違う!シンビオートが勝手に!   作:ゴランド

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さーて、今の状況はどうなってるかなー?

赤 バ ー

ランキング入り

ファッ⁉︎敵のスタンド攻撃かッ⁉︎(ガチ困惑)

多分今回はギャグ要素が薄め。




4話 違う!シンビオートが勝手にハンデを!

『Hey Good Morning!朝はチョコをふんだんにぶち込んだカプチーノ コーヒー抜きを所望する!』

 

「ん〜〜〜〜……朝はココアで勘弁して……」

 

 僕の朝は目覚まし時計やアラーム音ではなくシンビオートの声で覚醒する。どうにもシンビオートは目覚まし時計などの高い音は苦手らしくいつも元気なコイツの第一声で目を覚ましている。

 

…て言うかカプチーノのコーヒー抜きってクリーム状の牛乳だけじゃん。僕はベッドから起き上がると洗面所に向かう為、階段を降りる。

 

 冷たい水で顔を良く洗った後、鏡越しの自分の髪型を確認しながらクシで髪の毛を()かしていく。

……直後、ピョンと変な擬音を出しながら寝起きの状態へ戻ってしまう。どうして僕の髪の毛質って硬いというか、癖になりやすいと言うか。

 

『相変わらずとんでもないハネ毛だな。全部の髪の毛引っこ抜けばサラサラした髪でも生えてくるんじゃないのか?』

「そう出来ていれば苦労はしないよ。……あぁ、ねむ……」

 

「なんだ、いつも通り寝起きはシャキッとしてないな」

 

 眠気が未だに残る僕がリビングへ行くと"おじさん"が朝食を用意していた。軽く手足を動かしてから席に着き朝食を目の前にすると改めて空腹を感じてしまう。

 

「たまには小鳥の囀りってので起きてみたいんですけどね。まぁ聴こえるのは車の音とコイツのガラガラ声ですけど」

『オレ様はハスキーボイスだ。ガラガラじゃない』

 

いただきます。と呟きトーストを手に取る。

 

「ありがとうございます おじさん。いつもすみません」

 

「一々お礼なんて言わなくてもいいさ、使わなくなった屋根裏部屋を貸しているだけだからな。ただし、掃除当番はしっかりやってもらうがね」

 

「勿論、そのつもりですよ」

 

「それでいい、さて朝はいつも通りココアでいいかな?シンビオートはいつものようにホットチョコレート入りだったか。マシュマロも入れるかな?」

 

『気がきくなジイさん。愛してるぜ』

 

「だからジイさんはやめなって」

 

 おじさんは"恩人"なのだからその態度は改めてないと……って、こんなやり取りするのこれで何度目だっけ。もう何年もやってる気がするんだけど。

 

「別にいいさ気にしてない。ところでテレビのチャンネルを変えてくれないかね」

 

「え〜……僕は『今日のにゃんこ』を観たいんだけど」

 

 そんな談笑を交わしながら朝食を食べ終えた僕は制服に着替え雄英高校へ行く支度を済ませる。

 

「なんだ?もう行くのか」

 

「うん。ちょっと朝から友達と一緒に行こうって約束しているから……それじゃ行ってきます」

『ジイさんもオレ達が居ない時にくたばってんなよ!』

 

 全くシンビオートはもう……、呆れながらも玄関のドアに手を掛けようとした瞬間、おじさんの声が僕の耳に届いた。

 

「改めて、雄英高校入学おめでとう。頑張ってな」

 

「……うん、頑張るよ」

 

 

 おじさんは身寄りの無い僕を居候として受け入れてくれた上にヒーロー生となる事も許してくれた。

 

ありがとう。そして行ってきます スタンおじさん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい大変だー!あそこで敵が出たぞ!」

 

「よし、さっさと学校へ行こうかシンビオート!今ここで行ったら学校に遅れる可能性もあるしね、だから勝手に身体の主導権を奪って空へ落ちるのは勘弁してぇぇえええええええええええええッッ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「つまりは今朝からシンビオートの我儘に付き合ったと言うワケか。つくづく身内に甘いな」

 

「それを言われると恥ずかしいね。朝から立体起動しまくって全身がバッキバキでツライよ」

『結局見るだけで終わっちまった』

 

 見るだけで終わって良かったんだよなぁ(安堵)。身体を乗っ取られている事が日課と化しているけどさぁ。なんで一日最低一回は敵が出てくるの?少しは働けよ!個性を使いたいなら人様に迷惑をかけない所でやってくれない⁉︎

 

そんな僕とシンビオートを交互に見た後、常闇君は呟く。

 

「悪鬼を体に埋め込まれているのはかなり苦痛……いや、疼くのではないか?」

 

「うーん、どうだろう。最初は違和感バリバリだったけど慣れるとなぁ……」

『お前等も同じだろ?トリ頭に真っ黒クロスケ』

 

『相変ラズ、(くち)ワリーナオマエ』

「確かに、コイツ(黒影)と共に在るのは自然と身体が馴染んでしまうな」

 

 なんだかんだで僕と常闇君は個性で似ているところがあるから気が合うんだよね。……いや、口調は全く似てないからね?そこだけはハッキリ言っておくよ?

 

 そんな事を話していると雄英の校門前で色々な部活動が勧誘している場面に出くわした。十を超える部が色々な生徒に声を掛けているのが分かる。

 

「来たれ剣道部!」

「化学部にドーゾ!」

「ヒェッヒェッヒェッ……オカルト研究部に入らないか?」

「サポートアイテム研究サークル!貴方も実験受けてみませんか?」

「テーブルゲーム部見ていきませんか!えっ、カードゲーム?そんな事よりクトゥルフとパラノイアやろうぜ!」

 

「面妖な者達ばかり……」

 

『お前の頭も面妖だけどな』

「コラッ!……それにしても雄英高校って、部活にも気合入れてるよね」

 

「左様。ヒーロー科が目立つがその影に凡ゆるスポーツ、研究等の実績を残すと聞く」

 

 常闇君が謎の体勢をした状態で説明を行う。

……その体勢は何なのだろうと聞きたいけど触れてはいけないんだろうなぁ。

 

「へー、それじゃあ……サポートアイテム研究サークルとかってコスチューム関連のアイテムを開発してるのかな?だとしたr「興味があるのですネッッ!」うおっ⁉︎」

『なんだぁ……テメェ……』

 

「おっと、申し遅れました!私サポート科一年の発目(はつめ)(めい)と申します!」

 

「サポート科一年、俺達と同じ学年の……」

 

「そこの黒い寄生生物を連れたアナタ!サポートアイテムに興味がおありで?」

 

「いや、まぁ確かに興味はあるけど……」

『オレ様が寄生生物だと⁉︎殺すぞ女ァ!!』

 

「シンビオート!ストップ!マジでやめて!……うひぃッ⁉︎」

 

「ほほーう、アナタ。中々鍛えていますね……もし、コスチューム関連で相談事があるなら、この私に言ってくださいね!!それじゃ失礼します!」

 

「嵐の如き勢い。何者だあの女……」

 

「格好つけている所悪いけどさ、あの子フツーに自己紹介してるからね?」

 

「………」

 

『トリの奴はなんで格好つけてたがるんだ?しかも難しい言葉も使うし』

『ソーユー"オトシゴロ"ミタイダゼ。……オレモワカンネ』

 

シンビオートォッ!

ダークシャドウッ!

 

 本当、僕と常闇君は似ているところがあるから気が合うのだと再確認できた瞬間だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 雄英高校の授業は何と言うか普通だ。全てがヒーローに関する事ではなく、英語の授業ではプロヒーローのプレゼントマイク先生が担当するが内容は本当に普通だ。

 

『HEY!HEY!HEY!HEY!HEEEEEEY!!!』

 

コレ(シンビオート)さえなければの話だけどね。

 

「おっと!元気が良いなシンビオート!そう言うわけで代わりに来正に答えて貰おうか!Please Say the Answer(答えをどうぞ)!!」

 

「違います!さっきのはシンビオートが勝手に!」

 

 

 午前の授業が終わると様々な科が昼食のために集う食堂が混雑し始める。ここではランチラッシュの作る料理を格安で食べる事ができると言う。

 

「結局、白米に落ち着くよね!」

 

『オレ様はチョコが良いぞ!』

 

「落ち着く!」

 

「ランチラッシュだ……!サイン!サインください!」

 

『オレ様はチョコが良いぞ!』

 

 麗日さんは日替わり定食、飯田君はカレー。緑谷君はカツ丼である。確かに白米に落ち着いてるね。

 

「でも、白米じゃなくても、うどん美味しいよね」

『オレ様はチョk「いや、もういいから」

 

 その後しつこくチョコを要求するシンビオートにランチラッシュがチョコレートパフェを作ってくれた。「試作品だから食べてもヘーキヘーキ」だそうだ。さすがは被災地に無償で食事を提供するヒーロー。コレにはシンビオートもご満悦。

 

 

 

 そして、午後の授業。眠たくなるタイミングだがこの時間では眠ろうとする生徒は居ないだろう。

何故ならば………

 

 

「わーたーしーが!普通にドアからやって来たぁ!」

 

 

 あのNo.1ヒーローオールマイトが教師として出るのだから!

 

『アイツだけキャラデザがおかしくなってるぞ。どうなってんだよ編集部』

「一応言っておくけどさ、オールマイトはあの状態がニュートラルだからね?」

 

 まるでコミックから現実に出てきたような風格に僕は思わず息を飲む。本当にヒーローとして僕等は平和の象徴から教えを受ける事が出来るんだから。

 

「早速だが、今日はコレ!戦闘訓練!そしてそいつに伴って、こちらッ!」

 

 オールマイトがリモコンを操作すると教室の壁が迫り出て来る。そこには番号の書かれたロッカーが現れる。何このハイテク教室?秘密基地かなんかなのかな?

 

「入学前に送ってもらった"個性届け"と要望に沿ってあつらえた……戦闘服(コスチューム)!着替えたら、順次グラウンドβ(ベータ)に集まるんだ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おおお……本当に要望通りのコスチュームだ!」

 

 コスチュームを身に纏った僕は歓喜の声を上げる。擦れないし伸縮性もバッチリだし通気性抜群だ!

 

『けど、オレ様から見ればまだ地味過ぎるぜ。もっと腕にSILVER(シルバー)巻くとかさ』

「これで良いんだよ。……それに、僕らの個性じゃコスチュームで居る時の方が少ないからね」

 

 戦う時は大体シンビオートを上から纏うからなぁ……でも憧れのヒーローと同じ格好をするくらい別に良いよね?

そんな僕の元に黒のコスチュームに身を包んだ上鳴君がやって来る。

 

「へへっ、どうだこのコスチューム。中々良い感じだろ」

 

「うん、今時のって感じがするね」

『パッとしない感じだな』

 

 おおっと、やめようかシンビオート。上鳴君が少なからずショックを受けてるから。

 

「ちなみに僕のコスチュームの感想はどうかな?」

 

「ん?おお、渋いな!黒のコスチュームにダイヤのマークもついてんのか!」

 

「そうそう!元は星マークなんだけどアレンジを効かせたんだよね!他に何か感想は無い?」

 

「そうだな、まるで歴戦の兵士って感じがするな」

 

 うんうん、分かってるな上鳴君!

 

「うん!それで?」

 

「いや?それだけって感じだな。なんかあんま派手じゃないって感じ」

 

「あ、いやそうじゃなくて……常闇君はどう思う?」

 

 僕は隣で黒いマントを装備した常闇君に話しかける。うん元々顔も黒い事も合わさって余計にカラスに見える。

 

「中々良い趣味をしている。……が、俺の外套も中々の衣だろう」

 

「うん、素晴らしく素敵なコスチュームだね」

『トリにしては良いセンスをしている。けどオレ様からすればまだ地味過ぎるぜもっと腕にシルバー巻くとかSA!』

 

「シルバー……!」

 

「うん、常闇君。心動かされているところ悪いけどやめとけやめとけ……って、ダメだ聞いてない」

 

 ダメだコイツ、早く何とかしないと……。そう思いながら振り返ると無駄にキラキラした感じの生徒が僕の前に立っていた。ホッ!いつの間に!?

 

「見てごらんよ☆僕の煌めくコスチューム☆」

 

「おお、西洋の騎士みたいでイイね!赤のサングラスもいい味を出してる!そしてそのマント!良いセンスだ。ところで僕のコスチュームを見て何か……」

 

「キラめきが足りないね☆」

 

「あ、うん…それは知ってる……」

 

 しばらくすると着替え終わった何人かが更衣室から出て行く。……悔しさに囚われ僕はその場で膝をついてしまう。

 

「皆、キャップ知らないのかな……?」

『やっぱり地味過ぎるぜ。もっとシルバー巻くとかさ』

 

 クソァ!シンビオートまで地味って言った!しかも二回も!そして何故シルバーをそこまで推す?

 

「なんでだよ!【キャプテン・アメリカ】は凄いんだぞぉッ!周りと比べて地味かもしれないけど肉体一つに経験と技術でカバーする圧倒的強さを誇るんだからな!」

 

「おう!よく分かんねぇけどお前の言葉確かに胸に響いたぜ!んじゃ、先行ってるからな!」

 

 切島君がなぜか地味と言うワードに反応したけど嬉しくない。憧れのヒーローがこうも知名度が低いとは思わなんだ……。

……いや、きっとアレンジが加えてあるからパッと見じゃ分からないんだ!そうに違いない!

 

「もしかしてトレードマークの盾か!盾がダメなのか!」

『そもそも知ってるヤツが居ないんじゃないのか?』

 

それを言われたら戦争だろうがシンビオートォ!

 

 

 

 

 

 更衣室からグラウンドβへ向かうと、既に何人かの生徒達が揃っていた。すると僕の元にピンクと黒のコスチュームを纏う麗日さんがやって来る。

 

「あ、来正君!コスチューム渋いね!」

 

「そういう麗日さんこそ。良いコスじゃないか。ロックマンを意識してるのかな?愛嬌のあるフォルムをしてるよ」

『結構パツパツだな対魔忍でも目指す気か?』

 

「ハハハ、シンビオート君。相変わらず痛い所突いてくるね……ところで対魔忍って何?」

 

「シンビオート?対魔忍じゃなくてアイマイミーの間違いだよねぇ!自分と同じく身体にフィットしてるって意味の間違いだよねぇ!」

『はぁ?何を言ってるんだ。どう見てもそれにしk「チョコ食べる?」アイマイミーの間違いだったわ』

 

 油断するとすぐにヤバい事言い出すからなシンビオートのヤツ。それにしてもキャップの事を知ってるクラスメイトは居ないか…そりゃそうだよね。MARVELなんて昔のヒーローアニメ、コミックの事を知ってる同年代なんて見つかる筈も無いか……。

 

「そのコスチューム似合ってるね来正君!その衣装もしかしてキャプテン・アメリカを意識してる?」

 

「ハイハイ、どうせ僕のコスチュームはダサくて地味……待って?今、キャプテン・アメリカって言った?」

 

「う、うん。でも国旗をイメージしたカラーにしては色味が控えめだからステルススーツかなと思ったんだけど……」

 

 

…………

 

………………

 

……………………

 

 

 

同士(親友)よ……!君のコスチュームもとても似合ってる!その衣装のVサインを模した角飾りに笑顔にも見えるマスク。さてはオールマイトリスペクトだね!」

 

「……! 分かるの!?」

 

「もちろん!……あれ?このコスチュームって、もしかして自分で製作したの?」

 

「えっ?あ、うん。これだけは譲れなくて……母さんに貰ったジャンプスーツを基本に自分なりに……」

 

「いいねソレ!自主製作(ハンドメイド)のコスチュームなんて憧れるよ!スパイダーマンも最初はそうだったもん!」

 

「それね、分かるよ!最初だけは自分だけのスーツで行きたいって気持ちがあるんだ!」

 

「そっかぁ〜〜〜!いいなぁ、僕の場合は"個性"の関係でコスチュームがほぼ無意味に等しくなるからなぁ……」

 

「そんな事ないよ!憧れのヒーローを意識したコスチュームは魂のこもった装備なんだ!無意味じゃないよ!」

 

グッグッグッ パシッ!

僕等は無言で手を組み合う。

 

「仲良くなってる!先の短い間に何があったん!?」

 

「いや、ただこれからの高校生活で魂の友、謂わばソウルメイトに巡り会っただけだよ」

魂の友(ソウルメイト)……意味同じだろ』

 

「うん!……僕、雄英に来て良かった!!」

 

(み、緑谷少年…私がいる時よりも活き活きとしてないか……⁉︎)

 

 何故かオールマイトが悲しそうな表情を浮かべている気がするがきっと気の所為だろう。

 

 

「鬱陶しいんだよッナードコンビッ!クソ共が群れてんじゃねぇよ!」

 

「いやぁ、まさか緑谷君が語り合えるとは思わなかったよ」

 

<おい!聞いてんのか!

 

「僕の方こそ……、ところで君の推しは誰かな?僕は断然オールマイト!」

 

<無視してんじゃねぇよデクてめぇ!

 

「僕かぁ…、僕はコミックとかそう言う創作上のヒーローが好きだけど、そうだね。やっぱりリューキュウやミルコ辺りかな。いいよね動物の個性って……ん?」

 

<………(無言の威圧)

 

 緑谷君と話し込んでいるとコチラを睨みつける爆豪君の姿が視界に飛び込んで来た。さっきから声はしていたけど、もしかして僕等に話しかけて来たのかな?

 

「あー、えっと……ごめん爆豪君、さっきなんて言ったか教えてくれないかな?ちょっと話し込んでてさ……」

『お前、ガッツリ無視されていたな。なぁどんな気持ち?一方的に敵視しているヤツから無視されるのってどんな気持ち?』

 

「〜〜〜〜〜〜ッッ!!」

 

 憤怒の形相で言葉にならない声を上げる。やべぇ……相当頭に来ているよコレ。と言うかシンビオートは頼むから煽るのをやめて欲しい。

 

「全く、少しは雄英生としての自覚を持って欲しいところですわ」

 

「あ、いやゴメン。ちょっと気の合う友達と会って、つい嬉しk──

 

 八百万さんの声が聞こえた方向に視線を移した瞬間。僕は絶句した。そこにあったのは剥き出しの二つの山。

決してヒーローコスチュームとは言い難い、一昔前のヒーローアニメに出てきそうな敵役の女幹部がしていそうな格好。

 

つまり何を言いたいかと言うと八百万さんが凄まじい露出度のコスチュームを着ていたのだ。

 

「ちっ、ちちちちちィッ!?」

『あ、痴女だ』

 

シンビオートォ!!ストレートに言うなァ!

 

「痴女とは失礼な……コレは私の個性を最大限に引き出す為に作られたコスチュームですわ」

 

「そ、そうなんだ。結構大胆なコスチュームだね」

『ふーん、エッチじゃん』

 

 だからシンビオートォ!オブラートに包んで喋って!一々ストレート過ぎるんだよ!なんで会話のキャッチボールで全てを剛速球で投げるかなぁ!?

 

「分かるよそれ!コレをデザインした人って絶対にスケベだよ!」

 

「うん、ワイトも…じゃなくて僕もそう思うy────

 

 再び振り返った視線の先。そこに居たのは手袋と靴しか装備していない露出度90%と言う八百万さんが霞んで見える女子生徒(透明人間)だった。

 

「痴女ってレベルじゃねぇ!!」

『露出魔がいるぞォ!』

 

だからシンビオート言い方ァ!

 

「露出魔って!女の子にその言い方は酷いぞーっ!」

 

「違う!シンビオートが勝手に!ゴメンえっと……」

 

「葉隠だよー」

 

「あ、葉隠さんね。僕は来正だよ……しかし、思い切ったデザインだね……」

 

「酷いよねこんなの!手袋と靴だけって…!もっと気合を入れて欲しいよね!」

 

「あ、うん。そうだよね……」

 

 言えない……、透明人間の葉隠さんにとってコスチュームどころか全裸の方が個性を最大限に活かせるなんて口が裂けても言えない……!そんな思いを胸に秘めた僕だが八百万さんが発した言葉に耳を疑う事となる。

 

「そうですか?寧ろ私の場合、注文より隠されていますが……」

 

「「えっ」」

 

 僕と葉隠さんの声が重なる。え?いやそんなまさか……八百万さんにこっそりとどのような注文だったかを聞いてみる。

 

「それは【機密事項】で【プライバシー】を効率良くするため【自主規制】と言う形状に……」

 

「」(声も出ない)

 

「オイ、オイ……どんな感じだったんだよ教えろよなぁ!」

 

『なんだこのチビ?どっから現れた』

 

 しばらくフリーズしていたであろう僕に峰田君が声を掛ける。

……うん、別に言っても問題無いと思うけど八百万さんって天性の露出魔じゃないよね?所々自主規制(ピーと言う)音が流れていたんだけど。

 

「………スリングショットやマイクロが生易しく見えるレベル」

 

「「「「!?」」」」

 

 

 

 

 

 

 しばらくしてコスチュームに着替えたクラス全員が揃い、ヒーロー基礎学が始まった。なんか峰田君が「ヤオヨロッパイのエロコスについて詳しく」と言っていたが彼だけには教えちゃダメな気がしたので無視する事に。

 話は戻るが第一回目のヒーロー基礎学はヒーローとヴィラン。2対2の屋内戦を想定した訓練らしい。

 

 ちなみに誰と組むかはくじ引きで決める事になっており、21人中1人だけ余る事になる。

 

「そのため、このクジの中に入っているアタリを引いた生徒はとある条件で別のチームに組み込まれるぞ!」

 

「条件?それって一体……?」

 

「それは後からのお楽しみだ!まずは誰が引くかな?「俺だッ!」おぉ!爆豪少年か!」

 

 爆豪が高らかに声を上げクジの入った箱に手を突っ込む。とりあえずアタリと言う名のハズレを引く確率は1/21。

……うん、最後に引くとしよう。残り物には福があるって言うし。

 

「おぉ!私達同じチームだね!よろしくデク君!」

「あっ、う、うん!よろしく麗日さんッ!」

 

「NICE BODY‼︎(よろしく頼むぜ八百万)」

「え、えぇ。そうですわね峰田さん?」

 

 緑谷君と麗日さんは仲良くチームか。峰田君については本音と建前が逆になってるけど……うん、気にしない方向で!

 

「よろしく!」

「頑張ろう!」

 

「同じチームとしてよろしく頼む」

「あぁ」

 

 あれ、なんでかな?アタリが出ないぞ?そろそろ出てもおかしくないんだけど……。

しばらくして、僕を除いた全員がクジを引き終わる。するとオールマイトが僕の元に歩み寄って来る。

……待って?ちょっとそれ以上口を開くのはやめて!聞きたくない!その言葉を聞くのは嫌d

 

「おめでとう来正少年!君はアタリだ!」

 

『やったぞキョウセイ!残り物には福があるって本当だったんだな!』

「うわぁぁぁぁぁああああああッッ!!」

 

 福じゃねぇ!厄だコレーーーッ!周りから「あぁ、コイツが選ばれたのか」って感じの冷たい視線が突き刺さる……!

流石のオールマイトも僕の心情を察したのか、さっさと授業を進めてくれた。

 

「さて!このアタリを引いた生徒である来正少年!君はこの"超圧縮重り"を身につけてもらうぞ」

 

「超圧縮重り?」

 

「そう、サポート科が開発してくれたアイテムだ!数値を設定することによってその分の負荷が身体にかかる重りだ。来正少年には体重の1/3分の重りを手足につけて参加してもらう!」

 

 そう言うとオールマイトは僕の手足に重りをつけて数値を設定し始める。……ぐぉっ、重ッ!?この状態で戦闘訓練ってキツくない?

 

「ぐぅぅッ!僕ってこんなに重かったっけ⁉︎あークソッ!授業が終わったら絶対痩せる!」

『グダグダ言って情けないぞ』

「うん!全部合わせて28kgのハンデを背負ってもらった来正少年にはクジで選んだチームに加わってもらうぞ!」

 

 成る程、約30kg近くの重りか………あれ?僕の体重ってこの前測った時じゃ67kgだったけどその1/3って22kgの筈だけど、オールマイト間違っているのかな………?

 

 

…………

 

………………

 

……………………

 

 

 ちょっと待って!?シンビオートの体重分を割ったヤツだコレーーー!!

(※シンビオートの体重は標準85kg)

そっちなの!?僕じゃなくてシンビオート基準なのッ!?

 

「だって、そうでもしないとハンデにならなくない?」

 

「いや!でも結構辛いんd『余裕だな』シンビオート⁉︎」

 

『この程度、オレ様にはハンデの内にも入らないな』

 

「いや、何言っt「分かった、それなら半分にしようか」えっ」

 

 

 28kg→43kg デデドン!(絶望)

 

 

 

ひぎぃぃぃいいいいいいッ!?

 

「あ、あのさ。半分にした私が言うのも何だけど大丈夫?」

 

「ぉごごっごごが(翻訳:それなら少しは加減して)」

『平気へっちゃら と言ってる(と思う)』

 

シンビオートコラァ!!

ショックを受けている僕を他所に、オールマイトは"E"と言う文字が書かれたクジを取り出す。

 

「Eチーム!青山少年に芦戸少女達と組んでもらう!」

 

 西洋の騎士風のコスチュームを着た金髪の男子生徒、そして桃色の肌をした女子生徒が僕に視線を向けていた。

 

「同じチーム同士よろしくー!」

 

「足は引っ張らないでね☆」

 

「う、うん…よろしく頼むよ二人共。あと、できれば肩を貸してくれるとありがたい───」

『なんだ、この色物コンビ。役に立つのか?』

 

「「えっ」」

 

「違うッッ!シンビオートが勝手にィッッ!」

 

 




来正恭成'sコスチューム

・コスチューム's全体
キャプテン・A(アメリカ)リスペクト。暗めの紺色に銀と赤のラインが少し入っている。

・コスチューム's付属品
円盤(フリスビー)型のバックラー×2 硬さはイマイチ。壁、地面などに跳ね返るように作られ、トリッキーな攻撃に応用可能。

・コスチューム'sヘッドギア
バイザーと言うよりはヘルメットに近い。通信、記録、音楽と多機能。口元にマスクを展開できるロマン溢れる仕様。
マスク展開時は『スター・ロード』意識。

・コスチューム's胸マーク
星では無くダイヤマークに変更。流石にそこまで真似する度胸は無かった。

・コスチューム'sポケット
色々な箇所に付いている。チョコが常備されている。



人物紹介

『スタンおじさん』
 主人公の恩人であり亡くなった両親の友人。白髪と日中常に付けているサングラスがトレードマーク。
主人公は彼の家に居候しており使われていなかった屋根裏部屋を使わせてもらっている。某屋根裏のゴミとは違って待遇は良い方なので悪しからず。
marvelファンの人には分かるかもしれないキャラクター。


〜〜用語説明〜〜

・『キャプテン・アメリカ』
marvelコミックに登場するキャラクター。生ける伝説、星条旗のアベンジャーとも呼ばれるヒーロー。星マークが特徴的なシールドを利用した戦闘が凄まじい。
主人公が最も推しているヒーロー。


・『クトゥルフ』『パラノイア』
TRPGのゲームの一つ。死にゲーに友情破壊ゲームと言われている。ちなみに作者はやった事がない。と言うか周りにTRPGを知っている人がいない。
クソァッ!!TRPGやってみたいなコンチクショウ!

……やっぱ動画で見てる方が良いや。


・『MARVEL』
超常黎明期が起こるずっと昔の"個性"がまだ発現されてなかった頃にアメリカ中心に流行ったヒーロー漫画(コミック)
鋼鉄の鎧を纏う天才社長、生ける伝説と呼ばれた戦士、雷を操る神と言ったヒーローが登場しており今でも根強い人気がある。しかし最近の若者にはウケが悪いらしい。


・『スター・ロード』
地球人と宇宙人のハーフ。ガーディンズ・オブ・ギャラクシーの中心メンバーでありリーダー的存在。元々はトレジャーハンターであり命知らずの冒険者。



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