読者の皆様、
最近になってバイクの免許を取得した作者よりプレゼント代わりの最新話をどうぞ。
「
『
その一言と共に鞭のように蹴りが放たれ、ガシャァァッ!と施設を破壊しながら敵達は吹き飛んで行く。
その光景に一同は呆然。それを指示した来正本人に至っては大量の脂汗をダラダラと流す羽目になっている。
「…ヨシ!(現場猫) 良いぞシンビオートッ!(施設の損害に目を背けながら)」
「何処がなの来正君!?」
「まぁいい!今は児童の避難を最優先だ。最悪、全部敵の仕業にする!」
「「シルバー!?」」
ヒーローの職権乱用を垣間見た彼等。しかし外へ出ると、そのような事を気にしている事態では無い事に気付く。
養護施設の外。街の大通りで大量の敵達とギャング・オルカ事務所のサイドキック達との争いが勃発していた。
「敵がこんなに沢山…!?」
「USJ襲撃事件の再現でもする気なのか…?」
「何が再現だ。こんなのただのタチ悪い暴動だッ!」
好き勝手に闊歩する敵達。そんな抑圧された暴力飛び交う渦中に一身で飛び掛かろうとするイグニッション。しかしそれを待てとシルバーが制止をかける。
「イグニッション!お前は逃げ遅れた一般市民の避難誘導だ!お前の機動力なら早く済む!」
「よし任せとけ。すぐに終わらせて援護に回る!FIRE・ONッ!」
ロケット噴射の如くその場を勢い良く去って行くイグニッションを見送ると児童達を安全な所へ避難させようと移動を行う。
其折、人が飛んで来た。
「な!? シンビオート受け止めろッ!」
『キャッチ&リリース!!』
巨大な黒腕を形成し飛んで来た人物を掴むとそのまま地面へ投げ捨てる。先程外へ吹き飛ばした敵が白目を剥きながらこちらに向かって空を駆けて来た事に驚きつつも来正は視線をそちらへと向ける。
「小僧…やってくれたじゃねぇか…ッ!」
『おやおや可哀想に。そんなボロボロになっちまって』
「無駄に刺激するのはやめろ…と、言っても聞いてくれないんだろうなぁ」
シンビオートの心にも無い発言に半ば諦めたような表情を浮かべる来正。それに対しリーダー格らしき敵は己の上着を脱ぎ捨てると威嚇行動なのか、雄叫びを上げ始めた。
「俺を馬鹿にして……後悔するなよ餓鬼共がぁぁあああああああああああああっ!!」
直後、ボコボコと男の皮膚の下で筋肉が活発な脈動を始めた。次第に敵の身体は人型からかけ離れた容姿へと変形していく。
首は伸長して行くと同時に尾骨から突き出るように細いしなやかな筋肉の塊が発現。両手両脚は肥大化する身体全体を支える為に二脚から四脚へと移行。
「あの個性は…キリン!?」
「いや違う、あの姿形、あの頸椎の長さッ!サイズ自体は控えめだが間違い無いッ!」
「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!」
圧倒的なスケールを持つその姿は現代では決して見る事の出来ない存在。古代に絶滅されたとされる生物が咆哮を響かせながら今この時代蘇った。
「中生代ジュラ紀に生息されていたとされる巨大竜脚類
「それってまさか!?」
「ご存知…『ブラキオザウルス』だッ!」
【個性:ブラキオサウルス(通称:
ブラキオサウルスへと変身可能。変身後は身長867cm(8.67m)、体重は数
「矮小なチビ共がッ!この巨体に勝てると思うなッ!」
怒号と共に前脚が勢い良く踏み込まれる。
瞬間、地面の震えと共に道路の一部が陥没を起こす。圧倒的な重量より繰り出される純粋なパワーは市民達に恐怖を与えるのには十分過ぎる。
「こんなのありかッ!?此処は比較的広い敷地だから良かったものの、住宅街で暴れられたら犠牲者が出るぞッ!」
「あ、足が……ッ!」
「…クソ、なんて厄介な個性を」
来正恭成、彼自身も恐怖心が無いと言えば嘘になる。敵連合、体育祭と言った修羅場を潜り抜けて来た彼としてはプロヒーローと共に力を合わせれば勝てない相手では無いだろう。
しかし相手の
(こんな相手に勝てるのか? 駄目だ。コイツを倒す為にはギャング・オルカと合流して───)
「おにーさん」
「え?」
「もしかして…怖がってるのぉ〜〜〜w 精神クソ雑魚すぎウケる〜〜ッw」
「んんん゛んんんん゛ッ!(精神的ダメージ)」
まさかの
来正の性癖は度し難いアレだがどちらかと言えばノーマル寄り。
怖いなー。今時の子供怖いなぁー…。
「ざこ ざぁこ 震えちゃって可哀想ォ〜〜〜w」
「僕に恨みでもあるのか君は(震え声)」
しまいにゃ泣くぞお前と付け加えた所で気付く。
ヒーローの姿か?これが…。何もせず子供を怯えさせ守る事を視野に入れてない。 生 き 恥 。
「───あぁ、分かってる」
「?」
項垂れていた彼は立ち上がると、シルバー・マルテースに向けて口を開いた。
「シルバー、此処は任せて貰って良いですか?」
「来正君!?」
「……来正、それは認可出来ない。私の任務は市民の安全確保であり、それは
「はい。ですが、それは僕も同じです」
彼は此処に来たのは決して遊び感覚の為では無い。いずれ来る将来、己がヒーローとなる為に。これ以上敵達に放埒な真似をさせない為に。
自身の中に在る信念に従う為に。
「それに、ホラ。正直な話、今この場であれを相手に出来るのって僕達ぐらいですよね?」
「………条件がある」
来正の言葉に対しシルバーは銃口を向け返答する。
「
「あの、それ矛盾しt「お前に拒否権は無い」あっはい」
彼女の無理強いに掠れた返事をする来正。その後、児童等の側に居る2人に向けて言葉を告げる。
「赤糸虫さん。已嶺さん、この子達の事よろしくお願いします…あ、それと」
先程、発破を掛けて来た少女に目線を合わせる形で屈むと来正は声を柔らかな声で語りかけた。
「君、名前は?」
「…
『やっぱりメスガキじゃねーか』
「うん黙っていようかシンビオート…さっきはありがとう、君のおかげで戦う気力が湧いたよ」
敵を前に折れかけていた自身を立ち直らせた彼女に敬意を示すように来正恭成は感謝を述べた。
「ヒーローにとって…僕にとって大切で必要な事。それを君は気付せてくれたんだ。やっぱヒーローには子供の声援が必要不可欠だね」
「………」
「来正…いや、VENOM。無理するなよ」
「分かっています」
『任せとけ。まぁなんだ…別に倒してしまっても構わないんだろう?』
「おい、フラグ乱立させるのやめろ」
そう言葉を終わらせると巨体を揺らしながら近づいて来る敵の前へと赴くと、シンビオートの一部をメガホンのように円錐形状へと変形させる。
「なんだ小僧。俺と戦おうってのか?」
「あー、そこのミニチュア爆竜ブラキオサウルス!全恐竜と養護施設育ちの子供達に代わって告ぐ! その土まみれの両前脚を上げろ!
『ただし、その四つん這い体勢を変えられたらの話だけどなぁ!』
「テメェ…ッ!」
怒髪天を突いた様子を見せる敵に対して来正は「あーあ」とやや悲観的な態度を取る。
『感動的だな、良い台詞だったぞキョウセイ』
「…ブラキオサウルスとはもっと健全な戯れをしたかったんだけどなぁ」
『ブレないなお前』
冷ややかな視線を送る己の個性。そんなモノを気にする様子も無く来正恭成が軽い柔軟運動を行うとカッと目を見開く。
「よし、とッッ…
『シャァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!』
強靭な脚部が地面を踏み抜く。鋭く、強く、勇ましい顎がグパリと開かれ特大の咆哮が放たれる。
「だからどうした小僧ッ!姿を変えた位で勝ったと思うなァ!」
『首長の草食竜如きがッ!肉食竜に叶うと思ったかこのマヌケがぁーーーーーッ!』
「陳腐な台詞だけど言わせてもらう…此処は僕等に任せろッ!」
二匹の竜が相対し激突する最中にシルバーの先導の元、子供達を避難させるべく移動を開始した。
「聞こえますかシャチョー、こちらシルバー・マルテース。現在V・スパイダーと共に養護施設の児童等の安全確保の為に避難先導をしています。そしてVENOMが連中のリーダーと思われし
周囲の安全確認しつつ端末でギャング・オルカと連絡を行いながら街道を行くヒーロー達。
《…pp、指定された危険区域から脱出までの距離。あと僅かです》
「本当!? 皆、もう安心して。大丈b──「下がれッ!」えっ?」
CLANG!!!
刹那、シルバーの掛声と共に甲高い音がその場に響く。空から飛来して来た謎の物体を銃で受け止める形でシルバーが"それ"を防いだのだ。
「何が…!?」
「ギャハハ!何処ッ!何処行くのかなぁ!!」
嗤い落ちて来たそれの正体は人、それも顔面と両手両脚が二股に別れた刃となった
鋼質化した骨の剪刃をジャギリと云わせながらその者は大きく開いた口で言葉を発した。
「そ、そいつ等!ギャハハハハ!その、こ、子供等を置いてッ!置いて行けェッ!」
【個性:
鋏のような骨刃を顔面、両手・両足に生やす。
シャブをキメたかのような言動を行うそれに子供達は一層の怯えを見せるが、赤糸虫は「大丈夫」と励ましの言葉を送った。
「お、お兄ちゃん……!」
「シルバーに任せれば大丈夫だよ……あとボクは男じゃなくt「う、後ろ」ッ!?」
振り返った先。彼女の視界にもう1人の人物の姿が映ったのだ。
鍬形の飾りが備えられた仮面を被り、先程の敵と同様に腕から刃が伸びている。
「2人!?」
「否、二振り!」
【個性:
鋏のような骨刃を両肘に生やす。分離させて武器のように扱う事も可能。
「何をしてる弟。我々剪定兄弟が真なる力を発するのは
「ギャハハ!分かってるッ!分かってるよ兄ちゃんッ!」
挟み打ちの形となった状況にチッとシルバーは舌打ちをしながらポーチより銃カスタムパーツを取り出す。
「貴様等、何故我々を狙う」
「ギャハッ!それっ、それはぁッ!」
「口を閉じろ弟よ。この者達に我々の思索を伝え云う必要は皆無!……さりとて、何も宣しないとは無作法というもの」
兄の敵がそう言うと刃を向けながら告げる。
「"我々"が求めるは純粋なる力、そして我等兄弟が欲するは人すらも断つ事を可能とする斬れ味ッ!」
「ギャハッ!ギャハハハハ!俺はただ切りたいッ!切りたいだけだけどなぁッ!」
「いざ尋常に…己が
「構えろVスパイダーッ!この敵達は…本気で我々を殺す気だッ!」
「っ、はい!」
職場体験2日目。敵との
▼▼▼
「ウォォォオオオオオオオオオオオオオオ!!」
『GYAOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!』
二匹の竜が激突する。一方は全長8m程の巨体を鞭のように撓らせ周囲を破壊する竜脚類。もう一方はその5m程の身体を持ち鋭い牙や爪で襲い掛かる黒き獣脚類。
古代にタイムスリップしたかのような、その光景は見る者を圧倒させる。
「この小僧がッ!潰してやるッ!」
ブラキオザウルスの個性を持った男はその巨体を支える強靭な前脚で相手を潰そうとする。しかし相手は変幻自在の身体を持つシンビオート。踏み潰そうとした瞬間、身体を変形させその場から離脱。その後に攻撃を仕掛けると行ったヒット&アウェイ戦法を取って来るのだ。
『何処を狙っているコッチだッ!』
「黒指弾ッ!」
BANG BANG BANG BANG!!
「ちょこまかと…ッ!」
更には顔を狙った遠距離からの狙撃により一層の苛立ちを見せる。威力こそ低いものの、鼠の如く動き回るその姿が煩わしく思える。
「ならば、これでどうだッッ!」
直後、身体を軸にその長く伸びた尻尾と頸を振るい竜巻のように回転する。ブォンと空気を切りながら発せられたその攻撃は周囲の街灯や建物を容易に抉る威力だ。
流石にこの攻撃をマトモに受ければ来正恭成とシンビオートとも言えどタダでは済まない。
それを裏付けるかのように"ぐちゃり"と音を響かせながら黒い物体が飛んで行き壁に打ち付けられる。
「ハハハハ!俺を甘く見た結果だ小僧ッ!」
潰れた様を見て昂る頸長恐竜。この一撃によって来正恭成と共にシンビオートも絶命して事だろうと高笑いを上げた。
「…いや本当に」
『ああ、本当に甘く見られたモンだな』
「なっ、声だとッ!?一体何処から……!」
……しかしあくまでマトモに受ければの話。
ダミーである切り離したシンビオートの一部を攻撃させ注意を逸らし、上空へ退避した来正は首長竜の頭上に狙いを定める。そのままシンビオートを凝縮させた拳を握りしめて放つ。
『オレ達の
「黒曜剛拳…ッ!」
『「
CRAAAAAAAAAAAAAAAAAASH!!!
「ぐおおおおおおおおおおおおおおお!?」
四足歩行故にガード不可能な頭部を揺らされ、崩れ落ちて行く腕竜。その光景にシンビオートは『ハッ』と鼻で笑う。
『
「やめなってシンビオート…」
「なん…だ…とぉ……ッ!」
『まぁいい、今のオレ達は紳士的だ。一思いにトドメを刺してやる』
「だから言いかt…ちょっと待った。オレ達って何? 何で僕を巻き込んだ感じの言い方にしたの?」
近くに転がっている装甲車を持ち上げるシンビオート。それをブラキオサウルスの顔面に叩き付けようと、一歩ずつ進んで行く。
……が、しかし来正とシンビオートは気付く。
青く妖しく輝いた焔が迫って来ている事に。当たれば確実に「ヤバイ」と直感した両者は車を踏台にその場から飛び退く。
『HOT!!? GODDAMN HOT!!!!』
「ほ、炎ッ!?何処から───!」
突如として襲いかかって来た蒼く燃ゆる炎に来正達は驚きを隠せない。それに加えその炎は彼等が避けた先にはヒーロー達と戦闘を繰り広げる敵達を呑み込んだのである。
「あ、ああああああああああ!?」「熱い、熱いいいいいい!」「何だ何だこれぇ!?」「ぐあああ喉がッ!や、焼け───!」「おおおおおお!」
「ッ! 仲間を巻き込んで…!?」
『…フン、お前が気に病む事じゃないだろ。敵が減ってくれて楽になった』
遠回しに気にするなと告げているシンビオートは眉間にシワ(らしき模様)を寄せながら炎の発生源を目視で探る。炎から逃れる為に電柱の上へ避難したのが幸いしたのか。その犯人はすぐに見つかる事となった。
「よぉリーダー。情け無い格好を晒してんなぁ」
「黙れ!新人の癖して……まぁ、良い。この坊主を殺すぞ」
「殺す…殺すねぇ……」
新たに現れたのは身体の至る皮膚が継ぎ接ぎとなった男。腕から煙を発しながら口端を吊り上げる人物はリーダー格の敵の側に立っていたのである。
『オイオイ、恐竜の次はツギハギのフランケンとはな。ハロウィーンの仮装パーティにしては気が早いんじゃないか?』
「そんな事言ってる場合か!?不味いぞシンビオート。あの
炎系統の個性と言えばクラスメイトの轟焦凍とその父親のNo.2ヒーローのエンデヴァーが頭に思い浮かぶだろう。
半冷半熱を操る轟は左右それぞれの個性を使い分ける事により幅広く強力な攻撃を行う事が可能。エンデヴァーの場合は史上最強とも言える
それ等と比べれば相手は大した事は無い……否、そんな簡単に行く訳が無い。
「オイオイ泣言を言わないでくれよ。曲がりなりにもヒーローだろ?…まぁ、いいさ。ところでお前…雄英のヤツだろ。ホラ、テレビに出てた黒いヤツ」
『だからどうした。サインでも欲しいのか?残念だが予約制でな、ムショに入り直してからまた来るんだな』
「おう、考えとくよ」
直後、間隙無く放たれる蒼炎。それに対し轟との戦いを得た経験を生かし地面を畳返しのように剥がし盾のように扱い防ぐ。
だが、これは盾としてでは無く時間を数秒でも長く保たせその場から離脱する為のモノだ。
色温度と言う現象が在る。それは一般的な約1500℃の赤い炎から黄→白へと温度が上昇する度に色が変化していくモノだ。
そして青い炎はそれ等よりも高い『摂氏10000度以上』なのだ。
(轟君の炎の約10倍はある完全燃焼の燐火ッ!当たればただじゃ済まないッ!)
体勢を立て直そうとする来正はその場から飛び退き炎から逃れる。しかし背中に衝撃が走ると共に突如として己の体が地面に叩き付けられる。
(が…ッ、な、何が起こって…!?)
纏まらない思考回路を無理矢理動かし状況を理解しようとするが、ふとその場が暗くなった事に気付く。
(いや、これは!?)
失念していた、敵は一人では無い。目の前には今にも前脚を振り下ろそうとする恐竜の姿があった。
先程まで戦っていた巨大な敵が頭から抜けていた事に悔やみながらも来正はシンビオートの腕を側方へ伸ばす。そのまま遠くにある街灯を掴み一気に腕を縮小させその場から離脱し踏み付けから逃れる事に成功した。
『大丈夫か?』
「多分大丈夫…。成る程、さっきのはブラキオサウルスの尾に叩きつけられたのか…ッ!」
未だビリビリと来る身体を起こし目の前に立ち並ぶ敵を見据える。どちらか一方に集中すればもう一方に攻撃を加えられる。
「せめてコスチュームがあれば…ッ!」
『嘆いても意味は無い。来るぞッ!』
「そらそらそらそらっ!そらぁっ!」
「う、わッ!」
鋏の片刃からフェンシングの如く連続突きが放たれる。避けながらも糸の射出を行うがどれも腕から伸びる刃によって弾かれる。
「華奢なその肢体より繰り出される技法…なんと美しき事かッ」
「お褒めどうもッ!そんなに好感触なら子供達を逃してくれないかな!」
「否、その可能性に満ちた少年少女達はこの鋏の如き刃の煌めきを秘めているッ!」
「はぁ?」
《言語理解不可能。敵の戯言と捉えてくださいチズ》
攻撃を躱しながらも赤糸虫は鋏を個性とする敵の発言によって頭を悩まされる。一々台詞回しか意味不明。これならば同じクラスの黒色支配の方がまだ理解出来ると彼女は考える。
「言ってる意味が分からないよッ!そんなにハサミハサミ言うなら他の皆(敵達)誘って理髪店を開業したら!?そっちの方が儲かるって!絶対に!」
「儲かる? 笑止ッ!金銭に目が眩むような私では無いわッ!そして、あの程度の低い連中と一緒にしてくれるなッ!」
「うわぁ!何故か怒られた!?」
《実に面倒臭い性格をしていますね》
激昂する敵に面喰らう赤糸虫。そんな彼女の後方で銃弾を敵目掛けてばら撒きながら戦っているシルバーが叫ぶ。
「そんな者、相手にするなV・スパイダー!」
「酷ッ、酷い事を兄ちゃんに言うなぁぁああああッ!」
弾丸を手先の刃で防ぎながら突進を仕掛けて来る弟敵。しかしそんな肉親を気にする素振りを見せずに兄側は剣を携えながら云う。
「あの者達は所詮大した野望も信念も持たぬ愚かしき烏合の衆。だが我々兄弟はこの異能を天より授けられた時より真なる世界を求め、闘う命運となっているッ!」
「すみません何言ってるか分からないです」
「元より理解を得ようと言う考えは持ち合わせて無いッ!」
「駄目だこの人会話通じない!」
ガンガン飛ばす一方通行の言葉に思わずたじろいてしまう赤糸虫、そんな彼女の背後から弟が迫る。
「お前ェ! 渡ッ!渡せェッ!」
「っ!?」
「やらせるか」
そこに銃からトンファーへと持ち替えたシルバーが割り込んだ事によって赤糸虫は事無きを得た。
「あ、ありがとうございます!」
「当然の事をしたまでだ。集中しろ…しかし」
互いの背を預ける形で構えるヒーロー二人は目の前の敵と対峙するが、シルバー・マルテースは戦いの中に存在して違和感について引っかかっていた。
(先程から、私では無く
敵二人が赤糸虫を重点に狙う理由。初めは相性や戦闘慣れしていない為かと考えていたが此処に来てその違和感は浮き彫りにされた。
「(殺意こそあるものの首や心臓等への急所攻撃されてない。彼女に対して何かあるのか…?)思った以上に煩わしい口だな」
「貴様…我々の信念を侮辱しているのかッ!」
「フン、だから何か問題があるのか?私達ヒーローから見れば貴様も個性を持て余し暴れる敵に過ぎない。そう言われても違うと証明したいのならば
それを明らかにすべく見え透いた挑発で少しでも情報を引き出そうと画策したシルバーに弟の敵は汚い笑い声を上げる。
「ギャハハッ!兄ちゃんッ!兄ちゃんはそんな挑発には乗らn「そこまで聴きたいのならば良いだろうッ!」兄ちゃん!?」
(んん!? いやいや待て待て。流石に挑発に乗るの早いだろう!?罠か!まさかこれは罠なのか!?)
まさかの煽り耐性が0に等しかった敵の兄の方。こんなにアッサリと教えて来るので逆に偽りの情報を与えて来るのではないか?と疑問に思ってしまう程だ。
「兄ちゃん落ち、落ち着いt「我等が目的は二つッ!一つ目は養護施設にその身を預けられし子供等ッ!」兄ちゃんんんんんんッッ!」
「かの子達は恵まれし異能をその身に宿したにも関わらず社会より見捨てられたッ!そのような横暴を見過ごして良いのか?否ッ!断じて無いッ!」
頭を抱える弟を尻目に彼は切先を向け口にする。
「故に、我等は改革を起こすッ!そしてその子等は未来に訪れし新時代の精鋭へと育て上げるのだッ!」
「……えーと、つまり?」
《要約すると児童の集団誘拐です》
「成る程…結局の所、犯罪に変わり無いんだね」
少しでもボリュームを大きくして喋れば噛み付いて来ると学習したのかヒソヒソと小声でMJに返事する赤糸虫。そんな事している彼女だったが突如として敵はこちらに向けて言葉を投げ掛けて来た。
「そして二つ目の目的は貴殿だ
「えっ」
《事案ですね。分かります》
「いや、それに関しては児童を狙ってる時点で今更なんじゃ…と言うかボク!?」
「然り!さぁ渡して貰おうか、貴殿の持つ
「チ、チップ!?」
敵の言う事に混乱する赤糸虫。言い回しが独特な上に回りくどい言い方をして来る所為で意図が伝わらない。
…そんな困窮した事態に頭を悩まされている最中、遠方から轟音が響く。そちらに視線をやるとボウボウと天に伸び青く燃える焔が視界に映った。
「あれは…青い炎!?」
「ぬぅ、愚者め!
「もう一人の標的…まさかッ!」
赤糸虫は気付く。先程炎が上がった方向そこには子供達の逃げる時間を稼ぐ為に一人残った来正恭成が居た場所だと言う事に。
「まぁ良い…VENOMとV・スパイダーのどちらが持っているだろうチップが無事ならば問題無い。それが終わった後は───「させないッ!」む?」
「そんな事絶対にさせないッ!」
臆病で意気地が無い彼女から発せられた台詞。これは強がりでも演技でも無い真に腹の底から湧き上がった言葉。
「来正君も!子供達も!絶対に死なせるもんかッ!」
脳裏にチカチカと映る鬱陶しい過去。頭の中にこびり付く忌まわしい映像を振り払うかのように、燃え上がる衝動のまま赤糸虫知朱は飛び出した。
〜〜キャラクター紹介〜〜
『
個性:ブラキオサウルス(8m級)
養護施設を襲撃して来た敵達のリーダー格。個性によって変化した巨大から繰り出す圧倒的重量で押し潰す戦法を得意とする。
『継ぎ接ぎの男(仮名称)』
個性:青い炎(仮名称)
全身の至る皮膚が爛れ移植したような跡が目立つ不気味で掴み所の無い男。上記の竜崎と共に来正とシンビオートを追い込む。来正達に興味があるらしい。
分かる人には分かるかもしれないキャラ。
『
個性:剪定鋏
両肘に生やした刃で戦う敵。ナルシストかつ偽善的な性格を持ち独特な台詞を使うキャラ。養護施設の子供達とチップと言う謎の物品を狙い赤糸虫と交戦する。
『
個性:剪定鋏
兄とは違い顔面と両手両足に生やした刃を使って戦う。チェンソーマンの悪魔ルックス。言動はヤクキメのアレだが実は暴走気味の兄のストッパー的役割をしている。彼もまた子供達とチップを狙いシルバー・マルテースと交戦する。
『
メスガキ。個性もそのままメスガキの
常時発動型の個性であり自分の意思とは関係無しに相手を傷付け苛つかせてしまう為、親に捨てられ親戚にたらい回しにされた経歴持ち。
うーん、(過去が)重いなぁ。
本格的な戦闘は次回へ持ち越しです。年内には投稿出来るといいなぁ……。
ところでジャンプ
デップーのメタでふざけた台詞が良き。
と言うかサクラスパイダーってなんだテメェ赤糸虫くんちゃんとキャラ被りやがって可愛いじゃねぇかテメェこの野郎!