人修羅×まどマギ まどマギにメガテン足して世界再構築   作:チャーシュー麺愉悦部

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112話 個人と公共

西の魔法少女達は現在、西の奥地にある鉄塔攻略の為に動く。

 

迫りくる魔獣の軍勢を打ち倒しながら前進し、電力を運ぶ鉄塔が並ぶ周辺に到着。

 

「あの一番奥の鉄塔から魔法少女の魔力を感じるよ!それにコロニーを築く魔獣の姿も!」

 

「遮蔽物がない田園地帯に立つ鉄塔群…だとしたら…」

 

「やっちゃん!!伏せて!!!」

 

みふゆの叫びに反応してやちよ達は身をかがめる。

 

直ぐ上をパチンコ玉のような魔法武器が掠めていった。

 

「やはりスナイパーを配置してたわね…地の利は完全に向こう側にあるわ」

 

「どうしよう……私の炎魔法で周囲を燃やして煙幕を作るわけにも…」

 

「鶴乃さん、それは被害が大き過ぎます。ここは私の幻覚魔法でデコイを生み出しましょう」

 

みふゆの案を了解し、やちよは後ろを振り向いて西側の魔法少女に指示を出す。

 

「美凪さん、竜城さん、牧野さん、胡桃さん、梢さん、春名さんは私と共に突撃するわ」

 

「くみ…やちよさんと同い年だし、年長者として頑張るからね!」

 

「貴女の固有魔法であるフリーズを駆使してくれる?魔獣の動きを止めれば固定砲台と同じよ」

 

「私の固有魔法なら、魔獣の攻撃手数を減らすことが出来るかもしれません」

 

「お願いするわね、梢(こずえ)さん」

 

「まなかの燃え上るクッキング魂で!魔獣たちをミートボールにしてみせます!」

 

「あまり…食べたい料理じゃないかも…」

 

「このみお姉さんは、ああいう食材は嫌いなんですね?」

 

「食材以前の問題でしょ!?」

 

「皆さん!私たちが先陣を切り、見事に敵大将首をあげましょう!」

 

「いや…連中は大将首じゃないよ、明日香。でも騎士として遅れはとらないわ」

 

皆が意気込む中、月夜がやちよの前に出る。

 

「わたくしも!月咲ちゃんの元に向かわせて下さい!!」

 

「月夜さん…貴女は前線向きの魔法少女じゃないでしょ?」

 

「それでも…それでも月咲ちゃんを救いたいんです!!」

 

「…断ってもついてくるんでしょ?私のそばを離れちゃダメよ」

 

「は、はい!有難うございます…やちよさん!」

 

突撃班は決まり、やちよは後方支援を行わせる魔法少女たちに振り向く。

 

「みふゆ、鶴乃、みんなと一緒に後方からの援護をお願いするわね」

 

「ももこさんも来てくれてたら…突撃班も心強かったんですけどね…」

 

「あの子はレナやかえで達を探しに行ったから…それに多分、2人は十七夜と一緒よ」

 

「あの子達なりに…十七夜を心配してたからね…」

 

<<突撃前で心配状態になってどうするんですの!!>>

 

やちよ達の前に出てきたのは、水名区で見かけた魔法少女である阿見莉愛。

 

「えっと……貴女は()()()()さんだったかしら?」

 

「阿見リアよ!!まったく、本当なら私が華麗に前線を務めるはずなのに…」

 

「阿見さんの魔法武器は弓よ。後方支援向けの武器だし…」

 

「分かってるわよ!戦場のトップスターを譲るんですし、絶対に負けちゃダメよ!」

 

「フフ、思い出したわ。貴女もモデルになった人だったし…次の勝負はモデルとしてよ」

 

「望むところですわ!!」

 

「でもでも、阿見先輩は筋金入りのやちよさんファン…」

 

まなかの口を抑え込み、苦笑いを浮かべながら早く行けと促すリアである。

 

みんなから少し離れた位置で俯いている魔法少女。

 

「梨花ちゃん……大丈夫…かな……」

 

中央の魔法少女を心配しているのは、尚紀が文房具屋で出会ったことがある五十鈴れんの姿。

 

「ねぇ…友達が心配なの?」

 

声をかけてきたのは、夏の時期にアイドルコンサートを行っていた魔法少女。

 

「え、えっと…貴女は……?」

 

「あなたのハートをたたっ斬る!恋の辻斬り姫こと〜史乃沙優希~…って知らない?」

 

「あ、聞いた事あるかも…です。たしか…水名区のご当地アイドルさん…?」

 

「本当に大変なことになっちゃったけど…大丈夫、またみんな笑顔で暮らせる日になれるよ」

 

「そ…そうだと良いんですけど……」

 

「そうなれるって信じる事が大事。沙優希だって…自分を信じたからアイドルを続けてこれたし」

 

「信じる……は、はい!生きてこそ…幸せが見つかる。私だって…梨花ちゃんから学びました!」

 

「魔法のマイクでガンガン応援ソングを歌うからね!みんな~!魔獣を袈裟斬りだよ~!!」

 

後方班も決まり、やちよが号令を上げる。

 

美凪ささらは突撃前に後ろを振り向き、遠くに見える街の赤い夜空を見つめる。

 

「お父さん…大丈夫かな…」

 

消防隊員である父親の心配をしていた時、鉄塔方面から大きな笛の音が聞こえてきた。

 

「えっ!?」

 

ささらの目に映ったのは、後方から出現した大量の魔獣軍勢。

 

「やちよさん!!後ろからも現れたわ!!!」

 

「挟撃された!?」

 

「やっちゃん!後ろは私たちに任せて下さい!!」

 

「…頼んだわよ、みふゆ!!」

 

大規模な戦闘が始まっていく。

 

その光景を鉄塔方面近くにある森林から見つめているのは、常盤ななか達。

 

「ワタシの固有魔法で事実偽装の結界張たネ。これでやちよさん達からも敵からも姿消せたヨ」

 

「敵は相当の策士のようですね。だからこそ、私たち別働班が必要なのです」

 

「…それだけの理由で、ななかはみんなから離れたのかな?」

 

「…私は西側の魔法少女から嫌われてます。私がついて来ていた時の…皆の表情が語ります」

 

「……歓迎されてるようには、見えませんでしたね」

 

「敵は前面に意識を集中しています。我々は側面から奇襲し、魔獣コロニーを殲滅しましょう」

 

「…ななか、一つだけワタシ……聞きたいことあるネ」

 

「…何ですか、美雨さん?」

 

「敵ならば……また殺すのカ?」

 

その一言が、復讐相手であった魔法少女の殺害と同じことを繰り返すのかと問うのは分かる。

 

「…此度の暴動によって、大勢の人間が犠牲になりました。私は東の魔法少女を許しません」

 

「連中だて…差別を受けて苦しんできたから…」

 

「可哀相な立場なら、何をやっても許される?…その理屈を私は…決して許さない…!」

 

美雨を睨みつけるななかの表情は、かつて更紗帆奈を殺害した時と同じ顔。

 

「人間社会の秩序の為なら…人殺しも許されると言うカ!?」

 

「…美雨さん、人間社会を優先しない魔法少女を甘やかした結果…南凪区はどうなってます?」

 

「そ、それは……」

 

「本当ならば、美雨さんだって蒼海幇の人達の身が心配で堪らないはずです」

 

「心配ネ……でも!それと人殺しは関係ないヨ!!」

 

「あります。魔法少女の自由を許した為に、人間達は安全保障が得られない…今がその結果です」

 

「ななか…お前の理屈は恐怖政治ネ!!社会秩序の為なら()()()()だて出来るヨ!!」

 

「皆死ぬのは怖い、だからこそ抑止力となる。法を犯すリスクが高い程…皆が保身に走るんです」

 

「ななかさん……」

 

「私はもう…私やかこさんのように、突然魔法少女に襲われて人生を奪われる人を作りたくない」

 

「美雨さん……私もななかさんと気持ちは同じです」

 

「オ…オマエたち……」

 

「私やななかさん、そして今日犠牲になった人たち…。全部…全部魔法少女達のせいです!!」

 

3人の価値観はすれ違う。

 

己の望みで魔法少女になった者と、魔法少女に襲われて魔法少女の世界に引きずり込まれた者。

 

3人の考える魔法少女の在り方は…かけ離れていた。

 

「…美雨、もうななかとかこちゃんは止められないよ。それにボクだって…黒帯を締める侍だ」

 

「あきら…オマエもなのカ!?」

 

「義を見てせざるは勇無きなり…義とは己の利害を捨て条理に従い、公共の為に尽くす気持ちさ」

 

「あきら…オマエは自分の拳が血濡れた人殺しに…なてもいいのカ!?」

 

「勘違い騎士道殺人事件なら知ってる。でもボクは…あの空手家が間違ってるとは思えない!」

 

「みんな正気に戻るネ!!人殺しになたら…誰かに恨まれて苦しむ人生しかないヨ!!」

 

「ボクはね…義の侍であった柳生十兵衛に憧れてる。一殺多生の()()()の心は間違ってない!」

 

【活人剣】

 

兵法の理想として柳生宗矩が提唱した思想。

 

本来忌むべき存在である武力も、1人の悪人を殺すために用いることで、万人を救い『活かす』ための手段となると説く。

 

悪人と言えども殺さぬ『不殺』を意味する言葉などではなく、剣術が殺すための術理で有ることは否定せず、むしろ両面を知ることを重視している。

 

戦場での一技法に過ぎなかった武術としての剣術を、人間としての高みを目指す『武道』に昇華される発端となった。

 

この思想は昭和の右翼にも用いられ、国を売る売国奴殺害でさえ周りに被害を出すなと説いた。

 

一般人を巻き添えにする左翼テロ行為とは違い、一殺多生の大慈の心を重視したようだ。

 

「あきらさん…貴女も私とかこさんの思想と同じ答えを出してくれるんですね…本当に嬉しい!」

 

「義に生きるあきらさんなら…きっと理解してくれると信じてました!」

 

3人が手を取り合い、笑顔を作る光景を茫然と眺める事しか出来ない美雨の姿。

 

「議論なら後でしましょう。我々の目的は…人間社会に仇なす魔法少女たちを制圧することです」

 

森林から飛び出した3人。

 

側面から一斉に魔獣コロニーに向けて進撃していくのだが…美雨は動揺によって動けない。

 

「なんで……なんでナオキやオマエ達は……」

 

――()()()()()()()の為なら……そこまで残酷になれるネ!!?

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

中央区。

 

街の下では暴徒達と警察が激しい攻防を続けているが、警察側が劣勢。

 

そして、街の上部とも言えるビル群の屋上では別の激戦が繰り広げられていく。

 

「西側の魔法少女はまだ来ないのか!?」

 

中央区の魔法少女リーダーであるひなのは、状況が極めて最悪だと判断した。

 

「みゃーこ先輩!ダメだよ…中央の魔法少女だけじゃ戦線なんて持たせられないよ~!」

 

ひなの達中央の魔法少女だけでは中央区のみにしか防衛線を敷く事は出来ない。

 

革命先遣隊である200人規模の東の魔法少女たちの攻勢を押し留めることなど不可能だった。

 

「……前線の状況は、最悪よ」

 

固有魔法である透明化を用いて戦線から報告に戻ってきたのは、短剣を武器とする加賀見まさら。

 

「お、お前……その体は!?」

 

見れば彼女の全身は血塗れであり、激戦の中を命からがら報告に戻ってきたようだ。

 

「…撤退を進言するわ。このままでは…私たちは全滅するしかないわ」

 

「…西の魔法少女の合流が期待出来ないならば…仕方がないな」

 

「それに、私たちが防衛線を敷く事が出来ない参京区や栄区に回り込んで西側を目指しだしたの」

 

「…まさら、戦線を撤退させる。我々は散兵として潜みながら縦深防御を敷いていく」

 

「真正面からぶつかっても勝てないなら…ゲリラ戦しかないわね…」

 

「だ、大丈夫なの…?あれだけの数じゃ…いずれあーしら追い詰められて…」

 

「敵の進撃を遅らせても…最終的には西の端にまで追い込まれて…西側連中共々終わりだろうな」

 

「…指令は受け取ったわ。前線のみんなに知らせてくる」

 

「その体じゃ無理だよ~!あーしが知らせに行くから!!」

 

「大丈夫……私は死など恐れてないわ…」

 

「いいから言うこと聞いて!あーしもみゃーこ先輩も…誰も死んで欲しくない!」

 

衣美里は走り出し、前線に向けて指令を届けに行く。

 

「あたしの魔法は化学兵器として使える。敵の進撃経路を継続的に攻撃して押し留められるが…」

 

「広範囲の火災で火災気流が生まれてるわ…空に押し上げられてしまうだけよ…」

 

「それに…敵を限定出来ない。人間が吸い込めば殺してしまいかねないんだ…」

 

「魔法少女の魔法も…万能ではないわね…」

 

「生き残ってくれよ…あたしの後輩たち…」

 

中央区の東側前線の戦況は…既に決しようとしている。

 

「ハァ…ハァ…これ以上は……」

 

両手に持った巨大なトンファーで防御を固めながら戦うのは粟根こころ。

 

しかし彼女も既に満身創痍。

 

「もたない…よね…」

 

背後を守るようにして立つのは、西部劇のガンマンのように二丁拳銃を使う江利あいみ。

 

周囲は既に黒や白のローブを纏うルミエール・ソサエティの魔法少女達に囲まれている。

 

彼女たちは本や角笛を魔法の触媒として使うようだ。

 

「残っている中央の魔法少女たちは……?」

 

「他の子達は……もうダメみたい…。梨花ちゃんだって…生き残っているのか分からない…」

 

「……どうして、こんな事になっちゃったのかな…?」

 

「きっと…この神浜の社会問題を、みんなが放置したせいだよ…ね」

 

2人は死の覚悟を決めていく。

 

その頃、こころから心配されていた人物は……。

 

「く…うぅ……」

 

離れたマンション屋上では、東の魔法少女の攻撃を受けて倒れこむ綾野梨花の姿。

 

「生きる事の大切さを…れんちゃんに教えたあたしが諦めたくないけど……ダメかも…」

 

東の魔法少女たちがトドメをさそうと近づいてくる。

 

「ごめんね…れんちゃん……あたしの分まで……生きてよ……」

 

死を覚悟していた時…。

 

<<今宵は僕の魔眼が疼く…血を求めて乾く…!!>>

 

「えっ…?この声は……?」

 

どこからか突然、中二病セリフが聞こえてくる。

 

東の魔法少女たちが給水塔に目を向ける。

 

そこには銀髪の長髪を夜風で靡かせる、左目が前髪で隠れた魔法少女の姿。

 

隠された魔眼?を見せびらかし、ドヤ顔で決めポーズ。

 

「あんた…工匠の水樹じゃない!東の魔法少女のあんたが…なんでここでサボってるわけ!!」

 

「ち、ち、違う!!我が名はフォートレス・ザ・ウィザード…!」

 

「いや、そういう中二病設定とかどうでもいいし!あんた…中央を手助けする気?」

 

「フン!僕は東の連中を見限る事にした。貴様ら外道についていく僕と思ったか?」

 

「東を裏切るつもりなのね…裏切り者には容赦しないわよ!!」

 

「クックッ、僕だけが君たちを裏切ったとでも思ったか…?浅はかな愚か者共め!!」

 

その言葉を聞き、周囲を警戒するが遅すぎる。

 

<<action!!!>>

 

何処からかメガホン拡声器の音が聞こえたかと思えば…。

 

<<キャァァーーーーー!!?>>

 

叫ばれた声がまるで具現化された巨大文字のように変化し、隣ビルの屋上から降り注ぐ。

 

東の魔法少女たちは形となった大声物体に押し潰され、身動き出来なくなった。

 

跳躍して現れたのは、デビルサマナーのナオミが助けた事があった三穂野せいら。

 

「僕が連中の注意を引き、見事な連携で勝利した…。かつての異世界対戦でもこの戦術を僕が…」

 

「君…大丈夫?私たちが来たからには、安心してくれていいからね」

 

給水塔の上で妄想に浸る人物は無視し、傷ついた梨花を抱き起すせいらの姿。

 

「貴女たち…東の子でしょ?どうして…?」

 

「東の子たちも一枚岩ってわけじゃない。私たちは連中のやり方にはついていけなくなったんだ」

 

「私より…他の子たちを助けに…」

 

「大丈夫、もう向かってる人たちがいるから」

 

一方、こころ達は…。

 

「キャァァーーーーー!!」

 

東の魔法少女の魔法攻撃によって、あいみは手すりを突き破りながら飛ばされていく。

 

「くっ!!」

 

折れ曲がった手すりを掴み、落下を防ぐが後がない。

 

「あいみ!?キャァ!!」

 

よそ見をした為に、こころも魔法攻撃を受けて倒れこんだ。

 

「なんて守りが固い女だったの…。でも、これで終わりだよ!!」

 

こころとあいみが絶体絶命であった時…。

 

「言葉は心の使い…徒然なるままに!」

 

東の魔法少女たちの頭上から降り注ぐのは、筆のような魔法武器。

 

「な、なによこれ!?」

 

地面に降り注いだ筆が言霊とも言える文字を地面に描いていく。

 

<<武装解除して暴走を止めなさい>>

 

その言霊が響き渡ったのか、彼女たちは魔法武器を落として棒立ち状態と化す。

 

空から現れ着地したのは、せいらと一緒にいた吉良てまり。

 

「ううぅ…。もうダメ……ごめんね、伊勢崎君……」

 

力が入らなくなり、手すりを離して落下した時…。

 

「えっ!?」

 

彼女の片手に鞭のような魔法武器が巻き付き、屋上に引っ張りあげられた。

 

「間に合ってよかったわ」

 

眼鏡ブリッジを片手で押し上げ、笑顔を向けるのはてまりの幼馴染である古町みくら。

 

「ごめんなさい…東の魔法少女たちのせいで……大勢犠牲を出したわね」

 

「貴女達は東の子よね…?どうして中央を助けてくれるの…?」

 

「私たちはもう、東の魔法少女社会とは袂を分かつ事にしたの」

 

「だから西や中央の援護に向かうところだったのよ」

 

「よかった…伊勢崎君との恋が叶う前に…円環のコトワリに行くところだったよぉ…」

 

こころとあいみが安堵していた時…。

 

<<みんな~!撤退撤退~~!!命を大事に~~!!!>>

 

衣美里がみやこの指令を伝えに現れたようだ。

 

東からの助っ人と共に、中央の魔法少女達は西に撤退しながらの縦深防御戦に移る。

 

中央の戦線は後退していくが、東の攻勢は北と南からも行われていく。

 

既に栄区には、東の魔法少女たちの部隊が進軍してきていた。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

中央を迂回するようにして北と南から西側を目指す東の魔法少女たちの大攻勢。

 

栄区を守る魔法少女は次々と殺され、残されたのは…。

 

「く…来るの…」

 

栄区を守る最後の魔法少女は、孤高の変身ヒロインを演じる御園かりん。

 

そして……。

 

「……私は、東の子達を止めるわ。戦う力が無いなんて言い訳はしない」

 

かりんの横には、魔獣さえ倒せない八雲みたまの姿。

 

彼女が持つ魔法武器とは、シルクに似た極薄の布…。

 

「みたまさん、無理しちゃダメなの…戦う力が無いなら私に任せるの」

 

「大丈夫よ。私はね、魔獣が相手では戦えないけど…魔法少女が相手なら話は別よ」

 

「もしかして……調整を行うの?」

 

「その逆よ。この布は私の手となる…魔法少女に被せてソウルジェムに触れさえすれば…」

 

――ソウルジェムそのものを…無力化させれるわ。

 

「調整という魂の強化じゃない…調整そのものを()()()()()()()()…魂を破壊するの!?」

 

「…これでもう私は、中立者じゃなくなるわね。調整屋も店仕舞いかしら…」

 

「ダメなの!みたまさんが人殺しになってしまうの!!」

 

「覚悟は出来てるわ。私のせいで…大勢の人々を死なせてしまったのだから…」

 

「みたまさん…そんな……」

 

東の魔法少女部隊の姿は目前にまで迫ってきている。

 

このまま乱戦となれば、みたまを止める事はかりんには出来ないのであろうが…。

 

<<ヒホ、俺も暴れたいホ>>

 

<<なんなら連中、オイラたちがぶっ潰してやってもいいホ>>

 

みたまの腰の辺りから顔を出すのはジャックフロスト。

 

かりんの背後から現れたのはジャックランタン。

 

「あ、あなた達…。私たちを助けてくれるの?」

 

「忘れたのかホー?オイラはヴィクトルからみたまを守れって言われてるホ」

 

「俺は善行を積まなきゃ成仏できんホ。このさい魔法少女に姿を見られてもしょうがないホ」

 

「ダメなの!ランタン君の魔法は強すぎるから…魔法少女を殺してしまうの!」

 

「縛りプレイ過ぎるホー…。悪魔の俺たちには難しすぎるホー…」

 

「じゃあ、オイラの魔法で氷結させちまうホ!こう見えてオイラ氷結高揚覚えてるホ!」

 

「しょうがねーホ。俺もパララアイを使って連中を麻痺させていくだけに留めるホ」

 

みたまの背中にフロストは飛び移り、両手で掴みながらおんぶ状態。

 

右手の人差し指で魔力をみたまの布に送る。

 

「えっ!?こ…これって…」

 

極薄の布から白い冷気が溢れ出していく。

 

「それをブンブン振り回したら、氷結高揚アイスブレスみたいに冷気をまき散らせるホ」

 

「ありがとう、フロスト君。あなたのお陰で私も違う戦い方が出来……うん?」

 

彼女が今背中に背負っているのは、雪だるまの悪魔。

 

「つ、つ、冷たいわ~~~!!?」

 

キンキンに冷えた背中に慌てだすみたまを見て、微笑みを返すかりん。

 

「みたまさん…元気が出てきてくれて嬉しいの」

 

「かりん、お前のキャンディーなんたらに俺の炎魔法を付与出来るけど…」

 

「それを放ったらみんな殺してしまう…。だから私…大鎌でみねうちを狙うの!」

 

「ハァ…オマエも俺がいなかったらヤバかったホ」

 

二体の悪魔を引き連れた魔法少女たちが頷きあい、東の魔法少女たちとの戦闘を開始。

 

みたまはフロストと協力し、冷気魔法で東の魔法少女たちを氷結させて身動きを封じていく。

 

かりんはランタンのパララアイ魔法で動きを麻痺させ、相手を殴りつけて動きを封じていく。

 

しかし数の上では圧倒的に負けており、疲弊しながら徐々に後退していくしかない。

 

栄区の守りを打ち破られるのは、時間の問題であった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

報道ヘリが飛び交う神浜市の夜空。

 

手薄となっている参京区では現在、迂回してきた東の魔法少女部隊が難なく通過していく。

 

「扇動した東の人間たちは派手にやってくれているようね」

 

「西側が燃えていく…いい気味よ。西の魔法少女達も自分の家が大変で心理的負担も大きいわ」

 

「我々はそれに乗じて連中を殲滅していく。姫様の策士っぷりには頭が下がるね」

 

燃えていく建物を避け、西の本丸とも言える地域を目指し跳躍移動を繰り返す。

 

彼女たちが通り過ぎていった燃える建物の中には…。

 

「な…なに!?」

 

建物の屋上周囲が濃霧に包まれていく。

 

「この霧は魔法!?視界がホワイトアウトして何も見えない!!」

 

突然の事態に動揺していた時…。

 

<<よくも……よくも私たちの大切なつつじの家を燃やしたわね!!!!>>

 

怒りの声が聞こえた方角に視線を向けた時…濃霧の中から何かが回転しながら迫りくる。

 

それは静海このはが魔法武器として使う、長柄両端に蝶の羽根型の刃を持つ両刃薙刀。

 

「がっ……!?」

 

東の魔法少女達の首を次々と跳ね落とし、憤怒が込められた両刃薙刀が殺害していった。

 

混乱していく東の魔法少女たちの両側面から飛び出してきたのは、葉月とあやめ。

 

「お前たちのせいで!!!!」

 

葉月が両手に持つのは、魔力で帯電する斧に似た独特の形状の刃物。

 

「ぐあぁーーーッッ!!!!!」

 

二刀流を振るい、奇襲攻撃によって次々と東の魔法少女たちを両断して殺害する葉月の憤怒。

 

「つつじの家のみんなは……」

 

あやめが持つのは、中国武具に見られる龍頭大铡刀(りゅうとうだいさつとう)と酷似した武器。

 

――煙に巻かれて……死んじゃったぁ!!!!

 

「や、やめてぇーー!!!!!」

 

憤怒の力任せに振りかぶり、東の魔法少女の頭部から真下に向けて唐竹割りの殺害行為。

 

濃霧の中から両刃薙刀を構えるこのはも現れ、視界が悪い中の大乱戦となっていく。

 

死んだ魔法少女たちが円環のコトワリに導かれる光を放つ中、血煙舞う戦いが続いていく。

 

3姉妹の魔法少女衣装は返り血塗れとなり、その表情は返り血を纏う憤怒を崩さない。

 

…東京の魔法少女が相手の時でさえ不殺を貫いた彼女たちが、慈悲を捨てる程の憤怒を見せる。

 

彼女たちに一体何が起こったのか?

 

それは…少し前に遡る。

 

「早く…早くつつじの家に向かわないと!!」

 

「あのニュース…只事じゃないよ!あんなヘイトを撒き散らせば…東側が暴走する!」

 

「あちし達が魔法少女になってまで守ったみんなが危ない……無事でいてよぉー!!」

 

3姉妹がつつじの家にたどり着いた頃には…。

 

「あ……あぁ……あぁぁぁぁーーーーーーッッ!!!!!」

 

東の暴徒達に囲まれた燃え上るつつじの家の光景。

 

「児童養護施設なんぞに!俺たち東の税金を使えって許可を出した覚えはねぇぞ!!」

 

「西の子供ばかりが優遇される!!東の子供の社会保障費は全く拡充されなかった!!」

 

「この施設も俺たち社会的弱者の税金で肥え太ったクソッタレ施設だ!!ざまぁみろ!!」

 

灯油が詰められた火炎瓶をさらにつつじの家に向けて投げていく暴徒たち。

 

児童養護施設等の福祉政策は国民も行政も関心が薄く、民衆からは税金の無駄遣いに見えた。

 

「どうして…?私たちの願いで…つつじの家は将来的な存続が運命付けられてたのに!?」

 

「アタシ達の人生を救ってくれたつつじの家が燃やされていく……許せない!!」

 

「あちし…こんなに怒るの初めてだよ!!絶対に許すもんかぁ!!!」

 

魔法少女に変身して暴徒たちに襲い掛かりそうな二人の肩を掴むこのは。

 

「何で止めるのさ!?」

 

このはも魔法少女姿に変身しているが、その顔は唇を噛み締めながら怒りを押し殺す表情。

 

「…暴徒たちは警察に任せるしかないわ」

 

「で、でも……あいつら許せないし!!」

 

「私だって怒り狂いそうなの……それでも、私にブレーキがかかる内に…人命救助を優先して!」

 

「このは…わ、分かった!残されてるかもしれない職員の人や子供達がいないか探そう!」

 

「つつじの家を守って死んだ院長先生の為にも…絶対に子供たちを死なせるもんかぁ!!」

 

施設の囲いを魔法少女の身体能力で飛び越え、ハンカチを口に当てて施設へと入る3人。

 

「ゴホッゴホッ!!誰か…誰かいないの!!?」

 

「ゲホッゲホッ!!天井は煙でダメだよ…身を低めて!!」

 

「手分けして探そうよ!きっと震えて動けない子供たちがいる…ゲホッゲホッ!!」

 

3人は手分けして捜索していく。

 

「しっかり!!お願いだから息をして!!!」

 

このはと葉月が見つけたのは、逃げ遅れた子供を探しに戻って煙に巻かれた職員たち。

 

「ダメ…この人たち息をしてないよ……」

 

「……まだ生き残ってる人がいるはずよ!諦めないで!!」

 

あやめは二階に上り、子供たちの部屋を捜索していく。

 

「誰かーッ!!いたら返事をしてよー!!」

 

部屋を開けていく内に、かつて自分の部屋だった場所を見つける。

 

「あちしやこのは達の部屋……」

 

息を飲み、部屋に入る。

 

そこには、知っている孤児の少女がクローゼットを内側から開けるようにして倒れた姿。

 

「そんな…あの子はあちしの妹のような子だった……」

 

駆け寄って抱き起す。

 

パニックとなり部屋に籠った為に、煙に巻かれて一酸化炭素中毒となったようだ。

 

「あやめお姉ちゃんが帰ってきたよ!お願いだから…返事をしてよぉ!!」

 

悲痛な叫びを上げた時、鼻と口元が煤けた少女の口が僅かに動いた。

 

「ゲホッゲホッ……お姉ちゃん……だれ……?」

 

「あっ……」

 

あやめは忘れていた。

 

姉妹たちが魔法少女として契約した時に叶えた3人分の願い。

 

その中には殺し合いが続く魔法少女として生きる為に、周囲との関係を断つ願い事があった。

 

…つつじの家に関わった3人の、記録と記憶を抹消する願いだ。

 

「怖くて……震えて……クローゼットに隠れたら……煙が入ってきて……」

 

「もういい!何も言わなくていいから…あちしが外に連れ出して病院に連れてくよぉ!!」

 

「苦…しい……息が……出来…ない…怖…い……」

 

「しっかり!!お願いだからちゃんと息をしてよぉ!!」

 

「お父…さん…お母…さん…どう…して…私を……助け…に……」

 

少女の目が閉じていく。

 

「…やだ…やだやだ!!目を開けてよ!またみんなでお庭の砂場でお城を作ろうよ…!」

 

あやめが掴んだ少女の手が、緩んでしまった。

 

「あやめ!!」

 

このはと葉月が入ってきて見た光景は、少女の亡骸を抱きしめながら号泣するあやめの姿。

 

「なんで…なんでさ!!魔法少女になってまで守ったつつじの家の子達が…どうして!?」

 

怒りと悲しみで錯乱状態となる葉月。

 

「……こんな真似が出来るのは、魔法少女だけよ」

 

「魔法少女の……仕業なの!?」

 

「あの市長の態度の急変……あんな真似が出来るのは、魔法以外考えられないわ」

 

「だとしたら……」

 

「ええ……おそらくは、噂になっていた東の魔法少女たちの仕業に違いない」

 

「このは……どうしてそんなに冷静に語れ……!?」

 

葉月が見たこのはの表情は、知っている顔ではなかった。

 

「この恨み……絶対に晴らしてみせる…」

 

その表情は…かつてないほどの憤怒を纏う顔。

 

――この騒乱を起こした全員に…つつじの家で死んだ人の苦しみと同じ苦しみを与えてやるわ!!

 

……………。

 

東の工匠区から参京区に向けて跳躍移動を繰り返す、針のような魔法武器を持つ魔法少女の姿。

 

「お弁当屋の千秋屋には理子ちゃんはいなかった…いったい何処に行ったのよ…」

 

彼女は東の大規模テロには加担せず、同じ東の魔法少女である千秋理子を捜索中のようだ。

 

「ひみかは弟達を郊外の親戚に避難させるから来れなかった…私1人で理子ちゃんを守らないと」

 

魔力探索を行っていたら、理子の魔力を探知。

 

「あっちね!」

 

跳躍移動を続けていた時…。

 

<<きゃぁぁぁーーーーッッ!!!!>>

 

理子の悲鳴が聞こえ、移動速度を速めていく。

 

現場に到着したのだが…。

 

「理子ちゃん大丈夫!?」

 

尻餅をついて座り込み、震えあがる理子の姿。

 

「あ……あぁ……」

 

「何をそんなに怯えてるのさ!」

 

「かのこさん……あ、あれを……」

 

震える手で指さす方角を矢宵かのこは振り向く。

 

「なっ……!?」

 

そこには、おびただしく血塗れた屋上光景。

 

佇むのは、返り血塗れの3姉妹の姿。

 

「……あたしさ、尚紀さんが語ってくれた事がある政治思想は…正しかったって痛感したよ」

 

「あちしも…尚紀お兄ちゃんやななかが言ってた、厳格なルールが必要だって…理解出来たし」

 

「社会主義と全体主義による法が必要だったのよ…この神浜の魔法少女社会には…」

 

「あたし…神浜の魔法少女社会の長をやってきた連中を…許せそうにないよ」

 

「私も同じ気持ちよ。彼女たちがお気持ち主義や真善美に流されず、厳格な法を施行していたら」

 

「こんな被害は……起きなかったよね……」

 

「この騒動が終わったら……ななかと一緒にやちよさん達の責任を追及してやる!!」

 

長達の楽観的な怠慢に対する怒りを燃やしていた時…。

 

<<あんた達!!なんてことをしたのよ!!!>>

 

声が聞こえた方に振り向けば、怒りの表情を向けるかのこと理子の姿。

 

「ひどいよ……なにも暴走した子達を殺さなくてもよかったのに!!」

 

「そうだよ!!話し合えば分かり合えたはずなのに……どうして殺しちゃったのさ!?」

 

正義の魔法少女が信じる真善美の世界しか見ようとしない者達。

 

姉妹達は軽蔑の眼差しを向けていく。

 

「…貴女たちがそうやって、人間社会を蔑ろにしたい考えを持つ連中を甘やかしてきたから」

 

「こんな事態になったんだって…どうして理解出来ないのさ!?この街の光景が見えないの!」

 

「ち、違うよ!!魔法少女たちは信じ合える絆を結ぶことだって出来るんだよ!」

 

「理子ちゃんの言う通りだよ!優しい心を向けて、話し合えばちゃんと理解し合え……」

 

<<うるさい!!!!!>>

 

「ヒッ!!?」

 

大声を上げたのはあやめ。

 

年齢も左程変わらないあやめに鬼の形相を向けられ、理子は恐怖で膝が崩れた。

 

「話し合えば分かるって?なら…()()()()()()()()()()()()()()!?」

 

「し…してきたよ…。西の人たちも決して悪い人たちばかりじゃないって説得を続けて…」

 

「それで結果が残せたの!?信じ合える優しい心で…絆を結ぶことが出来たの!!?」

 

「そ、それは……」

 

「アンタ達の理屈が正しかったら…街は燃やされなかった!つつじの家は燃やされなかった!!」

 

みけんにシワが寄り切ったあやめの怒り。

 

震えていた理子が不意にあやめの衣装に変化が起きているのを見つける。

 

「えっ……あれって……!?」

 

あやめの右足のニーソは本来、可愛らしい動物デザインのニーハイソックスであったが。

 

怒りに呼応するかのように衣装が変化し、動物の表情は怒り狂う野獣デザインに見えた。

 

「そんなの結果論だよ!落ち着いてもう一度話合えば、みんな分かり合えて街も平和に……」

 

「貴女……これ程の大惨事の光景を見て、問題を矮小化するつもりなの!?」

 

「東の魔法少女たちだって社会問題に苦しめられた被害者なんだよ!?」

 

「これ程の暴動を招きながら…今度は被害者アピール!?何処までも腐ってるわ!!!」

 

「そんなに怒ってるから正常に判断出来ないんだよ…東の魔法少女達が可哀相だよ……」

 

「今度は原因を相手にすり替える!正義の味方を気取る連中は…()()()()()()だって分かった!」

 

かのこや理子の家は、この暴動の被害を受けて燃やされてはいない。

 

悲惨な事件であろうとも、自分の身が無事ならば大したことがない乗り切れる問題だと考える。

 

これは『生存者バイアス』と呼ばれ、失敗が無視されるなどの楽観的な偏りへと落ちる心理状態。

 

「ち…ちがう……私が信じてきた十七夜さんや、やちよさん達は……自己中なんかじゃ…」

 

「信じ合える絆で結ばれる。聞こえはいいけど、それは()()()()()()()()()()()とは関係ない」

 

「法とは……善人も悪人も関係なく縛り上げるもの。それは社会の安全保障の為なの」

 

「安全が保障されない社会でさ、アンタ達は笑顔で生きていけたら幸せだろうけど……」

 

「楽しく過ごしていく影ではね……楽観的な価値観のせいで誰かが犠牲となる」

 

「ななかや…あちしの親友のかこだって…そのせいで犠牲になって魔法少女になったの」

 

「あ……うぅ……」

 

「そ……そんな事があったなんて……知らなかったです…」

 

言い訳を並べても、彼女たちには通用しない。

 

今の姉妹たちには、正義と愛の魔法少女物語に相応しい真善美の光景など見えてはいない。

 

欲しているのは……社会全体主義によって生み出す、厳格な法律。

 

「行きましょう。私たちのやり方で……東の魔法少女たちを止めるわよ」

 

「ななかと合流しよう、このは。アタシはななかと一緒に……腹をくくるから」

 

「あちしもかこと一緒に腹をくくる……。あちし達はもう……」

 

――アンタ達のような、お気持ち主義や真善美世界しか見ない魔法少女は信じない。

 




読んで頂き、有難うございます。

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