人修羅×まどマギ まどマギにメガテン足して世界再構築 作:チャーシュー麺愉悦部
154話 テオーリア
かつての世界であるボルテクス界からは外れた領域こそが魔界である。
アマラ宇宙の深界とも呼ばれており、ここには新たな混沌の悪魔を生むための悪魔が跋扈する。
またLAW陣営からは最高位の天使の刺客も現れる事になるだろう。
人修羅として生きた嘉嶋尚紀は世界の真相に至るためにアマラ深界を堕ちていく。
数々の悪魔や神々、魔王達を打ち倒す強さを示すうちに人修羅は墓標の間に辿り着く。
ここはかつてのボルテクス界で戦った強敵達が宿る墓場とも呼べる領域。
かつての強敵達と再戦する事になるだろうが、死した者達が形を成せるのは僅かな時間のみ。
それさえも蹂躙する力を宿し、全ての墓標から認められた者のみが辿りつけるだろう。
アマラ深界に隠された
「…………」
アマラ深界の扉を開き、墓標の間へと入ってくる人修羅。
両目は真紅に染まり、心は人にあらず。
アマラの最奥に堕ち、ルシファーによって人の心を破壊された完全なる悪魔である。
全てのコトワリを破壊して全てのマガタマを手にした者であり、力を全て引き出した者。
ボルテクス界においては並ぶ者無き者として称えられた者は後に混沌王と呼ばれるだろう。
「……なんだ?」
後ろを振り向けば仲魔達の姿が消えている。
「…分断してくるか。全ての墓標の間は攻略した…次は何が出てくる?」
仲魔達から分断された人修羅は恐れも知らず墓標の間に入ってくる。
今の彼の力は完成され尽くしており、恐れる者などいないのだろう。
中央に近寄ろうとした時、現れたのは一体の悪魔である。
「お前は…ケルベロスか。どういうつもりなんだ?」
現れたのはトウキョウ議事堂辺りからついて来ていた仲魔であるケルベロス族の悪魔。
白いライオンを思わせる姿をした獣であり、力強き龍の尾を持つ。
ケルベロス族の個体は様々であり、この個体は三つの頭ではなく一つの頭しかない存在だ。
【ケルベロス】
ギリシャ神話の冥府タルタロス門の番犬。
地獄に許可なく入り込もうとする者や地獄から脱出しようとする者を見張る役目をもつ。
ヘシオドス神統記によれば蛇巨人ティホンと蛇の下半身を持つエキドナの子とある。
ギリシャ神話だけでなくダンテの神曲やスペンサーの妖精の女王でも三つ首姿で現れるという。
ヘラクレスの12の試練において一番最後に登場し、生け捕りにされる逸話を残した。
「…ヨク来ナタ、強キ者ヨ。我ハ汝ノ如キ強キ者ヲマッテイタ」
「どういうつもりなんだと聞いている。仲魔のフリをして…俺の命を狙っていたか?」
「我ハ汝ト共ニ旅ヲシ…ソノチカラヲ見極メタ。我ガ主人ガ汝ニアイタガッテイル」
「お前の主人だと…?」
「サァ、我ガ主人ノトコロニクルノダ」
ケルベロスが雄たけびを上げると視界がホワイトアウトし、気が付けばアマラ深界の一本道。
<<奥ヘ進ムノダ。我ガ主人ガ待ッテイル>>
「俺だけに用があるようだな。いいだろう…お前が隠していた主人とやらの相手になってやる」
ケルベロスの念話に促される人修羅は一本道を進んでいく。
この領域こそ墓標の間を全て突破した者しか入れない領域。
アマラ深界にあっても幻と言われる地下666階エリアだ。
一本道の最奥にあった黄泉の石室の扉を開ける。
中は墓標の間と同じであり、二つの墓が出迎えてくれる。
「なんだ…?」
二つの墓が光り輝き、一体の男神と一体の女神の姿を具現化させていく。
その姿は日本神話の男神と女神を思わせ、両者の背中は光背と呼ばれる円光を輝かせる。
後光とも呼ばれ、キリスト教においては天使の輪として知られているだろう。
「ついにここまで辿り着いたのですね、尚紀」
「我はイザナミと共に、長きに渡り
「イザナミだと…?だとしたらお前は…イザナギか?」
【イザナギ・イザナミ】
古事記によると別天津神に次いで現れた神代七代の中で七番目に現れた神々。
女性側のイザナミと対になっており、二人はこの日本を造った天津神である。
イザナギとイザナミは別天津神である五柱神に呼ばれ、国生みを命じられた存在。
雲の上から天沼矛で島を寄り集め、出来上がったオノゴロ島に天下ったという。
彼ら夫婦が産んだ子供達が日本の島となり、自然を司る三十五柱の神々を産む。
しかし火の神であるヒノカグツチを産む際、イザナミは焼け死んでしまう。
怒り狂ったイザナギは生まれたばかりのヒノカグツチを斬ってしまう日本神話が残されていた。
「世界が定めにより滅び…我らは力を持たぬ姿となってしまった」
「力を振えぬ私達は…私達に代わり未来を託す事の出来る者を待っていました」
言わんとしている事を理解した人修羅の口元が邪悪な笑みを浮かべていく。
「クックックッ…ハッハッハッハッハッハッハッ!!」
人の心を無くした悪魔の狂った笑い声に対してイザナギとイザナミは押し黙る。
「未来を託すだと…?お前ら、人違いか悪魔違いでもしているんじゃねーのか?」
「……………」
「俺はこの世界をぶっ壊したい者…全てのコトワリを破壊し…世界を生む光を破壊したい者さ」
尚紀の心にあるのは喜怒哀楽のうち半分を失った心。
怒りと哀しみしか残らなくなり、それは憎悪と憤怒の業火となって彼の心を破壊する。
望むのは世界に滅びの定めを与えた唯一神に復讐する事のみであろう。
「確かに…今の君ではこのボルテクス界に破滅をもたらすだろう」
「貴方の手で生まれるはずの宇宙の輪廻は断ち切られ…原初の混沌しか残りません」
「世界の未来が視える者達か。なら、なぜ俺にそんな言葉を言ってくる?」
「貴方にはまだ…可能性が残っています」
「可能性だと?」
「君は人であり悪魔、人修羅だ。今はもう悪魔でしかないのかもしれないが……」
「それでも、貴方にはまだ人の可能性が残されているのです」
「くだらない。人の心ならアマラの最奥に捨ててきた」
「それを取り戻してくれる者がいる…君の隣にいるのだ」
「俺が捨ててきた…人の心を取り戻す者だと…?」
「その者は…この世界を貴方が破壊した後、貴方に立ち塞がるでしょう」
「自分の命を懸けてでも君を止める者だ」
「フン、ならばそいつを超えて…俺は先に進むだけだ」
「尚紀よ、君に力を渡そう。この混沌に満ちた宇宙から君が新しい世界を作り出せるように」
「そう、かつて私達が出会った時…そうしたように…」
「俺の言葉を聞いていたのか?俺はこの世界を破壊し、混沌に作り替える者だ」
「たとえこの世界を君が混沌に変えようとも…世界とは無限につらなっている」
「違う世界にこそ、私達は希望を見出せたのです。だからこそ…私達は貴方を選びました」
人修羅の体に不思議な光が溢れてくる。
「体に力と素早さが溢れてくる…これなら一回の行動で二回分の行動力を起こせるな…」
「あなたは陰陽を司る存在。一つだけでなく、
「君の心から人の心を捨てきる事は出来ない。
「…力をくれた事には礼を言ってやるが、俺が世界を救う者だと考えるなら大馬鹿野郎共だ」
踵を返す人修羅は黄泉の石室を後にする。
外で待っていたケルベロスと合流する人修羅は最後の戦いに向かう。
「…さよなら、尚紀。私達の務めは終わりました…貴方の活躍を願っています」
「次の世界の希望を託す。君こそが我らが生んだ日の本だけでなく、世界の太陽となる者だ」
<<その身に天恩のあらんことを>>
その後の彼はボルテクス界から離れた並行世界に辿り着くだろう。
その者達が生きる星を高天原から見守るのはイザナギの姿である。
「尚紀…君はこの世界に流れ着き、イザナミと我が期待した通りの人物に成長してくれた」
イザナギの隣にイザナミの姿はおらず、彼女は創成の世界においては元の女神で在れている。
しかしここは未だに神々を観測して語り継ぐ者達が生きる世界。
概念存在であるため、イザナミは古事記の神話通りの末路を与えられているようだ。
天上世界から日本を見下ろすイザナギの表情は憂いに満ちており、こう語ってくれる
「君は大きな罠を張り巡らせる者達と戦う事になる。日の本だけでなく世界を罠にかける者だ」
世界を見守ってきた者として、この地球を乗っ取ってしまった民族の事には気が付いている。
その民族の一部が渡来し、自分の血筋である天皇家と深く関わる集団となった事も知る者だ。
「
左手を掲げれば光の菊の花が生み出され、天皇家を象徴する十六菊家紋と同じ菊の花となる。
天上世界から遥か彼方に視線を向けていく。
その先にあったのはシュメール、メソポタミア文明が起こった地域である中東イラク方面だ。
「今の日の本を象徴する皇帝とは…表の天皇ではない。裏の天皇を務める者達なのだ…」
左手に力が籠るほど強く握り込み、菊の花は散ってしまう。
花びらが舞い、高天原から風に揺られて下界へと消えていく花びらを見つめる。
「今の日の本に…太陽無し。あるのは祭祀を司る月の一族…
イザナギの姿が消えていく。
最後に彼は尚紀に対してかつての世界と同じく、希望を託す言葉を残して消えてしまう。
「尚紀…我とイザナミが生んだ日の本の…新たな太陽神となってくれ…」
太陽神である
「君こそが黒き夜空を照らす太陽の如き星……
♦
2019年7月頃、ここは見滝原市の郊外に新しく作られた高級住宅街である五郷。
見滝原市内にまで行ける駅の入り口の横では政治活動を行う少女がいるようだ。
「皆さん聞いて下さい!!日本の政治は乗っ取られています!!」
うら若い乙女の声を張り上げるのは美国織莉子の姿であろう。
「この国の政治に右も左もありません!あるのは
ジャパンハンドラーズとは米国から訪れる知日派政権スタッフ。
政府の手法や行動パターンを知り尽くし、日本を米国に有利な様に仕向ける事を目的とする。
「日本の政治が掲げるマニュフェストは嘘!本当のマニュフェストは
日米合同委員会とは日本のエリート官僚と在日米軍の高級軍人からなる組織。
日本側代表は外務省北米局長、アメリカ側代表は在日米軍司令部副司令官が務めるという。
都心の米軍施設や外務省の密室で日米地位協定の解釈や運用について人知れず協議を重ねる。
米軍の特権を維持するために数知れぬ秘密の合意=密約を生みだしていく。
密約は日本の国内法(憲法体系)を無視して米軍に治外法権に等しい特権をあたえている。
これには米国側の駐日公使も激怒している。
軍人が他国の官僚と直接協議をして指示を与えるなんておかしい。
こんな占領中に出来た異常な関係はすぐにやめるべきだと強い言葉を残す程なのだ。
第93代内閣総理大臣を務めた事がある行政経験の浅い野党議員も言葉を残す。
総理大臣の私はそれを知らなかったと野党政権時代の総理は言葉を残している。
彼が日米合同委員会に気が付いたのは普天間基地の移設先は県外だと主張した時期。
沖縄県民の怒りを汲み取ったが、米国の圧力とその意を受けた外務官僚や防衛官僚が抵抗する。
これによってあっけなく挫折を迎えた後、野党政権は3年という短命によって幕を閉じるのだ。
「米国は日米合同委員会を通して
道行く人達に叫び続けるが、誰もその声に耳を傾けたりはしない。
あるのは差別に満ちたにやつき顔と嘲笑のみ。
「見て、あの子。あれって美国織莉子じゃない?」
「この前のニュースでやってたな。汚職政治家の娘が政治活動を始めやがったのか?」
「親が汚職政治家なら、娘はデマ屋の陰謀論者とくる。救いようのない連中だぜ」
彼女の必死な叫びに待っていたのは周りから浴びせられる揶揄と嘲笑。
人は自分の知識の外側にある知識を理解出来ない。
だが、なぜか人は
そういう風に人間の脳は出来ているようだが、織莉子は負けない気概を示す。
「官僚達は米軍に脅されてます!要求を断れば…在日米軍基地がこの国を攻撃出来るのです!」
<<デマばかり垂れ流してんじゃねぇ!!この反日娘が!!>>
SNS政治スレッドでは日常的に見る光景である悪のレッテル張りの声が上がり出す。
<<アメリカは日本の友好国だ!!こいつは日本を中国や北朝鮮に売りたいだけなんだ!!>>
「違います!!どうか…どうか調べて下さい!!私の言葉は嘘じゃありません!!」
<<陰謀論者はデマばかり垂れ流す!!権威ある専門家が言ってる言葉が正しい!!>>
「どうして?どうして私の言葉じゃダメなんですか!?何でデマだって決めつけるんです!!」
権威主義民族日本人が垂れ流すお決まりのセリフを浴びせられる織莉子は涙目のまま叫ぶ。
肩無しのド素人が言うこと=陰謀論デマ。
肩書き有りの専門家が言うこと=事実。
メディアに出てくる専門家達が
専門家だからこそ
自分では何も調べず、権威に全てを丸投げして思考停止する御上万歳脳こそ日本人の姿。
尚紀と出会って成長した青葉ちかがこの場にいたなら憤怒によって顔が歪んでいただろう。
「政治家や専門家は民衆を騙してます!嘘つき論理学を手に入れた者が支配者になるんです!」
「君!!いい加減にしないか!!」
声を荒げて近づいて来たのは警官達である。
「近隣の住民達から通報を受けてきた。今直ぐ迷惑な活動をやめて家に帰りなさい」
「何故ですか!文科省大臣は学生の政治活動を認めてます!学校や教育委員会にも届け出を…」
「住民達が迷惑してると言っている!!騒音罪でしょっ引かれたいのか?」
「そんな…私は拡声器さえ使ってないのに騒音罪だなんて…あんまりです!!」
まるで戦前の大日本帝国時代で起きてきたファシズムに思える光景である。
政府を批判する政治運動を行う者は
いわれのない弾圧が行われ、独裁政府に反対する者達は次々と投獄されて死刑になる。
自由民主主義国である日本においては憲法21条の表現の自由で守られているはず。
なのに公益と公の秩序が優先され、害があると判断されたら踏み躙られる全体主義が起こる。
民衆が主権を持つ国において、あってはならない独裁事態であろう。
憲法21条とは
「家に帰りなさい。子供は教師から
政治活動から家に帰らされた織莉子は布団の中で蹲りながら泣き続ける。
「グスッ…ヒック…あぁぁぁぁ~~……っ!!」
無理やり解散に追い込まれたうえに人々からゲラゲラ嘲笑われたのだから無理もない。
15歳の少女に対して大人達が振りかざすえげつない行為こそ、権威主義民族日本人の姿。
神浜人権宣言の時に尚紀が叫んだ言葉通りの光景でもある。
SNS社会でもそれは同じであり、根拠をもって批判する者さえ悪として扱われ嘲笑されるのだ。
「お父様もきっと…この苦しみを味わったのよ…誰にも聞いてもらえない苦しみを…」
日本人特有の無思考な振る舞いが少女の心を切り裂いていく。
教育、サブカル、SNS、バラエティやスポーツやセックスという衆愚政策に汚染された末路。
植民地主義に利用されているとも知らず、眠れる羊として日本人は飼育されている。
大衆のマインドは考えない娯楽に流されて行く者となり、
御上万歳な江戸時代的専制政治を望む民族こそ、自由も民主主義も理解しない日本人の姿だ。
「お父様は国際金融資本家と売国ディープステートに抗おうとした…だからこそ…嵌められた」
愛した父親と同じ苦しみを背負う事で父親の無念の気持ちが痛いほど分かってしまう。
織莉子の父、美国久臣の憂いと義憤に鼓舞されるかのようにして彼女は布団を跳ね除ける。
「私達国民を劣る者だと嘲笑う者達に…負けたくない。連中の差異主義なんかに負けないわ」
美国織莉子は父親を苦しめる一端を担った不出来な娘。
だからこそ父親を苦しめた自分の才覚を持って世直しの道を進むと織莉子は覚悟する。
「それこそが…お父様の絶望にトドメを刺した罪を清算する…罰だと信じます」
そう言い残した後、政治活動で使うための道具を自作するために部屋から出て行ってしまう。
美国織莉子を父と同じ政治の道に突き落とした存在こそが八重樫総理大臣。
彼は国際金融資本家達の手口の紐解きとなる手がかりとしてシオンの議定書という書籍を託す。
そしてこう呟くのだ。
私は思う、君が
彼女が政治に関わり、父親と同じく破滅していく姿が見たい。
♦
料亭から出て来たのは日本メディアの幹部達と八重樫総理である。
待たせていた車に乗り込み、総理はその場を後にしていく。
政権与党の総理大臣とメディアとの癒着は極めて問題視されている事で知られている。
新聞やテレビの論説委員クラスや政治評論家など、多岐に渡り影響力のある者を懐柔する。
彼らは売国政権与党のスポークスマンとして機能していく事になるのだ。
「上の手綱を握ってしまえば、下の記者共は社長に迷惑がかかると自由な記事を書けなくなる」
「資本主義に組み込んでしまえば、ジャーナリズムなど踏み潰せる。楽なものですね、総理」
「この世の全ては株式会社構造だ。私の内閣府だけでなく、ホワイトハウスとて同じことさ」
「マスコミの信用はネット社会で地に落ちた。それでもテレビを手放さないのが老害共です」
「ネットに真実を見出そうとする愚者も罠にかかる。そのための
ネットサポーターズクラブとは政権与党の宣伝工作部隊とも呼べる存在。
活動内容は各種広報活動や情報収集活動であるが、世論を誘導するサクラを演じるのが主目的。
与党万歳なネトウヨを演じ、政権与党が進める売国政策を批判する者は反日レッテルで潰す。
各種SNSやニュースアプリのコメント欄で世論を誘導し、売国政策に目を向けさせない部隊だ。
「CIAやCSISの誘導手口は日本だけでなく世界中で通じる。何も考えないシープルばかりだ」
CSISとは米国に拠点をもつ戦略国際問題研究所である。
ジャパンハンドラーや日本の国会議員とも繋がりが深く、売国誘導機関の役割を果たす存在だ。
「衆愚政治は完成しました。後はこの国を売り尽くすだけですね」
「矢部総理は長期政権を築いてくれた…その間で数々の売国法を生み出してくれた貢献者だ」
「しかし疑惑があまりにも大きくなった…そのために首を挿げ替える必要がありましたね」
「私が総理大臣をしているが、誰がやっても同じこと。この国の政治は米国のものだからな」
「もっと正確に言えば…米国ユダヤ財閥のものですね」
「その人物達こそが日本も米国も所有している。イルミナティの中核を成す司令塔一族の一つ」
――13血統の2番手となるロックフェラー家だ。
総理を乗せる運転手との会話は政治の話題ばかりだが、気になる話題も出てくる。
「何…?久臣君の娘が政治活動を始めただと?」
「監視員からそのように聞いております。彼女が語る内容はあまりにも政府の都合に合わない」
後部座席で低い笑い声を出していたが、堪えきれずに大笑いを始める。
「ハハハハハ!!そうかそうか!あの小娘…やはり政治の世界に来よったか!」
「総理…?」
「ククク…私が誘導してやった甲斐があったというもの。どんな風に扱われているのかね?」
「彼女の話を聞く者はいません。陰謀論者、反日、近所迷惑極まりない汚職議員の娘扱いです」
「フハハハハハッ!!期待通りだな!あの小娘の泣き喚く姿が浮かんでくるわ!」
「総理とあの小娘とは…何か繋がりがあるのでしょうか?」
「君は気にしなくてもいい。それよりも、彼女も知恵を身に付けた者だ…我らには都合が悪い」
「では…総理?」
「うむっ、彼女を盛大に歓迎してやろうではないか」
――ディープステートにたてつく者は…全員地獄へ落ちるのだ。
――――――――――――――――――――――――――――――――
2019年の夏頃。
見滝原中学校の屋上に姿を見せていたのは見滝原で魔法少女活動をしている面々。
巴マミ、佐倉杏子、美樹さやかの3人は意気揚々とした顔つきをしている。
「ん~~!やっと期末試験から解放された!もう直ぐ夏休みって感じですね~皆の衆!」
「コラ、美樹さん。夏休みが近いからって浮かれちゃダメよ?」
「固いこと言うなって。あたしは勉強遅れてる分、さやかと一緒に頑張り過ぎて疲れたよ…」
「あんたの期末試験はどんな感じになりそう?」
「まぁ…ボチボチだとは思う。魔法少女やってると寝不足気味で授業中もしんどいからなぁ~」
「美樹さんの方は手応えあったのかしら?」
「いいっ!?それを聞いちゃいますか~マミさん…」
「ウフフッ♪意地悪だったかしら?」
「この表情を見てお察しくださ~い!」
肩をガクッと落とすさやかを見た者達は苦笑いしてしまう。
「夏休みが近いからこそ私達も活動範囲を広げられるわ。気を引き締めないとね」
「おっ?マミさんには予知能力でもあるのですかな~?」
「えっ?どういう意味なの…美樹さん?」
「ニッヒッヒ!聞いてください皆の衆!」
自慢気に語るのはさやかの友達である恭介からのお誘い内容であろう。
海水浴も出来る観光地への宿泊旅行に行く内容を聞かされたのだが杏子の顔が沈んでしまう。
「音楽家の恭介の顔馴染みの音楽家がいてね、別荘持ちなの!海水浴も出来るんだって!」
「美樹さん…魔法少女の活動範囲を広げるって意味は、遊ぶ目的ではないのよ?」
「固いこと言わないで下さいよ~!恭介が利用出来なくなったから、代わりのお誘いなのに!」
「まぁ…観光地ってなら、美味いもんが多いよな?あたしはさやかに賛成かな~」
「流石は杏子!このさやかちゃんが杏子の水着を選んであげるからね~♪」
水着を買う=海で泳ぐ事なら容易に想像出来る杏子の顔に暗い影が浮かぶ。
「…あ、あたしは…その…」
「どうしたのよ?海水に入るとアレルギーとか出ちゃうタイプ?」
「そういうもんじゃない…けど……」
しどろもどろになった杏子に対し、付き合いが長いマミの方から真相が語られる。
「その…ね、美樹さん。佐倉さんは…泳げないのよ」
「マジで!?」
「こ、こらマミ!!余計なこと言わなくてもいいだろ!」
「意外な弱点!いつもは自信家な杏子だけど、海ではあたしが一番かも!」
「絶対に泳がないからな!!美味い食い物だけにしか用事はねーよ!!」
「はいはいっ♪杏子はこんな感じだけど…マミさんはどうです?」
「そうねぇ…参加したい気持ちはあるけど、友達のなぎさちゃんを残しては…」
「大丈夫!恭介の知り合いの音楽家さんの別荘は豪邸なんです!友達も連れてきていいって!」
「そうなの…?なぎさちゃんを連れて行ってもいいなら…私も参加したいわね」
「勿論ですよ~!なぎさも凄く喜びますって!」
「ウフフッ♪私達にも息抜きは必要よね♪なぎさちゃんも大喜びするわ」
「気を引き締めるんじゃなかったのか~マミ?油断してると腹の方も油断を……」
聞き捨てならぬ言葉であった。
「ギャァァァーーーーーッッ!!?」
いつの間にか伸びていたリボンによって拘束され、簀巻きにされて圧迫される杏子である。
「マ…マミさん…?」
肩を震わせながら両拳を握り締めるのは乙女の地雷を容易く踏んでくる者に対する鬼のマミ。
(体重の話をマミさんにするのはやめといた方がいいって分かったよ…)
グロッキーな杏子のために両手を合わせて念仏を唱えていたら知っている者の声が聞こえる。
「やぁ、楽しそうで何よりだね~君達」
声に振り向くと現れたのは見滝原郊外や政治行政区で魔法少女活動を行う呉キリカである。
「よぉ、キリカ。お前が学校に現れるのも珍しいよな」
「簀巻き状態でそんなセリフを聞かされるとはねぇ。私も布団に簀巻きにされて寝ていたいよ」
「フフッ♪出席日数はちゃんと稼がないとダメよ、呉さん。美国さんに怒られるわよ?」
織莉子の名を聞かされた時、キリカの表情に暗い影が浮かぶ。
「どうしたのさ、キリカ?一度しか会った事ないけど…あの織莉子さんに何かあったわけ?」
伝えていいのか分からず、キリカの顔は俯いてしまう。
彼女を心配してくれた3人は椅子に座った彼女を囲んで心配してくれる。
そんな魔法少女達の優しさが嬉しかったのか、キリカは重い口を開いて語り始めてくれるのだ。
「美国さんが…政治活動を始めた?」
「うん…
「中学生で政治活動…?うぅ、あたしが入り込める世界じゃなさそうな案件…」
「あの織莉子って奴…頭は良さそうに見えたけど…政治活動なんてする奴だったのか?」
「今まではしてこなかったよ。だけど6月のある時期から…織莉子は変わってしまったんだ…」
「ある時期から…変わってしまったというのは?」
「魔法少女活動以外は家に閉じ籠るようになった。魔法少女活動してる時も心此処に在らずさ」
「なんだか…心配だね。何かショックを受けるような事でもあったの?」
「それについては織莉子は語ってくれない…語り始めたのは…国の政治に対する怒りばかり…」
「美国さんの家はたしか国政政治家一族だったわね。家族と同じような志に目覚めたのかしら」
「分からない…織莉子は何も語ってくれない。だから心配過ぎて私の心は散り果てそうだよ…」
「社会に対する要求ってのは…社会リンチしかもたらさねぇ。あたし達一家も苦しんだよ…」
「政治活動をしている織莉子を虐める連中を刻んでやりたいよ!でも手を出すなと言われる!」
「そこまで追い込まれてるだなんて…彼女のソウルジェムの状態は大丈夫なの?」
「常に穢れてしまうぐらいにまで苦しんでる…私と小巻が織莉子のために今は戦ってる…」
「不味いわね…そんな状態になってしまったら…いつ死ぬか分からないわ」
「お願いだよマミ!織莉子をどうにかして欲しい!聡明な君なら…織莉子を救ってくれる!」
「あ…あたしは助けになれないかも…政治の話題だなんて全く分からないし…」
「さやかと同じくノンポリなあたしも力にはなれねぇな…どうする、マミ?」
「私だって政治に詳しいわけじゃないわ…それでも…どうにかして悩みを聞き出してみる」
「あぁ…持つべき者は魔法少女の友だね!!今日から君は私の恩人だ!!」
目を輝かせて立ち上がり、両手を握り締めてくるキリカに対してマミは不安そうな顔つき。
そんな彼女達の話を立ち聞きしている人物が潜んでいたようだ。
「……美国さん」
暗い表情を浮かべていたのは魔法少女を辞めて悪魔と化した暁美ほむら。
彼女の脳裏に浮かぶのは美国織莉子に命を救われた記憶であろう。
「あの子はもう…私の敵ではない。かつてはまどか殺しの怨敵であっても…今は命の恩人よ」
後ろ髪をかき上げた後、ほむらは屋上の入り口付近から姿を消す。
彼女の心の中には織莉子に対する深い思いやりの感情が沸き起こるのであった。
♦
夏休みに入り自由時間が増えた織莉子の政治活動は益々精強になっていく。
五郷から場所を変え、見滝原中央駅の入り口近くで声を張り上げている。
「この国は自由貿易の名の元に売り尽くされています!
TPPとは日本とアメリカを含む12カ国による環太平洋パートナーシップ協定。
EPAとは経済連携協定であり、FTAとは自由貿易協定を指す内容であろう。
「自由貿易で豊かにはなれません!その目的とは
資源が豊富な先進工業国などには有利であるが、資源も乏しく輸入頼りの日本にとっては不利。
競争力の無い国にとって、自由貿易とは
それによって最も利益を得られるのは企業の株主であり投資家である国際金融資本家であろう。
「関税撤廃による独占!日本産業が勝てるわけありません!
道行く人々に声を張り上げるが誰も聞き耳を立てず、同じ反応しか返ってこない。
聞こえてくるのは差別に満ち溢れた者達の揶揄と嘲笑。
馬鹿で間抜けな事を言っている奴だと見下し、弱い者虐めを楽しみたいだけの者達である。
税金ばかりを上げてデフレを推し進める御上に対して逆らえないならどうする?
それは自分達より下だと判断出来る者を虐めて面白可笑しくストレス発散すればいいである。
「どうして…どうして誰も聞いてくれないの…?」
心が切り裂かれ、悔しさで震えるばかりの織莉子であるが、これこそが償いの道。
「1%の外資系大企業が儲けては国が亡ぶ!
大企業にお金を使ってくれるのは99%の中小零細企業に勤める者達が大半である。
99%の中小零細企業にお金が使われず、1%の外資系大企業にしか使われないとどうなる?
「中小企業が滅びれば
それを根こそぎ奪いつくす世界規模の政策こそがSDGs(エスディジーズ)だと彼女は叫ぶ。
SDGs(持続可能な開発目標)とは国連が採択した世界が共通して取り組む2030年目標。
17の目標と169のターゲットを目的とする。
世界が注目する理由とは大規模なビジネスチャンスだからであろう。
持続可能な開発委員会によると年間最大12兆ドルの経済価値を持つ市場が生まれるという。
国連主導の元、万人の雇用を生み出す市場というが目的は国際金融資本家を儲けさせること。
環境破壊を推し進めてきたのは近代市場であり、既に貨幣経済は行き詰まり破局を待つばかり。
だが今度は自ら作り上げた破壊と貧困をメシのタネにして新しい市場を作り出したのだ。
「国連とはロックフェラーとロスチャイルドのもの!この2大財閥こそがイルミナティです!」
<<うるせぇ!!デマばかり垂れ流してんじゃねぇぞ陰謀論者!!>>
心無き者達から侮辱されていく少女の心は愚民共から何度でも切り裂かれていく。
<<陰謀論者ってマジうぜーよな。死ねばいいのに>>
<<あいつら反日だろ?愛国政権である与党政権を批判する奴らは反日に決まってるし>>
<<そうだそうだ!売国奴は日本から出て行けよ!!中国や北朝鮮で暮らせ!!>>
「私は反日じゃない!行政府こそが売国奴です!調べて下さい!行政が進めた売国法を!!」
<<陰謀論者がデマを作り上げようとしてる!マジでこういうのを規制する法律がいるな>>
<<治安維持法を作ればいいのに。こういう反日は全員刑務所にぶちこまれりゃいい>>
彼女の言葉を調べもせず、憶測だけで悪のレッテル張りを繰り返す愚民国家の日本人。
リベラルという自由主義が生み出したのは
多数派ばかりが優先され、考える少数派が駆逐される光景はヒトラー扇動そのものだ。
「お願いです…信じて下さい!!うぅ…ヒック……」
<<陰謀論者が感情論に持ち込みだしたぞ~!騙されるか!この詐欺師め!!>>
<<所詮は汚職政治家の娘だな!!父親がクソなら娘もクソとくる!!>>
<<デマを垂れ流すのはやめろよ陰謀論者!!警察を呼ぶぞ!!>>
泣き出してしまった織莉子を見ながらゲラゲラ嘲笑う日本人達の劣化は止まらない。
所得格差が人の心と社会を破壊する、格差は人と社会の健康を蝕む。
所得格差と人と社会の健康状態の相関関係を示した調査研究は数多くある。
世界各地で見られているように社会の分断、暴動、革命、戦争にまで発展するのが格差社会。
神浜の東西社会だけの問題ではない、格差によって世界の人々まで争い合う地獄を生み出す。
それによって生み出されていく子供社会の犠牲と苦しみ。
子供達の絶望から生まれる願いを食い物にするインキュベーター。
その場しのぎの奇跡に縋り、不条理な願いによって破滅する子供の魂を導く円環のコトワリ。
この世はまさに
「愚か者が相手なら、私は手段を選ばない」
手を叩く音が響くと織莉子を囲んでいた愚民達の瞳が濁っていく。
「あ…あれ?俺…何してたんだっけ?」
「なんでこんな子供の相手をしてたんだろ…?」
「そうだ、仕事があったんだ。こんな子供の相手をしてる暇はない」
織莉子は周囲の人々が立ち去っていく光景を茫然と見つめる事しか出来ない。
「貴女は…?」
近寄ってくる人物とは夏休みに入って私服を纏うようになった暁美ほむらであろう。
「…場所を変えましょう。ここにいたら、貴女も辛いでしょ?」
気遣ってくれる優しさに触れた織莉子は力なく頷く。
さし伸ばされた手を掴み、力なくついて行く事しか出来なかった。
♦
見滝原市庁舎前に大きく整備された噴水公園の遊歩道の椅子に座る少女達が話を始める。
「あの…貴女は一体…?」
暁美ほむらと美国織莉子は出会っているはずだが、織莉子自身には記憶が残っていない。
(この子の記憶も世界を改変する時に書き換えた。私が魔法少女だったのを忘れてもらった…)
初対面のように接してくる織莉子の姿を見た事で時間渡航を繰り返してきた時代を思い出す。
「…貴女の政治活動を聞いていた者よ」
「私の話を…聞いてくれてたんですか?」
「ええ…酷かったわね。デマ屋の陰謀論者扱いされて…さぞ辛かったでしょう」
彼女の苦しみに触れてくれるほむらの表情を見た織莉子は確信する。
ほむらもまた誰にも話を聞いてもらえなかった苦しみを知る者なのだと理解したようだ。
織莉子の瞳に悔し涙が浮かんでいき、苦しみを分かってくれる人に慟哭を叫ぶ。
「繰り返せば繰り返すほど周りとの関係が壊れていく…大切な友達とも気持ちがズレていく!」
「皆とは違う世界を生きる者となっていく…私も…そうだったわ…」
「嘘つき女!みんなの環を乱す陰謀論者!そうやって…皆が私を責め立ててくる!!」
「真実を伝えようとしても…悪のレッテル張りしかされない。だから私も…独りになった…」
「私はこの国の未来を心配しているだけなのに!!私の気持ちは…皆から疎まれていく!!」
「どんな献身にも見返りなんてない…そうやって…報われないまま死んでいくしかなかった…」
「私のせいなの…?私が真実を言おうとしてたから…皆を傷つけてしまっていたの…?」
「貴女は自分を責め過ぎている。貴女を非難できる者なんて誰もいない…
ほむらが超えてきた苦しみの記憶から生まれる切実な言葉。
苦しみを分かってくれる者の思いが織莉子の胸を貫く。
感極まって泣き崩れてしまった織莉子に対してほむらは抱きしめてくれる。
「あ”あ”あ”あ”あ”~~~……っ!!!」
泣きじゃくる頭を撫でるほむらは彼女の悲鳴の苦しみが自分の悲鳴のように感じてくれる。
「私…貴女の事を誤解してた。貴女もまた…まどかと同じように…皆のために戦う者だった…」
優しく頭を撫でながらも記憶の中に呼び覚まされていく。
鹿目まどかから生まれる最悪の魔女が誕生する前に消そうとした違う世界の美国織莉子。
まどかを守るために殺し合い、容赦なく彼女を撃ち殺した自分自身。
不穏分子を除去するために数多の並行世界の織莉子を殺害してきた苦しみが蘇る。
「私は…
暁美ほむらもまた嘉嶋尚紀と同じ過ちを犯してきた者。
今ようやく、それに気が付く事が出来たようだ。
「ごめんなさい…美国さん。私が憎むべきだったのは最悪の結果を生んだ貴女じゃなかった…」
――運命という名の…原因だけだった。
「私たち魔法少女は…どこまでも因果からは…逃れられないのね」
美国織莉子は生きる意味を知りたいと願った者であり、知る力として手に入れたのは予知魔法。
だが不条理な願いは彼女に知ってはならない知識まで授けてしまう。
それによって生み出されたのは地獄ともいえる迫害の日々。
魔法少女達は因果からは誰も逃れられなかったのだ。
落ち着いた織莉子はほむらから渡されたハンカチで涙を拭いていく。
「ありがとう…私の話を聞いてくれて。その…私の事を知ってるようだけど…魔法少女なの?」
かつての過ちをまた繰り返すようにして、ほむらは違う世界の話を持ち出してしまう。
だからこそ彼女の言葉は相手に伝わらない。
猛省するかのように俯いてしまうほむらの両手が叩かれようとしていたが、手を下ろしていく。
「…ええ、知ってるわ。私の話を…信じてくれる?」
悪魔ほむらは記憶操作魔法を使わない選択を選んでしまう。
彼女がタブーを犯してまで伝えたかった気持ちを無かった事には出来なかったようだ。
織莉子の顔に笑顔が戻っていき、優しい表情のまま頷いてくれる。
「勿論よ。貴女は私の言葉を聞いてくれた人…なら私も貴女の言葉を…聞かせて欲しい」
同じ苦しみを背負う同士の顔を向けてくれたほむらの表情にも微笑みが浮かんでくれる。
(こんなにも報われた気持ち…初めてよ。もっと早くに…貴女とはこうなりたかったわ…)
暁美ほむらはかつて魔法少女であった事や今は悪魔と化した出来事を語っていく。
そして今の自分は一人の少女を守る者でしかないという事も伝えたようだ。
突拍子もない話をされても織莉子はそれを事実だと受け止めてくれる。
そんな彼女の反応に対してほむらの心も喜びに包まれていく。
家に帰っていく織莉子の後ろ姿を見送るほむらであるが、その表情には曇りが浮かぶ。
「貴女の活動を助けてあげたい気持ちはある…だけど……」
掌の中に悪魔としての魔力を顕現させようとするが、かつて程の魔力の力が生み出せない。
「私が変革を起こして閉じたこの宇宙に…無理やり入り込もうとする女神がいる…」
ほむらは感じているのだろう。
悪魔の力を全開にして張り巡らせる窓ともいうべき結界を打ち破ろうとする女神を恐れている。
「私の悪魔の力は閉じた宇宙を守る為に使わないとならない。だから…力が弱まってしまった」
今の彼女の力は魔法少女として生きた頃と左程変わらない程にまで弱くなっている。
言い知れぬ不安を抱えるからこそ、ほむらは織莉子のために動く事が出来なかったようだ。
「今も昔も変わらない。私は誰のためでもない、自分自身の祈りのために…戦い続けるのよ」
そう言い残すほむらも歩き去っていく。
暁美ほむらが残した言葉が事実なら、それは円環のコトワリが受肉して顕現した事を表す。
違う宇宙に降臨した円環のコトワリ神アラディアの驚異が迫っているのだろう。
女神は持てる力を総動員して銀の庭宇宙とも呼べる鹿目まどかが生きる世界に干渉してくる。
目的は自身の半身とも言うべき者を取り返すため。
暁美ほむらは愛する人の人生を守る為に戦い続ける。
今も昔も変わらない、それこそが暁美ほむらの戦い。
誰にも言えない苦しみを背負う少女達の戦いは続いていく。
そんな者達の姿を高天原から見守ってくれていたのはイザナギ神なのだ。
「たとえ友達から異常者扱いされたとしても、人間や世界の在り方を考える君達は…」
――これから長い孤独に耐えなくてはならなくなる。
そもそも知識とは
政治や歴史だけでなくミリタリーや電車、アイドルといった様々な知識にも言えること。
群れから外れてでも求めるものがある者達は中身を濃厚にするだろう。
「孤独の中で迷い、それでも立ち向かう者達こそ…偉大な存在に成長していく者なのだ」
意思を託すようにして消えていく中、彼女達の孤独を支えるインストラクションを残す。
「迷うな、少女よ。深い思索を得て本当になるべき自分になり、心から果たしていく者となれ」
その者達こそが、この世界の尚紀と同じく流されない者達となる
テオーリアとは見ること、眺めることを意味する。
哲学では永遠不変の真理や事物の本質を眺める理性的な認識活動と言われる。
アリストテレスは、これを実践と制作に対して
織莉子編スタート開幕から展開的に異次元カップリングが生まれる…。
それにしても…原作続編も始まらない中、見滝原組を動かすとワルプルギスの廻天内容と整合性とれなくなりそうで怖い(汗)
それと、叛逆の物語の中でなぎさちゃん指輪身に付けてなかったんですけど、彼女は魔法少女ではなくなったのかな…?