違う!シンビオートが勝手に!   作:ゴランド

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 リアルの方が色々あったので投稿が遅れました。
本当に申し訳ない。



25話 違う!シンビオートが……おや?個性の様子が

 

『波乱の第二試合!自爆したかと思いきや、なんかスタイリッシュになって来正恭成が帰って来たァ〜〜〜〜〜ッ!』

 

 やぁ皆、全国中継のカメラに向かってスパイダーマッ!ポーズを決めてる主人公だよ。一度やってみたかったんだよねコレ。

ほら、東映版スパイダーマン主題歌のイントロが聞こえて来るよ。

……え、聞こえない?そんなー(´・ω・`)

 

そんな僕等に相対する赤糸虫君は冷や汗を掻きつつもこちらに言葉を投げかけて来る。

 

「……それにしても細っそりしたね。ダイエットのコツがあるなら是非教えて貰いたいな」

『そんなに知りたいなら教えてやるさ、やり方は至極単純』

 

 シンビオートを纏った指先から鋭い爪がジャキッと音を立てながら伸びる。

 

『肉を削げばすぐに細くなれるさ!』

「悪いけど、痛いのはお断りだねッ!」

 

 パシュッと糸の弾丸が数発コチラに放たれる。

先程までの僕等では対応出来なかったらだろう。しかし今の状態でなら糸を爪で切り裂けるッッ!

 

「ハッ!」

「ッ! 糸を切り裂いたッ⁉︎」

「驚くのはまだ早いッ!シンビオート戦闘体勢ッ!」

『全く…やってやるよ』

 

 直後、僕等の身体に変化が訪れる。先程までの黒光が目立つシンビオートとは異なりプラモデルにツヤ消しを行ったように光沢が控えめ。身体の所々にラインが走ったような模様が浮かび上がり、極めつけに頭部から二つ鋭く尖ったモノが生える。

それは猫耳である。もう一度言おう猫耳である(二回目)

 

『なんと、さらにシンビオートの姿が変わったぁぁああ!これは黒い虎をイメージしてるのか⁉︎』

『どっちか言うとクロジャガーじゃないのか?』

 

 黒豹(ブラック・パンサー)やぞ。虎でもジャガーでもないからね先生達。しかし最高、シンビオートの良い所って架空のヒーローと同じ姿になれる事なんだよね。

……まぁ、色が黒に限定されるケド。

 

「姿を変えた……一体何を……?」

 

 どうやら赤糸虫君は僕のブラックパンサーコスにどんな思惑があるか読み取れないようだ。ふふん、気分が良いから特別に教えてあげるとしよう(上から目線)

 

「猫耳っていいよね」

「えっ、あ……うん?」

 

「そんでもってヒーロー。最高じゃない?」

「え、そ、そうなの?」

 

 そうだよ(念押し) 動物系で尚且つスタイリッシュなヒーロー。こんなに素晴らしいヒーローはそうお目にかかれないからね。うーん二次元最高!

 

『けど、その耳は所詮作り物だよな。それで良いのk「それ以上いけない

 

それを言ったらシンビオート……戦争だぞお前…ッッ!

 

「……ねぇ、落ち込んでる所悪いんだけど始めないの?」

「あ、うん。そうだね とりあえず第二ラウンド開始と行くぞ赤糸虫君!」

 

 直後、僕は相手に向かって肉薄し接近戦を仕掛けていく。右、左、右、右からの上。そんでもって下から。鋭い爪を振るう。

 

「のっ!、危なッ!」

 

 それに対して赤糸虫君は回避、防御等で爪に当たらないようにしている。この程度じゃ"まだ"当たらないか……それならこう言うのはどうだろうかッ!

 

「はい、プレゼントッ!」

「ッ⁉︎」

 

 僕は地面にあった"モノ"を投げつける。

すると、それは鳥のような姿へ変化し彼の()()()()()

 

『おおーーーっと!クナイ⁉︎ だが紙一重の所で赤糸虫が躱したーーーッ!』

 

「まだだッ!」

 

 そのまま僕は、複数落ちているモノを拾い上げると同時にソレを変化させつつ投擲を行う。

 

「バートランッ!」

 

 鳥形の刃は彼の着る体育着の一片を切り裂くが命中する事なくそのまま通り過ぎてしまう。

 

「そんなのモノ効か─────」

 

 効かない。赤糸虫君がそう言おうとした瞬間、驚愕の表情に染まる。

この段階で気がつくとは……!赤糸虫君がその場で跳躍すると四方八方から先程のバードランが飛来し地に突き刺さった。

 

やっぱり死角からの攻撃じゃあまり意味は無いか……まぁ、いいか。既に仕込みは終わっているからね。

 

「さっきからクナイを……一体何処から?」

「知りたい?…それじゃ種明かしと行こうか」

 

 そう僕が呟くと同時に地面にへばり付いたモノに手を添えると呼応するように長刀が形成・出現したのだ。

 

「飛び散ったシンビオートの欠片⁉︎」

 

『Exactly!! 正解だ花丸をつけてやる』

「君を倒すにはトコトン手数が必要になるだろうからね。場の仕込みをさせてもらった」

 

「君のスパイダーセンス……とどのつまり第六感的なセンサーは死角・認識外からの攻撃を感知する事が可能だ」

 

 その結果、君に効率良くダメージを与える為には不意打ちは相性が悪い事が分かった。

……いや、僕自身もヒーローが不意打ちするのはどうかと思うけどね?

 

まぁ、とどのつまり何が言いたいかと言うと───

 

「正面から君を叩くッ!」

「⁉︎」

 

 長刀による横薙ぎを相手は跳躍する事により回避する。そのまま追撃の斬撃を幾度も彼に加えていく。

十文字・横一閃・突き・斬り上げ・etc…!

次々と繰り出される剣術に対して慣れてない為か、赤糸虫君は避けるのに手一杯のようだ。なら、とことん攻めさせてもらう!ガトチュエロスタイル!

 

「こっ…のッ……いい加減にしろッ!」

 

──バキンッ!

 

 直後、赤糸虫君は刀の真上に跳んだかと思うと踏みつける形で黒刀が真っ二つに……って⁉︎

 

「あっ、折れたァ⁉︎」

「そこっ!」

 

 そのまま顔面に蹴りを入れられた僕は後方へ吹き飛ばされる。すると体勢を崩した僕の視界に糸を発射する準備に取り掛かるのを彼の姿が映る。

また視界を潰す気なのか?それならシンビオート!弓と矢尻の用意!

 

『よーく狙え。外すなよ』

「分かってる!」

 

 糸が射出されたと同時に身体の一部を弓に変化させ、全てをはたき落とす。さらに地面にへばり付いたシンビオートの一部を矢に変化させ弦を引き絞り……放つ!

 

『SET』

「三発同時に持って行けッ!」

 

 パァンッ!と三本の矢尻に見立てた黒いモノが勢い良く赤糸虫君に向かって射出される。

それに対して彼は空中で身体を捻りながら一本目と二本目は難無く躱し最後の矢は糸を付着させると遠心力を利用しながらコチラに向かって投げ飛ばして来た。

 

「コレ返すよッ!」

「ありがとう」

 

その飛ばし返した矢を掴むと、一本の長柄武器に変化させて接近戦を仕掛ける。

 

「ちょっと君、武器使い過ぎだよ!丸腰相手に恥ずかしくないの⁉︎」

「それスナイプ先生の前でも同じ事言える?」

『HAHAHA!結局は強い方が勝つ!この世は弱肉強食、今は悪魔が微笑む時代なんだ!』

 

 そんなモヒカンが生えたような台詞を言い放つシンビオートを他所に手に収めた棒を振るう。

 

『千変万化にして自由自在ィ!オイオイオイオイ!すげーな、どんだけ武術習ってんだよアイツ!』

『いいや、アイツの武器の扱いだが恐らく全て我流だ。武術なんて一切習ってないだろうな』

『まじで?でもスッゲー扱い上手いけどな!』

 

 解説どうも相澤先生。

先生の言う通り僕は武器に関する教養なんて一切無い。全て独学によるモノだ。だからこそ、自分なりのシンビオートの特性に見合った我流武器術。編み出す事に成功したんだ。

 

「でも、相当な鍛錬を積み重ねないとそんな扱い方は……!」

「今の時代は動画サイトと言うモノがあってだね!弓が上手いおじさんに忍者タートルズとかに画面の向こうからたっぷり教えてもらったよ!」

「弓…忍者……えっ?」

 

 まぁ、困惑するのも仕方ないよね。うん、あと今更だけど相手に手の内をバラしちゃうのも如何なものかと思うぞ相澤先生ィ‼︎

 

「──ッ隙を「見せた訳無いんだよねコレが!」

 

 隙を突き懐に潜り込んで来た赤糸虫君に対し長柄武器を二つのスティックに分離、変化させ攻撃を防ぐ。

 

「一体、いくつ武器を扱えるのさ君……」

「そうだね…刀に盾、棒に弓矢。二刀流とカリスティックやトンファーに槌とか斧。あとはその他諸々!」

 

 驚愕の表情を浮かべる赤糸虫君には悪いけど今のうちに攻めさせて貰うッ!君のセンサー(スパイダーセンス)は厄介だ。ある意味で君は全身の至る箇所に目を持ってるのと同じだからね。

でも、これまで攻撃して来てそのセンサーを攻略するのは困難だと理解した。

……なので、君の"センサーを封じさせてもらう"ッ!

 

「行くぞッ!まずは()()()()()!」

「⁉︎」

 

 正面から迫る二つの棒を両手で防ぐ赤糸虫君。よし、狙い通り次だ!

 

「爪だッ!」

「右から……ッ⁉︎」

 

「そして蹴りィ!」

「ぐっ!(どうして…自分から……⁉︎)」

 

 困惑の顔を浮かべながら戦う相手に僕は内心、確信付いた事があった。彼のセンサーは自身の認識した攻撃に対しては一切反応しない!

 

つまりは、これからどんな攻撃をするのか事前に伝えれば良い訳だ!

 

「なんと(イガリマ)ァ!」

『見ろ、魂を()()る形をしてるだろ』

 

「いや、"魂を刈り取る"と言うか"肉を抉り削る'形ィ⁉︎(駄目だ…!相手の雰囲気にかき乱されて対応し切れない……ッ、良く見ろ、良く見るんだ赤糸虫知朱…!次に相手はどんな武器を使う?それを見れば突破口は見えて来るッ!)」

 

 

 

 

「いいぞ、その調子だ!」

『次はトンファーで行くぞ!』

 

(トンファー…!それならある程度、どんな攻撃が来るか予想出来る!まずは一旦距離を置いて………

 

 

 

トンファーキックゥッ!

「!?!!?!??(いや、トンファー関係無くないそれェ⁉︎)」

 

『形成逆転!来正がどんどん追い込んで行くゥーーー!』

『アイツのペースに呑まれているのか上手く実力が発揮出来てないみたいだな』

 

 よし、トンファーキックがまともに入った!例えどんな攻撃が掠ったとしても諦めるな!百発の攻撃で倒せぬ相手だからといって、一発の力に頼ってはならぬ。一千発の攻撃を加えるのだ! 古事記にも書かれている(偏見)

このまま追い詰めれば勝てる!

 

『補助は全てオレがやる!決めろキョウセイ!』

「勿論ッ!」

 

「いや……これなら──どうだッ!」

 

 直後、今までと比べて太い糸が僕の腕に巻き付く。爪で刈り取ろうとするがあまりの糸の密度に小さな傷が入った程度だ。

 

「ついでにこれをッ!」

「首にッ⁉︎ この程度で僕達を倒せ───」

 

「うん。だけど、こうしたらダメージが通るんじゃないのッ!?」

 

───BZZZZZZZ!!

 

「何を言っ─でばばばばばばッ⁉︎」

『な……にぃ……ッ⁉︎ で、()()だとぉ!?』

 

 アバババババババッ⁉︎せ、赤糸虫君、スパイダーマンはスパイダーマンでもマイルスの方だったののののののの⁉︎

 

 

「で、電気⁉︎俺みたいに電気流してるぞアイツ!」

「でも蜘蛛って電撃なんて流せるか?」

「いや、多分だけど轟君みたいに赤糸虫と言う人の個性は複合型だ!」

 

 観客席の方で緑谷君達が話してるけど そうか、それなら合点が行く。……いや、だとしてもこっちはかなりピンチなんだよよよよよよよよ⁉︎

 

『おぉーっと!来正恭成が膝を付いたーーーーッ!上鳴電気の放電すらも耐えた筈なのにこれはどう言う事だ⁉︎』

『今の来正は電撃を防いでいた防御膜(シンビオート)が手薄になった状態だ。直接身体に電撃流されればひとたまりも無いだろう』

 

「こんな隠し技をををを⁉︎」

「さぁ、これで形成逆転だッ!」

 

 電撃が全身を伝わり上手く力が入らない。その所為か意識も徐々に混濁していく。

ま、ずい……目の前が…まっ、し ろ になっ て………このま…ま 負 けte────たまるかァッッ!!!

 

 

「お゛……お゛おおおお゛おお゛ッ゛ッ!」

「なっ⁉︎」

 

『なんと、来正!自ら糸を身体に巻き付けながら赤糸虫に接近していく〜〜〜〜〜!!』

 

 あ゛あ゛くそッ!全身が痺れて筋肉が上手く働かないぞチクショウ!

ウィップラッシュを相手にしたアイアンマンの戦いを参考にしたけど実際にやるとシンドくて堪らないなぁッ!………でも、それ以上に負けられないッッ!

 

「おおおおおおおおおおおッ!」

「ッ!うおおおおおお!」

 

『おおーーーっと!これは、殴り合いだァーーーー!一方は電撃を纏った拳、もう一方は黒を纏った拳!テレビの前のリスナー達注目ゥ!お前ら好みの展開だ!』

 

「どりゃぁッ!」

「ッ!」

 

 至近距離から殴り、蹴り、一本背負いの要領で投げ飛ばす。

……が投げ飛ばされた彼は上手く受け身を取り、コチラに飛び掛かり拳を打ち込んで来る。

 

その程度でがっ!? 僕とシンビオートならぐっ!負ける道理がnぶぼっ!?ちょっと待っt ぐえっ!一方的にはやめtおごぉッ!?

 

『……いや、一方的だぁーーーーっ⁉︎赤糸虫に一方的に殴られてるぞ来正!』

『赤糸虫は蜘蛛のように視力が半端じゃない、アイツと殴り合うのは非効率的だ……選択を誤ったか?』

 

 選択を誤ると言うか……現在進行形で電撃流されてる所為で考えが上手く纏まらない以前に身体が言う事を聞かないんだけど⁉︎

あ、不味い!赤糸虫君が迫って───

 

「はあッッ!」

 

──SPANG!!

 

「がっ……⁉︎」

 

『赤糸虫のムーンサルトが来正の顎を捉えたーーーー!勝負あったか⁉︎』

 

 あ、くそ……。もう少し……あと、一発…あと一発殴る気力が有れば……!

脳震盪によるものか、電気を流され続けて限界に達したのか。僕はそのまま後方へ倒れ込んで─────

 

 

 

 

力を貸そう

 

 

「ッ!?」

 

 

 頭の中に声が……⁉︎

 

 

受け継がれた力を 君も扱える 腰に力を まだ君は立てる さぁ、前を見据えろ お前はまだやれるよ

 

 

 いや、一つだけじゃない。複数人もの不明瞭な声が響いて来ている⁉︎

なんだ、これは……さっきの衝撃や電撃で頭がおかしくなったのか⁉︎それとも幻術か⁉︎また幻術なのか⁉︎

 

 

 少年、更に向こうへ……

 君ならまだ、戦える!

 

 

 この声は………⁉︎

 

 

「うぉおおおおおらぁあああッッ!」

「ッ⁉︎」

 

『おおーーーっと!来正恭成、なんと身体に巻き付いた糸を無理矢理引き千切りながら復活!』

 

「はぁ…、はぁ…、シンビオート。変な声を頭に響かせるのやめて。本気でイカレたかと思ったんだけど(半ギレ)」

『……? 現在進行形で頭がイカレてるの間違いじゃないのか?』

 

 おい、それはどう言う事か説明して貰おうじゃないかシンビオートこの野郎。

……いや、今はそんな事してる場合じゃない。よく分からないけど今は不思議と頭の中がスッキリしているし、考えも上手く纏まる!

 

「さっきので立てるなんて……!一体何が…⁉︎」

「分からないだろ……僕も分かんない」

『……頭がイカレたか』

 

 あー聞こえない聞こえない。ともかくやるぞシンビオート!長柄武器である棍を欠片から形成し赤糸虫君に向かって振るう。

 

「はっ!」

「それはもう効かない!」

 

 手元を蹴られてしまい武器を落とす。その瞬間に放たれた糸によって使い物にならなくなってしまった。

それなら……ッ!

 

「ハンマーで……どうだッ!」

『ブッ潰れろォ!』

 

 一回、二回と力任せに振り回したそれはズガンと!音を立てながらコンクリ製の地を砕く。

 

──パシュッ

 

 しかし三回目の攻撃直後。ステージとハンマーがぶつかる瞬間を見計らってか、糸によって再び使い物にならなくなってしまう。

 

「もうボク相手に武器は通用しないよ!」

 

『チッ無駄に学習しやがって…!』

「やっぱり最後は素手か」

 

 形成した爪でガリガリと床を削りつつ接近戦を再び仕掛ける。初撃を回避されカウンターをされつつも僕はそれを防ぐ。

 

「ッ!ならこれで!」

 

 僕を蹴る反動で宙返りしつつ、赤糸虫君は糸を飛ばすが

 

「全て打ち消すッ!」

『無駄ァ!』

 

 爪を巧みに扱い、糸を裂いて行く。武器による戦闘はこちらが上。しかし素手の場合ではあちらの方が有利なのは先の戦いで理解してるつもりだ。

……けど、

 

「もう、僕相手にその戦法は通用しないッ!」

『同じ台詞を返される気分はどんな気持ちだ?なぁ!』

 

「この……!」

 

『凄まじい接戦〜〜〜ッ! さっきまでとは打って変わって互角の勝負を繰り広げる!』

『互いに体力は限界に近い。どちらかが決め手を加えれば終わりだ』

 

 解説の通りカウンターを防ぐ、糸を全て撃ち落とすなんてずっと出来るものじゃない、ソレはあちらだって同じだ。

……恐らく、次の攻撃でこの試合は終わる。

 

「……シンビオート、僕を信じて欲しい」

『……良いだろう』

 

 直後、僕は両手を突き出し容量の少ないシンビオートを溜めて放つ!

 

『全弾持って行け!』

「必殺!SYMBIOTE(シンビオート)SPLASH(スプラッシュ)!!」

 

──ドドドドドドッッ!!

 

 黒の弾丸がショットガンの如く一斉に撃ち出される。弾丸の雨霰に対して赤糸虫君は……!

 

「来ると思った!」

 

 頭上に存在する観客席に向けて糸を放ち、身体を上空へ持ち上げる事によってコチラの技を回避したのだ。

 

「君が決め手に使うのはソレだと思った!」

 

 これまで以上に密度の高い糸が僕の全身を縛る。隙の大きな必殺技の直後を狙って拘束して来たか……!

 

「これで終わりだッ!」

 

 電撃を伴う掌底。彼がコチラに来るまで残りわずか、それに対して僕達は────

 

 

 

『馬鹿が。そんなのが来るのは既に想定済なんだよ』

「う゛おおおおおおおおおおッッ!!」

 

──ブチ、ブチブチブチッ!

 

「なっ⁉︎い、糸を引き千切った⁉︎どうやって⁉︎」

 

 そんな事、僕が知るかッ!けど……君が必殺技の直後を狙って来るだろうとは予測していた!君がカウンターで決めて来るならこっちもカウンターで決めさせてもらう!

 

『空中じゃ身動き取れないなぁ!』

「ッ、それでも…!」

 

 尚もコチラに向かって来る彼に対し、僕の腕に自然と力が湧き上がる。何故先程も高密度の糸を解けたのか?何故僕の頭の中に声が響いたのか?

そんな疑問を吹き飛ばすかのように凄まじいエネルギーが全身を迸る。

 

「それは⁉︎(腕が輝いて……⁉︎)」

「これは自慢の拳だぁぁあああああッッ!(技を借りるぞ緑谷君!)」

 

 直後 大砲の弾が放たれるように、パイルバンガーの杭が放たれるように。

腕のエネルギーが爆発する───!

 

 

「SMAAAAAAASH!!」

 

 

刹那、景色が逆流する。

 

 

 

 ▼ ▼ ▼ ▼ ▼

 

 

 

『起きろ!』

「────はッ⁉︎」

 

 来正恭成はいつの間にか意識を失っていたらしい。彼が我に返り前方へ注意を向けると………。

 

「……えっ、何これ(畏怖)」

 

 眼前にはステージを抉られ壁にクレーターが出来た光景が広がっていた。直後、審判のミッドナイトの声が響き渡る。

 

「せっ、赤糸虫さん場外 来正君第三回戦進出!担架急いで!」

 

 そのままステージ外にて倒れ伏した赤糸虫は救護班に運ばれて行ってしまった。呆然とする彼の元にミッドナイトが駆け寄って来る。

 

「来正君も早く保健室に行きなさい」

「えっ、急に何を言ってるんです?」

 

 状況が理解出来てない様子の来正。そんな彼にシンビオートが肩を叩くと、とある箇所に注目させられる。

 

『自分の腕を見ろ』

「はぁ?腕を見ろって何言って───」

 

 突如として来正の声が途切れる。これまで気が付かなかったのは痛みすらも感知出来ない程までのものだった為か、それが何を意味するかと言うと……腕がとんでもない有様だったのである。端的に言えばミンチよりも酷ぇ状態。

 

「」

 

 言葉を失い、暫しのフレーメン反応が発生。そしてようやく状況を理解したのだろうか。

 

腕ぇええええええええええええッ⁉︎…ウ-ン(気絶)」

「来正君⁉︎第二救護班急いで!」

 

 金切り声を上げ、そのまま気絶してしまった。そんな彼の元に医療チームが駆け寄って行く光景が広がり観客達はざわざわと騒がしくなっていく。

 

 

「ハッ、最後で気絶するなんざザマァねぇな!」

「爆豪おまえ……」

 

「二人ともダウンって来正平気なのか?」

「自分で治せるから大丈夫じゃね」

「リカバリーガールの治療もあるから心配無いだろう」

 

 そんな様子を目の当たりにするクラスメイト達の反応は様々である。

 

「いやぁ、凄い試合だったねデク君!……デク君?どうしたの、汗凄いよ」

「えっ、あ、うん。なんでも無いよ麗日さん(そんな……嘘だ。どうして……?)」

 

 そんなクラスメイトの中、緑谷出久は先程の光景に動揺していた。

……いや、動揺していたのは彼だけでは無い。

 

「Jesus……!どうなっているんだ……⁉︎」

 

 教員達の観客席に座るNo.1ヒーローであるオールマイトもまた信じられないようなモノを見たかのように唖然としていた。

 

(どうして?嘘だ、そんな!)

(有り得ない、ならばどう説明がつく?)

 

 

 

何で来正君/来正少年が────

 

 

 

 

 

 

───OFA(ワン・フォー・オール)を使えるんだ!?

 

 

 彼等の来正恭成に対する疑問は尽きる事が無かった。

何故継承してない筈のソレを扱えるのか。そんな疑問を彼等を縛り付け、時間は経過して行く………。

 

 

 

 

 ▼ ▼ ▼ ▼ ▼

 

 

 

 

『ハァイ、キョウセイ。お目覚めは如何かな?』

「あー……最悪。なんかものすっっごく疲れた」

 

 目が覚めるとそこは見知らぬ天井……と言うわけでは無く保健室(出張)の天井だったと。最後に見た光景が確かお茶の間に流せないくらい酷い事になった腕だったと思うんだけど。

 

……成る程、さっきまでの光景は夢か!(現実逃避)

ベッドで寝てた感じだし夢に違いないな!(念入り)

 

『ところがどっこい夢じゃありません…!全て現実…!』

「嘘だ…!僕を騙そうとしている……!」

 

「あんたら煩いね、もう少し静かに出来ないのかい!」

 

 カーテンが開かれ、そこには椅子に腰掛けたリカバリーガールが居た。あっ、本当に現実なんだ。

 

「あんたのその腕、もう大丈夫なのかい?」

「えっ、あー……ハイ。多少痺れますが動かせるんで大丈夫です」

 

 

 腕を包帯でグルグル巻かれてるとは言えシンビオートの治療を頼ればすぐに戻るだろうからへーきへーき。後遺症は……まぁ、特になさそうだから問題ないだろ(投げやり)

 

「あんたね……どうやったら緑谷みたいに腕を壊せるんだい。内側から爆発したような怪我だよ」

「ヒェッ 何それ怖い」

「そんな力を出せたあんたの方が怖いと思うけどね」

 

 うーん、僕は超人じゃないけどコレがいわゆる火事場のクソ力的なヤツなのかな。キン肉マンこんなのいつも使ってんのかスゲーな。

 

「とにかく、まだ怪我人も居るんだ。暫くは大人しくしているんだね」

 

 そう告げるとリカバリーガールは部屋から出て行ってしまった。

……トイレだろうか?それにしても僕って、あんなスーパーマンじみたパワー出せたっけ?

 

あっ、そう言えば(唐突)

 

「本当にシンビオートって、あの時に変な声で語り掛けて来なかったの?」

『何度も言ってるがオレは知らない。そんなに心配なら脳検査でも受ければいいんじゃないのか?』

「それは遠回しに頭がおかしいって言いたいのかな、ん?」

 

 シンビオートも知らないかぁ……でも、なんだろうなぁ。最後の方で聞こえた二つの声。何処となく緑谷君とオールマイトの声に似てた気が……。

 

 

 

「んむ………」

 

 

 ふと隣のベッドから声が聴こえる。何だろう?と疑問に思い視線を声の方に向けるそこにはスヤスヤと眠っている赤糸虫君が居た。

………あっ、やべぇ。赤糸虫君(をトンデモ威力で殴り飛ばした事)をすっかり忘れていた。

 

 様子を見る限りリカバリーガールの処置は済んでいるだろうけど、どうしよう。これじゃあ好感度駄々下がりだ…!このままでは彼とソウルメイトになるどころか、これから先ずっと敵意を向けられる可能性ががががが

 

こうなったら、起きたタイミングを見計らって治療→ありがとナス!(好感度うなぎ上り)→ユウジョウ!→僕らフレンズだもんげ!

 

ヨシ!(現場猫感) これで好感度上昇間違いなしやろ!

そうと決まれば早速……ところで赤糸虫君いつ起きるんです?(ガバ)

 

『……しょうがねぇなぁ』

 

 ん?どうしたのシンビオート、なんか急にCV:野○雅子めいた口調になって。それに赤糸虫君の顔に近づいて───

 

 

がちゅ

 

「あっ」

「すぅ…すぅ…ん、む?……んんんんんんん゛ん゛んんんん゛!?

 

 シンビオートが赤糸虫君の首から上に齧り付いて濃厚的搾取(意味深では無い)してる光景。それを見せられる僕の心情は「あぁ、またこれか壊れるなぁ」と冷静なものだった。

 

「〜〜〜〜ぶはっっっ⁉︎なになになになに⁉︎何が起きたの⁉︎」

 

「……あ、どうも」

『ハァイ ジョージィ…』

 

 辺りを見渡しつつ、こちらの顔を数回確認。そしてようやく状況を理解出来たのかクソデカ溜息を吐いた後に口を開く。

 

「あぁ、そうか。負けたんだねボク」

「うん。そうだけど……」

 

 あれ、思っていたより落ち込んでないと言うかやけに冷静と言うか……でも何はともあれ元気そうで良かった。それに好感度が下がっているようにも見えないs

 

『ねぇ どんな気持ち?どんな気持ち?勝つと言っておきながら呆気なく負けたのってどんな気持t「シンビオートォ!

 

 いつものうに爆弾投下をするのをヤメロォ!あれか、お前の中身は(爆弾)を撒き散らさないと気が済まないバゼルギウスだったりするのかこの野郎!

 

「大丈夫だよ別に気にしt───っ!」

「!? 赤糸虫君大丈夫?」

 

 僕はベッドから出ると苦痛で顔を歪ませた彼の元に駆け寄る。不味い、やっぱりあの威力の技(?)を至近距離から受けていれば傷も残ってる筈だよ。

 

と言うかリカバリーガールの治癒でも治しきれないって……臓器辺りにダメージが残ってる感じかな。

 

「動かないで、とりあえず傷を治そう。シンビオート頼んだからね」

『終わったらチョコ』

「はいはい」

『ゴデバでな』※高級ブランドのチョコ

 

 足元見やがって……!まぁいい。とりあえず早速治す為に衣服を……衣服を……って。

 

「あの赤糸虫君?ちょっと服から手を離して貰っていいかな?」

「……無理」

「いや無理じゃなくて、離して貰わないと傷治せないんだけど」

「あ、うん。大丈夫だから…」

 

 なんで顔赤くしてるの君。別にラブコメ的な展開でも無い訳だから心配する必要は────はっ、そう言う事か!(唐突な閃き)

 

「大丈夫だよ赤糸虫君。僕は普通に女性が好みだ

「いやそう言う問題じゃないんだけど⁉︎」

 

 なんで?僕って別に男色家でも無ければホモでも無いノンケだからね?純粋に女性好きだからね?

……えっ、動物はどうなんだって?

けものは性別関係無く愛するものだルルォ!

 

「大丈夫。僕別に肌を見ても気にしないから」

「いやボクが気にするから!ホント勘弁してッ!?」

 

 ええい、拉致が開かない!もし肋骨が折れてたら内臓に突き刺さる可能性だってあるのに……!

 

「あぁもうッ!行けシンビオート!くすぐる攻撃!」

『チョッギップルリィィイイイイイ』

 

「あっ⁉︎あははははハハははは!?ちょっと⁉︎や、やめッ、ヤメロー!!脇腹はちょっと待って!アハハ!やめっ、やめっ!あははははははははははははは!?」

 

 よし、隙あり!

 

「あっ!?」

「あちゃー、痣になってる。下手すれば内蔵までに傷が残ってる可能性も……」

「あっ……、あっ……あ……ッ⁉︎」

 

 全く顔を赤くしちゃって、女子じゃあるまいし。……いやでも、体を見られたくない人もいるよね。うん流石に無理矢理は良くないな後でちゃんと謝らないと。

 

『キョウセイ、それ以上視線を上に向けるなよ』

「は?何言っt───────

 

視線を上に動かすとそこには男性が付ける必要の無いものが……うん?

 

 

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【主人公s脳内】

 

  いや、       どう言う事?

 なんで?    これは?

WHY?      

    幻術か?     また幻術なのか?

           すっごーい!

オレはお前のオモチャのチャチャチャ?

  磯野サッカーしようぜ!  

          ウンチ-コングって知ってる?        

ニゴリエ-スハオレノモノダ!パンツハワタサン!  ウェッ!?タチバナサン!?

 ひ ろ が る プ ラ ズ マ

 

 

……ヨシ、落ち着いたな。とりあえず冷静に状況を分析してみようか。目の前には赤糸虫君。そして僕は上着を無理矢理脱がそうとした。

 

うん、そこまでは良いよ?

 

 ただ問題なのは赤糸虫君が"胸部に布地のモノを纏っていた"事なんだよね。これってアレだよね?女性特有の上着に似てる……と言うかそれそのもの(ブラジャー)だよね?

え、という事は何?赤糸虫君って……赤糸虫さん?

 

……ハイハイ成る程。そういう事ね大体分かった()

 

「赤糸虫く…じゃなくて赤糸虫さん」

「ひゃ、ひゃい⁉︎」

 

「罰は受けます(肝の据わった目)…heyシンビオート」

『Are You Ready?』

 

 出来てるよ……と、言うわけで強姦未遂の主人公を裁くRTAはっじまーるよー。ルール説明は省きます時間の無駄なんでね(白目)

それではハイ、よーいスタート(棒読み)

 

戒めーーーーーっ!

「うわぁぁあああああッッ!!??来正君ーーッ!?」

 

「わーたーしーが!来正少年と話しに来たああああああああああああああああああああッ!?」

「オールマイトどうしmうわぁぁあああっ!殺人現場ああああああああああああああああ!?!?」

 

「えっ、いや違うから!ボクじゃないからね!これシンビオートが勝手に!!」

『同意によるものだぞ』

 

 鮮血がぴゅーっと舞う中、室内に入って来たオールマイト、緑谷君。そして実は女の子だった赤糸虫君…じゃなくて赤糸虫さんの声で騒がしくなる中、僕の意識は暗転していく……あとついでに一言。

 

切腹って思った以上に痛いんだなって……。

 






男装女子にハプニング(ラッキースケベ)はベストマッチな組み合わせだと思います(煩悩)



〜〜キャラクター紹介〜〜

『来正恭成』
主人公(性犯罪者予備軍)。一線を危うく超えそうになった人。試合に勝ったが色々な意味(主に社会的な意味)で負けそうになったので自害した。うーん、字面が意味不明。

『シンビオート』
細くなった状態で戦った寄生生物。本来は肉体側をシンビオートが、作戦・指示を来正が行うが、その担当を交代する事によって来正の狡猾な戦法が前面に押し出された形態として戦った。
しかし、この形態でのシンビオートはあくまで来正の補助に回るのであまり好んで使うものでは無いらしい。

『赤糸虫知朱』
性別:♀
マルチバースの中でヒロアカ世界におけるスパイディ枠。
個性は蜘蛛っぽい事なら何でも出来る上に、電撃を発生させる事も可能。その内透明になったりするかもしれない。
腹パン(超強)を喰らうが何ともなかったぜ(震え声)



〜〜用語紹介〜〜

『我流武器術』
主人公が編み出した独自の武器術。シンビオートを武器に見立てる事により爪から剣へ、剣から槌へ、槌から弓へと凡ゆる状況に対応可能。しかし決して武器の扱いに長けている訳では無く、あくまで凡ゆる武器の扱いに慣れているだけ。
仮に正々堂々と武器の達人相手と戦う事になれば主人公は不利になる。

『ブラックパンサー』
アフリカの先進国ワカンダの王 ティチャラが黒豹のスーツを身に纏ったヒーロー。MCU版では全身がヴィヴラニウムと言うトンデモチートなスーツを纏っていた。
ちなみに吹き替え版の台詞「ワカンダフォーエバー」は今でもダサいと思う。けど個人的には好き。

『バードラン』
ガッチャマンより。G1号こと大鷲の健が扱う鳥形ブーメラン。だが別にグルグル回転しながら飛ぶ訳では無いので、ブーメランと言うよりは鳥の形をした投擲武器。

『弓の上手いおじさん』
アベンジャーズ中の一般人()のホークアイ。天才、超人等が揃うアベンジャーズの中で人間を卒業してないキャラクター。しかし弓矢のみで宇宙人達と戦ってるの凄い(小並感)

『忍者タートルズ』
ミュータント・タートルズの呼名の一つ。下水道に住む4匹の亀達(人型)の事を呼ぶ。今までアニメ化、実写化を何度もされている海外で人気の作品。ちなみにリアルタイムで新亀を観ていました。

『ウィップラッシュ』
アイアンマンに登場する敵の一人。本名はコミック版ではマーク・スカーロッティだがMCU版ではイワン・バンコになっている。
MCU版アイアンマン2にて素肌の上からギアを装着したイワンvsアイアンマンマーク5が印象に残っている。





試合最後に使ったワン・フォー・オール。
アレに関してはシンビオートが乗り移った事のある宿主の力をコピーすると言う能力が関係しています。コミック(原作)でもヴェノムはスパイダーマンに寄生した後、糸やスパイダーセンスを獲得しております。

ちなみに今まで(治療によって)乗り移った事があるのは緑谷君ばかり。つまりはそう言う事です。


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