人修羅×まどマギ まどマギにメガテン足して世界再構築 作:チャーシュー麺愉悦部
季節は10月初旬頃に戻り、ここは神浜市の郊外である隣接した宝崎市。
高層マンションがいくつも建っており、木々などの自然と調和したような都市であろう。
繁華街の商店街は閑散としており、客足は外資系ショッピングモールに流されている。
そんな商店街の中に一軒の私立探偵事務所が営業をしているようだ。
探偵事務所の入り口には看板がかけられており、事務所名は葛葉探偵事務所であった。
「…………」
煙草を吸いながら事務所内に供えられたホワイトボードに視線を向けるのは目つきの鋭い男。
身長は182cmはある大柄な男であり、白いスーツを着た派手な見た目をしている。
左手で黒い短髪の後頭部を掻きながら思考を巡らせる中、突然声を掛けられる。
「連続少女失踪事件調査依頼…あんたが所在調査なんて真っ当な仕事を引き受けるなんてねぇ」
鋭い視線を事務所入り口に向けると立っていた人物は黒いサングラスをかけた女性である。
ストライプ柄の女性スーツを着て長めのショートヘアに赤いカチューシャを纏っているようだ。
「探偵の仕事よりもマリーのババアの副業の方で生計を立てる奴だと思ってたわ、キョウジ」
「……レイか、どこに消えていた?」
「宝崎第三次駅前近くの肉まん屋さんよ。夕飯は先に済ませてきたわ」
「フン、てっきり俺に嫌気がさして逃げ出したかと思ったぞ」
「…確かにあんたは嫌な奴だけど、助手のあたしがいないと事務処理も出来ないでしょ?」
「事務処理?俺が帰ったら終わっているから気にした事はなかったな」
「あたしがやってあげてるのよ!少しは感謝しなさいよ!」
「給料を出される下っ端のお前が、所長の俺から感謝も欲しいだと?分を弁えろ」
大きな溜息を出しながらサングラスを外すレイはホワイトボードに顔を向ける。
依頼人から渡された写真が貼り付けられ、関連性を示すように線が引かれているようだ。
「この失踪した少女達の関連性が分かったの?」
「全員第二次成長期の女子学生…身なりの特徴としては全員が左手に指輪を嵌めている」
「失踪した少女達の関連性って…もしかして…」
「ああ…俺が大嫌いな正義馬鹿の魔法少女共だと思う」
「魔法少女の失踪なら魔獣との戦いで死んで…円環逝きになったのがオチじゃない?」
「俺も最初はそう思ったが…妙な事がある」
「妙なこと?」
「依頼人の話で共通しているのは娘が不審人物に尾行された事で怯えていたという内容だ」
「不審人物…これだけの少女達が誘拐されたとしたら、組織的な犯行の線もあるわね」
「…魔法少女の魔法を悪用する目的があるのか、もしくは連中のソウルジェムが狙いか…」
「ま、まさか…彼女達の魂を狙う存在は…」
「悪魔以外を考えられるか?大昔から魔法少女の魂は悪魔にとって格別のご馳走だった」
「考えられないわね…悪魔共が組織だって動く…ダークサマナーかしら?」
「ダークサマナーだとして、なぜ連中は大量のガキ共の魂が必要なんだ?その先が知りたい」
「なるほど、どうりでらしくもない仕事を請け負ったわけね?」
「ダークサマナーを最も多く抱えている秘密結社はイルミナティ…俺は奴らが大嫌いなんだよ」
「フフッ、あんたは秘密結社って存在そのものが大嫌いよね。その最たるものがヤタガラス」
「…その結社名を口にするな、撃たれたいのか?」
「はいはい、怖い葛葉の異端児さんに撃ちまくられる前に、おさらばしとくわよ」
「フン、あばよ」
サングラスをかけ直したレイは外回りに向かう。
その名前は神浜市に現れたデビルサマナーであるナオミが探している人物と同じ名前であろう。
気が付けば煙草は吸い終わっており、応接机に置かれた灰皿に押し付けて火を消す。
応接用の黒革ソファーから立ち上がり、所長用の机の後ろ側に備わる書籍棚に移動する。
隅に置かれた書籍を手前に引くと棚が横にスライドしていく。
奥に見えた空間に並べられていたのは様々な武器の数々であろう。
軍隊用の火器と弾薬類、密教法具などの武器、それに陰陽道の式札なども見える。
キョウジはそれらに手を付けず、机の上に置かれている木製の刀箱を持ち上げる。
刀箱には七星剣と書かれており、背中に背負うためのベルトも供えられているようだ。
背中に刀箱を背負ったキョウジはオフィスから出ていく。
「チッ…レイを引き留めるべきだったな。ガキに聞き込みなんて、俺のガラじゃないんだよ」
不愛想で目つきの悪い長身の男が声をかけたところで怖がられるのは無理もないはず。
「…仕方ない、行きつけの情報収集場の連中にでも聞いてみるか」
徒歩で移動していくキョウジは行きつけのBARに向かう為に大きな交差点の前に立つ。
「…この交差点の信号にはいつもイラつかされる。無駄に待ち時間が長い」
信号を待つ人だかりの最後尾に立っていたが、不意に後ろからの気配に気が付く。
耳を澄ませば何やらブツブツ独り言を口ずさむ声も聞こえたようだ。
「
少女のか細い声を聞いたキョウジは後ろを振り向く。
ピンク色の長髪を後ろで纏めた少女であり、年齢は中学生ぐらいに見える。
俯いたままの彼女の雰囲気は自殺前の心身衰弱した者の精神状態だと直感で伝わってくる。
「ごめんね…お姉ちゃん…弱いの…ういがいない半年間は…私にとって…地獄だった…」
キョウジの横を通り過ぎるが彼は引き留めもしない。
「学校も…家も…もう何も感じられない。空虚過ぎて…人生を生きている実感が湧かない…」
人ごみを通り超え、少女は交差点の前に出る。
まだ信号は青にならず、周囲は車が往来中であろう。
「きっと私の人生は…ういが死んだ時に終わってたんだって…お姉ちゃん…理解出来たよ…」
少女の異変に気が付いた周囲の大人達が声をかけてくる。
それに突き動かされたようにして少女は車が往来する道路の中に駆けだしてしまう。
急ブレーキの音が響き、少女の横側からは止まり切れない大型トレーラーが迫っている。
「待っててね…うい…お姉ちゃんも…そっちに行くから……」
激しい音が響き渡り、周囲の大人達が騒ぎ出す。
「じ、事故だ!!」
「あの子…自殺しやがった!!」
「だ、誰かーっ!!救急車を呼んでー!!」
信号が青に変わると向こう側から走ってくる女子学生達が現れる。
宝崎市内の中学校の制服を着た少女達が倒れた少女に近づきながら悲鳴を上げていく。
「
「なんで…なんで自殺なんてしたの!?どうして皆に苦しみを語ってくれなかったの!?」
「目を開けて…お願いだから目を開けてよ…いろはぁぁーーっ!!」
周囲のざわめきの中にキョウジの姿はいない。
「チッ、あの交差点に行くと…いつもロクでもない待ち時間を食うな」
面倒な騒ぎに巻き込まれる前に別の交差点から目的地のBARを目指している。
いろはと呼ばれた少女の命を救うチャンスを持っていたが、彼は見捨ててしまう。
キョウジと呼ばれた人物を後にウラベはこう語る事になるだろう。
冷酷非情、それが彼を知る者達が下すキョウジの印象。
救わなければならないか弱い命が目の前にあったとしても、何も気にせず見捨てる男。
金も、他人の命も、自分の命さえ関心を持たない。
仁義や道徳、正義とは程遠い道を行くのが葛葉一族の異端児である。
宗家の葛葉の名を与えられながらも狂い死ねと名付けられた一族の者。
それが葛葉キョウジであった。
♦
葛葉探偵事務所からそう離れていない場所にはイノセンスと呼ばれるBARがある。
常連客のキョウジが店に入ればカウンターにいるマスターが声をかけてくる。
「いらっしゃいませ。時間を気にせず、どうぞごゆっくり」
「いつものだ」
「かしこまりました」
注文が出来るまでキョウジは見知った人物達に声をかけていく。
「連続少女失踪事件?最近多いよね」
「この前のニュースだと、隣町であったそうね?その前は…隣の隣だったかしら?」
「失踪範囲が広がっていくっていうのも…なんだか不気味な話だよなぁ」
一通り聞き込みを終えた彼がカウンター席に戻ってくる。
いつも座る席には注文した酒が置いてあり、かちわりロックがグラスに注がれている。
六甲の湧き水で作った氷とウイスキーが織りなす絶妙のハーモニーと評判のメニューだ。
キョウジはグラスを持ちながら酒を飲む。
今日は有力な情報もなく、酒を飲んだ後は自宅に直帰する腹積もりであろう。
事務所の戸締りなどは助手のレイに押し付ける常習犯でもある。
グラスをカウンターに置いた後、ポケットから煙草を取り出して火を点ける。
紫煙を燻らせていたが、カウンター近くにあるテレビに顔を向けたようだ。
<<宝崎市〇〇区〇〇町で4日に、トラックと歩行者が追突して一人が死傷した事件…>>
「……ん?」
テレビニュースが流れており、内容は今日の宝崎市で起こった追突事故についてであろう。
<<署によると、死亡した女子学生は〇〇区〇〇町に住む中学3年生の
ニュースキャスターの横に映し出された人物ならまだかろうじて覚えている。
彼にとってはどうでもいい存在なので酒を飲み終える頃には名前も忘れているだろう。
(あのガキ…
興味もないままニュース画面を見ていたら煙草も吸い終えている。
灰皿に吸い殻を押し付けた後、グラスに残っていた酒も飲み干した彼が勘定を済ませる。
店から出る頃には空も暗くなっているようだ。
「失踪範囲は徐々に広がっているか…やはり組織だっての誘拐事件だろうな」
事件に関与している存在がダークサマナーならば戦闘になると彼は考えていく。
「久しぶりに七星剣に血を吸わせたい。期待させてもらおうか」
秋の夜風に吹かれながら、キョウジは今日の仕事を終えて自宅へと帰宅していく。
後日となった頃、葛葉探偵事務所にレイが入ってくる。
中には昨日と変わらずキョウジがソファーに座りながらホワイトボードと睨めっこしている。
ホワイトボードには関東の拡大地図が張られており、失踪が起きた都市に印がつけられている。
「的は絞れたわけ?」
「大体はな」
「そう…あんたのことだからどうせロクでもない手口で奴らを釣り上げるんでしょ?」
「お前が気にする必要はない」
「まったく、血も涙もない上司を持つと部下は苦労する…?」
ポケットのスマホから着信音が入り、スマホ画面に目を向ける。
レイの表情が変わった後、通話ボタンを押す。
「…はい、あたしです」
事務所入り口から外に出てキョウジに聞こえないよう配慮する。
暫くしてレイは戻ってきたが暗い表情をしているようだ。
「誰からの電話だ?」
「……葛葉のお目付け役」
「銀子だと?あの悪魔から連絡とは…只事じゃないんだろうな?」
「あたしを指名しての依頼があったわ。長期捜査になりそうだけど…受ける事にする」
「お前のその表情…どうやらきな臭い案件のようだな?」
「ええ…そうね。だけど、これはあたしでないと務まらない…あんたじゃ無理」
「どういう意味だ?」
「あんた、ヤタガラスの潜入捜査だなんて出来る?」
それを聞いたキョウジの眉間にシワが寄る。
「ヤタガラスを嗅ぎ回れだと…?銀子…いや、ニュクスの奴は何を企んでるんだ?」
「企んでるのはヤタガラスだって銀子は言ってる。あたしはそれを探り出すの」
「フン、ヤタガラスが絡むなら俺は降りるぞ。やりたければ勝手にやれ」
「そう言うと銀子も思ってたから、あたしを指名してきたのよ」
「そうかよ。まぁいい、ヤタガラスを嗅ぎ回るなら…お前の顔も今日で見納めかもな」
「あたしはヤタガラスに所属している者。これはヤタガラスを裏切る案件になるだろうけど…」
「この依頼を受けるなら…覚悟は出来ているというわけか?」
「あたしもね…戦後のヤタガラスは違和感を感じてたの…」
「だがお前は従順にヤタガラスの任務をこなしてきただろ?香港時代の親友を裏切ってまでな」
それを聞いたレイの眉間にシワが寄り、怒りの表情を向けてくる。
「…あたしだってね、望んでナオミや美雨を裏切ったわけじゃない…」
「言い訳か?親友の家族を殺したくせによく言う」
「そうね…言い訳よね。あたしはヤタガラスのエージェントだったけど…もうこれっきりかも」
「喜べ。これでお前も俺共々…ヤタガラスから厄介者扱いを受けるだろう」
「気が付かれないように立ち振る舞うけど…その時は…あたしも腹を括るわ」
踵を返した後、事務所から出ていく。
商店街事務所の裏側の駐車場に停めてあるBMWミニ・クーパーに乗り込む。
溜息をついた後、ダッシュボードの中から一枚の写真を取り出す。
それはナオミが持っていた写真と同じ写真であろう。
違う部分は憎しみが籠った黒い塗り潰しがない部分であり、写真を持つ手が震えていく。
「…あたしは裏切り者。ナオミの家族である老師を殺し…美雨さえ見捨てて逃げた裏切り者…」
駐車場から車が発進していく中、物陰にいるキョウジは珍しくもレイを見送ってくれる。
「…死んでやるなよ。お前を殺していいのは復讐者となるだろう…お前の親友だけだ」
――――――――――――――――――――――――――――――――
季節は流れて11月頃。
テレビでは神浜市で起きた左翼テロリズム特集が毎日のように流されている時期である。
だが、この街の子供達にとっては対岸の火事としか思われていない。
宝崎市の魔法少女達は今日も魔獣退治に勤しんでいる光景が続く。
その中には独りで活動している珍しい魔法少女の姿がいるようだ。
人気のない場所で魔獣結界が解け、1人の魔法少女が結界から出てくる。
黒いフード付きケープを羽織り、手には手榴弾の形と似た魔法のメイスを二刀流で持っている。
「……いつまでこんな生活が続くの?」
魔法少女姿を解除すると黒髪三七のお団子頭をした黒い女子学生服姿に戻る。
少女は転がっているグリーフキューブを拾った後、黄昏た表情を浮かべながらこう呟く。
「私にはもう…命懸けで戦う理由なんてない。願いで付き合えた好きな子とだって…別れたし」
掌に集めたグリーフキューブにソウルジェム指輪を近づけようとするが、その手が震える。
「いっそのこと…円環に導かれた方が楽なのかな?だってもう…生きてたって…」
自暴自棄な態度だが、それでも自殺する勇気がないのかソウルジェムの穢れを取り除く。
<<おう、嬢ちゃん。どうせ死ぬんだったら…俺らの役にたってくれや>>
「えっ?」
男の声が聞こえたと思ったら突然後ろから羽交い絞めされる。
「ちょっと!?いきなり何する気なの!!」
魔法少女の魔力パワーで腕を引き剥がそうとするがびくともしない。
前に回り込んできたのは神浜市で魔法少女を誘拐していたヤクザグループと似た男達である。
「叫ばれると面倒じゃけぇのぉ」
黒髪の魔法少女はヤクザ達の姿を見た事で戦慄してしまう。
「赤い瞳…?病的なまでに肌も青白いし…小型の魔獣なの!?」
「髪の毛生えてる俺らが魔獣に見えるか?俺達の事をよく知りたいなら…黙って誘拐されな」
口をハンカチで無理やり抑え込まれた事で叫び声も塞がれてしまう。
両足をばたつかせて抵抗するが、横の男が鞄の中から取り出した道具を見た事で凍り付く。
「おう、早く打っちまえ」
「んんんんんん~~~~~ッッ!!!」
取り出した注射器を血管に差し込んで中身を注入する。
ジエチルエーテルが血管内で急速に作用していった事で彼女は意識を失ってしまう。
(どうして…こんな目に…?私が…死にたいって…考えた…か…ら……?)
完全に意識を失った少女はヤクザ達に担がれて誘拐されてしまう。
最後の1人が地面に落ちているものに目がいった事で何かを拾い上げる。
「バタついた時にポケットから落とした学生証か?
興味を失ったヤクザは学生証を捨て、表で待たせているトラックに向かう。
コンテナに入り込んだ男達を乗せたトラックは夜道を走行していくのだ。
トラックが高速道路に入った頃、その後ろを尾行している一台の車が見えてくる。
ジャガー XJセダンを運転している人物はキョウジであろう。
「チッ…あのトラックはGPS信号妨害機を備え付けてるな。お陰で余計な手間が増えたぜ」
あれからキョウジは独りで捜査を行ってきている。
彼が考えた捜査方法とは撒き餌を用意して網を張る捜査。
魔法少女を見つけては声をかけ、人違いのフリをして制服の襟に小型GPSシールを貼り付ける。
後は犯罪グループが宝崎市に現れるのを待ち、獲物に喰らいつかせて案内させる手口だろう。
しかし相手はそれを見越して用心のための道具を用意していたというわけだ。
「トラックまでの道案内には役に立ったが…後は自力で追うしかなさそうだな」
暫くの間は大人しく後ろをついていく。
トラックは高速道路を下り、見滝原市方面に入る。
景色は街からどんどん外れていき、鬱蒼とした森林地域となっていく。
ここまでは順調にいったが、流石に同じ車がずっと後ろをついてくれば気が付かれる。
「なぁ、あの車…ずっと俺らについてきとるぞ…?」
「ポリの覆面か?」
「車種もナンバーも違う。ポリじゃないとすれば…探偵か何かか?」
「探偵なんぞが…何で俺らの犯行に気が付くってんだ?」
「分からねぇ…さらった連中の中に、何か不審なモンがついてないか聞いてくれ」
「スケ共相手にお楽しみの最中だってのに…あいつら不機嫌になるぞ」
「どうせスケ共は逃げられないんだし、いいだろうが。妨害機をOFFにしてからかけろよ」
トラックのコンテナ内部で行われているのは魔法少女を相手にしたレイプパーティである。
「ハハハ!!オラオラ!もっとよがり狂えよ!!」
「いやぁぁぁぁーーっ!!ヤダ!!もうやめてぇぇーーっ!!」
淫らにぶつかり合う肉と肉の音、泣き叫ぶ悲鳴の連鎖。
両腕は後ろ側で固く縛られており、ソウルジェム指輪も奪われているため変身出来ない。
抵抗する事も出来ずに純潔を悪魔達に捧げる事になってしまった哀れな魔法少女達。
ソウルジェムを死なない程度に穢れさすために行われる悪魔の手口とは強姦なのであろう。
コンテナの奥には誘拐された他の魔法少女達が並ぶようにして集まり、怯えながら泣き叫ぶ。
ヤクザ悪魔達が相手している少女達でハッスルし終えた後は自分達の番だと誰もが分かる。
「なんで…?どうして…?何で私が…こんな目に…!?」
奥で震え続ける魔法少女達の中には黒江の姿もいる。
泣き叫ぶ少女達の叫び声にかき消されそうになるが、電話の音がコンテナ内部に響く。
「ハァ!ハァ!そろそろ出すぞ…って!?なんだ!誰の着信音だよ!!」
「お前の上着ポケットから聞こえてくるだろうが!!」
「もう少しで中出しだってのに…何じゃワレェ!!何の用事だぁ!!」
繋がった部分が抜け落ち、俯きに倒れ込んで泣き続ける魔法少女を放置しながら電話を行う。
「……なんだと?つけられてる?」
電話を切ったヤクザ悪魔が俯けに倒れた魔法少女に視線を向ける。
はだけられた衣服を掴んで調べていくと何かを見つけ出す。
「…GPSが貼られてやがる。追ってくる奴ぁ…さらったガキ共の正体を知ってる奴だな!」
「ポリが魔法少女の存在を知ってて網を張ってた?考え辛いぞ…」
「車をどこかに停めさせろ。追ってくる奴ぁ…俺ら側の奴かもしれねぇ」
「ま、まさか…デビルサマナー!?」
ヤクザ達が服を着始める光景を震えながら見つめる黒江はこう呟いてしまう。
「助けが来てくれたの…?デビルサマナーって…何なの…?」
会話の一部が聞こえてきた彼女は助けが来たのだと恐怖心が薄れていく。
だが彼女の藁をも掴みたい気持ちは的外れなのだと思い知らされるだろう。
「この先にある目ぼしい施設は…佐藤メディカルグループ傘下の精神病院か」
ダッシュボードに供えられたタッチモニターに目を向けていたがトラックの異変に気付く。
道路から外れ、横道に入っていくのを見た事で尾行がバレたのだと伝わってくる。
「…どうやら、何も気づかない馬鹿ばかりというわけでもなかったようだ」
追って横道に入れば開けた場所にトラックは停車している。
キョウジの車も離れた場所に侵入して停車したようだ。
「フッ…尾行も飽きた。連中の口を割らせて喋らせた方が速そうだ」
助手席に立てかけられた七星剣と書かれた刀箱を手に取りながら外に出る。
車のトランクを開け、中から取り出したのはウィンチェスター M1887ショットガン。
銃を左手に持ち、トラックに歩み寄っていく。
ヤクザ悪魔達はトラックから下り、キョウジを待ち構えている。
「どこの鉄砲玉じゃ…ワレェ?物騒なもんを持っとるが…玩具じゃなさそうだな?」
「テメェはデビルサマナーかよ!?」
「おんどれぇぇ…名を名乗りやがれぇ!!」
悪魔の力を今にも解放させんとする者達を見つめながら不気味な笑みを浮かべてくる。
「おい、生臭い臭いを纏ったチンピラ共。連続少女失踪事件について聞きたい」
「ヤクザ相手に聞きたいと言って、答える阿保がいると思うのかぁ?」
「いないだろうな。だが喋らせてやろう…俺は悪魔だろうが誰だろうが容赦しない男だ」
「俺らを悪魔だと分かる男なら…デビルサマナーで間違いなさそうだなぁ」
「貴様ら如き雑魚を処分するのに召喚魔法などいらん」
右肩に担いでいた刀箱を下ろした後、右手で開く。
中に収められていた七星剣とは中国の伝統的な剣を思わせる直剣のようだ。
「どぐされがぁぁ…俺らを舐めやがって!!」
ヤクザ達の赤い瞳が瞬膜となり、周囲が異界化する。
吸血鬼悪魔であるストリゴイイ化した悪魔達が一斉に跳躍し、キョウジに飛びかかる。
右肩に七星剣の刀身を担いだキョウジの口元は血に飢えるかのように邪悪な笑みとなる。
「来い、雑魚共。生まれてきた事を後悔させてやる」
♦
「死ねやぁぁーーっ!!」
真上から飛んできた一体に対して即座に反応する。
「ガハッ!!?」
「ぐぅ!!?」
横から攻めてきた相手に刺突を放ち、引き抜くと同時に後ろ回し蹴りを放つ。
迫る悪魔の右側頭部を蹴り飛ばす中、ストリゴイイ達は果敢に攻め込む。
同時に跳躍してきた相手に対し、舞う動きで左切り上げ、右切り上げを行う。
「「ぐあーーーッッ!!!」」
片腕を切り落とされた悪魔達が地面に倒れこんで転げ回る。
「この程度の悪魔なら、葛葉修験場内をうろつく悪魔共の方がまだ手ごたえがあるな」
「舐めやがってーーっ!!」
片腕を切り落とされた一体が跳躍するが、ショットガンの銃口が向いている。
「ガベッ!!」
散弾が発射された事で頭部が破壊される。
ヴァンパイア程の不死性を持つ吸血鬼ではないため体が砕けてMAGを放出していく。
そのまま左手でスピンコッキングさせながら次弾を装填する。
「取り囲んで襲い掛かれ!!」
「無駄な足掻きだ」
次々と迫る悪魔に対し、舞うような剣技と正確無比な銃撃を繰り出す。
悪魔を召喚せずともここまで戦える。
これが伝説の悪魔召喚士一族である葛葉一族の中で宗家の名を与えられた者の力であろう。
たとえ忌み嫌われた存在であろうと実力は並のサマナーを遥かに上回っている。
トラックのコンテナ内では囚われた少女達が閉じられた扉に体当たりを繰り返す。
「諦めないで!きっと私達は助かるから!外で戦ってくれている人が…助けてくれるから!」
黒江は必死に声を張り上げ、心が折れてしまいそうな魔法少女達を鼓舞する。
しかしソウルジェムはトラックの助手席に置かれたアルミケース内に収められている。
両腕も背中で縛られているため、体当たりを繰り返そうが扉はびくともしない。
「誘拐された恐怖で理解出来た…命があるのは尊いんだって…わたし…まだ死にたくない!!」
外の戦いも既に決着がつきそうな状況である。
「チクショーッッ!!こうなりゃ…誘拐したスケ共を人質に使ってやる!!」
残された一体がトラックに向けて走る中、キョウジはポケットからショットシェルを取り出す。
散弾や火薬を内臓するケースに描かれているのはウラベが用いた自爆魔弾と同じ五芒星の印。
魔弾を装填した後、銃床を肩に当てて狙いをつける。
直進位置には逃げる悪魔の背中とトラックのコンテナが見えている。
「情報を吐かせる悪魔は一体いればいい。他の連中は必要ない」
引き金が引かれた事で銃弾が放たれ、噴き出したのは煙ではなく感情エネルギー。
MAGが飛翔しながら実体化していき、悪魔の形となっていく。
その姿は陰陽師が使役する式神を代表する鬼の姿なのだ。
【鬼】
人間を襲って喰らうとされる有名な妖怪であり、人知れず隠れ住む事を意味する隠が由来する。
鬼門とされる丑寅の方角の思想から牛の角に虎皮の巨漢異形のイメージが作られたという。
節分の豆撒きで鬼が退散する俗習も陰陽五行説に基づく。
日本の寺社では神や仏の化身や使者として鬼が登場する行事も存在していた。
<<初登場でこの扱いかよぉーーっ!!>>
赤い肌をした二本角の鬼の体が輝いていく。
自爆のような周囲を大破壊する魔法ではなく、一直線に自爆エネルギーを放つ魔法であろう。
「ギャァァァーーーーッッ!!?」
自爆魔法の『特攻』の奔流に飲まれるのはヤクザ悪魔だけではない。
「えっ……?」
コンテナ内では目の前から迫りくる強大な魔力が何なのかも分からない黒江達がいる。
次の瞬間、悪魔どころかトラックごと特攻の奔流が全てを飲み込む。
宝崎市の魔法少女として生きた黒江は光の世界で最後の言葉を零すだろう。
「どう……し……て……?」
一直線に放たれた一撃は魔法少女達の命ごと悪魔を屠りながら消えたようだ。
「……あばよ」
肩にショットガンを担ぎ、つまらない戦いに興醒めしたような表情を浮かべるキョウジ。
殺してしまったか弱い魔法少女達のことなど一切気にしていない態度である。
これが葛葉の忌子として狂い死ねと名付けられた一族の者の戦い。
時代を超えても初代キョウジの邪悪さを継承してしまった者の戦い方なのだ。
光に飲まれて消滅したソウルジェムは円環のコトワリに導かれる光を現場に残す。
光に背を向け、足を破壊されて地面に倒れ込むヤクザ悪魔の元にまで歩いてくる。
「て…てめぇ…魔法少女ごと殺しやがったな!?ヤクザ顔負けの外道じゃねーか!!」
頭を踏みつけるキョウジが銃口を背中に向けてくる。
「連中の役目は終わっている。後はお前を吐かせるだけだ」
「血も涙もない野郎め…!!悪魔よりも恐ろしいぜ…!!」
「魔法少女共は自らの選択で殺し合いの世界に入った者。望んで命を捨てた者なら自業自得だ」
「てめぇ…本当にデビルサマナーなのか…?ダークサマナーの方がお似合いだぜ…」
「俺は悪魔を崇拝する者ではない。人間だろうが魔法少女だろうが悪魔だろうが
「へっ…そうかよ。だがなぁ…俺達と同じ外道の道を行くなら…高い代償がつくぜ!」
聞こえてきたのは数台の車の音であり、黒塗りのセダンが広場に侵入してくる。
中から出て来たのは武装したヤクザ達であり、倒れた悪魔はキョウジを嘲笑う。
「俺達だけかと思ったか…?馬鹿め…戦う前に応援を呼んでおいたのさ!!」
「この短時間で辿り着けるなら…貴様らの根城は近いという事だな」
応援に駆け付けたヤクザ達が悪魔化する中、キョウジは恐れも無く近寄っていく。
「有象無象が集まろうと同じだ。俺と出会ったことを呪いながら…死ね」
七星剣を地面に突き立てた後、銃を地面に落とす。
「へっ!今更命乞いでもしようってのか?」
「俺達のシノギを邪魔したテメェは…泣き叫ぼうが八つ裂きの刑だぁ!!」
一斉に襲い掛かってくる悪魔の群れに対し、白スーツの上着の袖口から道具が落ちてくる。
両手に持たれていたのはSHUFFLEと描かれたトランプカードであろう。
「これが俺の
複数のトランプカードを扇状に開き、光の一線と化していく。
「あがっ!!?」
「ぐげっ!!?」
一瞬で投げられたカードが刃物のように悪魔に突き刺さる中、悪魔達に異変が起きる。
「な…なんだ!!?」
悪魔達の体が光ったかと思えば巨大なトランプカードのような姿に変えられている。
「ぐっ…がっ…悪魔の…封印魔法!!?」
葛葉キョウジの一族は陰陽師系のサマナーであり、破邪の法と呼ばれる退魔術を駆使する。
また陰陽道では陰陽五行として知られる五芒星の呪術も取り入れてきたという。
五芒星こそが東西を問わず悪魔を封印する力を持つ印。
トランプカードに過ぎなくても、陰陽師系サマナーが使えばこうも変わってくる。
次に取り出したのは陰陽師が用いてきたという護符。
護符とは陰陽師などの術者が作る願望を叶える紙の符板であろう。
正しく作られた護符には神の力が宿ると言われる。
神や悪魔の力を象徴するものこそ、魔法なのだ。
「急急如律令」
放たれた複数の護符が巨大な業火と化していく。
悪魔の炎魔法の『マハラギオン』となった一撃がトランプに目掛けて飛んでくる。
<<ぐわぁぁーーーっ!!!>>
トランプカードにされた悪魔達の体は紙であり、紙はよく燃えるのだ。
「あ…あぁ…そんな…バカな……」
業火の中で全滅した悪魔部隊を背に、不敵な笑みを浮かべたキョウジが近寄ってくる。
倒れたヤクザ悪魔は絶対に敵に回してはならない者を敵に回したのだと気が付くのであった。
♦
車を運転しながら宝崎市へと帰っていく。
「やはり奴らの根城はあの先にある精神病院だったか」
口に咥えた煙草に火を点け、これからの捜査方法を考えながら夜道を走る。
敵のアジトを見つけたとて考えも無しに飛び込むほどキョウジは愚か者ではない。
「警戒を強めるだろうが関係ない。病院を担いで逃げられるものでもない」
しかしアジトに収められた証拠物を持ち逃げされてしまうわけにもいかないだろう。
「明日の夜にでも、あそこに向かう必要がある。事務所に戻って準備をしなければな」
ハンズフリーを使いながら依頼人のウラベに連絡を行う。
「そうか…奴らの根城を見つけたか」
「イルミナティ共に逃げ切られる前に動く。警備を強化される以上は…派手にやらせてもらう」
「やれやれ…決死の特攻部隊だな。お前は昔から命がいらないような生き方をしてたよ」
「10年前を覚えているか?俺は貴様がイルミナティのダークサマナーになるなら縁を切ると」
「ああ、覚えている。だが…俺はイルミナティに家族を殺された…今では憎い仇だ」
「お前が連中を見限ったというのなら、俺は奴らを皆殺しにしても構わないという事だな?」
「そうしてくれ。俺も動きたいぐらいなんだが…今ではマダムの警護役だしな」
「俺が崩せるのは氷山の一部。奴らの規模は世界を飲み込む…アメリカでさえ平伏する存在だ」
「お互いに…長くは生きられそうにないな…」
「フッ…命が惜しくて葛葉キョウジを名乗ってはいない」
テールランプの光が見滝原市を超えていき、宝崎市を目指す。
彼を待ち構えるのはダークサマナー最凶の存在であるシド・デイビスであろう。
キョウジのトランプに描かれているジョーカーと呼ばれる存在はこう語られている。
意味は道化師であり、王の代わりに命を捨てる程の批判を周りに行わねばならない。
死をも恐れない愚か者でなければならないのだ。
ジョーカーはある意味、
その在り方は何処か葛葉キョウジとよく似ているのであった。
環いろはちゃん、初登場即死亡(汗)
しゃーない…公式マギレコのいろまどストーリー通り、交通事故死させるしかなかったんや。
いろはちゃん死ぬなら黒江ちゃんもいいよね?(汗)
キョウジさんついに登場ですけど…初代キョウジを意識し過ぎた外道に描いてしまいました(汗)
キョウジ・スペシャル…どう見ても格ゲーキャラのパクリ演出(汗)