人修羅×まどマギ まどマギにメガテン足して世界再構築 作:チャーシュー麺愉悦部
気が付けば自宅のベットで目を覚ます。
「………………」
静かに体を起こし、胸に手を当てる。
「……生きてる」
アリナはあの時、リリスの魔法によって石にされて殺された。
しかし石化は解けており、生命が活動している証拠である心臓の音も聞こえる。
彼女の魂であるソウルジェムの指輪の感触も左手に感じた。
暗い自室の中を見回す。
彼女の服が収納されたクローゼットは扉が開いている。
中に見えたのはフリーメイソンに入団した時に使った儀式正装だ。
それにテーブルの上には高級なケースに収められている双頭の竜の形をした装飾バッジ。
あの悪夢の光景が現実にあったと証明する品の数々から視線を外し、両手を見つめる。
「………アリナは」
まだ生々しく残っている小さな命の温もり。
彼女はその命の灯火を業火の中へと投げ捨てた。
神への供物とするために。
自身の美へとするために。
震えているのだろうか?
いや、手の震えは既に収まっていた…しかし。
「………くっ!!」
ベッドから飛び起きたアリナは、地面に脱ぎ捨てたままの学生服に袖を通して部屋から飛び出す。
親の静止もふりきり、彼女はガムシャラに夜の街を走って行く。
今の時間帯ならば神浜の魔法少女が魔獣狩りに精を出している時間帯だろう。
栄区の街を走り続ける彼女は一体、何処に向かっていくのだろうか?
それは彼女自身にさえ分からなかった。
……………。
大東区から栄区に向けて夜空を飛ぶのは、ハロウィンが生んだ魔法少女であるマジカルかりん。
隣の上空を飛んでるのはハロウィンお供のジャック・ランタンだ。
「まったく、昨日は北から南、今日は中央に東と…忙しいことこの上ないホ」
「私は決まった狩場を作らないの。困っている魔法少女を助けるのがマジカルかりんなの」
「ソロで頑張っていくのはいいけど、なんで東まで助けに行くホ?いい顔されなかったホ」
「私はこの街の東西軋轢なんて気にしないの。マジカルかりんは正義の怪盗だから」
「手に入れたグリーフキューブも全部渡す義賊活動。みんなから心配されてないかホ?」
「そこは…上手くごまかしてるの。ランタン君が私の穢れを吸い出してるなんて…言えないの」
「魔力切れの心配は悪魔の俺が解決してるホ。それでも…魔法少女として生きるのかホ?」
少し俯いてしまうが、顔をあげて迷いのない表情を向けてくる。
「うん…。たとえ私が魔力切れの心配がなくなったとしても…私は正義の味方でありたいの」
「まぁ、いきなり魔法少女を引退します~なんて皆に言ったら、かえって怪しまれるかもホ」
「そういうことなの」
1人と1体の飛行物体が東地区を超え、自宅がある栄区に入った頃…。
「あれ…?この魔力は……アリナ先輩?」
「あ、お~いかりん!?」
いきなり急降下した相棒をランタンは慌てて追いかけて地上に下りる。
かりんは魔法少女姿を隠すために路地裏に着地し、乗り物の大鎌の柄から飛び降りた。
「魔獣の瘴気は感じられないけど…どうかしたのかホ?」
「アリナ先輩の魔力をこんな場所で感じるなんて…珍しいと思って」
「あの怖い先輩?そいつは今の時間帯だと魔法少女活動をしてないとか言ってなかったかホ?」
「そうなの…いつもは皆が寝静まる時間帯で、気が向いたら活動してたぐらいだったから…」
「お…俺は先に家に帰るホ。見つかったら…アートのための標本にされかねんホ」
「そうした方がいいと思うの。私はアリナ先輩に挨拶してから帰るから」
「まったく…あの恐ろしい先輩の何処をそんなに気に入ってるのやら分からんホ」
「周りの人達にはそう見えても…アリナ先輩は…本当は優しい人だから」
「はいはい…それじゃあ、先におさらばだホ~」
ランタンは飛行しながら帰っていく。
見送った後、魔法少女姿を解除してから歩みを進めていく。
「この先はたしか…廃墟になった神浜記録博物館?」
音楽や映画を鑑賞できる巨大博物館が栄区にあったようだが、今は閉館して廃墟となっている。
誰にも見られないよう閉館した館内に入るための扉に手を伸ばそうとすると…。
「扉のガラスが割られてるし、鍵をこじ開けたような跡が残ってるの…」
怪訝な顔をしながら扉のレバーに手を伸ばし、扉を開けて館内に入る。
瓦礫が散乱した大きな廊下を進んでいくと開けた場所に出た。
踊り場途中で左右に分かれる両階段の踊り場に座り込み、顔を俯ける人物がいた。
「………何しにきたワケ?」
座り込んでいたのはアリナ・グレイ。
彼女は顔を上げもせず声だけだし、侵入者を拒絶した。
────────────────────────────────
「アリナ先輩…どうしてこんな場所で独りぼっちなの…?」
「………アナタには関係ない。アリナなんてほっといて」
顔を向けてくれない時は日常で何度もあったが、今の彼女は酷く落ち込んでいるように見える。
只事じゃない事が先輩に起きたのだと判断して、彼女を心配する言葉を言う。
「何かあったの…?私で良かったら相談に……」
「ふざけんなぁぁぁぁぁぁッッ!!!!!」
突然怒声を上げながら立ち上がり、アリナはかりんを睨みつけてくる。
「お前にアリナの何が分かる!?後輩面してるからって…調子に乗るなぁ!!!」
自分の苦しみは自分だけで背負えばいい。
自分に厳し過ぎる完璧主義者だからこそ、他人の優しさを拒絶してしまう。
怒鳴られて体を一瞬震わせたが、かりんは前に出て口を開く。
「何かあったことぐらい分かるの!今のアリナ先輩は…誰が見ても苦しんでるって分かるの!!」
「アリナは苦しんでなんていない!!アリナは自分の面倒ぐらい自分で見られるワケ!!」
「どうしてそんなに強情なの!?訳ぐらい話してくれても損はないの!!」
「シャラップ!!アリナに構うな……ゲラウェイ・フォーミー!!!」
転がっていた瓦礫を拾い上げて彼女の足元に投げつける。
大きな音を立てる館内。
何かに追い詰められているとかりんは察した。
「アリナ先輩…苦しい時は苦しいって、言っていいの!!」
「アリナが苦しんでる!?違う!!アリナは苦しんでなんていない!!」
――アリナは…生まれ変わったワケ!!!
「生まれ……変わった……?」
言葉の意味は分からない。
かりんにとって、目の前にいるアリナが別人のように見えるのか?
いいや、いつも通りの先輩にしか見えてはいない。
怒りのまま拳を握りしめていたが手を開き、背中を向ける。
「…そんなにアリナに構いたいワケ?なら、正義の怪盗マジカルかりんとして…言ってみて」
「マジカルかりんとして……?」
少しだけ沈黙した後、アリナは意を決して言葉を紡ぐ。
「もし、自分の美を完成させるために…ベビーを殺す存在がいるとしたら…」
――正義の怪盗は…そいつを許すことが出来るワケ?
どうしてそんな酷い例えを彼女が言い出したのか、かりんは知る術もない。
しかし正義の味方として言える言葉がある。
「そんなの…絶対に許せないの!!」
――マジカルかりんとして、その悪者をやっつけるの!!
道徳や正義に反する存在なら、無条件で悪として断罪してしまいたい心理が働いてしまった。
結果だけで全てを判断し、原因を追究するのをやめてしまう。
これが結果論の恐ろしさであり、善悪二元論脳とも言えるだろう。
館内に低い笑い声が響く。
かりんの笑い声ではない、アリナの笑い声だ。
「フッ…アッハハハ……ジャスティスガールが言いそうなセリフ。期待した通りだったワケ」
振り向き、両手を広げて宣言する。
「アリナはね…正義を気取る連中が大っ嫌い。その時の感情的正しさしか見ようとしない」
自分のやっている事を客観視しない、弊害は棚上げする。
救いようのない
かりんはこう言ってあげるべきだったのだ。
なぜ、その人物は赤ん坊を殺すような状況になってしまったのだと…。
「私が…感情的正しさしか…見ようとしていない…?」
アリナの言葉の意味すら理解出来なかったかりん。
それが、彼女達の道を
「アリナはね、そのベビーキラーを賞賛してあげる。そいつは自分自身を貫き通せたカラ」
「そんなのおかしいの!赤ちゃん殺しだなんて…最悪の行為なの!!」
「デスは始まりに過ぎない、それがアリナの美。これからのアリナの人生は…それだけを求める」
――妥協と甘さを研磨しつくす…アリナのニューライフ。
「恐れはしない。それこそが、強者として生まれ変わったアリナだカラ」
「言っている意味が分からないの!アリナ先輩…正気に戻ってなの!!」
右手を持ち上げていき、親指と人差し指を丸めていく。
瞼が開いた右目に指穴を掲げたハンドサインとは…666OKサイン。
片目の単眼とはプロヴィデンスの目を表す。
プロヴィデンスの目と獣の数字を表すサタンを崇拝する者だと宣言するサインだ。
「私はパワー。何者にも打ち克つパワーの結晶。だから何者にも負けない」
あらゆるすべてのものに打ち克つパワーなのだと宣言する。
顔の前に掲げた右手を前に翳し、サタンの指サインであるコルナサインを掲げるのだ。
「そうよ!!強いパワーの結晶なのよ!!!」
かりんの目に不可思議な光景が映る。
アリナの背後に誰か、知らない少女の姿が霞んで見えた気がした。
常軌を逸脱したアリナの態度を見て、魔獣に操られているという見当違いの思考が巡っていく。
かりんは魔法少女に変身してしまった。
「アリナ先輩…やっぱり何かに操られているの!私が救ってあげるの!!」
「ジャスティスガールとして?何処までも変身ヒロインの世界観に浸りたいというなら…」
――ここで、アナタとはお別れなワケ。
踵を返し、踊り場右側の階段を上っていく。
「待ってなの!!」
かりんも階段を登ろうとした時、アリナの魔力が高まるのを感じた。
既に彼女も魔法少女姿に変身しており、右掌には魔法武器であるキューブが浮かぶ。
「アリナと戦いたい?それ以上階段を上がってくるなら…容赦しないんですケド」
「アリナ…先輩……」
「…何処までもアナタはフールガールだったワケ、御園かりん」
――もしも…もしもさっき…自分に都合のいい感情に囚われていなかったら。
――自分の言おうとしている言葉を飲み込み、冷静になってくれていたなら…。
「アリナはね……
「勧誘……?」
「でも、それは正義のヒロインを
――選んだその道を貫く姿、アリナに見せてくれる日を…願っているカラ。
そう言い残して、彼女は階段を上り切り奥の扉を開けて回廊から出ていく。
独り残されたかりん。
彼女は不安と恐怖で心が塗り潰されていく。
大好きな先輩にもう会えなくなってしまうのだと言い知れぬ恐怖に怯えるばかりであった。
……………。
奥の展示室を歩きながら右手を持ち上げて見つめる。
右手はまだアリナの弱さが残っているかのようにして小さく震えていた。
「お互いに…妥協しちゃダメだヨネ。アリナが妥協するなと言った以上は…アリナも妥協しない」
頑固な先輩だったけど、それでも御園かりんはアリナを先輩と呼んでくれた。
「嘘つきな先輩の姿を…慕ってくれた後輩に見せるわけにはいかない…ヨネ」
弱さを吐き出すようにして唾を吐いていく。
暗い通路を歩いて行ったアリナの姿は…闇の世界へと消えていった。
罪を憎んで人を憎まずという言葉がある。
原因があるから結果が生まれる因果関係にこの世は支配されていると気が付いた者の言葉だ。
だが、人は見えやすいモノしか見ようとはしてくれない。
分かりやすい善悪しか受け入れてはくれない。
余りにも酷い人間の浅慮が、善悪を生み出し人々を分断してしまう。
先で起こるだろう神浜騒乱の時に、人修羅はこんな言葉を残した。
人は正しさを求める。
楽な正しさをな…。
────────────────────────────────
次の日、アリナは学校に現れなかった。
帰りにギャラリーグレイに顔を出しに行ったかりん。
しかし、アリナの父親からはこう言われた。
「…娘の体調が悪いんだ。今日は帰ってくれないかい」
「……分かったの。あの…アリナ先輩によろしく伝えておいて欲しいの」
「……ありがとう。さようなら」
かりんは渋々家路についていく。
アリナの父親は嘘をついていた。
昨日の夜から娘の姿が消えているのだ。
自室の荷物も持ちだせる範囲までのものが消えていた。
アリナの両親は理解している。
娘は家出をしたのだと。
だが、両親は学校にそれを連絡していないし警察にも連絡していない。
アーティストとして将来が約束された娘の経歴に汚点を残したくない親心である。
大手の探偵事務所に依頼をして捜査を行ってもらうだけに留めてしまっていた。
彼女はいったい何処に消えてしまったのだろうか?
それは神浜市にいる者達では誰にも分からない。
かりんが帰ってから数時間後の夜…。
グレイ家の前に数台の黒塗りセダンが停車したという目撃情報が近所の住人達の間で語られる。
それ以来、グレイ家に住む人達を近所の住人達が見かけることはなかったという。
……………。
日にちも過ぎていき、月が変わった9月4日。
日付が変わりそうな時間帯を走行していく一台の黒塗り高級セダンが見えてくる。
「こんな深夜に晩餐会だなんて…何考えてるワケ?」
後部座席で窓から東京の街並みを見物している人物とはアリナ・グレイ。
車が停車する。
運転手が後部座席を開け中から降りてきたのはフォーマルスーツを着たアリナの姿だ。
彼女…いや、彼が降り立った場所とは東京でも最高級と言われる外資系ホテル。
「付き添いはいい。晩餐会ルームの場所はホテルの連中に聞くカラ」
「承知しました」
深々と頭を下げアリナを見送る。
高層ホテルビルに入り、受付に質問する。
晩餐会を行う部屋に案内するベルスタッフを待っていたが、ホテルの総支配人が現れた。
「今夜の晩餐会は特別な部屋で行います。他のスタッフに知られるわけにはいきません」
「どうでもいい。さっさと案内して欲しいんですケド」
「では、こちらにどうぞ」
案内されたのは秘密のエレベータールームのようだ。
「こちらが専用の直通エレベーターとなります」
「オーケー。後はアリナ1人でいいから、アナタは消えるワケ」
「分かりました」
アリナはエレベーターに入り、深々と頭を下げる総支配人の姿を扉を閉めて遮った。
上昇していくエレベーター内で溜息をつく。
「アリナは生まれ変わって男になった…。だけど…まだ男装には慣れそうにないんですケド」
後ろ髪を括って男らしさをアピールしている髪を触っていたら目的地に到着。
エレベーターから出れば、宮殿の回廊かと見紛うばかりの豪華な通路が出迎えてくる。
「VIPしか入れないシークレットエリアってワケね」
回廊を歩き続ける。
奥に現れたのは豪華な両開きのドアのようだ。
「ここが晩餐会ルーム?だけどこの魔力は…魔法少女?」
魔法少女だからこそ魔力を持つ存在に気が付いた。
1人はシド・デイビスだというのは分かるが、もう1人感じる魔法少女の存在は全く知らない。
恐る恐る扉を開ける。
「ここは……」
絵画や陶器が飾られた宮殿のような食堂。
明かりは蝋燭しかなく薄暗い。
蝋燭が立てられた燭台とはヘブライ民族の象徴であるメノラーであった。
「……………」
部屋の中で一番最初に目に入ってきたのは女性人物。
(外人ガール…?)
185cmはある高身長をした白人女性。
美しいブロンドヘアーをセンター分けにし、長い後ろ髪を黒いリボンで纏めている。
男装フォーマルスーツを着込み、左手には銀の鞘に納められた剣を握り締める者であった。
東京の守護者として戦い抜いた人修羅ならば忘れるはずがない人物。
かつてのペンタグラムメンバーであり工作員でもあった魔法少女…ルイーザ。
そのオリジナルだ。
「アナタ…魔法少女なワケ?」
「
片言の英語しか喋れないアリナは溜息をつき、会話出来る相手ではないと視線を逸らす。
<<
低い声が響いた方に振り向く。
長い机の奥に座っているのは白人の老人である。
ダブルボタンスーツを着込み、英国紳士のように見えるが蛇のような目を向けてくる存在だ。
「魔法少女がロードって言ってたけど、この頭が禿げた老人がイルミナティの主人?」
答えを求めるかのように視線を向けるのは、老人の横に立つシド・デイビス。
「ロスチャイルド卿への侮辱発言…もし卿が日本語を理解出来ていたラ…アナタは死んでましタ」
「ロスチャイルド卿…?」
「手前側に座りなさイ。ロスチャイルド卿は家畜の匂いが大嫌いなのでス」
「…アリナを家畜扱いってワケ?ムカつくジジイだヨネ」
「アナタだけではなイ、非ユダヤ全てが家畜なのでス」
「ユダヤ以外は……全て家畜……?」
「命が惜しけれバ…手短に晩餐会を終えましょウ。卿の言葉は私が通訳しまス」
背後に殺気を感じる。
後ろに控えていたルイーザは既に、親指を使い鞘から剣を抜いていた。
「…これが晩餐会って空気なワケ?…イカれてるヨネ」
指示された通り、手前側の椅子に座りロスチャイルド卿と呼ばれる人物と向かい合う。
睨んでくるばかりの年寄りに辟易して周囲の芸術品に視線を向けていく。
(あの絵画…何?人骨塗れの大地と白ウサギ…それに分子構造の形…ウサギの頭…?)
奇妙な絵に心を奪われている人物を見物しながらイルミナティの司令塔人物は溜息をつく。
「
横のシドに視線を向け、彼も頷き重い口を開く。
それを通訳してシドは内容をアリナに伝えてくる。
「初めましテ、アリナ・グレイ。私はJ・ロスチャイルド…ロスチャイルド家の4代目当主ダ」
「J…?」
「我らの神ハ、お前の面倒を私に託されタ。不本意ではあるが面倒をみてやろウ」
「それが…アリナが家出した時に用意してくれた…あの豪邸ってワケね」
「生活に困らない環境は与えてやるガ…お前が我々の期待に応えられないならば…許さなイ」
「アリナの面倒を見てくれるなら、アリナもアナタの事を知りたい。ロスチャイルドって何?」
自分の一族について聞いてくる者に対して、長々説明する気にもならないJは無言となる。
彼の代わりに説明してくれたのはシドであった。
ユダヤの大富豪ロスチャイルド家。
その一族の祖となったのは、世界の総資産の半分を独占した男と言われる銀行家。
マイヤー・アムシェル・ロートシルト。
ドイツの古銭商人であったが、ヘッセン選帝侯の御用商人の銀行家となったことで成功。
ナポレオン戦争で莫大な財を成したという。
彼には優れた5人の息子達がいた。
息子達はドイツ・イギリス・フランス・イタリア・オーストリアに分かれて一族を大きくする。
だが、ロスチャイルド家は秘密主義であり親族者との婚姻しか認められなかったという。
そのため生まれてくる子供は病弱な者が多く、ドイツ・イタリア・オーストリアの3家は消滅。
現在はイギリスとフランスの2家だけが残っていた。
「マイヤーが残した言葉ガ…21世紀まで続く世界の金融支配構造を語りまス」
――私に一国の通貨の発行権と管理権を与えよ。
――そうすれば、誰が法律を作ろうと、そんなことはどうでも良い。
マイヤーが作り上げたのは富の収奪システム。
国家の富を滅ぶまで永遠に略奪出来る金融仕組みを生み出した。
このため、世界の金融を生み出したのはロスチャイルド家なのだと言われることとなっていった。
第三代アメリカ大統領トーマス・ジェファーソンは、こんな言葉を残す。
――銀行は、軍隊よりも危険である。
――通貨発行権を奪われたら、我々の子孫は…。
――ホームレスになるまで銀行に利益を吸い上げられてしまうだろう。
「…まぁ、ロスチャイルド家ってのが大金持ちってだけは理解出来たワケ」
「大金持チ?世界の長者番付で紹介される程度の貧乏人共ト…勘違いしてませんカ?」
「…どういう意味?」
「本物の銀行資産家達は表になど出てきませン。その資産は非課税団体に溜め込み財を蓄えル」
「ようは…資産を隠す脱税が上手い連中ってワケね」
「ロスチャイルド家の総資産は既二、日本円で言えば一京円を超えているそうでス」
「い…一京円!!?」
「光栄に思いなさイ。不本意とはいエ、世界を代表する金融王の庇護の下で生きられるのでス」
長話に興味が無いのか、右手を上げて自分の一族の話題を遮る。
横の扉が開き、ルームサービスの品である食前酒が持ち運ばれてきた。
「…アリナにまでアルコールを注ぐワケ?」
「構いませン。もう直ぐアナタは未成年という決まり事なド…意味をなさなくなル」
「ハァ…?」
血のように赤い赤ワインが注がれたグラスに視線を向け続ける。
気が付けばアリナの横にはルイーザの姿が立っていた。
「ちょっと!?」
ルイーザは懐から取り出した小さな瓶の中身を少量、赤ワインの中に入れ込んだようだ。
「
邪悪な笑みを浮かべたルイーザは後ろに下がり、再び沈黙。
食前酒を注がれたグラスを持ち上げ、不敵な笑みを浮かべたJ。
「
アリナもグラスを持ち、怪訝な表情を浮かべながらも未成年飲酒行為。
(なに…?アルコールって…こんな味わいなワケ?)
飲み込んだ瞬間、妙な高揚感に襲われる。
(心が解放されていく…まるで…建前の仮面を剥ぎ取られた気分…)
ルイーザが口にしたラビットという単語。
アリナはもう一度ウサギの絵画を見る。
人骨の上に佇むウサギの瞳は…
「如何でしたカ?アドレナクロムの味わいハ?」
「アドレナクロム…?」
ルイーザに注がれたモノの正体をシドは知っているかのような素振りを見せる。
その表情はJと同じく…愉悦に満ちていた。
────────────────────────────────
「さテ、今宵の晩餐会の料理が運ばれてきましたネ」
視線を扉の方に向ければ配膳ワゴンに乗せた大きな皿と銀の蓋を持ち込むルームサービス達。
銀の蓋で覆われた二つの大きな皿をアリナの食卓前に並べた後、部屋を出ていく。
「
「アナタは死んで生まれ変わっタ。しかシ、まだ人間性が残されている粗削りな石でス」
「まさか…この晩餐会も……アリナの試練だっていうワケ…?」
「我が主は残さず食べろと仰いましタ。そうしてあげなさイ…これもまタ…」
――死と再生の美なのでス。
何が仕込まれているのか判断出来ないが、拒絶出来る空気ではない。
恐る恐る銀の蓋に手をかけ、出された料理の正体を見た時…。
アリナは絶句した。
「……パパ……ママ……?」
出された料理。
それは…
頭蓋は切り開かれ、脳みそがデザートプリンのようになっている。
「アナタには死んでもらウ。人間として生きた人生全てを殺して貰ウ」
持っていたリモコンで壁に飾られていた大画面テレビのスイッチを入れる。
現実感が無い思考のまま震え抜く体を無理やりテレビ中継に向けていく。
「あ……あぁ……アァァァーーーーーッッ!!!!?」
テレビに映し出されていたのは、アリナの実家が燃え上る光景だ。
9月4日から5日未明にかけて起こった栄区の大火災光景であった。
少し前の時間。
神浜市栄区のギャラリーグレイを見つめるのは黒い革ジャンと革パンに身を包む悪魔の姿だ。
「チッ!アクセルヲイッカイ回シタダケデコノザマカ」
チョッパータイプのアメリカンバイクに跨り、首に巻いた赤いマフラーを靡かせる存在。
ヘルメットを被っていないその頭部は…魔人を表す髑髏。
死をもたらす事に特化した魔人と呼ばれる悪魔種族だ。
「グレイッテ家ダケ燃ヤセッテ言ワレテタガ、マァイイ…派手ナ方ガ楽シイカラナァ!」
【ヘルズエンジェル】
地獄の天使の名を持つ魔人であり、激しい怒りの心の実体化と言われる存在。
激情に任せて猛スピードで突っ走る魔人なのだ。
そのマシンであるハーレーの車輪も怒りのオーラである炎で形成されている。
己を憎み、周りを憎むようになった魂は暴力とスピードを己の拠り所としていた。
任務を終えたヘルズエンジェルはバイクをUターンさせる。
「感ジルゼェ…人修羅。オ前モ俺ト同ジク、
アクセルを回し、バイクのマフラーからバックファイアが噴き出す。
怒りと憎しみで全てを焼き尽くす炎、『ヘルバーナー』だ。
地獄の業火の如き炎が後方に噴出され、燃え上るグレイ家だけでなく近隣の家まで燃やす。
走り出したバイクで風を感じ、赤いマフラーを靡かせたスピード狂が去っていく。
「オ前モ俺ト同ジニナッタナラ、イッショニ行コウゼ…スピードノ向コウ側ニナァ!!」
――俺達ノ次ノ戦イハ…
……………。
自分に起きている現象が飲み込めず、アリナは硬直したまま震えるばかり。
「私は言った筈でス。二度と帰る事が出来ない世界に旅立つ事になりますト…」
「なんで…なんでパパとママを殺したワケ!!?なんでアリナの家を燃やすワケ!!?」
「アナタに全てを捨ててもらうたメ。帰る場所があれバ…
「だからって…だからって!!何も殺さなくても……」
「自分の家族を殺すのはダメデ、他人や動物なら構わなイ?都合の良い言い訳ですネ」
「そ…それは……」
「アナタは自分の死者蘇生シリーズの材料として何を使ったカ、言ってみなさイ」
「……………」
「アナタは入団儀式の時に何を材料にして捧げたのカ、言ってみなさイ」
「アリナは…アリナは……」
「死を愚弄してきたのでス。ですが我々はそれを責めませン、我々もまた死を美化する者達」
「パパ……ママ……」
見つめる先にいる両親は娘に何も言わない。
娘のための食材にされてしまっているのだから。
「両親を食べるのは嫌ですカ?ですガ、アナタは既に
「ワッツ!!?」
「アナタの新たな住処で提供された肉料理、アナタは食べてきたじゃないですカ?」
アリナの顔が青ざめていく。
「まさか…まさかあのミート料理は……」
「如何でしたカ、人間の肉の味ハ?豚肉とよく似ているでしょウ?」
胃液が逆流し、胃の中身を吐き出しかける。
必死になって両手で口を押え、涙目になりながら吐くのを堪える。
ガタガタ震えていた時、首元に冷たい感触を感じる。
首をゆっくり後ろに向ければ、魔剣を抜いたルイーザが立つ。
首元には刃が当てられ、薄く血が滲んでいく。
「
食わなければ殺すという意思表示なら、英語が話せないアリナでも分かる。
胃液を無理やり飲み干したアリナは息を切らせながら口を開く。
「なんで…なんでアナタ達は……ヒューマンミートを食べるワケ…?」
「ユダヤ人がカナンの民と交わったからですヨ」
「カナン人…?」
「カナンの地には食人文化があっタ。民族のアイデンティティは国を失おうが捨てはしなイ」
これこそが、初期のイスラエルを南北に分断した原因となった。
「イスラエル王であリ、デビルサマナーでもあったソロモンハ…カナンに根差す異教を認めタ」
その異教こそが豊穣の神であるバアル神崇拝。
生贄儀式を尊び、それに刺激がなくなればカニバリズムまで行った民族の宗教行為。
憐みの師イエス・キリストでさえ、聖書の中でカナン人を拒絶した一説がある。
マタイによる福音書15:22-23
――すると、この地に生まれたカナンの女が出てきて
――主よ、ダビデの子よ、私を憐れんでください。
――娘が悪霊に憑りつかれて苦しめられておりますと叫んだ。
――しかし、イエスは何もお答えにはならなかった。
マタイによる福音書15:26
――イエスが、子供たちのパンを子犬にやってはいけないとお答えになる。
イエスに犬と呼ばれた存在こそが、カナン人だと言われている。
一人暮らしで死んで、ペットの犬や猫に
犬とは、人を食べることも出来る存在である…だからこそカナン人を犬と言われた。
「つまり…ユダヤってのは…カナン人でもある…?」
「カナン人からフェニキア人となリ、ヴェニスの商人となっタ者達…」
「ヴェニスの商人って…あの十字軍遠征のスポンサーだった…?」
「彼らこそガ、イルミナティよりも偉大なる存在」
――世界の支配者たル…黒の貴族たちでス。
「アナタ達は…黒の貴族共の慣習に…従っているダケ…?ならイルミナティってなんなワケ!?」
「イルミナティとハ…
「どれだけ…世界史には秘密が隠されてるの…?もうアリナ…分からない……」
「分かる必要はなイ。アナタも我々の一員となったからにハ…人為的ユダヤとなってもらウ」
もはや目の前の料理に手を付ける以外に、彼女が生き残る術はない。
魔法少女に変身しようが、シドとルイーザの2人がかりに勝てる筈もないし伏兵の気配もある。
震えあがる手でスプーンを掴み、両親の脳みそに近づけていく。
「パパ……ママ……」
彼女の脳裏には、まだ死と再生に憑りつかれてなかった幼い頃の記憶が巡っていく。
「許して……許して……」
スプーンが両親の脳みそを掬い取る。
小さい彼女の後ろには、大好きだった飼い犬の姿がいたことを思い出す。
記憶の世界に浸りながらもスプーンが口元に近づけられていく。
記憶の世界には、おてんば娘でも愛してくれた優しい両親の姿が映ってしまう。
「アリナは……アリナは……」
幸せだった頃の光景が、走馬灯のように巡っていく。
彼女の人間として生きられた幸福な人生。
――弱い者は乱し、惑わすの。
――自分では何も出来ないから。
――お互いに…妥協しちゃダメだヨネ。
――アリナが妥協するなと言った以上は…アリナも妥協しない。
「アリナは……アリナはね……」
今ここで、人間としてのアリナ・グレイは終わりを迎えるだろう。
「……マイロードを進む」
――恨んでくれて…いいカラ。
大粒の涙を流しながらも両親の脳みそを…咀嚼した。
「両親の死はアナタの糧となり再生すル。物質的な人間の生き方とは他者の命を奪い糧とすル」
――それを肯定する超自然的な思想こそが弱肉強食であリ、悪魔信仰(サタニズム)でス。
それは、かつての世界で掲げた力の思想ヨスガそのもの。
「クックックック……」
堪えきれずに笑い出す老人がいる。
「
<<ハッハッハッハッハッ!!!>>
口の中でいくら咀嚼しても喉に通らせない拒絶反応を示すアリナの肉体。
それを無理やり酒で流し込んでいく。
「ちなみ二、先ほどルイーザさんが注いだ液体。アレはアドレナクロムと言いましてネ…」
――脳の松果体が恐怖を感じた時に分泌する物質であリ、高揚感を与える…
――アドレナクロムは主二、
ウサギと人骨、そして分子構造。
アドレナクロムの分子構造の形こそがウサギの頭部を表す。
飾られていた絵画の正体とは…子供達を拷問して脳から絞り出す光景だったのだ。
「フッ…フフフ…アハハハハ…アッハハハハハハハハハハッッ……」
泣きながら。
鳴きながら。
啼きながら両親の脳みそを食べつくす…おぞましい女。
狂気。
狂気。
もはや狂気しかない。
狂宴の最凶形態とも言えるだろう
旧約聖書に登場する預言者イザヤは、カナン族を見て絶句した。
子供の生贄を燃え盛るモロクのブロンズ像に投げ入れるだけでは飽きてしまい、食人を始めた。
カナンの神官は第一子は邪神のモノであり、捧げものとして差し出せと説いた。
下劣で野蛮なカナンの習慣を見たイザヤは…カナン族を罵倒した。
イザヤ書57:3-5
――お前達、女まじない師の子らよ、姦淫する男と淫行の女との子孫よ、ここに近づくがよい。
――お前達は誰を快楽の相手とするのか。
――誰に向かって大口を開き、舌を出すのか。
――お前達は背きの罪が産んだ子ら、偽りの子孫ではないか。
――大木の陰、全ての茂る木の下で身を焦がし、谷間や岩の裂け目で
落ちていく。
アリナは何処までも堕ちていく。
冥界下りをしたイナンナのように。
堕天したルシファーのように。
そんな彼女に向けて、女まじない師の姿をしたリリスはこう言った。
――恐れる必要はないわね?だって貴女は、自分の美がそこにあるのなら…。
――奈落の底にだって魔法少女に契約した時と同じく…身投げ出来るだろう女なのだから。
死海文書4Q184
―――彼女の門は死への門であり、その家の玄関を彼女は冥界へと向かわせる。
―――そこに行く者はだれも戻って来ない。
―――彼女に取り憑かれた者は穴へと落ち込む。
────────────────────────────────
良心を殺し尽くす勢いで両親の脳みそを食べきったアリナは気絶した。
秘密の従業員達に担架で運び出されていく彼女をシドは見送る。
横には黒スーツ姿の男がおり、シドに向けて口を開く。
「彼女もイルミナティ入りを果たしたのならば…イルミナティ一族の女性と同じく…」
――
イルミナティ一族から逃げ出した女性の証言では、幼い頃より虐待が始まるという。
物心つく前から親族にレイプされ、この世の全てを真逆に解釈出来るよう教育を行う。
英国ロスチャイルドの一番弟子であり、イルミナティ司令塔一族として双璧を成すアメリカ財閥。
それがユダヤ財閥のロックフェラーと言われる。
だが、当主のD・ロックフェラーは2017年に死去。
その人物の回顧録の中では、家族との関係性を内戦だと記す。
彼は娘達に甘すぎた。
そのため娘達から反逆されてしまったのだ。
良心の自由が敷かれれば、こうも秘密主義は瓦解する。
だからこそ徹底した洗脳が大切なのである。
「レイプではダメでス。それでは被害者としテ、自らの内側で完結してしまウ」
――彼女は
「では、洗脳教育とは…?」
「これから彼女の世話を行うのは私ト、見滝原総合病院の院長となりますネ」
「日本ロッジのグランドマスターが世話を?だとしたら…あの地下室ですね?」
「彼女に子供を虐待させル。眉一つ動かさずに子供の松果体から血を吸い出せるまで続けル」
――生まれ変わるのですヨ、魔法少女としての自分を捨ててもらウ。
――彼女は男となリ、加害者となリ…ダークサマナーとなル。
「ようこソ、アリナ…グローバルエリートの世界へ」
――クックッ…ハハハハハハハッッ!!!
……………。
その後のアリナの人生は苛烈を極めることとなるだろう。
身も心も削ぎ落されていくことになるだろう。
それでも彼女は這い上がってきた。
それこそが自分の選択だったから。
魔法少女になる時、インキュベーターは選択の自由を少女達に与えている。
シドも選択の自由を与えている。
それでも彼女達は自らの自由意志によって選んでしまった。
深くは考えさせないレベルに留めていたが、危険があるという事さえ伝えている。
想像力のない彼女達は自らの願いという欲望を優先して選んでしまった。
ならばそれは
断る自由を踏み躙った浅慮過ぎる己の過ち。
背負うしかないのだ。
自由とは、責任を背負える者だけが行くことが出来る道。
だからこそ人々は自由を叫ぶくせに…
本質的に人間とは、自由とは真逆の存在なのかもしれなかった。
……………。
9月も終わり、10月も過ぎていき月の終わりを迎える日。
今日は子供たちの楽しいイベントであるハロウィンだ。
神浜市郊外の街にある繁華街でもハロウィンの装飾などが街を飾る。
そんな街の中、男装したアリナが通っていく。
長い後ろ髪を隠すようにベージュ色のトレンチコートを纏い、キャスケット帽子で頭部を隠す。
「……………」
見えるモノ全てが無価値に思える程の差別に満ち溢れた眼差し。
弱き者など価値が無い選民主義に汚染され尽くしている思考。
なぜ弱い人間がたむろう街になど繰り出してきたのだろうか?
それは、研磨しても剥ぎ取ろうとしても消えない思いがあったから。
ハロウィンのカボチャ提灯がツリーのように施された噴水に視線が移る。
彼女…いや、彼の脳裏には捨てきれない思い出がこびりついていた。
「……フールガール」
――我こそは、ハロウィンを守る心優しきカボチャの王様なのだ!
――暴君の間違いなんですケド。
――そんなことないの。
――シャラップ!アリナをこんな格好にしておいて、よく言うヨネ。
――あっ…ごめんなさいなの…。
記憶に蘇ったのは魔法少女が集まった一日だけのハロウィン劇団イベントの光景。
アリナも無理やり連れていかれてオバケの仮装をさせられた。
ブツブツ文句を言いながらも、あの時だけが唯一神浜の魔法少女達と触れ合える経験となった。
アウトサイダーとして扱われながらも、楽しいイベントの時は皆アリナを悪くは言わなかった。
はみ出し者ではない、仲間のように接してくれた。
それだけは心の中で嬉しかった記憶が残っている。
「…今のアリナは、連中の前どころか…フールガールの前にさえ…顔を出す資格はない」
彼女はハロウィンを穢してしまった。
ハロウィンのルーツと言われる宗教によって。
バアル神であるモロク崇拝、悪魔崇拝によって。
そして今この時でも、ハロウィンを象徴する子供達の生き血を脳みそから吸い出している。
魔法少女の恥晒し。
魔法少女の面汚し。
血も涙もない外道。
所詮はアウトサイダー。
正義の味方を気取る魔法少女達から罵倒される光景が脳裏を巡る。
――覚えていなさい。
――貴女は、その悪魔のような醜悪美の価値観故に、人間ではいられなくなる。
――人間社会や魔法少女社会から、追われる事になるわ。
「それで構わないんですケド。アリナだってもう…許されようとは思わないカラ」
――アリナ先輩!せっかくだから一緒に言うの♪
――ハァ…なんでアリナがこんなことを。
――せーのっ♪
――トリックオアトリート!
――なの♪
トレンチコートのポケットから取り出したのは、ハロウィンカボチャのアクセサリー。
劇団イベントが終わった時、主催者から貰えたご褒美の品だ。
後輩のかりんや、神浜の魔法少女達と繋がりを感じられた思い出の欠片。
彼女は家出した時、これを持ち出していたようだ。
「…………アリナはね」
掌に置かれたアクセサリーが握り締められ、力を込めて投げ捨てる。
思い出の欠片はハロウィンツリーの辺りまで飛んでいき沈んでしまった。
「何処までも沈んでいって堕ちていく。でも恐れはしないカラ。そこにアリナの美がある限り」
――グッバイ…マイフレンド。
踵を返して自分のいるべき場所へと帰っていく。
選んで進んだ道とはこの世の地獄であり、冥界の道とも言えるだろう。
悪魔と、悪魔の如き存在達が跋扈する世界こそが今のアリナの住処であった。
アリナ拷問は興奮しますんすん(拷問さなちゃん脳)
ところで、バアル神であるモロク(牛頭天王)は、メガテンでカニバルイベント天王洲奇譚があったのを真・女神転生4をプレイしたことあるメガテニストならご存じだと思います。
あれの元ネタはカナン族だったようですねぇ…流石公式メガテンはえげつないネタ使う…なので僕も真似しました(汗)
次回はダークサマナー化したアリナに相応しい仲魔の登場ですかね。