人修羅×まどマギ まどマギにメガテン足して世界再構築   作:チャーシュー麺愉悦部

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125話 善悪二元論

北養区の明かりも近づく山道の路肩までクリスを押してきた尚紀は小休止する。

 

黒いウィザードコートのポケットからタバコの箱を取り出して一本口に咥える。

 

右手の人差し指と中指から小さな火を灯し、紫煙を燻らせながら考え事をしているようだ。

 

今夜は様々な出来事が起きてしまい、彼の心に乱れが生じているのは言うまでもないだろう。

 

「尚紀のスマホ、また壊れちゃったニャ」

 

「クリスと一緒に爆発したし…しょっちゅう壊すわね」

 

ネコマタとケットシーはクリスの裏側で車体に背を預けて座り込み、適当に過ごす。

 

考え事をしていたらタバコを吸いきり、吸い殻を指で弾き、空中で燃やして消し炭とする。

 

もう一本タバコを咥えて吸っていた時、北養区方面から車の明かりが近づいてきたようだ。

 

「あの高級セダンの外車を運転している奴は…ニコラスか?」

 

路肩に停車して車から降り、近づいてくるのはニコラス・フラメルであろう。

 

「よく俺達がここにいるって分かったな?」

 

「私には魔石の力があるのを忘れたかね?」

 

「そういやそうだった。迎えにでも来てくれたのか?」

 

「その通り。派手にレースバトルをする光景も見えていた」

 

「有難い。欲を言えばクリスを牽引出来るSUVで来て欲しかったよ」

 

「アタシは車体を回復させたら自力で帰るわ。先に行ってていいわよ」

 

「悪いがそうさせてもらう」

 

「ニャ―?この爺さんが尚紀が言ってた伝説の錬金術師で…」

 

「もう700歳近い…中世時代の人間なのよね?」

 

「初めましてかな?尚紀君の可愛らしい仲魔達。私がニコラスだ」

 

「助かったニャ―。オイラ歩き疲れてヘトヘトだったし」

 

「伝説の錬金術師と知的な会話が出来る!こんなチャンス生涯に一度あるかないかね」

 

「悪いが…君達を乗せていくわけにはいかないんだ」

 

「「えっ!?」」

 

「どういう意味だ?」

 

「尚紀君と2人で内密な話がある。他人に聞かれるのは不味いのだ」

 

心配そうに視線を向ける猫悪魔達であるが、彼は渋々承諾する。

 

「ネコマタ達はクリスが回復したら家に連れて行ってもらえ」

 

「仕方ないニャ―、そうするニャ」

 

「残念ね…でも、尚紀の友人なら家に遊びに来てね。その時に知的な会話を聞かせて欲しいの」

 

「そうさせてもらおう。それじゃあ、乗ってくれ」

 

タバコの吸い殻を指で弾いて燃やした後、彼はニコラスの車に乗り込む。

 

車をUターンさせながら高級セダンは神浜市を目指していく。

 

「時刻も深夜の3時半か…もう時期に夜が明ける」

 

「…この鼻を衝く程の血の臭い。どうやら革命魔法少女達は全員極刑とされたようだね」

 

「…一部を除いてな」

 

「これで君は彼女達からこう呼ばれる…神浜魔法少女社会を破壊しにきた虐殺者であり…」

 

「…悪者だとな」

 

「彼女達は君を呪うだろう…大衆娯楽と化した()()()()()を振りかざしてな」

 

「善悪二元論か……」

 

北養区に入った頃、ニコラスが重い口を開いてこんな話を語ってくれる。

 

「…()()()()()()()という宗教を知っているかね?」

 

「いや、詳しくは知らない。それについて語りたいなら家に寄ってもらえたら聞くが?」

 

「…車の中で話そう。長い話になるから、君の家には向かわず遠回りをさせてもらう」

 

「…分かったよ。それで、ゾロアスター教ってのは?」

 

「ペルシャの地に移住したアーリア人の民族的な信仰を基本とした宗教さ」

 

ゾロアスター教とはイランに住んでいたアーリア人はが信仰した宗教である。

 

ミスラやヴァーユなど様々な神を信仰する多神教であったようだ。

 

後にペルシャとインドに分かれてからはアスラ神族とデーヴァ神族を切り離す。

 

この原イラン多神教を基にゾロアスターがアスラ神族をアフラ・マズダーとして扱い出す。

 

それを信仰対象として創設したのがゾロアスター教のようだ。

 

ゾロアスターではインドの神々は悪神として描くが、インドでは逆として信仰されていく。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()という神が教義の中に存在している。

 

善の神と悪の神の二元論を信仰し、二元論はキリスト教やグノーシス主義などに引き継がれる。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()を生み出したのだ。

 

哲学者のニーチェはキリスト教など一神教宗派の善神勝利一元論に即した二元論を批判する。

 

しかし、そうした自らの言説が善悪二元論を呈するという矛盾に陥ってしまう経緯もあった。

 

「善の神アフラ・マズダー…そして悪の神アーリマン……」

 

アーリマン、またはアンリ・マンユ。

 

その名はかつて戦った事があるシジマのコトワリ神の名であり、シジマを掲げた氷川を表す。

 

「光明神アフラ・マズダーは仏教においては阿修羅と呼ばれている者達の王でもある」

 

「アスラ王…かつての世界で仲魔から聞いた事がある悪魔だ。別名はヴィローチャナだったか」

 

「東大寺の大仏のモデルとはアスラ王のことだ。真言密教では教主であり本尊…大日如来さ」

 

彼は自身の悪魔名とも言える人修羅の名を考えてしまう。

 

修羅とは阿修羅(アスラ)を略して表すもの。

 

アスラ神族はヒンズー教においてアムリタをデーヴァ神族に奪われ不死を得られなかった悪神。

 

仏教では帝釈天インドラに須弥山を追われて周囲の大海へ追いやられたとされる。

 

その後の仏教で神格化され、アスラ族の王は大日如来として崇められるようになったという。

 

「二元論の恐ろしさとは…分かるかね?」

 

「ああ…俺も悪者にされ続けて理解出来たよ」

 

彼ら、または彼女達の正しさの概念は独特であり、根拠を必要としない。

 

この世には()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()と指摘する。

 

自分はその正しさを常に選択していると思い込む傾向にあり、()()()()()()()()()()()

 

正しさ同士がぶつかった場合には()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「曲解でも捏造でも、その件と全く関係なくともなんでもいいのだ、()()()()()()()()()()()

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()んだよ」

 

「それが…この街で正義を気取ってきた魔法少女達にされてきたことだったんだね」

 

善悪二元論とは自身のその時の感情的利益を正しさとする、余りにも危険な哲学。

 

正しさがどう正しいのかではなく、()()()()()ところが何よりも恐ろしいとニコラスは語る。

 

「自身と異なる意見や反論を無条件に間違いとする…これが二元論的思考だ」

 

「ニーチェが一神教宗派の善神勝利一元論に即した善悪二元論を批判した理由も分かってくる」

 

「この思考に陥ると、必ずダブルスタンダードとなると経験出来たな」

 

――()()()()()()()()()()()()

 

「自分は正しく、他人は間違っている。それに心理バイアスがかかれば間違いを棚上げする」

 

「一方的に相手のみを悪者サンドバックに出来る。自分達は絶対正義だと気取りながらね…」

 

「匿名性の高いSNSの政治の呟き光景さ。論証しない理屈を相手に押し売りするだけだ」

 

「持論の説明責任さえ果たさず、従わない者は悪者レッテルを張り付ける印象操作だろう?」

 

「人って生き物は…こうも無責任でいたいのかよ。汚職政治家なら叩く癖に自分はダメとくる」

 

「宗教や哲学が認識法を生み出し、善悪二元論のような人間社会的な二元論に陥ってしまった」

 

「涼子…お前の憂いは正しいよ。だからこそ魔法少女社会にはシジマの思想が必要だ」

 

「酒の席で語ってくれた事があったね。かつての世界において新しい思想の一つだった…」

 

「感情否定のコトワリ。それは仏教主体のガイア教徒だった氷川が望んだ釈迦の捨断だ」

 

「欲望の捨断…確かに欲しがる心さえ消えて無くなれば…愚かな善悪二元論など成立しないな」

 

()()()()()()()()()()()という承認欲求的な欲望こそが…あらゆる至上主義の源だ」

 

「だからこそ…君は魔法少女社会を変えるんだね?」

 

「奇跡の如き変革は無理だろうが…少しづつでも変えていきたい」

 

「まるで君は社会の変革を求める冒険に旅立ち、命を落としたチェ・ゲバラだな」

 

「冒険家か…この世界に流れ着いた俺は冒険家のようにも見えてくるだろうが…」

 

――俺は自分の真理を証明するためなら…命も賭ける冒険家でありたい。

 

「君は魔法少女社会の解放者になるのかい?」

 

「違う、そんな者は存在しない。人は自らを解放するんだ」

 

「そのための道を君は…これから用意するんだね」

 

「ああ……ところで、いつまで車を走らせるつもりなんだ?」

 

時刻は既に早朝の4時前であり、時期に空も青くなっていく時間帯。

 

ダラダラと神浜の街を走行していたら南凪区にまで来ていたようだ。

 

「すまないね…会わせたい人物との待ち合わせ時間まで時間を潰す必要があった」

 

「会わせたい人物だと?」

 

「私にとっては友人であり、君にとっても大切な人だ」

 

「南凪区…そして俺にとって大切な人…だとしたら…」

 

「こんな勝手な真似をした事を許してくれ。それでも私は…彼の最後の願いを果たしたい」

 

「彼と言ったな?だとしたら…あの爺さんしかいない」

 

車は南凪路前の駐車場に入って停車する。

 

「ついてきてくれ。彼の元まで案内しよう」

 

言われた通りについていくと彼は思い知る事になるだろう。

 

自分の道もまた善悪二元論に縛られた道に過ぎなかった事を突きつけられるのであった。

 

 

蒼海幇の長老が経営する武術館では深夜であっても明かりが点いている。

 

明かりのついた館内にいたのは、ひたすら木人椿(もくじんとう)を叩く長老の姿。

 

素早く、そして正確な動きと共に力加減もコントロールされた突き、蹴り、払い動作を行う。

 

乾いた音が響き続ける館内に向かって歩いてくるのは年老いた女性のようだ。

 

「アンタ、行くんだね」

 

鍛錬を続けていた音が止まり、長老の妻に振り向く。

 

「……ああ」

 

「相手はアンタの弟子であっても、勝てる相手じゃない事ぐらい分かるんだろ?」

 

「純粋な魔力勝負を仕掛けられれば手も足も出ないが…彼にはそれが出来ない」

 

「語ってた通りのお人好し悪魔ってわけかい?その弱点をついて…勝てそうかい?」

 

「分からん。尚紀君の技量の習熟速度は桁外れじゃ…あれも人修羅と呼ばれる悪魔の力かもな」

 

「…アンタは刺し違えようとしてる…違うかい?」

 

それを聞いた長老は細目を開きながら近づいてくる。

 

「…長いこと偽装夫婦生活を共に生きてくれて…感謝する」

 

「何を今更…悪魔のあんたと共に70年も生きられたんだ。感謝したいのはこっちの方さ」

 

「初めて会った時は12歳の小娘じゃったのぉ。それからじゃ…共に生きるようになったのは」

 

「最初はひ孫、次は孫、次は娘で…そして妻」

 

「ワシは見た目が変わる事はない。それでも一世と二世はワシの正体を秘密にしてくれた」

 

「何言ってんだい。悪魔のあんたが守りぬいてくれた蒼海幇の歴史じゃないか」

 

「それも終わらせようと思う。次の長老は…陳健民に譲る事にしたよ」

 

「アンタが武術館を開いた時の最初の一番弟子だった人だねぇ。サングラス顔が不気味だけど」

 

「彼ならば人徳もあり、蒼海幇のまとめ役として十分じゃ。そのためにあの暴動を利用した」

 

「南凪路に攻めてきた暴徒達への対処をあえてアンタはやらず…陳健民さんにやらせてたね?」

 

「彼の的確な判断によって暴徒の群れを退けられた。長としての器量は十分…それに加えて…」

 

「老いた体を感じさせない武術の腕前も持つ。アタシも鍛えてたらよかったねぇ…」

 

「お前はワシの小遣い巻きあげて趣味に没頭しておったしのぉ。昔は強かったのに嘆かわしい」

 

「うるさいねぇ…でも、アンタに甘え過ぎてたってのは認めるよ」

 

「やれやれ…身寄りのないお前の世話を続けてきたが、甘やかし過ぎたもんじゃ」

 

「フフッ、それでも…十分過ぎるくらいの人生を与えてくれた。そしてそれはこれからも続く」

 

「…ワシが生きて帰ってこれなかったら、この武術館と内弟子達の面倒は陳健民に…」

 

「言うんじゃないよ!縁起でもない!!」

 

妻の怒声に肩を竦めるが、長老の覚悟は変わらない。

 

「…美雨が近づいて来ておる」

 

「分かってるよ。老いて戦う力も無くなったアタシにだって…それぐらいは分かる」

 

「ワシは彼女に見届け人を頼んだ。ワシの死は…彼女が伝えに来る」

 

「願わくば…美雨ちゃんとアンタが…一緒に帰ってきてくれることを願うよ」

 

武術館の扉を開けて入ってきたのは暗い表情を浮かべる美雨である。

 

「……行くぞ」

 

俯いたままの彼女は長老の後についていく中、妻は見送ってくれる。

 

「…その義侠心は人間のために修羅の道を進む弟子の未来を救うため。それでも…辛いね」

 

握り締められる左手には結婚指輪らしき品が見える。

 

その指輪は左手の薬指ではなく中指に嵌められているようだ。

 

「……己達せんと欲して、人を達せしむ」

 

自分が目的を達成しようと思う時は、先ず人を助けてその人の目的を遂げさせてやる。

 

仁者は事を行うのに自他の区別をしないという事を表す孔子の言葉を妻は送る。

 

「義を見てせざるは勇無きなり…アンタはいつだって、誰かのために命を張ってきた」

 

――不条理な願いで滅ぶしかないアタシの人生を…()()()()()()()()

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

誰もいない中華街の夜道を歩いて神浜関帝廟の前まで来たニコラスが止まる。

 

彼の横まで歩いてきた尚紀が離れた場所で立つ2人に目を向ける。

 

「……マスター、それに美雨か」

 

彼の前に立っていたのは神浜との繋がりを尚紀に与えてくれた大切な2人であろう。

 

「ニコラス、こいつらの用事については聞いていないか?」

 

「それは…彼らの口から聞いてくれ。私は離れておくよ」

 

そう言い残した後、ニコラスは関帝廟の門の横まで向かう。

 

門前の通りに立ち、3人は向かい合っていたが重い口を先に開いたのは美雨である。

 

「…離れたこの場所まで染みついた血が臭うヨ。一体…どれだけの魔法少女を殺したカ?」

 

それを聞いた尚紀は彼の行った所業を糾弾しに来たのだと察するだろう。

 

「当然の報いを与えてやった。これには司法根拠もある…俺の身勝手な総意気取りではない」

 

「司法根拠じゃと?だとしたら、昭和23年の最高裁判決じゃな」

 

「長老、それは何ネ?」

 

「日本の死刑制度が社会防衛方法として認められた判決内容じゃ」

 

「そ…そんなの理不尽ネ!!死刑として国に殺される犯罪者だて…家族や友達はいるヨ!!」

 

まるで加害者を弁護する人権団体の口ぶりを続けてしまう美雨に対し、長老は細目を開く。

 

「…令和元年の今年、京都のアニメ制作会社で痛ましい放火殺人事件が起きた」

 

「7月18日に起きた…あのガソリン放火殺人事件カ?」

 

「男を含む71人が死傷。社員36人が死亡、33人が重軽傷…」

 

「日本で起きた事件としては過去に例を見ない大惨事となった…俺も覚えてる」

 

「素晴らしいアニメを消費者に提供してくれた企業に対する余りにも理不尽な所業…」

 

「それは…その……」

 

「死刑の判断基準を10倍以上超える犯人に家族や友達がいれば…死刑は許されるべきか?」

 

神浜で起きた革命暴動の死傷者数は数万人規模である。

 

東京で彼が殺戮してきた魔法少女達にだって家族や友達はいただろう。

 

もちろん神浜でテロを起こした魔法少女達にだって家族や友達はいたはずだ。

 

死刑を許すべきなのかという長老の問いに対して、美雨は俯いたまま黙り込む。

 

「テロには屈さない…日本を含めた世界の判断基準だ。テロを行った魔法少女達は死ぬべきだ」

 

「そんなの…魔法少女達が可哀相ネ……」

 

「その感情だよ、美雨」

 

「私の感情…?」

 

「自身のその時の感情的利益を正しさとする。二元論的思考だ」

 

「……善悪二元論か」

 

「感情が傾く方にだけ味方をし、違う立場の者を否定する。自分の正しさしか認めない」

 

「正しさ同士がぶつかった場合には相手の劣等性を指摘する事で自己の正しさの担保とするか」

 

「相手の劣等性を指摘した時点で自身が指摘された問題を相手の問題にすり替えられるんだよ」

 

「ち…違うネ!!私…私は別に…そんなつもりじゃ……」

 

「お前も俺を悪者にしに来たか?何でもいいぜ…曲解でも捏造でも、好きに俺を悪者にしろ」

 

――そうすれば、魔法少女だけの環の輪を望む魔法少女達だけが正義の味方を気取れるんだ。

 

「言えよ」

 

「あ……うぅ……」

 

「俺を悪者だと罵れ。魔法少女を殺戮する鬼畜の悪魔だと罵倒しろ」

 

「私は……私は……」

 

両膝が崩れてしまう美雨は言い返す言葉を何も思いつかなくなってしまう。

 

これがフィクションなどでも当たり前となってしまった正義執行の光景。

 

片方の悪い部分を切り取り、目立たせる事で主人公達がやってきた所業を相手にすり替える。

 

フィクションの英雄物語を飾った英雄達は何をやってきたのだろうか?

 

英雄達の後ろ側には何が転がっているのだろうか?

 

それを問われるのは人修羅とて同じなのだ。

 

「ワシはお前さんの義の殺人は否定をせん。その上で…お前さんに質問がしたい」

 

「質問だと…?」

 

「善悪二元論を悪用したいのは…先のお前さんも同じ事になるのではなかろうか?」

 

「先の俺が…善悪二元論を悪用するだと?」

 

「美雨と魔法少女チームをしている常盤ななか…彼女はお前さんが接触した人物じゃろ?」

 

「ああ……ななかがどうした?」

 

「彼女はある日を境にして社会主義に目覚めた。それは…お前さんが与えた思想かのぉ?」

 

「その通りだ」

 

「美雨から聞かされたが、常盤お嬢ちゃんは常日頃から魔法少女社会に疑問を持ってきた」

 

「だからこそ、俺とななかの思想は一致したというわけだ。だからこそ、ななかを長にしたい」

 

「お前さん…初めから常盤お嬢ちゃんを使って、魔法少女社会に仕掛けたかったのでは?」

 

――ローマ帝国から続く侵略手口…()()()()を?

 

分割統治とはある者が統治を行うにあたり、被支配者を分割する事で統治を容易にする手法。

 

被支配者同士を争わせ、統治者に矛先が向かうのを避ける事が出来る。

 

人種、言語、階層、宗教、イデオロギー、地理的、経済的利害に基づく対立、抗争を助長する。

 

連帯性を弱め、自己の支配に有利な条件を作りだす事を狙いとして植民地経営に利用される。

 

ディヴィデエトインペラ(分断して統治せよ)とは、ローマ皇帝の支配を意味するのだ。

 

「……………」

 

それを問われた尚紀は黙り込む。

 

黙示録の赤き獣と呼ばれる悪魔が用いる手口とは、ローマ帝国侵略手口。

 

黙示録の赤き獣は7人のローマ皇帝を表し、彼もまたローマ皇帝と同じ支配手口を使っている。

 

「…ななかと出会えたのは偶然だったが、俺にとっては…得難い僥倖だった」

 

師匠には自分の魂胆を見透かされていたと判断した尚紀は包み隠さず自分の狙いを語っていく。

 

「神浜魔法少女社会に干渉する気はなかったが…この街の魔法少女には危機感を感じてた」

 

「善悪二元論に支配され、自分達の道徳精神こそが正しいと東の魔法少女を優遇する姿勢か」

 

「これでは遠からず大きな災いが起こる。なら俺が干渉せず、魔法少女の誰かが社会を変える」

 

「常盤お嬢ちゃんは…お前さんにとっては願ったり叶ったりの存在であったか」

 

人修羅が干渉せずとも彼の望む魔法少女社会主義治世を魔法少女達にやらせる結果を生む。

 

ローマ帝国の侵略手口である分割統治だと言われても尚紀は否定出来ない。

 

「だが、見通しが甘かった。ななかは人殺しと差別され、彼女の言葉を聞く者はいなかった…」

 

「それもまた…正義を気取る神浜魔法少女達の危うさであったな」

 

「俺の目論見は潰え、その結果が…今の惨状だ。だからこそ…この惨状は俺の甘さが生んだ」

 

「もう二度とこんな惨状を生み出さない。そのためにお前さん達が作る社会とは……」

 

――社会全体主義…ファシズムやコミュニズムのような結束・共同体社会じゃろう?

 

「…そうだ。失敗してはやり直す民主主義的治世では…犠牲者ばかりが乱造されていく」

 

「全体主義ならば失敗しないとでも言うのか?社会主義独裁国家の歴史を知らんのか?」

 

「俺達の治世が…自分達に都合がいい制度にしかならないと言いたいのか…?」

 

「お前さんの治世ではない。お前さんが委任した()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「そ…それは……」

 

「全体主義とは民衆だけが大義という道徳で虐げられ、政党の者達にしか自由が存在しない」

 

――()()()()()()()()()()()()()()なのじゃよ。

 

彼の手に汗が滲んでいき、握り込まれていく。

 

彼も気が付いていたが、それ以外の社会制度で個人の自由を拘束する仕組みを見つけられない。

 

「ならばどうすればいい!?お前は今すぐ魔法少女達に英知を授けられるとでも言うのか!?」

 

「それこそお前さんのエゴじゃよ。魔法少女達を信じておらん」

 

「信じられるものかぁ!!あいつらの言動がそれを証明している!!」

 

「疑うのは大切じゃ。しかし…()()()()()()()()()()()()

 

「なぜ信じられる!?自分の感情が全てだとでも言いたげな魔法少女の態度を見せられて!!」

 

「不信を募らせた末に社会脅威となりかねん魔法少女を弾圧する。その先には何が起こる…?」

 

――自由を求める抵抗勢力が生まれ、終わりのない潰し合いが起こっていく。

 

それを指摘された彼の心が動揺に包まれてしまう。

 

「お前さんの強さなら生き残れるだろうが…常盤お嬢ちゃん達の力で生き残れるかのぉ?」

 

「う……うぅ……」

 

「常盤お嬢ちゃん達を不信の果てに生み出した社会全体主義の生贄にしたいのか?」

 

――お前さんにとってはそれ程の価値しかなかったというのか…あの子達の尊い命が!!

 

師匠の鋭い指摘によって尚紀の全身が震え上がってしまう。

 

「お前も一つの正しさに縛られる善悪二元論者じゃ!魔法少女の劣等生を持論の担保とする!」

 

「ち…違う!!俺は…俺は……」

 

「お前さんが根拠を用意出来たのは義の殺人。全体主義が間違わないという根拠は何処じゃ?」

 

「だが!!民主主義治世だって…全体主義と同じぐらい間違いを繰り返す!!」

 

()()()()()()()()()()()。ワシは全体主義が絶対間違わないという根拠を聞いておる」

 

「ぐっ……うぅ……」

 

「用意は出来んのじゃろう?政治の歴史が証明済みじゃからのぉ」

 

「俺が望む治世もまた…間違っているというのか…?」

 

「お前の望む間違いの道。それによって犠牲となってしまう常盤お嬢ちゃん達が哀れじゃのぉ」

 

人修羅は魔法少女同士の殺し合いには干渉してこなかった者。

 

自らが望んで殺し合いの世界に来た者達ならいつ死のうが自業自得。

 

殺し合いしか存在しない悪魔の世界に来てしまった自分を含め、自業自得だと考えた者。

 

果たしてそれだけなのか?

 

(俺は…魔法少女達が殺し合おうが関係ない。東京の魔法少女達に対してそれを繰り返した…)

 

全ては優先すべき人間社会のために魔法少女を見捨ててきた者、それが人修羅。

 

もしも東京の魔法少女達の中にも尚紀が心を繋ぎ合える少女達がいたとしたらどうだ?

 

彼は同じように見捨ててこれたのだろうか?

 

追求される尚紀の脳裏に浮かぶのは心を繋ぎ合えた神浜魔法少女達の言葉の数々である。

 

「ななか…かこ…あきら…このは…葉月…あやめ…令……」

 

人殺しの悪魔であっても慕ってくれた魔法少女達の笑顔が脳裏に焼き付いている。

 

だからこそ彼は今まで通り魔法少女達を見捨てる事が出来ない。

 

利己的な愛に傾けば、自分にとって利益がある場合には愛ある態度を示せる。

 

しかし自分にとって利益がない場合には相手に対して愛ある態度は示せなくなるのだ。

 

これは彼だけでなく、違う可能性宇宙において環をもたらす魔法少女も同じ道を通っている。

 

()()()()()()()()であり、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

人々を環の輪にする事など最初から不可能であり、人間は常に一つの道しか歩けない生き物。

 

環をもたらす魔法少女が人間達を見捨てる裁判をしたなら、悪魔はその逆を行う。

 

悪魔である尚紀は魔法少女達を見捨てるための殺戮を繰り返したのだ。

 

その光景はもはや()()()()()()()()()()()の光景であろう。

 

「俺は……俺は……」

 

両足に力が入らなくなった彼も膝が崩れてしまう。

 

「人間社会を優先する魔法少女達だけを人間扱い…アパルトヘイト政策でいう()()()()か?」

 

アパルトヘイトとは南アフリカ共和国における人種隔離政策のことを指す。

 

かねてから数々の人種差別的立法のあった南アフリカにおいて1948年に法制として確立。

 

特権階級の白人だけが優遇され、黒人には何一つ権利が与えられなかった時代であろう。

 

しかし日本国籍を有する者は1961年から経済上の都合から名誉白人扱いとされている。

 

都合がいい人種だけを特別扱いする、差別極まったレイシズム政策の歴史があるのだ。

 

「ワシの弟子は魔法少女を差別するレイシストとはのぉ…師であるワシの監督不行き届きか?」

 

地面に額を押し付けて蹲ったまま体を震わせる尚紀に対して美雨は我慢出来なくなる。

 

「もういい……もういいネ!!私達も悪かた…ナオキも悪かた…それでいいヨ!!」

 

魔法少女も人修羅も責められる場の空気に耐えられなくなった美雨が叫ぶ。

 

だが、その叫びが引き金となったかのようにして尚紀の震えは止まってしまう。

 

「……俺が、悪かっただと?」

 

尚紀の顔に光る刺青が浮かんでいき、首の後ろからも一本角が伸びていく。

 

立ち上がった彼の表情は怒りに満ちている。

 

「認めない……認めてやらない!!」

 

「ナオキ!!いい加減にするネ!!私達ともう一度話合て……」

 

「ふざけるなぁぁーーーッッ!!!!」

 

怒りの魔力が噴き上がり、周囲に殺意がばら撒かれていく。

 

「俺は…人間社会を優先する魔法少女の虐殺者!!それでいい…それで構わない!!」

 

「ナオキ!!目を覚ますヨ!!私…こんな戦いはイヤネ!!」

 

耳の奥に木霊するのは愛した人達の言葉のみ。

 

その在り方こそ先程殺し合った()()()()()()姿()()()()であろう。

 

「俺が命をかけてでも守るべき…かけがえのない人達とは…」

 

この世界に流れ着き、1人の魔法少女と共に人間の守護者の道を歩んできた原点がある。

 

尚紀と風華が命をかけて守ってきた人種とは誰なのか?

 

「それは……人間だぁぁぁーーーーッッ!!!!」

 

 

長老は細目を開いたまま微動だにせず、人修羅の殺気を受け止めながら睨み合う。

 

「俺が求めるのは結束主義を超えた共同体主義。世界の魔法少女達は人間に忠を尽くすべきだ」

 

「社会主義を超えたコミュニズムか…運命共同体を望み、世界市民思想を掲げて押し付ける」

 

「俺は絶対的な平等主義を掲げる。我々の魔力は、力なき人間達のために共有されるべきだ」

 

「私有財産制の廃止を、魔なる者達の魔法という財産所有に当て嵌めた解釈か」

 

「生産と消費の両方の社会化…我々が生み出す魔法という生産と使用という消費を社会化する」

 

「行き過ぎた平等主義が何をもたらした?お前はこの暴動で東の連中が何をしたか見たのか?」

 

「俺のやり方は連中と変わらない。そしてこれからも変わらない…」

 

全ての魔法少女社会を思想統一し、魔法の力を人間のためにのみ尽くさせる社会制度を生む。

 

資本主義と共産主義の中間である社会主義を超え、世界と一つになるべきだと人修羅は語る。

 

「徹底した個人主義の否定…そこには利己主義も利他主義も存在しない…世界への帰結か」

 

「俺はシジマのコトワリを敷く者。それは人類全てが世界を照らす信号台へと変わることだ」

 

「無機質極まりないのぉ…それでは魔法少女がインキュベーターと変わらなくなるぞ」

 

「あいつの感情に流されない合理主義は魔法少女に必要だ。感情があるからエゴイストになる」

 

「二度と過ちを繰り返させない…魔法少女社会に向けての絶対的秩序主義か」

 

堕天使共が好む暴力という混沌を用いて世界に絶対的な秩序を敷く左翼的世界革命。

 

それこそが尚紀が望むシジマのコトワリなのだと長老はシジマの本質を見抜いてくる。

 

「残念じゃが、それは認められん。その世界で唯一自由になれる存在なのは…」

 

――シジマのコトワリを敷いた者達だけなのじゃからのぉ。

 

「シジマに与した欲深き堕天使共も、それが欲しかっただけの…()()()()()()じゃよ」

 

それを聞いた人修羅の目が見開かれていく。

 

ボルテクス界の事を詳しく知る存在など人修羅と同じ悪魔側としか考えられない。

 

「マスター…どうやらあんたを疑ったのは正しかったようだ…。お前…悪魔なんだろ?」

 

「あく…ま…?」

 

動揺した美雨が長老に振り向くが、彼は首を縦に振る。

 

「済まなかったのぉ、美雨。お前さん達3世世代は知らんだろうが…古い世代は皆知ってた」

 

「そんな…それじゃあ、長老はずと昔から生きて…」

 

「戦後の闇市から発展した蒼海幇をワシが組織した頃から…ワシの姿はこのままなのじゃよ」

 

「みんな…みんな知てたのカ?悪魔の存在や…魔法少女の存在を…?」

 

「美雨…下がっておれ。ここから先は……悪魔同士の戦場じゃ」

 

長老の足元から濃霧が生まれていく。

 

濃霧が関帝廟周囲を覆いつくし、霧が晴れる頃には周囲は悪魔結界である異界化している。

 

霧で姿が隠れていた長老が再び現れた時、美雨は凍り付く。

 

「あ……あぁ……あぁぁ……」

 

彼女は中国の旧正月である春節や關帝誕が好きで南凪路のイベントには毎年参加した少女。

 

その時はいつも関帝廟のイベントにも参加して地域貢献してきたからこそ美雨は見てきた者。

 

三国志の英雄であり、蜀の猛将として名を馳せた義の武神の御姿を忘れるはずがないだろう。

 

「我は英雄…関聖帝君なり!!」

 

【関聖帝君】

 

道教の財神であり武神でもある存在であり、後漢時代の武将の関羽が神格化されたものである。

 

義侠心に富み、その忠節を称えられた関羽は中国の歴代王朝からも篤い尊崇を受けたという。

 

三界伏魔大帝神威遠震天尊関聖帝君を略し、関聖帝君として慕われてきた武神なのだ。

 

冥界に通じ、死者の無念を晴らす老爺とも呼ばれる。

 

また理財に精通し、金銭に囚われない潔癖性から財神としても信仰されてきた存在であろう。

 

財神という性格から各国で華僑が集う中華街では関羽を祀る関帝廟が見受けられた。

 

「…まさか、俺のマスターが…あの三国志で有名な…関羽だったとはな…」

 

赤き肌を持つ雄々しい武神姿を顕現させた我が師を見つめる人修羅は顔に冷や汗が流れ落ちる。

 

「私に稽古をつけてくれたり…蒼海幇を組織して皆を導いたのが…関羽だたなんて…」

 

道教の神が現れたと理解した時、美雨の脳裏には尚紀と共に関帝廟に行った記憶が浮かぶ。

 

「これが悪魔の世界なのカ…?これじゃあ…まるで…円環のコトワリと同じ概念存在!?」

 

驚愕する美雨だが、関帝廟門の柱の横に立つニコラスは知っていたかのように落ち着いた表情。

 

彼は後ろからの気配を感じ取り、後ろを振り向かずに口を開く。

 

「…君が来る事も分かっていた」

 

ニコラスの隣に歩いてきたのはナオミであり、驚いた顔つきで質問してくる。

 

「これはどういう事なわけ?私に人修羅護衛の依頼をしておきながら…自分達で始末する気?」

 

「彼を始末する事になるかどうかは…これから分かる」

 

「先を知っているような素振りだけど、彼が死なないと分かっているのなら…アナタ…」

 

――自分の友人を見捨てる気なのではなくて?

 

それを聞かされたニコラスの手が握り込まれながら震えてしまう。

 

「…私とて辛い。こんな勝負は止めて欲しいが…それでも、この戦いはナオキ君に必要なのだ」

 

彼も苦渋の決断であったと察したナオミは黙り込む。

 

「美雨……あの子も辛い立場よね」

 

震え続ける美雨の元まで近寄るナオミに気が付いた彼女は駆け寄ってきて抱き着いてくる。

 

「ナオミ姉さん…お願いだから…この戦いを止めて欲しいヨ!!」

 

「美雨…この戦いは…止めるわけにはいかないの」

 

「どうして!?」

 

「これは武術家同士が納得した決闘。なら…礼を見ていたら答えが分かるわ…」

 

人修羅と関羽の両手が持ち上げられて行うのは抱拳礼(ボウチェンリィ)である。

 

中国武術の作法として右手は武、左手は文(文化、争わない心)を表す。

 

右手の武力を文化的平和の左手で包み込む事こそが望ましい本来の状態であろう。

 

ならば逆を行えばどういう意味となるのか?

 

彼らが行った抱拳礼は武を司る右手で平和を司る左手の拳を包み込む形なのだ。

 

「あなたは私の敵である。死闘をもって…あなたの命を奪うよ」

 

「そ…そんな……やめるネ!!ナオキ!!長老!!」

 

共に武を学び合った大切な人々が殺し合いをする。

 

ナオミの家族であった老師と大切な親友だった者との死闘を再び再現する光景であろう。

 

「レイ……どうして……」

 

やりきれない表情を浮かべる女性達であるが、男達は死を懸けた拳法を構える。

 

「…武器を抜かないのか?あんた自慢の青龍偃月刀が泣くぜ?」

 

「フフッ、ならば抜かせてみるがいい」

 

空気が歪む程の圧迫感を互いが放つ空間であるが、関羽がこんな質問をしてくる。

 

「…最後に一つ、問答に付き合え」

 

「…言ってみろよ」

 

「人間とは何ぞや?悪魔とは何ぞや?そなたが行ってきた事()()()()()()()()()()…」

 

――そのこと、ゆめゆめ忘れなさるな。

 

問うのは相手を倒し、殺めるのはあくまでもそうしてまで生かしたい者があるからという自覚。

 

それを聞かされた人修羅の口元は不敵な笑みを浮かべていく。

 

「無論…永遠に続くさ。俺の悪即斬の道はな…」

 

人修羅の決意を聞いた関羽は武神としてではなく、彼と共に生きた老爺としてこう告げる。

 

「まるでお前さんは…人間として生きていた頃のワシの姿と…そっくりじゃよ」

 

だからこそ人修羅の道は止めると関羽は宣言してくる。

 

「ワシは先に見てきた…義の殺人を繰り返した果てにあるのは…()()()()()()()()()()()じゃ」

 

問答を終えた瞬間、互いが風となる。

 

開いた手を先に固めて仕掛けたのは人修羅であろう。

 

「ハァァーーーッッ!!」

 

高速で突き出される縦拳、手刀打ち、裏拳に対し、手首、腕を高速に動かしながら捌く。

 

止められた突きを開き、貫手を仕掛けるが捌かれる。

 

互いにワンインチ距離であり、肘の打ち合いを行う。

 

「がっ!?」

 

身を捩じって避けた回転を利用した左肘打ちが人修羅の左側頭部に決まる。

 

後ろに下がった彼が構え直し、再び仕掛けていく。

 

互いの乱打を腕や手首を巧みに用いて受け止め、斧刃脚を互いの蹴り足で受け止めていく。

 

手を伸ばせば届くワンインチ距離で繰り返されるのは、あまりにも早い攻防戦。

 

手刀打ちを受けた人修羅の右腕を掴み、同時に片足を刈り取る。

 

「チッ!!」

 

体勢を崩されて転がされそうになるが、片足跳躍を行う。

 

体を空中回転させながら堪えきり、振り向いて構え直す。

 

連続した蹴り足を足裏で、膝で、腕で受け止め、尚も果敢に攻め込む人修羅を捌く武神。

 

「なんて…鉄壁の守りなの。流石は武神として祀り上げられた関羽ね…」

 

「私…もしもの時は…割て入るヨ…」

 

「それだけはダメ。割って入ろうものなら…貴女でも容赦はされないわ」

 

「だ、だて!!こんな勝負…辛いだけネ!!」

 

「それでも譲れない勝負がある。貴女も武道家なら…見届けてあげなさい」

 

「くっ!!」

 

関羽の前蹴りが決まった人修羅は店のシャッターに背中を強打する。

 

関羽を迎え打つために動き、右手で関羽の連続突きを捌き、開いた脇腹に縦拳打ちを放つ。

 

「ぐっ!?」

 

後方に弾かれた関羽に向けて蹴りを行うが避けられ、直ぐに足を地面につけて攻防を行う。

 

手刀打ち、裏拳、肘打ちが高速で繰り返される攻防の中、関羽の右腕を両手で掴みとる。

 

関節技を狙おうとしたが、左足で半円を描く里合腿が両腕に絡みつく。

 

足を返し、人修羅の左側頭部を蹴り飛ばすが彼も弾かれる際に蹴りを放つ。

 

「「ぐぅ!!」」

 

互いが蹴り飛ばされるが立ち上がり、互いに戦意は揺るがない。

 

「どうした小僧。悪魔界隈において音に聞こえた混沌王の実力は…その程度か?」

 

「ぬかせ!!」

 

互いの突き、裏拳、肘を捌き、互いの乱打をトラッピングしていく。

 

片腕を止めると同時に顔面突きを狙うが首運動で避けられてしまい、脇腹に突きを喰らう。

 

伸びた関羽の左腕を掴み、返すと同時に右手刀打ちを狙うが右手で捌かれる。

 

右肘打ちで相手を突き飛ばす中、人修羅は一気に動く。

 

「デヤァーッ!!」

 

サイドステップキックを仕掛けるが左奥に回り込まれて軸足に蹴りを浴びる。

 

背中から地面に叩きつけられた彼が倒れながらも構えるが、師匠は構えたまま動かない。

 

「なめやがって!!」

 

起き上がりの蹴りを捌かれ、立つと同時に突きの応酬。

 

顔に迫る関羽の右縦拳を左手で掴み、右手刀を腕に沿わせながら顔面に放つが手の形が変わる。

 

「がぁ!!?」

 

後ろに下がる関羽の顔からは血が流れ落ちていく。

 

右手刀打ちは貫手となり、関羽の右目を薬指で抉っていたようだ。

 

「長老!!!」

 

勝機と見るや人修羅の体が揺れる。

 

鈍化した世界。

 

潰れた右目の死角となった右側に目掛けて縦拳が放たれる刹那、関羽も動く。

 

右肘を上に目掛けて放ち、縦拳を弾くと同時に右手で人修羅を押す。

 

一歩下がったその距離なら間合いは十分であり、人修羅の心臓部位には指が伸ばされている。

 

「ゴハ……ッッ!!?」

 

師から学んだ時に浴びたワンインチパンチが再び彼を襲ってくる。

 

胸骨が砕かれて大きく突き飛ばされた彼が倒れ込み、胸を押さえて苦しみ悶える。

 

「夏候惇ではないが、片目を潰された程度で戦意が怯む武将ではないぞ」

 

「ぐっ……がっ……ゴハッッ!!」

 

師の一撃は心臓にまで達しており、彼の心臓は破裂している。

 

大きく吐血する彼が倒れ込みながらも強敵として立ち塞がる師匠に視線を向ける。

 

「じゃが、ワシに深手を負わせる程の功夫を練り上げていたのじゃ…油断は出来ん」

 

関羽の左手に持たれているのは彼を象徴する青龍偃月刀であろう。

 

「立て…冥土の土産に我が刃を浴び、悪魔共に語り継ぐがいい」

 

苦しみながらも立ち上がる人修羅は両手に光剣を放出する。

 

朴歩の形をとり、両腕を交差するようにして構える。

 

関羽も自身の魔力を偃月刀に纏わせて構えた時、互いに動き出す。

 

「いくぞ!!」

 

下から切り上げる左右斬りを偃月刀の柄で受け止めていく。

 

纏わせた魔力が光剣の熱を受け止める事で溶断出来ない。

 

身を翻して袈裟斬りを避けると同時に回転する左薙ぎを狙う。

 

人修羅は後方に身を捩じりながら跳躍し、左薙ぎを避ける。

 

互いの斬撃の応酬が続き、交差した光剣を柄で受け止めながら弾き飛ばす。

 

左切り上げ、右薙ぎと続く偃月刀を避け、逆袈裟を両手の光剣で受け止める。

 

右足が払い蹴りを受けるが人修羅は片足跳躍を行う。

 

前方宙返りを加えた両手唐竹割りを仕掛けるが偃月刀の柄で受け止められてしまう。

 

足を刈り取る払い切りに対して後方に側方宙返りを行いながら着地して構え直す。

 

「好好…それでこそワシの弟子じゃ。歴史に名を遺した三国武将達を思い出すわい」

 

「ハァ!ハァ!ハァ!!」

 

彼の心臓は破壊された事で血液が循環しておらず、放っておけば手足の末端から腐っていく。

 

「本来の魔力を解放しておればワシなど敵ではなかろうに。その甘さが戦場では命取りよ」

 

「くっ…まだ俺は…倒れちゃいない!!」

 

互いが摺り足を行いながら間合いを図り合う。

 

「これが最後の警告じゃ…もう殺戮の日々を止め、魔法少女社会と関わるのをやめるのは?」

 

「言ったはずだ!悪即斬は止まらない…魔法少女が魔法少女を死刑にしないなら…俺が斬る!」

 

「ならばその凶刃…ワシが断たねばならぬ。弟子の凶行は師の責任よ」

 

「俺は…間違ってなどいない!!」

 

間合いに入るや否や、向けられた偃月刀を左の光剣で下から払い斬りする。

 

右手の光剣放出を下側から放出し、左薙ぎを仕掛けるが偃月刀の柄で受け止められる。

 

左光剣の右薙ぎを避けると同時に身を捩じる一回転からの一撃を放つ。

 

「うぅ!!」

 

一回転を加えた柄に両足を刈り取られた人修羅が倒れ込む。

 

振り下ろされる偃月刀の唐竹割りを左の光剣で受け止めると同時に右手を地面につく。

 

穿弓腿の蹴りを放つが柄で受け止められ、さらに空中できりもみしながら右横蹴りを放つ。

 

それでさえ柄で受け止められ、腕力で突き飛ばされてしまう。

 

体を横倒しにして回転を加える着地をしたが、前方からは偃月刀の突きが迫ってくる。

 

両手の光剣で下側から交差して弾くが、体勢が押し出されてしまう。

 

後ろに下がる彼の目の前からは石突を地面について跳躍した関羽の蹴りが迫るのだ。

 

「ガハッ!!」

 

がら空きだった深手の胸部に飛び蹴りが決まり、大きく蹴り飛ばされて建物を砕いていく。

 

「も…もういいネ!!お願いだから老師…もうやめて欲しいヨ!!」

 

「…彼は最後の警告を蹴った。これからも尚紀君は魔法少女を殺し続けるだろう」

 

「そんな…まさか…まさかナオキを…!?」

 

「彼がもたらす全体主義によって、大勢が弾圧されて死ぬ。死を振りまく事しか出来ん」

 

――大儀だの戦争だのという言い訳がなくなれば…そこには何が残る?

 

――自分達の理想の為に人を大量に殺してきた大量虐殺者が大勢生まれただけヨ。

 

長老と話した内容が美雨の脳裏を巡っていく。

 

「魏と呉の計略で殺されたワシとて、死後数百年に渡って恨みを持った魂として彷徨った…」

 

「義に生きた長老も…人々に害しかもたらさない悪霊になてしまたのカ…?」

 

「普静大師はこう言った。それなら、お前に殺された大勢の人々はどうなるとな…」

 

「長老は…その人のお陰でやり直せたのか…?」

 

「誰かのお陰でワシも悟りを得て救われた。ワシとの戦いもまた…彼に悟りをもたらす道…」

 

偃月刀の刃を地面に突き刺し、魔力を最大まで解放する。

 

魔力の柱が天を貫き、柱の中から現れたのは赤兎馬に跨る関羽の姿なのだ。

 

「この一撃をもって!!我が意思を汝に刻む!!」

 

大きく蹴り飛ばされた人修羅は瓦礫に塗れた路地裏で倒れ込む。

 

「ぐ…つ、強い…流石は…俺のマスターだ……」

 

意識が薄れていく彼の耳に聞こえてくるのは馬の蹄の足音。

 

よろけながらも立ち上がり、空を見上げる。

 

異界の夜空には大きく跳躍した赤兎馬の上で青龍偃月刀を振りかざす関羽がいる。

 

<<さぁ、人修羅よ!!汝の意思を我に示せぇーーッッ!!>>

 

鈍化した世界。

 

居合の構えを作り、光剣に魔力を収束させていく。

 

(マスター…俺の師よ。あんたが俺を導いてくれたからこそ…今の俺は生きている)

 

空から赤兎馬が迫り、関羽の刃が振り下ろされていく。

 

「俺はあんたを超える!!俺が間違っていたとしても…師を超える事が弟子の恩返しだ!!」

 

収束した魔力を纏った光剣が関羽の一撃よりも先に振り抜かれる。

 

放たれた一撃とは死亡遊戯の一撃であり、関羽の一撃を遥かに超えた速度で迫っていく。

 

「ガッ……!!!」

 

赤兎馬の首は真一文字に両断され、関羽の胴体も切断していく。

 

放たれた居合エネルギー波は異界の空へと消えていったようだ。

 

人修羅の後ろ側に倒れ込むのは首を無くした赤兎馬と関羽の上半身のみ。

 

そして人修羅の目からは涙が伝っていくのであった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「……マスター」

 

倒れ込んだ関羽の上半身を抱き起す尚紀の体は震えぬいている。

 

「ゴハッッ!!気にするで…ない…ワシも人殺し…お前さんも人殺し…」

 

「罪人同士の殺し合いなら構わないと言うのか…?弟子が師を殺してもいいのかよ!?」

 

「それが戦の世では常…じゃが、今は戦の世では…ぐっ!!」

 

「回復道具ならある!!頼む…頼むよ!!フロストの二の舞にだけはなるんじゃねぇ!!」

 

左手にソーマを出現させるが長老は首を横に振る。

 

「ワシはな…孫文らが起こした中国革命によって…母国が全体主義国家になるのを憂いていた」

 

「あんたは…19世紀の革命時代から世界にい続けた悪魔だったんだな…」

 

「ワシをこの地に召喚したサマナーとは中国人…じゃが彼も…全体主義の恐怖に怯えていた」

 

「共産主義は宗教を弾圧する…だから悪魔を使役するサマナーもまた…弾圧される…」

 

「ワシは主人と共に逃げ、中国生まれの日本人達と共に…日本に流れ着いたのじゃ…」

 

「そこでアンタは…サマナーと一緒に神浜に根差したんだな…」

 

「…いや、ワシの主人は日本の来た頃に流行り病で死んだ。召喚されたワシを残してな…」

 

「どうやって生き延びたんだ?先祖が悪魔という者達なら受肉していられるが…」

 

「感情エネルギーを媒体にして生まれた悪魔は同じものがいる…術者がいなければ…枯渇する」

 

「まさか…あんたは人間達を集めて蒼海幇を組織したのは…」

 

「違う…人を襲えば感情エネルギーを啜れるが…それを選ぶぐらいなら…死を選ぶ」

 

「なら…あんたはどうやって生き残れてきたというんだ…?」

 

関羽は懐から一枚の古びた写真を取り出して見せてくる。

 

「モノクローム写真…年代物だな。ここに写っているのはあんたと…この少女は?」

 

「…魔法少女じゃ」

 

「なんだと!?それじゃあ…あんたは魔法少女から…?」

 

「魔法少女達は…魔力を使えば使う程、負の感情エネルギーを蓄積出来る。ワシら悪魔は…」

 

――()()()()()()んじゃよ。

 

それを聞いた人修羅の脳裏にボルテクス界の記憶が蘇ってしまう。

 

「勇の感情エネルギーをマントラ軍副司令官だったトールが吸い出した場面に出くわした…」

 

「マグネタイト、あるいはマガツヒと呼ばれる感情エネルギーは…悪魔の食事じゃよ…」

 

「人と同じように食事をしなければ悪魔も生きられない…だから悪魔は拷問してでも取り出す」

 

「苦しめれば苦しめるだけ上質なマガツヒが味わえるが…ワシはせん。体を維持出来れば十分」

 

「それじゃあ、あんたは魔法少女のソウルジェムを利用して…()()()()()()()()のか?」

 

「彼女を…魔法少女を…()()()()()()()()()。それがワシを助けてくれた魔法少女への…恩義」

 

魔法少女に人生を救われた悪魔が目の前にいてくれる。

 

その在り方こそ、風見野市で生きた人修羅の在り方だったはず。

 

「お前さんにはいなかったのか…?()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

関羽の体から形を構成していた感情エネルギーが放出されていく。

 

「いた……俺にもいたよ!!だから頼む…これを使って回復してくれぇ!!」

 

「思い出せ…かけがえのない…存在は…本当に…()()()()()()()()()()()()()()

 

それを聞いた瞬間、尚紀の脳裏を駆け巡ったのはこの世界の原点の光景。

 

雨が降りしきる何処かの街の路地裏。

 

流れ着いた悪魔は汚れ切った衣服を纏って路地裏の壁に座り込む。

 

世界への理不尽に怒り、全てを呪っていた時に手を差し伸べてくれた存在がいた。

 

「あ……あぁ……」

 

彼を最初に救ってくれた存在は人間ではなかったはず。

 

「俺は……俺は……」

 

全てを呪う悪魔に手を差し伸べてくれた存在とは、()()()()()()()()()()

 

「やっと…思い出せたか…ならワシの死も…報われる…お前さんにも…悟りを…与えられ…た」

 

――ワシと…同じ道ではない…と…気づいて…くれ…やり…なお……せ。

 

感情エネルギーが空に目掛けて放出された事で蒼海幇の歴史を作った長老は最後を迎える。

 

茫然とした表情を空に向けていたが、悲鳴の如き叫び声が聞こえてくる。

 

「これが!!これが()()()()()()()()()()()()ネ!!」

 

両膝が崩れて泣き喚くのは走ってここまで来ていた美雨であろう。

 

後ろからは遅れてナオミとニコラスも近づいてきたようだ。

 

「私が…人殺しはダメだて言い続けたのは…こんな末路にいつかなるて…わかてたから!!」

 

泣きじゃくる彼女を見ても思考も心も定まらない。

 

「どうして…どうして普通に接してくれなかたカ!?お前なら違う接し方だてあたはずヨ!!」

 

――お前のように度し難いお人好しで…義に熱い心優しい悪魔なら…喜んで受け入れられたヨ!

 

美雨の肩を掴みながらナオミは首を振る。

 

既に尚紀の心はここにあらず、周囲の雑音さえ聞こえてはいない。

 

「ヒッ…ア…アァ…アァァァァ……」

 

周囲の異界も解けて朝日の光が彼らを照らす中、嘉嶋尚紀は発狂してしまう。

 

「あ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ーーーーッッ!!!!」

 

悲鳴にも似た叫び声を上げ、頭を抱え込みながら走って逃げだす。

 

嘉嶋尚紀は交わした約束の内容を守ろうと足掻いた者だが、()()()()()()()()()()()

 

かけがえのない者達を守る力になれ。

 

それは人間だけではなく、人生を懸けてでも守りたい人のためにもあったはず。

 

魔法少女を守る、魔法少女を呪われた運命から解放する。

 

それこそが、彼がこの世界に流れ着いた頃に最初に目指そうとした原点。

 

ならば彼が人間の守護者として生きた道とは何だったのか?

 

魔法少女を守るどころか、魔法少女を殺戮していくだけの道でしかない。

 

呪われた運命から解放するどころか、死と恐怖という呪いをばら撒いていった勘違いの道。

 

それにようやく気が付いてしまった彼はもう後戻りなど出来ないだろう。

 

彼の歩く道は既に定まらず、逃げ出した先とて誰にも分からなかった。

 

 

「……そうかい、あの人が…死んだんだね」

 

長老の武術館には俯いて泣き続ける美雨がいる。

 

彼女は言葉にならない声で必死になって長老の最後を語ってくれる。

 

「…ありがとう、美雨。あの人の最後を……見届けてくれて」

 

優しく頭を撫でてくれた長老の妻は彼女を見送ってくれる。

 

大きな溜息を出した後、武術館の中に戻っていく彼女は遠い眼差しを浮かべてしまう。

 

「思い出すね…悪魔と一緒にこの武術館を開いて、蒼海幇を組織した日の出来事を…」

 

武術館に置かれた机の元まで来た彼女は左手の指輪を中指から外す。

 

左手の指輪は形を変え、濁ったソウルジェムとなってしまう。

 

それを机の上に置いた後、置いてあったハンマーを持ち上げていく。

 

「魔法少女なのに…十分過ぎるぐらい長生き出来たよ…悪魔と一緒に人生を生きられたから…」

 

――アタシは……()()()()()()()()()()()()()んだ。

 

まるで飛び降り自殺でもするかのような表情をしながら彼女はハンマーを振り下ろす。

 

ソウルジェムが砕けると同時に彼女は横に向けて倒れてしまう。

 

抜け殻となってしまった遺体が光を放ち始め、円環のコトワリへと導かれて逝ってしまう。

 

ここにいてくれたのだ。

 

魔法少女を辞められる可能性を示してくれる女性が神浜にはいてくれたのであった。

 




読んで頂き、有難うございます。
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