先天的(転生)TS女子と、後天的(あさおん)TS女子による百合のようなナニカ   作:レズはホモ、ホモはレズ

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続いちゃっ……たぁ!

まだ一話しか投稿していないにも関わらず、感想、評価、お気に入りありがとうございます。ウレシイ…ウレシイ…
相変わらず勢いで書いていますが、誤字や噛み合わない表現にはできるだけ注意しています。だから、見直しをする必要があったんですね(メガトン構文)




先輩は敬えという話(byTS歴17年)

 

 

 拝啓、どこの誰とも知れぬ、存在さえも疑わしい神様よ。

 オレにこうして二度目の生を与えてくれた感謝も勿論あるが、今ばかりは、それよりも尚深く、厚い感謝をあなたに捧げたいと思う。

 

「ふへへ……まじかよ、絵に描いたみたいにオレの好みまんまじゃーん……ふぉぉぉ……すばらし……」

 

「…………」

 

 オレは今まで、恋愛対象は女として生きてきた。

 将来的にも男と付き合うなんてまっぴら後免だと考えているし、子供とか、そういう女性としての幸せというのも、いまいち実感がわいてこない。それよか、付き合うなら女の子とだなと思っている。

 

 にしたって、オレにだって普通の人のように好みというものがある。

 可愛い女の子であれば誰にでもコナをかけるとか、そういう見境なしではないのだ。まあ仲良くなってあわよくばちょっと合法お触りしてみたいとか思うけども。

 しかしながら、現実には、自分の理想とする完璧な相手というのはなかなか存在しないものだ。

 だからオレは今までずっと、自分の中の理想を胸に抱えながら、理想とは違う女の子を見てきた。

 

「っべー、まじやっべー……あ、写真撮っていい? というか撮るぞ」

 

「あ、ああ……うん、どうぞ」

 

「安心しろ、拡散はしない。これはオレだけの宝だ」

 

 だが、だがしかし。どうしたことか。

 ──オレの理想は、ここにあった。

 

「──って、おい待て待て待て!」

 

「ん、どうした明乃? というか慌てる顔もマジですこ」

 

「そ、そうか──じゃなくて!」

 

 明乃はブンブンと首を振ると勢いよく立ち上がる。くるまっていた布団を引きはがして、ビシッとでも効果音が付きそうな圧を放ちながらオレを指差した。

 

「なんで! お前は! 普通に! 俺が女になったことを受け入れてんだぁッ!」

 

 …………。ああ! 

 そうだわ、そうだったわ。元はといえば明乃があさおんした云々とかそういう話だったな。ついつい、女になった明乃の顔が好みどストライクすぎてちょっと忘れてた。てへっ! 

 

「いやだって、お前明乃じゃん? 別人でしたーとかいうドッキリじゃないだろうし?」

 

「いや、まぁ、そうだけど……そうだけどなぁ!」

 

 明乃は納得いかねぇと言って頭をガシガシと掻き乱す。まあいいじゃん、健全な男子高校生の部屋に侵入して勝手に布団にくるまってた見知らぬ変態と思われるよりは。

 というか──

 

「──オイ明乃ォ!」

 

「ひぅっ、な、なんだよ……いきなり叫ぶなって」

 

「女の子の髪の毛を、そんな乱雑に扱うんじゃあない!」

 

 男と女では、髪質が全然違うのである。女になってしまったからには、その辺も気を付けて貰いたいものだ。

 

「よっ……余計なお世話だ! というか、それをよりにもよってお前が言うのかよ!」

 

 なんだァ? てめェ……

 オレだってな、元男ではあるが、可愛い子になるためにそれなりに努力してるんだぞ? まあオレは素で可愛いから? メイクとかは最低限でいいんですけどねぇ? 可愛くてゴメンネ! 

 

「ふふふ……少なくともお前よりは、女の子力が高いぜ? なりたてホヤホヤ、女の子初心者の明乃ちゃぁん?」

 

「……中学の家庭科の評価が1のヤツがか?」

 

「──あ゛?」

 

 明乃の、バカにするようなジト目がオレに突き刺さる。

 ……久々に……キレちまったよ……。

 

「おまっ、お前! オレだってなぁ! り、料理とか家事はできるんだよォ! あれは不当な評価だッ!」

 

 ただ単に、中学の時は苦手だった裁縫とか筆記とか、そういうのしか成績に載らなかったからだ! オレは悪くねぇ! 

 

「いいもんねいいもんね! そんなに言うなら、思い知らせてやる。お前はこの後オレに泣いて感謝することになるぜ?」

 

「……なんか、お前のそのいつもと変わらん謎のノリに安心さえするわ」

 

「うっさい!」

 

 ええい、そんな呆れるような目でオレを見るんじゃない!

 迸る怒りに身を任せ、わざわざ部屋まで持ってきていた買い物袋をゴソゴソと漁る。取り出したるは、とあるチェーン店のビニール袋。

 

「なんだ? それ」

 

「え、知らないの? しま〇らだぞ」

 

 安い服をいつでも買える、庶民の味方。ファッションセンターしま〇ら。その赤いデザインのビニール袋を、明乃の前に突き付ける。

 

「ゴッホン──時に、明乃よ。お前はあさおんした時、ほぼ必ず直面する問題は何だと思う」

 

「は?」

 

 無駄に真剣な顔つきを意識して作り、しま〇らの袋を開く。ノリに付いて行けてないKYが約一名いるが、今に分かるだろう。ふふふ。

 さて、かれこれTS歴十七年の瀬戸 碧葉。偉大なる先人による──『今日から君も女の子! 簡単TS講座』を始めるとしよう。え? 名前がダサい? まあいいじゃん、適当だし。

 

「あさおんした場合、なんであれ困るのは服だ。性別が変わりゃあ、今まで着てた服なんて殆ど使えん。まぁメンズでもファッション的に問題はないかもしれんが、下着が無けりゃ胸の()()が結構目立ったりする。そうなると、『服を買いに行く服もない』って状態だ。最悪ここで詰む」

 

 その時は、滅茶苦茶ブカブカな服で誤魔化すか、或いはピッチピチ(主に胸が)な服で押し通すかして、周りの変な視線に耐えながらそそくさと服を買いにいかなくてはならない。公開処刑である。

 ちなみにコレ、オレが今まで見てきたあさおんモノの傾向から言っている。まあ間違ってはいないのではないか。

 

「……そういう物なのか?」

 

「そういうモンだ!」

 

 せっかく丁寧に説明してやろうとしてるのに、明乃の反応はどうにも芳しくない。納得いってないというか、これは胡散臭いものを見る目である。

 

「まあ、という訳で、だ。この超気が利くことに定評のある碧葉様が、お前にも着れそうな服と下着を持ってきてやった。感謝しろよな!」

 

「一回『気が利く』の意味を辞書で調べてこいよ……って、え、マジで?」

 

 明乃は信じられないとばかりに目を丸くする。そりゃあ、思ってもみないだろう。あさおんした当日に、親友が女性用の衣装を用意してくれるなんて至れり尽くせりだぜ? ふはは、流石オレ。略してさすオレ。

 

「あと、なんだかんだ無いと困る生理用品とか、女性用のシャンプーとかエトセトラ……使い方は後で教えてやる」

 

 そう言いつつ、買い物袋から買ってきたものをじゃんじゃん取り出す。

 うむ、やっぱり他人の分まで一緒に買うと滅茶滅茶重たいわ。液体系とか嵩張るわ重いわで大変だし。

 

「いや、いやいやいやいや! 碧葉、お前なんでそんな色々買ってきてんだよ!」

 

「安心しろ、全部自腹だ。それにできるだけ安いの買ったし」

 

 オレは高校に上がってからすぐにバイトを始めたので、自分の自由に使えるお金はそこそこ持ってる。

 今日の本来の目的はおつかいだったのだが、そっちの分は親から貰ったお金で払い、明乃の分はオレの金で払ったのだ。

 

「違う、違う! なんでそんな用意周到なんだよ! 俺が女になったって連絡したの、昼頃だろ!?」

 

 確かに、明乃からそういう話がきたのは昼ぐらい、買い物に行く途中だった。その時に丁度いいから買っておこうって決めたわけだし、まあそんなものだろう。

 

「でもよ、それって……おかしい、だろ……」

 

 ──突然、いつもの調子を取り戻しつつあった明乃が、暗い顔をして俯いた。

 その様子は、オレが最初に部屋に入った時と同じような、不安げなもの。

 

「なんで、だよ」

 

 か細い声で、オレにそう聞いてくる。何が『なんで』なのかよく分からず、思わず黙ってしまったオレに、明乃はワケの分からないものでも見るかのような不信の目を向けてきた。

 ……その目が、あまりにも痛ましいものに思えて、オレは少しだけ居心地が悪くなってしまった。

 

「……それってさ。俺があんな意味不明なメッセージを送ってすぐのことなんだろ。『嘘乙』とかなんとか言ってたじゃねぇか。

 ……──なんで、あんな言葉あっさりと信じてて、こんな用意までしてくれてんだよ」

 

 いつの間にか、明乃は、泣きそうな顔をしていた。

 目のふちに涙を溜めて。オレがついさっきまでテンション上がって観察してた、その理想の顔をクシャクシャに歪めて。

 

 ……そうだ。明乃に言われて、オレは初めて自覚する。

 オレは、全く疑ってなかった。ふざけたことを考えてはいたが、オレは明乃自身の言葉に対して、何の疑いも持っていなかったのだ。

 あさおんしたって? マジか、煽ってやろう。

 慌てふためいてるだろうし、色々と買ってきて感謝されてやろう。

 大体そんな風に考えていた。

 

 そうやってあっさりと信じたのは、オレ自身が転生を経験してたから? いいや、よく考えてみれば、それは違う。それとこれとは、別だ。

 どんなに荒唐無稽な冗談や嘘だって、言うヤツはこの世にごまんといる。それを、片っ端から『転生があるんだから』なんて理由で信じてられるわけがない。オレは、そこまで馬鹿になったつもりはない。

 

「なあ、なんで、なんだよ。碧葉……ワケ、わかんねぇよ……」

 

 それでも、オレは、実際に明乃を信じた。あいつの言葉を真実だと疑わず、それを前提に行動していた。

 何故? なんで? 自問自答のように、明乃と全く同じ形の疑問が頭の中で反響する。

 理由。理由は。オレが明乃の言葉をあっさり信じた理由は──? 

 

 気付けばオレは、無意識に口を開いていた。

 

「そんなの──」

 

 自然と言葉が出るようだった。悩むまでもなく、言葉を選ぶまでもなく。

 ああ、そうだ──よく考えるまでもなく、簡単な話だった。

 

 

「──お前、オレに嘘ついたことないだろ?」

 

「───ぇ?」

 

 オレは今まで一度も、明乃の嘘を聞いたことがない。思い当たる理由なんて、その程度のものだった。

 

「……そ、それだけ? たったのそれだけなのか……?」

 

「ああ、そんだけだ。悪いか?」

 

 ……確か、明乃とオレが初めて会ったのは、幼稚園の時だったか。

 オレはその時から結構好き放題やってて、遊ぶ時も、男子に混じってはしゃいでたものだ。

 明乃とは、元々その遊び相手の一人というだけの関係だった。

 特別仲が良いとかじゃなくって、ただの友達。それくらいのもの。

 小学校に上がってからも交流はあったが、同じような友達はたくさんいた。

 けれども、あいつはあの時から、他とは違っていたのだろう。

 

 男の子というのは、大抵は気になる子にちょっかいやイタズラをしかけたり、見栄を張ってでも良い顔をしたかったりするものだ。

 オレはずっと、女子よりも男子に近い間柄だったからか、『そういうこと』も、他の女子よりもずっと多かったと思う。ホラ、オレってば可愛いし。

 だが、正直、興味なんて欠片もなかった。だって、女の子の方が好きだから。

 小さい子が頑張ってオレの気を引こうとするのは見てて微笑ましいものではあったが、それでなびくようなことは決してない。むしろ、段々と厄介だと思うようにまでなってきたのだ。

 

 それで、どうしたものかとうんうん悩んでいた時のことだった。

 

『──そんな変な顔して唸って、どうしたんだよ』

 

 明乃は、至って平然とした顔でそう聞いてきたのだ。

 おい、変な顔とはなんだ──そう言おうとして、ふと気付いた。

 

 ──そういえばコイツ、オレに全然『そういうこと』しねぇな。

 

 ちょっかいもイタズラもしない。見栄も嘘もつかない。普通にオレと一緒につるんで、普通に一緒に遊ぶ。子供ばっかりの環境の中では、一際大人びている。そんな感じだった。

 

 ──それからだろう。他の誰よりも、あいつと一番つるむようになったのは。

 小学校の間はあいつによく引っ付いて、あいつも鼻の下伸ばしたり、照れたりなんかせずに素面でオレに付き合ってた。

 そこから中学生になって、高校生になって。いつの間にか、こういうのを幼馴染みだなって言い合って、親友と呼んでいた。

 

 気楽だったのだ。オレは男に恋愛的な興味など一切なく、あいつはオレに全く恋愛的に興味を持たない。文字通り、友達以上、恋人未満を地で行く関係。

 しかも、あの時からずっと変わらず、オレに嘘など全くつかない。会話の流れで出てくる程度の冗談を、たまに言うくらいだった。

 

「……うん、そうだな。オレは、お前は嘘をつくヤツじゃないって知ってる。だから信じた。それだけだ」

 

「…………」

 

「それに。もし、仮に、お前が嘘ついてたとしても、このくらいの(モン)、元々オレが使うつもりだったってことにすりゃ良かったし。まぁ、なんだ……」

 

 今回の場合は、オレが勝手に信じて、勝手に行動した。それだけのことなんだ。

 ニッコリと笑って、親友にサムズアップする。あいつは面白いくらいに、鳩が豆鉄砲でも食らったような顔をしていた。

 うん、やっぱこいつのこの顔は、女になってもあんまり変わらねぇな。

 

「……安心しろよ。なんたって、親友だしな! こういう時はじゃんじゃん頼れってことだ!」

 

 ……決まった。我ながら、結構いいこと言ったような気がする。自画自賛だけども、まあ、これがオレの言いたかったことだから、嘘は言ってないさ。

 

「あお、ば……」

 

 明乃は、頬を真っ赤にして、両の瞼からポロポロと涙を流し……って、え、泣いてる? 

 いや、えぇ? どないしよ。どないせぇっちゅうねん。どないすんだよ。オレは泣いてる人の慰め方とか知らないぞ!? 

 

「え、お、おいあき──のぁっ!?」

 

 突然、明乃がベッドから降りてオレに飛び付いてくる。というか、抱き付かれた。

 …………ホワイ? 状況が分からず、頭が一瞬真っ白になった。

 フリーズするオレを余所に、明乃は泣き腫らした顔で、ぎこちなく笑う。

 

「……ぁぁ、その、ありがと、な。お前が親友で、ホントに良かった」

 

 ──ありがとう。

 

 そう言って、ギュッと抱き付く腕に力が入る。

 

 ……ああ、そうだ。当たり前のことだった。

 オレ自身で言っていたじゃないか。皆が皆、オレと同じように男から女になっても何も思わないどころか喜ぶ変態ではないって。

 明乃にとっては、それが精神的負担になった。それが今になって、爆発した。そういうことなのだろう。

 

「ふん、別に、お前の普段の行いがいいだけだよ。まぁ、感謝はありがたく受け取ってやろう」

 

 オレも、明乃の背中に腕を回して、お互いの胸が密着するくらいまで強く抱き締め合う。

 

 オレも明乃も、何も言わなかった。それが何秒、何十秒経ったかは数えてない。

 ただ、その間にオレはひとつだけ、言いたいことができた。

 明乃の背中に回した腕にちょっと力を入れて、胴体の位置をずらして調()()する。

 

「……なぁ、明乃」

 

「……なんだ」

 

 こいつは今のところ気付いた様子はない。まだまだその体に慣れていない証拠だ。

 ……うん、この辺か。ベストポジションだな。ふひひ、役得役得。

 

「──お前、結構胸でけぇじゃねぇかよ」

 

「っ──! この変態レズ野郎がァ!!」

 

 

 まあ、あんな風に抱きついたらお互いの胸がスッゴい当たるのは当然だよね! 仕方ないよね! 

 

 ……その後だって? シバかれたよ。まあ、照れる顔も素晴らしかったと言っておこう。

 

 

 





 ギャグ調にするつもりだったのに、いつの間にかシリアスに……。お前のプロット管理、ガバガバじゃねぇかよ! 

 というわけで、そら(普通の青少年があさおんしたら)そうよ(どんだけ取り繕っても精神的負担が凄いよね)という話でした。
 親友のピンチに全力で好感度稼いで一気に落とすムーブ。果たして攻めはどちらになるのか。

 次回も……ナオキです。
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