人修羅×まどマギ まどマギにメガテン足して世界再構築   作:チャーシュー麺愉悦部

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118話 戦後処理

革命暴動が収束した11月2日から3日が過ぎた11月5日に移る。

 

西と中央の長達は戦後処理に追われ眠る暇すら無い生活を送っていた。

 

大量に捕らえる事となってしまったのは余所者魔法少女よりも東の魔法少女が多い。

 

彼女達は街の外に逃げる当ても無い為、最後まで戦い拘束されたようだ。

 

彼女達の処遇についての対応に追われていたのであった。

 

新西区ミレナ座。

 

大量の魔法少女の拘束場所は限られており、映画館として使われたこの場所が選ばれた。

 

「……時雨ちゃん、私達…どうなっちゃうの?」

 

「……分からない」

 

ななかに傷をつけられた顔は回復魔法で癒されたはぐむが時雨に問う。

 

彼女達は現在、西と中央の長の要請を受けたみたまの力によって拘束されている。

 

彼女達が閉じ込められているのはまるでポーションを注ぐ巨大フラスコ瓶のようだった。

 

食事とトイレ以外は外には出されず、監視員としてももこ達が目を光らせる。

 

「……月咲ちゃん、気分はどう?」

 

監視員の中には天音月夜の姿もいるようだ。

 

心苦しい月咲の傍にいたかったのか自ら志願した月夜であるが、その表情は複雑そうであった。

 

「……月夜ちゃん、調べて欲しいって頼んだお父ちゃん達の事は分かった?」

 

「はい…。月咲ちゃんの実家の人達はどうやら暴徒としては動かなかったみたいです」

 

「いつもは偉そうにしてる癖に、肝心な時は保身に走る。でもその腰抜けっぷりが今は有難いね」

 

「月咲ちゃんのご家族の方々が暴徒となり、犯罪者として捕まらずに済んで良かったです…」

 

「…月夜ちゃんの実家は大丈夫?」

 

「はい…わたくしの実家はどうにか火事から逃れたようですが…他の水名区は…酷い有様です」

 

「……どれぐらい派手に燃やされたの?」

 

「地区の家屋が半分以上焼かれ…神浜の歴史的建造物であった水名城も燃やされ…瓦礫塗れです」

 

「そっか…東の人達は神浜の歴史を呪ってた…その呪われた歴史地区の水名には恨みがあったし」

 

「消火が遅れたのが原因です…水名区は暴徒の主戦場とも言える騒動でしたから…」

 

「……ごめんね、月夜ちゃん。ウチら……月夜ちゃん達に酷い迷惑かけちゃったね」

 

「……済んだことです。これからの事を考えましょう」

 

フラスコ瓶の中で体育座りをした月咲に目線を合わせ、献身的に面倒を見る月夜。

 

そんな彼女の姿を同じ監視員であるももこ達は苦しそうな表情で見守っていた。

 

「あの子達の扱いは……どうなるのよ?」

 

「やちよさんも前例が無い処分をするみたい…。法律に照らし合わせて裁判をするみたいだ…」

 

「さ、裁判って……?あの子達…死刑にされちゃうの…?」

 

「分からない…ニュースを見る限りだと、暴動で犠牲になった数は余りにも酷いし…」

 

「死者9743人、重軽傷者29629人…行方不明は確認出来ただけでも八千人超えてたわ…」

 

「ふゆぅ…私、怖くてニュース見れなかったけど……震災規模の被害が出てたんだね……」

 

「これは穏便に済ませられるケースじゃないよな……紛れもない魔法少女テロだった」

 

「やちよさんも辛い立場よ。あんな必死なやちよさん達を見たら…例の件を言えなかったわ」

 

「うん……十七夜さんは行方が分からなくなったとしか言えなかった…」

 

「今でも信じられないよ…この世界に悪魔がいただなんて…しかも吸血鬼だよ?」

 

「十七夜さんは自責の念に駆られてた。暴動は自分のせいだと責めて罰を受けるつもりだったわ」

 

「何であの人はそこまで背負いたがるんだよ…。十七夜さんだけのせいじゃないだろ…」

 

「それに…みたまさんもこの件に関しては、やちよさんに裁かれたいって言ってたよね?」

 

「調整屋も調整屋だ……あいつらが背負い込むべき問題じゃないだろ…訳が分からない…」

 

迫りくる処分の日を考えれば考えるほど不安が隠せない。

 

裁判を執り行うと決めた西と中央の長達はみかづき荘で対応に追われていたようだ。

 

「何とか分かる範囲でこの国の刑法と判例を頭に詰め込んできたよ」

 

「ごめんなさい…鶴乃さん。私は勉強が得意ではないから貴女にばかり負担をかけて…」

 

「アタシも理系だからな…文系の法律に関しては得意分野じゃないんだよ…」

 

「…鶴乃。ニュースを見たかしら…」

 

「うん……とんでもない死傷者数と行方不明者数になってたね…」

 

「行方不明者の遺体を合わせれば…一万人を超える規模の人々が死んだことになる…」

 

「……うん、そうなるね」

 

「あまりにも罪が重過ぎる。これ程のテロを行ったテロ組織がどうなったかは歴史が示したわ」

 

「21世紀の歴史を見れば分かる…この暴動は完全な組織的政治案件だ」

 

「国際法のテロリズム定義に合致してる…。だとするとテロ等準備罪になってくるよ…」

 

「それはどれ程の刑を与えないといけないの?」

 

「…死刑、又は無期…若しくは長期10年を超える懲役…若しくは禁錮の刑みたい」

 

「死刑……又は無期懲役刑……」

 

「テロを実行する前に自首していたら減刑には出来たけど…あの子達は実行した…」

 

「待て待て!!無期懲役だのと言われても!アタシ達は刑務所なんて用意出来ないぞ!」

 

「そうですね…私達はただの学生…そしてこれもまた皆に示しをつけるためのもの…」

 

「選択肢は……限られているということね」

 

「ど、どうするんだ…やちよさん?まさか…本当に極刑にしてしまうのか…?」

 

「…ひなのさんはどう考えているの?」

 

「アタシは……誰もが皆、間違いを犯さずに生きていけるなんて考えてない…だから…」

 

「…許すべきなのですか?それこそ水名区等で被害を受けた魔法少女達が激怒します」

 

「…すまない、みふゆさん。実家は水名の呉服屋だったな…」

 

「私の家は運よく助かりましたが…隣の家は燃えてしまい…うちの庭にまで火が迫ったんです」

 

彼女の体は震えている。

 

あと少しで自分の実家がテロリズムによって焼き尽くされるところだったのだ。

 

「…ひなのさんの言う通り、私達は刑務所なんて用意出来ない。だから全員を裁けないわ」

 

「だとしたら…」

 

「ええ…主犯格の魔法少女達に的を絞る。そして彼女達の重い処遇によって…抑止力とするわ」

 

「東の魔法少女達の主犯格…」

 

鶴乃の頭に浮かぶのは東西中央の会合の席に現れた時雨・はぐむ・月咲達のようだ。

 

「ねぇ…?あの子達を尋問したんでしょ?ルミエール・ソサエティの代表は彼女達なの?」

 

「いいえ…あの時現れた藍家ひめなと友人の栗栖アレクサンドラと呼ばれる少女だそうよ」

 

「私も尋問の席に同席しましたが…どうやらその2人は行方知れずのようです」

 

「行方知れず…?」

 

「東の魔法少女達は口々に言いました…自分達はあの2人に嵌められた被害者なのだと」

 

「ひめなの言葉は彼女達を魔法のように洗脳した。()()()()()()()()()()()()()と言ってたわ」

 

「勝手過ぎるよ!都合がいい理想に縋って街を破壊して…見捨てられたら被害者気取りなの!?」

 

「鶴乃さん……」

 

「鶴乃、気持ちは分かるけれど…全員を処罰なんて無理なの。彼女達にだって家族がいるのよ」

 

「死んだ人達にだって家族がいたよ!!なのに…どうして()()()()()()()()()()()()()…?」

 

その言葉を聞いたやちよ達は重い沈黙に包まれる。

 

目の下にクマがあるやちよの体がグラつき倒れそうになるがみふゆに支えてもらう。

 

「やっちゃん!?大丈夫ですか…?」

 

「…ごめんなさい。長としての責任が余りにも重過ぎて…あの日から一睡も出来ていないの…」

 

「少し休んだ方がいいですよ。裁判の段取りは私達の方で進めていきますから…」

 

「その必要は無いわ。…少し外の風に当たってきたら持ち直すと思うから…」

 

席を立ち上がり、やちよは玄関の扉を開けて外に出る。

 

新西区は北養区と同じく被害を受けなかったため街の景観はいつもと同じ。

 

だが新西区から水名大橋を超えて進めばテロリズムの傷跡は野晒しも同然だった。

 

「あの3人をどうするか…。それに…みたままで裁かれたいと私に直訴しに来た…」

 

やちよはその時、彼女が何をしてきたか、何を願って魔法少女になったのかを聞かされた。

 

「…あの子は望まず手伝ってしまっただけよ。それに…奇跡で街が燃えたなんて思えない」

 

これは人災であり、彼女の願いが奇跡を呼んだから街が燃えてしまったとは西の長は考えない。

 

「みたまも他の東の子たち同様、観察処分にするのが関の山ね……」

 

時雨達に与える重い刑罰が浮かばず溜息をつきながら家に入ろうと振り返る。

 

「あら……?こんな大変な時に郵便受けに封筒…?」

 

郵便受けに入っていた封筒を取り、家の中に戻っていく。

 

「やっちゃん、どうかしたんですか?」

 

「おかしな封筒が届いたの…。宛先も差出人も書かれていない封筒なのよ」

 

「だとしたら…やちよさんの家に直接持ち込んだヤツがいるということだぞ?」

 

「気味が悪いね…中身は何だろう?」

 

「手紙か何かだと思うわ」

 

封筒から手紙を取り出し、彼女は目を通す。

 

「こ……これは……!?」

 

「何が書かれてたんですか…?」

 

「魔法少女の加害行為を知る事も出来ない、哀れな人間社会の代理人を名乗る者からの嘆願書よ」

 

「代理人……嘆願書?」

 

「そ、その人ってのは…アタシ達魔法少女の存在を知っていて…」

 

「このテロリズムに魔法少女達が関わっているという情報を掴んでる人だよね…?」

 

「内容はどのように書かれているのですか?」

 

「……読み上げるわ」

 

手紙の内容は以下の通りだ。

 

魔法少女という存在を知る権利さえ剥奪された、人間社会の代理人として嘆願する。

 

これ程の魔法少女被害を被り、人間達は大切な家族や友人を大勢失った。

 

街は燃やされ、生きていく糧すら奪われた人々は、たとえ殺されなくても生きていけない。

 

今までこの神浜市を守ってきた正義の魔法少女達にお願いする。

 

被害者達の気持ちに寄り添い、捕えているだろうテロリスト共を全員極刑にしてくれ。

 

この国は魔法少女から人々の安全を守ってなどくれなかった。

 

だからこそ自治を行う正義の魔法少女達が皆の無念を晴らしてやって欲しい。

 

そうでなければ自分勝手に魔法が使える者達に蹂躙される人間社会が哀れでしかないからだ。

 

どうかお願いする。

 

壊された街に赴き、人々の泣き叫ぶ声に耳を傾けてあげてくれ。

 

やちよが読み終えた後、場が凍り付く。

 

長い沈黙に耐えきれなかった鶴乃が先に喋りだす。

 

「……この代理人を名乗る人も私と同じ気持ちなんだね」

 

「…どう思う?この人間社会の代理人を名乗る存在について、何か心当たりはないか?」

 

「分かりません…。魔法少女の存在を知っている人間なんて見当がつきません…」

 

俯いた顔をしていたやちよだが、気になる部分があったのかこんな話を持ち出してくる。

 

「……この手紙とほとんど同じ意見を私に言ってきた魔法少女達がいるの」

 

「ま、まさか……その魔法少女達が人間社会の代理人のフリをして手紙を持ってきたのか?」

 

「常盤ななか…そして静海このはをリーダーにする魔法少女チームが揃って嘆願しに来たわ」

 

「調整屋でやっちゃんと話しているのを私も見かけました。美雨さんの姿は見えませんでしたね」

 

「あの子達なら西の長である私の家も知っていて当然よ。人間のフリをしての再度嘆願ね」

 

「ど、どうするの…?あの子達って確か裁判官として参加をしたいって言ってたけど…」

 

「あの子達は遠ざけるしかなかった…。社会を優先するあまり全員を極刑にしたでしょうね…」

 

「やはり死刑を望む声も大きいと判断するしかないです。怒る気持ちは私にもある…それでも…」

 

「ええ……同じ気持ちよ、みふゆ。私はあの子達に生きて罪を償って欲しい」

 

「それで……本当にみんなが納得してくれるのかな?」

 

「分からない…それでも、私の中では答えは出ている」

 

「そっか…やちよとみふゆがそう決めたのなら…魔法少女仲間の私も自分の気持ちは抑えるよ」

 

「アタシも同じ気持ちだ。常盤ななか達は危険だが…どうにか穏便に出来るようにしよう」

 

「みんな…ありがとう。この嘆願書は……()()()()()()()()()()()()()

 

やちよは手紙を封筒に仕舞い、机の上に置く。

 

それはまるで魔法少女に蹂躙された人間社会の慟哭から目を背けるかのような所業だ。

 

彼女はななかの筆跡を知らないため誰が書いた手紙なのかを判断出来ない。

 

この嘆願書は東京で人間の守護者を貫いてきた男が書いたものであった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

家屋の半分以上が燃やされてしまった水名区に場所は移る。

 

瓦礫の撤去作業が続けられる中、水名区で魔法少女をしていた少女達もまた被害を受けた。

 

「…そうですか。阿見さんの家は無事だったんですね」

 

「…家は無事だったけど…それどころじゃないんですの」

 

「えっ…?」

 

沈痛な顔つきを浮かべたまま深刻な被害を受けた彼女は語っていく。

 

「モデルの仕事が突然…全てキャンセルとなってしまったの…」

 

「ど、どうして…?」

 

「私は水名を売りにしていたけれど…今回のテロによって、神浜問題が全国放送されたの」

 

「そういえば…連日のように特番やってますね。なぜ神浜市で左翼テロが起きたのかを…」

 

「神浜は全国からバッシングされ、水名モデルである私まで…企業の仕事から追放されたわ…」

 

「そ…そんな…」

 

「私だけでなく、水名のさゆさゆでご当地アイドルをしてる史乃さんも同じ立場だと聞いたわ」

 

「酷い…阿見さんや史乃さんがテロを行ったわけじゃないのに…」

 

「モデルはね、イメージが売りの商品…。だから炎上する案件を抱えた存在は…必要とされない」

 

彼女の拳が悔しさによって震えていく。

 

「それもこれも…全部東の連中のせいですわ!やっぱり東の連中は暴力主義者だったのよ!!」

 

「ち、違います!それを起こさせたのは私たち水名の人間です!」

 

「だからって!こんな仕返しをする権利なんて無い!!私からモデルの夢を奪うだなんて…!!」

 

涙が溢れ出し、梢麻友の胸に顔を埋めて抱き着く。

 

「いや…こんなの嫌ぁ!!魔法少女になってまで…一番になる夢を目指したのよ!?」

 

「阿見さん……」

 

「返して…返してぇ!!私の夢を…返しなさいよぉぉぉ…ッッ!!!」

 

彼女に縋りついて泣き続ける阿見莉愛は悲嘆に暮れた姿を晒してしまう。

 

悲嘆に暮れる魔法少女は彼女だけではなかったようであった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

新西区の奥地にある大病院として機能しているのは里見メディカルセンターだ。

 

ここには暴動によって大勢の犠牲者達が搬送され、内部は野戦病院のような騒ぎとなっている。

 

病床不足で搬送されたが受け入れきれず、優先順位を示すトリアージタグが渡されていく。

 

そんな中、通路で座り込み苦しみ悶える負傷者達を走り超えていく少女がいた。

 

「嘘よ…嘘よッッ!!お父さんが殉職しただなんて……絶対に嘘よぉ!!!」

 

蒼い顔をした少女が入り込んだのは霊安室。

 

そこで寝かせられていた死体を見て、息を乱していた彼女が凍り付く。

 

顔にかけられている顔隠しを少しだけ持ち上げた彼女は絶句するのだ。

 

「そ、そんな……お父さん…お父さんなの…!?」

 

決死の覚悟で消火活動を行った美凪ささらの父の顔は焼け爛れ、誰かを判別出来ないほどだ。

 

だが彼女は直ぐにこの遺体が父だと理解するだろう。

 

自分と同じ道を進みたいという娘を誇りに思い、頭を撫でてくれた遺体の手は同じだからだ。

 

「いやぁぁぁーーッッ!!お父さん死んじゃヤダァァァーーッッ!!!」

 

遺体に縋りつき、泣き喚き続けるささらに声を掛けられる者はそこにはいない。

 

父親が消防士という公務員であり公共サービスの為に働き命を落とす日が来るのは考えていた。

 

だが今直ぐそれを受け入れるだけの覚悟は子供の彼女には無かったようだ。

 

「どうして…どうしてお父さんが犠牲になるのよ!!それもこれも…全部…ぜんぶ……」

 

――平等主義に狂った…東の暴力連中のせいよぉぉぉーーッッ!!!

 

……………。

 

病院のホールには負傷者達の家族が詰めかけている。

 

皆の邪魔にならないよう窓際に立っているのは付き添いで来た明日香とこのみであった。

 

「ささらさん……血相変えて病院の奥に走って行きましたね」

 

「……もしかして、お父さんは…?」

 

それを口に出して言う勇気は2人にはなく、重い空気となっていく。

 

「私の花屋さんは…無事でした。明日香さんの道場は…?」

 

「道場もどうにか無事です。東の暴徒達が火をつけたのは金持ちの民家や施設だそうです」

 

「どうして…こんなことになっちゃったのかな?私達には何が足りなかったの…?」

 

「……昔、あきらさんと武道思想の一つである活人剣について語り合ったことがあります」

 

「活人剣…?」

 

「1人を殺し、大勢を救うならば…殺人術も人を活かす道となる。柳生宗矩が提唱した教えです」

 

「そ、そんなの野蛮だよ!人を救いたいなら…殺人ではなく話し合いで解決するべきよ!」

 

「…ですが、此度の暴動において話し合いで解決出来ましたか?」

 

「そ、それは……」

 

「話し合いで解決出来る問題だったら東西中央の会談や、それよりも前に解決出来たはずです」

 

「……相手を思いやり、優しさを与えて手を取り合うじゃダメなの?」

 

「…時と場合によるのかもしれません。東の暴徒達は西側の差別に苦しめられてきました」

 

「だ、だからって…こんな暴動を起こしていいはずがない!!」

 

「その通りです。被害者なら何をやっても許される…可哀相なら許されるでは秩序は守れません」

 

「明日香さん…?」

 

このみが横の明日香に視線を向けた時、背筋が凍りつく。

 

彼女の表情は恐ろしい秩序の守護者のような顔つきとなっているからだ。

 

「私は…甘かったです。東の魔法少女達が不穏な動向を見せていた時に…斬るべきでした」

 

「殺す必要なんてない!!いくら悪者でも、痛めつけて反省を促していけば分かってくれます!」

 

「信じることは大切です。ですが…それだけでは先の脅威には備えられませんよ?」

 

「人殺しなんて許せません!!魔法少女の恥晒しよ!!!」

 

「その言葉、もしかして…ななかさんが人を殺した時に、彼女を否定したのは貴女ですか?」

 

それを問われた時、このみは動揺の表情を浮かべてしまう。

 

それでも誤魔化しきれないと知ると開き直った態度を見せてくるのだ。

 

「そ、そうよ!人殺しの魔法少女なんて…正義の魔法少女として失格だと思うから!!」

 

「魔法少女は夢と希望を叶える存在…聞こえはいいですが、()()()()()()()()()()()()()()()()

 

明日香に促されたこのみは周囲に目を向けてみる。

 

看護師から負傷者が亡くなったと聞かされ、泣き出してしまう家族連れの哀れな姿が見える。

 

家族が治療されず、病院の事務員を罵倒している家族連れだって数日前までは平穏に暮らせてた。

 

人々は魔法少女に苦しめられ、荒んだ光景を生みだしていく姿こそ明日香が伝えたい内容だった。

 

「…私には夢と希望がある光景には見えません」

 

「私…間違ってるの?変身ヒロインは不殺を貫き、相手を思いやれる優しい人達だと信じてきた…」

 

「その価値観に縛られ、思い込みの世界で私も生きてきました。ささらさんもそれを信じてきた…」

 

「その結果が……この光景?」

 

自分が信じて疑わなかった価値観が崩壊していき、このみの両膝が崩れて放心状態となってしまう。

 

苦虫を噛み潰したような顔を浮かべる明日香は最後にこんな言葉を残すのだ。

 

「魔法少女を含めた人間は…善人も悪人も関係なく…度し難い程にまで…」

 

――自分に都合のいい世界しか見てこなかったんですね。

 

沈黙が場を支配していた時、ささらが俯いた表情をしながら帰ってくる。

 

「…ささらさん、お父様は?」

 

俯いたまま首を横に振る彼女の姿を見た明日香は察してくれるが、重苦しい顔のまま聞いてくる。

 

「…ささらさん。騎士道精神を重んじる貴女に…こんな話を持ち掛けるのは心苦しいですが…」

 

「……明日香。生真面目な貴女が騎士道に相応しくない提案を持ち掛ける内容なら…分かるよ」

 

俯いていた顔が起き上がっていく。

 

その表情は憤怒を纏う恐ろしさを感じさせる程の怒りに満ちている。

 

「気持ちは…同じよ」

 

「私は規律を重んじる人間です。行為の規準として定めた社会規則を守らない者は容赦しません」

 

「…私もそうしたい。だから…今日この日をもって……優しい騎士としての生き方を捨てるわ」

 

頷き合い、2人は病院を出ようとするが後ろから叫び声を浴びせてくる者がいる。

 

「だ、ダメよ2人共!!悪人なら殺していいだなんて……()()()()()()()()()()()()ッッ!!!」

 

未だに自分の理想世界から出てこようとしない者に向けて秩序の守護者達が振り向く。

 

その表情はあまりにも冷たい顔を浮かべたまま軽蔑の視線を送ってくるのであった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

迷走していく神浜の魔法少女達。

 

その中でもリーダーを失い、東の魔法少女という立場である少女達は困惑しているようだ。

 

「これから東の魔法少女は……どう生きていけばいいの?」

 

警察のパトカーが多く巡回する大東区の公園に集まっているのは西と中央に味方した少女達。

 

古町みくらの問いかけに対し、誰も答えを出せる者がいない様子である。

 

「東を追放された十七夜さんの足取りはどうなったのか…誰か知らない?」

 

後輩の三穂野せいらが質問するが、みくらは目を瞑り首を振ってくる。

 

「わ、私……西に行って、やちよさんに聞きに行きました」

 

重い口を開いたのは千秋理子のようだ。

 

小学生の彼女は危険を承知で西に行った事に対して先輩達が怒ってしまう。

 

「小学生の貴女が…今の西側に独りで行ったの!?ダメじゃない!何されるか分からないわ!」

 

「私も付き添ったから大丈夫だよ。東の子だとバレないように私服姿で出かけたから」

 

理子を守ってくれたのは矢宵かのこである。

 

彼女も十七夜の身を心から心配する者であるため同行したい気持ちもあったようだ。

 

「やちよさんの話だと……十七夜さんはあの暴動の時に行方不明になったそうです」

 

「なぜ西側はそれを知っているの?」

 

吉良てまりの質問に対し、かのこが答えてくれる。

 

「十七夜さんは追放された時、やちよさんに保護されてたの。暴動の時…家を飛び出したみたい」

 

「そうだったのね…。不味いわ…今の東は纏められる人が不在状態よ」

 

「それに…暴動に与した東の魔法少女達だって今後どう扱うべきなのか分からないよね…」

 

「この中で…誰かやれそう?東の新しいリーダーをやってみない?」

 

てまりの質問を聞いた全員が俯いてしまい、自信の無さを無言で示してしまったようだ。

 

そんな時、少し離れた場所では憂鬱な表情をした水樹塁と八雲みかげの口が開いていく。

 

「こんなストレス展開耐えられない…。ストレスフリーなネット小説世界に行きたい…」

 

「ねぇ?貴女は覇王の生まれ変わりだって聞いたけど、貴女が東のリーダーやらないの?」

 

「いいっ!!?ど、何処でそんな話を聞いたの…みかげちゃん?」

 

「せいらお姉ちゃんが教えてくれたの。エミリーのお悩み相談所に集まった時に聞いたよ」

 

「せいらちゃん…なんて血も涙もない非道な行為を!わ…私は今…猛烈に穴の中に埋まりたい!」

 

「フォートレス・ザ・ウィザードとしてさ、数千年前の大戦の時みたいに…」

 

「わーっ!!わーっ!!それはただの設定!ソウルジェムが曇るから言わないでぇ!!」

 

緊張感の無い2人を見たみくらが溜息をつき、眼鏡のブリッジを押し上げた後にこう告げる。

 

「誰も名乗り出ないのなら…私とてまりに考えがあるの」

 

「考えって…何ですか?」

 

「私達の提案はね……東の魔法少女社会を解体して中央のひなのさんの傘下に入ることよ」

 

その一言を聞いた東の魔法少女達が絶句し、かのこが怒気を含ませた叫びを上げてしまう。

 

「どういう理屈よ!?中央の傘下になれだなんて……東の子達の気持ちを知らないの!?」

 

「私とてまりは他所の街から神浜に通っているから地元民ではないの」

 

「だから私達は客観的な目線で今後の魔法少女社会の在り方について…提案がしたい」

 

「いきなり過ぎます!十七夜さんだって…ちゃんと帰って来ます!」

 

「理子ちゃん、物事を希望的観測だけで判断してはいけない。先の準備を用意しないと」

 

「だって…だって…十七夜さんが私達を見捨てたまま帰ってこないだなんて…思いたくない!」

 

泣き出してしまう理子の頭を撫でた後、冷徹な顔をかのこは向けてくる。

 

「…なぜ中央でないとダメなの?」

 

「これだけの惨事を引き起こしたのよ。西側が東側を憎んでいる可能性は大きいわ」

 

「中央だって被害を受けたんだよ。どうして中央なら大丈夫って言えるの?」

 

「中央はこの街の歴史の影響を受けていない分、僅かな可能性があると思ったんです」

 

「それでも…中央の魔法少女達にも犠牲が出た分、風当りは強いけれど…西側よりはマシよ」

 

「勝手過ぎるよ…そんな提案。私は十七夜さんを待ち続ける」

 

「そうです!私たち東の魔法少女リーダーは…十七夜さんがいいです!」

 

地元の魔法少女達の中でも十七夜の人柄を好きになってくれた少女は何人もいるようだ。

 

「…それだと長が空席のまま東の魔法少女社会は纏まらない状態が続いていくのよ」

 

「そうなれば…暴動に与した東の魔法少女が解放された時に…何をしでかすか分からない」

 

「貴女達はそれを止めれるの?彼女達の苦しみを導いてあげれるカリスマが出せる?」

 

「そ、それは……」

 

「無い物ねだりはやめておいた方がいいです。先に備えられなければ…()()()()()()()()()()

 

「それでも、地元民ではないてまりと私は強制出来ない。判断は…地元の魔法少女に任せるわ」

 

東の魔法少女達は今後の自分達の在り方を迷いながら苦しむ。

 

そんな魔法少女の姿は東側だけでなく蒼海幇のメンバーの中にもいた。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「美雨…話とは何じゃ?」

 

蒼海幇の長老と美雨の2人は今、南凪路の中国茶専門店の席に座っている。

 

店の窓ガラスから外を見れば騒動の後片付けを続けている者達の姿も見えた。

 

「長老…すまなかたヨ。蒼海幇の者でありながら…暴動の時に留守にしてしまたネ」

 

「魔法少女には魔法少女の立場もある。気にするでない、街はなんとかワシらで守りきれたぞ」

 

「それと…もう一つだけ相談したいことがあるネ」

 

「…そっちが本命のようじゃな?」

 

美雨の重い空気を察し、真剣に相談内容に耳を傾ける。

 

「社会秩序の為なら人殺しもじさない者達のやり方と、己の不殺の信念との間で揺れておるのか」

 

「今でも人殺しは絶対ダメだと言えるヨ。それでも…それが本当に正しいのか…自信なくなたネ」

 

「…何かを守るという事は何かを犠牲にする道。人間は常に、()()()()()()()()()()のじゃ」

 

「それは……私の選択によて、他の可能性で得られた恩恵を犠牲にするということカ?」

 

「その通り。人間は可能性の生き物とは言うが…選択によって得られる恩恵は限られておる」

 

「私は…人間を殺さずに平和を築きあげる道を考えたいけど…」

 

「お前さんの理性ではそう考えても……己の心は何と言っておる」

 

指摘されたため、胸に手を当てながら自分の鼓動を感じた上で本音を語ってくれる。

 

「…社会とは安全保障がなければ幸福は得られない。だから社会脅威は…殺してでも取り除けネ」

 

彼女の嘘偽りのない本音を聞かされた長老は腕を組みながら考え込む。

 

少しした後、細目が開いた長老が彼女の瞳を覗き込みながらこんな話を語りだすのだ。

 

「…美雨、少し中国の歴史の話に付き合ってくれんか?」

 

「中国の…歴史の話?」

 

「中国の後漢時代を生きた武将、関羽を知っておるな?」

 

「誰でも知てるネ。三国志の蜀の英雄であり、死後には武神や商売の神様にされた人ヨ」

 

「蜀漢の創始者である劉備に仕え、漢王室の復興を義弟の張飛と共に目指した人物じゃ」

 

「その関羽がどうかしたのカ?」

 

「…彼の生涯によって、どれ程の人間を殺してきたと思う?」

 

「そ……それは分からないけど、戦争だから仕方ない時代だと思うヨ」

 

「全ては漢王朝の為と言いながら…あらゆる人間を殺した。人を殺した兵士達を英雄と鼓舞して」

 

「……酷い時代ネ」

 

「じゃが、大儀だの戦争だのという言い訳がなくなれば…そこには何が残る?」

 

「…自分達の理想の為に人を大量に殺してきた大量虐殺者が大勢生まれただけヨ」

 

「その現実を封殺する為に政治家は兵士を英雄にしなければならん。そうでなければ……」

 

「兵士達も人間ヨ…大儀が無くなれば、ただの人殺しと罵られて差別されるだけネ」

 

「ベトナム戦争の米軍兵士とて国民から人殺しの悪魔と罵られた。これが現実なのじゃ」

 

「漢王朝復興を目指した関羽達もまた……ただの虐殺者に過ぎないと言いたいのカ?」

 

「腐敗した漢の末期、黄巾の乱によって動乱の時代となり人々は社会の安全保障を求めた」

 

「それが……天下泰平の為の戦争であり、大量虐殺だと言いたいのカ?」

 

「矛盾しておろう?平和を望みながらも人々を大量に殺す道…これが暴力の世界じゃよ」

 

「個人の欲望も、社会欲も、()()()()()()()()()()()()()()だと言いたいのカ…?」

 

「関羽と呼ばれた武将とて、一皮剝けば虐殺者。神などではない…ただの悪魔じゃ」

 

「それでも関羽にとては、人殺しを続けるだけの価値があたと思うのカ?」

 

「桃園の誓いを裏切ることなど出来ない。義に生きて人を殺し、義に裏切られて死んだのじゃ」

 

「……救いようのない人生ネ」

 

「人殺し。それは人として最悪の行為。それでも国は死刑という暴力を使うのは…大儀の為じゃ」

 

「大儀……それは大勢の利益の為カ?」

 

「悪人が死に、大勢の人々の安全が保障される。活人剣の思想こそが司法暴力の根拠なのじゃよ」

 

「そんな理屈……おかしいネ!だて…人殺しは人として最悪の行為だて……!」

 

「大儀とは()()()()()()()()()()()()()。正しい大儀と書いた正義の定義とは答えられるか?」

 

「そ……それは……」

 

「きっと漫画などの世界で描かれておるイメージが定義と考えておるのじゃろう?」

 

「…私だて、変身ヒロインの漫画とかは大好きネ。あの世界観が私達の行動理念ネ」

 

「それはお前さん達だけの正しさじゃろ?漫画の世界に興味が無い者にまで押し付けるか?」

 

「……出来ないネ」

 

「お前さん達の正しさの定義によって社会が不利益を被った時…お前さん達は()()()()()()()()

 

「……とれないネ」

 

「物事に正しさなど無い。定義としての正しさが存在しないのならば…国民の利益を考えるのみ」

 

「それが政治の世界であり、武将達が生きた時代から続く大儀の世界カ?」

 

「ワシの考えをお前さんに押し付ける気は無いが…お前さんとてワシに押し付ける権利は無い」

 

「長老……」

 

「誰かを否定して良いのは、誰かに否定される覚悟を持つ者のみ。これは人殺しも同じじゃ」

 

「人間て……どうしてこんなにも()()()()()ネ?」

 

「人はロボットではない。もし人間にそれを期待するのならキュウベぇになるしかないのぉ」

 

「あんな感情が無い合理主義者になれば…人々の争いは消えるというのカ?」

 

「争いは消えてなくなる。じゃが、それはもはや人間社会とは呼べない…機械のような世界じゃ」

 

冷えてしまった茶を飲み干した長老は立ち上がり、美雨に向けて結論を語ってくれる。

 

「人はそれぞれに正しさを持つ。相手を尊重したいのならば相手を否定するでない」

 

「それは……相手からも私が否定されるからだと言う意味カ?」

 

「己の生き方を信じ、道を選んで他の可能性を捨てる。それしか…人間には出来ないのじゃよ」

 

「私は自分の正しさを持ていい。人殺しの道を選ぶ者も…自分の正しさを持ていい…」

 

「己の生き方に責任を持つ。それが自由の世界…そして人殺しを選んだ者もまた責任を負う」

 

「ナオキやななか達は…その責任を取らされて死ぬのカ?関羽達のように?」

 

その一言を聞いた長老は一瞬体が震えたが、何事もなかったかのようにして店を出ていく。

 

武術館に戻る道を歩いていた時、立ち止まった長老が空を見上げる。

 

「過ちて改めざるをこれ過ちという。過ちを繰り返したワシが…次の世代にも過ちを行わせるか」

 

孔子の教えを呟いた長老が大きな溜息を出しながらも美雨のために覚悟を決めてくれる。

 

「誰かを否定するのならワシとて否定される。ならばその責任…ワシも背負うしかないのぉ」

 

覚悟を決めた長老が細目を開き、前を向く。

 

「長兄、益徳。ワシは人殺しを繰り返しながらも…今でも悪魔として現世に残されておる」

 

――ならば残されたこの命……償いの為に捧げよう。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

災害対策基本法改正により地方はボランティアによる防災活動環境整備を行えるようになった。

 

神浜行政によって災害ボランティアセンターが設立され全国からボランティアが参加してくれる。

 

家屋の片付けや炊き出し等の直接的な復旧支援だけでなく、被害者との交流機会も設けられた。

 

ボランティアを行う人々の中には尚紀の姿もいたようだ。

 

「あんた…大丈夫なのか?被災したって聞いたけど…その日から寝ずにボランティアだろ?」

 

家屋倒壊現場の片づけ作業を黙々とこなすのは紺色の作業服を着た尚紀である。

 

同じボランティアの学生の質問を無視する彼は懸命に瓦礫を取り除いていく。

 

「……おい、仏を見つけたぞ」

 

瓦礫の中から出てきたのは我が子を抱きしめながら焼け死んだ家族の遺体。

 

ボランティア達が集まり、仏の前で手を合わす。

 

祈る神がいない悪魔の尚紀だが彼らの冥福を願うかのようにして手を合わせたようだ。

 

被災者の要請に応じてボランティアの一部は水名区から参京区に移動していく。

 

「この参京区も至る所で派手にやられたようだな…」

 

班分けが行われ、彼が担当するのは被害を受けた児童養護施設の家屋の片づけ作業である。

 

現場に向かっていたが児童養護施設の前で泣いている少女達を見つけたようだ。

 

「あいつらは……このは達なのか?」

 

近づいてきた尚紀に気が付いたのか姉妹達が駆け寄ってくる。

 

「尚紀お兄ちゃん!!あちし達の…あちし達の家がぁぁぁ……!!」

 

泣きながら彼に抱き着いてきたあやめを抱き留め、2人の姉に視線を向ける。

 

「まさか……この瓦礫塗れの児童養護施設は?」

 

「グスッ……アタシ達が世話になっていた…つつじの家の成れの果てなんです!」

 

「私達は…つつじの家の存続を願って魔法少女になったのに…どうして……どうしてぇ!?」

 

2人の姉も尚紀の肩に顔を埋めながら泣いていく。

 

「あちし達…守れなかった!目の前で帰りたい家を燃やされたのに…守ってあげれなかった!!」

 

あやめの言葉を聞いた彼の脳裏に佐倉牧師の教会が燃えていく光景が再び蘇っていく。

 

あの時の彼もまた彼女達と同じく目の前で帰りたい家を燃やされたのだ。

 

「孤児となり…拾ってくれた家を出て独立し…そして帰りたい家を目の前で燃やされる…」

 

彼女達の慟哭は尚紀でなければ分からない。

 

彼もまた目の前で帰りたい家を燃やされ、何も出来なかった無能者だった。

 

彼の震えた声を聞いた姉妹達の胸が締め付けられていく。

 

「尚紀さん……あの演説の時に語っていた苦しみ……今なら分かるわ!!」

 

「グスッ…ヒック……アタシ達も……尚紀さんと苦しみは同じだよ…!!」

 

「なんでぇ!!どうして…どうして大切な家が燃やされ…あ……あぁぁぁ~~……ッッ!!」

 

泣き叫ぶ姉妹達の慟哭を彼は受け止めてくれる。

 

握り込んだ両拳が憤怒によって震えてしまう。

 

このは達の大切な家であるつつじの家を燃やしたのは己の甘さのせいだと自分を責め抜く。

 

「…俺がしてやれるのは、義援金を自治体の義援金配分委員会に送ってやることしか出来ない」

 

義援金は被災者への直接支援として扱われる見舞金である。

 

被災した関係者に直接支援を行い、つつじの家の再建に努めて欲しいとするのだが問題もあった。

 

「全てを被災者に見舞金として届けられる以上は公平となり、つつじの家だけが優先はされない」

 

「…何年先になるの?つつじの家が元通りになるのは……?」

 

「生き残ってくれた孤児達が再びこの児童養護施設に戻るかは……分からない」

 

「そ……そんな……」

 

「それでも……全国から集まった寄付金によって必ず蘇る日が訪れる」

 

「いつか……絶対に蘇る日が来る……」

 

「この家出身のお前達は蘇ったつつじの家を必ず見届けろ。そして…支えてやれ」

 

「尚紀……お兄ちゃん……」

 

彼の胸から離れ、涙を拭ったあやめは決意の表情を向けてくる。

 

彼女には新たな生きる目標が出来たようだ。

 

「あちし…目標が出来た!あちしは……蘇ったつつじの家の院長先生になる!!」

 

三女の決意の言葉を聞いた2人の姉も顔を起こして涙を拭いながら将来の目標を語りだす。

 

「アタシも……社会の理不尽に苦しめられ続ける孤児達を支えていける仕事に就きたい」

 

「私も……投資家としての知識を活かし、孤児達を支えられる支援金を用意していきたいわ」

 

「このは…葉月……お前達は嘉嶋会の宝だ。これからも嘉嶋会を支え続けてくれ」

 

理事長から激励の言葉を送られた2人の顔が赤面していく。

 

それでも嬉しかったのか、泣き腫らした顔のまま笑顔を向けてくれたようだ。

 

「尚紀さんなら……何処までもアタシはついていくよ」

 

「私たち姉妹に尚紀さんを与えてくれた風華さんに……心から感謝するわ」

 

このは達姉妹はつつじの家を守るためにキュウべぇと契約して魔法少女となった者達。

 

三姉妹が魔法少女になった時、こう願った。

 

つつじの家の取り潰しの要因の排除。

 

つつじの家の関係者から葉月、あやめ、このはの記録を消す。

 

つつじの家の将来にわたる存続。

 

誰もつつじの家の関係者が()()()()()とは願っていない。

 

寄付金によってつつじの家は蘇り、将来的には存続していくのだろう。

 

しかし失った尊い命を蘇らせることは誰にも出来なかった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

繰り返しボランティア活動をしていたが班長から呼び出されて休めと言われてしまう。

 

「俺は仕事の方もこの騒ぎで暫く出来なくなったから、時間は大丈夫だ」

 

「そうじゃない、君の体が保たないから言っているんだ」

 

「俺は大丈夫だから続けさせてくれ」

 

「行方不明者の安否が気がかりなのだろうが、それでも休むのも仕事のうちだよ」

 

頑なな班長の言葉に折れ、家に帰って風呂などを済ませてからもう一度来ると返したようだ。

 

瓦礫撤去も終わらない参京区の道を歩いていた時、見知った人物を見かける。

 

「あれは……令か?」

 

公園の椅子に座り、首にかけているカメラを見つめたままの観鳥令がいたようだ。

 

「あっ……嘉嶋さん」

 

近づいてきた彼に気が付いた彼女は疲れた笑顔を向けてくる。

 

「お前はこの東の騒動には参加せず、何をしていたんだ?」

 

「観鳥さんはね…この騒動の裏側で暗躍していた革命魔法少女達を撮影していたんだ」

 

「本当か?なら、あいつらの犯行現場を……?」

 

「うん、観鳥さんの固有魔法は確実撮影……連中の犯行現場を逃さず撮影出来たんだ」

 

「見せてくれないか?」

 

観鳥からカメラを受け取った彼が写真画像データを見せてもらう。

 

「これだけの現場を押さえれたか。これなら裁判で使える証拠品としても提出出来るぐらいだ」

 

「……それについて悩んでいたんだ」

 

「革命魔法少女を警察に突き出すことをか?」

 

「この写真には魔法少女の存在を証明出来るだけの動かぬ証拠力がある。だから…怖い」

 

「秘匿された魔法少女の存在が明るみになり、人間社会がパニックを起こすからか?」

 

「民衆達がそうなれば…魔法少女は迫害され、民意を受けた政府によって魔法少女達は……」

 

「…ユダヤ人のようにゲットーに隔離されるか、果ては戦争の道具かだな」

 

「人々は理解出来ない恐怖存在を社会から遠ざけたい生き物…。その為なら理由なんて…」

 

「為政者達なら幾らでも用意出来る。人類を大虐殺することさえ国家は歴史でしてきたんだ」

 

「だから…革命魔法少女達を人間社会の警察に突き出すことが……恐ろしい」

 

「そうか…だが、魔法少女の犯罪行為を証明出来る証拠品があるのは都合がいい」

 

「えっ……?何を考えているのさ、嘉嶋さん?」

 

「令……この写真データを俺に譲ってくれないか?」

 

「この写真を使って何をする気なんだい?」

 

「魔法少女社会の長を気取る連中に向けて突きつける」

 

「やちよさん達に…?どうしてそんな真似を……?」

 

「このテロによって、犠牲となった人々の気持ちに寄り添って欲しいと西の長に嘆願書を送った」

 

「そんな事をしたの…?返事は返ってきた?」

 

「返事はいらない。俺の言葉を重く受け止め、捕らえている魔法少女を極刑にすれば文句はない」

 

「だとしたら…不味いよ。観鳥さんも調整屋に赴いた時にさ…聞いたんだ」

 

「何をだ?」

 

「魔法少女達の裁判を執り行うって決めたようだよ。それでも…魔法少女達の意見は分かれてる」

 

「西と中央の長を気取ってきた連中は…革命魔法少女達についてどういう見解をしていた?」

 

「彼女達の犯罪行為は許されないけど…それでも、彼女達に同情を強くしていたと思う」

 

その言葉を聞いた時、彼の拳が強く握り締められていく。

 

「……だとしたら、俺が送った嘆願書の内容は西の長にとっては都合が悪いか」

 

「裁判の日取りは決まってる。事件が起きた日から数えて一週間後にしたようだから…」

 

「残すところあと二日か。裁判は何処で行われる?」

 

「調整屋を構えたミレナ座の第四シアターで行うんだ。秘匿裁判が出来る場所は限られてるし」

 

「お前も魔法少女裁判を傍聴したいのなら、裁判の結果を直ぐに俺に教えて欲しい」

 

「も、もしさ……温情を与えるような裁判の判決が出たら……?」

 

恐る恐る彼に質問した観鳥だが、彼の表情を見て背筋が凍り付く。

 

「……俺は、()()()()()()()()

 

その表情は誇り高くも残忍で冷酷な行動力を今まで示してきた魔法少女の虐殺者の顔だった。

 

写真データの報酬を支払おうとするが拒否されてしまう。

 

「写真データはタダで譲る。その写真を使って…何をする気なの?」

 

()()()()()()を執り行い、犯罪者共を許したなら…俺の嘆願書は踏み躙られたも同然だ」

 

「まさか、その写真を使って…もう一度嘆願を行いに行くの?」

 

「連中が言い逃れ出来ない証拠品として扱い、事実関係を証明して人間社会の怒りを叩きつける」

 

「…それが正しいのかも。裁判は長という行政が行うものじゃない…()()()()()()()()()()()

 

「令、お前はどう考えている?犯罪を犯した魔法少女でも…許されるべきか?」

 

その言葉を聞いた観鳥は立ち上がり、カメラを両手に持ちながら真剣な顔つきでこう告げる。

 

「観鳥さんはジャーナリスト。公人として、魔法少女も人間も関係なく犯罪者の味方はしない」

 

「…それが聞けてよかった。証拠写真……有難う」

 

踵を返した彼は家に帰っていく。

 

血のように赤い夕焼け空を令は見つめながら、これからの神浜市に起きる不安を語っていく。

 

「人間の尚紀さんは……魔法少女達が嘆願を無視してきたら…どうする気なの?」

 

あの時見せた彼の憤怒、そして殺気。

 

それは人間では表現できない程の恐ろしさだった。

 

「尚紀さんはただの探偵であり拳法家……それだけなの?」

 

令は彼のスマホに移したデータ以外の写真データを開いてみる。

 

その中には空を飛ぶ恐ろしい吸血鬼の姿が映っていた。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「くっ……うぅ……乾く…喉が……焼けつくようだ……」

 

夕日の光が入り込む廃墟ビルで座り込み、呻き声を上げてしまう。

 

部屋の隅の影に座り、日の光を怯えて過ごす事しか出来なくなったのは十七夜であった。

 

「自分の体は……本当に吸血鬼にされたのか?何かの悪い冗談だろう…?」

 

彼女は左手を少しだけ日の光に近づけていく。

 

「くっ!!」

 

指の先端が触れただけで酷い火傷を負ってしまう現実を突きつけられ、乾いた笑いをが出てしまう。

 

「……ハハハ…どうやら自分は……魔法少女ですらなくなってしまったようだな」

 

彼女の瞳の色は悪魔を表す真紅の瞳。

 

口を開けば獲物に噛みつき血を飲む為に肌を傷をつける事に特化した尖った歯。

 

そして体は今まで感じたこともない程の衝動に突き動かされている。

 

悪魔としての本能が彼女に向けて人間を襲えと叫び続ける獰猛な本能こそ、悪魔の証だった。

 

「……自分も……終わりだな」

 

座り込む彼女の前には今では何のためにあるのか分からないソウルジェムが置かれている。

 

その色はどす黒く濁り切り、後僅かで絶望によって砕け散り円環のコトワリに導かれるだろう。

 

「吸血鬼として…悪魔として生きるぐらいなら…誰かに介錯を任せる必要も無い…」

 

座っていた場所の近くに捨てられていた事務用品の鉛筆削りを拾い上げる。

 

彼女は濁り切ったソウルジェムに近寄り、鈍器として鉛筆削りを振り上げる。

 

「神浜の破壊を望み、大勢に絶望を撒き散らした自分だ……自分も絶望に塗れながら死のう」

 

自らのソウルジェムを自らが破壊する自殺行為。

 

だが彼女の振り上げた腕が震えていく。

 

「…なぜだ?なぜこんな時に…思い浮かんでいく…?」

 

死を前にした時、頭に浮かんできたのは人間や魔法少女達と過ごしてきた平和な日々。

 

家族思いの彼女を大切にしてくれた家族がいた。

 

バイト先では東の人間であることで差別されることもなく、平等に接してくれた人間がいた。

 

自分を慕ってくれた東の魔法少女や、離れていても彼女を認めてくれた西の魔法少女がいた。

 

「どうして…!?どうしてこんな死に際に……優しかった人達の思い出ばかりが浮かんでいく!」

 

全身が震えだし、手に力が入らなくなったせいで鈍器を手から落としてしまう。

 

彼女は地面に蹲り、枯れ果てようとも尚も絞り出されてしまう涙が溢れ出す。

 

「うっ…グスッ……帰りたい…みんなのところに…。楽しかったあの頃に…帰りたいよぉ……」

 

神浜の破壊を望んだ少女が慟哭の言葉を漏らしていく。

 

絞り出された言葉には東の長としての威厳もカリスマも無い。

 

自分の不条理な願いによって滅んできた魔法少女と同じく、何処にでもいるか弱い女の子だった。

 

「ハッ…!?誰か…近づいてきているのか…?」

 

吸血鬼となった彼女の聴覚は研ぎ澄まされ、近づいてくる者の足音に気が付く。

 

「この魔力の感覚は……魔法少女じゃない?それに…普通の人間とも違う…」

 

嗅覚も研ぎ澄まされたのか近づいてくる者の臭いで男だと分かったようだ。

 

「逃げなければ…でも、どこに……?」

 

悪魔化した肉体でもそれを動かしているのは目の前に転がっているソウルジェム。

 

十七夜の体は未だに魔法少女としての運用しか出来ない体であったのだ。

 

地面のソウルジェムを手に持ち、近づいてくる男の存在に警戒する。

 

室内に入ってきた長身の男とは見るからに怪しい存在だった。

 

「貴女ハ、和泉十七夜さン…ですネ?」

 

「お…お前は……誰なんだ……?」

 

見るからに怪しい黒人神父の姿が恐ろしいのか体が震えていく。

 

「私ハ、シド・デイビス。貴女に用事がありまス」

 

「外国人神父が……自分に何の用事だ?頼むから……消えてくれないか?」

 

「さテ、十七夜さン。私はクドラクの主だと言えバ、用事というのもお分かり頂けますカ?」

 

「クドラクだと!?それじゃあ……お前はあの悪魔の飼い主か!」

 

「私達ハ、デビルサマナーと呼ばれまス。しかシ、我らは悪魔を崇めるダークサマナーでス」

 

「デビルサマナー…?ダークサマナーだと……?」

 

「クドラクを仕方なく泳がせましたガ、戻ってきた彼が思わぬ拾い物が出来たと喜んでましタ」

 

「ま、まさか……お前は…自分まで……!?」

 

「喜びなさイ。貴女も私の使い魔としテ、飼ってあげましょウ」

 

「い…嫌だ……来るな……来るなぁ!!!」

 

怯えた彼女はシドから逃げるようにして走り出す。

 

「ぐっ!!」

 

窓から入り込む日の光で足を焼かれてしまうが、それを気にしている場合ではない。

 

「そんな体デ、どこに逃げようというのでス?」

 

オーバーに両手を広げながら、ゆったりした速度で彼女の後を追う。

 

「フフ、死にたくはないでしょウ?私なラ、貴女を救えますヨ?」

 

「断るッッ!!!」

 

廃墟ビルを走り回って逃げていた彼女の動きが悪くなっていく。

 

「こ……こんな時に…!?」

 

彼女のソウルジェムの魔力残量は既に限界一歩手前であり、体を動かす魔力の余力もない。

 

歩く程の速度になってしまった彼女の後を鬼ごっこを楽しむかのようなシドが追う。

 

「私を拒みますカ?私から逃げ延びテ、このビルから出られたら見逃してあげましょウ」

 

「だ…黙れ!!額に赤い星を刻み込む変態神父めッッ!!!」

 

「フッフッフッ…さァ、お逃げなさイ」

 

ガムシャラに逃げ続けたが行き止まりに来てしまう。

 

「くぅ!!!」

 

ついに体を動かす魔力まで無くなり彼女は地面に倒れ込む。

 

手に持っていたソウルジェムは手から零れ落ち、目の前を転がっていく。

 

「フッフッフッフッフッ。さァ、お遊びもここまでにしましょうカ」

 

俯けに倒れた彼女が首を向ければ、後ろからはシドの姿が目前にまで来ている。

 

「私から逃げられなかっタ、十七夜さんにハ…魔法少女として死んでもらいましょウ」

 

「魔法少女として……死ぬだと!?」

 

魔法少女の死とはソウルジェムが絶望によって砕け散り円環のコトワリに導かれる光景だ。

 

「流石二、出口のないビルからハ、逃げ出せませんでしたネ」

 

この廃墟ビルはシドによって異界化されてしまい出口は塞がれている。

 

最初から出口のない鬼ごっこを強制されていたのだ。

 

シドは彼女の手前まで歩き、転がっていたソウルジェムを拾い上げる。

 

「…魔法少女として殺すなら、早く殺せ。自分もさっき…それを望んでいた」

 

「…おヤ?貴女は何カ…勘違いをされているようですネ」

 

彼女の顔の前で膝を屈めていた時、手下と思われるダークサマナー達も近づいてくる。

 

「口を開けさせなさイ」

 

手下達はシドに命令された通り動き、彼女の口を無理やり開かせていく。

 

「は……はひほふふひはぁ!!!」

 

「魔法少女はソウルジェムが砕け散る事デ、円環のコトワリに導かれル。そうはいきませン」

 

シドは右手に持つソウルジェムを、あろうことか彼女の歯に挟ませる。

 

「魔法少女が魔法少女を超エ、完全なる悪魔となる方法があるのですヨ」

 

この光景はかつて何処かで見た光景と酷似している。

 

悪魔の肉体となった悪魔ほむらが己のソウルジェムを嚙み砕いた光景と似ているのだ。

 

「外側に取り出されタ、人の魂ハ…悪魔の肉体に取り込まれて完全なる悪魔と化ス」

 

手下の1人が十七夜の頭を掴み、力を込める。

 

「……やりなさイ」

 

「ハッ……はへほぉぉぉーーーーーッッ!!!!!!」

 

次の瞬間、彼女のソウルジェムは強引に頭部を押し込まれて噛み砕かされる。

 

「あっ………?」

 

ソウルジェムに収められていた自分の穢れた魂が悪魔の肉体に取り込まれていく。

 

「おめでとうございまス。これで貴女モ…我らが神の娘とも言える少女と同じ存在になれタ」

 

意識が薄れていく中、シドが語る言葉の意味は理解出来たようだ。

 

(これで…自分も……本物の悪魔という…わけ……か……)

 

彼女の脳裏に最後に浮かんだのは大切な友達である八雲みたまの姿である。

 

(すま……な……い………)

 

倒れ込み、意識を失った彼女を満足そうに見下ろしていたシドが立ち上がる。

 

「連れていきなさイ」

 

手下のダークサマナーが用意していたのは紫外線を防げる大型バック。

 

人間の小柄な少女なら収めて運ぶぐらいは出来るだろう。

 

十七夜はイルミナティのサマナー達に捕らえられ運び出されていく。

 

車に乗り込んだシドは額の赤い星を左手でなぞりながら愉悦の表情を浮かべていたようだ。

 

「後ハ、もう1人の我らの神ガ、覚醒する瞬間を見届けるだけでス」

 

車は発進し、中央区のセントラルタワーに向かう。

 

日にちも過ぎていき、革命魔法少女達を裁く裁判の日が近づいていく。

 

これはその間に起きた戦後処理の光景でしかなかったようであった。

 




読んで頂き、有難うございます。
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