ヴェノム・レットゼアビーカーネイジにスパイダーマンノーウェイホーム公開決定
や っ た ぜ
縦横無尽に駆け巡る立体機動。三半規管が揺れに慣れて来た今も尚追跡していた。
……まぁどうせこの後吐き気がぶり返すんだろうけど。
「SMASH!」
「ひぃっ!」
「また外した⁉︎」
緑谷君の蹴りが外れた。今までのタイプとは違った個性による動きに緑谷君と僕苦戦を強いられる。
爆豪君なら簡単に捕らえられるんだろうけどなぁ!
……しかしなんだろう、この既視感は。あの敵の動き何処かで見覚え…と言うか身に覚えがある気がするんだけど。
『クソ、上に落ちる変態が。落ちるならムッムッホァイと言いながら落ちろ』
「やめろ……ちょっと待って今何て言った?」
『ムッムッホァイ』
「違うそこじゃない」
落ちる…?上に……
そうか、入学初日に経験した
だとすると相手の個性の正体は……!
「重力操作かッ!」
「重力?…あ、そうか!自分を対象に指向性引力!?」
マジかよ僕の一言で全てを理解したんだけど緑谷君凄いなオイ。
まぁそれは置いといて……相手が空中を自由に動いている訳じゃないと分かったなら話は早い!
「緑谷君、僕等が誘導する!その隙に」
「分かった!決めるッ!」
「よし……シンビオート!最大加速で敵の頭上を捉えるぞッ!」
『
次の瞬間、脚をバネのように見立て地面を蹴り付ける事で街ビルを大きく越す高さへ飛び跳ねた。
「シンビオート接続、
デスペラードに備え付けられたガングレイブユニットが展開。銃口が直下に居る敵へと向けられた。
『今日の天気は晴れ時々EASYなアイシクルフォール』
「3、2、1……SHOT!」
BRTTTTTTTTTTTTTT!
「うおおおおおおおおお!?」
敵の頭上より降り注ぐ弾丸。当たれば一溜りも無い攻撃を避けるべく敵は弾幕の薄い所へと移動を開始する。
まぁそうだよね、面を活かした攻撃なら
……まぁ、つまりはだ。
『まんまと誘き出されたなバーカ』
「──SMASH!!」
「ぐぽ!?」
最初からそこへ来る事を知っていた。故に空中戦闘が不慣れな緑谷君でも攻撃を与えるのは簡単な事だった。
よし作戦成功!後は確保するだけ……
『オイ、あの敵そのまま落ちてるぞ』
…………。
『ワァイ、トマトピューレの出来上がr「急いで助けるぞシンビオート!」チッ』
この際なんで舌打ちしたかはさておき。今度こそヘマはしない、汚名返上の時だッ!
距離的には緑谷君の方が近い…本来なら緑谷君に任せたい所だけど、ごめんね。
「フィンガーネットォ!!」
「わ!?」
緑谷君の横を無数の触手が伸び、そのまま絡み合い網へと形成。落下中の敵を見事キャッチする。よっしゃセーフ!
ゴシャ
「ぐえっ」
「あっ………ヨシ(現場猫) セーフ!」
「いやアウトだよ!!」
勢いを殺したものの、地面のコンクリに背中をぶつけ網の中で悶える敵を前に緑谷君を声を荒げる
……ははは大丈夫大丈夫。シンビオートの治癒能力で治るんだしノーカンノーカン。実質ヘマはしてないから!
そう己に言い聞かせながら捕縛した敵を緑谷君と共に警察達と待機中のシャチョー等の元へと戻って行く。
…道中ずっと緑谷君から訝しんだ目を向けられていたのは気の所為だと思いたい。
「及第点。この程度で苦戦してるような蛆虫が本当にヒーローになれると思うかッッ!!」
「ぴえん」
結局の所怒られた。シャチョー的には褒めてるつもりなんだろうけど心がツライです…でも敵を捕らえたのが緑谷君だった場合はもっと酷い事言われてたんだろうと容易に予想が付く。
「この無精卵!」
「すみません!」
横でお爺さんヒーローに蹴られてる緑谷君を横目に僕は一種の安堵を覚える。ごめんよ緑谷君、職場体験が終わったら配布用に予備で書いてもらったギャング・オルカ事務所に所属してるヒーロー全員分の直筆サイン上げるから…!
『置き場所に困るだろ』
「緑谷君ならヘーキ大丈b「ところで誰だ君は」うわぁ!ビックリした!」
『そっちこそ誰だお前は』
僕の側にいつの間にか峰田君サイズのお爺ちゃんヒーローが立っていた。え、知らない内にとか何この人?ヨーダ的な凄い人だったりするの?
そう思っていると横から赤糸虫さんことVスパイダーが小声で話しかけて来た。
「きせ…ヴェノム、挨拶を欠かすとシャチョーにドツかれちゃうよ…!」
「(そうだった、赤糸虫さんありがと!)ゆ、雄英高校出身の来正恭成です!ヒーロー名『VENOM』!! 好きなタイプは
「来正君!?自分の性癖を暴露する意味は無いと思うよ来正君!」
『ヒーロー名乗ってるのに一気に犯罪者みたいな印象に変わったな』
そんな、飯田君を習って全身全霊を込めて己を包み隠ずに自己紹介したのに!
「習う所間違ってるから!」
「お前の性癖に関しちゃどうでも良い、と言うかそれ以上触れたくないな」
「えっ(グラントリノが引いてる…⁉︎)」
「オイ、ちょっと聞きたい事あるんだが良いか?」
「えっ……えーと…」
「構わん、そのグラントリノと言うヒーローは高齢だが中々の才腕だ。今の内に色々と話しておくと良い」
「悪いな、コイツはちょっと借りたくてな…まぁ着いて来い」
いや、着いて来いて。我、学生の身ぞ?職場体験させて貰ってるヒーロー未満が勝手な行動するのはどうかと思うんですが。そこら辺どうなんですシャチョー。
「許可する」
「アッハイ」
良いんですかシャチョー。そこら辺はちょっと厳しくても…あ、いや何でもないです。何でもないので肩車投げの準備体勢に入るのはやめてください。
『オレは賛成。このガラクタを見ずに済む』
《右に同じく。反吐路外来種のエイリアンを視覚に映すのはバッテリーの無駄なので》
『消えろポンコツ』
《死ね有機生命体》
『FUCK』
《ドグサレ》
『お前がドグサレだ』
「…赤糸虫さん提案なんだけどさ、
「ボクもそう考えてたところ」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
しばらく建物の屋根を伝うように跳び、移動すること数分。老年のヒーローは廃棄されたであろうビルの屋上で立ち止まると僕の方へと向き直る。
「こんな所に呼び出して悪いな小僧」
「いえ、気にしてませんので大丈夫ですよ。で、僕達は何故にこんなところに呼び出されたんでしょうか?」
この人とは面識が無い筈。だとすると考えられるのは…体育祭に関してかな?おまえのようなひよっこをヒーローと認める訳にはいかん!と言いながら変身しそう…あ、うん分かってる。変な事言ってる自覚はあるからそんな冷ややかな視線を向けるのはやめるんだシンビオート。
「まぁいい。俺ァまどろっこしいのは嫌いでな、直球で聞くぞ」
「はい?」
「お前、
「ッ⁉︎ グラントリノ!」
「黙ってろ。で、知ってるのか?知らないのか?」
「いやそんな事言われても…それって『三銃士』の名言的な奴ですよね?アレクサンドル・デュマの小説の」
大デュマ執筆の長編小説
ダルタニャンと三銃士であるアトス、ポルトス、アラミスが織りなすストーリー…で合っている筈だけど…うん、この何とも言えない微妙な反応は間違いないうちの個性の仕業だな(超速理解)
「成る程分かりました、
『オイ』
「分かってますコイツが何かやらかしたんですよね」
『ふざけるな、俺の所為にするな』
分かってる、分かってるから。シンビオートの下衆な性格は今更変えようの無い事実なんだからさ?こんなお年寄りに迷惑掛けて僕はスタンおじさんに顔向け出来ないよ…。
まぁ、とにかく何が言いたいかと言うとだね。
「頼むから僕を巻き込まないで、シンビオート責任取るんだよあくしろよ」
『喧嘩か?ヨシ、喧嘩だな。ブッ殺す』
「わー!わー!ちょっと物騒なのやめて!」
「……ふむ、その様子だとオメェ等。ホントに知らないんか?」
そんなやり取りを見せている傍でグラントリノが怪訝そうな面向きを浮かべる。
「まぁ、にしてもだ。小僧の知り合いと聞いてみたものの思った以上に奇天烈な奴だった訳だな」
「奇天烈…」
『褒めてるのかソレ?』
多分褒められてない。と言うか一向に話が見えて来ないんだけど。これもしかしなくとも長くなるヤツ?帰っていいかな(真顔)
「えっと、ほら前に来正君が僕の技をそっくりそのまま出したでしょ?ソレをグラントリノが気になって……」
「……あー、もしかして腕ぶっ壊したヤツ?」
『腕ぶっ壊したヤツだな』
アレかー…、なんか知らない内に出て来た凄いヤツ……うん、ごめんよ。
「緑谷君、
「諦めてるの!?」
だってシンビオートの事調べれば調べる程なんか色々と分からなくなってくるんだよ。発現したての頃はタンパク質を貪り食うし、主食がチョコレートだったり、宿主の意思に反して勝手に身体を操るし。
人間が捕食対象内って知った時はもう考える事を放棄したからね僕。もはや個性と言うよりは個性の皮を被った爆弾なのでは…?
まぁ、それはさておき。あの時半分無意識でやってたから分からないけど、シンビオートは何か知ってたりする?
『真似た』
「は?」
『キョウセイがデクみたいなパワーを望んだ。だから真似してみた』
「……馬鹿にしてんの?」
『馬鹿にしてる』
「キレそう」
「……あー、ったく。こりゃ演技って線は無さそうだな」
「はい?演技?」
「あ、えっと!何でもない!何でもないから!」
『なんか怪しいなァ…おい。何を隠してる?』
緑谷君のクソ大根芝居演技にシンビオートが御立腹の様子を見せる。まぁ確かに先程からの質問の意図が気掛かりなのは確か。
僕が放った捨て身の一撃と緑谷君が放つ必殺技の関係性は僕も分からない。けど何をそこまで慌てる必要があるのだろうか?別にやましい事をしてるわけでもあるまいし。
「一体僕達に何の用だったんですか?」
「あ、なんだって?」
「いや、僕らに対して何の意図があったんですか?」
「なに?誰だ君は」
「来正恭生です。いやだから…」
「なに?最近耳が遠くてな!」
「くぅ、最近の年寄りは…ッ!」
おのれ、緑谷君とグラントリノはグルかッ!そこまでして僕に何を隠したいって言うんだ……!
『オラ、ジャンプしろジャンプ』
「ヒィ、勘弁してください。僕お金持ってません!」
『嘘を吐くなよ、お前の懐が暖かいのは既に分かりきってる。そら出すものを全部出してもらおうか』
「いやそっちは何をしてるの???」
何でカツアゲしてんの?緑谷君達の隠し事って銭の事じゃないからね?と言うかヒーローがやっちゃダメな行為だからね?
と言うか緑谷君もシンビオートの言動に乗らなくていいから(良心) 甘やかすとトコトンつけ上がるからねこの寄生軟体生物。
「…ハッ⁉︎ごめん来正君、昔かっちゃん達にカツアゲされた記憶がフラッシュバックして来て……」
「すみませんでした(土下座)」
いやホント、トラウマほじくり返すような真似してすみませんでした(五体投地)
やべぇよやべぇよ…緑谷君の
ほら、謝って爆豪君!こう言う拗れた関係は早期に治さないと後々面倒臭くなるって知ってるんだからな!MARVELの鉄の男とか、慈善家社長とか、金持ちで天才なプレイボーイとかさ!
BOOOOM!!
「……えっ」
側方より熱と光と轟音が広がる。一瞬ブチ切れた爆豪君がこちらの心の声を感じ取り大噴火を起こしたのかと思ったが違う。
あの炎の勢いと方向。交通事故等で起こるには不自然なモノ。
「これ、どう考えても…ッ⁉︎」
「人為的な爆発だなこりゃ。お前等は此処で待ってろ!」
「グラントリノ!?」
ぎゅん!と音を鳴らしながら空を飛ぶ…いや、あの動きからすると足元から空気を噴出させて空中を移動しているようだ。そして僕等が困惑している間にその人は爆炎の向こう側へと消えてしまった。
『オイ、年寄りに任せてられないぞ。オレ達もすぐ行くぞ』
「でも此処で待ってろと言われたし、どうしようか緑谷く…!?」
視界を横へ移すが、先程までそこに居た筈の緑谷君の姿はなくなっていた。
み、緑谷君のヤツ…ソウルフレンドである僕に何も言わずに飛び出しやがった…!
何故だ!僕が手柄を横取りしたからなのか!当てつけのつもりなのかチクショーーッ!
「クソァ!こうなったら
『…オイ』
「なに?言っとくけど緑谷君はチョコ如きで尻尾振るような真似はしないかr『何か来る』え?」
直後傍にあった給水タンクの上に黒い靄が発生。直後渦のような形を作りヌッと見覚えのある人物が二人、その姿を現したのだ。間違いない…でも何で?何故このタイミングで⁉
どうして此処に”敵連合”が現れるんだッ⁉
「おーおー、派手にやってるなぁ」
「手配された脳無は合計3体。どれも雄英襲撃に使われたモノと比べ性能は劣りますが十分な被害を出せるかと」
「まぁいいさ、好きなだけ暴れさせろ。ついでにに"アレ"も試しておきたい」
相手側の死界で息を潜める僕等。ヘルムに搭載されているマイク機能を作動させ、相手会話の録音・収集を行う。
こんな機能要る?と思ってた時での使い所さんだ、サンキュー
「しかし
「…ッ!?」
ヒーロー殺し…⁉︎まさか、あの『ヒーロー殺し』なのかッ!?
敵連合と繋がりがあるなんて聞いてないんだけど!
「しかしいいのですが弔? 彼を引き込めばかなりの戦力に…」
「気に入らないんだよ、世間は矜持やら信念やらと三文芝居が好きなヒーロー殺しに注目。なら、ぶっ壊すしかないだろ…見ろよこの街を。奴がここ一帯に一体どれ程の影響を与えたと思う? それが今じゃ悲鳴飛び交う
『なんか気持ちよく語ってるな。いい歳して恥ずかしくないのか?』(小声)
「シッ、見ちゃいけません」(小声)
ああ言うのは一種の
「ヒーロー、誇り、信念、矜持、正義…どれもこれも気に入らないんだよ。正しき社会やら真の平和やら俺にとっちゃ全部がくだらない戯言だ。
こちらがその会話内容を録音しているとは知らず絶賛悦に浸かっている死柄木弔。なんだろう、物凄くイケない事をしてる気がして来た…え?相手は敵だから気にする必要は無いだって?
いや、何と言うかヒーロー以前に人として相手の恥部を盗み聞きしてるのが申し訳なくなって来るんだけど……まぁいいでしょう(マスターロゴス)
「はよ撤収しよ…」
ゴッ(クソデカ盾が支柱にぶつかる音)
「あっ」
『あ』
「あ?」
「…あ」
直後、互いの視線が交わる事数秒経過。僕の全身からドッと冷や汗が噴き出る。
やべ、バレた!? い、いやまだだッ!幸いにも僕のコスチュームは全身を覆うタイプ。まだ正体がバレた訳じゃないのでセーフ!ここは馬鹿のフリ馬鹿のフリ…!赤の他人のフリ…!
「ハハッ やぁ僕キッセーマウス! こっちは愛犬のプルートゥさ!」(高音)
『イヌヌワン!』
「貴様 来正恭生ッ⁉︎ 先程までの会話を聞いたなコイツ!」
「あーーーーッ!」(正体バレて絶望する声)
「あーーーーッ!」(先程までの会話を聞かれて羞恥心が爆発する死柄木)
『あーーーーッ‼』(レンガブロックを投擲)
ゴシャ
「「あ゛あ゛あああ゛っっ!!」」(断末魔)
「あーーーーっ⁉」(シンビオートォ⁉)
勢いのまま叫び、屋上から飛び降りる。やりやがった!マジかよこの野郎!やりやがったッ‼︎ あの場面でレンガ投げつけるか普通⁉︎
と言うか何でレンガブロック常備してるんだよコイツ、どっから出した‼︎
そんな悲痛の叫びを胸に僕等は炎によって照られされる保須に向かって飛び込んで行った。
▼ ▼ ▼
彼等が逃げ去った後、流血を顔から垂らしながら地に伏す敵連合のリーダーである死柄木弔はよろめきながら立ち上がる。
「クソ、またやりやがった…!オイ、黒霧。アレを使うぞ」
「死柄木ッ⁉︎ ですがアレはまだ未完成で…」
血走った目を黒い靄に向け、有無を言わせない様子で彼は声を荒げた。
「いいやそれでもだ。先生に繋げろ 『ライオット』を解き放て…ッ!」
投稿遅れてすみませんでした。いやホントリアルが忙しくて…
MCU作品の再活動化やスパイディ、ヴェノムの新作映画によりモチベーションが上がったので執筆活動の方を再開させていただきます。