英雄伝説~紫炎の軌跡~   作:kelvin

143 / 200
第112話 “白面”

旧校舎での異変を片付けた後、コリンズに事の次第……とはいっても、『銀の騎神』に関しても一応報告はしたが、シオンの持つ権限で伏せておくよう頼み、コリンズもそれを了承した。その後、既に夜遅くとなっていたので、コリンズの計らいで今晩は寮に泊めてもらうこととした。その際、旧校舎にある『銀の騎神』イクスヴェリアを近くまで持ってきていたメルカバ参号機のデッキに載せた。旧校舎が『騎神』が出られるように対応していたのにも驚きだが……まぁ、その疑問はこの際置いておくこととする。

 

そして翌朝、シオンの提案でこの機体を確実に隠せる場所―――ツァイスへと運び入れることとした。

 

 

<ツァイス市郊外 秘密ドック>

 

運び込まれたのはツァイス市のラッセル家所有の秘密ドック。そこには最新鋭の戦車や装甲車、現在建造中の飛行艦が軒を連ねていた。着陸したメルカバを見て、連絡を受けて待機していたラッセル博士が近寄ってきた。

 

「博士、すみません。この忙しい時期に……」

「何、気にするでない。で、あれがお前さんの言っていた『尋常ならざるもの』か?」

「ああ。『銀の騎神』イクスヴェリア……訳あって、俺にしか動かせないが。」

博士の問いかけにシオンが答えながら、メルカバのデッキに佇むイクスヴェリアを見やる。

 

「ふむ、連中の兵器とは全く違うもののようじゃ。わしの娘が見たら歓喜してしまうこと請け合いじゃのう……で、どうしてほしいのじゃ?」

「イクスヴェリアの保管、それと出来る範囲内での解析をお願いします。とてもじゃないですが、これ一機だけとは思えませんし。」

「確かにな……」

アスベルらが知るのは『灰の騎神』と『蒼の騎神』。それらと互角以上の性能を持つと思われる『銀の騎神』……それに『準ずる存在』が出現する可能性がある以上、この機体の解析は重要である。こちらの『情報』が確かならば、既に『蒼の騎神』は動いている可能性が高い。

 

「いろいろ驚きですが……アスベルさん達は、どこまで読んでいるのですか?」

「その先も、ですね。尤も、それは相手が尋常じゃないですから。」

考えうる手段を講じても、相手が相手なだけに油断は出来ない。『革新派』『貴族派』『帝国解放戦線』……厳密に言ってしまえば、その裏で暗躍している『結社』によって引き起こされるであろう帝国の内戦。その状況下において旧帝国領を有するリベールも無関係とは言えない。下手をすれば、王国もその戦火を被る可能性すらある。ただ、その時にはクロスベルあたりも『尋常ならざる事態』ということになってしまうのであろう。

 

「アスベルは、敵と認定した輩には容赦ないですから。」

「物理的、精神的、社会的に追い詰めていくしね……」

「正直敵にしたくねえよ……」

「お前ら、俺はそこまで外道じゃないぞ?」

シルフィア、レイア、シオンの物言いにジト目で睨みながら、アスベルは反論の言葉を述べた。生憎、そこまでして喜ぶほど捻じ曲がった性格ではない。マッドサイエンティストとかの類と同類に扱われるのはこちらから願い下げであると言いたげな表情を浮かべた。

 

「ならば、『あの機体』はここで保管しておこう。どの道シュトレオン殿下にしか動かせないとなれば、あれが悪用されることもなさそうじゃし、ここならばセキュリティ面もある程度信用におけるからの。」

「ありがとうございます。」

博士の言葉にシオンは礼を述べ、イクスヴェリアを降ろした後、メルカバ参号機はステルス機能を展開してグランセルへと向かった。

 

それから四日後……

 

休暇を楽しんでいたエステル達であったが、流されてきたボートとそれに倒れた状態でいたクルツを発見した。そして、休暇の御相伴にあずかっていたケビンの法術によって、クルツはヴァレリア湖畔北西側に『結社』の拠点を発見したこと、上空にはブルブランの実験の応用と思われる『ダミー映像投射』と、湖岸から近づこうとするとルシオラの実験の応用と考えられる『霧が発生する』ようになっていたらしい。

 

クルツのように記憶を奪われていることを考慮し、エステル、ケビン、クローゼ、アガット、ジンの五人で向かうこととし、残りの面々はクルツの看病を行うこととした。

 

拠点にたどり着いたエステルらは記憶を奪われて操られたカルナ、グラッツ、アネラスの三人と相対し、これを抑えこんで、無事に正気に戻すことに成功する。そして、その先にいた『倒れているヨシュアの後姿』を発見し、エステルらが近づいて確認するが……それはヨシュアの姿をした人形兵器であり、ヨシュアとほぼ同じ動きに翻弄されつつもこれを退けた。

 

だが、その奥にいた人物の罠によって、エステルらは眠らされてしまい………エステルはその人物の『招待』という形で、連れ去られてしまった。

 

 

~???~

 

「……あれ?ここって………」

エステルが立っていたのは真っ黒な場所……となると、ここは夢なのだろうか……すると、エステルにとっては『二度目』となる人物らとの邂逅だった。

 

「ふう、あんな気色悪い夢なんて消しておくに限るよ。」

「それには納得ですが……おや、久しぶりですね。」

「うん。あの時以来かな。」

金髪の少女と銀髪の女性……エステルはその二人と面識があった。

初めての邂逅は“幻惑の鈴”ルシオラとの時。エステルが見た夢は、目の前にいた二人が幸せだと感じていた時の夢。だが、エステルは二人との面識など全くない。それもそうであろう……目の前にいる二人とエステル。その三人は『同じ世界の人間』ではないのだから。

 

「そういえば、自己紹介がまだだったね。私の事はアリシアって呼んでね!」

「私はリインとお呼びください。」

「………あたしが知ってる人の名前と同じだったり似てたり……不思議なんだけれど。」

金髪の少女―――アリシアと、銀髪の女性―――リインと自己紹介したことに、エステルは同名の人の事や近しい名前の人の事を思い出しつつ、引き攣った笑みを浮かべた。

 

「というか、そもそもの疑問なんだけれど……なんであたしの中に二人がいるの?」

「それはですね……」

リインが説明したところ、アリシアとリインはある意味『不条理』で殺されたり歪められてしまった存在。だが、それを哀れんだ神様が二人を転生しようとしたところ……生まれて間もない頃のエステルにその魂が吸い込まれたらしい。尚、魂というか精神自体は既に融合しているが、人格そのものは深層心理に残っていたということらしい。

 

「……そんなこと、ありえるの?」

「以前、それを偶然にも神様に聞ける機会があったので尋ねたところ……どうやら貴女には『人の域を超えた力』が眠っているらしく、それが働いた結果ではないかと推測していましたが。」

「…………(パクパク)」

「リインさん、固まっちゃいましたよ。」

「事実を言ったまでの事ですが……まぁ、この世界ですと一神的なものですし、無理もないですが。」

リインの言葉にエステルは口をパクパクさせて呆然とし、アリシアは疲れた表情を浮かべ、リインは苦笑してエステルが回復するのを待った。

 

「……はっ!で、でも……あたしが『聖天兵装』の<起動者>ということを考えたら、強ち間違ってないかも……それでも、あたしは人間でありたいんだけどなぁ。人外はあの不良親父だけで十分間に合ってるわけだし。」

「あはは……(………どうする?事実を言う?)」

「(ええ。)エステルさん。今言ったことは事実です。そして……私達はあなたと既に融合している以上、私らが今までに得た知識を使うことができます。尤も……こうして会えるのは最期になってしまいますが。」

困惑するエステルにアリシアはリインに尋ね、リインはそれに答えるとエステルにこれからのことを話す。

 

「………うん、解った。でも、あたしは忘れない。二人に会えたこと……ふたりは、あたしの大切な友達だから。会えなくても、一緒に生きていくわけだしね。」

「ふふ♪流石エステルだね!」

「ええ、宜しくお願いしますね、エステル」

二人としっかり握手を交わすエステル。そして、視界は白く染まり、意識が引き上げられていった―――

 

 

~???~

 

「……ん……………………」

ベッドの上で眠っていたエステルは目を覚ました。

 

「……あれ?あたし、拠点で眠らされて……というか、ここどこ?」

エステルは目の前に映る光景―――どこかの部屋のような印象を感じたものの、少なくとも人工的な部屋の中で彼女の記憶と合致するものはなかった。すると、扉が開いて一人の少女が姿を見せる。少女はエステルが起きていることに気付くと、笑みを浮かべて声をかけた。

 

「あら、目が覚めたのね。久しぶり、エステル。」

「レン!?……レンがここにいるということは……」

「恐らくエステルが思っている通りよ。ここは、『身喰らう蛇』の拠点よ。」

「ここが結社の“拠点”………てか、そんなあっさりとバラしていいの?」

少女―――レンの姿にエステルは驚くも、レンがここにいるということから自分が置かれている状況をそれとなく察して尋ねると、レンは隠す気もなくあっさりと言いのけた。その大胆さにはエステルもため息を吐きレンに問い直した。

 

「フフ、それも当然よ。窓を見てみて、エステル。」

「へ?窓………?」

レンの言葉を聞いたエステルはベッドから降りて窓から外を見た。

 

「な…………!」

窓の外を見たエステルは驚いた。なぜなら、エステルは巨大な赤色の飛空戦艦の中にいて 、そして戦艦は空を飛んでいた!

 

「………………(パクパク)」

「“紅の方舟”グロリアス……この飛行艇だけで、一国の軍隊を圧倒することが可能だって、“教授”は楽しそうに言っていたわ。ちなみに、かなり高いところにいるから脱出は不可能よ♪」

窓の外を見て、呆けているエステルにレンは笑みを浮かべて説明した。そのスケールの巨大さに圧倒されっぱなしのエステルであったが、そのエステルに対して声が響いた。

 

 

『ようこそ、エステル君。寝心地はいかがだったかな?こんな場所に連れて来られてさぞかし混乱しているだろう。だが、我々は君に対して危害を加えるつもりはない。安心してくれて結構だ。』

 

「………………………………」

その声質……口調は変わっているが、エステルにとっては“唯一思い出せなかった人物”であることを察し、真剣な表情を浮かべた。

 

『どうだろう、一度ゆっくり話してみるつもりはないかね?結社のこと、我々の目的、そして共通の友人について……。色々な疑問に答えてあげられると思うよ。』

「……いいわ。聞かせてもらおうじゃない。」

声の話を聞いたエステルは怒りを抑えた表情で答えた。

 

『よろしい、待っているよ。』

「それなら、レンが案内するわね。逃げ出そうとしたら命の保障は出来ないわよ?」

「笑顔でそれを言われるとちょっと怖いわね……」

レンの案内でエステルをある大部屋まで連れて行った。そしてレンをその部屋の前に残して、エステルは大部屋に入った。

 

 

~グロリアス 聖堂~

 

エステルが入ると、奥でワイスマンがオルガンを弾いていた。そしてエステルの気配に気づくと、オルガンを弾くのをやめた。

 

「ようこそ……“紅の方舟”グロリアスへ。そして……久しぶりだね、エステル君。」

「アルバ教授……やっぱりあなただったんだ。さっき声を聞いてようやく思い出せたわ。」

「フフ、さすがは“剣聖”の娘といったところかな。軽くとはいえ、封鎖された記憶を自力で思い出してしまうとはね。」

エステルの話を聞いたワイスマンは凶悪な笑みを浮かべながらエステルに感心していた。ヨシュアに掛けた暗示程ではないにしろ、暗示を自力で解いた人間などあまり見たことがないだけに、彼女の力が父親である“剣聖”譲りであることを素直に感心していた。

 

「…………」

「ちなみに本当の名前は、ゲオルグ・ワイスマンという。『身喰らう蛇』を管理する“蛇の使徒”の一柱を任されている。」

「“蛇の使徒”……。“結社”の最高幹部ってとこ?」

「まあ、そのようなものだ。さてと―――先ほど言ったように私には君の疑問に答える用意がある。何か聞きたいことはあるかね?」

エステルの疑問に答えたワイスマンはエステルに尋ねた。

 

「……聞きたいことがあり過ぎて、何から聞こうか迷うんだけど……」

「焦ることはない。ゆっくりと考えたまえ。よかったら一曲、弾かせてもらおうか?」

「結構よ。ていうか、そんな趣味を持ってる人とは思わなかったんだけど。貧乏な考古学者っていうのは完全に嘘っぱちだったわけね。」

ワイスマンの申し出を断ったエステルはジト目でワイスマンを睨んで言った。

 

「フフ、貧乏はともかく考古学を研究してるのは本当さ。ちなみにパイプオルガンは教会にいた頃、嗜(たしな)んでいたものでね。あの帝国人ほどではないが、それなりの腕前だっただろう?」

「きょ、教会にいた……?」

「いわゆる学僧というやつさ。“盟主”と邂逅したことで信仰の道は捨ててしまったが……その時に学んだ古代遺物アーティファクトの知識は今もそれなりに役立っている。そう、今回の計画においてもね。」

『教会』……この世界で教会というものを指し示すのは『七耀教会』。そして、アーティファクトの知識ということは、ケビンが所属しているという『星杯騎士団』に近い存在。それを指し示しつつも、ワイスマンがその問いに答えた。

 

「……………大佐をそそのかしてクーデターを起こさせたのも……各地で《ゴスペル》の実験をして色々な騒ぎを起こさせたのも……全部……あんただったわけね。」

クーデター事件……そして、各地で『執行者』が齎した混乱……それらの二つに繋がる『ゴスペル』。そして、それの裏側にいるのがワイスマンなのではないか、という推測をエステルは真剣な表情で尋ねた。

 

「その通り―――全ては『福音計画』のため。」

「『福音計画』……。あの研究所のデータベースにもそんな項目があったけど。要するに“輝く環”を手に入れる計画ってわけ?」

「手に入れるというのはいささか誤った表現だが……まあ、そう思ってもらっても構わないだろう。」

「“輝く環”って何?女神の至宝って言われているけど具体的にはどういうものなの?」

「“輝く環”の正体に関しては現時点では秘密にさせてもらおう。せっかくの驚きを台無しにしたくはないからね。」

「驚きって……」

ワイスマンの答えを聞いたエステルは呆れた表情をした。

 

「計画も第三段階に移行した。もう少しで、その正体は万人に遍く知れ渡ることになる。フフ……その時が楽しみだよ。」

「………………………………」

「そして“環”が現れたその時……我々は、人の可能性をこの目で確かめる事ができる。」

「人の可能性……。“レグナート”もそんな事を言っていたような……」

「ほう、あの聖獣からそこまでの言葉を授かったか。ふむ、あながちお父上の七光りだけではないようだね。」

エステルの話を聞いたワイスマンは感心した表情でエステルを見た。

 

「お世辞は結構よ。何よ……色々質問したってはぐらかしてばかりじゃない。」

「これは失礼……そんなつもりじゃなかったのだが。だが、君が一番聞きたい質問にははっきり答えられると思うよ。」

「………」

「おや、何をそんなにためらっているのかな?恐れることはない。勇気をもって訊ねてみたまえ。」

「…………ヨシュアは……どこにいるの?」

ワイスマンに促されたエステルは不安げな表情で尋ねた。

 

「フフ……それは私にも分からない。どうやら空賊たちと一緒に何かを画策しているようだが……いまいち動きが掴めなくてね。今のところ、生きているのは間違いないだろう。」

「そ、そうなんだ……」

「ヨシュアの能力は、隠密活動と対集団戦に特化されている。そのように調整したのは私だが予想以上の仕上がりだったようだ。フフ……どこまで頑張ってくれるか楽しみだよ。」

「あんた……」

自分の生み出した作品……まるで、自信作を意気揚々に語る美術家のようなワイスマンの言葉を聞き、エステルは睨んだ。

 

「ああ、そんなに怖い顔をしないでくれたまえ。私の元に預けられた時、ヨシュアの心は崩壊していた。そんな心を再構築するなど私にも初めての試みだったのだ。その成果を気にかけるのは研究者として当然とは思わないかね?」

「………あの生誕祭の時、ヨシュアに何を言ったわけ?」

「封じた記憶を解除して真実を教えてあげただけだよ。君の家に引き取られた彼が無意識のうちにスパイとして『結社』に情報を送っていたこと……。そして、彼の情報のおかげでリシャール大佐のクーデターが成功し、我々の計画の準備が整った事をね。そのご褒美として、改めて『結社』から解放してあげたんだ。」

「……やっと分かった……。ヨシュアがどうして……あの夜……姿を消したのか……。どうしてあんな顔で……さよならって言ったのか……」

ワイスマンの話を聞いたエステルは頭をうつむかせて、身体を震わせながら、静かに呟いた。

 

「いや、それについてはさすがに遺憾に思っているよ。自分を取り戻したヨシュアが君たちの前から姿を消すとはね。そのまま素知らぬ顔で君たちと暮らしていくといいと勧めておいたのだが……。フフ、親切心が仇になったかな?」

 

「よくも……そんな事が言えるわね……そんな道を選ぶしかないようヨシュアを追い詰めたくせに。あんな顔をして……ハーモニカをあたしに渡して……さよなら……エステルって……」

ワイスマンの言葉にエステルは棒を構えた。だが……彼女はその怒りの感情に支配された際、以前レイアに言われた言葉を思い出す。

 

『―――直感で行動するのは結構だけれど、感情を行動に持ち込んだら大変だよ。』

 

「……」

その言葉に一旦冷静となり……棒をしまった。

 

「おや?てっきり殴りかかってくるかと思えば……臆病風に吹かれたのかな?」

「違うわよ。考えて見れば、私が眠らされたときも用意周到だった。そんなあんたが何の備えもなしにあたしと直接話したいだなんて『おかしい』わよ……」

その行動に笑みを浮かべてあざけ笑ったワイスマンであったが、それに反論しつつエステルは目の前にいる首謀者の態度に違和感を感じていた。いや、態度ではなく……正確に言えば、ぼんやりとではあるが『ワイスマン以外の気配』を感じたのだ。

 

「あんたに対して今すぐにでも吹っ飛ばしてやりたいのは山々だけれど……何か、『五人ぐらい傍にいる』んでしょ?」

「ほう……」

「一人は知らないけれど、確か……レーヴェ、ルシオラ、ヴァルター、ブルブランって名前だったかしら?予想だから当たっているとは言えないけど、仮にそうだったとしたら、いくらなんでもあたし一人に負える相手じゃないわ……話が終わったんなら、失礼するわね。」

その気配からすると、先程『最高幹部』と名乗ったワイスマンの下で働いている人間……それが仮に自分が対峙してきた『執行者』らならば勝ち目が薄いことを述べつつ、レンがいるであろう場所に踵を返してその場を去った。

 

「………フフフ、カンパネルラは仕方ないとしても、気配を感じていたようだな。流石は“剣聖”の血を引いた人間か。」

「完全に気配は殺していたのだがな……」

「やれやれ、驚きね。」

「俺の気配まで読んでやがるたぁ……おぼろげだが、合格点じゃねえか。」

「フッ、この私まで予想していたとは……カンパネルラ君は残念そうだね。」

「折角の自己紹介シーンが台無しじゃないか。教授も人が悪いなぁ。」

エステルが部屋を出た後、陰から姿を現したレーヴェ、ルシオラ、ヴァルター、ブルブラン、そしてカンパネルラ……おぼろげながらも、『執行者』の気配を感じていたことに『執行者』の面々はおろか、ワイスマンも感嘆に価するほどの表情を浮かべていた。

 

「何、『結社』への勧誘は“殲滅天使”がやってくれることだろう。彼女が戻ってきたら手筈通りに頼む。ここの守りは“剣帝”に任せよう。」

「了解した。」

 

その後、レーヴェはレンと入れ替わる形でエステルのいる部屋に入ることとなるのだが……その際、

 

『レンか。勧誘は上手くいったのか?』

『う~ん……冗談半分でNo.ⅩⅨ『爆釣王』とかどう?とか言ったら、怒られちゃった。えへっ♪』

『………フッ、レンらしいな。』

 

という会話があったらしい。

 

 




エステルは、大変逞しく成長しております。

次回………の嘘予告

レーヴェ「真・分け身!(マ○リックスのエージェントス○ス張りの分身)」

エステル「訳が解らないわよ!」

????「姉さん、レーヴェがついに人間を辞めてしまいました。」

レーヴェ「フフフ、お望みとあらば……」

エステル「それは、○仮面!?」

オリビエ「残念だな、レーヴェ。それは僕の十八番なのだよ。時よ止まれっ!!」

レーヴェ「この場にいないはずの奴の攻撃だとっ!?」


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。