違う!シンビオートが勝手に!   作:ゴランド

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ニコニコでドゲンジャーズ観てるけど結構面白い。
けど一部しか放送してない事実に絶望しました那珂ちゃんのファンやめます。



31話 違う!シンビオートが勝手に新コスチュームを!

「えーと……あった、此処だ」

 

 やぁ皆主人公だよ…と、ちょっとコスチュームの入ったケース片手に目的の場所へ来たんだけど……。

 

「ここで合ってる…よね?」

『パワーローダーが嘘吐いてなければな』

 

 目の前にあるのは圧倒的なまでの威圧感を漂わせる鋼鉄製の巨大な扉。なに、この…カサンドラの門なのこれ?それじゃ石像に扮した大男二人組は何処に?……と、冗談はさておきここがサポート科御用達と名高い開発場(DevelopmentStudio)だ。

 

 昼休みの時に職員室で聞いたんだけど、此処にいる発目明と言う生徒に頼めばコスチュームの新造・改修を行えるとパワーローダー先生から聞き、足を運んだ。

 

何故こうなってしまったかと言うと先のUSJ事件、脳無との戦闘により僕のキャプテンコスチューム(仮)は修復不可能までに破壊されてしまった。

このままだと職場体験は体育着を纏って行く事になってしまう。

……そこで、直せないのならいっその事新しく造ってしまえばいいんじゃないか?とサポート科に新造・改修を頼みに来たのだ。

 

 ちみなに本来は申請書作成とかデザイン事務所に通す必要があるけど、そこら辺については先生が何とかしてくれると言うのでお言葉に甘える(面倒は全て任せる)事にしたよ。

 

「とりあえず……失礼しまーす!入りますよ!」

『動け!このポンコツが!』

 

 開いてくれ、頼む…!(コマンドー)

と、腕にシンビオートを纏わせると鈍重な扉を力任せに横へ引くとギギギギと音を立てながら開かれる。

 

『やはりこの手に限る』

「この手しか知らないんでしょ……って あれ、誰も居ないの?」

 

 だーれも居ない、人の姿が影も形も見当たらない。おかしいな…この時間帯なら誰か居るとパワーローダー先生言ってたんだけど………ん?

 

「────!」

「……─!───あ──で」

 

『誰か居るな、ガラクタが邪魔で見えないが奥の方に二人だ』

「……よし、ちょっと見てこよう」

 

 リッカースタイルでガラクタの山を避けながら開発室の壁、天井を這い回りつつ奥へと進む。進むにつれて音や声が鮮明に聴こえる。

 

そんな僕等が機械類の山を乗り越えた先に見たものは───

 

 

「さて、いよいよクライマックス」

「さぁベイビー…そのまま…いいですよ…」

 

 

 あれは、発目さんに…赤糸虫さん⁉︎発目さんはサポート科だから分かるけど何故に赤糸虫さんまで?

 

と言うか二人して何してるんだろう……アームみたいなモノで玩具を積み上げてるのか?大きな球状のモノを組み立てるけど。

 

『小型のユニクロンを製造してるのか?』

「…いや違うよデス・スターのREGOだアレ 完成度たけーなオイ」

 

 はぇー、凄い(小並感) REGOなんて久しく触ってないけどデス・スターのも出ていたんだ。

ミレニアム・ファルコン号のヤツとか出てないのかな?銀河系最速のガラクタのデザイン好きなんだよね。

 

「よーし、次はC-3POを……あ、待って。違うそこじゃないスーパーレーザーの部分に乗せちゃ駄目だから」

「ふむ、どうやらまだ改造の余地が………」

 

……もしかしてあのデス・スター(REGO)はあのアーム一本のみで組み立てたのか?もしそうだとしたら凄い精密さだ。Dr.オクトパスのアームくらい高性能なんじゃないのかな?

 

「失礼、知朱さん。そこにあるレンチ取ってもらえません?」

「レンチね、えーと……何処だっけ?」

『…これでいいか?』

 

「あ、あったあった。ありが───」

 

『「………」』

「「………」」

 

 

 僕等と彼女達の視線が交わり、互いに沈黙が訪れる。シンビオートの親切が呼び寄せてしまったこの空気……なんだろう、正直言って気不味い。

ここはどうにかして現状の流れを変えなければ(使命感)!

鍛えに鍛えたヒーローにとって必要不可欠なユーモアのセンス、今ここで発揮する時!

 

「やぁ、僕 通りすがりのネズミだよ。ハハッ(裏声)」

 

SPRAY!(アームからガス噴射)

 

 刹那、アームの先端から白いガス(無害)が僕に向かって放たれる。思った以上の出力だったのか、その近辺にあった工具等も吹き飛ばされてしまう。

無論、その吹き飛ばされたモノの中には先程まで組み立てていたものも含まれていると言う訳であって──

 

結論を言うとデス・スターが撃墜されました。

 

 

ガシャン!

 

『あ』

「「ああああああああああああああッッ!?」」

「EP4の激闘がたった一つのアームにぃいいーーーーッ⁉︎」

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

『こりゃ酷い、ユニクロンが見るも無残な姿に……』

「いや、だからデススターだって」

 

 粉砕された惑星破壊兵器の残骸(REGO)を片付けながらここに来た目的を発目さんに話した。すると二つ返事でOKを出した彼女は早速作業に取り掛かるために工具等や機材を準備している。

 

「はい、集めておいたよDUMMY。これ片付けておいてね」

 

 自立稼働アームにそう呼びかけ、REGOを詰めた袋を手渡す。それを器用に掴むとDUMMY(勝手に命名)はそのまま倉庫の方へ姿を消して行った。うん、トニーは悪態ついてたけど意外と愛嬌があっていいもんだね。

 

……まぁ、それは置いておいてさ。

 

「発目さんはサポート科だから分かるけど、なんで赤糸虫さんまで此処に?」

「え、あ、いや……お話!ただの雑談だから!」

 

『何で此処にいるかの回答を求めているんだが』

「あ、いや?……何が?」

 

 んん?なんか歯切れが悪いと言うか……今までの陽キャぶりが嘘のように狼狽えているけど、どうなってるんだコレ?

 

「ちょ、ちょっと待って!」

「あ はいどうぞ」

 

 

 

 

 

「ちょっと⁉︎彼が来るなんて聞いてないんだけど!」

「そりゃ言ってませんからね。私はパワーローダー先生から事前に伝えられていたので知ってましたが」

「なんで先に言ってくれないの!」

 

「その引っ込み思案を治す機会だと思いまして」

「余計なお世話だよッ!!」

 

んん〜〜〜、どうしよう。さっきから僕等に会話を悟られないようにコソコソ話しているみたいだけど全部聞こえてるんだよなぁ。

 

『教えるか?』

「いや、もう少し様子を見よう」

 

「そもそも来正君は(めい)に用があって来たんでしょ、邪魔しちゃ悪いから失礼するよ」

「おっと失礼するんじゃあ、ありません折角出来た初の高校友人相手に何を臆してるんですがアナタは」

 

「い、いやそんな 何言ってるの!それじゃまるでボクがぼっちみたいに聞こえ……」

「ハハハ、何を馬鹿な事を。ぼっちも何も私以外に友人が出来ず人見知りを治そうと高校生デビューでマンシンガントークキャラを演じた割にウケが悪く、気鬱してた所に来正さんと友人らしい会話が出来たと和気藹々と話してくれたのを私は知っていm「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ゛」暴力反対!?」

 

 あ、やばい!赤糸虫さんが的確かつ強力なデンプシーロールを腹部に撃ち込み始めた⁉︎

それ以上いけない!赤糸虫さん、それ以上いけないから!

 

「フーーッ、フーーーッ……ご、ごめん興奮し過ぎた」

「OK、とりあえず落ち着いてね……発目さんの方は大丈夫?」

 

「フ、フフフ…問題ありませんとも 頼まれている作業には支障は出ませんので大丈夫ですとも」

『チッ、まだ息の根が残ってるか……』

「シンビオート!」

 

 大丈夫⁉︎と呼びかけながら僕は彼女に近づく。

直後、何事も無かったように起き上がった発目さんはグッとサムズアップを見せて来る。

 

「フフフ、さすがマイフレンド。いいパンチでした。わが新作ベイビーである衝撃緩和素材を用いた防護チョッキが無ければ即死していました」

「あ、無事だったんだね発目さ……と思ったけど足ガクガクじゃんダメージ緩和し切れてないじゃん」

 

 そう言えば発目さんって体育祭での第一種目(障害物競走と言う名のマラソン)では最下位ギリギリで息絶え絶えだったような気がする。

サポート科って基本的に発明してばっかりだから戦う発明家のトニーやバナー博士のようにはいかないんだなぁ。

 

「と、ところで…例のモノは持って来ましたか?」

「例のモノ……ああ、コスチュームの事ね」

 

 持って来たケースの中身を彼女に渡すと、間髪入れず発目さんはボロボロになった僕のコスチュームを手に取る。一通り眺め、材質を確認するかのように手触りを確認しているようだ。

 

…しばらくジッと見つめているけど、どうしたんだろう。あっ、もしかして発目さんもキャプテンの魅力に気付いたとか?

いやぁ 発目さん虜になっちゃったかー、流石はキャプテン!よっ、ファーストアンベンジャー!アメリカのケツ!

 

 

「…うわぁ、私史上こんなに酷いコスチュームを見たのは初めてですよ」

「発目さん⁉︎ キャップに落ち度でも⁉︎」

「落ち度と言うか……コメントに困るレベルなのですが」

 

 真顔で言うのは傷付くからやめて貰えません?と言うかコメントに困るって……そんな笑顔の消えた彼女は言葉を続ける。

 

「いや、だって……本来ヒーローをサポートする為のコスチュームですが、これ機能性が皆無ですよ?何の為のコスチュームなんですかこれ」

「いやだってなぁ……」

『オレ達にとってコスチュームはただの飾りだ』

 

 うん、シンビオートの言う通り。僕の個性上シンビオートを纏って戦う事になるからヒーローの身に付けるスーツは有っても無くてもと言った扱いなんだよね。それを彼女に伝えると何か考え込むように唸り始めた。

 

うーん、何を思っているのか分からないけどコスチュームってそこまで重要なものかな?

アイアンマンやアントマンみたくスーツに機能を全振りしてるならまだしも"個性"を前面に使って戦うヒーローにとってはそこまで大切なものじゃ───

 

「あ、すみません。少しこちらに顔を近づけてください」

「ん?どうしたの発目さんいきなり」

「いいから、早く」

 

はぁ…、えっと近づけたけどこれでいいか───

 

「フンッ!」

 

パンッ!!

 

「ッ!?」

 

 え…平手打ち……⁉︎なんで発目さん急にビンタして来…あれ?何で腕を振り上げてるn

 

「ヌ゛ンッ!!」

 

ゴシャッ!!!

 

(ひ、肘だとぉぉ……っ!?)

 

 先程までガクブルと膝を震わせていた彼女からは想像もつかない攻撃法に驚愕する。

特に理由も無さそうな隙を生じぬ暴力二連撃が僕を襲った───。

 

うわらば

「き、来正君⁉︎ 明、いきなり何を…⁉︎」

 

「何をもどうも!あなたはコスチュームの重要性を分かっておりません!」

 

 眼前で仁王立ちする彼女に僕は思わず「ヒェッ」と声を漏らす。普段怒らなそうな人がカッとなると凄く怖いと言うけど……アレって本当なんだね。

 

『何をするこのアマァ!』

「シャラップ!いいですか来正さん&シンビオート!貴方達は実に分かっていない!全くもって分かっていないッ!」

「え……な、何が?」

 

 赤糸虫さんに肩を貸してもらい立ち上がる僕に発目さんはバン!とボロボロになったコスチュームを地面に叩きつける……って、キャップのスーツがああああああああ!?

 

「例えば!シンビオートの動力源は何でしょうかッ!」

「え…あ、アドレナリンだけど……それが何か?」

 

「そう、それですよッ!スーツの内側にアドレナリンが行き渡るように特殊素材を用いる事により通常と比べてよりスムーズに!より繊細に個性を扱う事が可能なんです!」

 

 え、マジで!そんな事できるのサポート科⁉︎すごい(小並感)

 

「他にも、シンビオートの弱点は音と炎ッ!それを克服するのはとても難しい事でしょう!しかし、逆に考えればコスチュームで弱点を補う事だって出来る筈でしょう!」

「た、確かに……!」

『その発想は無かった』

 

 僕とシンビオートが関心したように頷いている横で赤糸虫さんが「えぇ…」と呆れたような表情を見せる。

 

「来正君ならすぐに思い付くモノだと思っていたんだけど」

「いやぁ…ごもっともだね!(ヤケクソ)」

 

「あぁっ…あぁっ…苛々するッ!!それと同時に職人魂に火をつけられてワクワクしてしまう自分が存在します…ッ!!」

「め、明?大丈夫…?」

 

 ワナワナと震える発目さんとそれを心配するように声を掛ける赤糸虫さん。思った以上に仲が良いらしい、友達が少ない分のリソースが友情の方に注ぎ込まれているのかな?

 

と、そんな事を考えていると唐突に職人魂が燃焼中の彼女が僕の手を握って来た。

 

「来正さんッ! 貴方に感謝を!ここまで私を燃え上がらせるとは流石ですよ!」

「え、それって褒めてるの?貶してるの?」

「貴方のコスチュームを遥かに上回る最ッ高ッの!作品を仕上げてみせましょう!」

 

 脳細胞がトップギア状態の発目さんはそう言い放つと、ガラクタの山に己の手を突っ込む。

ガサゴソと何かを漁るように、宝を探し出すように目を輝かせる彼女を他所に僕は隣の赤糸虫さんに声を掛けた。

 

「ところで…赤糸虫さんは発目さんと知り合いなの?」

「う、うん。小学校からの幼馴染み」

 

 へー、通りで仲が良いと思ったら幼馴染みだったのか。だからヒーロー科にも関わらず此処に居たのか。

……まぁ、人見知りって心休まる場所に入り浸ってるのは基本だからね(偏見の眼差し)

 

「あ、そう言えば赤糸虫さんって職場体験は「見つけましたよベイビー!来正さんにピッタリのベイビーを!」…お?」

 

 振り返れば黒のインナースーツを手にした発目さんが制作に取り掛かっている。なんだ、このショッカー戦闘員が着るような感じの全身黒タイツは?

 

「これぞ伸縮性、防御性能バッチリ。ヒーター機能も内蔵してある私特製のベイビーです!これを基軸に内側に特殊素材を組み込んで行きます……あ、人手が足りないので知朱さんも手伝ってください」

「えっ?べ、別にいいけど……」

 

「あれ、赤糸虫さんもやるの?でも、彼女はヒーロー科で……」

「おおっと、知朱さんを舐めてもらっては困ります。一体何年私と共に居ると思っているんですか」

 

 ますますピーターっぽいなぁ。それにしてもなんかこう…ワクワクするね、僕のコスチュームが一から造られるって言うのは。

MCUで最も好きな場面ははヒーローのスーツ作成シーンだったりする。

 

そんな事を思っているとシンビオートがヌッと顔を出して来る。どうかした?

 

『お前のじゃない、オレ達のスーツだ』

「そうだね、ごめん訂正するよ……って、ちょっと二人共?なんで僕の背中を押してくるの?ねぇ、聞いてる?」

 

 彼女達によって無理矢理ピチピチ黒スーツの前に立たされる。え、何?これから僕なにされるの?

 

「何とは…来正さんがどんなコスチュームを要望するか分かりませんからね。それに加えて一週間以内で制作するのは厳しいですから凡ゆる工程を平行して行う必要があります」

「ん、来正君はどんなスーツに仕上げたいか、どんな動きを望んでいるか。そして実験を幾度も繰り返す必要があるからね……さ、ボク達は何をすればいい?」

 

 そうか、たった一週間しか時間が無いんだよね?それじゃ僕もコスチューム制作に携わらないと間に合わないか……。 

 

………よし!

 

「善は急げだ、自分で言うのもなんだけど僕の要望の中には()()()()()()()()()()()()だってある」

「え、それはちょっt「ほほう、それは楽しみですね!俄然ワクワクして来ましたよ!」

 

 なんか赤糸虫さんが言いたげな顔をしてるけど、気にしないでおこう。早速『コスチュームver.II』の作成に取り掛かる!

 

……あ、そうだ(唐突)

シンビオート曲を流して、ミュージックをバックにスーツを作るのは基本だからね(鋼鉄の意志)

 

『選曲は任せろ』

 

 

〜♪AC/DC『Back in Black』

 

 

 お、この曲は……!刻み良いリズムがスマートフォンのスピーカーから流れる。こちらの心が躍り、陽気な気分にさせてくれるようなメロディが心地良い。いいセンスだシンビオート。

 

「流石だよ、ツェッペリンは僕も好きだ」

 

「は?何を言ってるんです。AC/DCではないですか」

「え、いや…ツェッp「どう聞いてもAC/DCですよ。音楽流すのは結構ですが作業に戻ってください」

 

……あ、うん。そうだね…うん、知ってるよ?うん。

 

「……シンビオート、やっぱり曲変えておいて」

『はいよ』

 

 このネタが伝わらないとは私は悲しい…(ポロロン)

そんな哀しみに打ち拉がれている僕の肩に赤糸虫さんが手を置いて来た。

……あ、そうだよ!赤糸虫さんスパイダーマン知ってるから僕の伝えたいネタも理解してくれる筈だ!そうでしょ?そうだと言ってくれ!

 

「間違いは誰にでもあるから気にしないで」

「アッハイ」

 

……時代の流れってやっぱり残酷だ。

 

 

 

 

 

 

 

〜♪Queen『Don't stop me now』

 

 

「まずは基礎となるこのスーツ。私の考えとしては来正さんのシンビオートを外側だけでなくコスチュームの内側に纏わせると言うのは如何でしょうか」

「内側…!鎖帷子のように着込む感じだね、そうすればコスチュームはアンダースーツと更に上から耐熱性、防音性の装甲に分ける形で行こう」

 

 申請用紙に出された案を書き留めて、発目さんはコスチュームを弄りサポートアイテムを組み込む。

そこに工具箱を両手一杯に抱えて来た赤糸虫さんが口を開く。

 

「デザインはどうする?」

「外見は大きく変えずに……色はシンビオートを基調とした黒にしよう、キャップの面影は残しておきたいし……」

「分かった、外から羽織る装甲は軍隊式のチョッキを参考にする感じでいいかな?」

「うん…あ、いや待って。えーと……そう、こんな感じのアーマーにしてもらっていいかな」

 

 メモ用紙に僕が要望するモノを描き写す。自衛隊が使うような防弾チョッキではなく、吸血鬼ハンターであるブレイドが纏うボディアーマー、僕としてはコッチの方がいい。

メモ用紙を彼女に渡すと後方から発目さんの声が響く。

 

「来正さん 私オススメのベイビーで、この足音吸収式ブーツを採用したいのですが!」

「ブラックパンサーの"スニーカー"と同じ原理か…!よしOK、採用!足の大きさ測っておこうか?」

「お願いします!高さ、横幅、爪先から踵までの三つで大丈夫ですよ」

 

 対犯罪者を想定して隠密性も兼ねた方が良いと判断した僕は靴のサイズ調整をする為、メジャーを手に寸法取りをシンビオートと共に行う。

…あ、そうだ。

 

「あのさ発目さん、手袋(グローブ)の先からシンビオートを出せるよう穴を開ける事出来るかな?武器を咄嗟に形成する為に必要だと思うけど」

「それならグローブの通気性を良くしましょう。そうすれば繊維の隙間から容易に出入りが可能です!」

 

 流石は専門分野だ。そう言った細かい所をパッと解決策を提示出来るなんて……天才と馬鹿は紙一重と言うけど成る程こう言う。

 

「明、この箇所だけど……」

「あぁ、そこですね。奥の方に炭素性繊維(カーボンファイバー)があるのでそれを使いましょう」

「うん、来正君の戦闘スタイルから見ると比較的軽量なモノに仕上げるといいかも」

 

…………。

 

『おい、何ボーッとしているんだ』

「ん、あぁいや……ね」

 

 赤糸虫さん、楽しそうだなって。こうやって腹の底から楽しそうにコスチュームを制作してる所を見てると……こっちまで笑顔になるって言うか。

 

『……"ホ"の字か(惚れたのか)?』

「いや、純粋に見惚(みと)れてただけ」

 

「あ、来正さん脚部と手の計測できましたか?それが出来たらアンダースーツの耐久性確認の為に実際に着て貰っていいでしょうか」

「OK、更衣室借りるよ」

 

 本格的になって来たな…!よし、今日も一日頑張るゾイ!(残り数時間)

ヘイ、赤糸虫さん!悪いけど更衣室って何処にあるか知らな───あれ?どしたのさ顔背けて。なんか耳真っ赤になってるけど熱でもあるの?大丈夫?シンビオート揉む??

スライムみたいな感触で病みつきになるよ。

 

「…あの…その……来正くん…さっき…その……」

「ん?さっきt『オラァ!さっさと更衣室行くぞオラ!』あだだだだッ!痛い!千切れる!耳千切れるからやめて!」

 

 んじゃ、場面カットさせてもらうね……男のサービスシーンなんて美青年か美少年に限るからね?

 

あ、二人とも更衣室借りるよーーー。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああ゛ああああ゛あああっ゛!!」(羞恥に染まる)

「おお、よしよし。羞恥に悶えてる所悪いですが作業の続きを……あ、無理そうですねこれは……それにしても、来正さん堂々と"惚れた"とか"見惚れた"と大きめの声で呟くのは知朱さんが耐えらn」

 

あ゛ああ゛ああ゛あ゛あああっ゛!!

 

 

 

 

 後ろの方で赤糸虫さんの絶叫が聴こえたような気がしたけどシンビオートに耳を千切られそうになっているので大部分を聞き取る事は不可能だった。

 

いや待って、シンビオートなんでそんなに機嫌が悪いか分からないけどそれ以上力を込めると本格的にヤバいので本気でやめて欲しい。

 

……えっ、難聴系主人公の耳に価値は無いに等しいから無くなっても問題ないだって?

ははは冗談上手いなシンビオート 人の耳は周囲の音を集めるのに必要な器官であって爪とか髪のように生えてくる訳じゃないんだよ?それを理解したなら早く手を離してくれると嬉s

 

『断罪のエクセキューションッッ!!』

 

お゛ああ゛ああ゛あああああああ゛あ゛あ゛あああ゛ッ゛ッ゛!!?

 

 

 

 

 

「ほほう、中々良く似合ってるじゃないですか!……ところで、なんで来正さんEカード戦カイジみたいになってるんですか?」

 

「いや…シンビオートが勝手に……」

 

 この後シンビオートに平謝りしたら普通に治して貰った。うちの寄生生物の心は未だ謎が多い……あと、耳って簡単にくっ付くもんなんだね。

 

 




 主人公君の新コスチュームのお披露目は次回に持ち越し。あと、作者の趣味が全面に出された武装が追加される予定です。


〜〜キャラクター紹介〜〜

『主人公』
今までコスチュームの重要性を全く理解しておらず、シンビオートの実力を十二分に発揮出来るようにスーツの改良、修復を行う。あと耳って普通は(くっつか)ないです。

『発目明』
やっぱりヒーローにはスーツ作成シーンだよね、そんな貴方にオススメな人物。だいたいこの人に頼めばスーツは作ってくれる。
……しかし、流石に全身ヴィブラニウムスーツを作製するのは難しいと思われ───あ、いやでもヒロアカ世界の技術凄そうだから意外と作れるのかもしれない。

『赤糸虫』
高校デビューを失敗した恋愛クソ雑魚属性持ちキャラ。DT臭のするピーターをTSしたらこんな感じなのかなぁ?と作者が想像しながら設定したのだが、キャラがブレてる…ブレてない?


〜〜用語紹介〜〜

『カサンドラ』
北斗の拳より主人公ケンシロウの兄トキが幽閉されていた監獄。石像と見間違える程の巨大な門番・衛士であるライガ、フウガが入口を守っている。

『コマンドー』
アーノルド・シュワルツェネッガー主演のアクションB級映画。ニコニコでも人気の吹き替え版による台詞の数々は今でも名(迷)言として残っている。

『リッカー』
バイオハザードシリーズより登場するクリーチャー。Tウイルスにより突然変異を起こし視力を失った代わりに聴覚が異様に優れている。
初代実写映画では大きなサイズのリッカーがボスとして登場したり、ダマネーション(CG映画)の終盤では味方になったり色々と優遇されている(気がする)

『デス・スター(REGO)』
スター・ウォーズEP4に登場した宇宙要塞…の玩具。元ネタは『スパイダーマン・ホームカミング』より登場した。
ネッドとピーターの仲の良さを形として表していると考えられる。

『DUMMY』
MCU版アイアンマンより、アイアンマンmark2製作に携わったり、トニーの命を救ったりしたロボットアーム。多分癒し枠。

『ショッカー戦闘員』
文字通り悪の秘密結社ショッカーの戦闘員。「イーッ」と鳴く。

『Back in Black』
AC/DC 6枚目のアルバム曲。MCU版アイアンマンの冒頭から流れて来た。さらにスパイダーマンファーフロムホームでは新スーツ製作時にハッピーがこの曲を流す。鉄の意志を継ぐものとして所々にアイアンマンのオマージュが詰まっていたこのシーンはファン必見。
しかしピーターはレッド・ツェッペリンと間違えていた。

『Don't stop me now』
ロックバンドQueenによる人気曲。映画 シャザム!の劇中では能力確認テストの挿入歌として流れていた。

『ブレイド』
本名はエリック・ブルックス。人と吸血鬼のハーフとして生まれ日の下を歩ける事からDayWalker(ディウォーカー)と呼ばれている。ヴァンパイアハンターとして凡ゆる武器の扱いに長けており、吸血鬼特有の身体能力も兼ね備えている。
リメイク決定しているので楽しみ。でもファンタスティック4の二の舞だけは勘弁して(懇願)

『スニーカー』
元ネタはブラック・パンサーより、化学者のシュリが設計した音吸収靴。ネーミングについてはスニーキングとスニーカーをかけていると思われる。
なので例えその靴の種類がスニーカーでなくとも名称は"スニーカー"なのである。



 原作で明言されてるのですが本来、大きな改修を行う場合は申請書の作成→デザイン事務所に依頼→国の審査及び許可と言った手続きが必要になります。

ただの学生がそんな一からスーツを作製しても許可貰えないんじゃ意味がないのでは?と思いました。
今回、主人公達はあくまでコスチュームのサンプル製作を行い、試作品のデータや書類等をサポート会社に提出。不備が無いかチェックされた後、会社の方から製品版が届くと言った流れにしています。

描写しなくて良いシーンなのですが、MARVELヒーローのスーツ製作シーンはお約束なのです。ロマンの詰まった場面なのです。
作者の一番書きたかったシーンなのです。

粗はあると思いますが許してクレメンス……。


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