違う!シンビオートが勝手に!   作:ゴランド

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 投稿遅れて申し訳ありません。今回はネタ少なめでお送りします。



26話 違う!シンビオートが勝手に母呼ばわりを!

 

「………と、言うと。自分自身でも理解出来ない謎の現象が起こったと言う訳だね」

「はい。まさか腕がぐちゃぐちゃになるとは思いませんでしたけど」

 

 Hiya、Georgie(やぁ、みんな)。Aren't you gonna say、hello(挨拶はしてくれないの)?

………うん、なんか排水溝でオススメしてる変なピエロが憑依したような気がする主人公だよ。何故かオールマイトと面談的な事をしてるけど、僕自身何が起きたかさっぱり分からない。

 

「君の個性、シンビオートだったかな?多分これからも成長していくと思う」

「えっ、これ以上も成長するんですか?」

 

正直言って、もう十分な程の強さだと思うんですがそれは。

 

「いや、私が懸念してるのは個性のコントロールについてだ。何らかの要因で緑谷少年に似た力を宿した君はもしかしたらこの先、更なる力を獲得する可能性もある。君は個性の扱いは上手いがさっきみたいに身体を壊すかもしれないからね」

「……暴走ですか」

「YES、もしこの先また新しい力を手にする事となれば課題は増え続けるばかりだ。気をつけてくれよ来正少年!」

 

僕は「はい」と頷く。

 

「よし!……それと赤糸虫()()についてだが」

「いや違うんです誤解ですからホント勘弁してください」

「お、おう」

 

 本当いや、マジで本気に誤解なんです。いやだって赤糸虫君…じゃなかった。赤糸虫さんが女性だなんて誰が分かるんだよ!と言うか本人も何故にズボン履いていたの⁉︎普通女子生徒はスカート履くもんでしょ!

 

「いや、赤糸虫少女は入学時にスラックス(女性用ズボン)着用の許可を得ていたから……」

「あっ、そっすか」

 

 うん、コレ完全にこっちの落ち度だね。勝手に男と勘違いしてラッキースケベ(死)をかましたコッチが悪いね。

ハハハハハハハハハハハハ、よし謝礼金を用意しよう。

 

「示談で許して貰うには高校生の小遣いで足りるんですかね?」

「え、いや私に聞かれても……」

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 結局オールマイトからしばらく様子を見る為、体育祭が終わった後に謝りに行きなさいとありがたいアドバイスを頂き僕は急いで観客席に向かって駆けていた。

何故かと言うともう既に次の試合である切島君と鉄哲君の試合が終わり、爆豪君と飯田君の試合が始まってるからだ。

 

「到着っと!」

「お、やっと来たか。随分遅かったな」

 

 すると僕等に気付いた砂藤君が「見てみろよ」と言わんばかりにステージへ指をさす。

そこには猛スピードで爆豪君に迫る飯田君の姿があった。

 

「であぁっ!」

「っ!甘えんだよッ!」

 

 エンジンのスピードを生かした蹴り。それに対して爆豪君は爆破の反動で空中を自在に駆け巡り、容易く躱してしまう。

 

『小回りの効く爆豪に対し飯田ダメージを与えられずーーーッ!さて、お次はどうする⁉︎』

 

「ンなもん効かねぇわ!サッサとアレ使えや!」

「ッ!……それがお望みなら!」

 

 すると飯田君は爆豪から距離を離すとクラウチングスタートの構えを取った。

……コレは!

 

『アレを使って来るか!』

「飯田君の全力疾走!」

 

「レシプロ・バーストォォ!!」

 

 直後、青い炎を脚部のマフラーから噴出させながら飯田君は爆豪君に接近を行う。

やっぱり速い!アレじゃ流石の爆豪君だって追いつけない⁉︎

 

「うおおおおッ!」

「チッ───!」

 

───SPANG!

 

 一気に懐に潜り込むとその場でバク転するように縦回転蹴り(ムーンサルト)が爆豪君の顎を捉えた!

 

『ヒャア!最高ギアによる蹴り!コレでヤツの顎と肉は砕けた!』

「そんな生々しい実況は(求めて)ないです……ん?」

 

──……ぐるん

 

 爆豪君が蹴り飛ばされて……そのまま綺麗に着地した⁉︎そんなまともに蹴りが入った筈なのにどうして……⁉︎

 

「いや違う!かっちゃんは蹴りが当たる直前にバク転することで威力を殺したんだ!」

「あの速さの蹴りをか⁉︎」

「あーやだやだこれだから才能マンは……!」

 

 緑谷君の分析によって僕を含めた周りの皆が騒がしくなっていく。いやいやマジでどうやったら蹴りの威力を軽減させられるのさ……!

 

「何っ!?」

「甘えんだよメガネがよォ!」

 

BOOOOOOM!!

 

 そんな驚愕に満ちた飯田君に対し隙を見逃す筈もない爆豪君はすかさず接近からの爆破をお見舞いする。

 

「飯田君!」

「飯田が場外にィィ!?」

 

 そんな光景に皆が声を上げていく。

……あ、うん。確かに場外へ飛び出しちゃったね?でもさ、

 

「それ飯田君の飯田君んんんんん!!」

 

 ステージ外に出たの眼鏡だから!眼鏡が本体じゃないからね⁉︎飯田君はメガネ掛けてるけどメガネ掛け機じゃないんだよ!

 

「ハッ、眼鏡ぶっ壊したら少しは周りが見えるようになったんじゃねぇのか ええ?坊ちゃんよォ!」

「……確かにそうかもしれないな」

「あ?」

 

 ん?飯田君、何故か自信満々だけどもしかして何か秘策が……!

 

「先程外れたのは重りだ」

「は?」

 

……はい?

 

「あの眼鏡は通常と比べて10倍の質量を持つ眼鏡だ」

「……は?(二回目)」

 

………んん?ちょっと何言ってるか分からないです(サンドイッチマン)

と言うか何故に重りなんて……あっ、やべ「重り付けて走ったら?」って言ったの僕だったわ。えっ?飯田君確かに真面目だけど僕が言った冗談を本気にしていたの?

 

………うん!よく分からんがヨシ!

とりあえず飯田君がそう思ってるならそう言う事にしておこう。

 

「真正面から……!」

「何しようが真正面から叩き殺してやるよ!」

 

「最速で……!」

「生意気言ってんじゃねぇぞッ!」

 

「全て…振り切る……ッ!」

 

 瞬間、ロケットの如く飯田君の脚から爆破のように炎が噴き上がり…消え失せた。

 

「は……?」

 

 直後、唖然とする爆豪君の背後に蹴りが迫る。

 

「ッ⁉︎」

 

 気配を察知したのか、後方に手の平を向け爆破による攻撃を行う。

……が、背後に居た飯田君の姿がブレる。

 

「残像───がっ!」

 

 すると全く別の方向から蹴りが入った。負けじと応戦しようとするが飯田君の攻撃の手は止まらず、爆豪君は防戦一方だ。

これは…爆豪君が追い付けない!?……いや、違う。飯田君が速過ぎるんだ!

 

「リアルのヤムチャ視点じゃねぇかよ……」

「すげぇ飯田の姿が全く見えねぇ…!」

「あのかっちゃんが……!」

 

「どうなってるんだよありゃぁ……!」

「解説役、詳細頼む」

「馬鹿でも分かるようにな!」

 

………なんで一部がこっち見て言ってるの?全部僕に任せれば分かると思ったら大間違いだからね?僕にだって分かる事と分からない事があるからね?

………オイ、デカい溜息吐いて「はー、つっかえな」と言ったヤツ誰だ。

 

『オレだ』

「お前だったのか……」

 

 とにかく…僕の推測では飯田君自身がエンジンになってるんじゃないかと思う。

よく分からないけど現在の飯田君はレシプロバースト以上の速度を出す為に身体に掛かる負担を無視して走っている状態だ。

 

とどのつまり『火事場の馬鹿力』によって無理矢理力を引き出していると言う訳だ。

 

 

「Puls Ultra!! レシプロ……エクステンドォォオ!!」

 

「ぐっ…おおおおッ!?」

 

 飯田君のトップスビートを乗せた全力の飛び蹴りが爆豪君の腹部を捉えた!

 

『全速力での臓物ブチ抜くキック。それに加えあの距離では一溜りも無い……』

「そうだね。……ん?シンビオート、それってフラグじゃ───」

 

ガシィッ!

 

 すると、どうした事だろうか。先程の蹴りをまともに喰らった筈の爆豪君が己の両手で突き刺さった飯田君の脚を掴んでいたのだ。

 

「何っ⁉︎」

「──がっ、……クソが…!少しはやるじゃねぇか……!けどな、()()()()()()()!」

 

 掴んだ脚をそのま振り回し投げ飛ばす。飯田君が再びクラウチングスタートの体勢に入ろうとするが、彼のエンジン部分からボンッ!と言う破裂音と黒煙が上がった。

 

「なっ⁉︎」

 

……飯田君も驚いているけど、まさか限界時間に到達した⁉︎

 

「ッ───死ねェ!」

 

 その隙を見逃さず爆豪君は爆発による加速で接近を行う。直後、飯田君の衣服を掴むとグルンと体を回転させつつ両手から爆発を起こす。

 

エクスカタパルト!!

 

BOOM!!

 

「がッ⁉︎」

 

 うわぁ。場外に投げ飛ばすんじゃなくてわざわざコンクリート製の地面に叩きつけるって爆豪君……。飯田君、背中痛めるどころか骨にヒビ入ってるんじゃないの?

 

「はっ、短時間速くなっても倒せなきゃ意味ねーんだよボケ!」

「くそ…たった10秒間だけか……!」

 

 いや、たった10秒でリアルなクロックアップでアクセルフォームなトライアル再現したの凄いと思うんですが。

これ下手したら将来フラッシュ並のスピードに到達して いつか時空超えるんじゃないの?

 

「さぁ、次はどうする?」

「くっ………降参だ!」

 

「飯田君降参!爆豪君第三回戦進出!」

 

 

 

 

 

 

 結果として爆豪君は第三回戦に出場する事が決定した。仮に僕と彼が勝ち進めば必然的に決勝で当たる事になる。

……当たるのかぁ(不服) 絶対に爆豪君とシンビオートのイザコザに巻き込まれてとばっちり受ける羽目になるよ。今までの流れからもそうなるって僕知ってるよ?

 

「おい」

 

 えっ、なんか下にいる爆豪君が呼び掛けて来たんだけど……えっ、僕?緑谷君とかじゃなくて僕なの?

何?まさか石でも投げ飛ばして来ないよね?流血沙汰はやめて……ってアレ?

なんか"サムズアップ"して来たんだけど?

 

………なーんだ。爆豪君って実は切島君みたく少年漫画的な男と男の闘いに燃えるタイプなのか!

それならそうと早く言ってくれれば────

 

「死ね」

 

 あ、違った。爆豪君サムズアップからサムズダウンに変えて来たんですかど。

完全に殺す宣言してるんだけど ツライです……。

 

『宣戦布告かぁ……いいだろう。キョウセイ、塩持ってこい』

「塩撒いても爆豪君は祓えないよ」

 

『いや、塩で直接殴って来る』

「それ岩塩だよね⁉︎使ってるの岩塩だよね⁉︎」

 

 やばい、流血沙汰の恐れがあるのって僕じゃなくて爆豪君の方だったわ。USJ事件のように頭に固形物をぶつけられる第二の被害者ががががが

 

「……取り込み中の所悪いが行かないのか?」

「行かないのかって……何が?」

 

「次、お前の番だぞ」

「えっ」

 

 障子君の口(複製腕によって作られた器官)から思いもよらない言葉が発せられる。……えっ、次僕の番なの?あれ、でも切島君の試合は?

 

「切島の試合はお前が居ない間に終わってたからな」

「勿論、俺が勝ったけどな!鉄哲、アイツも漢だったぜ……!」

 

……あ、うん。どうしよう、切島君の試合見てなかった以前に試合の存在すら忘れかけていた事に罪悪感が。

 

「そ、それじゃあ僕達行くから…」

『はー辛いわー。どこかの印象の薄いヤツとは違って注目されるオレ達辛いわー』

 

 

 

 

 

 

「切島ーーーーッ!!」

「傷は浅いぞしっかりしろ!」

『大丈夫だ!お前の試合はその…うん、よかったと思うぞ!』

 

「苦し紛れのフォローは……やめてくれ…ぐふっ

 

「「「「切島ァ⁉︎」」」」

 

 何気ないシンビオートの一言が切島君を傷つけた。

体は硬化出来ても心は硝子だったか……。

 と言うか(自分の試合が来るのが)早過ぎィ!そうなると次に僕が戦う相手になるのは………⁉︎

 

「よう」

「…轟君」

 

 まさか轟君と鉢合わせるなんて……シンビオートと言い争いになったからなのか少し気不味い所があるけど、今の僕はそれ以上に気不味い雰囲気の人が居るから問題無い!(投げやり)

 

……と言うかなんで"おにぎり"と"お茶"持ってんの?

 

「なんか控え室の前に置いてあってな……」

 

「へぇ、もしかして轟君のファンからの差し入れとか?」

『そりゃ良かったな。ところで腹減ったからソレ寄越せ』

 

 おい、差し出がましい上に嫉妬心が丸見えで見苦しいぞシンビオート。程度が知られるからやめてマジで。

 

「別にいいぞ……それとだな」

「ん?」

『ムシャァ…?』

 

「……悪かった」

「えっ」

 

 なに?いきなり謝られても困るんだけども僕何かした?……じゃなかった。僕何かされたっけ?

 

「それじゃあな」

 

そのま轟君は行ってしまう。

 

 ????? えっ、マジでなんだったの?

超圧縮言語で言われても何も伝わらないんだけど。

 

『mgmg…何がしたかったんだアイツ』

「さぁ……あ、おにぎり一つ貰うね」

 

 ちょうど二つあるので分け合うのは自明の理だって事は分かんだね。

……お、昆布だ。

 

『昆布か……何故チョコじゃないんだ』

「うん。なんでそこでチョコだと思ったんだ」

 

 チョコ入りおにぎりて。バレンタインデーでもそんな商品出されないでしょ……。

 

「お、梅干か……海老マヨが良かったn「梅は疲労回復にいいんだぞ貴様ァッ!(0M0)ウワァァァァァァァァァァ!!??

 

 その後、プロヒーローのエンデヴァーが角から飛び出して危うく心臓が止まりかけた。

ちなみにサインは保存用・観賞用・布教用に三枚書いてもらったので後で緑谷君に見せびらかそうと思った。やったぜ。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

『さぁ!エヴリバディ!今回注目の対戦だ!』

 

 試合開始時刻と差し掛かり遂に始まる準決勝試合。相対するはトップクラスの実力の持ち主である轟君。緑谷君や八百万さんとの戦いを見て凄まじい個性とセンスを兼ね備えた彼に勝てる確率は……うん、考えるのは止しておこう。

 

あ、でも一応さっきの事について聞いておこう。流石に圧縮言語の部分でモヤモヤして負けたなんて嫌だし。

 

「あのさ」

「ん」

 

「さっき轟君が言った事。あれさ、何に謝ってるか分からなかったから、もしよかったら……もう一度説明してくれないかな? あ、いやならイイけど」

 

 僕がそう訊ねるとしばし考えた素振りを見せた轟君が口を開く。

 

「別に構わねぇよ……それにお前のおかげd『炎と氷のハイブリッド!氷のようなクールな顔に炎のように熱いヒーロー科!轟焦凍ォ!』…だ。悪かった」

 

……うん?えっ、何?今 なんと言ったの?

 

「…俺はお前の事を『対するはァ!傍若無人!俺を止めたきゃ止めてみなァ!ヒーロー科!来正恭成withシンビオートォォ!』って感じだ、笑えるだろ」

 

……うん、いや笑えないよ?内容が全く聞き取れてないから笑える箇所が理解出来て無いんだけど?

 

「いやごめん。僕としては笑う事は出来ないかな」

「……そうか、お前はいい奴だな」

 

 何がどうしてそう言う結論に!?紆余曲折あって和解した雰囲気なんだろうけど僕等1ミリも通じ合ってないからね⁉︎

一方的な勘違いだからねこれ!

 

「どうかしたか?」

「あ、なんでもないです」

 

 言える訳ないよ……っ!こんな澄み切った瞳になった綺麗な轟君相手にそんな残酷な事言える訳……っ!

 

『それじゃあ試合行くぜ!Ready START!!』

 

 そんな僕の思いを他所に遂に始まってしまった試合のゴング。僕等は互いに距離を取る為に、対する敵に見えないようにこっそりとクナイを形成しつつも引き下がる。それは相手も同じのようで轟君もその場から退いた。

 

よし、気合いを入れていくぞシンビオート!

 

『無論、さぁ覚悟はいいか!』

「いざ尋常にッ!勝b 「焦凍ォォオオオ!!負けるんじゃないぞ焦凍ォ!お前は俺にとって新たな光だ焦凍ォ!!」………」

 

 気合いを入れると同時にクナイを投げようとした手が止まる。轟君の個性がまだ使われてないにも関わらず僕等の周囲がまるで凍てついたかの如く時間が止まった(気がする)。

 

「………」

「………」

『………』

 

 

…………。

 

………………。

 

……………………。

 

 

「なぁ、もう一度言ってm「隙有りィィ!!」うぉおおおお⁉︎」

『チッ、避けたか…!』

 

「お前、さっき尋常にって言ったばかりだろ!堂々と不意打ちするかよ普通!」

 

 うるせぇ、天丼ネタは飽きられるんだよ!なんで毎度声デカイ人が台詞を遮って来るんだよ!

 

「轟君には悪いけど半ば八つ当たりで行かせてもらう!シンビオート!」

『そう来なくちゃなァ!!』

 

 腕から樹木のように伸びる触手に対して轟君は氷の壁を作り防ぐ。

……残念だけどソレを使わせて貰うッ!

 

「持ち上げろ……ッ!」

『こうか!』

 

 直後、バキリと音を立てながら氷壁が触手のパワーによって無理矢理地面から剥ぎ取られる。

 

『キャッチボールしようぜ!お前キャッチャーなッ!』

 

「なっ⁉︎」

 

 そのままシンビオートの触手によって防御に転用した氷塊が投げられるとは思ってもいなかったのか。轟君はその場から飛び退くように回避した。よし、このまま畳み掛ける!

僕は両腕にシンビオートを纏わせた上にヨーヨーの如く彼に向かって伸ばす。

 

円盤(えんばん)だと!?」

「なんとノコギリ!」

 

 氷壁を作り出すが、回転鋸はガリガリと壁を削っていき。砕き壊していく。

別に轟君としてはシンビオートに直接触れて凍結させる事も可能だろうけど、その時は手が無残な事になるだろうから出来ないよね!

 

「ッ!」

 

『お、土下座して降参か?いいぞ(こうべ)を垂れて跪け「違うッ!シンビオートジャンプだ!」⁉︎』

 

 僕が飛んだ直後に足元、いやステージ一面が氷に覆われる。一瞬、身を屈めた轟君は僕等の攻撃を止める為にステージごと凍らせようとしていたのか…!

そんな大胆な攻撃方法に轟君の個性が改めて強力なものだと再認識させられる。

 

……けど、

 

「シンビオート、気がついた?」

『あぁ、奴はまだ出し切れてない』

 

 シンビオートの言う通り。まだ轟君は炎を使ってない。

……いや使うのを躊躇っている。

左側の個性は最終手段、彼が本気になった瞬間になってやっと発動される。謂わばボスキャラが第二形態的になった的なヤツだ。

 

結局何が言いたいかと言うと……。

 

「本気を出させる前に倒すッ!」

『いいですともッ!』

 

「必殺!シンビオート・スプラッシュゥウウ!」

 

 

 ショットガンの如く放たれるシンビオート製の弾丸。轟君に向かって放たれたソレは見えない何か……いや、不可視の氷障壁によって防がれてしまった。

 

「ソレは効かねぇ……よッ!」

 

 直後、彼の周囲に散らばった弾丸の成れの果ては全て氷で覆われてしまう。あぁっ、くそ!赤糸虫君の戦い見て警戒してくるか!

氷の床に着地したと同時に全身にシンビオートを纏わせ、咆哮によって威嚇を行う。

 

『WOOOOOOOOOOOOOOッッ!!』

「来るか!」

 

 巨大な氷結攻撃に対し僕等は轟君を中心に円を描くよう回避を行いつつ距離を一定に保つ。

 

「いいぞシンビオート、常に轟君の左側(死角)へ回り込め」

『付け入る隙が見え見えってのはイイもんだなァ!』

 

(コイツ等、炎側に……ッ!)

 

『おおーーっと?どうした轟、あまり攻め切れてないぞーーッ!』

『理由は分からんが轟は来正の動きにあまり追い付けていないように見えるな』

 

 よし、読み通り上手く攻撃に移れないみたいだ。ここから接近戦に持ち込みたい所だけど無闇に近づくと氷漬けにされるから……!

 

「アレをやるぞシンビオート」

『よし来た』

 

「……?(アイツ等、こっちに手を向けて何を)」

 

 さっきのシンビオートスプラッシュは一切同時発射による大ダメージを狙う技。原理としては一箇所に溜めたシンビオートを火薬に見立て破裂させ射出した。

 

それなら 必殺技としてではなく通常の技の一つとして応用も可能じゃないかと考えていた!(拳銃)を構え、指先(弾丸)を目標に捉えて、シンビオート(火薬)によって発射する!

 

『SET…』

「これぞ名付けて、黒指弾(こくしだん)ッ!」

 

BANG!!

 

「ぐッ⁉︎」

 

 よし、命中!……だけどそこまで大したダメージになってないみたいだ。うーん、出来立ての新技はやっぱり練度が低いからなのか怯ませる程度か………けど

 

『隙が出来たなァ!!』

「うおッ⁉︎」

 

 シンビオートが伸ばした触手は轟君の足に絡みつき、こちらに引き寄せられて来る。

そのまま一撃、二撃と地面に叩きつけると頭をガッチリと掴みトドメと言わんばかりに地面へ思い切りキスさせた。うわ、痛そう…こりゃロキもハルクの事トラウマになりますわ……。

 

「ぐ……あ……っ」

『hey、どうしたヒーロー起き上がってサッサと俺の足にキスしな』

 

 そのままシンビオートは轟君の頭から手を離すと、その場で思い切り跳躍。

会場外に飛び出してしまうまでには行かないが凄まじいジャンプ力を観客達に見せつける。

 

『その綺麗な顔が潰れていなければの話だけどなぁ!!』

 

 脚から殺意のある(スパイク)を生やしたシンビオートはそのまま轟君に向かって踏み付けを行おうと急行落下していく。

 

 

刹那、目の前が炎に包まれる。

 

あつい(小並感)

 

 

 

 

 

 ▼ ▼ ▼ ▼ ▼

 

 

 

『た、立ったぁぁあああ!!巨大な火柱が目の前に立ったぁああああああッッ!!』

 

 ステージ中央部。そこには左手から燃え盛る炎を放つ轟焦凍が立っていた。

あの瞬間、シンビオートによって潰されると思われた直前に轟は咄嗟に左側を使ってしまった。

 

(……ッ!)

 

 現状、轟は父親への執念は無くなっていた……が、彼自身 過去と言う名の(しがらみ)に縛られていた。

 

人は常に心の中に弱さを持ち、誰しも簡単に壁を乗り越えられない。

 

(クソッ、なんで……っ!違う。俺は……ッ!)

 

 緑谷との戦いで吹っ切れた筈の轟焦凍は脳裏に過ぎる母親の姿に震えてしまう。

左側を使う度にヤツと同じ存在になってしまう。そんな思いが彼の中で駆け巡る。

 

要するに轟焦凍は怯えていた。

別に父親と同じ存在になってしまう事に恐れているのでは無く、そんな自分に煮湯を浴びせてしまった過去の母親に恐れを抱いているのだ。

 

轟は未だに壁を乗り越えられずにいた。ふと耳元に彼を縛り付ける楔を打ち壊すような声が響く……。

 

 

 

 

 

GODDAMN HOTッ!!

 

 

 

 ただし凡ゆる物をぶち壊す濁声であるが……。

 

 

『GYOOOOOOOOOッッ!こんな所にいられるかッ!オレ様は(体内に)帰らせて貰うッ!』

「ちょ、ちょっと待って⁉︎炎がついた状態で無理矢理入るのやめ──熱ッッ!??!」

 

「………何やってんだお前等」

 

 先程までシリアスな雰囲気を醸し出していた轟がそう呟くのも無理はなかった。

火から逃れようと来正の体内に逃げ込もうとするシンビオートとその宿主。ちなみにその宿主である来正の頭に火が付いている事を彼自身は未だに気付いていない。

 

『「お前/君が火をつけたからこうなったんだよッッ!』」

「お、おう」

 

 そんな二人(一人と一体)は轟君の言葉に対し半分キレながら答える。来正恭成は激怒した、かの邪智暴虐かつ放火魔の轟焦凍を取り除かなければと決意した。

 

そんな勢いでキレ散らかす来正とシンビオートに対し轟焦凍は……

 

「……フ」

 

 笑みを浮かべた。このコンビを見ているとさっきまで怯えていた自分が嘘のように消え去っていた。轟焦凍は「なんだ、こんなものか」と心の中で自嘲したのだ。

 

今までヘラヘラして場所を選ばず騒ぎ立てる目の前の奴等が気に入らなかった筈の自分がこうして笑えている。

来正恭成の姿、それは人々に笑いを届ける姿に等しいのではないか?と轟は心の中でどこか確信めいたものがあった。

 

「やっぱり、面白いな」

 

「……人が焼かれている光景を見て笑ってやがる…⁉︎」

『本性現したな……まさかクレイジーなサイコ野郎だったとは』

 

 しかし、悲しいかな。轟の言葉は来正恭成に届くどころか別の意味で届いてしまったようだ。

悲しい…主人公は人の心が分からない……。

 

「……やっぱり似ているよ」

「何が?」

 

「俺は今までお前の事が気に入らなかった」

「えっ、……結構ショック受けたんだけど」

 

 そんな来正の言葉を他所に轟は言葉を続ける。

 

「俺はお前の言葉に忌避感を覚えていた……が、実際は俺自身ちゃんとその言葉に見向きしようとしなかった。それで漸く気付かされたよ」

 

 

お前は俺の母さんだ

 

唐突に何を言い出すんだ君は

 

 主人公が面食らったのも無理はない。いきなりクラスメイトに赤い彗星の如く母性を求められれば困惑するどころか一周回って困惑してしまう。

……いや結局のところ困惑するしかないだろう。

 

『つまり……キョウセイはママだった?』

「おいやめろ」

 

 ちなみに先程の轟の言葉は「お前からは俺の母さんと同じ優しさを感じる。俺はお前と出会えて良かったと思う」と言う意味での発言である為、本人にとってはそう言う意味で言い放った訳ではない。

もう一度言おう、そう言う意味では無い(二回目)

 

 

『今日からコイツ(恭成)がママだよ!』

ヤメロォ!!

 

 勘違いは加速する───。雑念を払うかのように相手を睨みつける来正恭成は激怒した、かの邪智暴虐かつ放火魔の轟焦凍を取り除かなければと改めて決意した。

 

「やっちまえシンビオートォォ!!」

 

 もはや問答無用。ここからがオレ達のステージだと言わんばかりの勢いでシンビオートに指示を出した。

 

『掛かって来なァ!マザコン野郎ッッ!』

俺はマザコンじゃねぇ!

 

「えっ、いやシンビオートが勝手n────

 

 

 直後、開始のゴング代わりとして爆炎がステージを包み込んだ。

 

 





【オチを分かりやすくしてみた】

「これ、よさぬかベイマックス・オルタ。わらわは轟の母になりとうない」
『うるせぇお前がママになるんだよッ!』

大体こんな感じ。


〜〜キャラクター紹介〜〜


『来正恭成』
犯罪者予備軍であると同時に轟君のママにされた主人公。
お前がママになるんだよォ!

『シンビオート』
大体コイツが悪い。

『轟焦凍』
愛など要らぬ!と言ってたら母性に飢えたキャラにされそうになっているが、圧縮言語を司る。冨岡さんにキャラが似てる気がする……。

『爆豪勝己』
着実と主人公との決勝フラグを立てているキャラ。
……やはりかっちゃんはヒロインだった……?

『飯田天哉』
眼鏡が本体、または眼鏡かけ機と呼ばれている真面目キャラ。主人公の冗談を真に受けた結果、新技を習得してしまった。

『飯田君の飯田君』
眼鏡であり本体。



〜〜用語紹介〜〜


『なんとノコギリ』
シュルシャガナ。調チャン可愛いヤッター。

『ロックバスター』
ロックマンシリーズに登場する主要武器。基本はチャージショットで連射はあまり使われてないイメージ。




今回は(比較的)他作品のネタ少なめ。
赤糸虫くんちゃんの絵を載せるので許してください


【挿絵表示】


主人公の姿が描かれてないのに別のオリキャラが描かれるとは、これはいかに。



コロナウイルスによって外出できない皆様の為にも娯楽の一環として楽しんでいただけるように小説を投稿し続けられればと思います。

小説で笑顔を……(浮かび上がるユート顔)





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