顔なし傭兵の冒険譚   作:コジマ白狼天狗

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一年経ってました。
文章表現が一年経っても進歩してないですが頑張って書きました。(小学生並の感想)

小出しにしたら見やすかったので話はぶつ切りです


二話二章「ネクロファンタジア」

目を開ける。見えたものは白い天井。

僕は過去の記憶から目覚めたようだ。

 

 

クルト「いっっったい!なんですかアレ!」

 

早くも正直な感想を言う。なんだあれは。体が勝手に動いている感覚があったり、まだ記憶に靄がかかっているし、まるで自分が自分でないような気分だった。

 

2号「起きましたか。おはようクルト」

 

クルト「おはよう御座います。じゃないですよ記憶飛んでましたよね?!」

「そもそも僕の基礎的な記憶は戻りましたけどまだ知りたい情報あるんじゃないんです?!」

 

僕は矢継ぎ早に質問する。

 

2号「はぁ…(元に戻るとうるさいわね…)」

 

クルト「今なにか言いました?」

 

2号「いや、なんにも」

 

クルト「所で、僕の名前ってクルートって言われてたんですけど…」

 

2号「そこはコードネームの一つよ。ま、とりあえずそれ以外は自力でなんとか思い出して。こっちでもモニタリングするから」

 

クルト「え、はい。で、一旦止めたのは何故?」

 

2号「機械の放熱とアナタへの負荷がね…。とりあえず数分したらまた接続するわ」

 

クルト「そうですか…。何か、口調砕けてますね。僕も記憶が戻って口調変わりましたけど」

 

2号「あ、ま、まぁね…」

 

クルト「それに2号さん、何か懐かしいというか、いつもの知り合いと話しているような感覚になりますし」

 

2号「あーー!そろそろ回想始めるわー!!!ホイ!」

 

クルト「えっちょっとま」

 

僕の体の脊椎あたりに、感電したときのような感覚がくる。

 

クルト「お゛お゛っ゛!」

 

また、僕の意識は追憶へ溶ける──────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

過去

2■■■年4月5日 13時

 

 

────クルートが被弾してから一時間半後

中東正規軍の秘密基地

 

 

医務室前────

 

僕は寝ている。多分医務室のベッドで。

体は動かしづらい。

おそらく自己修復機能が動き始めたばかりだからか。

二人が心配なのと、今僕がどういう状態なのかを確認する為にヘルメットのスキャンシステムを使い、耳と目に神経を集中させる。

 

軍医「弾丸の摘出、解毒剤の投薬と傷口の縫合までは完了しました」

ネイサン「報告感謝する…」

ドミ「…クルートの調子はどうなんだ?」

 

軍医「我々としても最善を尽くしましたが…今回の作戦には参加不能な状態です。被弾した箇所が運悪く2箇所とも太い血管だったのと、当たった弾丸は非常に毒性の高い神経毒と出血をさせやすく摘出しにくい形状で体の内部が…」

 

 

軍医は更にこう答える。

「スーツの自己修復機能、というものを抜きにして考えると…の話ですが。我々としてもそのスーツの自己修復機能がどうなっているかはわからなく…とにかく安静にする事を推奨します」

 

ドミ「そうか…わかった…ネイサン?」

ドミトリはネイサンの方を向いているようだ。サーモグラフィで見てもわかるくらいに顔は青くなり、必死に隊長として立っている。

ネイサン「わかった。では作戦司令室に向かうぞ」

 

運良くスーツの運動補助が動き始めた。僕は力を振り絞り、医務室から僕は出ようとする。

 

クルート「待ってください!僕も動けます!!」

僕以外全員あ然としている

軍医は駆け寄り、

軍医「安静にしてください!まだ解毒剤も回ってませんし傷口もちゃんと塞がってません!動けないはずですよ!?」

と叫ぶ

 

クルート「スーツの自己修復プログラムが…起動したので…傷口もスーツも治っていますので動けます…!!」

 

ネイサン「いや、駄目だ。安静にしていろ」

ドミ「そうだ、自己修復があってもまだ…」

 

クルート「いえ、身体の方は確実に動きます!ほら!」

そう言った後、バク転や空中3回転を披露した。

体に無茶をさせているので着地には失敗したが。

 

ネイサンは驚き、苦笑いをしつつも「わかった。クルートも任務続投させる」と言った。

 

ドミ「いくら本人の希望でも無茶は…クッ…クルート!何かあったら絶対に俺らに言うんだぞ!良いな?!」

ドミトリに両肩を捕まれ揺さぶられるが、その屈強な腕で揺さぶられたらむしろ調子が悪くなりそうだ。というか、なってきた。

 

ネイサン「おいドミ!傷口!」

ドミ「あっ…! す、すまん…」

クルート「いえ、大丈夫です。それと神経毒についてはスーツの補助機能を使いつつ補正かけるのでなんとかなりそうです」

 

軍医「クルートさん。本当に大丈夫ですか?」

 

クルート「ええ。任務遂行可能な人員は僕含め3人、バックアップや代わりの人員は軍の機密保持的にも、こちらの契約的にも不可。

それに、見たところここ(秘密基地)にいる兵士は防衛で手一杯…に見えますし」

 

軍医は苦虫を噛み潰したような表情を一瞬した。

そこに、さっき僕を運んだらしい兵士が来た。

 

兵士A「失礼、指揮官から『そちらの3名を司令部に』と。こちらへ」

ネイサン「ああ。わかった」

ドミ「忘れてたわ…」

クルート「よし、行きましょう!」

 

こうして、兵士の案内で司令部に歩いて行く。

道中見渡して、予想が確信に変わった。

 

基地の内部自体、今ある資材を使って急場で現代仕様へ改築したような構造。あたりの兵士たちには焦燥や疲弊の顔が見える。

 

民間人も数十人居るようで、皆一様に疲労困憊している。

 

医務室の時も周りを見た限り、少なく見積もっても十名は負傷者が軍、民間人らしき者も含めベッドに横たわっていた。

 

それに、あの警備ロボットと植物。どうやら基地正規軍はかなり押されてるようだ。

 

 

兵士A「大佐」

僕たちは司令部に入り、案内した兵士が奥にいる人物へ敬礼する。

 

「ご苦労。持ち場に戻ってくれ」

 

大佐と呼ばれた白髪で白い髭を蓄えた初老の男性はそう言い、こちらに視線を向けた。

 

クルート「YMM特別派遣機動部隊W-1のクルートです。あ、スーツは気にしないで下さい。機密保護と生命維持なので」

大佐「なるほど、あの派遣部隊だな。で二人にも確認だ。所属は?」

 

二人は敬礼をし、所属を言う

ネイサン「はい。合衆国Soc■■■■ 通称第130部隊 ネイサン・アンダーソン大尉です」

ドミ「同じくドミトリ・ツヴォルキン二等軍曹です」

大佐「そうか、ご苦労。楽にしてくれ」

 

大佐がそう言うと二人は敬礼と構えのポーズをやめる。

 

大佐「敬礼などやらなくてよい。楽にしていてくれ。基地もこんな感じたからな」

 

大佐は皮肉が入った笑いを交え言う。

 

たしかに司令部と言えどあるものは時代遅れの無線機やボロボロの机、

電子機器も数世代の旧型で、部屋も多少補修しては居るがコンクリート剥き出しの広めの倉庫みたいな構造だ。

 

正直どう反応していいのかわからない…

 

大佐「あぁ、あと自己紹介が遅れたな、私はこの第13地区臨時司令部の司令官、アスィーム大佐だ」

 

自己紹介の後、大佐は大きく咳き込み懐からタブレットを取り出し、机に置いてあるコーヒーでそれを飲む。

 

大佐「失礼、なにぶん歳でね。身体にガタが来ていてな」

 

 

大佐「では、本題に入るとしよう。合衆国の目的は?」

 

ネイサン「はい。我々合衆国の目的としては盗まれたある試作品の機械と図面の奪還。破壊も許可されています。それと、同盟国であるあなた方の基地状況の調査です」

 

大佐「ふむ、やはりか…では情報についてだが、先日やっと我々の偵察部隊が敵組織の拠点についての情報を取得した」

 

そう言い大佐はディスプレイに地図を表示し、ある場所をタッチペンでマークする。

位置はちょうど僕たちが街に入った場所から反対の方角で、基地手前の区画だ。

 

大佐「だが、こちらに帰還する途中に部隊の信号が途絶した」

 

大佐は時々立ち位置を変えながら話す

 

「最後の通信は『いつもとは違う巨大植物に襲われた』という声と巨大な植物のツタの伸びる映像だけだ。おそらくその生物は、この街が廃墟になった原因の時の余波で生まれたモノの系統だろう」

 

クルート「そういえば、この街のここまでの経緯を聞きたいんですが。よろしいでしょうか?」

大佐「ああ。この土地は本来、他国政府関係者や国連も来るような都市としてわが国の中枢部、新たな首都として開発されていた」

 

僕とドミトリは少し驚く。

 

大佐「だがどこから情報が流れたのか、数十日前、武装組織に襲撃された。戦闘に巻き込まれたある製薬会社の実験棟にある薬品が試験中の食虫植物に飛び散り…際限なく植物は増殖し今ではこの有様だ。土地開発の為に少数の民間人が居たが……ほとんど……」

 

ネイサン「武装組織とは…?正規軍が手こずるほど?」

 

大佐「ああ、武装組織とは言うが…アレは国家から熱心な支援がされている。それだけならまだしも、先程の通り運悪く植物がミュータント化し、テロリストの一部が無差別に無人機やロボットをウイルスを侵入させたようでな…制御不能になりテロリスト側へも無差別に攻撃するようになった」

 

ネイサン「そんな事が…」

 

 

大佐「戦闘の余波で通信インフラがダウンし、無線も通じず情報も……ウイルスは拡散しなかった。だが…こちらも援軍を呼べなくてな…。兵士を車や徒歩で他の基地や都市に向かわせたが、帰還者は0名だ」

 

ドミ「おおよそ兵士は巨大食人植物や暴走した無人機に襲われ死亡した…か」

 

大佐「ああ。だが運良く君たちが来た」

 

何かおかしい。

だが、この違和感は少し置いとくとしよう。神経毒と自己修復機能の影響かもしれない。

 

大佐「話を戻そう。今までは異常な植物はそこまで凶暴でも強力でもなかったが、数週間前、進化とも言えるくらいに活発になり始め殲滅計画を始めようとしたのだが、何分こちらの兵士も基地の防衛で手一杯でな…」

 

大佐は基地の人員の戦闘員(兵士)リストを表示する。

僕はスクロールしているリストの人員状態欄に視線を向ける。

 

大半はM.I.AとK.I.A 《Missing in action 》《Killed in action》

つまりは行方不明と戦死だ。

 

残っている戦闘員も殆が戦闘不能の状態らしい。

 

 

大佐「まだ不運は続いてな、先日突如として都市跡付近で原因不明の汚染が発生してな…既存のどれでもないようでどれでもある…危機的状況だ。同時に植物を統率する個体が突如出現し現在確認されている異常な植物はすべて統率個体と物理的に接続、吸収されているらしく、倒してもすぐに生えてくる。それに、統率個体によって植物全体の知能も上がっているようだ」

 

ドミ「ま逆に言うとそいつさえ倒せばいいんだな」

 

流れが読めてきたぞ。

 

大佐「そうだ。だが先程も言った通り人手が足りない。だから君達に植物の中枢、統率個体を倒して欲しい」

 

やっぱりそうなりますよね。そう言いそうになったがこらえる。

僕が居ると概ね本来の任務から逸れた面倒事が増える。

もしかすると僕がいなければこんなこと起こらなかったのでは?

そう思えてしまう頻度だ。

 

ネイサン「確かにこちらとしてもアレは厄介だからな」

大佐「異常植物の統率個体の中枢はおそらく偵察部隊の反応が消えた場所の周辺だ」

クルート「何故わかるのです?」

大佐は無言でディスプレイに外の映像を繋げる。

大佐「これを見ればわかるだろう」

 

そこには、二対のビルを割くように大小様々な種類の蔦や植物が幾重にも重なり、樹木のようなものを形成している巨大な植物が映っていた。

 

ドミ「何だこれ…」

 

大佐「医療班、検疫班曰くあれが植物達の中枢機関で、これさえ倒せれば無限増殖は止み、物理的に接触している植物も無力化出来るだろう」

 

クルート「で、どうします?燃やすとか無理ですよあれ」

 

大佐「それについては…特殊な混合した薬品を中枢に投入すれば、接触している末端含め全滅させることが出来るが、最後の薬品は製薬会社のビルにあってな…さらに混合した後は薬品の劣化が激しく、およそ一時間で効果が無くなるらしい」

 

クルート「つまり、薬品持ってまだあるかわからない製薬会社の薬品の材料をその場で混合して敵に刺せと」

 

大佐「そうなる…な。すまない。たがこれを誰かがしなければこちらは敵組織の詳細な情報すら提供出来ない。それに、おそらく敵組織拠点はこの植物が塞いでる道の先だ」

 

ネイサン「わかった。やろう」

ドミ「おう」

クルート「えっ、まぁやりますけど即決?!」

ネイサン「やらなければどん詰まりになるんだ。やるしかない」

クルート「ですね」

 

大佐「ありがとう。なら話は早い。早速これを持っていき、武器庫で準備をしてくれ。詳細な作戦については準備が出来次第、説明する」

 

ネイサン「了解」

そう言い大佐に渡された銀色のアタッシュケースを持ち、僕たちは基地の武器庫へ向かう。

使用方法は武器庫にいる研究員と兵士に聞くといいとの事。

 

〜武器庫〜

 

武器庫につくと、大佐が行った通り二人の男性が待っていた。片方が医療班のA氏、もう片方が武器装備管理主任との事。

 

一通り挨拶を終え、アタッシュケースの中身をテーブルに置く。ドミトリは3人の装備を弾薬ボックスと修理ケースに入れ、修復と補給をする。

ドミトリと武器管理担当が話している声が聞こえる。

管理担当「すみません、37ミリの在庫は無くて」

 

グレネードランチャーの弾だけ無いようだ

基地の状態を見るに資材も無いようだし、

37ミリは一般的にはあまり使用されない口径なのもあるが。

 

ネイサンはなにか別の装備について装備管理主任とやらに説明を聞いている。

 

残った僕はアタッシュケースを持っていたという理由で中身についての使用法を待っていた医療班のAに聞く。

 

医療班A「では、早速説明します。まず、この中に入っているパーツ一覧です」

 

そう言い、医療班のA氏はアタッシュケースから大きな工具のような機械と、鉄で出来た6本のシリンジを取り出した。

 

医療班A「この釘打機のような物が対象へ撃ち込む装備です。原理的には電動吹き矢みたいな物で、3つの薬液をシリンジ弾と呼ばれる針付きの注射器へ入れ、装填し対象へ向かって撃つ」

医療班の一人は機械を持ち、部品などに指を指しながら説明する

 

医療班A「すると針が対象の植物へ刺さり、衝撃で内部のプランジャーが押され薬液が対象へ注入されます。ここまではいいですね?」

 

よく見るとシリンジの6本の内3本は針がついていて、全体のシルエットは弾頭のような流線型をしている。

 

医療班A「そして、重要なのがこの薬液、薬液は3つ、A液・B液・C液の3つです。この内AとB液はすでにアタッシュケースに3発分の用意がありますが、C液はこの基地とその周辺には無く…おそらくあるのは製薬会社のビル内部のどこか…薬品倉庫か研究室あたりで自力で見つけるしかないと…」

 

6本あるシリンジの半分、薬液用と書かれたシリンジには薬液が入っている状態だったが、1本だけ空の状態で置かれている。

 

表記は薬液C用。横には針も個包装された状態で付いていた。

 

医療班A「申し訳ないです……」

 

少し医療班A氏は申し訳無さそうにする。よく見ると、原因は過労だろうか、目に大きな"クマ"が出来ている。

 

クルート「別に見つかればいいんです!大丈夫ですよ!」

 

医療班A「ありがとう御座います……話を戻すとこの三種の薬品が入ったシリンジを射出用のシリンジ弾に空いている3つの穴から混合します。この時、間違えてもシリンジを同じ穴に刺さないよう注意を。場合によってはC液は爆発します」

 

クルート「爆発?!」

 

医療班A「あとは有毒ガスにより死亡する可能性も」

 

爆発する薬品を混合するのか……僕にできるだろうか不安だ。

 

医療班A「話を続けましょう。薬液Cを発見した場合、安全な場所で混合し、対象の中枢器官へ当ててください。混合の比率は全部等分でお願いします。2︰1︰1とかにならないように後で着色した水で練習しましょう」

 

その後少しばかりの練習をし三十分ほど経った。正直原理は簡単だが、病み上がりなせいもあって長い説明と練習で疲れてきた。

スーツがむりやりアドレナリンと栄養を補給したが。

 

ネイサン「クルート、ドミトリ。こっちに来てくれ」

 

装備管理主任と話していたネイサンは話が終わったようで、ネイサンはこちらに向き招集をかけた。

 

クルート「呼ばれましたのでーありがとう御座いました」

 

医療班A「ええ。応援してます!」

 

医療班A氏は少し元気そうにし、手を振りながら僕を見送ってくれた。

 

 

ネイサン「よし、集まったな。今から新しい装備を使うぞ」

 

そう言い、ネイサンは角張った小さなリュックサックのようなものを取り出した。

 

ドミ「ん?どっかで見たような…?」

 

クルート「あー、これー……ジャンプキットですか」

 

ネイサン「お、知っているか。というかドミは何で知らないんだ…」

 

ドミ「え、あっこれジャンプキットか、ここ数年使ってなかったから忘れてたわ」

 

ネイサン「では、説明だ。少しばかり旧式だが操作は早々変わらない」

 

装備管理主任「本来はもっと言いやつがあったんだがな…偵察部隊とともに…すまない…」

 

ドミ「いや、いいってことよ!あるだけありがてえわ!」

 

装備管理主任「ありがとう。で、装備の説明だが──────

 

 

 

 

ネイサン「よし、説明をおさらいする。これは強化外骨格の背中につける外付け式の装置だ。壁を走る、いわゆるウォールランや二段ジャンプのような動きが出来る。さらに着陸時の衝撃をほぼゼロにする」

 

「いつものスゴイ機械だ。これさえあれば地殻変動や植物によって変わった地形、通行不可能な場所でも探索がしやすくなる。

だが、これは旧式で連続使用は不可だ。一応HMD(ヘッドマウントディスプレイ)に再使用時間や使用回数は出るからそれを見つつ使用すること。以上だ」

 

 

クルート「間違ってもさっきのドミさんみたいに壁に激突しないように!ですね」

 

ドミ「おう」

 

ドミトリは先程の訓練でジャンプの感覚を見誤り壁に激突していた。

 

 

ネイサン「クルートも人の事言えないけどな」

 

何を隠そう僕もウォールランで滑り垂直に落ちたけど。

 

 

ドミ「ま、とにかく装備品はこれで全部だな。弾薬補給も終わったしな」

 

クルート「ええ、ですが僕以外の二人に対戦闘用NBC用ヘルメットとスーツが…?」

 

【NBC】いわゆる核(Nuke)/生物(BIO)/化学兵器(Chemical)など用の耐汚染スーツとヘルメットだ。

外見はジェット戦闘機のパイロットスーツのようなスマートなシルエットをしている。

ジャンプキットと違い比較的新しい防護服のようだ。

 

なんとなくは予想できるが後で大佐に質問をしてみようと思った矢先、

運が良いのか悪いのか大佐がこちらに歩いてきた。

 

 

大佐「準備が出来たようだな。時間がない、歩きながら説明する」

大佐は少し焦っているようで、速歩きで何処かに向うようだ。

 

大佐「簡潔に言う。本来予定していたルートが原因不明の重度の汚染が広がっていた」

 

NBC装備を渡されていたので予想できたが、さらに汚染が重度になった…?

僕のスーツは重度のNBC兵器への対処が出来る機能があるが…自己修復と神経毒のせいで機能するか不安だ。一応着用しておこう。

 

大佐「本来は地表から直接ビルに向かう予定だったが、地表の汚染がひどくなってな…おそらく現在の装備では対処が不可能だ。」

 

汚染…?そんな事言って…あっ

僕は大佐の発言を思い出す。

 

『大佐「さらにこの都市跡付近で原因不明の汚染が発生してな…既存のどれでもないようでどれでもある…本当に謎状況だ。同時期に──」』

 

さらっと流してたがそこ重要では?なぜに流したのだろうか…僕たちと大佐は…。

 

ネイサン「汚染?大佐、どんなものですか?」

大佐「ああ、研究班いわく『汚染地帯の時間を止めるように自然の生物が生育せず、その後人体に有害な瘴気を発生する。ガンマ汚染にも似ているがそれとはまた違う』という事だけわかっている。おそらく敵対組織の兵士だろう人員が"変異"した記録もある」

 

僕たちの額に嫌な汗が出てくる。

作戦前の情報と照らし合わせると

 

ドミ「なんだ…それ…もしかして」

 

ネイサン「まさか。試作品が破壊された?いや、生成されている…?」

 

基地の階段を登り、倉庫を改造したと思われる軍用車両用の駐車場の脇道を通る。

 

大佐「話を続けると、代用としてモールから地下街へ行き、そこから地下鉄の線路を使用して地表を迂回する。もしかすると初期に使われていた保線用のスピーダーがあるかもしれないが、無ければ徒歩だ。更に報告によると一部崩落している為、そのジャンプキットが役に立つだろう」

 

クルート「あの、一応お聞きしたいんですが、汚染濃度は下の場合は今の装備で大丈夫ですかね?」

 

 

大佐「ああ、少なくとも基地周辺の観測機器からの情報からは現在の装備で行動可能と出た。問題があれば、そのNBCスーツとマスクで対応してくれ。よし、着いたぞ」」

 

歩いているうちに出入り口らしい場所に着いた。

本来はモールの商品や店舗の資材搬入口だったのだろう。

元は無かったと分かるような2メートルほどの堅牢な隔壁が後付けされている。

 

大佐「ここから出て右に行くと階段がある、そこを下りると地下鉄の駅だ」

 

ネイサン「了解しました。」

 

大佐「では、諸君。頼むぞ」

 

僕たちは隔壁から出て、地下鉄へと向かう。

ふと隔壁が閉まるとき、大佐の方を見ると、少し咳き込んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ネクロファンタジア(中)」

 

 

ドミ「うわ……弾痕が多いな……」

 

モール内部は戦闘があったと確信できる程の血と、弾痕、破損状況だった。

あの隔壁があった事からも此処から先が面倒なエリアなのは確実だ。気を引き締めて行かなければ。

 

僕たちはあたりを警戒しながら、様々な店舗が所狭しとあるモールを無言で歩いていく。

数分、無言で歩くと

 

ドミ「ここから地下鉄駅らしいな」

 

モールの端、ちょうど別の建物との境目らしき通路に防火シャッターが下りている場所がある。

 

シャッターがあるのはモールの壁の色とは違う、青と黄色の壁だ。上には案内板があり、多言語で都営地下鉄中央線と書いてある。

 

だがどうやらシャッターはロックされ、さらに錆びているのか接着剤が塗ってあるのか、全く動かない。

 

ネイサン「まいったな…クルート、開けられるか?」

 

クルート「はい」

 

僕は持っていた工具入れから切断用工具とバールを取り出して、ロック部分を切断し、テコの原理で隙間にむりやりバールをねじ込み開けた。

 

そこからは特に何事も無く通路を奥へ進み、階段を下り改札だった場所を通り抜け、廃墟になった地下鉄のホームについた。

 

あたりには古びた軍用のコンテナや未使用の銃弾、簡易的なベットや銃座、土のうで作ったバリケードなどが置いてある一般的な即席の拠点だ。銃や空薬莢、食品やライトなどがあたりにそのままの状態で放置されている。だが、その大半に血痕が着いていた。

 

 

ドミ「こりゃ、戦闘があってそのまんま放置か……」

ネイサン「装備的にはこちら側、何かあってそのまま放置して撤退したのかにしても血の量が異常だ。なのに死体も無い」

 

クルート「確かに……まるで全部食われたような……」

一瞬皆が無言になる。良くないことを言ってしまった。

 

ネイサン「ふ、二人共、保線用のスピーダーがあったぞ。動力付きだ」

 

ネイサンのもとに向かうとそこには

電動の保線用の電動機械、合衆国の言葉ではスピーダーと呼ばれている、いわゆるモーターカーやトロッコと呼ばれるもののようだ。電力はともかく電気系統が生きているかどうか……

 

ドミトリ「お、これ人力でも動かせるやつじゃねぇか!運がいいな!」

 

手押し式も兼ねていたようだ。電気系統が生きてるに越したことはないが。

 

クルート「電気系統はどうなってますかね」

僕はそう言い、モーターカーの電気系統のメンテナンスハッチを開け確認する。

 

二人があたりを警戒しながら話している声を聞きつつ僕はモーターカーのチェックをする。

一通りチェックを終え、最終確認をしようと左横に置いていた工具を取る。

同時に横、トンネルの左奥を見てしまった。

なんとも言えない暗い色をした影がいる。

 

明らかにこの世のものでは無いであろう気配も出している。

 

……僕は見なかった事にして二人を呼ぶ。

「ネイサンさん。ドミトリさん。異常はありませんでした!準備できましたよー」

 

ドミ「おお!良かったな!ネイサン!行こうぜ」

ネイサン「ああ。早めに移動したいな…」

 

僕を含め三人はモーターカーに乗り、エンジンを始動させホームを抜ける。

 

残されたライトのおかげで所々明るく、少しは線路や周りの風景が見えた。

恐らくは過去に兵士や敵戦闘員が乗っていたであろう車両の残骸や戦闘用の無人機、残された装備、空薬莢などが点在していた。

こんな戦闘跡がトンネルにもあるのに

兵士の遺体や骨が見つからない。

 

ネイサン「少し不気味だが、まぁ今の所は何もない分マシか」

 

ドミ「そ、そうだな……」

 

全員あたりを警戒し、無言になる。

モーターカーの動作する音、車輪が擦れる音、僕達の息の音以外は何も音がしない。

 

途中、線路が二手に分かれていた。

目を凝らす。

 

クルート「あ、先の分岐、なんか中途半端な位置になってません?」

ネイサン「脱線する可能性があるな。少し手前でブレーキかけるぞ」

 

モーターカーはキュルキュルと車輪を鳴らし、分岐の手前で停車した。

 

クルート「あれ、切り替えの分岐器がない?」

ドミ「ほ、本当だな…」

 

ドミトリが少し怯えているような気がする。

さらに何が事情を知っているような顔をネイサンがしている。

 

ネイサン「よし、一旦降りて切り替え装置を探す」

 

全員降りてトンネルの中を見渡す。

ネイサン「ここに通路があるな」

 

ネイサンは線路の分岐点から伸びている配線を辿り、少し広くなっているトンネルの右横に通路がある事に気づいた。

 

ネイサン「こっちに通路があるな。皆、行くぞ」

 

クルート「はい」

ドミ「お、おぅ……」

 

ドミの顔が青ざめている。

ネイサンは先頭を歩き言う

 

ネイサン「大丈夫だドミ。俺らも居るからな!ゴースト(お化け)なんて何とかなるさ!」

 

ドミ「おいぃ……苦手な物クルートにバレただろぉ……」

 

クルート「いや〜さっきからめっちゃ顔に出てましたしすでにバレてますね〜」

 

ドミ「そんなぁ……」

 

ドミは顔文字の"ショボーン"の様な顔をしている。顔に出やすいなこの人。本当に軍人なのか?

 

そんな事を考えながら通路の先、扉のような物がある場所についた。

入り組まずそのまま直線だがこれは構造的に良い物なのか?という疑問が湧いたがそれは置いておこう。

 

ネイサンが扉に書いてある文字を読み上げる

 

ネイサン「緊急時手動分岐装置室……ここのようだな」

 

ネイサンはそう言い、身振り手振り、つまるところハンドサインで『突入準備』を指示する。

 

ネイサンが先頭に、銃を構えながら横から扉を開け、部屋に入る。

 

当然のように部屋は暗く、あたりは蜘蛛の巣が張られ、ホコリも積もっている。

全員、銃につけているライトを当たりに照らす。

 

ドミ「クリア」

クルート「クリア」

ネイサン「クリア」

 

あたりを警戒しているとき、僕は偶々あるものを見つけた。

クルート「ネイサンさん。ここに」と僕は指をさす

 

ネイサン「なんだ?」

指を指した先には、古びてはいるがケーブルなどが千切れていない配電盤と室内灯のスイッチがある。

ドミ「でかした!」

クルート「声大きいですよ」

ドミ「すまん……」

 

ネイサン「クルート、配電盤と室内灯をチェックしてくれ」

 

僕は確認する。 ケースを開けて見た限りは通路と同じ電気配線だ。おそらく通電して使用できそうだ。

早速電源を入れる。

 

ドミ「おお!灯りがついたな」

ネイサン「分岐器の電源も兼ねてたな」

 

ネイサンは分岐器を見つけていたようだ。

何故緊急時用なのに電源が必要なのかと思ったが、多分自動や車両への司令室からの操作が不可能な場合に使う装置なのだろう。

 

ネイサン「今から入れるぞ。3.2.1ほっ!」

 

ネイサンが大きめのレバーを3本引いたあとキュルキュルとモーターらしき作動音がした。

 

「ピャァァァ」

 

何かの声?ピャァァァ?明らかに機械の動く音ではないものが聴こえた。

 

クルート「今の、きこえました?」

ネイサン「いや、聞こえたのは機械の作動音だけだな」

ドミ「──おう。幻聴じゃねえんだなこれ」

ネイサン「報告してくれ」

クルート「僕には生命体の様な叫び声が混ざってたように」

ドミ「オレもだ…」

 

ネイサン「──────万が一の為にドミはBC弾に変更。クルートはスキャン間隔を0.5秒に。戻るぞ」

 

クルートとドミ「了解」

 

僕を含め三人はモーターカーの元へ戻る。

意外にも何もなかった。

 

ネイサン「よし、とりあえずは大丈夫だな」

 

僕は全員乗車した事を確認し、再度動かす。

無事に動き、分岐を左に行く。

 

ドミ「なぁ、今思ったんだけどよ……これ、進路どっちに選択した?」

 

ネイサン「あっ」

クルート「でもこれ元の位置に戻ったはずですし多分通常の線路に……」

ネイサン「駅に着くとは限らないし、下手すると別の所に」

クルート「む、無理だったらこれバックできますし大丈夫ですよ!」

 

はたして戻れるかは不明だが。

 

ドミ「もう、行くしかねぇな…」

 

やっちまった。と表現できる空気がモーターカーの3人から流れる。

3人が無言になっていたとき、モーターカーが開けた場所へでる。

 

大きめの地下鉄のホームだ。

ビープ音と共に僕のスーツの機能である生体センサーが多数の反応を検知する。

目視では雑草や謎の有機体があらゆる所に存在しているのがわかる。

 

ドミ「クルート、速度上げろ…」

 

クルート「あ、はい。ネイサンさんいいです?」

 

ネイサン「ああ、ドミの勘は当たるからな」

 

速度を上げる為にマスコンを目一杯上げる

ついでに当たりをヘルメットの機能で捜査する。

クルート「一応報告です。僕の生体アクティブスキャンにも多数の反応が」

 

ネイサン「だろうな、今ちょうど後ろに」

 

ドミトリが後ろを向く

 

ドミ「ふぉあ?!」

 

クルート「どうしま」

 

僕のヘルメットに付いている後部カメラ映像を内部ディスプレイに映す。

なにこれ。

おびただしい……10や20では数えたりない量の異常な外見をした生命体。

巨大なネズミのような体、手や背中、足には皮膚が変質したのか硬い殻のような物体が覆っている。

さらに肘と前腕にかけて片側だけで二本。

鋭く尖っている細長い爪が飛び出ている。

さながら巨大なハサミのようだった。

 

その生物たちはこちらに走り寄り、爪で車両に攻撃を仕掛けてくる。

 

 

クルート「何だあのバルタ○星人とハダカデバネズミを悪魔合体させた外見?!」

 

ネイサン「敵性生物!ドミは射撃!クルートは前と横から来たらピストルで自衛!」

 

ドミ「了解ひぃ!」

 

ドミトリは顔を青くさせながらも的確に敵性生物の顔へライフル弾を命中させる。

 

ドミ「早く!」

そう言いながら手押し式のレバーを押し引きする。

電動時にレバーを使っても早くはならない。

 

ネイサン「ドミ!それより撃ってくれ!」

 

二人の声を聞いている最中

ドダンッ!と窓に何かが当たる音がした。

目だけを動かし右を見る。

 

「ピキャァァ!」

クルート「フヒェ?!」

 

とっさに拳銃で撃ち、車両から落としたが

モーターカーの運転席の右の窓に敵性生物が貼り付いていた。

 

クルート「これやばいですねぇ!70〜80出してるはずですよ?!」

速度計は70km/hを超えているが、そこからびくともしない。

 

ヘルメットの速度計の表示は76〜80km/h

車両側の速度計の上限は90。

 

あれ?おかしい。

 

耳をすますと車両から何かガタガタという音と共にあらゆる所から軋む音がする。

 

そういえば窓横にいた敵を撃ち落としたとき、ガラスやその他諸々壊れていたなと思い出した。

 

 

あ、これは

 

クルート「フォウァ?!ヤバいです!モーターカー逝きそうです!」

 

ネイサン「そうみたいだなぁ!」

ドミ「блин!(クソッ)」

 

クルート「あっ母国語」

ドミ「ばあちゃんからの遺伝だ!」

クルート「おばあちゃん口汚っ!」

 

ネイサン「いやそんなこと言ってる場合か?!」

ドミ「駄目だ!弾を使い切りそうだ!グレネード使うぞ」

ネイサン「下手するとトンネルごと潰れるが背に腹は代えられない、やれ!」

 

ドミトリは掛けていたグレネードランチャーを取り出し、HE弾を使う。

 

ポンッと言う音と共にグレネードは射出され、敵は爆風と破片に包まれた。

 

ドミ「シャッ」

クルート「あっ!」

 

数秒の後、進行方向の先から崩れ落ちる音がし。車両からも何かが弾けるような音がきこえ加速する。

更に吹き飛ばされた敵性生物の列の後ろにいたであろう敵性生物がこちらに迫ってくる。

 

ネイサン「クルート?!」

クルート「あー、駄目です。ブレーキ壊れました」

ドミ「崩落して線路が下り坂だなぁ……まるで今の状況だぁ……」

 

ドミトリは”ぬ”と”ね”の区別がつかないような表情になっている。

 

ネイサン「衝撃に備えろ!あとジャンプキット!」

 

そういったすぐ、僕たちは衝撃に備えたが少し遅かったかもしれない。

先線路に落ちた瓦礫にモーターカーは高速で追突し、瓦礫を吹き飛ばし奥へ進んだ。

 

一瞬、敵性生物はモーターカーが吹き飛ばした瓦礫に潰されていたのが見えた。

 

 

 

「ネクロファンタジア(下)」

 

 

 

────体が痛い。

 

運転席に居たはずなのに外に放り出された。

病み上がりでこれはキツイ。

まぁ原因はしっかり掴まらなかった自分だけど。

 

 

いやそれどころじゃない。

 

まずは二人を探す。

 

生きているだろうか?怪我は?

 

少し遠くで誰かの咳き込む音がする。

 

ドミ「ヴェ゛ヅボ!」

 

ドミトリが瓦礫の中から出てくる。

 

ネイサン「ゴホッ……全員、生きてるか?」

 

同じくネイサンも体に付着した砂利を払い立ち上がっている。

 

二人共擦り傷はあるが無事のようだ。

 

クルート「死んでまーす」

 

場を和ませるために少しジョークを入れてみた

 

ネイサン「よし、生きてるな」

 

ドミ「死んでる?!」

 

ネイサン「いや、生きてるからな?」

 

クルート「冗談ですっ……と」

 

 

そう言い僕は立ち上がり、二人がいる少し開けた場所に向かう。

 

道中、小声でドミトリが「すっげぇ飛ばされてる」と言っているのが聴こえた。

 

二人が居る開けた場所は線路が四条、片方ずつに一条を停車する事ができる待避線のようだ。

 

 

ネイサン「全員、集合したな。NBCスーツの破損も無しか?」

 

クルート「はい。こちらからの目視とスキャンでも異常無しです」

 

ドミ「俺もネイサンも大丈夫だ」

 

ネイサン「よし、ドミも大丈夫だな」

 

 

クルート「付近を確認しましたが敵性生物はゼロ。敵性生物のデータベースに登録しました。お二人の端末にも送信し終えました」

 

ネイサン「ああ、助かる。現在地は?」

 

クルート「うーん、大佐からのデータと照合すると……かなり下に行っちゃいましたが多分そのまま直進しても目的地に行けますね」

 

ドミ「……な、なぁ本当に先に行くのか?」

 

奥を見ると先程とは別の嫌な空気が流れくる。ホラー的な……

 

ドミトリが振り向き驚く

 

ドミ「オイオイオイオイ嘘だろ?!」

 

ネイサン「退路は瓦礫で塞がれたからな……行くしかない」

 

ドミ「いや、それだけじゃ無くてな!?」

 

ドミトリがネイサンの横を見ている。

あるのはモーターカーだった残骸が脱線し横たわっていた。

モーターと手押し式のレバーも瓦礫に潰されていて、仮に線路へ乗せられたとしても使い物にならなそうだ。

 

クルート「あ、あー……」

 

ネイサン「……ここからは徒歩だな」

 

ドミ「ま、まぁブレーキ壊れたしな!仕方ない!」

 

クルート「話戻しますが、空気汚染とかの危険性を考えて僕が先頭で行っていいですかね?」

 

ネイサン「ああ、頼む」

 

ドミ「俺は…?最後尾か?出来れば真ん中に…」

 

ネイサン「ま、まぁ謎の勘があるドミに何かあったら大変だからな……真ん中に居てもらおう」

 

ドミ「あ、ありがてえ……」

 

クルート「隊列は決まりましたし行きましょうか」

 

毎回思うが判断が遅くないか?……時間がないはずなのに。

ともかく、僕たちは薄暗く不気味な古い鉄道のトンネルをゆく

 

ドミ「さっきまでのトンネルよりホコリっぽいというか……全体的に古いな」

クルート「しかも」

 

僕はジャンプキットを使い、崩れ落ちた地下鉄用の橋を飛び越える。

 

クルート「こんなパルクールゲームみたいな崩落の仕方してますし」

 

ドミ「これ、下は川…?なのか?」

 

ドミトリは下を少しだけ覗いている。

 

ネイサン「確かに、橋の構造的に地下に川があって、その上にかけたような……」

 

クルート「うーん、何処かにそんなのありましたねー、ここは高濃度の原因不明の汚染がありそうな色で……」

 

川は黄緑色に発光している。

まるでホタルやキノコのようだ。

…………というか、壁の光源が発光しているキノコだ。

やけにトンネルの光源としては変な色をしていると思っていたがキノコが生えているのか。

種類はデータベースと記憶に無い新種だ。

新種で発光するキノコとか色々と大丈夫なのか? と各種測定機器を確認する。

磁場や温度が異様な数値ではあるが……

うん。なんかわからないけど大丈夫みたいだ。

それに二人のGM計数管も反応は無いし。

だけどその結果を見て僕はある一つの結論に辿り着いた。

 

クルート「試作品の汚染じゃないといいなぁ……」

 

ドミ「ん?なにか言ったか?」

クルート「いえ、ただの独り言です」

ネイサン「独り言かぁ……」

 

クルート「おっと!」

とっさにジャンプキットを使い跳躍した。

さっきまで足を置こうとした地面はガラガラと音を立て崩れてゆく。

 

ドミ「おおっ?!」

クルート「すみません!スキャンが遅れました!」

ネイサン「ま、まぁ落ちなかっただけマシだ」

 

今度は一秒に一度地形スキャンをする。

僕も気を付けないと、と気を引き締める。

 

 

道中、崩落が激しい場所に出た。

周りは機械の破片やさっきの路線にはなかった白骨死体等が散乱している。

先に進む道は無く、引き換えしてもあるのは川のみ。

スキャンと目視では地面は無いが一部崩落してはいるが壁は先に続いている。

 

クルート「どうします?」

ネイサン「ジャンプキット使って壁をそって走るしかないか」

ドミ「使えっかな……」

ネイサン「間違えても訓練みたく落ちないようにな?」

 

クルート「まぁ感覚空けて一人づつ行きましょう。そうすれば先に何かあっても大丈夫ですし」

 

ネイサン「ああ、じゃあ行こう」

 

クルート「まずは僕からですね」

 

僕はヘルメットのHMDを見ながら走る。

助走を付け崩落している手前で壁に跳躍する。

 

上手く壁に接地し、ジャンプキットとスーツの機能で壁に張り付いた。

カシャカシャと機械の作動する音を鳴らしながら壁を走る。

先を見ると壁から岩が飛び出ている。

ジャンプの合間に下を見たら、暗闇が口を開けていた。

 

ドミ「暗いな?!」

 

幸い反対側の壁は平たいのでそちらへ飛ぶ。

それを繰り返しつつ僕は二人へ伝える

クルート「この先に岩です!反対へジャンプを繰り返してください!」

 

ドミ「おう!」

ネイサン「ああ」

 

反対側の壁へ飛ぶ、さらに反対側の壁に戻る。

それを数回繰り返し、やっとの思いで地面に着地する。

 

ドミ「ふぅ……やっと地面だな」

ネイサン「ああ、もうアスレチックは無いな?」

 

クルート「あの……」

 

僕は先の道へ指を指す。

先は終わりの見えない上り坂だ。しかも大部分が崩落し、所々苔が生えている。

 

ドミ「マジかよ……」

ネイサン「次のステージかぁ……」

 

そこから先はそんなアスレチック&パルクールを数十分繰り返し、やっとの思いで平坦な線路へたどり着いた。

クルート「ふへぇぇぇ……ふぉぉ↓こふぉぉぉ↑」

こんな事するの久々だったのでスーツの酸素吸入装置が作動するほどの息切れをしてしまった。

 

ネイサン「少し休むか」

ドミ「大丈夫か?水飲むか?」

 

二人はピンピンしている。気遣いがありがたい。

だがこれが正規軍人と非正規の差か……いや僕病み上がりだし……って言い訳だねこれ

少しペースを落として歩き続ける。

 

ネイサン「そういえば、あの地下鉄やらなんやらの血の跡はあの生物だったのか?」

クルート「ええ。十中八九アレでしょうね……」

ドミ「骨まで食ったんだよな……骨が無ぇし」

クルート「でもこっちにはあれの死骸もないし、人骨がありますね」

ネイサン「……つまりこっちは別の何かがある事になるな」

 

また無言になってしまった。

だがちょうど待避線ではないホームらしき場所へ着いた。

 

ドミ「やけに古いな」

クルート「案内板が地域で使われてる言語だけですね……」

 

周りを見ると古いどころではない、まるで過去に大規模な戦闘が起きて数十年放置されたような状態だ。

 

ネイサン「かなり古いが、ここにも民間人の物が落ちてるな」

 

ネイサンが言った通り、周りには衣服やキャリーバッグ、など民間人が居た跡がある。

しかも突然の事だったのか靴の片方や携帯端末が所々落ち、壁や床は火薬の跡や血だったものがシミになって散らばっている。

 

ドミ「な、なぁ?そんな見る暇なくねぇか?先に進まないか?」

ネイサン「こんな場所だ。あの生物も居ないだろう、だがこちらはこちらで謎がある」

ドミ「いや、なんかこう……多分これは違う。早く行こうぜ?!」

 

ドミトリが真っ青になりガタガタ震えながらネイサンへ提案している。

凄い怖がっているのが見て取れるが、それは杞憂ではない。

正直ドミトリの第六感は当たる。

それに僕の観測・計測機器の殆が異常値を出している。

さっきから黒い影もチラチラと視界の端に視えている。

クルート「僕もそう思います」

ネイサン「まぁ、二人がいうなら先に進むか」

 

ネイサンは更に暗くなっていく道を歩き始める。

それに続いて僕とドミトリが歩き始めるが、

ドミトリが硬直する。

 

ドミ「お、おい…ネイサン?手!手ぇ!」

かすれた声で震えながらネイサンの肩を指差す。

僕もネイサンの肩を見る。

 

ネイサン「ん?どうした?」

 

うっすらとしか見えないが、

ネイサンの肩に数人の手が乗っている。

子供の手と大人の手がドサドサとまるで"土のう"のように積み重なっていた。

 

ドミトリ「ふんぐぐぬ?!」

 

ドミトリは顔から血の気が引いて声を押し殺している。

 

クルート「ネイサンさん、ちょっと肩を払ってみて下さい」

ネイサン「?、どうしてだ」

クルート「い、いや物がついてるというか憑いてるというか……ともかく肩を見ずにやってください」

 

ネイサンは首をかしげながらも応じ、両肩を手で払うように動かす。

 

……駄目だ。全然払えてないどころか腕に付きやがった。

 

ネイサン「どうしたんだ?俺の肩に何もついてないぞ?」

ネイサンが肩をすくめる、いわゆる

¯\_(ツ)_/¯みたいなポーズをしている。

だが実際は¯\四(ツ)四/Ⅱ¯ の様に手が肩や手首に憑いている。

 

見えてない……よし、これは無視でいいな。

クルート「あ、いえ勘違いでした!」

 

ネイサン「そうか……?動けるとはいえ無理するなよ」

 

ドミ「お、おいクルート?」

 

ドミトリが小声で話しかけてくる。

クルート「本人見えてないんで僕たちも見なかったことにしないと逆にまずいかもです」

ドミ「そういうものなのか……?」

クルート「そうなんです……」

 

また無言で歩き続ける。

もう十分くらい経っているが手は依然としてネイサンの肩についている。

更にトンネルの奥へ進むと発光していたきのこは無くなり、中はどんどんと暗く、黒と灰色の2色がかろうじて見える明るさになっていた。

 

ネイサン「全員、ここからはNV(暗視装置)を使用するぞ」

 

二人は持っていた暗視装置を片目に着け、僕もヘルメットの暗視機能を起動する。

 

ネイサンが僕とドミトリを見る。

ドミトリが僕の後ろへ隠れていた。

何かを察したのかネイサンは

「ここからは俺が先頭で行く」と言い先へ進む。

先程までうっすらとしか見えていなかった

ネイサンの肩に置かれた手がはっきりと見えてしまった。

ここまで嫌な動作確認も久々だ。

 

ドミはさらに顔が真っ青になりむしろ土気色になりつつある。

 

その後数百メートル徒歩で移動すると、トンネル内はさらに風化してあらゆるところから土が入り込みコンクリートが剥がれ落ちている。

線路に至っては数本を除き見当たらない。

 

ネイサン「劣化が激しい、崩落が起きるかもしれないから注意するぞ」

 

そう伝えるネイサンにはまだ手がガッツリついている。もはやそれどころじゃないが。

 

ドミ「な、なぁ?今なんか聞こえなかったか?」

 

ネイサン「いや、何も?」

 

僕には聞こえないが、地面から振動が感じられる。多分なにか来る。退避しなければと発する前にドミトリが言う。

ドミ「ネイサン、クルート、壁際に行くぞ」

ネイサン「え?な」

 

ドミ「早く!」

 

ネイサンが言葉を発言する前にドミトリは僕達の手を引き線路上からトンネルの退避場所らしき所に入る。

同時に、ガチャンと何かが落ちる音がした。

 

クルート「あっ、ライフル」

 

運悪く僕のライフルが線路に落ちてしまっていた。

何故か切れるはずもない新品のスリングから千切れていた。

 

瞬間、轟音と共に何か影の塊が僕たちを横切る。

横切った塊は横側に四角く光るものが規則的に配置されている。

更に四角い場所から人影が見えた。それも尋常じゃない、大量の……満員電車?

 

ネイサン「地下鉄?!」

ドミ「……ああ」

流石にさっきのは見えたようでネイサンが驚く。

ネイサン「何だ……?あれ」

 

すぐさま僕のヘルメットが観測したデータログを見る。

高エネルギー体の反応が多数、数値は異常な値が観測されていた。

 

クルート「確実に実体は無い奴ですね」

ネイサン「幽霊列車とでも?」

ドミ「じゃないと説明出来ねぇな」

 

先程の轟音は静まり、あたりは僕の稼働音、二人の息遣いしか聞こえない。

 

クルート「ともかく、ドミトリさんありがとう御座います。下手するとアレに……」

ネイサンも続いて礼を言う。

クルート「そういえばライフル……」

横切った、いや通った場所に落ちた僕のライフルは位置的に線路の真ん中に落ちたからか、無傷だった。

すぐさまスキャンをしながら近づく。

が、ドミトリが制止した。

ドミ「クルート、それ多分触ると不味い」

顔の色は少し戻っては来たが依然青ざめている

クルート「ええ。多分そうでしょうね。ありがとう御座います」

同時にスキャンが終わった。内容をつぶやく

 

クルート「高濃度の■■エネルギー体の汚染……」

 

ネイサン「ど、どういう事だ?」

 

クルート「要するに落とした銃に触ると死にます」

 

二人が驚いている。

クルート「嘘か、それとも狂人の戯言とも思えるでしょうが……こんなのが沢山出るような仕事もやってるんですよ」

ネイサン「やはりそうだったか……。ドミトリと反応が同じだったしな……ドミトリも時々ああなるが……」

ネイサンは腑に落ちたような顔をする。

ドミ「まじか……」

 

クルート「と、ともかく先行きましょう。銃は拳銃でも大丈夫ですし!さっきの反応も消えましたし!」

ネイサン「あ、あぁ。行こうか」

ドミ「拳銃だけで本当に大丈夫か?」

クルート「大丈夫です!……スーツ以外は現地調達とかよくあったので」

ドミ「やっぱりブラックでは?」

ネイサン「二つの意味でな」

 

ブラックオプス(黒い軍事行動)とブラック企業をかけているのか……というかブラックオプスって実際に言うんだね。

 

ネイサン「まぁ、ともかく先に行くぞ」

 

そう言って数分歩いた矢先、また変な黒い影が見えたりしたがもう見なかったことにした。

 

更に数分、先に進んで別の古びた廃駅についた。

まじか……なんかもうこの先が不安どころじゃない。

ネイサン「ツタがひどいな……」

 

廃駅は今までより激しく劣化し、さらにツタや植物の根のような物が突き出ていたりしている。

 

ふと、ある事に気づく。

 

僕は二人を止め自分が先頭に行く言うことを提案する。

二人は何かがある事を察し、承諾する。

クルート「いいですか、絶対に僕の後ろについてきてください。絶対に、絶ッッ対に声をあげたり脇道にそれないでください……!!」

二人は僕の気迫に少し引きながらうなずく。

よく見るとドミトリはもはや虚無のような顔をしていた。

 

 

すぐにヘルメット内のフィルタを変更する。

暗視装置では見えなかった存在がはっきりと視認できた。

駅のあらゆる所に地面から数ミリ浮いてる黒い人影が大勢居る。

ただマップ上では運良く地上の出口へ近づいている。

というかもう500メートルもない。

ここが最大の難所だ。

 

たまたまなのか黒い影が居ない場所があるので、そこを三人で進む。

見たところ動作等はせず、ただ立っているだけだが……この密度で動いたら三人の生命活動が積みかもしれない。

 

ネイサン「何もいないようだが……ブービートラップでも」

そう言いかけるネイサンを遮り僕は言う

「ドミさんの顔を見ればわかるかと」

ネイサンはドミトリの顔を見た。

このようなホラーどころではないおどろおどろしい空間にも関わらず、ドミトリは真顔でいる。

ネイサン「これ駄目だな、どれだけなんだこの場所……」

クルート「ええ、ですので静かに」

 

ついでにネイサンの肩に居た手を見る。

黒い影が手を引っ剥がして……

あっこれバリバリ食べて……?

クルート「ミ゜ッ?!」

ネイサン「どうした?クルート」

 

焦った。思わず高めの声を上げてしまった。

ヤバい、とにかく先に進んで速く出よう。

 

二人へ小声で言う

クルート「ここから競歩で屈みながら行きましょう。あと武器のセーフティは入れ、触らないほうが良いかと」

スキャンしたせいか、自分が視認したからか残留した記憶らしきものが脳へ流れてくる、銃に関する事件が、ここで起きている事を知った。

おそらく、影たちに気付かれたら酷い事になりそうだ。

 

三歩歩く、周りを見る。

二歩下がる。

三歩進む、二歩下がる。

それを繰り返しながら恐る恐る先へ進む。

あの影に接触しないように。

 

先へ進み、ホームから階段を登り数十メートル先に出口らしき改札を見つける。

改札付近は外からの光が差しており、改札前のホームへ通じる階段からどんどんと黒い影が減って来ている。

眩しくなってきたので二人にハンドサインで暗視装置を取るように伝える。

 

二人は暗視装置を取り外し、出口へ向かう。

 

 

途中、ドミトリのいる位置から変な音がした。

 

 

 

 

 

 

 

人のうめき声?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後ろを見る。

 

 

 

ドミ「先程から某私鉄に乗車も通勤に使っている電なのですが20分くらい駅に停まブラインドというか窓に目隠」

 

…………しまった。

なにかうわ言を言っているドミトリの脚に、大量の黒い影が取り憑いている。

いつの間に?なぜ僕が気付けなかった?

いや、なんで最後尾のネイサンにはとりつかず、真ん中にいたドミトリに来た?

ネイサン「おいドミ!どうした?!」

僕が原因に対する思考を始めた時、

ネイサンが肩を揺さぶる。

ドミトリを見ると白眼を剥き泡を吹いている。

まずい。これは不味い。一刻も早く外に出なければ。

クルート「ネイサンさん!権限でエグゾスケルトン(強化外骨格)自動制御を!」

ネイサン「駄目だドミは下半身しか着けてない!」

 

ネイサンが部隊長権限でドミトリの強化外骨格を自動制御するが、下半身だけしか着けてないうえ、ドミトリは気絶に近い状態で上半身がグラグラとバランスを取れていない状態だ。

クルート「二人で担ぎましょう!出口へ!」

ネイサン「ああ!何が起きてるかわからんが出るぞ!」

僕たちはドミトリを肩で担ぎ全力で改札まで走る。

出口に差し掛かった瞬間、改札前のシャッターが自動で降りて来た。

ネイサン「クソッ!」

 

焦った僕はなぜか知らないが、叫び声を上げ片足にスーツの筋力増加機能を使い、シャッターを蹴る。

クルート「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」

シャッターはかなりの厚さがあるにも関わらず、蹴破る事が出来た。

いや、むしろ消し飛ばしたと言えるサイズの穴があいている。なんだこれ。

ネイサン「でかした!」

クルート「いいから早く!!」

 

僕と二人でドミトリを担ぎ、シャッターの穴から飛ぶように外へ出た。

ネイサン「で、出れたな!ドミトリは?!」

ドミトリは黒い影こそいないが、以前白目を剥き泡を吹いて気絶している。

ネイサン「おいドミトリ!ドミ!起きろ!」

ネイサンが強く肩を揺さぶる。

ドミトリの体からゴキッという鈍い音がしたが

ドミ「ん?あぁ?!ど、どうなった?!」

意識を取り戻したようだ。

流石に僕も疲れた。

三人とも数分、地下鉄入り口の付近にある公園らしき場所で休憩をする。

 

ネイサン「怪奇現象起きすぎだろあそこ……」

色々あってクタクタどころじゃないネイサンが言う。

 

クルート「んまぁトンネルという地下の閉鎖空間ですからねー……よくありますよー……」

 

ドミ「お前どんだけ修羅場くぐってるんだ……」

 

いくら正規軍人とはいえあんなのと対峙したので二人の疲弊が激しい。

更に先程のような事案に対する経験は僕が一番高い。

むしろあのような想定外の存在が出た時の為に僕が人員として選ばれている可能性がある。

数時間前の被弾といい二人を迷惑と心配をさせないよう、余裕に見える仕草をする。

正直、シャッターを蹴破ったときから片足がすごく痛い。折れては無いはずだけど……

 

 

考えを巡らせている最中、気になったことがある。

大佐から聞いた話ではこの都市は開発途中のはず……あたりはなにもなく、高速道路も建設途中だった……だから僕たちは途中から歩きになったはず……

建設途中のこの都市が数日前に襲撃されたのに建物や道路の劣化も早すぎる。それにあのの古い駅や民間人のいた痕跡は?

そもそも、僕たち三人だけなのも少しおかしい。

疑問が湧き、僕が思考している最中クタクタになったドミトリが言う。

ドミトリ「で、何だったんだあれ」

ネイサン「黒い影か?」

クルート「いや、見えてたんですね黒い影は……」

ネイサン「ん?見えてたが…?」

クルート「肩に手がビッタリ付いてたのは見えてなかったのに……」

ネイサン「えっ」

ドミトリ「まぁ、黒い影に食われてたらしいが」

 

クルート「んーまぁ、残留思念的ななにかでしょう」

ドミトリ「なんだそれ、ずいぶんアバウトだな」

クルート「調べるヒマ無いですからねぇ……所でネイサンさん」

 

ネイサン「ああ、そんな事より今は弾薬の確認だ」

僕達は各々装着した端末の残弾管理システムを起動する。

ネイサン「まず俺は1マグと予備2マグ、それ以外は消費なし。ドミトリはどうだ?」

ドミトリ「銃に15発でポーチにマガジンが3本、グレネードはHEが2HEDPが3、照明と煙幕は1、マーカー2だ」

クルート「僕はもうなくなったライフルの30発マガジンを4本。サイドアームの拳銃はフル装填です」

 

ネイサン「よし、確認できたな」

クルート「ドミさんとネイサンさんにマガジン上げます。どうせ僕の銃なくなってますし!」

半笑いで僕は言う。

ドミ「ありがとう……」

ネイサン「次は現状を確認するぞ」

ネイサンが端末の機能を使い全員のHMDにマップを表示させる。

ネイサン「現在地点の確認だ。クルート」

 

クルート「はい。現在の位置は……」

マップをHMDで確認しネイサンたちへ僕が操作しているカーソル等を共有する。

あれ?駅名が表示されている?

ということは前からこのエリアにあった駅なんだ……つまりさっきのは勘違い……

 

ネイサンが怪訝な顔で見てくる

「どうした?」

 

クルート「いえ、なんでもないです。話を戻しますとこの……旧都市地下鉄駅と表記されているさっきのホラースポットがここで────」




訂正2020/08/28 ドミトリの階級を軍曹から二等軍曹に変更
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