地図持ってただろ?」

ネイサン「いや、あれ実はこの都市跡までの道しか書いてなくてな…」

ドミ「えぇ…ちょっと見せてくれ。」

 

ネイサンが取り出した地図端末と紙のような機械端末をドミが読み始める。横から僕も見始めることにした。

だがこれは他の人に見せても大丈夫なものなのだろうか?

見ているとふと、僕はとあることに気がついた。

 

ドミ「なぁ、これ暗号と地図2つずつあるぞ。」

ネイサン「どういう事だ?」

クルート「暗号が二種類の読みありますね。あと地図、これぇ…ここの看板の前に重ねて見ると別の地図が出てきますね。」

ネイサン「まじかよ…そんな古典的なのを忘れてたのか俺……」

ドミ「お前も暑さでトリップしかけてるんだろうな!」

 

ドミトリは笑いながら肩を叩いた。笑ってネタにしたのは彼なりの優しさなんだろう。

 

ドミ「よし、じゃあネイサン。新しい目標地点はどこだ?」

ネイサン「ああ、一番近いショッピングモールに向う。そこの建物は構造的に堅牢らしくてな、そこからなら簡単に入れるだろう。」

ドミ&クルート「了解!」

 

こうして僕達は近くの商業地区に向う事にした。昔は華やかであっただろう都市の残骸が並ぶ通りを歩きながら。途中、ドミトリは言った。「一つ気になる事がある」と。

 

ドミ「なぁクルート、はじめて一緒に任務をした時から気になったんだが、」

 

クルート「なんです?」

 

ドミ「あー、別に外見についてどうこう言う事ではなく単純な疑問で他愛ない話なんだがな。なんでクルートは任務外やこんなところでも青いヘルメットとSFなスーツを着ているんだ?」

 

はっきり言って僕の外見は浮く。

特撮ヒーローのような体のラインが見える青いスーツに、体の各部にあるグレーのアーマー極めつけは青いフルフェイスヘルメット、バイザー部分が黒いディスプレイになっていて、僕の表情と連動して顔文字が表示される。

 

クルート「あー、それはですね。ただ生まれつき体が外気に弱くて…生まれも特殊なもんでして…」

 

ドミ「あっ…すまん…」

クルート「いえいえ、調子がいい時は脱げますし。それにヘルメットとスーツの性能が良いので基本着ているだけなのもありますね。」

ネイサン「だからあだ名が青ヘルなのか…てっきり過去に何か活動家でもしてたのかと…」

クルート「無いですねぇ! 僕20代入ったばっかりですし!」

ドミ「お前はそういう天然な所あるよなぁハハハ」

身の上話等をして少しは疲労が軽くなるように感じた。戦闘もないし少しは安心できる。

ネイサン「さて、ここがショッピング…モー……ル…………」

 

開けた場所。そこに存在してる建造物はまさしくショッピングモールと呼ばれる物に近かったが、異様だった。

風化や放棄された車や建物の崩落だけではなく、建物の内部も、周辺も、大小様々な植物のようなものに覆われている。

そして、唯一正面の入口だけ不気味にぽっかりと覆われていなかった。

 

ドミ「嘘だろ…?いくらなんでもデカすぎだぞ!?放射能汚染か?!」

クルート「これは…既存の種の変異体…ガイガーカウンターに反応はない…とすると薬品か何か…?」

ドミ「おい、これ別のルートで行ったほうがいいんじゃねぇか?!」

クルート「……いえ、ここ以外の侵入口は全部崩落してるか、もしくは道がありませんでした…さらに地下へ行ける建物はおそらくここが一番堅牢です…。」

ネイサン「ああ……」

 

僕は考えていた。 別の侵入口や建物がある可能性を。だがどう考えても他の場所は遠いか、もしくは崩落している可能性が高い。それに、僕達には時間がない。いつ敵が奪ったものを無差別に兵器として使うか不明だ。ネイサンもそう考えているらしく、渋い顔をしている。あと、ドミトリは何故か少し顔が青ざめている

 

ドミ「あ゛ー……俺達には残されたルートはここしかないか……」

ネイサン「それに時間もない。とりあえず現在の装備を再確認する。」

ネイサン「まず、三人共通の武装を確認。クルート」

クルート「はい。KH&K832アサルトライフルに装填済み30発マガジンフル、予備に30発マガジンを4本。ナイフ、シャベル各1、

あとは戦闘服にプレートキャリアと人工筋肉の強化外骨格、以上。僕以外の2名はNVG(ナイトビジョンゴーグル)とグラス式HMDです。戦術リンク端末等は装備済みですが機密の為オフライン」

ネイサン「よし、さらに言うとサイドアームはKH&K90だ。でもアサルトライフルのサイトも銃も見ればわかるか…で、指揮官の俺は通信端末と医療キット一式、ドミは?」

ドミ「俺の装備はそれにハネルMGL37mm仕様、6連リボルバーのスマートグレネードランチャー。サイトは電子式とバックアップアイアンサイト、弾はHE弾3、煙幕弾2、照明弾1、火炎2、マーカー弾2、HEDP弾3だ。あとはアサルトライフルを分隊支援火器仕様にしてるんだっけか。改めて見ると重装備どころじゃねぇな。」

クルート「外骨格あるとしてもよく持てますね…… あ、僕の装備は標準に加えてワンタッチのサイレンサーとプラスチック爆弾、あとは工作用の工具一式。ドミさん以外はフラッシュバンとスモークグレネード、通常のグレネードを各2個でしたっけ? あと言い忘れてましたが昨日のでレーション切れました。」

 

ネイサン「あぁ、確認した。レーションの事は昨日言ったぞ。」

ドミ「よ、よぉし、確認できたならすぐ行こう!すぐ! 」

クルート「どうしたんですか…? さっきから青い顔して…」

ネイサン「あぁ…そういえばドミはああいうモンスターとかニョロニョロしたやつ嫌いだったな。」

クルート「あー…なら仕方ない…」

ドミ「と、とっとと行くなら行こう! 」

 

ネイサン「よし、全員、突入するぞ。」

クルート「正面からですよね。」

ネイサン「ああ。誰かが切り開いて通った跡があるだろ?」

ドミ「えっ、いやアレどう見ても口にしか」

ネイサン「あそこしかないだろう入口。ほかは崩落したり、硬い植物で覆われたりして横から入れそうもない。よし俺が先頭、最後尾はクルートで行くぞ。」

 

こうして、僕たちは誰かが通ったであろう正面から突入する事になった。

 

クルート「うわっあ…数値にも出てますが湿ってますね…でも空気はそこそこ綺麗で涼しいですね。」

ドミ「口かな?」(震えている声で)

 

内部は動くツタや大小様々な奇妙な植物が生い茂るジャングルと化していた。その中をかき分けたのか、植物に切られたあとや押しのけた跡が多数あった。

 

ネイサン「とにかく、全員周囲を警戒しつつ従業員通路を探す。いいか?」

クルート「…この植物、おそらく雑草じゃなく商品か観葉植物が元でしょうし、従業員通路からなら楽に行けそうですね…賛成です。」

ドミ「もうそれしかないんだろう?」

 

そうして、僕たちは動く植物の住処を歩いて行く。道中、ドミトリは小刻みに震えていた。幸いこちらに危害を与えてくる植物は居ないようだ。ここまでは。

 

クルート「殆どの場所が埋まってて、探して進んでたら中央広場的な場所に付いちゃいましたね…」

ドミ「ふぅ…ここはあの植物が居ないから通路が見つかるかもな。」

クルート「あっ復活した」

ネイサン「じゃあ、ここ周辺を重点的に探索し、従業員通路を発見してそこから地下駐車場に向かう。そしたら軍の隠し施設の入口前通路に着くはずだ。」

クルート&ドミ「了解」

 

探している最中、僕は気づいた。

クルート「あれ、やっぱり中央広場周辺の植物だけ切られてる訳じゃなく、焼け焦げた跡とかありますね。」

ネイサン「まあ、大方基地の人員が通る時に植物を焼いたんだろう。遺体等は見つからないから多分ここを生きて抜け」

ドミ「なぁ……それっ…て植物を刺激してるし、人員は食われたとかじゃねぇのか…?」

 

ドミトリがそう言った瞬間待ってましたと言わんばかりに轟音をあげ、地面から大きなハエトリグサのような葉と、植物の"ツル"が出てきた。

 

ドミ「何だこいつ?! 」

クルート「6m以上ありますね! どうします?! 」

 

ハエトリグサのような巨大植物は、ツルをしならせ、こちらに振り下ろしてくる。間一髪で全員避けられた。ふと振り下ろした先の地面を見たが、建物の基礎や地面どころか地下のケーブル等が見えていた。

 

ネイサン「避けつつ戦闘開始! クルート、確認するぞ! 有効な攻撃は?! 」

クルート「周囲の焼け跡から対象は火炎等の攻撃に弱いはずです! ドミさんの火炎弾が有効です! 」

ネイサン「OK! ドミ! 相手の口と根本に一発ずつロック! 」

ドミ「おう!」

 

そう言うと、ドミはグレネードランチャーのシリンダーからHE弾2発と火炎弾2発を交換し、すぐに電子式照準器を覗き込み相手の口と根本にスマートグレネードの目標設定する。ドミが引き金を引くと、スマートグレネードの名の通り火炎弾は吸い込まれるように設定した巨大植物の口と根本に命中した。

 

ネイサン「やったか?! 」

クルート「あっそれフラグ」

 

ネイサンが余計な一言を言った所為か、ただ生命力が強かったのか、全体の三分の二を失って瀕死ではあるが巨大植物はまだ生きていた。最後の灯火とでも言うのか、瀕死であるはずなのに激しく暴れ始めた

 

ネイサン「だから弾40mmにしろと! 」

ドミ「クソッ!暴れててロック出来ねぇ!どうするよ!? 」

ネイサン「とりあえずライフルで撃て!敵をひるませつつ、全員入口側に戻れ!」

クルート「この小銃のストッピングパワーなんてたかが知れていますよ?! 」

 

喋りながらも僕たちは巨大植物へ射撃をする。確実な打開策など無いが、今は撃つしかない。

瞬間、ドアか何かが蹴破られる音がした。中から出てきたものは────

「活性化_巨大植物_と_所属不明_人型実態_を発見しました。」

ドミ「今度は何だ?!」

ネイサン「小型の無人巡回機か?助かった!」

 

出てきたものは無人巡回機と呼ばれる、ゆで玉子のような体に無限軌道の足を備えたいわゆる「軍用警備ロボット」達だった。だが何かおかしい。外見と音声の劣化が激しすぎる…まさか。

 

「不明な_兵士_所属照合中…」「照合完了_合衆国_詳細不明_二_名」「約_一_名_照合_不能」「照合_結果_三名_敵対勢力」

「「「殲滅セヨ」」」

ネイサン「あ゛ッ?! 嘘だろ?!」

 

警備ロボットは自分たちを照合する事を全員同時に発した。照合結果は僕たちを敵と認識した。何となく分かってはいたが、おおよそ都市が滅んだ原因、ある敵対勢力が放った野良警備ロボットだったのだろう。

 

クルート「知ってた。」

予想は出来たが、体が動かなかった。運悪く、ちょうど巨大植物と警備ロボットの間に入っている状態になっていた。

 

ネイサン「おいクルート! 何やってるんだ!」

警備ロボットから銃のようなものが出てくる。それが光り、同時に巨大植物もツルを振り上げる。

瞬間、轟音と光と共に煙が上がる。

ドミ「ああ……何やってんだクルート!!」

クルート「生きてます!成功しました!!」

僕は間一髪で避けられ、ちょうど警備ロボットと巨大植物の攻撃が双方に当たっていた。これで目標がそれると良いのだが…

ネイサン「自分をおとりにしてタゲを変更…そういう事か! で、敵は?!」

 

一瞬の静寂──────

最初に動いたのは

「2-8ダウン(大破)_敵対勢力_優先度_更新」「敵_巨大植物_攻撃_開始」

ドミ「よしっ!ターゲット変わってるぞ!」

ネイサン「今のうちにあそこの通路に行くぞ!」

ネイサンが指を指したのは警備ロボットが出てきた通路だった。

ドミ「それ大丈夫なのか?!」

クルート「通路は今の所あそこくらいしか見つかってません!」

ネイサン「イチかバチかだ!行くぞ!」

僕たちは走り、急いで通路に向かった。

通路に入り、目的地まで進みながら中を確認したが、近くの警備ロボットはあそこにいた奴らだけなのだろう。通路の中はもぬけの殻だった。

 

ドミ「ゲェッホ! ホコリまみれだなここ…だけと運良くここが従業員通路だったみたいだな。」

ネイサン「床に真新しい数名の足跡と…こっちはさっきの無人巡回機(警備ロボット)のキャタピラ跡があるな…。 もう中には居ないだろうが、この調子だと地下の通路で無人巡回機とかち合う可能性がある……」

クルート「とりあえず無人巡回機レベルならライフルで対応できますが、敵の数やあの植物を見るに基地、残っているんでしょうか…?」

ネイサン「ああ、少し不安になって来た…」

 

少し、いや、かなりの不安を持ちながらも歩き続け、数分後僕たちは従業員通路から地下駐車場についた。ここからはもっと楽に一本道のはずだが…

 

ネイサン「地下駐車場に着いたな。言わなくてもわかるだろうが、ここは開けている場所だ。全員、警戒しつつ左斜め前の倉庫関係者用に偽装した通路に向かう。」

クルート「偽装ですか…すごいですね…」

ドミ「シッ、何かのモーター音。来るぞ。」

 

その場にいる僕含め三人が一斉に呼吸も動作も抑え、周りに神経を集中させる。

モーター音と共に何かの音楽も流れているのがわかるほど接近してきた。どんどん音は大きく、鮮明に聴こえる。

位置はちょうど壁に挟まれて右斜め前。

壁からその物体が出てくる。

それは────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ぽぽぽぽぽー→ぽぽー↓ぽぽー↑♪ ぽぽぽぽぽー→ ♪ぽぽぽぽぽー↓♪

只今、清掃中です。ご迷惑をおかけします。

 

モーター音の正体は僕の故郷でにあるスーパーでよく耳にする曲?を鳴らして掃除をする四角く、高さ150cmほどのお掃除ロボットだった。

全員、緊張の糸が解けてしまったらしく、ネイサンは吹き出し、ドミトリは大笑いして咳き込んでいる。

 

ドミ「なんだよ掃除ロボットかよ!」

ネイサン「と、とりあえず行くぞ(お掃除ロボット…ブフォッ…)」

クルート「いやこんなところにお掃除ロボっておかし」

ドゴォ!

その時、突然轟音をたて反対方向、左斜め前の壁が崩れた。

崩れた壁の向こうにいたモノは、

瓦礫やなにかの鉄骨で出来たアーマーを着た上半身だけの人型のロボットだった。

そのようなものが居るだけでも異常だが、大きさも異常だった。

 

ドミ「…………ハゥあ?!」

ネイサン「…………?!あれ何メートルだ?!どこのホラー映画だ?!」

 

ふと、思った。人間余りに唐突な事が起きると一つ前の動作からピタッと止まるんだな…と。

クルート「とりあえず通路に逃げましょう!流石にそこまで追ってこないはず!

ドミ「お、おう!」

僕たちは基地につながる扉を壊す勢いで開け、通路に飛び込むように入った。同時に僕が扉を閉め、厳重にロックする

クルート「っ扉閉めました!」

ドミ「でかした!」

ネイサン「よし、じゃあすぐ基地に向かうぞ!とっとと今までの異常事態とさっきの大型機の事も合わせて報告しないとな。行こう!」

 

駆け足で歩きだしたその時、ミシミシと音を鳴らしていた鉄製の扉が弾けるような音がした。

 

ドミ「クルート!ネイサン!走れ!」

クルート「ネイサンさん!後ろの人形ロボから小さい警備ロボットが!」

ネイサン「クソっ!キャリアー(輸送機)だったか!」

 

扉が壊れ、大型の人型ロボが頭を通路に入れた瞬間頭が上下に開き、中からさっきと同じような軍用警備ロボットが十数体出てきて、僕たちにすごい勢いで近づく。

 

ネイサン「走れ!とにかく基地前に付けば味方がいる!」

クルート「いなかったらどうするんです?!」

ネイサン「居なくても遮蔽物はある!ドミ!」

 

ネイサンはドミにグレネードランチャーを使うように命令しようとする。

 

ドミ「あいよ!もう煙幕弾装填済み!安全距離解除!ノーロックで撃つぞ!いいか!」

 

ドミトリは命令する前に引き金を引く手前で待機していた。

 

ネイサン「俺が撃って最前列を止める!そしたら撃ってくれ!行くぞ!3.2.1」

 

ゼロと同時にネイサンは走りながら銃を構え引き金を引いた。

見事に弾丸は警備ロボット達の最前列の3体の無限軌道を撃ち抜き、最前列の警備ロボットを停止させた。

最前列が停止した余波で手前から順に警備ロボットの一瞬動きが止まる。

瞬間、ドミトリはグレネードランチャーで煙幕を張る

 

ネイサンとドミトリ「「よし!」」

 

二人の阿吽の呼吸とも言えるコンビネーションには僕も尊敬の念と共に憧れを抱く

そんな中、最前列を走っている僕には通路の出口が見えてきた。

 

クルート「ナイスですお二人共!あと出口が見えてきました!」

 

僕たちはさらに全速力で走り、いつの間にか全員横並びになった状態で通路から出た。

出た瞬間、ドミトリは息を切らしながら素早く扉の裏に行き

 

ドミ「よし、扉閉めるぞ!」

 

と言い扉を勢いよく閉めようとするその時、

「危ない!」と誰かの声と共に銃声がしたと僕は記憶している。

それよりも、この体に走っている衝撃と痛みは一体なんだろうか、ふと自分の脚と肩を見る。

血だ。血が流れている。一旦冷静になる。

銃声は通路の方からした、つまりは警備ロボットから撃たれた。うん。めっちゃ痛い

ドミ「クソッ!クルートが撃たれた!俺は援護射撃をしながら動く!ネイサン!クルートを頼む!」

ネイサン「基地まで引きずるぞ!クルート!良いな?!」

二人の大声と銃声が響く、基地の通路の方からも男性の声と銃声が二つずつする。視界は大丈夫だが、太い血管に当たったとしても出血の量が尋常でない。あの警備ロボットは条約違反の特殊弾を使っているようだ。

 

ネイサンの声がする……「クルート!痛み止めも打ったし止血もしてる!基地の兵士も来たぞ!もう大丈夫だ!とにかく意識を持て!」

 

そういえばスーツの機能に痛み止めあったなぁ…止血もスーツで自動でやってるはずなのにこれ…あれ……これ、死──────

 

 

 

 

 

 

 

 

クソッ、どうすればいい?!ドミの持っている銃の弾ももうない、俺はクルートの止血と救出で射撃すらできない…!味方が来なければクルートも死んでた…!その前に地図と暗号も間違えるわ…隊長失格じゃねぇか俺!せめて、せめてクルートとドミは生きてくれ…!

「負傷者を頼む!」

俺はクルートを基地の兵士に任せ、ドミの所に向かう。

「ドミ!」

ドミ「クルートは?!」

ネイサン「基地の兵士に任せた!お前も行け!」

ドミ「あ、ああ!ってお前何しようと!?」

ネイサン「俺は責任を取ってこいつらを殲滅する」

ドミ「バカ野郎!逃げるぞ!」

俺は相打ち覚悟で殲滅しようとしていたがドミトリの腕力に勝てず引きずられる。

基地の兵士A「よし、これで全員だな?!」

ドミ「ああ!」

基地の兵士の一人は背中についていた謎の機械とガトリングを起動し、素早く引き金を引いた。

残っていた警備ロボットの集団は瞬く間に消し飛び、あたりには破片しか残っていなかった。

基地の兵士B「担架に乗せて止血してるが出血が酷い!」

基地の兵士A「急いで医務室に連れてけ!他の二人は司令部に!」

ネイサン「いや、医務室についていく!」

基地の兵士達と共に走る。

ドミトリ「生きてくれよ…クルート…!」

─────────────────

 

第二話一章

「そこからしか、たどり着けない街。」

完。

二章に続く。




あとがき
読了、ありがとうございます。筆者のコジマ白狼天狗です。
本来二話分割する予定無かったのですが書いてたら長くなって…分割しました…ノリで書かず、プロットのみ書くだけでなくもっと省いたり文字数も考えれば良かった…(ここまで改行や記号含め一万文字超えてた)
というかこれ書き切れるの?エタらない?ドラゲナイ?(激ウマギャグ)
10話で終わらせる予定です(+千文字以下の一話のような11話を予定)
よろしければ次回もお読みくださると幸いです。
次回はおそらく来月か再来月の予定です。

2019-08-23 コジマ白狼天狗
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