人修羅×まどマギ まどマギにメガテン足して世界再構築   作:チャーシュー麺愉悦部

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15話 魔都

2017年。

 

東京と呼ばれる都市は日本の首都であり、もっとも人間が集まる政治経済の中心地。

 

富と繁栄、そして娯楽を求めて人はこの街に集まる。

 

だが光が眩しければ影もまた一層濃くなっていくもの。

 

人の繋がりが沢山ある場所というものは悪くなろうと思えばいくらでも悪くなれる環境だ。

 

集団心理が働けば悪い事だと思っていても周りがやるのだからと歯止めが効かなくなる。

 

どこまでも社会悪の世界に堕ちる事が出来てしまう街なのだろう。

 

ネオン渦巻く池袋の歓楽街を見ればそれも理解出来るやもしれない。

 

居酒屋・飲食店・カラオケやゲームセンター等の表通りの娯楽施設が軒を連ねる。

 

夜の繁華街としてはキャバクラ・ガールズバー・風俗店・ラブホテルなどの裏通りもある。

 

居酒屋の表の呼び込みもあればキャバクラや風俗店の黒服キャッチの裏の呼び込みもある。

 

表通りでは居酒屋の酔っぱらい達による喧騒が起きていく。

 

路上喧嘩を見物する若者達はスマホ撮影を繰り返してSNSに投稿しては人間を玩具にする。

 

また若い女性をアダルトな仕事にスカウトする人間や強引な勧誘、募金詐欺も見かけてしまう。

 

裏通りではJKリフレなJKビジネスの女子高生がビラを配り、年配の人を獲物にして利益を得る。

 

ぼったくりバーの被害やキャバクラで散財して路頭に迷う人間、犯罪事件や自殺事件も多い。

 

池袋にはチャイナタウンも存在しており、中国人やアジア系の人間が多く集まる。

 

そこで活動する半グレ組織も存在するようだ。

 

社会の外国人への仕打ちに怒りを覚えた人間達が窃盗・詐欺・ドラッグ・殺人に溺れていく。

 

夜の光が眩く輝いている場所は多くの人間が抱える心の闇という影を照らす。

 

そして人間達を残酷な生き物へと変えてしまうだろう。

 

そんな街で今、一人の魔法少女が誕生しようとしているのであった。

 

♦

 

「契約は成立だよ」

 

「これが…私のソウルジェムですか、キュウべぇ?」

 

「君の願いは叶えられた。きっと君ならこの街に巣食う人間の悪意を止めることが出来る」

 

「私…この街が優しい街になって欲しいです。人間の明るい未来のために私…頑張りますね」

 

ラブホテル街の裏路地を超えた先にある小さな空き地では一人の魔法少女が生まれてしまう。

 

友達が援助交際しているという噂を聞きつけ、彼女を止めるためにこの街に来たようだ。

 

年配の男とラブホに入ろうとする友達を見つけて止めようとしたが喧嘩になっていく。

 

止めに来た少女は年配の男に突き飛ばされて拒絶されるしかない。

 

友達が男とホテルに入っていくのに対し、彼女は呆然とする事しか出来なかったようだ。

 

そんな時にキュウべぇと健気な少女は出会っている。

 

「どんな願いでも一つだけ叶えてくれるんですね?」

 

「勿論、君はどんな願いで魂を輝かせるんだい?」

 

「私は…友達の心を悪意から救いたい」

 

「契約は成立だ。早く君の友達のところに行ってあげるといい、願いは叶えられたよ」

 

指示通りに向かえば友達が泣きながらホテルから逃げ出して来たのを確認してホッとする。

 

新たな魔法少女はホテル街のビル屋上でこの池袋を見つめているようだ。

 

「きっと私達魔法少女なら…この街を優しい街に変えられますよね…」

 

そんな願いを口にした時、ソウルジェムで魔力を感じ取る。

 

「よぉ、ルーキー。魔法少女の世界にようこそ」

 

いつの間にか彼女は池袋を中心に活動をしている魔法少女グループに囲まれている。

 

「あなた達は……この街の魔法少女なのですか?」

 

「そうだよ、あたしがリーダーやってるもんさ」

 

黒衣の魔法少女がルーキーの元に威圧的に歩いてくる。

 

「私、この街を魔女から守って…少しでも人間達を救いたいんです!よろしくお願いします!」

 

ルーキーの純真な笑顔を見たグループの魔法少女達は爆笑しながら嘲笑う。

 

「あー、そういうママゴトでさ、あたしら魔法少女やってんじゃねーの、分かる?」

 

汚物を見るような嫌そうな目つきでルーキーを見てくる。

 

リーダーの魔法少女が睨みつけてきた事でルーキー魔法少女は震えてしまうようだ。

 

「じゃあ…あなた達はなんのために…私のところに来たんですか?」

 

「あたしらの要求は簡単だよ。お前、あたしらの舎弟として手駒になれ」

 

言っている意味が分からず、ルーキーはただ震えてしまう。

 

(この人達から…この街と同じ…人間の闇を感じる……!)

 

「グリーフシードはお前が集める係な?あたしら魔法娯楽が忙しくて魔女狩りやってらんねぇ」

 

「魔法で娯楽…?私達は人間の敵の魔女と戦う者です!その力を私利私欲に使うんですか!?」

 

「うるさいねー、イエスかノーかの返事でいいからさぁ、聞かせろよ」

 

「そんなの…ノーに決まってます!魔法少女の魔法は人間を守るために使うべきです!」

 

その言葉を聞いた瞬間、グループの魔法少女達の笑顔が消える。

 

次の瞬間、強烈な一撃が健気な魔法少女に襲い掛かる。

 

「ゴフッ!!?」

 

一撃が水月(みぞおち)に入り、痛覚麻痺していようが激しい痛みと呼吸困難が襲い掛かる。

 

「お前みたいな綺麗事ばっか言う魔法少女が一番ムカつくんだよぉ!!」

 

「あたしらが自分の魔法を何に使うかなんて、あたしらの自由だろうが!!アァーッ!?」

 

蹲りながら倒れ込む相手に対し、さらに違う魔法少女が蹴り飛ばす。

 

倒れ込んだお人好し魔法少女に対して次々とグループメンバー達が蹴りを入れていく。

 

「何がこの街の人間を救うだ!そんなことしたら魔女の餌が無くなっちまうだろうがぁ!!」

 

「私ら魔女食って生きてんだよ!人間はあたしらを生かす餌でしかねーんだコラァ!!」

 

袋叩きにされながら血塗れになっていく彼女は心の中で錯乱しながら嘆きを呟いていく。

 

(どうして…!?どうして私が…こんな目に合わなければならないの…!?)

 

魔法少女は正義の味方じゃないのかと自分達魔法少女のアイデンティティが壊れていく。

 

(私…変身ヒロインみたいな魔法少女に憧れていた部分があったから…契約したのに…!!)

 

人間を救うために契約した彼女が他の者達からこんな目に合わせられるのかと大泣きしていく。

 

「こんなの嫌…こんなの嫌ぁぁぁぁ……っ!!助けて…誰か助けて……っ!!」

 

薄れゆく意識の中、彼女は目の前で佇んでいたキュウべぇを目にする。

 

「助けて…助けてキュウべぇ!お願い…私はこんな目に合うために契約したんじゃない…っ!」

 

「……………」

 

哀願する魔法少女を目にしてもキュウべぇは何も答えず彼女を静かに見つめているだけ。

 

「サンドバックも飽きてきたし、終い(しまい)かな?グッバーイ、世間知らずな魔法少女さん♪」

 

心優しい魔法少女の頭部に鈍い音が響き、返り血が飛び散る。

 

黒衣の魔法少女が使う魔法の斧が振り下ろされたからだろう。

 

彼女の頭はスイカみたいに割れてしまい、頭部が裂けた状態で体が痙攣する。

 

意識が途絶えた彼女の体が死を受け入れ、ソウルジェムが濁りきって魔女と化すのだ。

 

「…まぁ、あまり才能が無い子だったしね。早めに感情エネルギーが回収出来て良かったよ」

 

♦

 

気怠い顔をしながら魔法少女グループが魔女結界から出てくる。

 

リーダーの黒衣の魔法少女が殺した少女のグリーフシードを拾い、魔力を回復させようとする。

 

「ちょっと待てよ!私が一番働いたろうが!魔力を回復させるのは私が先だろ!!」

 

「走り回って魔女の注意を引いてただけだろ?トドメの魔法を使ったあたしが魔力使ってんの」

 

「私が囮になったから傷が一番ついたんだろうが!!寄越せよそれ!!」

 

「ちょっと待てよ!リーダーの魔法の巻き添えでこっちも怪我したんだ!使わせなさいよ!!」

 

東京で暗躍する魔法少女グループ内には仲間意識など存在しない。

 

群れた方が魔女を狩る効率が良く、縄張り争いも数で攻めたいというだけで群れているだけ。

 

自分さえ良ければそれでいい、群れの誰が死んでも取り分が増えて幸運と考えるエゴイスト達。

 

そんな魔法少女グループで埋め尽くされた街なのがこの東京なのだろう。

 

「実に利己的で人間らしいね。ボクは魔女を生み出してエネルギー回収出来ればそれでいいよ」

 

キュウべぇは彼女達の喧騒を尻目にその場から消えていく。

 

人の繋がりが沢山持てる場所は悪くなろうと思えばいくらでも悪くなれる環境である。

 

集団心理が働けば悪い事だと思っていても周りがやってるのだからと歯止めが効かなくなる。

 

どこまでも悪の世界に堕ちる事が出来てしまう街。

 

ここは人間の守護者無き混沌の街、東京。

 

魔法少女の欲望渦巻く魔都に人間の守護者が現れる日は、そう遠くはなかった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

池袋のシャッターが閉められた閉鎖的な路地裏。

 

一本道の通りでは黒衣の悪魔と一人の少女が睨み合う。

 

「よくも…よくも翼を殺したわね!私の大切な魔法少女パートナーだったのに!!」

 

魔法少女と思しき少女は黒衣の悪魔に罵声を浴びせるが悪魔は黙して微動だにしない。

 

「あの女は魔法を使って人間を殺戮した殺人鬼だ」

 

黒衣の悪魔は無表情のまま少女を睨みつける。

 

「それが何だっての?翼は旦那の男に酷い目に合わされて可愛い赤ちゃんまで殺されたのに!」

 

社会の理不尽な仕打ち、それが一人の魔法少女を狂気に駆り立てた事件を少女は叫ぶ。

 

「男なんて私が殺してやる!魔法少女を受け入れる優しさを持つのは魔法少女だけで十分よ!」

 

人間の敵を殺す時の静かなる殺意を灯すのは金色の瞳。

 

その右手に隠された武器は獲物の僅かな隙さえ見逃さないだろう。

 

魔法少女は左手にソウルジェムを出現させて変身を行う。

 

眩い光が辺りを包みながら魔法少女に変身するのだが、それが起きた時には勝負がついている。

 

「俺を相手にわざわざ隙だらけの変身シーンをお見せするか?この大馬鹿野郎が…」

 

変身を終えた魔法少女の首から上が存在していない。

 

地面に転がっているのは生首であり、体の首からは流血が噴き出しながら地面に倒れ伏す。

 

悪魔の右手には魔力で放出された光剣が握り締められている。

 

「悪魔との戦いは隙を見せた者が死の代償を払う。地獄に堕ちた先の悪魔を相手に覚えておけ」

 

ソウルジェムが死を受け入れ、魔女として孵化する前に炎の魔法で死体ごと焼き尽くす。

 

灰さえ残らず燃え尽きたのを確認していた時、悪魔は潜伏している連中に気が付いたようだ。

 

「どうやら…見物人共がいたようだな」

 

ビルの上にいる連中を睨んだ後、踵を返して去っていく。

 

ビルの上から見物していたのは池袋を中心に活動をしている魔法少女グループである。

 

「あれが…魔法少女の殺戮者…」

 

リーダーの黒衣の魔法少女は悪魔の恐ろしさに対して冷や汗を垂らす。

 

「魔法少女に変身する一瞬の隙で殺すだなんて…あいつは化け物かよ!?」

 

「そもそもあいつは何なの!?魔法少女でも魔女でもない!人の姿をしたあの怪物は!?」

 

悪魔の存在と力に対して恐怖するメンバー達であるが、リーダーが奮い立たせる。

 

「狼狽えるんじゃねぇ!あいつを始末しないとあたし達の明日の身は…さっき見た通りだね…」

 

黒衣の魔法少女は悪魔を天敵として認めてくれる。

 

あの悪魔は魔法少女達の力を結集して始末しなければならない程の死神だと認めるのであった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

真夜中の渋谷、スクランブル交差点。

 

4面大型エキシビジョンが並び、夜であっても眠らないネオンと人が交差する場所。

 

人の流れが行き交う場所から離れたエリアには代々木公園という大きな公園がある。

 

その場所に向けて黒い影が疾風の如く跳躍しながら舞い降りるのだ。

 

「平日の真夜中だし、散歩する人間の姿も見かけない…不気味なほど静かだな」

 

街灯の僅かな灯りと闇に覆われた空間で叫び声が木霊する。

 

「あっちか…!」

 

叫び声に向かって風のように駆け抜けていく。

 

「感じる…この無数の魔力反応は…魔法少女共か。恐らく罠だな」

 

灯りが一際強い公園の街灯の下には一人の女性が鎖で繋がれている。

 

「た……助けてください!!」

 

女性を助けようと一歩前に踏み出した瞬間、女性の頭に魔法の鉛弾が当たって弾け飛ぶ。

 

「くっ!!誰だぁ!?」

 

鮮血に染まる街灯と路面の中、悪魔は叫びながら周りを見渡す。

 

魔法の銃から硝煙を上らせて歩いてくるのは魔法少女の姿である。

 

その背後からも沢山の魔法少女達が続々と歩いてくるのだ。

 

後ろからも左右からも、続々と東京の魔法少女グループが現れてくる。

 

悪魔は東京の魔法少女達から完全包囲を受けてしまう事態となるだろう。

 

「……誘い込みか」

 

「よう、殺戮者。まんまと罠にかかってくれたようだねぇ?」

 

斧の柄につけられた鎖を片手で振り回し、威圧的な態度をするのは池袋のリーダー魔法少女。

 

彼女が号令を出し、東京の魔法少女達に集合をかけたようだ。

 

「商売敵のこいつらかき集めるのに苦労したけど、キュウべぇが手伝ってくれて助かったなぁ」

 

(数は40人か…。東京の魔法少女の数で言えば3分の1程度……いいだろう、やってやる)

 

「危機意識の無い糞共はどうでもいい。集まった連中は魔法少女を1年以上続けたベテランさ」

 

「年貢の納め時だよね?男が魔法少女社会にしゃしゃり出てくるからこんな目に合うんだよ」

 

「…言いたいことは、それだけか?」

 

悪魔は黒衣を掴みながら脱ぎ捨てる。

 

顔と上半身の入れ墨が怪しく光り輝き、血に飢えた悪魔の目が睨んでくる。

 

「全員生きては返さない…俺に出会った不幸を呪え」

 

「ほ…ほざいてんじゃねーぞ糞野郎がぁ!男が魔法少女に勝てると思うなよ!!」

 

睨み合う悪魔と魔女の如き魔法少女達が血煙舞う風となる程の戦いが始まるのであった。

 

♦

 

最初の二人の魔法武器攻撃を低い姿勢で掻い潜る。

 

左右から光剣を放出して胴体を切り落とし、次の相手の武器を低い姿勢で回転して通り抜ける。

 

「死に晒せぇぶるっ!?」

 

後ろの相手に後ろ回し蹴りの一閃が決まり、首が折り曲げられて倒れ込む。

 

武器を振り下ろす相手の右手を掴み、伸び切った肘関節に当身を入れてへし折り、殴り飛ばす。

 

「舐めてんじゃねーぞぉぉぉぉーーーーッッ!!」

 

回し蹴りを放つ相手に対し、カウンターで後ろ回し蹴りを首に食らわせて跳ね飛ばす。

 

大きく跳躍して刀を振り下ろしてくる相手に横蹴りを合わせ、腹のソウルジェムを砕く。

 

横からの魔法槍を寸前で回転して回避、相手に旋風脚を放ち頭部に当てて首を折り曲げる。

 

常に動き続けなければならない。

 

集団戦で背後を取られる訳にはいかないのだ。

 

「あたしの弾丸から逃げられると思うんじゃねーぞぉ!!」

 

走りながら二丁魔法銃を撃ってくる相手に対し、両腕で顔を覆いながら弾を受け止めていく。

 

相手の跳躍射撃に合わせて左手に収束した魔力放射の一撃を放つ。

 

「あたしのガンカタを見せてやぶっ!?」

 

『破邪の光弾』を放たれた事でソウルジェムごと体を撃ち抜かれる。

 

「怯むんじゃねぇ!!こっちの方が数が多いんだぁ!!」

 

「数だけで俺を倒せると思うなよ」

 

アスファルトが爆ぜる程の踏み込み『突撃』を悪魔は行ってくる。

 

声を出していた魔法少女の顔面を掴み上げ、なおも突進は止まらない。

 

Feces(糞女)とグラフィティアートされた公衆トイレの壁に叩きつけ、クレーターが出来る。

 

「ごっ!!ぶへぇーーッッ!!?」

 

悪魔はサンドバックに拳を打ち込むようにして『暴れまくり』の乱打を放つ。

 

内蔵と骨が破壊されていき、悪魔の顔に血反吐を吐く女を掴み上げ、アッパーカットを打つ。

 

「ガプッ!!!」

 

顎を打ち抜かれた魔法少女の首が大きくへし折られながら後方に飛んでいく。

 

「次はどいつが死にたい!!」

 

返り血塗れの悪魔の雄叫びに対して魔法少女達は怯んでしまう。

 

後ずさる魔法少女共に対し、悪魔は容赦なく攻める戦いを止めようとはしないのだ。

 

二刀流の武器を持つ相手に対して魔力の光剣で両刀を溶断する。

 

「なんだよ!こいつの剣の威力は!?」

 

武器を捨てて殴りかかる右手の手首を掴み、捻り上げる横からは違う敵の影が迫る。

 

迫る敵に横蹴りを放ち、掴んだ敵の肘をへし折り、膝蹴りを入れて倒し込む。

 

魔法の巨大ハンマーを振りかぶる相手の両腕を切り落とし、後ろの相手には捻り蹴りを放つ。

 

「アギャァァーーーッ!!!あたしの腕がぶフッ!!?」

 

両腕を失った敵にハイキックの一閃が決まり、首がへし折れた相手が吹っ飛ぶ。

 

回し蹴りを背後からしてくる敵に素早くしゃがんで後掃腿を放ち、相手の片足を刈り取る。

 

「待てっ!!プギュ!!!?」

 

倒れた相手に踏み蹴りの一撃が決まって頭を潰す。

 

ガントレットで拳を乱打してくる相手に対して左右の手でトラッピングを行い連続で払い込む。

 

「死ねよオラァァーーッ!!!」

 

相手のハイキックが迫るが、左肘で打ち落として右フックを放ち、顔面を殴り飛ばす。

 

魔法の薙刀で足を払い切りしてくる斬撃に対しては跳躍回転しながらのキリモミ着地。

 

切り払いしてくる薙刀を蹴り足で弾くが、背後から迫る相手の武器に即座に反応していく。

 

「殺った(とった)!!って!?マジかーっ!!」

 

振り下ろす右腕は掴まれており、薙刀の女に向かって投げ飛ばしながら動きを制する。

 

電撃を纏う魔法警棒を振り下ろす右腕を左腕で受け止め、右のボディブローを放つ。

 

「ゴバッ!!ま、待て…あたしはもう降りリュぐッ!?」

 

怯んで頭を下げた相手の頭を掴みながら容赦なく悪魔は首を捻り折る。

 

次の相手をステップキックで大きく蹴り飛ばすと後方には刺激的な人生の終わりが待っている。

 

「アギャババババババッッ!!?」

 

街灯にぶち当てられた魔法少女が盛大に感電しながら絶命する末路が与えられるのだ。

 

「どうなってんだ…なんであいつを殺せない!?」

 

「「私達が殺る(やる)!!」」

 

双子の魔法少女は大きく跳躍して同時に魔法の杖を構える。

 

魔法の杖が同時に輝き、合体魔法による極大マギア魔法を発射する構えなのだろう。

 

それに対して悪魔の両手から炎が噴き上がり、周囲も業火の渦が巻き起こる。

 

両手を頭上に掲げ、両腕に収束された炎のエネルギーを両手から一点放射する。

 

「「そ、そんな!!?」」

 

『マグマ・アクシス』が双子の合体魔法を掻き消す程の一撃となっていく。

 

空の彼方にまで放射された熱線の先にいた双子の魔法少女達は熱線に飲み込まれて消滅する。

 

「そんな…嘘だろ!?もうあたしだけじゃねーか!!」

 

池袋の魔法少女リーダーの体は震え上がっており、後退っていく。

 

「お前で最後だ。命乞いでもするか?」

 

やぶれかぶれとなりながらも斧の柄の鎖を振り回しながら鎖の一撃を放ち続ける。

 

歩きながら迫る悪魔は怒りの光剣を放出して次々と鎖を溶断していく。

 

「クソァァァァーーーーッッ!!!!」

 

魔法の斧を振りかぶりながら斬りかかっていくが無駄な抵抗でしかないだろう。

 

迫りくる相手の右手首を制しながら腕を掴んで捻り上げる。

 

肘関節に当身を入れて破壊し、頭部に膝蹴りを打ち込む。

 

鼻骨が砕かれ顔面が陥没したチンピラ魔法少女は命乞いしながら慈悲を求めてくるだろう。

 

「待て待て!あたしが悪かった…もうあんたは狙わないから勘弁…!!」

 

「命乞いなら…お前達魔法少女が虫けらのように殺してきた…人間達にでも言うがいい」

 

後ずさる相手に対し、大きく跳躍しながら飛び後ろ回し蹴りを決める。

 

頭部に決まった相手の首が何回も回転する程に捻り折れ、首が千切れ飛んで倒れ込む。

 

最後まで立っていたのは魔法少女に対して慈悲無き悪魔だけであった。

 

♦

 

黒衣の悪魔が歩く周囲には次々と火柱が上がっていく。

 

死にかけている者達が次々と焼け死んでいく光景が広がる。

 

罪人共を焼く地獄の炎が悪魔の影を色濃く映す。

 

影を射抜くその金色の目は何を見つめるのか?

 

血に飢えたその吐息は何を求めるのか?

 

血に染まったその手は何を屠るのか?

 

「胸に喜びが沸き起こる…闇は力が支配する。望むまま敵を殺し、己を貫くことが出来る…」

 

――これこそが……悪(・)魔(・)の(・)道(・)だな。

 

「聞こえるか…大いなる神とその御使い共?感じるか…奴らの断末魔を?次はお前達の番だ」

 

去っていく悪魔の背後の炎だけが闇の世界に骸という名の灯火の光を残す。

 

この戦いによって東京の魔法少女の縄張り勢力図は大きく変わる事となるだろう。

 

だがここは東京、多くの人間が常に集まる地域。

 

死んだ魔法少女の代わりとなる者共など幾らでも現れる。

 

インキュベーターがいる限り次々と生み出されていくしかないのだ。

 

魔法少女となった者達が新たな抗争の火種を撒き散らしていく。

 

魔法少女の歴史はまた繰り返すだろうが、その度に悪魔が現れては血の海が広がるのであった。

 




読んで頂き、有難うございます。
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