人修羅×まどマギ まどマギにメガテン足して世界再構築   作:チャーシュー麺愉悦部

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162話 包囲網突破

土曜日の夜となった頃、魔法少女達は見滝原市郊外を目指し始める。

 

ナオミが運転するバスに乗り込み現地を目指すようだが流石に緊張感を隠せない。

 

「あは…はは…魔獣と戦う時よりも、ずっと緊張するわ…」

 

「まぁ…やることはテロリストと変わらねーからな」

 

「素性が見つかったら…もう学校に通えないかもしれないわね…」

 

「恩人!織莉子救出作戦の現場指揮を執る君が弱腰でどうするんだい!」

 

「そ、そうね…呉さん。平常心を保たないと…平常心…平常心…」

 

「要はバレなきゃいいのよ。その為に尚紀さんが私達の素性隠し道具を用意したんだし」

 

「頭に被るマスクでしょ?あたしは髪の毛短いからいいけど杏子は後ろ髪下ろして括ったら?」

 

「そうだなぁ、ポニーテールのままじゃ被れないし…」

 

「私も後ろ髪を下ろしてきたの。括らないと頭に被れそうにないし…」

 

「どうりでいつものマミさんヘアーじゃなかったんですね~。ストレートも似合いますよ!」

 

「フフッ、ありがとう、美樹さん」

 

渡された目出し帽が入った袋を取り出し、髪が長い者達は後ろ髪を括った後で被ってみる。

 

「うへぇ…こういうの被るの初めてだけど、テロリストまんまじゃん…」

 

「おまけによぉ…首の下側は魔法少女衣装だぞ?」

 

「コスプレテロリスト扱いされたりして…?」

 

「そんな頭ミラクルホームランな連中が襲撃してくるんだ。浮足立ってくれたら儲けもんだな」

 

さやか達が感想を語っていると、キリカと小巻が声を荒げてくる。

 

「「なんじゃコリャーーッッ!?」」

 

2人の方に顔を向けると皆は堪えきれずに吹き出してしまう。

 

「ぷっ!アハハハハ!!」

 

「お前ら…ククク!何だよその…マスク…?アハハハハ!!」

 

笑い転げるさやかと杏子に対して恥ずかしさで震えるばかりのキリカと小巻。

 

彼女達に渡されていたのは目出し帽ではなかったようだ。

 

「ぷっ!ウフフ…ごめんなさい、笑っちゃいけないけど…アハハハハ!」

 

2人が頭に被っていたのはド派手なプロレスマスクである。

 

「なんで私達の被り物だけプロレスなのさぁ!?」

 

「これじゃ私と呉は大間抜けコンビに見えるわよぉ!!」

 

彼女達の脳裏に浮かぶのは袋を渡してきた時の尚紀の言葉である。

 

「すまん、これで勘弁してくれ」

 

店を探したようだが、どうやら在庫不足だったようだ。

 

「いいじゃんソレ!マジカルプロレスラー達の電撃エントリーだよ!アハハハハ!」

 

「やめろってさやか…!現場を想像しただけで…ぷっ…ハハハハハハ!!」

 

「そうよ2人とも…フフフ…笑っちゃダメなのに…ごめんなさい、無理!アハハハハ!!」

 

「君達…笑わないで欲しい!こういうピエロな役目は小巻だけで十分なのに!!」

 

「どういう意味!?私をピエロ扱いする気なら…やってやろうじゃない!!」

 

「ちょ、ちょっとーっ!?」

 

ブチギレた小巻はキリカの頭を脇に挟み込む形でヘッドロックをキメてくる。

 

「ギャーギャー!!?」

 

バスの真ん中にまで運んでいき、頭がクラクラして前屈みになったキリカの胴体を掴む。

 

「どっせーーい!!」

 

「アギャーーッッ!!?」

 

そのままパワーボムを放つ小巻に対してギャラリーきどりのさやか達がエールを送ってくる。

 

「おーっと!ヒールレスラー小巻によるパワーボムだぁ!正義の魔法少女レスラー危うし!!」

 

「いいぞー!もっとやれー!」

 

「コラコラ!呉さんが泡吹いてるからやめなさい!」

 

これから命懸けの潜入だというのに緊張感が抜けきった乱痴気騒ぎを繰り返す。

 

「緊張で硬くなるよりはマシだけど…後ろの子達だけで大丈夫かしら?」

 

運転手を務めているナオミも後ろの騒ぎに辟易するような表情を浮かべてしまう。

 

バスの時計に目を向けた後、暗い夜道に視線を戻す。

 

「先に向かったナオキは上手くやってればいいのだけれど…」

 

バスは都市部から離れて郊外の道を進んで行き、民家も少なくなって夜の暗闇は一層深くなる。

 

彼女達の戦いは夜道と同じように暗い世界へと向かっていくだろう。

 

魔法少女達にとっては地獄とも呼べる場所へと向かって行くのであった。

 

 

郊外は都市部と違い牧歌的な田園風景をしているが夜の時間では確認し辛いだろう。

 

先に向かっている尚紀は傷を修復したクリスを運転しながら夜道を走り続ける。

 

「丈二の方は上手くやれたの?見つかったら不味かったんでしょ?」

 

「酒を飲ませて泥酔させてやったよ。今頃布団の中で寝息を立てているだろう」

 

「酒の付き合いをしてたわけ?ダーリン、飲酒運転はダメなのよ~?」

 

「心配ない。持ち込んだ酒の中には俺が仕込んでおいた麦茶入りがある。それを飲んだだけだ」

 

「なら問題なさそうね」

 

ダッシュボードに固定してるスマホの時刻は22時30分を回った頃、クリスが質問してくる。

 

「どういう手筈で警備員共の気を引くつもり?」

 

「囮として派手に動く。あの病院の周囲は山に沿うように森林が続くからまた燃やしてやるさ」

 

「人気のない場所に病院を建てた報いってやつね。周りを気にせず派手にやっちゃいなさい」

 

林の夜道を進みながらも尚紀は遠い眼差しとなっていく。

 

「魔法少女の虐殺者として生きた俺が…今度は魔法少女を救いに行く立場になるなんてな…」

 

脳裏に浮かぶのは彼を救ってくれた者達の言葉の数々であろう。

 

「風華が言ってた…人は愛されたいから生きるのだと。虐殺者としての俺は真逆を生きてきた」

 

「ネコマタやケットシーから聞いてるわ…東京でどれだけの魔法少女を虐殺したのかをね…」

 

「神浜に流れても繰り返した…俺はとことん…他者の愛から遠ざかろうとしたんだな…」

 

「大切だった人と交わした約束があるのよね?」

 

「それに縛られ過ぎたのかもしれない。風華が語った言葉はそれだけじゃなかったんだ…」

 

「ある事に集中していると 他の事に対する注意力が弱くなるわ。手品師も使う手口ね」

 

「それに引っかかっていたんだろうな…ゲームに集中していても周りが見えなくなるもんだ」

 

「これからのダーリンは…どういう風に生きてみたい?」

 

「探偵や便利屋として生きつつ社会活動も続ける。表の世界で生きてきた日常に帰るのさ」

 

「魔法少女と一緒になって、魔獣討伐を頑張っちゃったりはしないわけ?」

 

「する必要はない。魔法少女の使命は彼女達が行い…彼女達が出来ない部分を俺が引き受ける」

 

「ダーリンがそう言うなら…まぁいいわ。アタシは仲魔としてずっと付いて行きたいし♪」

 

「これからも宜しくな、クリス」

 

アップダウンの続く直線路を走っていた時だった。

 

「どうしたの…ダーリン?」

 

駆け寄ってくる強大な魔力を感じた尚紀の目が見開いていく。

 

「この魔力はまさか…あいつなのか…?」

 

彼の脳裏に浮かんだのはかつての仲魔の一体であろう。

 

遠くに見える坂道の上から跳躍して着地した存在に目を向ける。

 

「あれは…間違いない!!俺の仲魔だったケルベロスだ!!」

 

「ボルテクス界時代の仲魔なの…!?」

 

獰猛にまで赤い眼光を放つかつての仲魔が猛スピードで駆け抜けてくる。

 

車を停めて降りようとした時、尚紀は異質な空気を感じてしまう。

 

「この気配は…まさかアイツ!?」

 

彼が感じたのはボルテクス界を彷徨う時にいつも感じていた恐ろしい気配。

 

人修羅を嬲り殺しにしてやろうと常に近寄ってきた悪魔達の殺気なのだ。

 

「グォォォォーーーッッ!!!」

 

殺意に塗れたケルベロスが大きく跳躍し、振り上げる野獣の一撃とはアイアンクロウである。

 

「くそっ!!」

 

アクセルを踏み込みながら急発進した後、道路が派手に砕け散る程の強大な一撃が放たれる。

 

間一髪で避けられたクリスをドリフトさせてUターンを行う。

 

ライトに照らされたその姿は紛れもなくかつての世界を共に生きた悪魔の姿であろう。

 

「グゥゥゥ…コロス…コロス!!」

 

変わり果てた仲魔の姿を見つめる人修羅の顔には冷や汗が流れ落ちていった。

 

────────────────────────────────

 

「あいつ…アタシ達を殺そうとしたわよ!!本当に仲魔のケルベロスなの!?」

 

ライトに照らされた白き野獣の目は赤く輝き、瞳は濁っている。

 

「あの顔つき…悪魔の精神操作魔法を受けてやがるな!」

 

「マリンカリンを受けたのね…状態異常を回復させないと!」

 

尚紀は左手からディスチャームを出現させようとするが、それを待ってくれる相手ではない。

 

「コロスッッ!!」

 

飛び出して来たケルベロスに対して一瞬の状況判断を行う。

 

ギアをバックに入れ込んで急発進しながら道路を走るがバックのままでは相手の方が早い。

 

「グォォーーーッッ!!」

 

再び跳躍攻撃を仕掛けるのに合わせてサイドブレーキを引く。

 

反対車線に目掛けてUターン移動していき、相手の飛びつきをいなす回避を行う。

 

即座にギア操作し、アクセルを踏み込みながら前を走行していく。

 

「やるしかないわよ!痛めつけて隙をつくらないと回復道具を使えないわ!」

 

「あいつをただのケルベロスだと思うな!俺が邪教の館で鍛え抜いたケルベロスなんだぞ!」

 

戦うしかないと判断する人修羅は車を運転しながら悪魔化を行う。

 

そんな中、後方から迫るケルベロスが雄たけびを上げてくる。

 

「チッ!!」

 

『火炎高揚』によって威力が上がった炎魔法を用いた攻撃が次々と繰り出されていく。

 

人修羅が得意としている地獄の業火の一撃が次々と巻き起こる光景はまるで爆撃であろう。

 

盛大に地面が爆発していくが蛇行運転を繰り返す回避行動を行い続ける。

 

「このままじゃ不味いわ!民家が巻き込まれる!」

 

「仕方ないな!!」

 

道路から一気に曲がり込んで林の中に車を走らせる。

 

暗い林の中を猛スピードで走り抜けるが背後が一気に燃え広がっていく。

 

「ケルベロスはたしか氷結魔法が弱点よ!何か魔法攻撃アイテムとか持ってない!?」

 

「あいつの弱点は邪教の館で克服済みだ!氷結魔法は無効化される!」

 

「も~!無駄に強くしちゃったわけ!?」

 

「仕方ないだろ!大事な戦力だったんだ!」

 

夜目が効くケルベロスの猛追が迫りくる中、距離をどんどん詰めてくる。

 

「ノガサン!!」

 

口を開いて放つ雄叫び攻撃は神経魔法の一種である『バインドボイス』であろう。

 

敵全体にBIND(緊縛)をもたらす魔法なのだがクリスには通用しないはず。

 

「悪いわね!アタシの体は機械だから、生物のように神経魔法が効く悪魔じゃないのよ!」

 

「ぐっ…俺には効いてるぞ…体が動かねぇ…」

 

「何やってんのさ!?」

 

「仕方ないだろ!俺は生物なんだ!」

 

「しょうがない悪魔ね!アタシが運転してあげる!」

 

運転を代わりながら走行するが林の木々が邪魔をしてスピードが出せない。

 

「ダーリンの仲魔なのかもしれないけど、大人しくしなさいよね!」

 

クリスはマハジオンガを放ち、空から落雷が落ちていくが俊敏な速度で避け続けてくる。

 

「モラッタゾ!!」

 

背後から迫るケルベロスが一気に駆け抜けながら仕掛けてくる。

 

「ここじゃ避け切れない!!」

 

木々に阻まれるせいでドリフトが出来ない場所に追い込まれたのが運の尽き。

 

『ヘルファング』の牙がクリスのトランクに突き立てられた事で車体がへしゃげていく。

 

「ヌォォォォーーーッッ!!」

 

噛みついたまま車体を持ち上げていき、首を振りながら勢いよく口を放す。

 

「ウォォォォォーーッッ!!?」

 

林の上空をきりもみしながら飛んでいき、開けた場所に叩きつけられる有様である。

 

ひっくり返ってしまった車から這いながら人修羅は外に出てくる。

 

左手から状態異常回復道具のイワクラの水を出現させて飲み込み、BINDを回復するようだ。

 

「あいつ…とんでもない狂犬よ!!狂犬病注射をしてなかったの!?」

 

「そんなの効く相手じゃねぇよ!それにボルテクス界にそんな道具は無かったよ!」

 

顔を横に向ければ林の中から飛び出してくるケルベロスがやってくる。

 

「ここで待ってろ…俺が奴を止めてくる」

 

「気を付けてね、ダーリン」

 

神経魔法を無効化するマガタマである『ヴィマーナ』を飲み込みながらケルベロスに歩み寄る。

 

「マリンカリンを受けてるんだ…俺の言葉は通じないよな?俺も受けた事があるから分かる」

 

「行クゾ…マルカジリニシテヤロウ!!」

 

巨体の口が開いた後、煙幕の如きブレス攻撃が放たれた事で開けた林エリアが濃霧に包まれる。

 

敵の視界を奪い、命中率と回避率を一気に奪う『フォッグブレス』に人修羅は包まれてしまう。

 

相手はかつての仲魔であり、光剣を用いて両断するわけにはいかない。

 

腰を落としながら足を半歩広げた後、中国拳法の構えをする。

 

獰猛な悪魔を相手に徒手空拳で戦う構えであり、全身を用いて相手を感じとる心眼を発揮する。

 

側面から感じ取った相手の気配に即座に反応した右足が蹴りを放つ。

 

「ガハッ!!」

 

側踢腿(そくてきたい)の真上蹴りで顎を蹴り上げられたケルベロスの巨体が宙を舞う。

 

猫のように宙返りを行いながら着地したケルベロスは周囲を走り回り攪乱を狙う。

 

「何処から攻めてきても同じだ」

 

「ヌカセェ!!」

 

悪魔達の死闘が濃霧の世界で繰り広げられていく。

 

その光景を上空から監視していたのは佐藤精神科病院の警備部が用いる防犯小型飛行船。

 

警備部から連絡を受けた存在が夜空を飛行してくる。

 

その姿は無数の蝙蝠であり、死闘が繰り広げられる上空で集まりながら実体化を行う。

 

「シドからシケ張りやらされてうんざりしとったら、悪魔の鉄砲玉か…面白れぇ」

 

実体化したのは吸血鬼であり、かつてシドが現れた事で吸血鬼にされた者でもある。

 

その人物は天堂組の会長であり、天堂天山の変わり果てた姿なのだ。

 

全身に鎧甲冑を纏い、頭部は鎧兜を模した二本角を伸ばす異形の頭。

 

左手に持たれているのは自慢の刀剣コレクションの中でも並ぶ品が無い逸品であろう。

 

「いなげな悪魔だが容赦しねぇ。わしの村正でたたっ斬ってやらぁ!」

 

徳川将軍家から忌み嫌われてきた村正の刀が存在していると言われている。

 

それを手に入れた天山は敵対組織の構成員達を次々と切り殺して血を吸わせてきたのだろう。

 

左手に握った鞘から刀を抜き、一気に急降下してくる。

 

「タマァ()ったらぁぁぁーーっ!!」

 

上空から急降下してくる存在に気が付いた人修羅は上を見上げる。

 

「いいぜ…来なよ!!派手に暴れてやるぜぇ!!」

 

囮としての役目を演じる彼の戦いは激しさを増していく。

 

騒ぎは警備を任された天堂組に察知され、構成員悪魔達が次から次へと迫ってきていた。

 

 

「ハァァァァーーッッ!!」

 

周囲に竜巻を生み出し、フォッグブレスの濃霧を風で巻き上げる。

 

上空から迫りくる天堂に対しても竜巻の一撃が迫りくるが微動だにせず突っ込んでくる。

 

「おどれの魔法なんぞ、わしには効かねぇ!!」

 

竜巻の一撃が直撃しながらも急降下突撃は止まらない。

 

「無効化してくるか!」

 

後方に目掛けて側方宙返りを行いながら唐竹割りの一撃を回避する。

 

「吸血鬼か…にしては、時代がかった見た目をしてやがるな?」

 

右手に持つ刀を向けてくる天山は不気味な笑みを浮かべながらこう告げてくる。

 

「われぇ…わしは任侠道に生きたヤクザじゃ。伝統文化を愛する姿をしとって何が悪い?」

 

「ヤクザだと?イルミナティに飼われた連中の一部かよ?」

 

「答えてやる義理はねぇが、冥土の土産として名だけは教えてやる…わしの名は天堂天山じゃ」

 

「天堂だと?だとしたら…神浜港でチャイニーズマフィア共とつるんでいた組の関係者か?」

 

「あれはわしの子分共が勝手にやったシノギじゃが…えらく詳しいのぉ?」

 

「フッ…俺があの取引を潰した上で、あの場にいた男を始末した奴だと言えば…どうだ?」

 

その一言を聞いた天山の眉間にシワが寄っていく。

 

「われぇ…組に立てついてきた奴だったか。不出来だったが頭をやらせた男を殺すとはのぉ…」

 

「お前の組と関わるのはこれで三度目だな?奇妙な縁を感じるが…ここらで終わりにしてやる」

 

「ぬかせ!!バックレられると思うなよ…ヤキ入れてやらぁ!!」

 

吸血鬼でありながらも侍のように刀を構えてくるのだが、横から怒りの咆哮を浴びせられる。

 

「邪魔スルナ!!ソノ獲物ハ我ノモノダァ!!」

 

「フン!わしは勝手にやらせてもらうぞ、犬っころ。早い者勝ちといこうじゃねーか」

 

「貴様…マトメテ葬ラレテモ文句ヲイウナヨ?」

 

人修羅を囲むようにして周囲を歩いていく二体の悪魔達。

 

両腕を水平に交差させる構えを行い、囲まれたどちらからでも攻撃を捌ける形をとる人修羅。

 

そんな彼に対して互いが同時に駆け抜けながら攻撃を仕掛けてくる。

 

「わしの村正の錆びにしてくれるわぁ!!」

 

「吸血鬼如キガ出シャバルナァ!!」

 

状況判断した人修羅は天山に向き直り、仕掛けてきた袈裟斬りに対して跳躍する。

 

片手を頭部に置いた逆さ倒立を行いながら回り込むように背後を取り、背中に蹴りを放つ。

 

「ぐあっ!!?」

 

勢いよく蹴り飛ばされた天山はケルベロスの『地獄突き』の一撃が直撃してしまう。

 

大きく弾き飛ばされた吸血鬼悪魔になど目もくれないケルベロスが迫ってくる。

 

「カミ砕イテヤル!!」

 

跳躍からのヘルファングを仕掛けてくるが人修羅は身を低めながら右手を地面につく。

 

「ゴハッ!?」

 

穿弓腿(せんきゅうたい)の蹴りが腹部に命中したケルベロスは大きく蹴り上げられてしまう。

 

「邪魔しやがって…ド腐れ犬がぁ!!まとめて死に腐れぇーっ!!」

 

口を大きく開ける天山が放つのは『毒ガスブレス』攻撃である。

 

放たれたブレス攻撃に対して人修羅は右手を持ち上げる。

 

地獄の業火の爆炎が地面で巻き起こった事で相手ごと毒ガスを吹き飛ばす。

 

「…火炎も効かないか?どうやら、四属性魔法は当てになりそうにないな…」

 

業火の中から飛び出してきたのは無数の蝙蝠の群れ。

 

天堂天山は強力な吸血鬼であり、並の吸血鬼が弱点として抱える炎を無効化させてくる。

 

実体化する勢いのまま空中から逆袈裟斬りを仕掛けるが身を半回転させて斬撃を避ける。

 

「まだまだーーっ!!」

 

左薙ぎをバク転で避け、袈裟斬りを潜り抜けて背後に回り込む。

 

「ぐっ!?」

 

背中に飛びついてきた人修羅が右肘落としを兜頭に放ち続けるが動きが止まってしまう。

 

側面から伸びてきたのはケルベロスの尾の一撃であり、右腕でガードするが弾き飛ばされる。

 

「ぐはっ!!?」

 

転がりながら体勢を立て直す彼の眼前からは獰猛なアイアンクロウが迫ってきている。

 

素早く潜り抜ける人修羅は馬に跨るようにケルベロスの上に飛び移る。

 

「ヌゥ!?ハナレロォーッッ!!」

 

ロデオの形となりながら暴れる相手に対して人修羅の体が放電を始めていく。

 

「歯を食い縛りな、ケルベロス」

 

全身から放つのはショックウェーブの一撃であり、ケルベロスは悲鳴を上げてしまう。

 

「グァァァーーーッッ!!!」

 

仲魔の耐性なら熟知しており、雷魔法は防げないケルベロスは感電しながら倒れ込む。

 

そんな中、飛び降りた人修羅に目掛けて天山が仕掛けてくる。

 

「大物をたれたわりには大した事ないのぉ!わしが殺ったらーっ!!」

 

刀を構えて迫りくる相手に対して人修羅も構えてくる。

 

開いた左腕を曲げるように水平に向け、開いた右手を手首に沿える形で迎え撃つ。

 

サイドに踏み込んで袈裟斬りを放つ相手の手首を止めながら半回転の右肘打ちを放つ。

 

「くっ!?」

 

顔面に浴びて怯んだ相手に目掛けて回転を加えた左手刀を首に打ち込む。

 

「おどれぇーっ!!」

 

踏み込み斬りに対して身を低めるカウンターの肘打ちが決まる。

 

後ずさる相手に踏み込みながら放つ鉄山靠(てつざんこう)が天山にクリーンヒットする。

 

「ぐおぉぉぉぉーーーっ!!!」

 

背面を向けた体当たりで弾き飛ばされた天山が地面に倒れ込む中、人修羅は挑発してくる。

 

「物理は効くようだな?ならばやり様はある」

 

掌を向けながら手招きする挑発行為に対して激怒した天山が吼えてくる。

 

「ヤクザ舐めてんじゃねぇ!せっかく吸血鬼になってまで生き長らえたんだ…負けられねぇ!」

 

毒ガスブレスを放つが人修羅の風魔法の応用によって掻き消されてしまう。

 

「ヌォォォォーーーッッ!!!」

 

覚悟を決めた天山の一撃が迫る中、革ズボンのポケットから何かを取り出す。

 

身を翻しながら斬撃を避け、刺突を仕掛ける一撃を避けて踏み込む。

 

「ガハッ!!?」

 

首に突き刺した小さな道具程度で吸血鬼が怯むはずがないのだが、後ずさりながら苦しみ出す。

 

「ガッ…あぁ…グァァァーーーッッ!!?」

 

首元に突き刺さっていたのはクリーニングの時に取り外しておいた銀のネクタイピン。

 

吸血鬼は銀が弱点であり、魔を払う銀の力によって体が発火してしまう。

 

近づいてくる人修羅の右手からは光剣が放出される。

 

「社会的状況のせいで暴力の世界に来ただなんて言うなよ…ヤクザ野郎」

 

「ぐがぁぁーーっ!!熱い!!苦しいーーっ!!」

 

「選択の余地もなく悪に堕ちるしかなかった魔法少女とは違う。()()()()()()()()()()()()()

 

「死にたくねぇーっ!!悪魔になって…これからだってのにーーっ!!」

 

「極道を超えて俺達のような悪魔の世界に来たのなら…()()()()()()辿()()()()()

 

人修羅の体が揺れた後、高速で飛び込んでくる。

 

放たれる一撃とは無数に繰り出されていく連続刺突の一撃なのだ。

 

「そら!そら!そら!そら!そら!そらぁ!!」

 

光剣の高速刺突によって原型が留まらない程にまで肉体を削り取られていく。

 

「ギャァァァーーーーーッッ!!!」

 

鈍化した世界。

 

残された頭部が落ちる瞬間、光剣を引き絞りながら一気に突撃してくる。

 

「デヤァァァァァァァーーッッ!!!」

 

悪魔に堕ちた天堂天山が見た最後の光景が迫ってくる。

 

迫りくる刺突を放つ悪魔の背後に見えたのは赤きデビルハンターの姿なのだ。

 

人修羅が放った一撃とはボルテクス界でダンテが繰り出した技である『スティンガー』の再現。

 

光剣の突撃刺突が頭部に突き刺さり、跡形もなく弾け飛ぶ末路を迎えるだろう。

 

「…これが俺達の末路だ。それを与えに来る存在こそが…デビルハンターと呼ばれた男さ」

 

放出した光剣を解いた人修羅は後ろを振り向く。

 

「待たせたな」

 

体に喰らった感電が収まった事で立ち上がっていたのはケルベロスである。

 

「フン、吸血鬼程度デ倒セル相手デハナカッタトイウコトダ」

 

「そういう事だ。だが、俺が鍛えたお前は違う」

 

「我ヲ知ッテイルヨウナ素振リダガ…我ハ汝ナドシラヌ」

 

「思い出させてやるさ…俺の一撃でな」

 

力を溜め込む物理魔法とも呼べる気合を互いが溜め込み、次の一撃で勝負を狙う。

 

「我ガアギトニカミ砕カレテ…死ヌガイイ!!」

 

ケルベロスが跳躍してヘルファングを狙う中、右足を前に踏み込み、右拳を引き絞る。

 

「ハァァーーーッッ!!」

 

ケルベロスの顎を打ち抜いていたのは縦拳アッパーカットである通天砲の一撃。

 

「グァァァーーーッッ!!?」

 

地面が大きく砕け散る程の沈墜勁を用いた一撃に突き飛ばされた獣悪魔が仰向けに倒れ込む。

 

「グッ…ガッ…マダ…オワリデハ…!?」

 

目の前には仰向けに倒れ込んだケルベロスに跨る人修羅がいる。

 

「いい加減目を覚ましやがれ!!」

 

左手から出現させたアイテムは精神操作魔法を回復させる『ディスチャーム』であろう。

 

「グゴッ!?」

 

口が開いた中に無理やり左腕を突っ込みながら強引に回復道具を飲み込ませる。

 

回復の光がケルベロスの体を包み込み、真紅に染まった瞳が金色を取り戻す。

 

「ムゥ……?我ハ…一体…?」

 

「ようやく気が付いたか?」

 

「汝ハ…人修羅デハナイカ!?ココハ何処ダ…?タシカ我ハ…無現光カグツチ二敗レテ…」

 

仰向けに倒れたケルベロスから降りた後、かつての仲魔が立ち上がる姿を見つめてくる。

 

「お前はこの世界に召喚されたんだよ。魔法少女と呼ばれる連中がいる世界にな」

 

「魔法…少女…?ナンダ、ソレハ?悪魔ナノカ?」

 

「説明してやりたいところだが、今は時間がないんだ」

 

「汝モソノ者達ガ存在スル世界二流レ着イタトイウワケカ。ソシテ今ハ込ミ入ッタ事情ガアル」

 

「手を貸してくれると助かるんだが…どうする?また俺の後ろをついてくるか?」

 

「ボルテクス界デイッタハズダゾ。我ガ主ガ汝ニ託シタ願イ、叶エラレシ者カヲ見極メルトナ」

 

「そうだったな…なら、また宜しく頼む」

 

「我ハ魔獣ケルベロス。コンゴトモ、ヨロシクダ」

 

「それと、この世界には別の魔獣がいるんだよ。魔獣を名乗ってると…ややこしい事になるぞ」

 

「ムゥ…?コノ世界モ色々ト面倒ガ多イヨウダナ、人修羅ヨ」

 

「退屈はしないさ。魔法少女や魔獣だけでなく…俺達のような悪魔もいるのだからな」

 

後ろを振り向くと倒した吸血鬼の場所で突き刺さっている墓標のような遺品を見つける。

 

その品とは天山が見つけた本物の妖刀である村正の刀であった。

 

────────────────────────────────

 

二体の悪魔が墓標となった刀に近寄って地面から抜いた後、転がっていた鞘も拾いあげる。

 

「銘に書かれてるのは村正か。妖刀として不吉とされた刀だとしたら…いい業物だな」

 

「貰ッテオケ。悪魔ノタタカイノ常ダ」

 

「そうだな…ボルテクス界の戦いでも殺した悪魔から道具を色々と手に入れたもんだ」

 

刀を鞘に仕舞った後、左手に持つ人修羅が周囲に視線を向けながらこう告げてくる。

 

「……感じるか、ケルベロス」

 

「アア、ドウヤラ…団体客ノオデマシノヨウダ」

 

周囲を包囲していたのは警備任務に就いていた天堂組の組員達。

 

全員がストリゴイイ化されており、手には自動小銃やドス等で武装しているようだ。

 

「お…親父が…やられたのか…?」

 

「馬鹿な…親父は並大抵の吸血鬼じゃなかった!なのに倒されたっていうのかよ!?」

 

主人を失った組員達は動揺を隠しきれない中、恐ろしい悪魔達が近寄ってくる。

 

「まだ戦い足りないか?」

 

「無論ダ。我ノ発散二ツキアッテモラウゾ、雑兵共」

 

「び…ビビるんじゃねぇ!!数の上では俺達の方が圧倒的なんだ!!」

 

「親父の仇を討たなくて何が子分だ!!やっちまえーーっ!!」

 

包囲網を築いた悪魔達が次々と飛びかかっていく。

 

左手に持つ刀を持ち上げる人修羅は不敵な笑みを浮かべながらこう呟くだろう。

 

「妖刀村正…お前は何処まで持つのか…試させてもらうぞ」

 

腰を落として足を半歩開き、居合の構えを行うと人修羅を象徴する深碧の魔力が噴き上がる。

 

魔力の光の中に浮かぶ存在が出現し、彼の背後に立つ悪魔もまた不敵な笑みを浮かべてくる。

 

それはダンテの双子の兄の姿と酷似して見えるだろう。

 

人間の誇り高き魂の道を進まずに()()()()()()()()()の姿。

 

魔剣スパーダは()()()()()()()()()()()()()()()の剣技を尚紀に伝授していたようだ。

 

「最初に死ぬ奴は決まったか?」

 

親指で鍔を弾き、刃が解放されると同時に柄を右手で掴む。

 

「ガッ!!?」

 

一迅の風が吹き抜けていき、悪魔達の向こう側には一瞬で駆け抜けた人修羅がいる。

 

刃が納刀された瞬間、吸血鬼悪魔達の体がバラバラに切断されてしまう。

 

バージルが得意とした歩法である『エア・トリック』を用いた『疾走居合』が決まったようだ。

 

「弾幕を張れ!!近づけさせるなぁ!!」

 

横に並びながら自動小銃を構えた吸血鬼悪魔共が銃弾を撃ちまくる。

 

迫りくる銃弾の雨に対し、刀の柄を指で回す回転斬撃を繰り出す。

 

高速で刃が回るプロペラと化した盾によって銃弾の雨が弾かれていく。

 

「親父の仇ぃぃーーっ!!!」

 

ドスを突き立てようと迫りくるヤクザ悪魔であるが、相手は一体ではない。

 

「我ヲ忘レテイタヨウダナ!!」

 

側面から強襲をかけてきたケルベロスのアイアンクロウが悪魔達を一気に引き裂く。

 

疾走しながら通り抜けていき、滑り込んでUターンを行う。

 

口から業火が溢れ出した事でファイアブレスを一気に放つ。

 

<<ギャァァァーーーーーーーーッッ!!!>>

 

炎が弱点の吸血鬼悪魔達が業火に包まれて絶叫しながら砕け散り、MAGの光となっていく。

 

「こ…こいつら強過ぎる…グフゥ!?」

 

ブレスの中から飛び出して腹部に突き刺さっていたのは刀の鞘。

 

怯んだ悪魔の頭上にはエア・トリックを用いて一瞬で移動した人修羅の袈裟斬りが迫る。

 

「アギャァァァァァーーッッ!!?」

 

頭部を真っ二つにし、背中を向けたまま鞘を引き抜く。

 

振り向き様の右薙ぎによって体も両断された事で悪魔の体はMAGの光となって砕ける。

 

「その程度か?」

 

血振りを行った後、柄を二回転させる回転納刀を人修羅はしてくる。

 

包囲網が切り裂かれていく戦いを見守るクリスは彼らの戦いを見つめながらこう呟いてしまう。

 

「あれがボルテクス界を駆け抜けた悪魔の力なの…?まったく、とんでもない連中よ…」

 

自動小銃の銃弾の雨を刃を回転させながら弾き続ける。

 

弾を撃ち尽くした悪魔共がリロードを行う瞬間を逃さない。

 

納刀した状態から居合の構えを見せた後、鞘に魔力を纏わせる。

 

刃が引き抜かれた瞬間、遠距離の空間そのものが無数に切り裂かれている。

 

「ば…か…な……?」

 

細切れとなった悪魔達を葬った技とは次元を斬り裂く『次元斬』の一撃であろう。

 

「随分と持つ業物じゃないか?これなら…アレをやってみたい」

 

悪魔を屠り続けるケルベロスに念話が送られてくる。

 

<離れていろ。大技を仕掛ける>

 

<何ヲヤルノカシランガ、ソノチカラヲ見セテミロ>

 

大きく跳躍して飛びのき、周囲は人修羅を囲む悪魔達のみ。

 

「逃げるわけにはいかねぇ!!親父が死んだんだ…俺達にはもう…何も残ってねぇ!!」

 

ドスを構えながら決死の覚悟でヤクザ悪魔達が突撃を仕掛けてくる。

 

「スゥゥゥゥゥーーー……」

 

精神を集中させながら納刀した刀に魔力を大きく注ぎ込む。

 

強大な波動が全身から放たれていき、周囲の空間を大きく包み込んでいく。

 

構える鞘に魔力の光が迸り、魔力の真空刃を放つ死亡遊戯の時に纏う輝きと同じ光を放つ。

 

「くたばれぇぇーーーっ!!」

 

鈍化した世界。

 

跳躍して飛びかかる悪魔達の群れはスパーダの剣技の恐ろしさを思い知るだろう。

 

「絶対なる我が力を…受けてみろ!!」

 

金色の瞳が真紅に染まり、深碧の魔力が噴き上がる。

 

人修羅の背後に現れたのは悪魔化したバージルの幻影であり、刹那の刻でそれは起こる。

 

世界は静止しており、見えたのは空間に張り巡らされるように伸びた無数の斬撃線の網。

 

瞬間移動するかのようにして現れた人修羅は片膝をつきながら鞘を縦に構える。

 

ゆっくりと納刀していき、鍔が鳴る音が響くと世界の時間が動き出す。

 

そして空間に存在していたモノが全て細切れと化すのだ。

 

死亡遊戯の魔力を纏わせて放った一撃こそバージルの奥義であった剣技を再現したもの。

 

『次元斬・絶』の斬撃結界に巻き込まれた者達が撒き散らしたMAGの光が周囲に溢れる。

 

彼の背後に現れた幻影の悪魔もMAGの光と共に消えていく。

 

悪魔を表す真紅の瞳が金色の瞳に戻っていき、立ち上がった人修羅はこう呟いてしまう。

 

「……これでもダメだったか」

 

村正の刃を引き抜くと刀身は魔力に耐え切れずに砕けており、刃の根本も折れそうだ。

 

「これ程の業物でも耐えられないか…スパーダの技を振るうに耐える武器が欲しいな…」

 

刀を捨てる彼の元にケルベロスが歩み寄ってくる。

 

「見事ナ技ダッタ。ドコカ…奴ノ姿ヲ思イダサセタナ」

 

「奴って誰だよ?」

 

「汝ノライバルトモイエタ男…ダンテノコトダ。アノ男ト似タ技ヲドコデ手ニ入レタ?」

 

空の彼方に消えていくMAGの光を見つめるようにして夜空を見上げる。

 

尚紀の瞳の先には違う世界に旅立ったかつての戦友の背中が見えたようだ。

 

「あいつに託されたものが…俺の体の中に宿っていた。そうとしか言えねぇな…」

 

「フッ…ソウカ。アノ男ハ、意外ト面倒見ガイイ男デモアッタゾ」

 

「俺はまだダンテの世話になっているという訳か…それでもいつか…()()()()辿()()()()()()()

 

ひっくり返ったクリスの元まで歩いていく二体の悪魔達。

 

包囲網を突破した尚紀は車を走らせていき、横を並走するケルベロスもついてくる。

 

時刻を見れば既に0時を超えていたようだ。

 

「あいつらも動き出しただろうな…援護に向かうぞ」

 

「気ヲツケロ、人修羅。コノ先デ待ツ者達トハ…我ト同ジク、カツテノ仲魔達ダ」

 

「だとしたら…激戦になるだろうな。それでも救ってみせるさ」

 

車を走らせる尚紀の心は言い知れぬ不安に包まれている。

 

かつての仲魔達と殺し合う事が不安になるのではない。

 

魔剣スパーダが彼に託したバージルの剣技を振るっていた時に感じた獰猛な悪魔の本能がある。

 

右腕に巻かれた涼子の数珠も重く感じる中、心の中で自分を恐ろしく感じているのだろう。

 

(スパーダの剣技を振るっていた時の俺は…殺戮を楽しんでいた…)

 

あの剣技を振るえば振るう程、()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

そんな不安を感じながらも彼は先に進むしかない。

 

いつか追いつきたい、赤い背中を目指す人修羅はこの世界を生き抜くのであった。

 




ダンテさんに未練タラタラな人修羅君書いてて楽しい…。
腐の暗黒面に堕ちているのやも…(汗)
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