違う!シンビオートが勝手に!   作:ゴランド

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2022年あけましておめでとうございます。
スパイダーマン ノー・ウェイ・ホームを観に行きましたが、皆さんは観に行かれましたか?
自分ですか?観終わった後の楽しさと喪失感とテンションで頭がおかしくなりそうでした。まぁつまり面白いから観に行け!あとネタバレは見ない方が100倍は面白くなるぞ!(当社比)



43話 違う!僕の知ってるシンビオートじゃない!

 炎に包まれる街道、瓦礫と化す建築物。とても平和とはかけ離れた保須市は怪人の手によって地獄の門が開かれた。

 

「消化活動と避難を優先しろ!まずは市民の安全からだ!」

「誰か!水系の個性持ちはいるか!」

「クソ、なんなんだコイツ!人としての強さから逸脱してるぞ!」

 

 重要器官である大脳を剥き出しにした異形の怪物。並のパワー増強型個性では太刀打ち出来ないパワーに、その体格から繰り出されるとは思えないスピード。加えてその個性等とはとても噛み合うとは思えない再生能力により保須市のヒーロー達は苦戦を強いられている。

 

「コイツ等、まさか…USJに居た…ッ⁉︎」

 

 その場面を目撃したヒーロー『デク』こと緑谷出久はその時の光景と眼前の現場を重ねた。あの時はオールマイトに加えて来正恭成の機転により何とか乗り換える事が出来た。

だが、そんな怪物が再び目の前に現れてしまった。

 

直後、側のガードレールにガシャンと音を立てながらヒーローが激突した。目の前の脳無によって投げ飛ばされたのだろうと容易に想像できる。

 

「大丈夫ですか…「逃げろ!」ッ!」

 

 瞬間、こちらを捕捉した脳無がその巨体を動かし迫って来る。緑谷は咄嗟にOFAフルカウルを発動させ手負いのヒーローと共に退避する。

 

「危な……ッ⁉︎」

 

 回避したのも束の間、停止させてあった乗用車が脳無の怪力によって持ち上げられそのままこちらに向かって投げ飛ばされる。

地に足が着いてない現状では避ける術が無い。フルカウルによって跳躍回避したのが仇となりせめて手負いのヒーローは守ろうと緑谷自身が盾になろうとした、その瞬間。

 

『GUOOOOOOOOOOOO!!!! 』

「えっ!?」

 

 自身の目の前に脳無とは違う黒い怪物が空より降り立ち、車を受け止めたのだ。

 

『いい車だが傷がついてる。返品だ』

 

 そのまま力任せに車を投げ返し、脳無は鉄の塊に挟まれる形で建物の壁面に叩き付けられる。

脳無を捻じ伏せたパワーを前に立ち尽くす緑谷。そんな彼に向き直る形でその黒い怪物は顎を大きく開き、唾液を垂らしながら言葉を放つ。

 

『よう、デク。さっきはよくも置いて行ってくれたな』

「シンビオート君!」

 

 歓喜の声を上げる緑谷。雄英高校一年の中で屈指の実力とヤバい性格を兼ね備え、雄英体育祭のやべーヤツともっぱら評判の人物(?)である。尚、宿主(主人公)の方がおまけ扱いされてるのは言うまでも無い。

 

「ありがとう、助かったよ」

『ご機嫌取りのつもりか?その程度でオレが素直になるとは思わない事だな』

「いやいや、本心だよ!シンビオート君のフィジカルなら脳無に対抗出来るし、いざとなれば内側から無力化する事もできる!今この場に於いてとても頼りになるんだよ……って、あのシンビオート君?何でそんなに口を大きく開いてるの?」

『オレは根に持つタイプだ。さっきはよくも置いていってくれたな』

「えっ」

『まぁいい今回は食事で勘弁してやる、ありがたく思えよ』

「いや、あの、何を言っt───」

 

ガチュッ

 

 直後、緑谷出久の上半身が丸ごと齧られる事となった。数秒経過した後、ペッと液体塗れとなった緑谷が雑に吐き出される。

 

「お、おい!なんかヤバいのがもう一体増えたぞ⁉︎」

「アレは敵か⁉︎敵なのか⁉︎」

「…い、いや相対的にギリ敵じゃないっぽい!」

「大丈夫だ!アレは敵っぽいがちゃんとしたヒーロー(候補生)だ!」

「ヒーロー…ヒーローの姿か?アレが?」

 

『いい感じにギャラリーが増えてきたな』

「…解せぬ」

「げ、元気出して来正君……」

「慰めはよしてくれよ…(絶望)」

 

 

 

 

 ▼ ▼ ▼

 

 

 

 やぁ皆、大分この扱いに慣れてきた主人公だよ。もう、ね。キャップのように高潔な戦士側にはもう戻れないんだなぁって思うようになってきたよ。

…え?元から高潔な戦士からほど遠いだって?うっせえシンビオート嗾けるぞ(脅し)

 

「緑谷君、状況は?」

「脳無だ。USJの時にでた怪人が現れた」

「やっぱり敵連合の仕業か」

「あとシンビオート君に齧られた」

「うん、それについてはごめん。一種の愛情表現として捉えてもらえると…」

「無理がある!」

 

 情報っを耳に入れながらも負傷したヒーローの治癒を行っていく。あ、ビックリしてるようですがこう見えてヒーラーも兼任できるんですよ。

さて投げ返した車で攻撃を与えたところでそう簡単にくたばる筈もなく怪人は乗用車を破壊しながら負ったダメージを再生させて行く。

 

「やっぱ再生か…USJのヤツと比べてショック吸収は無さそうだけど」

「簡単には倒せないね。となると捕縛による無力化!」

「…なら!」

『アレで行くか!』

 

 両腕に黒い流体を纏い腕を地に突き刺す。直後、脳無の足元から無数の触手が伸び雁字搦めにする。そして……

 

『「Biting Binding‼︎」』

 

 虎鋏となって身体中へ喰らい付く。最初に使った頃と比べて技の精度も上がったお陰か虎鋏自体の数も増えており脳無をガッチリと固定させる事が出来た。

よし、あとはこれで……。

これで………。

 

「凄い!いつの間にこんな必殺技を」

「緑谷君」

「なに来正君?」

「いやこの後どうしよう」

「来正君!?」

 

 いやごめん、無力化する事は出来たんだけどさ。これ僕自身が動けないヤツだ。

やべぇよ、やべぇよ。結構格好つけた割に凄いカッコ悪い状況に陥ってるんだけど。此処以外にも敵が居るのに、僕だけこの状態って結構キツイ。

 

「────!!!」

「待って来正君!アイツまだ!」

「…⁉︎ 動けるのか、その状態で!」

 

 流石は脳無と言うべきか、それともまだまだBitingBindingの練度が低い為なのか。拘束されてる筈の黒の怪人は未だ健在。その巨体を動かし始める。

 

『クソ!熱い!力が入らない!力が抜ける!』

「…! 火事のせいでシンビオート君が弱体化してるのか!」

「こう言う時に限って……ッ!」

 

 不味い、此処一帯は火の回りが早いからか避難が済んで無い!それに負傷したヒーロー達も居る!

 

耐熱性のコスチュームを纏っているとは言え、拘束技を使用すると自ずとシンビオートを体外に出す事になるので熱に晒されるのは当然なのだろう。ブチブチと音を鳴らしながらシンビオートの拘束を引きちぎりこちらに向かってにじり寄って来る脳無。咄嗟に戦闘体勢に入る緑谷君が僕の前へ出た…その時だ。

 

「背中ちょっと失礼!」

 

 突如として空から落ちて来た赤糸虫さんが脳無の顔面、両腕に向かって糸を放出。加えてその白い手綱を巧みに操り怪人を無理矢理従わそうとする姿が僕等の視界に映る。

 

「赤糸虫さん‼︎」

「ごめん、見つけるのに手間取った!…って、ホラ大人しくお牛さん。ロデオの時間だよ!」

「────!!」

 

 ズガン!と音を立て建物に衝突して行く脳無。視界が良好じゃない今が好機と考えたのか緑谷君が駆け出す。

それに対し僕は手に持った大盾を放り投げる。

 

『叩いても蹴っても無駄だ』

「これを!」

「!」

 

 宙を舞うデスペラード。それに向かって緑谷君はオーバーヘッドの体勢に入って…あっあっ、待って緑谷君それ足蹴にするのやめてせめて投げるとかそう言う形にしてくれると嬉しいんだけどいやちょっと待っt

 

「SMASH‼︎」

「僕の盾ェェエエエ!!」

 

 ゴシャァ!と言うか音と共に脳無に向かって放たれる鉄の塊。デスペラードの機能の一つであるハサミ(シザーグラップル)が展開する。

…って、それよりも!

 

「赤糸虫さん避けて避けて避けてェェーーーー!」

「え、あ、うおあッ⁉︎」

 

 飛んで来たハサミ付き大盾に驚きながらもソレを巧みに躱す彼女。そのままシザーグラップルは脳無の喉元を捉え、壁に固定される結果となった。

 

んー…蹴られたのはアレだけどまぁ結果オーライだね、ヨシ!(現場猫)

 

「あー、ビックリした。せめて一声掛けてくれてもいいんじゃない?」

「う、ごめん…」

「まぁまぁ…その、ありがとう赤糸虫さん!お陰で助かったよ」

「どういたしまして。Aクラスの…あー、腕を良く壊してた〜…そのー…あー…」

「緑谷です」

「そうそう緑谷君。勿論知ってたよ うん勿論」

《別クラスとの交流も殆どない状態で顔と名前を一致させる記憶を持つ確率は26%。恥じる必要はありません》

「んん゛っ そうだねMJ。42%うん、まぁ半々だねうん。勿論ボクは覚えてたけどね?」

 

 余裕そうに見えるけどマスクの下は思い切り引き攣った顔になってるんだろうなぁ。そう思っていると身体が勝手に操られる感覚が襲い掛かってきた。ってアレ?脳無の方に歩み寄ってるんだけどシンビオート、どうしたシンビオート?

 

『それじゃあお楽しみの時間だ。今からのスケジュールはアイツの首から上を刎ねた後、楽しいセパタクローの開始だ。Here we go』

「ノー!ノーゴー!」

 

 アカンて!流石に首チョンパはアカンてシンビオート!せめて周囲の目は気に掛けて???

 

『………』

 

 俺がそう言うとシンビオートが顔を出し、左右をゆっくり眺める。

 

『…少しならバレへんか』

「オイこのたわけを囲め!」

 

 僕の合図と共にすぐさま駆け付けてくれる2人。やっぱり持つべきものは(共にトラブルを解決してくれる)友達だよね!

特に緑谷君、君は友人の中で最も常識に近い枠組なんだ。逃さんぞ(鉄の意志)

 

『オイ、まだ何もしていない!これがヒーローのやる事か?』

「まず首を刎ねようとする時点でヒーローのやる事じゃないんだよ!」

 

「…あ、あの来正…君?」

「何⁉︎今取り込み中なんだけど赤糸虫さん!」

「そ、その足元のって……」

 

 足元?赤糸虫さんの言葉通りに下の方へ視線を向けるとサッカーボールみたいな黒い何かが転がっていた。

え、なにこれ?黒焦げになった塊かなにか?僕とシンビオートが頭を傾げていると緑谷君が惜しげもなく拾う。

 

「えっと…一体なんだろ」

『誰かの排泄物かもな、こんなにデカいんだ。怪人のモノかもしれない。捨てておけ』

「いや流石に脳無のウ○コな訳が……」

「はは、ちょっと。流石にここで下品な話はやめて…ほ…し…」

 

 ふと空気が凍る。よくよく見るとそのボールのように見えた何かはピンク色のブヨブヨしたモノと立派に目立つ歯と下顎によって構成されていた。

とどのつまり今、緑谷君が持っているのは───

 

《診断完了。脳無の頭部と見受けられm》

「うわあああああああああッ!」(生首を投げる緑谷)

『NICE CATCH』(口で受け止めるシンビオート)

「ヤメロォ‼︎」(蹴りを入れる来正)

 

 危なッ‼︎危ね、危ないなッ⁉︎ 下手をすればあのままシンビオートが脳無(生首)を飲み込んで俺の栄養素になる所だった‼︎

 

「と言うかシンビオートお前!やったな‼︎遂にやったのかッ⁉︎ アレ程やめろと言ったのにやったのかお前‼︎」

『何がだ』

「サッカーやるが為に首切り落とすってお前!ボールは友達だろうが!友達の首を切り落としちゃ駄目だろうがッ!」

『よし分かった。落ち着け』

 

 直後、僕に急接近するシンビオー…とごッ⁉︎ こ、こいつ…頭突きしてきやがった…⁉︎

 

『悪かった。だが頭が冷えただろ?』

「ん、あ〜…まぁ一応」

『それじゃ治してやる…と、その前にもう1発』

「え、何を言っtグボァ⁉︎」

 

 こ、こいつ…治せるからってグーで殴るのは無いだろグーは…ッ!

 

「き、来正君!」

「ごめん待って。今顔面が痛くて仕方ないの」

「違うよ!脳無が…!」

 

 そう言って注がれた視線の先には首から上を無くした脳無。だが、ブクブクと肉を形成していき頭部が復活していく様子を見せる。

そうか、そう言う事か!この脳無、自分で()()()()()()()()()()()()()ッ!

 

拘束から逃れる為とは言え、ここまでやるのか⁉︎…いや、USJの時みたいに脳無ならやりかねないか。

 

「ゴオオオオオッ!」

 

 直後、脳無が近くに設置してあった大きいヒューム管を持ち上げて…って、マジか⁉︎もしかしてそれ等全部投げてくるつもりか⁉︎

 

「2人共避け…『おい後ろ!』ッ⁉︎」

 

 そう言われて気づく。僕等の後方にはまだ避難出来てない市民の姿があったのだ。不味い!このまま避ければ後ろの人達に被害が!

 

「シンビオート大盾だッ!」

『この火の中でか!』

「来正君!」

 

 緑谷君の合図と共に、飛ばされて来た土管に対し盾と蹴りで軌道をズラす。

そうする事で避難中の市民達に当たらずに済んだ…と思ったその時。

 

グワン!!

 

 飛ばされたヒューム管がタワークレーンに激突し、そのバランスを崩して行く。

 

「おい、おいおいおい!嘘でしょ⁉︎ 何で軌道を逸らした方向に丁度良くクレーンがあるんだ⁉︎」

「不味いよ!このままじゃ下の人達に被害が!」

「ボクが行く!」

 

 糸を伸ばしながらクレーンに向かって行く赤糸虫さん。建ち並ぶビルと繋げるようにウェブを飛ばして行くけどブチブチと嫌な音を立てながらクレーンの落下は止まらない。ああ、クソ!シンビオート、全力全開だ!

 

「おおおおおおおおおおおッ!」

 

Clash(ガシャアン)

 

eek!eek!(ワー!ワー!)

 

 逃げ惑う市民達が潰されないように咄嗟にクレーンの下に行って、シンビオート全開で支えてるけど…ッ!これ、辛い…ッ!

 

「あ、あんた…」

『黙れ!俺達に話しかけるならサッサとここから消えろ!そうでもしなければその程度の低い脳を貪り食うぞッ‼︎』

「ひぃッ⁉︎」

 

 シンビオートォ!色々言いたい事あるけど今はナイス!でも不味い…!このままじゃ……ッ!

 

「フルカウル…5%‼︎」

「MJ、スーツの機能出力増加!」

《筋力増強モードに移行。活動限界時間は30秒》

 

 すると2人が僕と同じようにクレーンを支え、グググと持ち上がる。これで何とか避難が済めば……⁉︎

 

『オイ、あいつこっちに向かって来てる!』

「嘘でしょ⁉︎今見ての通り手一杯なのに!」

「う〜〜〜ッ!MJ、避難完了までどれくらい⁉︎」

《避難まで推定2分。脳無の攻撃開始まで20秒。そして最後に筋力増強モード限界まで残り10秒を切りました》

「それ…っ、今日で1番…っ、サイコーな…っ、報告だね…ッ!」

 

 直後、ガクンと重みが増すクレーン。そしてどこからかブチリと響く音。ヤバい…!赤糸虫さんのスーツが限界に達してるのに加えて、ここからじゃ見えないけどウェブが切れ始めてる⁉︎

 

「ゴアアアアアアアアア!!」

「き、来たッ!」

「やばいやばいやばいやばいやばい!」

「あああクソッ!せめて最期は毛深いメス獣人に抱かれた後に腹上死で一生を遂げたかったぁあああああああッ!」

「「…⁉︎」」

 

 襲い掛かる脳無。ただでさえ絶体絶命の危機的状況下なのに追い討ちをかけるかのようにクレーンに押し潰されるか敵に迫られる。

そんな最中だ。脳無の横から何かが割り込んでくるのを目撃する。あの姿を僕等は知っている!

 

おの猛々しくも雄々しい黒き冥界の刺客。純白のスーツを纏ったそのヒーローを!

 

「勝手な戦闘!勝手な判断!だがよく持ち堪えたッ!」

「シャ、シャチョー‼︎」

「ギャング・オルカッ!…って、来正君!やばいやばいやばい!クレーン崩れて来てる⁉︎」

「ああクソ、マジか!」

 

 ミシミシと響くクレーン。重量に加え僕等が受け止めた瞬間の衝撃により機械そのものが壊れ、崩れて来ているのだろう。いや分析してる場合じゃない!これ本当にヤバいって!

 

「シルバー!下から支えろ! イグニッションは他のサイドキック達と共にクレーンそのものの補修!」

『了解ッ!』

 

 一斉に応える声が響くと同時にドッと人が押し寄せる。その1人1人がギャング・オルカ事務所の部下(サイドキック)達だ。

その十を超すヒーロー達の登場と共にふと、僕等に掛かっていた筈の重量が軽くなる…と言うか重さが無くなった?

 

『違う、上だ見ろ。鉄性のゲテモノが手を貸してくれている』

「上…って、うおっ何これ⁉︎」

「ロボット⁉︎」

 

 上にはシルバーが所有している歩行戦車よりも更に大きく、更にゴツく、レッドカラーを主体としたマシンがクレーンを持ち上げていた。

何これカッコいいんだけど‼︎

 

「ヴェノム 、スパイダー。どうやら無事のようだな」

「あ、シルバー!はい何とか」

 

 僕等の前に巨大なマシンから降り立つシルバー。

うおっ⁉︎なんかデカいの投げて来た…ってこれ、僕のデスペラード!

 

「忘れ物だヴェノム 、よくもまぁそんな目立つ物を落とすな。前も無くしかけたと聞いたが?」

「いや、その…投擲武器としての応用が効きすぎる弊害と言いますか…いやそんな事よりも!この赤くてカッコいいゴツゴツしたヤツなんですか⁉︎」

「多目的対応多脚蜘蛛型戦車『SP//dr(スパイダー)』ウチの知り合いが製作したモノだが火力武装がほぼ無いのが気に入らないがな…全くアイツめ」

「それでもこんな取っておきがあるなんて凄いですよ!いいなぁ!将来的にアレみたいなヤツ、僕も所有出来ますかね⁉︎」

「ヒーロー専用特殊サポートマシン免許を取得すればな」

「よし!それじゃ僕絶対受けます!そして免許絶対に取ります!」

「来正君、ウチ(雄英)ん所のロボットみたいの欲しいの⁉︎」

『専用の武器がある癖に貪欲なヤツ』

「…専用の武器…そうか…」

 

 ん?シルバーマルテースがなんかこっち見てるけど一体どうしたんだろうか。そう考えてると赤糸虫さんが呟く。

 

「……うーん?あのデザイン何故かメイのと似てるような…と言うか大元的なデザイン風味が…」

「赤糸虫さん?」

「いやでもどうなんだろう、メイの性格を考えると…あ、いやでも」

「おーい、赤糸虫さん一体どうsムグッ⁉︎」

Shut up(黙ってて)

 

 いや、あの…ハイすみませんでした。口元にウェブを射出され黙る僕。情けねぇ…よりにもよってAIに(なじ)られるとは…なんか目の奥が熱くなって来た。

 

『おい、この歳で泣くなみっともない…慰めてやるから機嫌直せ。ヨシヨシ心無い機械に罵られて可哀想でちゅねぇ〜』

「キレそう」

「まぁまぁ」

 

 ロケット・ラクーンばりの毒舌をかまして来るシンビオート。これはもしかするとコイツなりの励ましかもしれない。

…いや前言撤回、コイツわざとやってるわ。

 

シンビオートに訝しんだ目を向けていると、ドゴン!と大きな音が轟く。音の発生源に顔を向けるとそこにはSP//drの側面に打ち付けられたギャングオルカが居た。

 

「ギャングオルカが!」

「ボク等も加勢しないと…!」

 

 そう言いながら緑谷君と赤糸虫さんと共に前へ出ようとするが、シルバーマルテースが制止して来る。すると炎の噴射で空を飛ぶイグニッションがギャングオルカに向かって告げる。

 

「手を貸そうかシャチョー?何なら俺が代わって戦うのもアリだと思うぜ?」

「いいや必要ない」

 

 一言そう返すとシャチョーは携帯していたペットボトルの中身()を浴びた後、脳無を見据える。

 

「パワー、スタミナ、タフネスどれもが高水準に加えて再生能力が厄介だ───」

 

そのまま獣のように四足歩行で迫る怪人。それに対してギャングオルカは半歩横にズレ腕を突き出す。

 

「が、その程度でヒーローを下せると思っているのか?」

 

 直後、脳無の頭を掴むとそのまま地面に打ち付けた!すると有無を言わさない連撃が頭部に集中して襲い掛かる。

 

「痛みは受けない。傷は回復する。ならば動きそのものを司る脳そのものにショックを与え続ければどうなると思う?」

「────ッ!」

「遅い」

 

 オルカの言葉を理解したのか定かではないが抵抗を試みようとした脳無は腕を振りかぶるがそれを押し退けるかの如く、トドメの超音波が直撃する。

 

嘘でしょ…(ススガ感) USJの個体に比べて弱いとは言え脳無を圧倒した…⁉︎

 

「驚いている様だが、コレはあくまで事前より警察から脳無の情報を伝えられていた為対処出来たに過ぎん」

「あー、なる…ほど?」

 

 そうか、USJで出現した脳無。その情報が伝達されていた訳ね、異形系特有のパワーに加えて+された再生能力の事を事前に知ってたからシャチョーは頭に攻撃を集中させていたのか。

そうでなければ気絶させて倒すなんてやらないだろうしね。

 

「まぁ何にせよだ。一般的にUSJでの出来事は伏せられているがお前達が貢献してくれていた事に関しても知っている…よくやったな」

 

 と、僕の頭にシャチョーの手が乗る。

 

…………………………。

 

「……だがッ!こちらに報告も無しに勝手に行動を起こした事に関しては許されると思うなッ!赤糸虫を先行させていなければどうなっていたか最悪のケースを考えろ!分かったかゴミムシ以下のプランクトン!」

「……」

「おい聞いてるのかプランクトン!」

「……ハッ⁉︎ すみませんサー!頭に乗ったハリとツヤと弾力のある感触の余韻に浸ってましたシャチョー」

「!?」

「分かる。軽くシットリしてると尚良い」

「いい…」

「!?」

 

 僕とシルバー、同じギャングオルカファンクラブの会員同士。長くは語らない。シャチョーの肌触りいいよね……(玄人感)

 

「相変わらずだね来正君」

『そう言うお前こそ相変わらず独断専行が過ぎるな、空飛ぶ年寄りはどうした?』

「あっ」

『…デクお前マジか』

 

 半ば呆れたような声を上げるシンビオート。すると緑谷君は全身に汗を流しながらスマホを慌ただしく取り出す。

 

「やばい、やばいやばいやばいよ!れれれ連絡しとかないと!ああクソこの足めッ震えるのやめろッ!」

「どうした緑谷君⁉︎」

 

 なんか尋常じゃないレベルで震えてるんだけど、え、なに?生まれたての小鹿か何か?その新しいコスチュームにバイブレーション機能でも搭載されてたりするの?

 

「待て。これに関しては敵出現による弊害だ。事故により分断された為にこちらで保護しておいたと我々が連絡を入れよう」

「シャチョ-ミズカラガ!?」

「サスガダァ」

 

 そうすると徐にスマホを取り出すシャチョー。あ、そうだ。グラントリノさんに色々伝えておかないと。

 

「失礼しますシャチョー、ちょっとしか話してないだけの間柄ですけど言伝をお願いしたいのですが」

「む?なんだ言ってみろ」

「はい。保須市に敵連合の出現と同時にヒーロー殺しと協力関係にある事が分かったので注意してくださいと伝えてもらっていいですか?…あれ?皆、どうかしました?」

 

 シャチョーどうしたんですかスマホ落としましたよ?と言うか皆もどうしたの?急に固まって。なに?全員してパントマイム?もしくは時間停止ごっこ?

 

「……で、伝達ゥゥッ!保須市周域のヒーロー達に呼びかけろ!」

「シャチョー⁉︎」

「お前なァ!そう言うのは早く言えよ!つーか重大な事をサラッと口にしてんじゃねぇ!」

「いやこの状況では早い報告とも判断できる!」

 

 一気に慌ただしくなるヒーロー達。あれ?もしかしてヒーロー殺しに関して僕言うの忘れてた?

 

『完全に言ってなかったな』

「マジかー…言うの忘れてたかー……ちょっと待って?もしかするとシンビオート覚えてた?」

『ああ、もちろん。いつ言うのか側で楽しみに待っていた』

覚えてるなら言えよお前ェェッ‼︎

 

 コイツ確実に分かってて言わなかっただろ!はー、クソクソ。この黒塗り畜生寄生生命体がよ…!

 

『完全に忘れてるお前が悪い。甘やかさないよう逆に敢えて言わなかったオレに感謝しろ……ッ⁉︎』

「キレそう(真顔) お前帰ったら瓶に詰め込んで電子レンジの中に突っ込んで……ッ⁉︎」

 

「…来正君?」

 

 ふと僕の身体の奥底から引っ張られるような感覚が襲いかかる。まるで磁石のS極とN極が引き寄せ合うように、はたまた強く伸ばされたゴムが元の形に戻るような感覚が髄の奥から響く。

 

「――誰だ」

Who(誰だ)

 

誰だ/Who

 

『「Who are You(お前は誰だ)」』

 

 視線を向けたそこにあるのは無惨にひしゃげた自動車、建物の残骸そして移動牢(メイデン)に収容された脳無───!?

 

「ギャング・オルカ‼︎脳無だッ!脳無の中に何かがいるッ‼︎」

「何ッ!?」

 

CLAAAAAAAAASH!!!

 

「うおッ⁉︎」

「くっ」

 

 なんだ⁉︎急にメイデンが爆散したぞ!まるで内側からとんでもない圧を掛けられたように…!アマゾンズか⁉︎チヒロォ!がオリジナルに覚醒したのか⁉︎

 

 シャチョーは大きな体格を利用する事で自身を盾に緑谷君を、僕はシンビオートをドーム状に形成する事で赤糸虫さんを飛んで来たメイデンの残骸から守る。

傷付いた白黒の皮膚のギャングオルカは僕等に向かって声を上げる。

 

「くっ、全員無事かッ!」

「はい!大丈夫、大丈夫です…けど…!」

「なんだ…アレ……⁉︎」

 

 メイデンから出て来る脳無だがゴポゴポと音を立て、白い流動体が口、皮膚、脳溝と様々な箇所から溢れ出る。

やがてその白濁色のソレは脳無全体を包み込むように広がり頭部全体を覆い尽くすとギラリと大きく開いた双眼に拷問器具の如く鋭く並んだ牙を形成する。

 

AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!

 

「な、なんで…⁉︎」

 

 たった1つの雄叫びが街を喧騒たる様へ変える。

ギャングオルカ達と対峙する白い怪人の凶相、それは彼等を困惑させる事となる。

 

『Aa…ァ……あ……a ア im……』

 

 何故なら恭成達の前に立つそれはシンビオートと瓜二つな姿をしていたからだ。

 

I'm…Riot(ライオット)……ッ!!

 





〜〜キャラクター紹介〜〜

『来正恭成』
ご存じの通りの主人公。死の間際に毛深いメス獣人に抱かれた後に腹上死で一生を遂げると言う欲望に満ちた言葉を上げた。業が深いぞ(確信)

『シンビオート』
最近、MCU入りしたとされる黒の寄生生物。SONYとMCUでどのような道筋を辿るかとても楽しみ。

『赤糸虫知朱』
来正と同じ職場体験先のスパイダーガール学生。火力こそ低いものの、汎用性や機動力、頭脳と他ヒーローと比べて頭一つ抜けている。来正の性癖のカミングアウトについて酷く驚いた。

『緑谷出久』
誰もが知る原作主人公。最近闇堕ちしかけた姿がめちゃくちゃ格好良かった(小並感)
来正の性癖に関して、友人として敢えて何も言わない事にした。

『ライオット』
現状、詳細不明の白いシンビオート。


〜〜『単語紹介』〜〜

『SP//dr(スパイダー)』
シルバー・マルテースが保有する多目的対応多脚蜘蛛型戦車。
元ネタは【スパイダー・バース】【エッジ・オブ・スパイダーバース】の『ペニー・パーカー』が搭乗し精神感応による操作可能なメカ・スーツであるSP//dr。コミック版でのデザインはエヴァっぽい。

シルバー・マルテースの知り合いが製作したとされ、彼女が好んで使う銃火器は最小限に搭載。主に対災害、市民救助用のサポートマシンとなっている。


MARVEL熱が再燃焼し始めたのでしばらくはヒロアカの小説を投稿して行きたいと思います。
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