英雄伝説~紫炎の軌跡~   作:kelvin

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第105話 進みゆく未来

~エルモ村紅葉亭 露天風呂~

 

先程、互いの気持ちを確認したアスベルとアリサ。そこに、二人の女性―――シルフィアとレイアが現れた。

 

「あ、アスベル。」

「お、シルフィにレイアか。……アリサが、三人目に加わりました。」

「ア、アスベル!?」

二人の姿を見たアスベルはアリサとのことをすんなり明かし、アリサはアスベルの方を向いて声を荒げた。

 

「あはは……無自覚じゃないとはいえ、女殺しに定評があるアスベルだよね。」

「失敬な。アイツ等ほどじゃないよ。」

女殺し……その最たるものはルドガーだろう。アイツの料理は耐性(好きな人がいること)の無い奴相手だと一瞬で陥落させられる。転生前は、アイツの料理で全校生徒の半分が陥落してしまったのだから……どうしてそんなことになったのかって?解りやすく言えば、学校祭で模擬店を出した際の調理係……それで生徒はおろかお客さんとして来ていた他校の生徒すら陥落させやがった人間なのですよ、彼は。その彼が面白いこと好きの“深淵”、戦好きの“鋼”を陥落させたことからも、その破壊力は推して知るべきだろう。

 

「なるほど……にしても、アスベルともうキスしたのかな?」

「あ、あう、その……」

「にゃははは……ま、私らも似たようなものだけれど。にしても、大胆だね。」

シルフィアの問いかけにアリサは顔を俯かせ、それを見たレイアは笑みを浮かべつつも他人事ではないと答えていた。

 

「その、アスベルとシルフィアさんのやり取りを見て……その後、アスベルと話しているうちに彼の事が気になって……何と言うか、負けたくないって気持ちが強くなっちゃったんです。でも、その、奪おうとは考えていませんから。」

「そっか……意外と独占欲強いのね。でも、同じ人を好きになったのだから、仲良くしたいかな。私のことはシルフィでいいよ。よろしく、アリサ。」

「私もタメ語でいいよ。よろしくね!」

「…ええ。よろしく、シルフィにレイア。」

………この三人、内面的には似た者同士なだけに、特に争いになるようなことは無く、すんなり打ち解けたようだ。その光景を見てアスベルは安堵の表情を浮かべた。変に修羅場的な展開は俺だって御免こうむりたいほどだ。

 

「というか、お前がここにいるってことは、ティータもここにいるってことか?」

「そうだね。あと、アガットやラッセル博士も来てるよ。博士の方はエルモに来たいということで護衛も兼ねてだけれど……途中で金・銀・銅に輝くアビスワームに出くわしたけれど。」

「なんだ、そのメダルの如きコントラストの魔獣。」

まるで、大会の表彰式を連想させるかのような色合いの魔獣だな……と思いつつ、それがアビスワームだということには色々言いたいことはあるが……悍(おぞ)ましいことこの上ないのは確かだろう。

 

「………あの、三人とも、博士と知り合いなの?」

「うん。」

「ああ。」

「知り合いというか、仲の良い友人みたいなものかな。」

「へぇ………え”っ。」

うん、まあ、アリサの驚きもある意味解らなくもない…リベールにおける導力技術の父と知り合いである…それを聞きつつ、三人は言葉をつづけた。

 

「まぁ、俺とシルフィ、レイアは遊撃士の中でもトップクラスに入るからな……博士にはオーブメントの事も含めて色々世話になっているし。」

「そうだね。レイアあたりは特に、かな。」

「うん、否定は出来ないね。」

第七世代型戦術オーブメント『ALTIA(オルティア)』……“第七世代”という括りではあるが、技術水準で言えばその五世代先ぐらいの代物だ。それだけでなく、飛行艇やアルセイユ級高速巡洋艦、“メルカバ”参号機と漆号機の改修……他にも色々と博士の世話になっているのは事実だろう。

 

「話には聞いてたけれど……ZCFの底が全く見えないわね。」

「底知れなさという点では、ラインフォルトも同じだと思うけれど?」

「あれは、どちらかといえば不気味さの方なんだけれど……」

現会長の娘であるアリサがそう言うのには理由がある。それは、ラインフォルト社の構造というか、それぞれの立場がラインフォルト社内にあるからだ。

 

ラインフォルト社の社内部署は独立採算方式を取り入れている。鉄鋼/大型機械全般を扱う貴族派寄りの第一製作所、銃器/戦車/兵器全般を取り扱う革新派よりの第二製作所、導力列車/導力飛行船を取り扱う中立派の第三製作所、導力通信技術(導力ネット含む)/戦術導力器(戦術オーブメント)を扱う会長直轄の第四開発部という構成になっている。

 

だが、独立採算方式には欠点がある。それは、物の流れを全て把握することが難しいことだ。内密に兵器の開発をしているということは、裏で何をやられても他の部署が介入できない弱みを持ってしまっているのだ。それは、会長である彼女の母、イリーナ・ラインフォルトであろうとも同じことだろう。尤も、貴族派・革新派双方の支援を受けている以上、難しいかじ取りを迫られているのは言うまでもないことだろう。

 

一方、ZCFはというと……連結採算方式を取る形で、金とモノの流れを逐一管理し、更には王国軍や王国議会の監査という厳しいチェック体制を敷いている。

部署に関しての括りはなく、トップにマードック工房長とラッセル博士、彼の直弟子である外部顧問のフィリオや、博士の孫娘であるティータ……彼女の両親に工房で働く従業員……ツァイス工科大学の卒業生のほぼ全員がZCFに配属。更には、現遊撃士にしてかつて帝都科学院に所属していた元『鉄血の子供達(アイアンブリード)』のNo.2……“漆黒の輝耀(ダークネス・スター)”リーゼロッテ・ハーティリーも外部顧問として参加しており、一丸となる体制を敷いている。

 

大量生産が可能なラインフォルトとヴェルヌと比べれば割高になるが、彼らが追随できない程の技術力と安全性……それをZCFが担保しているのだ。尤も、その裏でマードック工房長が胃を痛めつつも苦労しているのはツァイス市民には周知の事実であり、市長に対しての好感度という点ではリベール一だろう。ある意味不本意的なものであろうが。

 

「ま、難しい世辞は抜きにして、博士やティータと話してみるといい。似たような立場だからこそ、その考えを聞けるというのはいい機会だと思うぞ。」

「………え?」

「何かを変えるには、まず動かないと……ってことね。」

「そういうこと……先に上がるな。」

そう言って、アスベルは先にその場を後にした。

 

「はてさて、アリサはいつ捧げちゃうのかな?」

「レイア!?な、何言ってるのよ!!」

「ちなみに、シルフィはもうあげちゃったのかな?」

「………ノーコメント」

自由気ままなレイアの発言にアリサは頬を赤く染めて反論し、シルフィアも頬を赤く染めつつ黙り込んだ。

 

 

~紅葉亭 休憩室~

 

上がる際に露天風呂へと向かうルドガー、シオン、リィンと言葉を軽く交わした後、着替えて休憩室で寛いでいるとシルフィアら三人もアスベル達のところに来た。

 

「おう、上がって来たか………」

「アスベル?」

「えと……」

「どうかした?」

アスベルは三人の色っぽさに茫然とした。それを不思議に思った三人が問いかけると、アスベルは我に返って取り繕った。

 

「いや、艶っぽくて……思わず見とれただけだ。」

「もう、アスベルったら相変わらずの照れ屋さんなんだから♪」

その言葉を聞くとより上機嫌になったレイアはアスベルに抱き着き、シルフィアはその光景にため息をついた。

 

「レイア、そう言って抱きつくのは止めなさいよ……」

「え?別にいいじゃない~」

「はぁ……人目を考えろよ。只でさえスタイルいいんだし……理性が持たんから。」

「成程……そういうところを見ると、人並みなのね。」

一応、男の子ですから。俺もな……そう考えると、性欲が暴発しなかったのは奇跡的だろう……

 

「そういえば、シルフィとはもうシたの?」

「お前はこういう状況だと、容赦なくそういう発言するよな……シルフィは何と?」

「ノーコメント……というか、そう言うってことはシたってことだよね?」

「レイア!いい加減にしなさい!!」

「あははは……(私もいつかはそうなるのかしら……)」

こういうところだと自重しないレイアの発言にアスベルは頭を抱えたくなり、シルフィアは頬を赤く染めつつレイアに向かって注意し、アリサは苦笑しつつ内心『そういったこと』もするのかと思うと最早笑うしかなかった。

すると、そこに風呂上がりの男性―――アルバート・ラッセル博士の姿があった。博士はアスベルらの光景を見て笑みを零した。

 

「おや、アスベル達ではないか。相変わらず仲が良いことじゃのう。まるで昔のわしのようじゃ。」

「……そういえば、博士の若い頃ってどんな感じだったんですか?」

「わしか?若い頃は相当モテたぞ。仲間からは嫉妬させるほどにな……尤も、妻には頭が上がらんかったが。」

「あはは………」

この光景を見てそう言うということは、かなり信憑性があるのだろう……すると、博士はアリサの姿に気づき、声をかけた。

 

「おや、そちらのお嬢さんは見ない顔じゃの。ひょっとして、アスベルの新しい奥さん候補かのう?」

「お、お、奥さんって…あぅ…」

「博士。ある意味間違ってはないですが、ストレートに言うのは止めましょうよ……アリサが困りますし。」

「ん?アリサ……お前さん、ひょっとしてグエンのお孫さんか?」

博士の歯に衣着せぬ物言いに、アリサは恥ずかしさのあまり顔を赤くして俯き、アスベルはジト目で博士の方を睨んだ。すると、アスベルの口から出た彼女の名前に心当たりがあったのか、博士がアリサに尋ねた。

 

「え?ええ、そうですが……お祖父様を知っているのですか?というか……貴方は?」

「そういえば、自己紹介がまだじゃったの。アルバート・ラッセル……お前さんの祖父、グエン・ラインフォルトとは親友にして好敵手みたいな関係だったというべきじゃな……元気にやっておるのか?」

「顔は見せませんが、時折手紙を寄越すぐらいで……」

まぁ、考えれてみれば確かに歳が近そうだし、知っていても不思議ではない……

 

「その気まぐれさも相変わらずじゃの。おそらくは女性に対するスケベ発言も治っておらんじゃろうな。」

「………まあ、その通りです。」

(当時からなんですか………)

知っているどころの話ではなかったようだ。どうやら、かなり近しい関係にいたのは間違いなさそうだ。

 

博士が言うには、アルバート(博士)とグエンの関係は約60年前……二人の少年時代にまで遡るとのことだ。導力革命を起こしたC・エプスタイン博士の直弟子であったアルバートとゲルバレット・シュミット博士。彼等とグエン、ヴェルヌ社の前会長でありヴェルヌの基礎を作り上げたエドゥアール・ヴェルヌ……この四人はエプスタイン博士の開いていた導力技術のための学習塾のような場所で勉学を共にしていた。その25年後、同窓会という形で顔を合わせた居酒屋で……

 

『まったく、発明ばかりやってねえで家族位作れ。そうしないと行き遅れになるぞ、エド。』

『お前に言われたかねえよ、グエン!ちゃっかり子供まで作りやがって!何だ!?俺へのあてつけか!?』

『ねぇ、どんな気持ち?一番行き遅れになると言った奴に先を越されてどんな気持ち?』

『その減らず口、いまここで塞いでやらあ!!』

『………騒がしいな。』

『その意見には同意する。』

グエンとエドゥアールは犬猿の仲というか永遠の好敵手みたいな感じであるが……まぁ、互いのことを気遣っている辺りからすれば、何だかんだ言って仲が良いということなのだろう。それには傍から見ていたアルバートとゲルバレットも同感であった。アルバートはリベールに、グエンとゲルバレットはエレボニアに、エドゥアールはカルバードへと帰り……各々の国の技術向上に努力していった。

 

「あやつが会長職を辞めてから、こっちに顔を出すかと思えば中々来なくての。まぁ、あ奴が来たとしても追い返すつもりじゃが。」

「あ、なるほど……」

確かに、ティータに対してスケベ発言をしないとも限らないので、仮に来たとしても追い返すという発言には合点がいった……過激という言葉が当てはまってしまうと思っているのは、きっと俺だけではないはずだ。

 

「にしても、グエンのお孫さんが来るとはのう……あ奴に塩は送りたくはないが、一肌脱ぐとしようかの。」

「え?」

そう言った博士の言葉にアリサは首を傾げる。

 

「アスベルら、『ARCUS』の改良品を彼女に託してもよいかの?」

「まぁ、その辺は博士に一任していますので、お任せしますが……」

「えと、『ARCUS』というのは……」

「ふむ、お前さんは知らないのか。エプスタイン財団とラインフォルト社が共同開発しておる第五世代型戦術オーブメントのことじゃよ。」

「え”。」

アリサの驚きも尤もであろう。ラインフォルト社が戦術オーブメントに関わっていたこともそうだが、ZCFがその存在を知っているということにも愕然とさせられたに違いない。

 

「“戦術リンク”……あの機能はわしですら驚愕させられたわい。オーブメントを介して思考をリンクさせることによって、多彩な戦術を生み出す……一線級の遊撃士や軍人らが見せる連携攻撃を再現させるための機能を未完成とはいえ搭載しておったからの。」

『ARCUS』に搭載された戦術リンク……その解析と改良は既に進んでおり、実際にはその戦術リンクを軍の部隊で試験運用中なのだ。そのためか、軍の連携の練度は非常に高くなっているのだ。

 

「………あの、私ですら知らないことを何で知ってるんですか?」

「簡単な話じゃ。エプスタイン財団から試作品を貰ったからの。その辺りの交渉はアスベルらにやってもらったんじゃよ。」

「成程……リベールが財団に頼らずに独自の戦術オーブメントを使っているのは噂じゃなかったんですね。」

リベールの戦術オーブメントは遥か先を見据えた仕様……その仕様は五年前から財団とは異なる“最新規格先行対応型”として運用を始め…急ごしらえではあるが、第六世代型の『ENIGMAⅡ-2(エニグマ・ダブルセカンド)』を既に十数機準備している。

 

「グランセルに戻る際にわしの家に来てくれ。その時に渡しておこう。あと、コーヒーぐらいはあるぞい。」

「あ、その……ありがとうございます!」

「気にするでない。あ奴はその辺りに疎いからのう……少しは『仕返し』しておかんとな。」

((((何かあったんだろうか……))))

満面の笑みを浮かべた博士の言葉にアスベルらは彼とグエンの間にあった『何か』が気になったのは言うまでもない。

 

一方その頃……露天風呂では……

 

 

~紅葉亭 露天風呂~

 

「………」

「………」

気絶して寝かされているシオンとリィン。

 

「………ちっ!やっぱあの時の気配は間違ってなかったな。」

舌打ちして警戒するルドガー……そして、目の前には………

 

「…………」

「みーつけた♪イイコトしましょ、ルドガー。」

顔を俯かせるアリアもといアリアンロード、そして笑みを浮かべてにじり寄ろうとするミスティもといヴィータ・クロチルダであった。言っておくが、露天風呂にいる面々は全員タオルを着用済みだ。そうであっても、アリアンロードとヴィータの立派なスタイルは隠し通せるものでもない……ただ、慣れない格好をしているアリアンロードは顔を赤くして俯いたままであるが。

 

「色々おかしいだろ!そもそも、“白面”に話はしたのかよ!」

「したわ。今も屋上のベッドでおねんねしてる頃だと思うわよ?やったのはアリアンロードだけれど。」

「それは貴女もでしょう!ワイスマンとカンパネルラに対して『幻想の唄』でトラウマ植え付けようとしたではないですか!」

「お前ら、揃いも揃っておかしいわ!!」

ルドガーがツッコミを入れなければならない状況を作り出したこの二人……だが、ここには遊撃士や星杯騎士がいる以上、下手に身分を明かすような真似は避けたい。だが、俺は真っ当な青春がしたいんですよ!アスベルとシオンの奴が羨ましい!!

……そう内心でルドガーが思った頃、アスベルがくしゃみをしたのは言うまでもない。

 

「大体、恥ずかしいのですから、とっとと捕まってください!」

「目的があれなのに、言うことはそれって……ヴィータはともかく、アリア姉は参加しなきゃよかったんじゃ……」

「だって、その………(もじもじ)」

ルドガーの冷静なツッコミにアリアンロードはもじもじしながら俯いている。何この可愛い生き物。その光景にむぅと膨れた顔をするヴィータは腹が立ったらしく、

 

「そぉい!!」

「きゃああああっ!!」

「ぶっ!!!」

アリアンロードの付けていたタオルをひん剥き、アリアンロードはそれに悲鳴を上げ、ルドガーは噴き出した。タオル装備のアリアンロード-タオル=……つまり、『何も装備していない』アリアンロードが目の前にいるということだ。解りやすく言えば何も身に付けていないのだ。

 

「ヴィータ、タオルを返しなさい!」

「いーや♪いっつもすまし顔の貴方が恥ずかしがる姿なんて見れたものじゃないし♪」

「こ、この……って、槍はルドガーに没収されたままでした。渡しなさい!」

ヴィータとアリアンロードは喧嘩を始めたらしく、アリアンロードは異空間から槍を出そうとしたが、ルドガーに没収されたことを思い出して詰め寄ろうとするが、彼女の『刺激的な光景』にルドガーはたまらず後退した。

 

「渡せるかよ!渡したら大惨事だろうが!!というか、叫んでるのに何で誰も……」

「~~~~♪」

「お前かぁぁぁぁぁぁっ!!」

道理で誰も注意しに来ないわけだ………まぁ、おそらく結界の類だろうが……解析は何とか『間に合った』な。

そう結論付けると、ルドガーは結界に干渉して……破壊した。

 

「えっ……!?」

「け、結界を……!?」

「俺は……俺は、家庭的な女性が好みなんだよぉぉぉぉぉぉぉ………」

そう叫びながら、シオンとリィンを連れ出すことを忘れずにその場を去っていった。

 

「………」

「………」

そして、その場に残された二人。

 

「泣かしちゃったか……後で謝っておかないとね。」

「それには同意ですが、タオルを返してください。」

「ああん、もう立派なのに隠すことなんてないじゃない。」

「は、恥ずかしいのです!」

彼に対する罪悪感は一応あったようで、バツが悪そうな表情を浮かべるヴィータとアリアンロードであった。そして、アリアンロードはヴィータからタオルを奪い取って巻き直しながら、ヴィータの言葉に反論した。

 

(にしても、家庭的な人か………)

(残念ながら、ルドガー以外にそういう人って皆無なのですよね、『身喰らう蛇(われわれ)』は。)

(それに近いのは、シャロンかしらね?)

(彼女しかいないというのは……複雑ですね。)

すんなり、彼の事を諦めたわけではない……彼のタイプである『家庭的な女性』を目指す……ただ、それに当てはまる人間が皆無だということに、二人はため息を吐いた。というか、そういった人間がいない組織の行く末は本当に大丈夫なのであろうか……それもほんの少し思った二人だった。

 

 

 

その頃………

 

~ヴァレリア湖畔 身喰らう蛇拠点 屋上~

 

屋上にできた二つの窪み……そこにフィットするかの如く佇んでいる二人……“白面”ゲオルグ・ワイスマンと“道化師”カンパネルラは………

 

「ハハハ……久しぶりに……こんなにゆっくり星を眺めているような気がしますよ。」

 

「ウフフ……奇遇だね教授、ボクも同意見だよ。」

 

二人の『使徒』によって叩き伏せられていた二人は、目の前に映る星空を見ながら、乾いた笑みを浮かべていたのであった……

 

 




オーブメントの設定を少し変更しました。閃開始時はちょっと変わりますw
あと、シュミット博士の名前とヴェルヌ社の会長の名前はオリ設定です。


次回、シオン、リィン、ロイド受難編(予定)

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