久々にFCを起動してプレイ中。
ここまでRPGにはまったのはFFⅩ以来です。
―ロレント郊外の平屋―
「……で、リベールに行こうとしたらいきなり飛ばされた、と。」
「まぁ、そんな感じかな。大方私を転生させた神様のせいだけれど」
大方の事情をすんなり呑み込んだアスベルに、シルフィアはため息混じりに呟く。そんなことが唐突に起きれば誰だって困惑するのは当たり前の話だろう。そもそも『なぜそのようなことをしたのか?』という疑問は尽きないが。
「(でも、いきなり飛ばされるなんて在り得なくないか?)……ちなみに、守護騎士は何人ぐらいいるんだ?」
「全部は言えないんだけれど……全員で5名。」
「少なくないか?」
「仕方ないよ……そもそも、そんな簡単に見つかるものでもないだろうし」
この時、確定的なのは“紅耀石”アイン・セルナートと目の前にいる“銀隼の射手”シルフィア・セルナートの2人。それと“吼天獅子”の合わせて3人。残り二名は第五位と第九位を除く人間だろう。
「なぁ、一つ質問なんだが、<聖痕>ってそう簡単に発現するものじゃないだろ?」
転生前において、原作を知るアスベル(輝)は、聖痕が発現する条件に『聖痕の所持者がアーティファクトによって命の危機に瀕する』ようなものが存在しているはずだ……それを含めて、尋ねると……シルフィアから帰ってきた言葉は意外なものであった。
「元は同じ世界のよしみで教えるけれど、模擬戦で総長が『ストレス発散させろ』とか訳の分からない理由で本気で潰しにかかってきて……気が付いたら一時的にとはいえ圧倒してた。」
「はぁ!?下手すりゃ『使徒』レベルと渡り合える総長相手に!?」
驚くアスベルの質問にシルフィアは首を縦に振って答える。常人では考えもしないような鍛練を積んだ+彼女の聖痕の力は、『執行者』クラス以上、『使徒』クラスに迫るという事実。それを目の前にいる今の自分と同い年ぐらいの少女が持っていることにアスベルは肩を落としそうになった。何というか、男としては納得できない感じである。
『使徒』と『執行者』……結社『身喰らう蛇』のトップの盟主を支える七人の最高幹部『使徒』、そして実行部隊ともいうべき『執行者』。その能力は多種多様で、人の域の限界に到達した者たち、一部は人の域を超えたものと考えればいいだろう。
「私自身が一番驚いたよ。<聖痕>の力を付与したなんて……」
「なるほどな(そういえば、俺にもこの世界での能力を付与したとか言ってたな…ま、大したものじゃないだろ)」
―――この時アスベルが内心思ったことが、後々覆されることになろうとは誰しもが思わなかった。
「とりあえず、今日はもう暗い。ゆっくり寝てくれ。風呂ならそっちにあるから」
「ん?どこか出かけるの?」
「ちょっとな」
アスベルはそう言って、家を出た。それを見送る側のシルフィアはアスベルの言葉に妙な引っ掛かりを感じたが、今日一日の疲れというかアルテリアでのストレスを発散すべく風呂に入り、寝ることにした。
―平屋の外―
アスベルは小太刀を構えていた。対峙している者はいない。
目をつぶり、精神を研ぎ澄ませる……
「ふっ!!」
アスベルは踏み込む。刹那、アスベルの周囲の景色がモノクロに塗りつぶされる。
その景色に驚くことなく、さらに踏み込んでいく。
アスベルにとってみれば『普通に動いている』だけだが、周囲から見れば『どこにいるか解らない』ぐらいに『速い』。
「はぁ、はぁ………」
動き始めてから一分後、アスベルは動きを止め、一息つく。そうすると、アスベルの視界も色のついた景色に戻っていた。
転生前の世界で習ってきた技術の一つ……超高速の領域まで自身を加速させる技巧『神速』。
「軽減負担のためにクロノドライブ込みでやってみたが、それでもトータルで一分が限界か……ま、今の状態でこれだけできれば上出来なんだが」
アスベルがこの技を使用したのには理由があった。それは、シルフィアとの話を終えかけた時、自分の身体の状態が回復していたのだ。
本来、筋肉痛は二十四時間サイクルで修復される。筋力トレーニングも一定の休息期間を与えなければ着実に身に付かないのだ。
だが、今の身体の状態は『山での探検をする前の全快の状態』だった。ふと、自分の状態を確認すると、特に筋肉痛などの痛みは感じない。
補助込みとはいえ、ただでさえ負担のかかる『神速』を一分間連続使用しても身体に変化はみられない。
今日の午後に探検を終えた際は疲労と筋肉痛で苦労していたはずだ……となると、理由は一つしか考えられない。
(シルフィア……彼女の<聖痕>が俺の中の『何か』に反応したってことになるよな。それしか考えられないし……心当たりないけれど)
となると、俺も次第に人の域を超える羽目になるのか……と内心ため息をついた。
その時
「おや?このような場所に人がいるとは……」
(っ!?)
後ろから聞こえた声に、その方を振り向き、一歩下がって警戒の態勢を取る。
そこにいたのは一人の男性。見るからに身なりの整った人間であり、それなりの地位にいる人間であることは察しが付く。
ただ、明かりは月明かりしかないため、ぼんやりとしか確認できない。それ以上に、その佇まいを見るだけでも『隙がない』……そう感じた。
「見るからに娘より少し年上ぐらいの子か。」
「どちら様です?そちらが争わないのなら、こちらも話位は聞きますよ。警戒はさせてもらいますが……」
「やれやれ、仕方ないとはいえ娘ぐらいの子に言われるのは堪えるな…」
警戒を解かないアスベルに、疲れた表情を浮かべて答える男性。
「一つ聞こう。君はここで何をしているのか?」
「何って、住んでいるんですが……もしかして、通報でもあったのですか?」
「いや、俺がここに来たのは偶々でな。最近ここら辺の魔獣が少なくなったという情報があり、何かの前触れと思って気になり赴いたわけだ。」
男性の言っていることにも一定の説得力がある。徘徊している魔獣の数が少なくなれば、何らかの出来事があったということになり、遊撃士が関わってないとすれば何らかの前触れとして少なくなったのでは?という仮説を導き出したとしても何ら不思議ではない。
「さすがに解りませんね(おそらく、クロノスの仕業だな。)」
流石に神様の仕業とはいえないだろう。しかも、“空の女神”以外の神様の手によるものだなんていえば、あの組織――七耀教会というか聖杯騎士団が黙っていないだろうし……
「俺は家に戻りますが、よかったら来ますか?」
「?いいのか?」
「こちらとしては、できる限り知り合いが多い方がいいですし、敵とは思えないんですよね。」
アスベルの提案に首を傾げる男性だが、アスベルは打算や内心思ったことも含めてこの男性と知り合いになる方がいいと率直に感じた。
月明かりが二人を照らし、男性の表情も見えるようになった。
その身なりは、アスベルがよく知る……正確には、アスベルが転生する前の輝が知る人物だった。
「っと、自己紹介がまだでしたね。アスベル・フォストレイトといいます。」
「俺はカシウス。カシウス・ブライトだ。よろしくな、アスベル君」
これが、俺とカシウス・ブライト……エステル・ブライトとヨシュア・ブライトの父にして、“剣聖”と呼ばれた人物との出会いだった。
FCに行くまでに書きたい話は
・百日戦役(三人の生存フラグ)
・D∴G教団一斉摘発(二人のフラグ)
・紫苑の家(一人生存フラグ)
ですね。クロスベルの部分でも何人か生存フラグを立てる予定です。
生存させたいキャラの中には『え、こいつ生存させる気なの!?』という奴が一人います。大丈夫です、アルバ教授じゃないですから(黒笑)