違う!シンビオートが勝手に!   作:ゴランド

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小説を書くモチベーションが上がって来たので投稿します。



21話 違う!シンビオートが勝手に身の上話(偽)を!

 

 やぁ皆。肩を掴まれ前後にシェイク。その後便器に向かってキラキラをブチ撒けた主人公だよ。とりあえず切島君を一発殴ったけど硬化されて逆に返り討ちに遭いました() 手が痛ィ。

 

「手の骨が折れた……」

「普通折れないけどな」

 

 次の試合が始まるまでシンビオートに骨を治してもらう。いや実際に骨が折れるとは思わなかった。今の僕って殴ったら勝手に自滅する噛ませ役みたいになってるんだけどダサくない?

 

『その上、手がTレックスみたい』

「あ、本当だウケる。ウケねーよ」

 

 いや確かに手がプラプラしてジュラシックパークに出て来そうな感じだけどさぁ。

 

『第六試合!男気一筋ド根性鋼鉄!ヒーロー科 鉄哲徹鐵!』

「前のヤツとほぼ一緒じゃねーか!」

 

『VS、スパーキングキリングボーイ ヒーロー科 上鳴電気!』

「女子共にいい所見せてやらぁ」

 

 マイク先生の声と共に鉄哲君と上鳴君の二人がステージに上がる。ボッキリ折れた手首にシンビオートを巻き付ける形で治していると、横から瀬呂君達の声が響いて来る。

 

「お前どっちが勝つと思う?俺、上鳴な」

「俺は鉄哲だな!男らしくて親近感湧くぜ!」

 

『被ってるの間違いだろ』

「それを言うな!」

 

 そのまま生徒一部が先程の試合のように賭事を行い始めた。ちなみに最大金額は1500円、ちなみに殆どが鉄哲君が勝つと予想されてる。あんまり期待されてない上鳴君ェ……。

 

「ほら来正もどっちかに賭けろよ」

「いやお金無い」

『チョコ買う金があるだろ。増やすチャンスだありったけ注ぎ込め』

 

 いや、それならシンビオート自身がお金出せば良いんじゃないの?

……え、今月分全額出すの?マジで?これでハズレだったら目も当てられない惨状になるけど……。

 

「で?来正はどっちだ」

「で?って……それじゃ上鳴君にヨーグルトランドのダダ券を賭ける」

「「「「……」」」」

 

「中学上がりに加えてバイト未経験の僕にどうしろっての?……分かったよ。それじゃ花京院の魂も賭ける!」

『それはもうオレが賭けている』

「それならアブドゥルの魂を賭ける!ほらこれで文句無いでしょ!」

 

「アンタ等馬鹿じゃないの」

 

 耳郎さんに馬鹿と言われた……反論の余地がねぇ!でもここは是非とも友人の上鳴君に勝って欲しい所だ。

 

 

「悪いがヘナヘナした野郎に負ける気はしねぇなぁ…A組よォ」

「へっ、そりゃこっちの台詞だ。それに……この勝負、一瞬で終わるぜ」

 

 あ、なんだろう。今、上鳴君が負けるフラグを投下した気がする。勝利を確信して宣言すると何故こうも敗北する未来が見えるんだろうか。

 

「……まぁ、でもよっぽどの事が無ければ上鳴君が勝てるだろうしなぁ」

「勝てるって……何か勝算でもあんのか来正」

 

 勝算と言うか、相性と言うか…。上鳴君の個性は多分、鉄哲君に効果的だと思うんだ。多分、彼の個性は物間君が使って来た個性の内一つ。体を鋼鉄のように変化させる能力!

そうじゃなきゃ切島君と被ってるなんて言わないからね。

 

「けど、鉄は電気に強いって相場が決まってるもんじゃ……」

 

「確かにでんきタイプははがねタイプに効果は今ひとつ。だけど現実じゃ鉄は電気を通しやすいからね」

 

 まぁポ◯モンで例えると勘違いしやすいけど鉄は電気通すからなぁ。そう告げると飯田君が同意するように頷く。

 

「確かに、鉄は電気を通しやすい性質を持つ。体の内側にもダメージが入り、一切敵を寄せ付ける事なく発する電撃を扱う。相性はまさしく最高だな」

「え、つまり……上鳴って有利?」

 

「そうだね。もし髪の毛を植物みたく超スピードで生やす個性だったら不利だったと思う……そう考えると物間君強かったなぁ…」

「それならたんまり金を注ぎ込んでおけばよかっただろ」

 

「ごめん、僕は高校生の出せる金額は大した事ない上にそう言うのは手を出さないタイプだから」

『ついでにアホ面は頼り無いからな』

「ハイ、シンビオートお口チャック」

 

 横から首を物理的に伸ばして来る寄生生物の顎をグイッと閉じる。時折垂れて来る涎をやや鬱陶しく思いながらもステージに目を向けると同時に試合開始の合図が出された。

 

「行くぜ速攻!放電100万ボルトォォ!!」

 

BZZZZZZZZZ!!!!

 

「ぐ、おああああああああああああああ⁉︎」

 

 ステージが眩い光で包まれ、凄まじい電撃が鉄哲君に襲いかかる。咄嗟に体を鉄に変化させてガードするが逆に大ダメージを食らってしまう。よし、勝ったな(確信)

 

「っしゃァ!勝った!第三部完「まだだッ!」ウェっ⁉︎」

「まだ……終わってねぇぞ……!」

 

『なんと鉄哲、ガッツで耐え切ったァ〜〜〜〜!』

 

 マジで!?あの電撃を食らって立ってるなんて……!しかも体を鉄にしていたから内側にもダメージを食らってる筈なのに?

 

「も、もう一発!!」

 

BZZZZZZZZZ!!!

 

「ぐっ、ぐぐぐぐ……!き、効かねェ……!ぜんっぜんっ…効かねェぞ……ッ!」

 

 いや、嘘だぞ。絶対ダメージ食らってるよアレ。と言うか個性使って無い方がダメージを抑えられるんじゃ無いの?……いや、詳しく無いから抑えるかどうかは分からないけどさ。

 

「分かってねぇな来正」

「え?」

 

 困惑する僕に切島君が笑みを浮かべ呟く。

 

「相手の攻撃を受け切って、耐えて、そんでもって倒す!それが男らしい戦いだろ?なら、わざわざ小細工する必要はねぇ!」

「……成る程」

 

 不思議と納得できた。要は彼等の信念(プライド)と根性が力の動力源となっているんだ。僕が頭を打ち付けて無理矢理、試合続行に持っていたのと同じだ……と思いたい。

 

「嘘だろ⁉︎どんどんこっち来て……⁉︎」

「歯ァ食いしばれやァ!!」

 

 電撃の中を突き進んでいった鉄哲君はそのまま上鳴君の顔面に文字通り鉄拳を叩き込む。衝撃により上鳴君は床に体を打ち付けられ倒れてしまった。

おいおい瞬殺だよ……。

 

『き、決まったぁ〜〜〜〜!鉄哲、電気の中をものともせずに一発の拳で決めた〜〜〜〜!』

 

「すげぇ!男らしいじゃねぇかアイツ!」

「マジかー……上鳴ドンマイ 」

 

 負けちゃったか……勝って欲しかったけど、負けちゃったなら仕方無い。せめて僕にできるのは上鳴君に向けてナイスファイトって言うぐらいしか────⁉︎

 

「なっ⁉︎」

 

「「「「「えっ?」」」」」

 

「まだ……負けてねぇよッ!ゼロ距離放電ッ!130万ボルトォォ!」

 

BZZZZZZZZZZZZ!!!!!

 

「がぁぁああああああああああああッ⁉︎て、てめぇ……⁉︎」

 

 僕を含めた観客の殆どが声を漏らす。なんと突如として立ち上がった上鳴君が鉄哲君に抱きついて放電をお見舞いしたのだ。

 

『か、上鳴電気復活ーーーッ!しがみ付いた状態で超至近距離の電撃だ!!』

『最もダメージを与えられる戦法。だが、あの勢いのままだといつショートを起こしてもおかしく無い』

 

「しょ、性に合わねーけど!根比べだッ!俺の電撃でお前がやられるか!逆に俺が先に倒れるか!勝負と行こうじゃねーか!」

「軟派な男だと思ってたが……見直したぜ!」

 

 これは流石に驚きを隠せなかった。まさか、上鳴君がここまでのガッツを見せるなんて思いもよらなかった。

……いや、もしかしたら心の中じゃ期待半分不安も混ざっていたのかもしれない。上鳴君じゃ負けても仕方無いって言う見下した感情が入っていた……。

 

 ごめん上鳴君。僕は君の事を誤解していた。

……そして、今こそハッキリと言える。

 

「……やっちまえ上鳴君ンンンンッ!!」

 

 僕は君が勝利するのに賭ける!!

 

「こんくら……いッ!屁でもねぇ……っ!」

「130万ボルトじゃ……なら、150万ボルトだぁぁあ!」

 

BZZZZZZZZZZZZZZZ!!!!!

 

「〜〜〜〜ッッ!き゛か゛ね゛ぇ゛え゛え゛え゛!」

「ウェ……ぐ……ご……の゛……!」

 

 徐々に上鳴君の顔のパーツが崩れていく。まずい、早く勝負を決めないと上鳴君の限界に到達する!

 

「まだそんなもんじゃねぇだろォォ!」

「無差別放電……ッ!200万ボルトォォ!!」

 

BZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZ!!

 

「うぉっ⁉︎目がッ」

「眩しい……!」

「これが今上鳴が出せる最大出力か!」

「爆豪の超爆破、そして轟の大氷壁にも匹敵する程の威力が出てる!」

 

 あまりの勢いにクラスの皆は驚愕の声を上げる。それもその筈、普段チャラけた彼の個性がここまで強力とは思わないだろう。普段から口数が少ない爆豪君、轟君の二人もこれには冷汗を流している。

 

 強大な電撃の奔流がステージを覆い尽くし、どれくらいの時間は経ったか正確には計る事はできないがおそらく十秒前後。強力無比な電撃が静まり中心には鉄哲君と上鳴君の二人が立っていた。

そして、ポツリと片方の口から言葉が聞こえて来る。

 

「お……れ…の勝ち………」

 

 そう呟いたのは電撃の発生源である上鳴君だった。会場内の観客席から声援が上がった瞬間、彼はその場に崩れ落ちる。

 

 しかし、それを支えるかのように全身が煤けた鉄哲君が受け止めた。

 

「最後まで男らしかったぜお前……」

 

「上鳴君戦闘不能!鉄哲君、第二回戦進出!」

 

 

 

 

 

 

 

「どうだった、俺かっこよかったろ!」

 

 と、口元や耳の穴など全身の至るところに充電器らしきものが突き刺さった上鳴君がそう言いながら戻って来た。

うん、ごめんね上鳴君。今の君すげぇかっこ悪い。何も言わずに席に座って哀愁のオーラを漂わせていたら100点中62点くらいはカッコ良かった。ちなみにその内の減点された38は容姿について。

身体に充電器だらけが許されるのは(アイアン)(マン)なのに金とチタン合金で出来たスーツを纏った社長ぐらいだと思う。

 

「ダサい」

『一回鏡見て来い。オレなら死にたくなるほどのダサさだ』

「耳郎さんシンビオート⁉︎」

 

 二人共容赦なさ過ぎるよ⁉︎オブラートに包んでそこと無く伝えたりする努力はしようよ!ほら、上鳴君がショックで白っぽくなってるし!

 

「ほら元気だして。負けちゃったけど今世紀一番最もかっこよかったと思うよ僕は」

「…ホントに?」

「ホント」

「…ホントにかっこよかった?」

「(最後の以外)格好よかった」

「……女子にモテるかな?」

「僕に聞かないでくれる?」

 

 よし、調子が戻って来た。さっきまで真っ白だったけど徐々に色が戻って来るのが目に見えて分かる。

……実際に人間は衣服を含めて真っ白になったりするのかな。

 

 と言うか上鳴君のメンタル強いな。負けたって言うのに女子の事考えて、数秒もしない内に復活しているんだけど。ある意味で尊敬に値する鉄のハートだ……。

 

「なぁほら。俺かっこいいってよ耳郎」

「ハイハイ、かっこいいかっこいい」

 

……鉄のハートだ(大事な事なので二回言った)

もしかしたら女子への人気が彼を動かす源なのかもしれない。僕もそこを見習った方が良いのだろうか。あ、いや やっぱりやめておこう。

クイルもといスターロードもといアホみたいな女にだらしない性格に変貌しそう(震え声)

 

『第一回戦も大詰め!第七試合だ!』

 

 お、そろそろ飯田君と発目さんの試合が始まる時間だ。でも発目さんトーナメントに進出したのは良いけれど、どうやって戦うんだろう。

彼女自身、個性は戦闘向きじゃないって言ってた気がするからバリバリの機動力、格闘能力持ちの飯田君相手じゃ分が悪いけど……。

 

『ザ中堅って感じ⁉︎ヒーロー科 飯田天哉! VS、サポートアイテムでフル装備!サポート科 発目明!』

 

「あれ?発目さんごちゃついたの装備してるけど……アリなの?」

「アリだよ☆サポート科は自作のアイテムの持ち込み許可。でもヒーロー科は個性に支障をきたす場合、事前に申請しなきゃ駄目☆」

 

 へぇー、知らなかった。確か青山君ってベルトしてないとレーザーを制御出来ないんだっけ?ますますサイクロプスっぽい(小並感)

……あれ、それじゃあ対峙してるフルアーマー飯田君は!?

 

「ヒーロー科の人間は原則そういうの禁止よ。ないと支障をきたす場合は事前に申請を」

「忘れておりました!青山くんもベルトを装着していたので良いものと…!だがしかし、彼女のスポーツマンシップに心打たれたのです!彼女はサポート科でありながらここまで来た以上対等だと対等に戦いたいと俺にアイテムを渡してきたのです!」

 

 えっ、それマジ?発目さんの性格上そんな正々堂々を好む人柄じゃないと思うんですがそれは。

 

『騙されるなよアイツの言葉を。あの女はオレ達を利用するものとしか考えてない屑だからな』

「おおっと、特大のブーメランが突き刺さってるよ」

 

 それにだよ?発目さんがそんな飯田君を実験体(モルモット)扱いする訳ないじゃないか。もし本当にそうだとしたらびっくりするほどユートピアって叫んでもいいよハハハ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「発目さん場外。飯田くん2回戦進出!」

「騙したなァァァアアア!!」

 

びっくりするほどユートピアアアアアッッ‼︎(半ギレ)」

 

 結果的に発目さんは負けた。いや正確には散々、飯田君を試合と称してサポートアイテムの宣伝広告扱いにした上で満足して自ら場外となった。 こ れ は ひ ど い 。

 

「これが人間のやる事か……!」

「いや、来正。お前も大概だからな」

 

 切島君!?一体、僕のどこが大概だって言うんだ⁉︎体育祭も正々堂々と宣誓した僕にどんな落ち度が……!

 

「騎馬戦で潰し合いさせたよな」

「屋内訓練で騙し打ちしたし」

「あと、敵達を水中でミンチ(未遂)にしたり」

「急にダンス踊って騙したりしたよね」

「それと────」

 

「うん、分かった。身の程を知ったからそれ以上やめて。あと一部のヤツは違うから。シンビオートが勝手にやった事だから」

 

 くぅ、味方はどこにも居ないのか…⁉︎ いや、希望を捨ててはいけない。僕にはソウルフレンドの緑谷君と赤糸虫君(予定)に飯田君、麗日さんが───あれ?そういえば麗日さんの姿が見えないけどどこに行ったんだろう。あと緑谷君と爆豪君も居ないし。

 

「忘れたの来正ちゃん?次は爆豪ちゃんと麗日ちゃんの試合よ」

「あ、そう言えばそうだった!」

 

 びっくりするほどユートピアって叫んでる場合じゃねぇ!緑谷君に出し抜かれたけど僕も早速応援しに行く、後に続けシンビオート!

 

 

 

 ▼ ▼ ▼ ▼ ▼

 

 

「お邪魔しま────って、麗日さん目怖っ⁉︎」

「あ、来正君達も来たんだ。ちょっと緊張しててね」

 

 控え室で待っていたのは先程試合が終わったばかりの飯田君に緑谷君。そして顔がピキッとなっている麗日さんだった。

……いや、緊張もするよね。なんと言っても相手は男女問わずドロップキックをブチこむ事が出来る爆豪君だ(偏見)

 

 僕だって爆豪と対面して会話するのは怖いよ?たまに声を掛けたりするけどアレは周りに生徒がいるからだけど麗日さんの場合は一対一のマンツーマン。恐怖で体が震えてしまうのは仕方の無いと思う。

 

「緑谷君、爆豪君が手加減する確率って───」

「0に限りなく近いよ」

「だよね」

 

 そりゃそうだよねー……あの爆豪君だもんね、手加減する訳が無い。入学初日のイキってた頃ならまだあり得るけど今の爆豪君はなぁ。

 

『……ヨシ』

「駄目だよシンビオート」

『まだ何もしてないんだが』

「"まだ"って事はこれから何かするつもりだったんだよね?やめて(懇願)」

 

 いや、確かに友達の為に何とかしてあげたいのは山々だけどさぁ。相手が相手だからなぁ……。

 

「……ありがとうねシンビオート君。でも大丈夫だよ」

 

……麗日さん?

 

「デク君の試合の時にさ。言ってたでしょ?…"それにさ、こう言うのは自分で何とかするべきじゃないの?"…って。だから私、自分の力で何とかしてみたい」

「麗日さん……」

「麗日君……」

 

………………。

そうか、それなら手を貸すのは無作法と言う事になっちゃうか。

 

「…麗日さん君は正しいとおm『なら下準備なら問題無いな』えっ?」

 

 シンビオート?……えっ、シンビオート?急に何を言い出すのシンビオーtむぐっ!?コイツ、口を押さえつけて……!

 

「何を言っt『シーッ、麗日。お前には特別サービスだ。心意気に免じて手を貸してやる』ッ⁉︎」

 

 するとシンビオートはシュルシュルと彼女の身体の中へ潜り込んで行き……あっ!麗日さんに乗り移りやがった!?

 

「えっ!?何?何?何が起こったの!?」

「シンビオートが麗日君の体に……⁉︎」

 

『早く行くぞ、時間が無い』

「ちょっと⁉︎え、何するん⁉︎」

 

 そのまま麗日さんはシンビオートに連れられ無理矢理控え室を出て行ってしまい、部屋に残った僕らはただ唖然とするしかなかった……。

 

「……えっーと……来正君?」

「違うからね?シンビオートが勝手に」

「いや それは分かってるが、何が始まるんだ?」

「何がって決まってる……大惨事大戦だ

 

 嫌な予感しかしねぇ

 

 

 

 

 

 

 

「ほら、もう何処でもお行き」

 

 彼女の掌から小鳥が飛び立つ。しばらく宙を舞い、翼をはためかせていると麗日の肩を止まり木に降り立つように止まった。

 

「もうっ、こんな所にいたら危ないよ。ははっ、くすぐったいってば!」

 

 小鳥と戯れる彼女の笑顔はまさしく心の底から溢れた光が如く。そんな彼女の背後からグッと背丈の低い子供が駆け寄って来る。

 

「行かないでお茶子お姉ちゃん……!」

「……大丈夫だよ たかし君。お姉ちゃん絶対に負けないから。それにお姉ちゃんが負けちゃったらお父ちゃんの会社潰れちゃうもん。それに私には皆が居る」

 

 今まで自分と関わって来た人達の事を思い浮かべているのだろう。麗日さんのその表情は眼前に爆豪君が居るにも関わらず不思議と優しい雰囲気だった。

 

……うん 成る程、大体話が読めて来たぞ。

何で鳥とか子供とかがこの場に居るかは敢えてツッコミを入れないと言う事にするとして…麗日さんめ、情に訴えてきやがったッ……!!

 

 並の人間なら確実に罪悪感で降参するような身の上話を爆豪君に語っていやがる……!!もし僕が爆豪の立ち位置なら速攻で先生達に辞退を告げに行くレベルだぞ!

シンビオートめ……呆れるほど効果的な策を思い付きやがったな!

 

「お世話になったまさお先生、地元の友達のえっちゃん まりも よっしー。魚屋のまささん八百屋の大将も町の皆で応援してくれるって言ってた。公民館にパイプ椅子並べて横断幕まで作っちゃってさ……今も皆で この中継見てるんだ。絶対に負けられないよ!!」

 

 そう自分に言い聞かせ彼女は勇気を振り絞った(ような気がする)

そしてその勢いを維持したまま麗日さんは爆豪君に向かって口を開く。

 

「さて……試合を楽しみにしてるよ爆豪君」

「分かった。俺も手加減しねぇ」

話聞いてた!?

 

 が……駄目っ……!麗日の策っ……!裏目に出るっ……!うん、でも何でだろうか。こうなる事が予測出来ていた気がする。と言うか謎の力が働いて予測可能回避不可能って感じだ。

※尚、今までの麗日の語りはフィクションです。

 

「つーか、誰の差し金だ。丸顔女、オメーがこんな事を考えられるとは思えねぇ……まさかとは思うがデクじゃねぇだろうなぁ?」

 

「………いや、違うんですシンビオート君が勝手に」

「そんな事俺が知るか!」

 

 結局、シンビオートの入れ知恵は無意味に終わった。と言うか麗日さん、その台詞 僕の十八番(おはこ)ォォ!!

 

 





ちなみに爆豪を本気にさせたのはシンビオートの目論見通りだった模様。

『少しでも手加減されて負けるのは麗日にとって屈辱な行為だからな』
「そう言うとこやぞシンビオート」

善意ある悪意って性悪だと思うの。



【お詫び】
前回のキャラ紹介をまともに出来ていませんでした。申し訳ありません。

そんな み な さ ま の た め に ぃ 〜
2話分の紹介をしていきます。ほら紹介あくしろよ。


〜〜キャラクター紹介〜〜


『芦戸三奈』
頭部の角は触覚としての役割なのか、酸を放出する器官なのか。それとも性感帯なのか気になるキャラクター。
試合中に編み出した新技アシッドスプラッシュはオリジナルである。例えそれがパクリだとしてもあくまでリスペクトなので悪しからず。

『赤糸虫知朱』
爆豪以上のセンスを持つ隠れた才能マン。主人公にとって第二のソウルメイト(になる予定)
もしもクモ糸の強度が少しでも低ければ芦戸のあられもない姿を見る事ができただろうに……おのれ赤糸虫!

『瀬呂範太』
醤油顔で別次元の御堂筋君。戦闘スタイルは工夫次第で強くなり多人数と組めば戦術の幅が広がると思うの。
劇場版では麗日と組みトンデモ必殺技を仕掛けていた。

……気のせいかそこらのヒーローより強いと思うんですがそれは。

『切島鋭児郎』
主人公が提案した『鉄拳制裁タイム』を気に入ったのかそれを高らかに叫ぶ。しかし最終的に鉄拳制裁もしていないので『ムッシュムラムラ』にその内変わる可能性が……。

『鉄哲徹鐵』
名前の読み方が特殊過ぎるB組キャラクター。上記の切島と個性や性格がダダ被りである。戦った上鳴に対して試合前は軟派で自分とは相容れない相手だと認識していたが、試合中に見せたガッツを認め奇妙な友情が芽生える事となった……。すげぇ、まるで少年漫画だ。

『上鳴電気』
作者の贔屓により (たぶん)原作以上の見せ場が作られたキャラ。
瞬間火力はクラス1、しかしオーバーヒートする。
リスクのある強力な技ってロマンあるよね……。

『麗日お茶子』
悪魔と相乗りした結果が本文の終盤である。勝ち進む為には色々な手を使わないといけないから仕方ないね。
結果的にシンビオートの策は己の首を締める事となった。


ちなみに麗日の語りは僕のヒーローアカデミアすまっしゅ!の作者根田啓史さんがTwitterで公開したネタです。しかし現在削除されてしまい単行本にも載ってない幻のネタとなっています。

他にも色々ありますが印象に残っていたのがこれだったのでやってみようと思いました。



〜〜用語紹介〜〜


『手がTレックス』
元ネタはMCUデッドプールより。
コロッサスを殴ったデッドプールの手首がポッキリ折れてしまったシーン。治るとは言え滅茶苦茶痛いだろうに……。

『花京院の魂を賭ける』
元ネタはジョジョの奇妙な冒険第三部。
ダービー戦にて承太郎がその場に居なかった花京院の魂を賭けたシーン。ギャグ系のMADでたまに使われる事がある。
何度も魂を賭けられる花京院は泣いていい。

「うわぁぁああああーーーーーーッッ!!」
「花京院が暴れ出した!!」



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