人修羅×まどマギ まどマギにメガテン足して世界再構築 作:チャーシュー麺愉悦部
海に面した見滝原政治行政区。
地下空間には、暁美ほむらに用意された広大な武器弾薬庫と射撃場が未だ健在している。
魔人との試練の際に利用されたが、現在も利用を続けているようだ。
500メートルはある奥域をもつ広大な屋内射撃場内では、けたたましい銃声が鳴り響く。
射撃ブース内の机には様々な銃が置かれている。
拳銃・自動小銃・狙撃銃・分隊支援火器等を次々と撃ち終えたら交換して的を撃つ。
素早い狙いをつけ、高速かつ不規則に動くハンガーにかかったターゲットシートを撃ち抜く姿。
射撃訓練を続ける彼女の後方には、後ろ手を組み見守る姿をしたクロノス。
射撃訓練を終えた彼女がイヤーマフヘッドホンを脱ぎ、ブースのスイッチを押す。
ハンガーが戻ってきて、彼女はターゲットシートを確認していくのだ。
「そんな人間の武器を…未だに使うのか?」
時間を操る神から与えられた質問に対し、後ろを振り向き口を開く。
「言いたいことは分かるわ。コトワリ神であるアラディアと戦うのには役に立たないでしょ?」
「分かっておるなら、どうして未だに修練を続けるのかのぉ?」
「私の悪魔の力は…強大過ぎるの。力の制御が難しい分、下手に街中で使えば…」
「まぁ、この街が大惨事になりかねんのぉ」
「だからこそ、まだ人間の武器が必要なの。歩兵武器である以上、それを超える被害は出ない」
「フン、鹿目まどかだけを目的にしてきたお前さんが、人間社会に配慮し続けるのか?」
「勘違いしないで。私は確かに…まどかを優先して数多の世界を見捨てたわ。けれど…」
「他の選択肢があったなら、人類を見捨てることはなかったと言いたいのか?」
「…それが見つからなかったから、私は罪人として生きる道を選んだだけよ」
「甘い小娘じゃのぉ…。愛する人を守るだけで良いのに、他人を気にして己の首まで締め上げる」
「まどかだけを守ればいいではダメ。あの子は人間社会に生かされてる…失うわけにはいかない」
「人間の武器を用いて、何と戦うつもりなのじゃ?」
「もしもの備えよ。アラディアだけが脅威じゃない…円環の使者とも戦う日が来るかもしれない」
「まぁええ。お前さんがそう決めたのなら、それを貫くがいい。ワシはただの傍観者じゃ」
「見物料はもらうけれどね。それに、貴方はこの武器庫の管理人でもあるのを忘れないで」
射撃場から出て来た2人の姿。
広大なスーパーマーケットの如き武器庫内を移動してカウンターまで移動。
置いてあったメモに必要な物資を書き込み、クロノスに渡す。
「ルシファーとはまだ繋がりを持っているのでしょ?あの悪魔はアラディアを把握してるの?」
「無論じゃ。だからこそ、閣下はお前さんに多大な期待を向けておられる」
「私に円環のコトワリ神を倒させるつもりね…。だからこそ、私の世話をまだ続けてくれている」
「学生としての生活費と、この武器庫の維持。全ては閣下の役に立たせるために用意されたもの」
「…拒否権は無いという事ね。もちろん、私は言われなくてもアラディアと戦うわ」
「人間として生きて欲しい、愛する者を守る為にか…」
「今も昔も変わらない。それこそが…私のたった一つの道しるべ」
――交わした約束なのよ。
溜息をついたクロノスがカウンター内に移動していく。
棚にあった物を取り出して、カウンターに置いてくれた。
「これは…何?」
中央に六芒星が刻まれているのは、木製のアンティークガンケース。
「中を見てみるがいい」
ガンケースを開けると、ほむらは息を飲みこむ。
「これは…SAA(シングル・アクション・アーミー)ね」
赤い布の上に置かれているのは、西部開拓時代の名銃と同じ見た目の銃。
美しい銀のフレームには、職人技が詰め込まれた装飾が施されていた。
「ただの古い銃ではない。この魔具はな…魔界で生み出された銃じゃ」
「魔具…?魔界で生み出された…銃?」
「魔界の名工として生きた悪魔、マキャヴェリが残した傑作。お前さんの為に…閣下が用意した」
「私の為に…ルシファーが用意した銃なの?」
「お前さんは見事に悪魔転生を果たした。新たなる悪魔の戦いには、さらなる力が必要じゃ」
「魔具って…怪しい武器じゃないでしょうね?」
「閣下がお前さんの為に用意した武器の数々は、一度でも裏切ったのか?」
「いいえ。ここに用意してもらえた銃こそ私が求めていた物。いつだって私を裏切らなかったわ」
「手に取ってみるがいい」
言われた通り、彼女はSAAを手に取ってみる。
「凄い…手に吸い付くような一体感を感じる樹脂グリップね。それに…不思議な魔力を感じるわ」
様々な角度で銃を確認していく仕草を見せる。
「装弾数は6発じゃ」
「…悪魔を表す数字ね。今の私に相応しいわ」
「この銃はな、特殊な弾丸を撃つことが出来る。持ち主の魔力を最大限に込めた一撃を放てる」
「特殊な弾丸…?」
ケース内には、並べられた弾丸の数々。
手にとってみれば、今まで触れたこともない感触をもたらす。
「見た目は45口径弾だけど、不思議な金属ね…。それに、薬莢には五芒星の印がつけられてる」
「五芒星とは悪魔の力を封印する印。悪魔としてのお前さんの魔力を封じて溜め込めれるのじゃ」
「その封印出来る悪魔の魔力は…無尽蔵なの?」
「試してみるか?」
「後でやってみるわ。もしその話が本当なら…願ったり叶ったりね」
「かつての試練の時、お前さんは抜き撃ち技術を磨いた。弓よりも早く引き金を引けた筈じゃ」
「ええ。弓で戦うよりも、私は銃を用いて戦うことを得意としているから」
「悪魔としてのお前さんは弓しか生み出せん。だからこそ閣下は、悪魔としてのお前さんにも…」
「悪魔専用の銃を与えてくれたというわけね…有難いわ」
撃鉄を親指で持ち上げ、構える。
引き金を引き、撃鉄が落ちる音が響いた。
「年代物の銃でも…手に馴染むわ」
「暁美ほむらを象徴する武器は、やはり弓ではなく銃というわけじゃな」
「私の長い旅路を共に歩んでくれたのは…貴方と銃だけだったものね」
「今まで通り、魔法盾としてのワシの領域に収納するがいい。いつでも抜けるようにな」
「そうするわ。練習が必要ね…シリンダーを指で回転させながらリロードする旧式構造だから」
「この武器庫には、それと同じタイプの銃もあったはずじゃ」
「練習用には丁度いいわ。探してみる」
銃をアンティークガンケースに仕舞い蓋を閉じた時、強大な魔力を感じとる。
「…この魔力、忘れもしないわ」
「…人修羅じゃな。この街に近づいてきておるようじゃ」
「この街に近づくあの悪魔は、探偵として訪れようとしているのかしら?それとも…」
「お前さんとの再戦を求めて訪れるのか…どちらなんじゃろうのぉ?」
「この街に不穏分子は近寄ってもらいたくはない。…確認が必要ね」
2人は地上に出るためのエレベーターへと向かっていく姿。
その頃、クリスを運転している尚紀と助手席に座る丈二はというと…。
「見えてきたぞ」
「あれが新興都市として生み出された見滝原市か。栄えているようだなぁ」
高速道路から見える光景は、見滝原市を象徴するビルの数々。
尚紀の脳裏に巡るのは、僅かな間で関わった見滝原魔法少女達との記憶。
(杏子…巴マミ…そして、俺と同じ道を歩む暁美ほむら……)
彼女達と再び出会うことになるためか、重い溜息をつく。
(杏子…新しい人生を手に入れても復讐を望むか?そして…あの女は再戦を望むだろうか?)
――俺と同じ悪魔となった…暁美ほむらは?
高速道路から下り、下道を進んでいく。
尚紀を再び出迎えたのは、悪魔ほむらが支配する都市の光景であった。
――――――――――――――――――――――――――――――――
瑠偉が手配してくれたビジネスホテルにチェックインを済ませ、クリスに乗せた捜査機材を運ぶ。
時刻は既に夕刻を過ぎ、日が沈もうとしていた頃。
「捜査は明日からにしよう。先ずは部屋で捜査会議といこうじゃねーか」
「そうだな」
「俺もこの街に来たのは初めてだし、手付金をガッポリ貰えた。どうだ、今夜は一杯?」
「明日に響かない程度でな」
「分かってるって♪」
先にホテルの入り口の中に入っていく丈二だが、続く尚紀は立ち止まり…後ろを振り向く。
「…気味の悪い街にされちまったもんだな」
空を飛び交うのは、かつてくるみ割り人形の魔女と化した暁美ほむらの使い魔達。
街の影にも使い魔の影が見える。
「あの使い魔共が…暁美ほむらの目となり耳となる連中なのだろうか?」
人間には見えない光景だが、人修羅として生きる尚紀は違う。
暁美ほむらと同じ悪魔だからこそ、彼は認識出来るのだ。
「…イヨマンテを飲み込んでおくか。あの悪魔と出会った時、記憶操作をされたら敵わない」
ホテルの中に入り込み、自分達の部屋を目指す後ろ姿。
彼の脳裏に浮かぶのは、レコードと呼ばれる宇宙さえ砕く程の激闘の記憶。
(今の俺は…マサカドゥス化したマロガレを失っている。あの悪魔に報復されれば…命はないか)
不安を感じながらも、部屋の中で捜査会議を続けていく。
明日の段取りを済ませた2人は、夜の見滝原市へと出かけていくのだが…。
「神浜の外にまで出歩かれると、こっちも経費が膨らむんだけど」
待ち構えるようにして立っていた人物とはナオミだ。
「おおっ!この人がナオミさんか!!すげぇ美人さんじゃねーか!」
「俺だって探偵を務める社会人だ。出張ぐらいはする」
「大人しくしてくれていたら私も楽が出来るのに。それと…このオジサンが貴方の上司?」
「どーもお嬢さん初めまして!俺は聖探偵事務所で所長をしている聖丈二です!」
「気安い男ね。下心丸出しの男は嫌いなのよ」
「ナオミ、お前はこっちでも俺のボディガードをやるのか?」
「そうするのが依頼内容だもの。ミスターニコラスから大金を貰った以上、仕事は完遂するわ」
「ようは俺のストーカーとして付き纏うだけだろ?ストーカー被害にはもう慣れちまったよ…」
「俺達はこれから、商業区に向かって一杯飲もうかと思うんだが…御一緒とかどうです?」
「そうねぇ…タダ酒が飲めるなら、付き合ってあげてもいいわ」
「勿論!お嬢さんのような美しい人に向かって割り勘は言えねぇ!」
(…あの気性が荒かった依頼人の魔法少女に手付金の悪用を見られたら…襲われそうな光景だな)
スマホの地図アプリを見ながら先導する丈二の後ろについて行く2人。
「随分と変わった街ね。街全体を覆う程の使い魔共が跋扈しているだなんて…」
「お前も気が付いていたか」
「当たり前でしょ?私はデビルサマナーよ。この使い魔共を支配している悪魔がいるのかしら?」
「ああ、俺と同じ名を持つに相応しいぐらいの悪魔娘が、この街を支配している」
「知っている存在なの?」
「殺し合った仲さ」
「お互いに生き残れるってことは…貴方と互角に戦える程の悪魔なのね。厄介な存在だわ」
「あいつは精神操作魔法を得意としている。お前も気を付けておくんだな」
「情報ありがとう、そうさせてもらうわね」
3人がやってきたのは、見滝原市の夜景が楽しめる屋上展望台BAR。
ビルの窓際席に座り、大人達は憩いの時間を楽しむのだが…尚紀の視線が窓の外に向く。
(あいつらは……杏子と巴マミ、それにこの魔力は…感じた事はないな?美樹さやかか?)
尚紀の視界に微かに見えたのは、ビルの上を跳躍していく魔法少女達の姿。
「……あの子達が、この街の魔法少女なのかしら?」
「ああ、そうだ。東京や神浜市に比べたら、随分と数が少ないようだ」
「潰し合いでもして、数が激減したといったところね。まぁいいわ、私には関係ないし」
「ナオミさんも魔法少女を知ってるのか!…もしかして、ああいう魔法少女衣装に憧れてる?」
「…ナオキ、このオッサンしばいていい?」
「やめてやれ。お前にどつかれたら、丈二の首が千切れ飛んでいく」
ほどほどにして飲み会を終えた3人がビルから出てくる。
「先にホテルに帰っていてくれ。俺は酔い覚ましに散歩をしてくるよ」
「迷子になるんじゃねーぞ」
「その時は地図アプリでも見ながら帰るさ」
丈二と別れた尚紀だが、後ろにはナオミもついてくる。
「あの子達が気になるの?さっきの子達の魔力を感じる方面に歩いていくけど」
「…あの3人の中には、俺の義妹になってくれた少女がいる」
「そう…家族の事が気になっていたのね。気持ちは分かるわ、私も美雨を気にしていたし」
「付き合わなくても良いんだぞ?」
「私は仕事をしているだけよ」
「フン、勝手にしろよ」
魔獣結界近くのビルの屋上に上り、魔獣結界内での戦いを見物する2人の姿。
「あの槍を持ってる子が、貴方の義妹だった子なの?」
「ああ、名前は佐倉杏子。隣で戦ってるのは多分…美樹さやかだ。今はあの子と同居している」
「彼女達をサポートしている形で指揮をとっている子は?」
「巴マミ。歴戦の強者であり優等生ぶっているが…中身は自分の事しか考えてない糞女さ」
「何か恨みがあるようね?」
「あいつは…俺の家族を見捨てやがった。一番近くにいたはずなのに…」
「その苛立ちの感情は、あの子に向けるだけのものなの?」
「…俺自身にも向いている。だからこそ、あいつの顔は二度と見たくなかったんだがな…」
溜息をつき、彼の肩に手を置いてくる。
「貴方の無念は…私も同じ。家族の老師を失った時…私は近くにいてあげられなかった」
「お前には怒りをぶつけられる存在がいるだろ?俺には…いない。家族を失ったのは俺のせいだ」
「だとしたら…貴方のことを、あの魔法少女は恨んでいるのではなくて?」
「ああ…憎んでいる。お前が語ったレィ・レイホウという奴を、お前が憎んでいるのと同じくな」
「だったら、どうして彼女の事を気にするのよ?憎まれる存在だというのに?」
「杏子になら、殺されてやってもいい。それでも俺にとって杏子は…」
――たった一人残された…家族なんだ。
彼の言葉を聞いたナオミは顔を俯けていく。
(レイ…私の家族を奪った裏切り者であり、家族のような存在だった女。今の貴女は…)
尚紀と同じ感情が湧いてしまった迷いを振り払うように顔を上げる。
「…貴女は彼女と再会したいの?」
「聞き込みをするつもりだったが…迷ってる。それでも、出会う事があるなら…報復を受けよう」
「いい覚悟ね。その時の戦いなら、私は手を出すことはないわ」
「ボディガードなのに?仕事の完遂はどうした?」
「違約金を払うことになるかもしれない…。だけど、この戦いだけは…手を出せない」
「お前もまた…杏子と同じく復讐のために生きる女だったな」
「そうよ…。佐倉杏子を止めるのは、私の復讐を止める行為と同じだから」
「…そう言ってくれて助かるよ。そろそろホテルに帰って、首を洗っておくか」
見物しながら吸っていた煙草を指で弾き、空中で吸い殻を燃やす。
2人は踵を返して帰ろうとした時だった。
「この強大な魔力は…!?」
「…気をつけろ、この街を支配している悪魔のご登場だ」
目の前に一瞬にして現れたのは、悪魔の姿となった暁美ほむら。
左手には魔法盾と化したクロノスが装備され、魔法弓が握られている。
「…私の街に再び現れた目的は何?」
返答次第では即座に殺す態度を示してくる者。
「聞いてどうする?暁美ほむら…いや、悪魔ほむらと言った方が正しいのか?」
「好きに呼びなさい。答えてもらうわ」
黒のトレンチコートの襟裏から伸びるのは一本角。
素肌が見える顔や手には発光する刺青が浮かび、右手からは光剣を放出。
互いが悪魔化し、一瞬即発の空気と化す。
「随分と力が弱まっているようだな?あの時の実力は…こんなものではなかった筈だが」
「それはお互い様よ。貴方からも、あの時感じた極限の魔力を感じられないわ」
「互いに理由があるのだろうが…それでもやり合いたいか?俺は構わないぜ」
挑発してくる態度を示してくるが、隙は全くない人修羅の姿。
横に視線を向ければ、知らない存在から感じさせてくる複数の強大な魔力も侮れなかった。
「クロノスから聞いた事がある…。貴女のような存在が、デビルサマナーなのかしら?」
「ええ、そうよ。聞いた事もない悪魔ね…悪魔ほむらだなんて」
「私は悪魔に転生した者よ」
「悪魔に転生ですって…?」
「こいつは元魔法少女だ」
「なんですって!?魔法少女は…悪魔に転生する能力があるというわけ?」
「いや、こいつが特殊なだけだ。なにせ…ルシファーが用意した魔法少女だからな」
「大魔王秘蔵の魔法少女であり、悪魔に転生した者だなんて…戦いたくない相手ね」
ナオミも管を構え、いつでも不動明王を召喚出来る構えを見せる。
無表情を崩さないが、戦えば不利になるとほむらは判断する。
彼女の考えと同じ判断を下すかのようにして、魔法盾が光を放つ。
「ちょっと…クロノス?」
ほむらの横で実体化したのは、時の翁姿をした魔人。
「やめておけ。ここで潰し合っても利は無いぞ」
「この悪魔は…時の翁じゃない!?魔人を自分の魔法道具にして用いているだなんて…」
「この大きなのっぽの古時計爺は…初めて見る魔人だな」
「お初にお目にかかります、混沌王殿。ワシの名はクロノス…ルシファー閣下の部下を務める者」
「ルシファーの部下だと?なら、お前はあいつの命令を受けて…暁美ほむらに与するわけか」
「貴方と同じく、ワシも7つの試練に参加した者。そして今は…この娘の先を見届けたい者じゃ」
「魔人を仲魔にしたというわけか。別に不思議じゃない、俺も魔人を仲魔にしたことがあった」
「クロノス、貴方は戦いたくないというのね?」
「互いに矛を収めよ。無理をしてまで悪魔化し、この宇宙を守る結界力を弱めてどうする?」
クロノスに説得されたほむらは、大きく溜息をつく。
カラスの翼の骨を折り曲げ、黒き翼で己の姿を覆う。
黒い羽根が舞い上がり、立っていたのは人間の姿に擬態したほむらの姿。
戦意を解いた者を見て、尚紀の姿も悪魔化を解かれたようだ。
「俺はこの街に仕事で訪れた。お前が俺とやり合いたい意思を示さない限り、戦う理由はない」
「それが聞けて何よりね」
「全く、昔からこの娘は早とちりする癖がある。疑うのは大切じゃが、信じることも大切じゃよ」
「私は常に騙されてきた者。疑わなければ、大切な人を守るどころか…自分の身さえ守れないわ」
「殊勝な心掛けだな、気持ちは分かるよ。俺も魔法少女を疑い過ぎて…加害者に成り果てた者だ」
「フフッ♪なんだか貴方達って…よく似ているわね。兄妹なんじゃないの?」
「「こんな兄(妹)を持った覚えはない」」
ハモりながら否定する者達を見て、ナオミとクロノスも苦笑い。
「さて、ワシは先に帰るぞ。下の方の面倒事を済ませたら、お前さんも早く戻るといい」
背中から片翼を生み出し、己の体を覆う。
天使の羽が舞い上がると、クロノスの姿は消え去っていた。
「下の方の面倒事だと?」
「不味いわ…魔獣の結界が消失している。私達の魔力にも気が付かれたかもしれない」
下の方では隣ビルの屋上から感じた魔力に気が付いた魔法少女達の姿。
「どうする?」
「私に任せて」
ほむらは両手を持ち上げ、手を叩く。
下の方では、瞳の色が濁っていく魔法少女達がいた。
「あれ…?何か…大きな魔力を感じた筈なんだけど…」
「気のせいだったのか…?」
「変ね…私も感じたわ。でも、今は何も感じられない…」
去っていく魔法少女達の姿を確認し、互いが向き直る。
「便利なものだな。あいつらが現れた時は、俺の幻惑魔法を行使しようかと考えていたよ」
「これでも私は…世界を騙すペテン師ですもの」
「フッ…そうだった。お前は世界を騙す、お節介詐欺師だったよ」
踵を返し、ほむらは帰ろうとしていくが立ち止まる。
「……人修羅」
「どうした?」
「さっきクロノスが言った通り…私はこの宇宙を覆う結界の為に…魔力を大きく消耗しているわ」
「どうりでかつての力を感じられなかったわけだ。そして、俺と戦う為に結界を弱めたんだな」
「そのせいで…結界を外側から破壊される速度が増してしまったわ。もう…時間がない」
「……何に襲われようとしている?」
後ろに振り向き、尚紀の目を真っ直ぐ見つめてくる。
彼女の表情には、恐怖の影が滲んでいた。
「貴方も見たことがある筈よ…」
――この宇宙に入り込もうとしているのは…受肉した円環のコトワリ神。
――アラディアよ。
その名を聞いた時、魔女と呼ばれる存在が跋扈した世界を思い出す。
鹿目まどかの死の光景を思い出してしまう。
両手が握り込まれ、怒りの感情によって震えていく。
「アラディアと一つになったまどかを…私は剥ぎ取ったわ。だからこそ、取り戻しに現れる」
「コトワリ神が受肉出来る程のマガツヒを…他の宇宙で手に入れたのか…あるいは…」
「アマラ宇宙の支配神である…唯一神が寄越した刺客という可能性もあるわね」
「……俺にどうして欲しい?」
顔を俯けてしまうが、顔を上げた表情は決意を感じさせる顔つき。
「まどかを守る為に……力を貸して欲しい」
「分かった」
「えっ?」
「協力してやるよ」
即答の返事に対し、驚きの余り目を丸くする姿。
「そんな簡単に…協力してくれるというの?」
「アラディアとは…かつての世界の因縁がある。そして俺は…コトワリ神と戦う定めにある者だ」
「あの戦いの時…貴方が語ってくれた悲しみは…そこからきていたのね」
「唯一神の刺客として現れるなら…容赦は一切しない。コトワリ神を破壊することになるぞ」
「そ、それは……」
「安心しろ。コトワリ神という概念存在になった以上は不滅…受肉した肉体を破壊するだけだ」
「そう…良かったわ。魔法少女達の希望でもあるし…何よりアラディアは…まどかの半身なのよ」
「名刺をお前にも渡しておこう。何かあったら直ぐに連絡を寄越せ」
「そうさせてもらうわね」
名刺を受け取るほむらの表情にも微笑みが浮かぶ。
先に帰っていく尚紀とナオミの後ろ姿を見送り、後ろ髪を掻き上げる仕草。
「貴方との最初の出会いは最悪だったけれど…こうして共に戦える日が訪れてくれて…嬉しいわ」
同じ運命を背負う者同士にしか分からない感情もある。
夜空を見上げ、遠くの宇宙に思いを馳せる姿を見せた。
「まどかを守り抜く…今度こそ守り抜いてみせる。恐れはないわ…だって今の私はね…」
――独りぼっちじゃないから。
――――――――――――――――――――――――――――――――
後日の朝から捜索活動が開始される。
尚紀と丈二は手分けをして、先ずは商業区を捜査していくのだが…。
「行方不明者の発見は一週間が過ぎると格段に落ちる…。急がなければ」
道行く人達に向け、小巻から提供された美国織莉子の写真を用いた聞き込みを続ける姿。
「いや、見てないよ。見てたところで、近所迷惑だったこいつなんぞ、どうでもいいよ」
「この子って…街頭で喧しい声を上げてた子でしょ?最近は見ないわね~有難いわ」
「見滝原では有名人だなこいつ。頭のおかしい陰謀論者だって。見かけなくなって清々するよ」
「きっと警察に逮捕されたんだよ。陰謀論者はデマばかり垂れ流すテロリスト共だしなぁ」
非協力的な意見ばかりが飛び交い、捜査も難航していく。
「不味いな…住民達から相当嫌われていたようだ。これじゃ聞き込みを続けても収穫が無い」
丈二は織莉子の家庭環境部分についての聞き込みをする為に、白羽女学院に向かっている。
「異性関係のトラブルは無いと依頼人は言ってたし…だとしたら犯罪関係か?」
これだけの恨みを買う人物ならばと、遅い昼飯を食べながら考えていた時…。
「……よぉ、尚紀」
深く考え事をしていた為か、魔法少女の魔力に気が付かなかった。
公園の椅子から立ち上がり、立っていた彼女に振り向く姿。
「……杏子」
現れた人物とは、見滝原女子制服を着た佐倉杏子。
「…久しぶりじゃん。あたしに顔も見せないで、仕事ばっかしているようだけど」
彼女の表情は不機嫌そうに見える。
「この前街に顔を出した時も…ほむらを相手にしてたよな?何であたしには顔を見せないんだよ」
尚紀の脳裏に浮かぶのは、風華の墓前での記憶。
――次にお前の身辺を洗った時、もう一度社会に危害を加えていたならば……。
――恩があろうが、俺と殺し合う覚悟がなかろうが……。
――八つ裂きにしてやる。
魔法少女の虐殺者として生きた者。
杏子の一家を破滅に導いた者。
罪悪感から、彼の顔は俯き…上がる事は無い。
口を閉ざしたままの態度を見せられた杏子だが、溜息をつく。
「……食うかい?」
差し出された物に視線を向けていく。
出された物とは細長いチョコ菓子。
「別に…怒ってるわけじゃねーよ。ただ…家族のあたしを無視する態度が不満だっただけだよ」
「杏子…お前……」
「食わないのか?いらないなら、あたしが食っちまうぞ」
「いや…いい。仕事が難航していてな…色々と疲れていただけだよ」
踵を返し、逃げるように去っていこうとする。
喫煙所に立ち寄り、落ち着くために煙草の箱を取り出す。
「お菓子よりも煙草かよ?お互いに、体を壊す嗜好品が好きだよなぁ」
横を見れば、ついて来ていた杏子の姿。
「話ぐらいは…してくれたって良いだろ?何で逃げようとするんだよ」
彼女の復讐心と向き合う覚悟を示した。
だが、大切な恩人であり家族だった杏子の姿を見た途端…恐怖を感じて逃げ出したくなった。
もう彼女と殺し合いをしたくないという感情が、口で言った覚悟を超えてしまったようだ。
「杏子……俺の事を、まだ恨んでいるか?」
心の弱さが形になった質問。
杏子も俯き、暫く黙っていたようだが…口を開いてくれる。
「…そこら辺の気持ちもさ、語りたかったから…尚紀と話がしたかったんだよ」
「…分かった。煙草を吸ってる間だけなら…聞いてやるよ」
煙草の箱から一本取り出し、口に咥えて指を近づけ火を点ける。
彼女もチョコ菓子の箱の中から一本取り出して、口に咥えて齧りついた。
似た動作をしている2人の姿は、家族だった頃を思い出させてくれる光景。
「尚紀が譲ってくれた写真…今も大切に飾ってる。ありがとう…譲ってくれて」
「…そうか」
「今のあたしは…さやかの家で居候している。何でそんな事になったのかは…覚えてないけど」
「……………」
「お陰で…もう犯罪行為をしなくても生きていける。さやかの両親には…足を向けて眠れないよ」
「……新しい家族だな」
「あたしは…尚紀と殺し合った。あたし達一家を破滅に導いたのは…あんたのせいだって」
「…その通りだ。俺がお前の家に上がり込まなければ…佐倉牧師達は死なずに済んだ」
「そう考えてた…。だけどな、尚紀だけが原因じゃないって…昔の事を語った時に気づいたよ」
「誰に向けて語ったんだ?」
「さやかに向けて。あたしもさ…自分の理想を押し付けるようにして…魔法少女になったんだ」
持たれていたチョコ菓子の箱が握り潰され、手が震える。
「家族であっても…他人なんだと突き付けられた。信じていたって…応えてなんてくれないんだ」
「…信じる行為ってのはな、ある意味…
「あたしの…気持ち的な正しさだろ?」
「お前の正しさが相手の正しさとは限らない。だから応えてなどくれないんだ」
「あたしがやった事なんて…好きな気持ちを…相手に無理やり押し付けるような行為だった…」
「
彼の表情が暗くなり、俯いてしまう。
彼もまた、身勝手な政治思想を振りかざし、それこそが絶対的に正しいと信じた者。
己の思想を神浜魔法少女達にばら撒いて分断させ、従わない者達に対して暴力革命を仕掛けた。
「悲しいよな、社会に生きる他人同士ってのは…」
「善人であろうとなかろうと、利害関係が崩れたら…加害者に成り果てる…だろ?」
「守りたいと思えば思う程、守れない者が生まれる。相手を知る努力を…俺は怠ってしまった」
「あたしも同じさ…。父さんの考え方を聞きもしないで…
これはメディアの偏向報道に流される者達も同じであろう。
例えば、戦争が始まったとする。
偏向メディアは、戦争を始めた国こそが悪だと独裁的な画一報道ばかりを繰り返す。
それでいて、なぜ戦争が始まったのかという根本的な原因部分を棚上げ報道を繰り返すだろう。
不自然なまでに情に訴えるトピックス記事ばかりが流れ出し、民衆は感情のまま流されていく。
結果論に踊らされた民衆は、戦争が始まった真の原因さえ知らず、
イラクに大量破壊兵器はあったのか?
湾岸戦争とて、ナイラ証言というペテンによる戦争だった。
これが…
「無知は罪…あたしはそう理解出来た。アンタだけじゃなかったんだ…あたしも同じ罪人だった」
横に立つ尚紀に体を向け、深々と頭を下げる姿を見せた杏子。
驚いた彼は、慌てて煙草を灰皿に擦り付けて消し、彼女に向き直った。
「あたしが悪かった…。アンタを…サタンだなんて罵倒して。家族を破滅させた悪魔だと罵って」
「杏子…頭を上げてくれ!お前が叫んだ言葉は事実だ!」
「いいや、下げない。あたしはね…もう尚紀を…これっぽっちも憎んでなんていないんだ」
「お前…それでいいのか?無念の感情をぶつけられる奴が…目の前にいるというのに…」
「アンタは…命を奪おうとしたあたしの為に…あたしが犯した犯罪を…代わりに背負ってくれた」
「それは……」
「それだけじゃない。あたしの家が再建されてく…あれも尚紀がしてくれてるんだろ?」
「俺は…その……」
「さやかの両親から聞かされてる。居候のあたしの為に、毎月お金を振り込む人がいるって」
「……………」
顔を上げる杏子の目には、薄っすらと涙が浮かぶ。
「ありがとう。アンタは…あたしの家族のままでいてくれた。原因があるから結果が起こる…」
――その原因を生み出したのは…あたしとアンタで良いんだよ。
彼女の切実な気持ちを語られるが、彼の顔は俯いたまま動かない。
例え恨まれなくなっても、
袖で涙目を拭い、はにかんだ笑顔を向けてくる。
「…だからさ、あたしはもう…復讐は止めだ。新しい家族と一緒に…これからを考えていくよ」
「杏子……俺は……」
「湿っぽい話になっちまったな。仕事があるんだろ?引き留めて悪かったよ」
仕事の事を思い出させられ、ようやく平静を取り戻せた尚紀。
「…お前に聞き込みをしたかったんだが…この街に戻った途端、臆病風に吹かれちまったよ」
見滝原市に再訪したのは、キリカと小巻からの依頼であったと説明していく。
彼女もまた、キリカ達と共に織莉子の捜索を続けていたことを語られた。
彼女達が調べてくれた情報をメモしていく。
「そうか…障害者として何処かの病院に隔離されている事しか分からないか」
「見滝原市にある病院で、精神科があるところは全て調べたけど…織莉子は見つからなかった」
「それでも有力な情報だ。見滝原以外でも精神病院はあるから、その点で調べていこう」
「頼むよ。人探しの本職は、尚紀のような探偵だからな」
手を振って帰っていく杏子の背中を見送り、踵を返して彼も歩き去っていった。
喫煙所の裏側には、魔力を隠した人の気配。
気殺を用いて隠れていたのはナオミ。
彼女の表情は俯き、拳は震えていた。
「許すですって…?貴女は…それで良いと言うの?家族を死に追いやった者なのに……」
彼女の脳裏に浮かぶのは、家族とも言えた老師達の亡骸。
骸に縋りつき、泣き叫ぶことしか出来なかった無力な自分の姿。
親友のフリをして近づき…大切な家族を奪った憎き者の姿。
「認めない…私は認めないわよ!私は復讐するためだけに…強さを求める人生を生きたの!」
やりきれない苛立ちを抱えたまま、彼女も去っていく。
怒りの感情を抱えたまま歩くが、杏子が語った言葉が頭を離れない。
「知った気分で勝手をしている…無知は罪…原因があるから…結果が起こる…」
立ち止まり、空を見上げる。
「レイ…貴女はどうなの?貴女には…私や美雨を裏切ってまで…犯罪を犯す理由があったの?」
空は答えを返さない。
迷いを振り払うかのようにして、彼女の後ろ姿は消えていく。
彼女の歩みが止まる事は無い。
復讐だけが、彼女の道しるべだから。
――――――――――――――――――――――――――――――――
日直があるから帰りは遅れるとさやかに言われ、街で適当に時間を潰していた杏子。
尚紀と立ち話を繰り返したこともあり、そろそろ戻ってくる頃だと迎えに行くのだが…。
<ちょっとちょっと!!そこのお嬢ちゃん!!>
突然念話が聞こえ、周囲を見回す。
「何だ…?突然念話が聞こえてきたけど、知らない声だった。他の街の魔法少女なのか…?」
<こっちよこっち~!!>
<何処にいるんだよ!姿が見えねえぞ!>
<目の前にいるでしょ!この美しい車が見えないの!>
<車…だぁ?>
横を見れば、路肩停車しているアメ車。
暇を持て余していたから散歩に出かけていたクリスのようだ。
状況を理解した杏子の顔が青くなっていく。
「く…く……車が喋ったのか!!?」
<モチのロンよ~♪ダーリンから聞いてるわ、貴女の特徴が一致するし…佐倉杏子でしょ?>
<ダーリンだぁ?もしかして…尚紀の車なのか?しかも…喋る車!!?>
<ダーリンの事を悪魔だって知ってるんでしょ?アタシも悪魔なのよ~>
<マジかよ…?悪魔の中には、車の姿をしてる奴までいたのかよ…>
悪魔ほむらの記憶改変を受けた杏子の記憶には、7つの試練の時に戦った魔人の記憶はない。
他の悪魔の姿を見るのは初めてのように感じられてしまったようだ。
<ちょっと聞いてよ~!ダーリンの義妹ちゃんなら、聞く権利あると思うわよ~!>
<何の話だよ…?>
<ダーリンたら酷い男なのよ~!!神浜に探偵事務所を移してからね…魔法少女達とね~…>
杏子は聞かされてしまう。
尚紀がどのようにして、神浜魔法少女達と過ごしてきたのかを。
嫉妬に狂ったクリスの
そして…知った気分で鵜呑みにしてしまったようだ。
その頃、手に入れた情報頼りに丈二と合流して捜査会議をしようとしていた尚紀なのだが…。
「救急車で搬送出来る距離にも限りがあるだろう。見滝原郊外を探ってみるか」
ビジネスホテルに向かっていたら、後ろから杏子の声。
<<尚紀~~~~っ!!!!>>
素っ頓狂な叫び声を聞き、慌てて振り向く。
「きょ…杏子!!?」
その表情は…狂犬時代を彷彿とさせる恐ろしき顔。
手には何処かでアスファルトごと引っこ抜いた路側式交通標識。
「テメェ…あたしに顔をずっと見せなかったのは!そういう理由だったのかぁ!?」
「何を言ってるんだ!?」
「しらばっくれるな!神浜生活で…現地の魔法少女共とネンゴロになってばかりなんだろ!?」
「誰からそんないい加減過ぎる情報を聞いたんだよ!?」
「うるせぇ!!家族のあたしよりも…他の魔法少女が良いんだろ!特におっぱいデカい奴とか!」
「偏見過ぎるぞ!?」
怒りのあまり捻じ曲げられていく交通標識。
女の嫉妬なのか、復讐心の再燃なのか…とにかく怖い。
「さっきのは取り消しだぁぁ……今日ここで決着をつけてやらぁーッッ!!!」
アスファルトの塊を大きく振り上げる。
「誤解だーーーッッ!!!?」
「うるせぇぇーーーッッ!!!」
…街中に響き渡った悪魔に与える鉄槌の音。
呆気にとられた民衆達も気にせず、大きなコブを作って倒れ込んだ尚紀を引き摺っていく姿。
場所は変わり、日直の仕事が遅くなったさやかは、杏子の魔力を探す。
「いや~遅くなっちゃいましたね!それにしてもLINEで迎えの連絡くれた杏子はどこだろ?」
見滝原市庁舎近くに整備された噴水公園を歩きながら探す。
公園に隣接するように存在している森林の中に杏子の魔力を感じ取り、入っていくのだが…。
「きょ…杏子!!?」
驚きのあまり叫ぶさやか。
見れば、槍の矛先を使って墓穴を掘っている杏子の姿。
「あんッッ!!?」
ギョロ目で振り向く怒れる少女…とにかく怖い。
彼女の隣には、まだ失神したままの尚紀が俯けに倒れていた。
「その人…もしかして杏子が言ってた義兄の…」
「あたしに義兄なんていねぇ!!特にこんな…魔法少女すけこまし野郎ならなぁ!!!」
「な、なんですとーっ!!?嘉嶋さん…それは魔法少女として聞き捨てならないんだけど!」
偏りきった情報の中身も検証せず、誤解したまま次から次に広まっていく無残な光景。
「おう!さやかも墓穴掘れ!!」
「任せときなって!女の敵は成敗しちゃうんだからーっ!!」
暫くして、やり遂げた表情を浮かべながら森林から出て行く魔法少女達。
残されていたのは、スコップ代わりにした槍が墓石のように突き立てられた光景。
さやかの魔力で生み出した白マントを旗代わりにし、柄に結ばれている。
『女たらし』
そう書かれていた。
木の影から顔を出してくるのはナオミ。
魔力と気配を隠していた人物の片手が持ち上がり、サムズアップ。
「それでこそ復讐者よ。そうこなくっちゃ♪」
誤解を受けたまま生き埋めとなった哀れな存在。
女の嫉妬はかくも恐ろしきかな。
情報はよく検証しなければならないという教訓を感じさせる…無残な光景であった。
哀れ人修羅君ここに眠る(汗)
さて、人修羅君だけにパワーアップアイテム進呈は平等ではないので、悪魔ほむらちゃんにもパワーアップアイテムを用意しました。
1作目の真・女神転生をプレイしたことがあるメガテニストなら、ピースメーカーを覚えているかと思われます。