人修羅×まどマギ まどマギにメガテン足して世界再構築 作:チャーシュー麺愉悦部
私立探偵事務所は近年増加傾向にある。
そのせいで需要よりも供給の方が大きくなり、仕事が無い探偵事務所も多いのだろう。
「今月は仕事が少ないな…瑠偉も仕事が無い時は事務所にいないし…」
なので探偵業を続けていくには副業とも言うべき収入源が必要な場合もある。
「今月は仕方ない…俺は副業の続きでも始めるか」
所狭しと書籍が並ぶ本棚の裏にある隠された部屋には丈二の個人オフィスが存在する。
仕事が無い時は機械とモニターで埋め尽くされたその部屋に入り浸っているようだ。
(あいつは何の副業をしているのか…いや、聞かない方がいい。知らない方がいい事もある)
探偵は情報を依頼人に売るのが仕事だが、これもその延長線上にあるものだと思われる。
「しょうがない。俺も帰って便利屋の副業を始めよう」
彼の住まいは東京都新宿区歌舞伎町2丁目のマンション18階。
これは彼の副業を行う上で近い場所だから選んだ物件のようだ。
歌舞伎町においては独自の副業を行う者であり、依頼があればどんな仕事も請け負う便利屋。
しかし彼が専門としている業務は荒事専門。
歌舞伎町において裏の取引代行、暴力トラブル仲裁、争いの処理といった裏稼業を専門とする。
その仕事を紹介してくれる仲介屋とも言うべき人物が歌舞伎町に存在している。
歌舞伎町にあるモダンでクラッシックな珈琲館と呼ばれる喫茶店には彼の姿があった。
「遅くなってすいません、尚紀さん」
「相変わらず忙しそうだな、シュウ」
やってきたのは歌舞伎町で有名なホストクラブのナンバーワンホストである。
名前は楓秀一と呼ばれ、歌舞伎町の顔役として様々な歌舞伎町の問題ごとにも取り組んでいる。
ホスト狂いの女性客に襲われた時、刺殺されかけたところを助けた時に知り合えたようだ。
それ以来頼りにされ、彼の実力を見込んで様々なトラブルを処理して欲しいと頼まれていく。
それがこの便利屋稼業を始めたキッカケの記憶なのだ。
「忙しいのは嬉しいんですが、体が一つしかないのが残念です」
「時間が無いのなら要件は手短に頼む」
注文していた珈琲を飲み干した後、シュウと向かい合う。
便利屋としての日常が始まっていき、トラブル対処をお願いされる。
「歌舞伎町の闇医者がトラブルに巻き込まれて失踪した?」
「ええ…この街であの人を失うことは大変な問題なんです」
歌舞伎町には一人の闇医者が存在し、駆け込んだ患者はどんな人間でも治療してくれる。
いわくつきの患者が相手でも警察や知事に報告を行う医師の届出義務を決して行わない存在だ。
「歌舞伎町には様々な人間がいます。その人達は警察と関係を持つと不味い立場の人が多い」
「そんな人物がいたのか…。確かにこの街に必要な駆け込み寺のような闇医者だな」
「ホストでも傷害事件が多い…事件を明るみにせず、客を共依存に持ち込む奴が多いんです」
「ホスト狂いの女の罪悪感を利用し、さらに太い客に持ち込むって腹積もりかよ」
「ええ……恥ずかしい話ですが、そういう心の弱いホストが大勢いるんです」
尚紀はホスト業界に蔓延る闇の部分を聞いてくれる。
「女の承認欲求を受け入れ、肯定するだけで客を得るのは簡単です…共依存関係商売ですね…」
「向上心の欠片もねぇ連中だなぁ」
「向上心の無いホストの辿る道は弱みにつけ込み利益を貪り、面倒臭くなるとゴミ扱いです…」
シュウは歯を食いしばりながら苛立ちを見せてくる。
「恥ずかしい話ですが…見滝原市で暮らす僕の従兄弟も同じホストをしてるんです」
「それは初耳だな?」
「名前はショウと言いますが…あれが悪い見本なんです」
ショウと呼ばれるホストは従兄弟のシュウに憧れてホスト業界に入り込んできたと語られる。
ショウには根性も野心も存在せず、鳴かず飛ばずで片隅に追いやられたそうだ。
そこで選んだビジネススタイルが女の弱みにつけ込むやり方なのだろう。
「あいつは心の弱い人間こそ承認欲求の塊であると知り、簡単に太い客を手に入れる奴です…」
そういう人達から金を巻き上げるために飲み代が底を尽けばパパ活をやらせる奴だという。
「ギャラ飲みってやつだな」
「歳を重ねてそれさえ出来なくなれば…自分に非があると思い込ませる。整形させて稼がせる」
「自分に非があると思い込み、エスカレートを重ねてホストの奴隷になって…病んでいくか」
「ショウは女性客を人間扱いしてないんです!犬か何かと思って躾けてるだけなんだ!」
道徳心の欠片も存在しない不甲斐ない従兄弟に対して苛立ちが隠せず声を大きくしてしまう。
「ホストは…女性客に生きがいを与えて、生きる希望を与える存在であるべきなんです!」
「お前が歌舞伎町人気ナンバーワンのホストになり、歌舞伎町の顔役になれたのも頷けるよ」
シュウのような信念と正義感があればどんな人間でも本来の魅力で慕うと尚紀は言ってくれる。
「すいません、熱くなり過ぎましたね…話が逸れてしまいました」
「ホスト業界にしても歌舞伎町の汚れた連中のためにも…闇医者が必要だというのは分かった」
今回のトラブルの原因についてシュウは語り始める。
「……アジア系の半グレ組織か」
「闇医者の先生は彼らも治療を行っていたのですが…急患が舞い込んでそちらを優先した」
「それが不味かったか…」
「外国人である者を置き去りにし、日本人を優先して治療する医者に対して激怒したそうです」
闇医者は半グレ組織に誘拐され、報復の危険が訪れようとしていると聞かされていく。
「どこの半グレ共だ?」
「中国残留孤児の2世と3世が中心になって作ったグループです」
「だとしたら…池袋のチャイナタウン当たりが怪しいな」
「お願いします…尚紀さん!この街で闇医者は生きた仏なんです!どうか…救って下さい!!」
大人の行方不明は民事だから警察は動かない。
相手が半グレならば普通の探偵では手に負えない。
「状況は理解した…どうやら俺の出番のようだ」
立ち上がった便利屋は直ぐに行動を開始する事になるのであった。
――――――――――――――――――――――――――――――――
池袋北口に広がるのは東京のチャイナタウン。
老華僑や日本に住み着いた新華僑も合わせれば約12000人の中国人がひしめき合う。
聞こえてくる言葉も中国語が多く、雑居ビルの中に入ればそこは中国の世界が広がっている。
東京で暮らす中国人を支える日常が広がり、パスポートのいらない中国そのものと言える街。
だからこそ中国残留孤児の半グレ共はこの場所に根を張っていると尚紀は考えている。
「同郷の人間こそ繋がりの深い存在はないからなぁ。聞き込みを続けても庇うだろうな…」
尚紀は悪魔の特殊な力を使う事も出来る存在であるが、外国語は対処出来ない。
彼は読心術の魔法を使う事も出来るようだが心の内側で使われる中国語が分からない者だ。
「警察の令状捜査権ほど強力な捜査権を持たない俺だ…地道に探すより他は無い」
先ずは闇医者の診療所に赴き、私物やメール、ネットやSNSの書き込みなどを確認する。
以前から狙われていた痕跡は見つからず、金銭が盗まれた形跡も無い。
「診療所内で突然の誘拐に見舞われた可能性が大きいだろうな…」
診療所内は散乱しており、争った形跡が見られる。
チャイナタウンに訪れた尚紀は闇医者の写真画像だけを頼りに捜索を開始。
「スマホを持っていたならGPSで居場所を追う事も出来たが…期待出来ないな…急ごう」
消息不明、行方不明は一週間が過ぎると見つかる可能性が格段に落ちる。
メジャーなSNSに写真を投稿し、目撃情報を募っていく。
「返事がきたな。チャイナタウンの路地裏で医者の上着を着た男が連れて行かれた目撃談か」
スマホで撮影された添付画像を確認し、路地裏と同じ場所を求めてチャイナタウンを探し歩く。
一時間ほど歩き回り、添付画像と同じ路地裏を発見する。
「ドラゴンの入れ墨を腕にしたチンピラ外国人が二人立っているな…捜索してみるか」
路地裏に入ろうとしたがチンピラ二人が立ちはだかる。
「
「
広東語と思われる中国語が出てくるが意味は分からない。
「教養不足で済まないな…先を急いでいる」
二人の頭を突然掴み、一気に頭をぶつけ合う。
地面に倒れて昏倒するチンピラを尻目に半グレの根城へと足を踏み入れていくのであった。
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「路地裏の中は思ったよりも乱雑に入り組んでるな…方向感覚を失う」
怪しげな漢字ネオンや店の入り口も並んでおり、九龍城砦の内部のような雰囲気の通り道。
二階から誰かが見ている視線を感じるが構わず歩いていると路地裏の行き止まりと出くわす。
踵を返して後ろを振り返ると大勢の半グレ共が並んでいるようだ。
「手荒そうな歓迎だな…だれか日本語分かる奴いるか?」
鉄パイプや金属バットといったもので武装をしている光景からして話が通じる状況ではない。
「
「
一斉に襲いかかる半グレ達であるが魔法少女と比べれば子猫も同然であろう。
「人間の撫で方も慣れないとな」
右手でバットを振り下ろす手を左手で静止させ、右肘をコメカミに打ち込んで倒し込む。
男のナイフ突きを左手で払い、同時に右手刀を左首に打ち込み、ゴミ箱に倒れ込ませる。
掴みかかろうとする相手に対して右蹴りで膝関節を蹴り込み、タックルの勢いで転げさせる。
せっかく大勢集まっているが、狭い路地裏では囲むことで背後を襲う事も出来ない。
一人ずつ最小限の動きで相手の動きを制しながら倒していく。
「
最後の一人が左足でケンカキックを入れてきたのをサイドに回り込む。
右肘で逸らすと同時に着地した後、膝部を蹴り込む。
倒れる相手の左手首を掴み、背面に寝転がらせて肘関節を極めるのだ。
「
捻りあげられた痛みで悶絶する男が路上に視線を移す。
全員が路上に転がって倒れ込み、同じように苦しみのたうち回っていた光景があるようだ。
「どこにいる?」
分かりやすい日本語を使い、スマホに映る闇医者の写真画像を片手で見せる。
「
さらに捻りあげて肘関節を極める。
「
男を起き上がらせた後、背後で肘関節をキメながら案内させていく。
案内されたのは雑居ビル内の開けた空間。
武術道具や鍛錬器具が置かれた武術館のような風景が広がっている。
その奥にはカンフー服を着て長髪を後ろに結んだ屈強そうな男が待ち構えていたようだ。
「
「どうやら闇医者のところではなく…腕に覚えのあるボスのところに案内されたようだ」
「
掴んだ男の後頭部の延髄に肘を打ち込んで昏倒させる。
尚紀が武術館の中央に向かって歩く中、屈強なボスが雄叫びを上げてくる。
「
拳法の演舞を大げさに披露するボスに対して尚紀は脱力して腕を下げたままリラックスな構え。
そんな便利屋に対するボスが一気に仕掛けてくる。
空中二連蹴りを左右の手でトラッピングして捌く。
着地した相手の回し蹴りに対しては上半身を後ろに下げてスウェー回避。
回転の勢いで後ろ回し蹴りを放つが、尚紀は片足を後ろにバックステップさせて避ける。
回転の勢いのままボスは飛び上がり、旋風脚を放ってくる。
「大技こそ、一番隙が生まれるんだよ」
右肘を相手の蹴りに合わせて強めに打ち込むと道場内に悲鳴が木霊する。
「
蹴り足のすねの骨が砕け散り、悲鳴を上げたボスは倒れ込んでしまう。
「どこにいる?」
容赦ない便利屋は闇医者の写真画像をボスに見せる。
「
容赦ない便利屋は折れた足に蹴りを入れてくる。
「
片足が折れたボスを無理やり立たせた後、闇医者のところに案内させていく。
監禁された場所まで案内されたらボスを蹴り飛ばし、ゴミ捨て場に頭を突っ込ませたようだ。
部屋を開けたら縄で手足を拘束された状態でガムテープを口に貼られた闇医者がいる。
ガムテープを剥がせた尚紀は医者が無事かどうかを確かめてくれる。
「シュウから頼まれた。大丈夫か?」
「あ…あんた、一つ質問していいだろうか?」
白髪交じりの中年闇医者の男はどこか気分が悪そうだ。
「た…タバコあるか?もう二日も吸ってないんだ!このままでは禁煙出来てしまう!」
(そういえば、闇医者の診療所の机には煙草の吸殻が沢山あったな…)
呆れた顔でトレンチコートのポケットからタバコを取り出す。
口に咥えさせて右手の人差し指と中指で火を点けてあげたようだ。
「スー…ハー…。あんた、変わったマジック持ってるな?お陰様で生き返った!」
縄を解いてやり、二人は半グレの根城を後にする。
「いやー助かった!君が来てくれなかったら…私は中華料理店で肉団子にされていたよ!」
「広東人は机と椅子以外は何でも食うって話だからな」
「飯の話をしてたら腹が減った!せっかくのチャイナタウンだし、飯を喰わせてくれ!」
「そんな図々しい性格してないと闇医者やってられねーのか?」
「ハハハ!細かい事を気にしてたら歌舞伎町の問題児共の面倒など見れないよ、若人!!」
「神経図太い野郎だぜ…」
「ところで、君も何か治したい病があるのなら特別料金で治してやれるが?」
「俺の治したい病は…あんたじゃ治せない類なんだよ」
「ほう?随分重い病を患っているようだが…誰か他の医者に見てもらったのかね?」
「そうだな…無礼な態度をとると…呪いを与えてくるような奴だけどな」
会話の流れによって夏の頃に赴いた霊的存在についての記憶が過る。
彼の脳裏にはその時の光景が蘇ってくるのであった。
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あれは東京に戻ってから迎えた最初の夏頃。
尚紀が平将門の首塚と呼ばれた場所に訪れた記憶である。
平将門とは承平の乱を起こした人物であり、新皇と名乗った後は相馬小次郎将門とも呼ばれる。
関東に理想郷を創り上げようとした逆賊であり、英雄としても歴史に残るだろう。
伝承では将門の首級は平安京まで送られ東の市都大路で晒される。
だが3日目に夜空に舞い上がり故郷に向かって飛んでゆき、数カ所に落ちたとされる。
伝承地は数か所あり、いずれも平将門の首塚とされているようだ。
その中で一番有名なのが平将門の首を祀っている塚である東京の平将門の首塚であろう。
ビル群に囲まれた将門塚に入っていくのは尚紀の姿。
ちゃんとした墓地のようになっており、緑の木々や植え込みもあって立派な風景であろう。
将門の首塚は祟りを起こすと言われる心霊スポット。
昭和の初めに政府が首塚を取り壊して庁舎を建てようとしたところ関係者が次々に死亡。
戦後、アメリカ
将門塚には祟りがあると信じられ、様々な開発工事からこの首塚は外され今日に至る。
尚紀はそんな将門公に対し、かつてあった世界で恩義があったようだ。
手に持っている花を添え、ポケットから線香を取り出して右手で火を点ける。
線香の煙が立ち上る中、尚紀は手を合わせて将門の首塚を拝む。
頭を上げ、魂と会話するように首塚に向かって念話を行う。
<随分とあんたに会いに来るのが遅くなっちまったな……将門>
念話に反応するようにして将門の首塚の碑から声が脳内に響いてくる。
<<かつてあった世界で出会った時以来だな、人修羅。息災であったか?>>
<概念存在の神ってのは他の宇宙の事も分かるのか?>
<<その宇宙に同じ概念がある限り我は何処にでも在る。神や悪魔とはそういう存在なのだ>>
<その割には…俺は他の宇宙のことは見えないな>
<<大いなる神に呪われ、神の敵対者という概念存在になったが…お前はまだ未完成だ>>
<未完成?>
<<お前の真の悪魔となる闇の霊体は魔界の地で誕生する。最後の欠片が…お前なのだ>>
<俺が死ねば…本当の神の敵対者として全ての世界で語り継がれる存在になるというわけか?>
<<そういうことだ。だが、それを聞きに来たという訳ではないのであろう?>>
<そうだな、また何かくれるか?>
<<もう授けたではないか?最強の悪魔の力たるマサカドゥス…その事で来たのであろう?>>
<話が早くて助かるよ>
彼は手短に事情を説明していく。
<<なるほど…砕け散ったマサカドゥスの破片が体内に見える。見事に砕かれてしまったか>>
<思い当たるのはダンテとの戦いだ。あいつの一撃によって…俺は体を貫かれた>
<<マサカドゥスを破壊する程の剛の者とはな…出会いたくはないものだ>>
<元に戻す方法はないのか?俺には戦う力が必要なんだ>
<<マサカドゥスとてマガタマ。
禍魂とは悪魔の力の結晶であり、硬質な外皮を持つ寄生虫のように見える道具。
その丸まった姿は神器の勾玉を思わせる見た目をしている。
適性のある人間が体内に取り込むと、その禍魂が秘める悪魔の力を使用者に与えるという。
禍魂使用者は悪魔人間とも呼べる者となり、その魂まで悪魔と為すか否かを常に問われ続ける。
嘉嶋尚紀はその答えに対し、かつての世界において完全なる悪魔になる選択を行った者だ。
<<
<俺が災厄の中からもう一度生み出す以外に無いという事なのか?>
<<マサカドゥスを生み出すのは容易くない。お前自身を壊す程の災いが必要だ>>
<俺自身を壊す程の災い…>
<<我の力では修復することは出来ない。これは、お前自身に課せられた問題なのだ>>
<俺の問題か…。そうだな、首だけのあんたに無理をさせるのは忍びない>
<<フン。皮肉を言うだけの元気が有る内ではマサカドゥスを元に戻す道は遠そうだな>>
<災いをもたらすモノが何なのかは分からないが、今までのマガタマで戦う以外に無さそうだ>
<<この東京に何をしに戻った?以前にお前の存在に気がついた時は他に消えたようだが?>>
<あんたとの約束を果たしに…帰って来た>
それはかつてあった世界での将門との約束であり、東京の守護者となる約束内容だ。
<<お前は我との約束を覚えていたのだな。結構なことだ>>
<この世界には悪魔とは違う存在が闇の世界で跋扈し、人間に危害を与えようとしている>
<<魔法少女と呼ばれる存在か?我もこの世界以外でも見かけるが、あれも悪魔と変わらん>>
<欲望のために魔法を使い、人々に危害を与えて殺していく存在だ。悪魔と変わらないな>
<<魔法とは人を救う力にもなれば人を殺す力にもなる。そういう意味では悪魔と同じだ>>
<東京には欲に塗れた魔法少女で埋め尽くされている。俺は魔法少女と戦い、人間を守る>
それが彼が選んだ東京の守護者としての約束を果たす道である。
踵を返した彼は将門の首塚を後にする。
<<かつて人であった悪魔よ、お前の道は修羅の道……>>
――どうかその人の心、この世界の残酷な嘆きに迷わぬよう願う。
東京の守護者となる人なる悪魔の背中を見送った後、将門はまた碑の中で眠りについていった。
♦
「おい、君!さっきからボーッとしておるが?」
「えっ……?」
気がつけばそこは池袋チャイナタウンにある中華飯店。
「何か考え事をしていたのかね?」
「あんたのせいで記憶の海を彷徨っていたようだ」
「ふむ、それも重い病と関係があるようだな?まぁいい、そろそろ注文した飯がくる!」
「病人を前にして飯のほうが先かよ」
「病は気から!気持ちが萎えていては治る病も治らんよ!」
二人の前に注文した品が並べられ、食事となる。
「ん~!2日ぶりの生還を果たした飯だ!格別な味がするなーっ!!」
夢中になってエビチリを食す闇医者の姿を尚紀は呆然と見つめるのみ。
尚紀にはエビチリのエビが何処か治したい病であるマサカドゥスのように見えるのであった。
読んで頂き、有難うございます。