人修羅×まどマギ まどマギにメガテン足して世界再構築   作:チャーシュー麺愉悦部

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122話 悪のレッテル

生き残っている革命魔法少女達は電話リレーによって危機を知った事でパニックと化す。

 

中央区・参京区・栄区と散り散りになりながら避難所を目指していく。

 

「悪魔って何なのよ!?突然そんな存在が現れるだなんて聞いてないわ!!」

 

「そいつは人間と同じぐらい弱い姿に変えられた時雨を…容赦なく殺す鬼畜だって話よ!!」

 

「じゃあ…その悪魔は私達に恨みを持って…暗殺を繰り返しているっていうの!?」

 

「あの西の長と並ぶぐらい強いと評判の梓みふゆや由比鶴乃でさえ勝てないって話だよね…?」

 

「殺される…殺される!!早く逃げないと!!」

 

何処から現れるか分からない悪魔から遠ざかろうとしていた時、何かを見つける。

 

「な…なに…これ?」

 

逃げていた魔法少女達は路地裏の壁を見た事で今まで見かけなかった印を見つけてしまう。

 

「赤い星…?こんなスプレーアート…今まで見かけなかったよね?」

 

「まるで共産主義国家の旗の星よね…な、なんだか…見られてるような怖い印象を感じるわ…」

 

「最近までこんな落書きなんてなかったし…これも悪魔の出現と関係しているわけ…?」

 

「壁の落書きを気にしてる場合じゃないでしょ!早く逃げるわよ!!」

 

赤い星は無視して逃げる魔法少女達であるが、その心は()()()()()()()()()()()()()()()

 

五芒星こそペンタグラム魔法少女が掲げたものであり、()()()()()()()()()()()()()()()

 

人間と同じ感情を持つ悪魔を封印する結界であり、自由の権化共を拘束出来る魔除けの印。

 

自由とは多様な価値観と選択の自由が認められるべきだと叫ぶ個人主義思想である。

 

そこに一筆書きの五芒星を描いて誰かを閉じ込め、狭き世界を構築されればどうなる?

 

多様な価値観という自由が認められず、一筆書きの如く()()()()()()()()()()()()()()()

 

線が交わる点という多数の視線に監視される結界であり、()()()()さえも表せるだろう。

 

五芒星に飲み込まれた悪魔は術者のイデオロギーに支配され、監視され、従属させられる。

 

個人の自由が完全に剥奪される社会こそ、社会全体主義国家が生み出す独裁社会と酷似する。

 

そんな封印世界を意味する印なら、人間どころか魔法少女や悪魔でさえも恐れるだろう。

 

「やっと新西区に入れた!!」

 

辿り着いた魔法少女達は西側の魔法少女達に誘導されながらミレナ座を目指す。

 

「急いで!中央の長達も戦ってくれていますが…何処まで持ちこたえられるか分かりません!」

 

「早く早く!!ここは私達が何とかするから…貴女達は生き残る事を優先して!!」

 

ミレナ座まで訪れた魔法少女達が大挙して入り口に群がるのだが、異様な置物が出迎えてくる。

 

「あ…あれ…?こんなの…調整屋の前に置いてたっけ?」

 

「な、何よ…この季節外れというか、季節を混ぜ合わせたような置物は…?」

 

入り口の横に佇んでいたのは雪だるまの胴体にハロウィンカボチャを頭にした置物であろう。

 

「今年のハロウィンって終わってるわよね?それでいて、なんで秋なのに雪だるま…?」

 

「気にしてる場合じゃないでしょ!妙ちくりんな置物なんかより、命を優先しなさいよ!!」

 

ミレナ座の中に入り込んでいく魔法少女達を見送るのは置物に擬態した悪魔達である。

 

<…どうやら、俺達の事はバレていないようだホ>

 

<魔力を感じさせない擬態はいいホ。でも、この姿になったらオイラ達…動けないホ>

 

<門番は動き回るもんじゃないホ。これで我慢するホ>

 

季節外れの闇鍋置物扱いされたフロスト達が見守る中、生き残りの者達の避難が完了する。

 

「これで…生き残れた魔法少女達は全員収容出来たかな?」

 

「後は…私達の働きにかかっていますね」

 

みふゆと鶴乃は集まった西側魔法少女達に視線を向ける。

 

十咎ももこ、水波レナ、秋野かえで、天音月夜、胡桃まなか、梢麻友、牧野郁美、春名このみ。

 

そしてミレナ座内で八雲みたまを守る御園かりんが集まってくれているようだ。

 

「11人…裁判の時に私達と袂を分かつ決断をした子達は…来てくれなかったね…」

 

「…仕方ありません。それでも、これだけの魔法少女達が私達と共に戦ってくれます」

 

「うん…贅沢なんて言えない!むしろ最強パーティだと思わないとだね!!」

 

決意を胸に秘めた月夜が前に出て叫んでくる。

 

「わたくし達の指揮を執って下さい…みふゆさん!やちよさんの代わりは貴女しかいません!」

 

「そうだよぉ!くみは長いこと魔法少女してたから、みふゆさんの事は誰よりも知ってるよ!」

 

「やちよさんと一緒に私達を支えてくれたみふゆさんはシロタエギクのように美しかったです」

 

「阿見先輩が来てくれなかったのは寂しいけど…でも、まなかは文句ありませんよ!」

 

「皆が貴女を慕ってます。皆の面倒見がいいのは、みふゆさんの方が西の長よりも上でした」

 

西の長の代わりとして皆がみふゆを認めてくれている。

 

誇らしい気分となり、勇気を貰えた彼女は西の長の言葉として言い放つ。

 

「私達は革命魔法少女達を守ります!これはやっちゃんの意思だと思って下さい!!」

 

みふゆ支持の声を上げる魔法少女達から少し離れた位置にいるのは十咎ももこ達である。

 

「…やっぱり、あの吸血鬼だけじゃなかったんだな…悪魔は他にもいたんだよ」

 

「ど、どうするのよ…ももこ?今更レナ達…悪魔を知ってただなんて…言えない空気よ」

 

「ふゆぅ…あんな恐ろしい悪魔と戦えだなんて…わ、私…自信ないよぉ」

 

「アタシだって自信はない…でも、悪魔の存在は許せない…!」

 

「そうよ…悪魔が十七夜さんにした事を思い出しなさいよ!悪魔は魔法少女の敵よ!!」

 

「だ、だけど…私…怖くて……」

 

「あ…あんただけじゃないわよ。レナだって…怖くて堪らないんだから…」

 

「それでも…革命魔法少女達は守る。十七夜さんみたいな犠牲は…もう沢山だから!」

 

彼女達も悪魔と戦う決意を固めていた時、近づいてくる魔力に気が付く。

 

「この魔力は…たしか調整屋の…」

 

<<おお~~いっ!!ミィも参加させて~~ッ!!>>

 

着地して現れたのは八雲みたまの妹である八雲みかげの姿であろう。

 

「君は…調整屋の妹のみかげちゃんじゃないか?何しに来たんだ?」

 

「お久しぶり、ももたん!姉ちゃが調整屋で紹介してくれた時以来かな?」

 

「エミリーのお悩み相談所に遊びに来た時にも、アタシ達は会ってるよ」

 

「そういえばそうだった…。あの時にレナたんとかえでたんとも知り合えたんだったね」

 

「ちょ、ちょっと…ももこ!小学生のみかげにまで戦わせる気なの!?」

 

「ミィは戦えるよ、レナたん!鍛えてくれた人がいたから…ミィは強くなったし!」

 

「ふみゃみゃ…いつの間にレベルアップしたの…みかげちゃん?置いて行かれた気分…」

 

「そういう問題じゃないだろ?みかげちゃんを危険な目に合わせて、調整屋が喜ぶか?」

 

「それに、みたまさんからは戦いに参加していいって…許可を出してもらってるわけ?」

 

「うっ…許可はもらえてないよ。ミィは大人しくしてろって言われてる…」

 

「だ、だったら危ないよ…みたまさんなら私達で守るからね」

 

「ダメ!ミィは姉ちゃを守るの!だって…ミィは姉ちゃを守る為に魔法少女になったもん!」

 

梃子でも動かない態度をした彼女に困っていた時、みふゆが近づいてくる。

 

「貴女は…みたまさんの妹さんでしたね?」

 

「みふゆさん!ミィも戦いに参加させて!姉ちゃがミィを遠ざけるなら…何かに襲われてる!」

 

「今回の戦う相手は…悪魔と呼ばれる未知の敵です」

 

「あ…悪魔!?」

 

みかげはミレナ座入り口横で佇む闇鍋置物に視線を向ける。

 

ランタンはカボチャ置物を動かしながら首を横に振ってくれる。

 

(フロスト君やランタン君がやったんじゃないんだね?それにタルト姉ちゃ達もきっと違う…)

 

「加勢は嬉しいですが…みたまさんの気持ちを思えば…私は許可出来ません」

 

「だ、だったら!ミレナ座の中にいる姉ちゃから許可をもらう!それならいいでしょ!?」

 

「それはそうですが…ですが、妹を愛しているみたまさんが許可を出してくれるとは…」

 

「だったら、アタシからも頼んでみるよ」

 

顔を横に向ければももこが近寄ってきており、みかげの頭に手を置いてくれる。

 

「調整屋を思う気持ちはアタシもこの子も同じ。悪魔はテロに参加した魔法少女を狙ってる」

 

「だとしたら…間接的に協力したみたまさんだって…命の保証はされないですね…」

 

「姉ちゃを守る!!絶対守る!!悪い悪魔なんかに姉ちゃは殺させないから!!」

 

「ごめんな、みふゆさん。それでもアタシは…メルと同じ犠牲なんて二度と見たくない」

 

「…分かりました。私達は水名大橋付近に陣を張りますから、直ぐに合流して下さいね」

 

2人の背中を見送るみふゆはかつての凄惨な記憶を思い出しながらこう呟くだろう。

 

「もう繰り返させません…そうですよね…かなえさん、メルさん」

 

意を決した皆が動き出し、水名区から新西区にアクセス出来る水名大橋に向けて出発する。

 

隠れて見つめていたのは魔力に気が付かれないよう擬態姿をしたタルトとリズであろう。

 

「…リズ、この戦局をどう見ます?」

 

「結界内ではなく、人間の生活圏での戦い。だとしたら人修羅は魔法を殆ど使えないわ」

 

「私とリズが仕掛けた戦いと同じ状況となりますね」

 

「だけどあの男の接近戦に使われる技量は桁外れよ…私と貴女2人がかりで倒せないのだから」

 

「おそらくは…この街の魔法少女達は人修羅に倒されます。条件は彼と同じなのだから」

 

「悪魔がこの調整屋に来た時、貴女はどうしたいの?」

 

「…マスターの命令を受けていない以上、戦闘をする訳にはいきません」

 

「話し合いという形での接触ね…だけど、彼が貴女を襲うなら…私は貴女を守ってみせる」

 

「尚紀…ジャンヌ・ダルクになってはいけません。義の為でも、人殺しを続けてしまっては…」

 

――いつか必ず、貴方を許さない者達によって…()()()()()()()()()()()()()()()から。

 

中央区から水名区にかけては既に中央の魔法少女達が悪魔との激戦を繰り広げている。

 

中央の魔法少女達は悪魔の猛攻に押し切られ、時間の猶予は殆どないのであった。

 

 

革命魔法少女達を逃がす時間稼ぎを行うため、中央の魔法少女達は悪魔と戦い続けている。

 

「ハァァーーーッッ!!」

 

跳躍からの飛び込み突きを放つまさらに対し、悪魔も跳躍する。

 

飛び後ろ回し蹴りで短剣を蹴り飛ばし、続く回転回し蹴りがまさらの右側頭部を襲う。

 

「くぅ!!」

 

蹴り技のフェイロンで蹴り飛ばされたまさらが焼けた廃墟に叩きつけられ、内側で倒れ込む。

 

「まさら!!」

 

まさらの親友のこころが叫ぶが悪魔は彼女に迫ってくる。

 

「よくもまさらを…許さない!!」

 

こころの魔法武器は機械仕掛けの巨大トンファーである。

 

彼女の魔力に呼応するかのようにしてトンファーが電流を纏っていく。

 

「雷魔法の使い手か…」

 

他の魔法少女にも横目で視線を向けながら警戒心を持つ。

 

(見た目がサキュバスのような魔法少女…嫌な記憶が蘇る。あいつも洗脳魔法が使えるのか?)

 

木崎衣美里の固有魔法を警戒する悪魔は洗脳魔法に対処出来るイヨマンテを外さない。

 

「守りたい気持ち…みくびらないで!!」

 

トンファーの一撃を地面に打ち込む。

 

地面から放射状に流れてきた電気ショックに対して悪魔は側転の勢いのまま跳躍する。

 

「逃がさない!!」

 

こころも大きく跳躍し、全身に雷を纏いながら空中の悪魔に目掛けて突撃してくる。

 

マギア魔法である『ディスクリート・バレット』に対し、悪魔は体を横倒しに回転させる。

 

「この一発!!最後の一撃に…!!」

 

鈍化した世界。

 

振りかぶるトンファーの一撃よりも先に決まったのは真上から落ちてきた蹴り足。

 

捩じる回転を加えた浴びせ蹴りによってトンファーが蹴り落とされる。

 

「えっ!?」

 

空中から落下する瞬間、悪魔は半回転を加えた左後ろ回し蹴りを放ってくる。

 

「ああっ!!」

 

蹴り技のスワイプナイフが側頭部に決まった事で蹴り落とされて叩きつけられてしまう。

 

悪魔も着地するが、ダメージを負ったのか片膝をつく。

 

「くっ…マサカドゥスとなったマロガレの耐性防御が使えないのは…泣けてくるな」

 

体には触れずとも、こころが纏った雷撃によって焼かれる傷を負っていたようだ。

 

動きが止まった悪魔に対し、横にいた魔法少女達が狙い撃つ。

 

「ちっ!!」

 

側転移動を繰り返し、あいみの銃撃と衣美里が放つハート型の矢を避けていく。

 

「なんて奴…!!こころとまさらを蹴り飛ばすような男は嫌い!でも、顔はいいけど」

 

「そこ…今気にするところかな…?でもまぁ、あーしも分かるけど!」

 

「お前ら…敵を相手にしながらイケメン品定めか!?まぁ…確かに顔はいいがな」

 

攻撃支援を行うのは接近戦が苦手な魔法少女達であり、攻撃よりもトークに夢中になっていく。

 

「それにしてもみゃーこ先輩。あーしね、あのイケメンさん…どっかで見た事あるよ」

 

「お前は女社会も男社会も渡り歩いてるぐらいだし、その中で見かけたんだろ?」

 

「ちがうちがう!知り合いって感じじゃない…街の何処かで…あっ!あの時の!!」

 

「お前…悪魔と出会った事があったのか!?」

 

「みゃーこ先輩も会った事あるでしょ!ほら、中央区でイケメンハプニングあったし!」

 

「あ……ああっ!?アタシのリア充計画を踏み躙り…アタシをフッたイケメン男か!!」

 

「いや、フラれてすらなかったよね?」

 

「確かに顔はイケメンだけど…あんな怖い男の人は嫌い!それに比べて伊勢崎君は優しくて…」

 

戦闘の最中なのに女子トークを繰り返す緊張感0な連中に対し、悪魔は後頭部を掻いてしまう。

 

「っ!?」

 

背中に悪寒を感じた悪魔は前方に目掛けて側方宙返りを行う。

 

宙返り体勢から背後に振り向く形で着地した悪魔は前方空間を睨む。

 

そこには短剣を地面に突き立てるような人影が薄っすらと浮かんでいるようだ。

 

「…あの奇襲攻撃を避けれるだなんて、どうして分かったの?」

 

まさらの体は青白い炎のような光を纏っており、周囲に溶け込むかのような透明に見える。

 

固有魔法である幻惑を駆使したステルス魔法だったが、悪魔は彼女の気配を感じていたようだ。

 

「武術用語の心眼を説明するつもりはない。バックアタックなら…嫌というほど経験してきた」

 

「なら…経験に基づく対処法を知っていると判断するべきなのかしら?」

 

「試してみるか?」

 

「何処までも…侮れない男ね」

 

こころを見ると地面に叩きつけられているが、俯けの状態で手を伸ばしていく。

 

「まさら…私のコネクトを…受け取って!!」

 

まさらもこころに片手を伸ばすと生み出されたのは光り輝く魔力。

 

彼女達の絆が手を伝って集まりながら強化現象が起きていくのだ。

 

「貴女のコネクト…受け取ったわ」

 

コネクトを受け取ったまさらは再び武器を構える中、悪魔は驚いている。

 

「…強化魔法の類か。二年以上魔法少女と殺し合ってきたが…初めて見るな」

 

「この魔法は…絆を深め合った魔法少女同士でしか使えない」

 

「だとしたら、東京のクソッタレ共が使えない理由にも納得がいく」

 

「こころを傷つけた報い…その身に刻むわ」

 

「親友を傷つけられたんだ…もっと怒っていいんだぞ?」

 

「きっと他の子なら激情を出すのだろうけど…私には、これぐらいでしか表現出来ない」

 

「フン…造魔のように可愛げの無い魔法少女だ」

 

互いが構えながら詰め寄っていき、先に仕掛けたのはまさらである。

 

「ハァ!!」

 

右手の短剣突きに対し、左腕で彼女の右手首を反らすと同時に掴む。

 

「くっ!?」

 

そのまま体を押し出し、彼女の体勢を崩しながら腹部に膝蹴り、右肘打ちを顔面に決める。

 

「っ!!」

 

鼻骨が砕けて流血を撒き散らすが、感情が殆ど無い彼女は怯まない。

 

コネクト魔法のダメージカットによって、頭蓋骨が陥没する程の被害は受けていない。

 

掴んだ腕に小手返しを狙うが、まさらは左手を地面につけながらの側転で手首を守る。

 

解放された右腕の短剣を逆手に持ち、悪魔のストレートパンチが迫る中、彼女の体が揺れる。

 

「なっ!?」

 

悪魔の右ストレートを左手で掴み、逆手に持つ柄で反動を抑制する殴りつけを行う。

 

顎を打ち上げ、仰け反った顔面に右ストレート、さらに右肘落とし。

 

コネクト魔法のカウンターが決まった事で悪魔は倒れ込む。

 

体勢が崩れた腕を掴んだまま心臓突きを狙うが、彼女の刃よりも先に足蹴りが腹に決まる。

 

「くぅ!!」

 

掴んだ手首が緩み、彼女の体が蹴り飛ばされた隙に悪魔は立ち上がってくる。

 

「こころと私の絆の力…味わった気分はどう?」

 

「…これが魔法少女のコネクトってヤツか…侮れねーな」

 

悪魔は鼻血を袖で拭いた後、上下に体を揺らすフットワークを行う。

 

「半端な攻撃では倒せない…次で終わらせるわ」

 

「……来な」

 

互いが構えた後、まさらはマギア魔法を仕掛けようとする。

 

左目から蒼い炎が咲き、相手を幻惑し、彼女の姿を見失わせる魔法だが悪魔は対策済みだろう。

 

(あの悪魔に幻惑魔法は効かないわね…でも、気配だけなら…!)

 

背後からの奇襲を諦めたまさらは短剣に魔力を収束させていく。

 

蒼い炎を纏いながら周囲に溶け込む程の気殺を行う。

 

いつ動いたのかも分からない程の跳躍移動をしながら悪魔の心臓を貫こうと狙うのだ。

 

鈍化した世界。

 

一気に距離を詰めたまさらが放つのは『インビジブル・アサシン』と呼ばれるマギア魔法。

 

迎え撃つ悪魔は体の左側を相手に向けながら構えている。

 

彼の両手が動き、交差された瞬間だった。

 

「あっ……?」

 

刹那、彼女の短剣は払い落されている。

 

あの一瞬、交差させて開いた両手が短剣を持つ手首を挟むようにしてぶつかっている。

 

右手で手首を握り、左手を回し込み、腕を引っかけ、左上腕で捩じった手首から武器を払う。

 

それが刹那で起きた武の現象なのだ。

 

「チッ!!」

 

魔法少女は魔力で武器などいくらでも生み出せる。

 

右手に生み出した魔法武器の斬撃が迫るが、両腕で捌き、突いてくる短剣の腕を両手で掴む。

 

「ぐっ!!?」

 

彼女の腕が圧し折られた後、続く左肘打ちが顔面を強打した事で今度こそ顔面が砕かれる。

 

視界が流血で遮られた時には既に悪魔の後ろ回し蹴りが顎に決まり終えている。

 

「ここ…ろ……」

 

脳が激しく揺さぶられた彼女は意識が昏倒して倒れ込み、その体は痙攣を続けてしまう。

 

「まさらーッッ!!!」

 

2人の乱戦を狙い撃つ事が出来なかった3人の仲間達が悲鳴を上げながら罵倒してくる。

 

「女の子の顔を何だと思ってるの!?このサディスト悪魔!!」

 

「男は美少女なら手を抜いてくれるとでも思ったか?俺にフェミニズムを期待するな」

 

「こんな酷い男…見た事ない!下心はあったとしても…男の人は女性に優しいもんでしょ!」

 

「なら、お前達は何故殺し合いの世界に入ってきたんだ?」

 

「うっ…それを言われると、あーし…言い返せないかも…」

 

「自分達の選択を棚上げし、都合のいい時だけ被害者面か。何処までも腐りやがって…」

 

魔法少女達からサディストと罵倒されようが、人間の守護者は力強い眼差しを向けてくる。

 

「俺は貴様らを許さない。人々の苦しみを棚上げし、仲良く過ごす事しか頭に無い連中をな」

 

「そこまでお前を突き動かす…動機は何なんだ…?」

 

「それは…」

 

──貴方のその力を、()()()()()()()()()()()()()()()()()を守るために、使って下さい。

 

「…交わした約束のためだ」

 

彼は今でも風華を忘れていない。

 

悪魔の全身から誓いの如き魔力の雄叫びが噴き上がっていく。

 

「あ……あぁ……」

 

圧倒的魔力を前にした魔法少女達が震え上がっていく。

 

「…俺を悪魔だと罵れ。美少女を傷つける鬼畜だと罵倒しろ」

 

――そんな言葉で、俺は迷わない。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「……派手にやったみたいね」

 

「そう見えるけど…東京の魔法少女の扱いに比べたらマシだと思うニャ…」

 

ズタボロにされて倒れているのは中央区の魔法少女達。

 

悪魔は容赦なく彼女達を痛めつけた後、獲物を殺すためにその場から消えている。

 

「言われてみればそうかもね…命までは奪っていないし」

 

「これには尚紀なりのメッセージがあると思うニャ。だとしたら…ここで終わるべきじゃない」

 

「そうね…魔法少女達とはあまり関わりたくないけれど、今回は特別よ」

 

倒れ込んだ彼女達に悪魔の回復魔法をかけていくのはケットシーとネコマタであろう。

 

「綺麗な顔だったんでしょうに…酷いわね…」

 

まさらの上半身を抱き起したネコマタは回復魔法の『ディアラマ』をかけ続ける。

 

「彼は謝らないけど、私が彼に代わって謝るわ…ごめんなさい。女悪魔として辛さは分かるわ」

 

陥没した顔が回復していき、元の美しさを取り戻していく。

 

「東と中央の魔法少女達を超えたのなら、残されたのは…」

 

「…西側だニャ」

 

2匹の悪魔達は西を見つめながら不安そうな表情を浮かべてしまう。

 

その頃、憤怒を纏う悪魔は水名大橋の前にまで訪れている。

 

「向こう側に集まっているな…ここが最終防衛ラインというわけか」

 

誰もいない深夜の橋を悪魔は超えようとした時、誰かの大声が聞こえてくる。

 

「嘉嶋さん!!」

 

声が聞こえた方向に視線を向ければ静香達がやってくる。

 

「お前達か…何をしに来た?」

 

悪魔の顔には返り血が浴びせられており、魔法少女達は恐怖する。

 

「……尚紀先輩なの?」

 

「こ…この姿が…悪魔となった…嘉嶋さん…?」

 

「まるで…仏教においては死の神と言われる…閻魔だよ…」

 

「自然のような優しさで包んでくれる人だと思ってたのに…やっぱり自然の怖さを持っていた」

 

彼の悪魔姿に動揺を隠せない時女の魔法少女達であるが、代表者は前に出てくる。

 

「私達に残された滞在期間は僅かですが、最後に嘉嶋さんの戦いを見届けようと思います」

 

「田舎に帰るのか?」

 

「はい…私達の任務は後任に引き継がれる事になりました」

 

「そうか…俺の心に取り入る為の長期滞在だったとしても、ダラダラとやり過ぎたか?」

 

「神子柴様は詳細を語りませんでしたが…私達に落ち度があったと判断するしかないです」

 

「まあいい、誰が来ても結果は同じだ。それより…悪魔としての俺の戦いを何故見届けたい?」

 

手を握り締めた後、静香は懺悔にも似た自分の気持ちを語ってくれる。

 

「私…人間の善性を信じたい女です」

 

「……そうか」

 

「日の本を優先する使命を帯びているのに、テロに参加した魔法少女達を見過ごしました…」

 

「…お前が危ういタイプだというのなら、今まで接してきた中で気が付いていたよ」

 

「私は自分の固定観念を優先し、時女の矜持を忘れていた…それに気が付けたんです」

 

「家でバーベキューをやった時に語ってくれた時女一族…それは国家民族を優先する一族だ」

 

「私達の時女一族とは戦前の大日本帝国と変わらないナチズム・ファシズム社会です…」

 

「日の本の為に戦うという一つのイデオロギーしか認められない…国家社会主義体制か」

 

「時女の長を目指す時女本家の嫡女として…失格でした。私は国民よりも…自分を優先した」

 

「その過ちに気が付き、俺の戦いを見届けた果てに…何を見出す?」

 

「私は嘉嶋さんの戦いを見届けてから…覚悟を決めます」

 

――人間の善性という不確かなものよりも大事な存在達を…優先すると。

 

彼女は悪魔の尚紀を恐れず、真っ直ぐ視線を向けてくる。

 

静香の決意の言葉を聞かされた彼の口元は自然と笑みが浮かぶ。

 

「…なら見届けろ。個人の感情よりも大切なのは…」

 

「…全体の社会秩序を優先すること」

 

「それが聞けてよかった。どうやらお前は迷いを断ち切れたようだな?」

 

「フフッ♪少しだけ迷いは残ってます。だからその残された迷いを…貴方の生き様で断ちます」

 

2人が笑顔を見せてくれた事で周囲の緊張も解けていく。

 

「な…尚紀先輩…本当に、神浜を守ってきた正義の魔法少女達と戦うの…?」

 

「守ってきたように見えていたのか?」

 

「そ、それは……」

 

「私は涼子さんから裁判結果を聞かされた時に感じました…馬脚を露したのだと…」

 

「あれは自分達の理想だけ優先する裁判。そこには日の本の民の苦しみなど反映されてない…」

 

「また騙されかけた…優しい人達なら他人に害を与えないのだと…思い込むところでした…」

 

「人は一面だけで判断するべきじゃないんだね…()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「流石は俺の後輩だ。いいところに気が付いたな」

 

――この世で最も邪悪な存在とは、自分が悪だと気が付いていない者。

 

――()()()()()()()()()()()()()共だ。

 

「宗教世界の悲劇…異端狩りの頃から人って奴ぁ…何も変わってくれないんだね…」

 

「楽しい事だけを優先したいからさ。誰かを悪人と決めつけて叩くのは気分がいいもんさ」

 

「人間社会を優先したいだけの嘉嶋さんの叫びは彼女達にとって都合が悪いから…認めない」

 

「正義の味方って…こんな在り方だったの…?等々力さん…教えてよ…」

 

「そこまで人は正義を玩具にしたいのか…お釈迦様が()()()()()を優先したのも頷けるね…」

 

「時女の矜持とは共産主義と同じく全体主義だ。個を捨てて公に尽くす社会こそ…俺の理想だ」

 

「時女の社会には個人の感情はいらない…個を優先するからこんな事態になるのよ」

 

「俺はこの神浜魔法少女社会に疑問を持ってきた魔法少女なら…変えてくれると確信が持てた」

 

「その魔法少女と一度話をしてみたい。きっと私とその人の思想は同じだと思うの」

 

「常盤ななかって魔法少女を探してみろ。案外…近くにいるかもよ」

 

それだけを言い残した後、彼は戦場に向かって歩んでいく。

 

水名大橋を見渡せる遊歩道まで移動した彼女達は複数の魔力を感じた事で後ろを振り向く。

 

「えっ…?あの方々は…?」

 

静香達の元に来たのは尚紀の戦いを見届ける為にやってきた常盤ななか達であろう。

 

「たしかテロの時に私達の側に加勢してくれた他所の魔法少女達だと思いますよ…ななかさん」

 

「ええっ!?貴女が…嘉嶋さんがさっき言ってた…常盤ななかさん!?」

 

「わ…私の事をご存じなのですか!?それに、貴女方は尚紀さんとお知り合い!?」

 

「いきなり目当ての人物達が現れるだなんて…」

 

「フフッ♪尚紀先輩はきっと、この子達の魔力に気が付いてたんだよ」

 

積もる話は後回しにした彼女達は橋の全体を見渡せる遊歩道で広がっていく。

 

改革を望む他の魔法少女達も遅れてやってきた事で全員が橋の戦いを見守るようだ。

 

誰も通らない深夜の水名大橋の灯りに照らされる悪魔は橋の中央を進んでいく。

 

「……来たか」

 

横に並んで道を塞ぐのは西の魔法少女達であろう。

 

「ひなのさん達も…ダメだったのですね…」

 

西側を率いるのは西の長の意思を守り抜く梓みふゆである。

 

「東の子達まで…倒されたんだよね…」

 

彼女を支えるのは西の長と互角の戦いが出来ると言われる程の魔法少女である由比鶴乃。

 

「……そこをどけ」

 

「…いいえ、ここから先には通しません」

 

「…ならば、押し通るまでだ」

 

人々を守る為に互いが命をかけて戦ってきた者同士が並び立つ。

 

両雄、ついに相対する時が来たのであった。

 

 

両者達が殺気立ち、息をするのも苦しい空間。

 

恐ろしい程の殺気を放つ未知の敵を見つめる魔法少女達は動揺している。

 

「これが…悪魔の姿…?」

 

「男の人…だよね…?」

 

「くみよりも年下に見える…月夜ちゃんやみたまさんぐらいの子にしか見えないよ…」

 

「あ、あれ…?まなか、あの男の人をご近所で見た事があるような…?」

 

春名このみ、梢麻友、牧野郁美、胡桃まなか達が口々に動揺を漏らす。

 

その中には強い憎しみの感情をたぎらせる天音月夜もいるようだ。

 

「…月咲ちゃんを殺しに行くのですね?」

 

「お前はあいつの何なんだ?」

 

「…生き別れた双子の姉で御座います」

 

「そうか。ならアイツの墓でも建ててやるといい」

 

妹を殺すと宣言する悪魔に対し、姉妹の絆の象徴である横笛が強く握り締められていく。

 

「やらせません…月咲ちゃんには生きて欲しい!わたくし達と共に…やり直して欲しい!!」

 

「身勝手な事をほざきやがる。生きて幸福になりたかったのは、お前達だけじゃない」

 

「身勝手なのは貴方の方です!人間に代わって魔法少女を裁く…そんな権利があるのですか!」

 

「そうよ!!アンタ…()()()()()()()()()()()()()()()()()でしょ!レナ分かるんだから!!」

 

「魔法少女を裁く俺の根拠を示して欲しいか?それは、昭和23年の最高裁判決だ」

 

「昭和23年…?最高裁判決…?」

 

日本の死刑制度は昭和23年の最高裁判決によって社会防衛方法として認められている。

 

憲法は死刑の存置を想定し、死刑の威嚇力に加え、死刑執行により社会悪の根本を断つとする。

 

永山事件判決においても罪刑均衡の応報刑が認められ、極刑の選択も許されたという。

 

死刑制度は平成26年の内閣府世論調査で日本人の8割を超える人々が支持を出している。

 

これは日本民族固有の道徳観が根拠とされているようだ。

 

江戸時代に仇討ち制度が法制化され、多くの市民達から賞賛された歴史背景もある。

 

サムライの国に住まう日本人の道徳観は、()()()()()()()()()()()と叫んだのだ。

 

「これでもまだ、俺の独りよがりの我儘で人間社会の総意を気取る…愚か者だと言うか?」

 

「あっ……うぅ……」

 

「総意とまではいかないが、総意に最も近い数字の人々が…罪人に応報刑を望んでいる」

 

――これが魔法少女を殺し続けてきた…俺の裁きの必要性を叫ぶ根拠だ。

 

「つ…月咲さんをどうしたいの…?罪刑均衡って何なの…?」

 

「犯罪行為と釣り合う程の裁きを与えろ。それ以上を行い報復合戦をするなという同害報復だ」

 

「そ…それでは…神浜の街を焼いて、一万人を超える程の死傷者数を出した月咲ちゃんは…」

 

「…人知を超える程の死刑にしてやる。それでなければ釣り合わない」

 

ハムラビ法典を叫ぶのはシュメールの最高神エンキ、バビロニアの天空神エアと呼ばれた悪魔。

 

ハムラビ法典とは、シュメールやバビロニアで生み出された()()()()()()なのだ。

 

「だ…ダメです!!月咲ちゃんには死んで欲しくない…死刑になんてさせません!!」

 

「それは…お前が天音月咲を愛しているからだろ?」

 

「あ…愛してます!家族だから…当然です!!」

 

「愛する家族なら犠牲者にもいた。俺はボランティアをしながら…被害者達の声を聞いた」

 

――どうして私よりも先に死んじゃったの?守れなかったママを許して…私も後から逝くわ…。

 

――返せ…俺の愛した息子を…娘を…返してくれぇーッッ!!

 

――ママ…パパ…死んじゃったの?ねぇ…嘘だよね?嘘だと言ってよ!!

 

――イヤァァーーッッ!!お父さん!お母さん!私を独りにしないでぇーーッッ!!!

 

正義の魔法少女達が裁判に持ち込まなかった被害者達の慟哭の叫びを悪魔は届けてくれる。

 

魔法少女達を環の輪にして幸福社会を得る事を望んだ連中にとっては都合が悪過ぎるだろう。

 

被害者達の嘆きの言葉を浴びた正義の魔法少女達は青ざめており、体が震えてしまう。

 

「これ程までの人々の無念…晴らさずにはいられない!!棚上げになど絶対にしない!!」

 

両膝が崩れた月夜は涙を浮かべながら絶望していく。

 

「月咲ちゃん…どうして…?どうして踏み留まってくれなかったの…どうしてぇ!!?」

 

地面に蹲り泣き出してしまう月夜に対し、周りの魔法少女達はかけてやれる言葉もない。

 

「わ…私達…間違っていたのかな…?分からなくなったよ…レナちゃん…」

 

「レナも…分からなくなったわ…」

 

自責の念に駆られていく魔法少女達は彼の言葉を覆す反論を望んでいる。

 

期待する視線の先には西の長の代理人であり、あの裁判を誰よりも支持したみふゆがいる。

 

しかし彼女の全身は同じように震えており、声一つ上げられない。

 

「み…みふゆ…私達…やっぱり間違っていたのかな…?こんなの私…耐えられない!!」

 

鶴乃も最初は被害者達の気持ちに寄り添う立場を示した魔法少女。

 

それを捻じ曲げたのは大切な仲間であり親友でもあるやちよとみふゆがそれを望んだからだ。

 

「わ…わ…私達は…そんなつもりでは……」

 

震えた声を出すが、全てが言い訳に聞こえる単語しか頭に浮かばない。

 

西の長の代理人まで自分達と同じ態度しか示せず、魔法少女達の士気は大きく崩される。

 

それを覆せたのは飛びいってきた十咎ももこの叫びなのだ。

 

「騙されるな皆!!」

 

割って入ってきたももこは三日月の曲線を描く大剣を悪魔に向けて構えてくる。

 

「ももこさん!?みかげさんは…?」

 

「調整屋の傍で待機させる護衛という形でなら…どうにか認めてもらえたよ」

 

「ちょっと待ってよ…ももこ!?騙されるなって…どういう意味なの?」

 

彼女が何を伝えたいのかはテロの時に一緒に行動したレナとかえでなら分かるはず。

 

「ま…まさか…ももこ…今更アレを伝えるわけ!?」

 

「ふみゃみゃ!?ど…どうなっても…知らないよぉ!!」

 

たじろぐレナ達に視線を向けるみふゆは彼女達が何かを隠していたのだと理解する。

 

「…聞いてくれ。あのテロは…革命魔法少女達が起こした地獄じゃないんだ」

 

「革命魔法少女達が起こしたテロではない…?どういう意味なのですか…?」

 

「黙っててごめん…アタシ達は十七夜さんを捜索しに行った時に…悪魔の存在を見つけた」

 

それを聞かされた周りの魔法少女達がざわめいていく。

 

「目の前にいる男じゃないけど…あの吸血鬼は悪魔だと名乗ってきたんだ」

 

「吸血鬼…?ま、待って…十七夜はどうなったの…?ま、まさか……」

 

「十七夜さんは…守れなかった…。吸血鬼に噛まれて…水路に流されていったんだ…」

 

「そ…そんな…!!?どうして今まで黙っていたのさ!?」

 

「みんな必死に戦後処理に追われてて…レナ達…言い出せる空気じゃなかったの…」

 

「ご…ごめんなさい…!隠したかったわけじゃないの…時期を見て伝えようとしてたから…」

 

十七夜が悪魔に襲われた事に戦慄するのだが、みふゆは彼に向き直る。

 

「……貴方達、悪魔の仕業なのですか?」

 

「…何のことだ?」

 

「とぼけないで下さい!!革命魔法少女達の裏側にいたのは悪魔なのかと聞いてるんです!!」

 

「俺は知らない」

 

革命魔法少女達を裏で操っていたのは未知の敵である悪魔。

 

その理屈は正義の魔法少女達にとって、()()()()()()()()()()()()()()となるだろう。

 

それに縋りつこうとしたのは月咲を悪者にされたくない月夜なのだ。

 

「騙してたのですね!?さっきまでの理屈は月咲ちゃん達を悪者にするためのブラフです!!」

 

「……さっきから何を言っているんだ?」

 

突然他の悪魔の存在をひけらかし、同じ悪魔の彼を詐欺師扱いし始めてくる正義の魔法少女達。

 

ももこの勘は鋭いが、人修羅にとっては何の関係もない話なのに魔法少女達は止まらない。

 

「考えてみろ!暴徒達の金のかかった武装…あんなの魔法少女に用意出来るわけないだろ!?」

 

「確かに…あの革命暴動は準備が良過ぎました…やはり悪魔が裏で準備をしてたのです!!」

 

「月咲ちゃんも…時雨さんも…はぐむさんも悪くない!!悪いのは…悪者なのは…!!」

 

――全部…ぜんぶ…()()()()()ですわ!!

 

月夜の叫びが正義の魔法少女達の()()()()()()()()

 

「そうよ…こんなの変だって思ってた…魔法少女達に出来るわけない!!」

 

「もしかして、グレイさんの家を焼いて…死んだ事に見せかけてるのも…悪魔の仕業!?」

 

「くみ…許せない!!悪魔の存在を…絶対に許せない!!」

 

「最低です…こんな悪魔がご近所に引っ越してきてただなんて…最低です!!」

 

彼女達が人修羅に叫ぶ理屈とは、証拠さえ用意しない理屈である。

 

怪しい存在、恐怖の存在、傷つけられるかもしれない社会脅威。

 

そんな恐ろしい存在など()()()()()()()()()()()

 

彼女達が始めたのは東側の神浜社会に対して西側の神浜社会が行ってきた差別と同じ偏見。

 

SNSや日本社会でも繰り返される愚劣極まった偏見行為であろう、()()()()()()()()()

 

「いくぞ皆!!この神浜を自作自演で破壊した悪者を倒すために!!」

 

ももこの固有魔法である激励が発動し、正義の魔法少女達の心に勇気が宿る。

 

同時に罪悪感も消えてしまい、自分達が責められた被害者達の慟哭内容さえ忘れてしまう。

 

「貴様ら!!何処までも身勝手な事を叫ぶ!!」

 

悪魔は腰を落としながら足を半歩開いて中国拳法の構えを行う。

 

「短絡的なお前達の言動を見せられて、確信が持てた!!」

 

――()()()()()()()()()()()()()()()!!

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

正義の系統は古代・中世・近世・近代によって形作られる。

 

その時々に置かれていた為政者達と民衆達とのせめぎ合いによって作り上げられたもの。

 

古代ギリシャの都市国家時代、中世の大僧院時代、絶対王政時代、市民革命時代。

 

歴史とは現在と過去との対話である。

 

「くみのラブキュンステージで!悪魔をお掃除しちゃうよーッ!!」

 

先に仕掛けてきたのはメイド服のような衣装を纏う牧野郁美。

 

彼女の魔法武器は掃除道具のモップに似ており、七色の光を放出しながらモップ掛け走行する。

 

微動だにしない悪魔は迎え撃つ構えを崩さない。

 

「ハァァーーーッッ!!」

 

一気に詰め寄った郁美はモップを振り上げながら左薙ぎを狙う。

 

悪魔は身を低めた姿勢によって左薙ぎを回避する。

 

「えっ!?」

 

右から迫りくるのは片手をつく程の低姿勢から放つ後ろ回し蹴り。

 

右側頭部を強打して蹴り飛ばされた郁美を超えて次の魔法少女が迫りくる。

 

「今のまなかは激辛フルコース気分です!!覚悟して下さい!!」

 

コック衣装を思わせる魔法少女服を身に纏う彼女が武器にするのはフライパンと似た魔法武器。

 

振り上げる彼女の一撃に対し、両手で腕を掴み、捩じり上げる。

 

「くっ!?」

 

捩じり上げる一回転の動きのまま横に蹴りを放つ。

 

「ああーーっ!!」

 

巨大な剪定鋏を思わせる大剣を持つこのみの袈裟斬りに対し、横蹴りで腹部を蹴り飛ばす。

 

片腕を捩じり上げられたまなかにローキックを入れて倒し込み、右肘打ちを放つ。

 

「ぐぅ!!」

 

左側頭部を強打されたまなかが倒れ込むのだ。

 

正義を定義した人物の中には古代ギリシャのアリストテレスも存在する。

 

彼は善と正義についてこんな言葉を残す。

 

――我々が正しい行為と呼ぶところのものは、一つの意味においては国という共同体の幸福。

 

――またはその諸条件を創出し守護すべき行為に他ならない。

 

正義の魔法少女達はアリストテレスが提唱した正義の定義と合致しているだろうか?

 

「よくも郁美さん達を!!」

 

「援護しますわ!麻友さん!!」

 

麻友が構える武器は十文字槍に似た巨大絵筆。

 

虹色の絵の具の如き光を絵筆に纏いながら周囲の空間を描く。

 

彼女の周りに水が集まっていき、水の中から巨大なシャボン玉のような塊が浮かぶ。

 

彼女のマギア魔法である『水彩レイン』を仕掛けようというのだろう。

 

「この水魔法は過冷却されています!」

 

「ならば音で振動を与えますわ!!」

 

月夜の笛の音が振動を与えていき、過冷却されたシャボン玉が結晶化して巨大な氷塊となる。

 

「「いっけーっ!!」」

 

2人の合体魔法とも言える氷属性魔法攻撃が迫る中、悪魔は避けようとはしない。

 

「…頭に血が上りやがって!向こう側には人間の生活圏があるんだぞ!!」

 

振り上げた右拳から光剣が生み出された事で振り下ろされる。

 

真っ二つに溶断された氷塊が光剣の熱によって一気に溶かされて大量の水蒸気を生み出す。

 

「くっ!水蒸気で視界が…」

 

橋の周囲が水蒸気に覆われ、視界が遮られている状況こそ接近する好機であろう。

 

「えっ!?」

 

水蒸気の中から飛び出して現れたのは拳を振り上げる悪魔の姿。

 

「止まって!!」

 

「なっ!?」

 

麻友の固有魔法である敵の攻撃を少し止める力が発揮された事で悪魔の体が一瞬止まる。

 

「チャンス逃してたまるかぁ!!」

 

上に顔を向ければ跳躍からの唐竹割りを狙うももこが迫りくる。

 

後方に側方宙返りを行い、唐竹割りの一撃を回避するが地面は大きく砕けてしまう。

 

「…見た事もない魔法を使いやがる。いつだって…魔法少女の魔法は侮れなかったな」

 

水蒸気によって視界が悪い空間が広がっていたが、水蒸気が一気に吹き飛ばされる。

 

橋の奥に目を向ければ功夫扇を振るい終えた鶴乃が立っている。

 

彼女の魔力が宿った風圧によって、大きな橋に広がった水蒸気が一撃で搔き消されたのだ。

 

「みんな!ここは絶対に守るよ!!こんな外道に月咲達を殺させてたまるもんか!!」

 

悪魔の周囲を囲むのはももことレナ、かえでと月夜と麻友である。

 

悪魔は両腕を水平に交差させる構えを行い、どちらからでも攻撃を捌ける形を生み出す。

 

「自分達の事はいつだって棚上げかよ!」

 

悪者に対して次々と襲い掛かっていくのは自分達の正義を振りかざす魔法少女達の姿。

 

彼女達が人修羅にぶつけてくるのは個人の感情と価値観によって生み出される正義であろう。

 

ならば法の正義とは何だ?

 

――法が万般のことがらを制定しているのは、()()()()()()()()()()()()()

 

彼女達の感情と価値観は人間を含めた万人共通の功益を目指すものなのか?

 

左右から襲い掛かるレナと麻友に対し、悪魔は跳躍する。

 

「「うっ!!!」」

 

両足を広げる開脚蹴りで彼女達の側頭部を蹴り飛ばすが、眼前からはももこの斬撃がくる。

 

着地と同時に前掃腿でももこの両足を刈り取りながら斬撃を崩す。

 

悪魔の視線の先にいる月夜に狙いをつけるが、ももこがそれを邪魔してくる。

 

「やらせるかぁ!!」

 

片腕で振るう左薙ぎに対し、片足で踏み切りを行い、地面と平行になるように跳躍回避する。

 

扇風機のような回転を蹴り足で表現するフラミンゴ回避を行った後、さらに回転跳躍を行う。

 

「こ、こないで下さい!!」

 

横笛の音圧攻撃よりも先に決まったのは体を横倒しに回転させながら放つ浴びせ蹴り。

 

「がっ!!?」

 

頭頂部を強打された月夜は地面に叩きつけられてしまうのだ。

 

「チッ!!」

 

近づく風切り音よりも先に悪魔が跳躍する。

 

後方倒立回転で回避したのは、みふゆと鶴乃が投擲した魔法武器。

 

炎を纏う功夫扇と巨大チャクラムが体の上を飛び越えていき、橋を旋回しながら戻っていく。

 

「あの悪魔…凄い拳法使いだったんだね…」

 

「私達に囲まれていながら…魔法も使わずたった独りで立ち回れるだなんて…」

 

「でも、燃えてきた!!私のサイキョー流拳法を見せてあげる!!」

 

功夫扇を受け取った鶴乃が攻撃を仕掛けてくる。

 

「アチョーーッッ!!」

 

鶴乃の飛び蹴りに対し、体の軸をずらして避けるが側面からはももことレナが武器を振るう。

 

乱戦を繰り返す光景が続いていくが、彼女達は誰の為に戦っているのだろうか?

 

人は共同体の中でしか生きていけず、万人の功益と支配者の功益とが共通な法を定めていく。

 

その法には社会形成力があるとの考えをアリストテレスは示している。

 

正義を法によって、人々をして正しきを行わしめる状態だと説いてくれた歴史人物であろう。

 

正義の魔法少女達が掲げた社会ルールの中には、万人の功益はあったのか?

 

「ハイーーッッ!!」

 

跳躍して一回転からの空中踵落としを放つ鶴乃の蹴りを避ける悪魔だが、連撃が繰り出される。

 

「ハイ!ハイ!ハイ!ハイ!アチョーーッッ!!」

 

二起脚を捌き、左右の功夫扇の一撃を両腕で捌き、片足連続蹴りを捌き続ける悪魔。

 

右ストレートを避けると同時に悪魔の伸びきった腕に目掛けて内回し蹴りを絡めてくる。

 

「ぐっ!!」

 

曲げられた足で悪魔の顔面を蹴り込み、怯んだ隙に旋風脚を放つ。

 

ガードは間に合ったが勢いを殺しきれない悪魔は蹴り飛ばされていく。

 

「チャンスだ、レナ!!」

 

「いくわよ、ももこ!!」

 

2人が片手を伸ばして合わせ合うとコネクト魔法が広がり、レナは固有魔法を発動する。

 

「さぁ、ダブルももこのマギア魔法だ!!」

 

レナの固有魔法とは変身魔法であり、人間だけでなく他の魔法少女にも変身出来る。

 

立ち上がる悪魔が上空に視線を向ければ夜空の上で炎を纏うダブルももこが大剣を構えている。

 

「喧嘩売ったこと!後悔させてやるわ!!」

 

「チームの絆を舐めんなぁ!!」

 

同じ大剣を構えながら炎を纏って落下突撃する一撃とは十咎ももこのマギア魔法。

 

レナの変身魔法は自身の魔力で再現出来る魔法ならば真似出来るようだ。

 

「くっ!!」

 

跳躍回避しようとしたが、悪魔の足には植物のツタが巻き付いて拘束してくる。

 

「今だよ、ももこちゃん!レナちゃん!」

 

湾曲した魔法杖を用いて植物を操る秋野かえでの連携によって窮地に立たされる。

 

「みんなに手間は取らせないわ!!」

 

「この一撃で…終わらせてやる!!」

 

ダブルももこのマギア魔法である『エッジオブユニヴァース』が迫り、回避は間に合わない。

 

「…殺し合いの世界に来る選択をした…貴様らの浅はかさを呪え!!」

 

悪魔の両腕から炎が噴き上がり、体に巻き付いたツタも周囲から生まれる業火で焼き尽くす。

 

「なにっ!?」

 

「あ、あの炎魔法は…!?」

 

悪魔が放つのは同じ炎魔法であるが、桁外れの一撃となるだろうマグマ・アクシスの一撃。

 

射線は空であり、人間の生活圏ではない。

 

「ダメ!!ももこ合わせて!!」

 

「任せろ!!」

 

悪魔の持ち上げられた両手から放たれる豪熱放射がももこ達に襲い掛かる。

 

「「はぁッッ!!」」

 

向き合いながらお互いを蹴り飛ばす。

 

彼女達の蹴り足が互いに触れた事で左右に弾かれるようにして豪熱放射を回避する。

 

水名大橋の下を流れる川に落ちる音が響く中、悪魔は周囲を見回す。

 

「な…なんて…魔法なの……」

 

山を一直線に貫ける程の力に恐れをなしていた麻友には隙が生まれている。

 

「グフッ!!?」

 

気が付けば懐に入った悪魔の右頂肘がみぞおちに決まり終えている。

 

怯んだ麻友の片腕を掴んで背負い投げを行い、倒れた彼女に追い突きを放つ。

 

「ガッ……!!」

 

度重なる急所打ちで意識を失う中、悪魔が次に視線を向けるのは秋野かえで。

 

「こ…来ないで…来ないでよぉ!!」

 

震える姿に襲い掛かろうとする悪魔だが、川から飛び上がる者達に向き直る。

 

「かえでは…やらせないわ!!」

 

川の水を周囲に張り巡らせた姿で槍を構えるレナは自分のマギア魔法を狙ってくる。

 

「何時までもアンタの相手してるほど!暇じゃないから!!」

 

「なんだ!?」

 

悪魔の周囲を取り囲むようにして出現したのは複数の鏡。

 

レナのマギア魔法である『インフィニットポセイドン』が放たれようとしている。

 

鏡に映りこんでいるのは全て槍を構えたレナであり、一斉攻撃を狙ってくる。

 

「行くわよ!いっけーっ!!」

 

鏡の中から投げられる複数の槍に囲まれる状況の中、悪魔の体が揺れる。

 

鈍化した世界。

 

悪魔は身を仰け反らせながら前方から迫りくる槍を回避する。

 

同時に後ろの手で避けた槍の一本を掴み、一回転させながら振り回す。

 

背後から飛んでくる槍も含めて全ての槍を払い落とす動きに対してレナは驚愕するだろう。

 

「そ、そんな!?でもまだ…この一撃で!!」

 

自身が持つ槍に水の魔力を宿らせながら悪魔に目掛けて投擲してくる。

 

レナの槍を左右に振り回しながら飛来する槍を迎え撃つ。

 

回転させた勢いのまま迫りくる槍を叩き落とす。

 

衝撃で彼が持つ槍は砕けてしまったが、落下してくる彼女に目掛けて突進していく。

 

「キャァァーーッッ!!?」

 

突撃の一撃で顔を掴まれたレナは後頭部を歩道の手摺に叩きつけられてしまう。

 

「あっ……」

 

倒れ込んで意識を失ったレナであったが、悪魔はまだレナを掴んで離さない。

 

「よくもレナをーっ!!」

 

川から飛び上がるももこが大剣を構えて背後から迫るのに対して掴んだレナを投げ飛ばす。

 

「くぅ!!」

 

大剣を捨てたももこはレナの体を抱き留めたが勢いを殺しきれずに手摺に背中を強打する。

 

「ももこちゃん!!レナちゃん!!」

 

「他の連中の心配をしている場合か?」

 

鶴乃の功夫扇を身を低めた回転で潜り抜け、迫る巨大チャクラムをスライディング回避する。

 

「ああっ!!?」

 

迫る悪魔が跳躍し、一回転しながらかえでの頭部を蟹挟みしてくる。

 

そのまま体を横に回転させ、遠心力を利用して倒し込みながら腕を掴んで脇固めを決める。

 

「あがぁ!!!」

 

腕が折られて泣き叫ぶかえでに対し、後頭部に目掛けて踵蹴りを放つ。

 

顔面を地面に叩きつけられ、意識を失った彼女の頭部からは血が地面に滲んでいく。

 

「女の子の顔に…なんてことするのよ!!」

 

「最低ですよ!!」

 

鶴乃とみふゆが吼えるが、動じない表情を悪魔は返す。

 

「中央の魔法少女共にも言った言葉だが…俺にフェミニズムを期待するな」

 

残された魔法少女達に対して悪魔は威風堂々とした態度のまま迫ってくる。

 

「残されたのは…お前達だけか?」

 

「いや…アタシもまだやれる!!」

 

立ち上がったももこが大剣を構えながら怒りの感情をぶつけてくる。

 

「よくもレナとかえでを…アタシの大切な親友達を傷つけたな!!」

 

「3人か。いいだろう、相手をしてやる」

 

悪魔を囲むようにして武器を構える魔法少女達であるが、その顔には焦りが浮かぶ。

 

「これだけの魔法少女を揃えたのに…私の判断が甘かったです…」

 

「それでも私達は負けない!だってさ…この3人はやちよと一緒に神浜を守ってきたんだから」

 

「…そうだったね。アタシ達はチーム七海だったんだ…」

 

「かなえさん…そしてメルさん…見てて下さい…貴女達に残された神浜を守る私達の姿を!!」

 

()()()()()()()()()()()()()()

 

アリストテレス以降の歴史を見れば悪法を立法してきた人類の歴史がよく分かるだろう。

 

実定法は人により立法され、為政者が徒党を組んで彼らの偏向したドグマを振りかざす。

 

過去の変遷を見ると、必ずしも人々をして正しい方向へと社会形成しなかった場面に遭遇する。

 

「神浜を守る私達と言ったな?本気で言っているのなら…俺は貴様らに思い知らせてやる…」

 

法は人が生み出す以上、悪法を敷く者達によって生み出される。

 

人々を為政者達から守るには、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「お前達の無責任な治世によって、無念も晴らせず苦しみのたまう人間達の為にも…」

 

――俺が、俺達が!!この神浜魔法少女社会を変えてみせる!!

 

万人の功益と支配者の功益とが共通な法による正義とは、いかなる事を言うのであろうか?

 

最良の社会形態とは何か?治世を行う為政者達とは、いかにあるべきか?

 

その答えを求める道を築き上げる悪魔の戦いは熾烈を極めていくのであった。

 




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