人修羅×まどマギ まどマギにメガテン足して世界再構築 作:チャーシュー麺愉悦部
かつての神浜騒動の時において、アリナとシドはこんな言葉のやり取りを残す。
「自由や正義という、中身が曖昧な言葉で人々は従わされる。自由や正義の意味すら考えず」
「自由になるのハ、その実、自由に隷属するこト。自由が概念であレ、語る俗人であレ」
「自由な人は不自由をもたらす人。自由総量は誰も同じ、自由に生きたければ他人から奪うワケ」
「自由ハ、多くの不自由の上に成り立ツ。何かに盲目的に縋った時、自由とはかけ離れるのでス」
「悪い意味での宗教はコレだし独裁国家や企業構図でもあるワケ。1人の権力者だけが得る自由」
「中身が見えないモノを人は崇めル。正義、友情、愛、絆…不確かなモノに隷属する奴隷でス」
「奴隷は信者と同じ。置かれている状況に気づこうともしない…目を逸らし己のエゴだけを見る」
「そしテ、指摘する者だけを悪者にするのでス。善悪二元論を用いて…己の悪行をすり替えル」
自由(CHAOS)とは誰かの不自由。
誰かに不自由を強いることこそが自由(CHAOS)であり独裁(LAW)となる。
独裁国家の代表、ブラック企業の社長、唯一神。
あらゆる独裁的権力にしか許されない自由がそこにはあり、自由を求める者は排他的となる。
アリナとシドはそう言葉を残してくれた。
人間の守護者として生きた人修羅も鶴乃に向けて言葉を残す。
「エゴは優越性の欲求であり、自分を認めて欲しい訴え」
「劣等感を克服出来ない…劣等コンプレックス…」
頑張り抜いた努力が真の喜びには繋がらない。
これだけの事をやったから認められるべき。
努力が見合った成果に繋がらなければルサンチマンになる。
努力する程に自分が絶対的に正しいという思い込みに至ると言葉を残してくれた。
それらの言葉を再び体現する者達こそがフェミニスト。
彼女達は必死に努力して訴えるだろう。
自分達の努力こそが絶対的に正しいのだと。
しかしフェミニスト達は気が付いていない。
最初は志し高いコミュニティ意識も、馴れ合い社会で腐敗する。
いつしか大衆の邪念や私欲を満たす口実となっていく。
やがては自分達が嫌った既得権力の側に移ろうとしている事にさえ気が付かない。
清水から湧いた清流が、下流に至れば澱んで分かれていく光景を繰り返す。
人間とはこれ程までに偏ってしまい、己の間違いに気が付けない生き物であった。
――――――――――――――――――――――――――――――――
「アタシは女性の敵になんて負けるもんかぁーーッッ!!」
「くっ!?」
ももこが放つ大剣の右薙ぎをななかは二刀小太刀を縦に構えて受け止める。
しかし威力が重すぎて体が後方に大きく弾き飛ばされていく。
宙返りを行い着地を行うが、両手に強い痺れが残り二刀小太刀に力が入らない。
繰り出される斬撃の数々を身を翻して避け続けるが防戦一方となっていく。
「女性の務めだとか言って男は女性を抑圧する!男と女は平等になるべきなんだぁ!」
「あの時に私達が語った言葉を忘れたのですか!?それは被害妄想です!!」
「黙れ!!男に尽くさせられる女性の気持ちなんて考えもしなかったくせに!!」
「役割分担を否定しても女性は女性自身を苦しめるだけです!!」
「そんなことはない!!アタシ達女性は男社会が生み出す抑圧からの解放を望んでる!!」
虚言癖のある人や詐欺師における同性愛者の割合は驚くほど多いと店長は梨花に言葉を残す。
これは日常的に自分を偽り続けているのが原因であり自分はおかしくないという自己欺瞞に陥る。
現実逃避傾向(夢想、被害妄想、非論理的思考、感情的、非現実的)が余りにも強過ぎるのだ。
苦戦を強いられるななかではあるが、他の魔法少女達も同様の光景。
「お父さんなんて大嫌い!お母さんも大嫌い!男女社会なんて大嫌いよ!!」
こころが振り回す機械仕掛けの巨大トンファーの猛攻を避けるしか出来ないのはあきらの姿。
「男女社会から虐げられる私の苦しみなんて!男女社会から愛された人には分からない!!」
「やめてよこころさん!ボクは君とは戦いたくないんだぁ!!」
「男女社会の味方をしたいなら私を倒してみせなさいよ!!私は男女社会を否定する者よ!!」
動揺によって動きが鈍ったあきらに踏み込み、トンファー突きが腹部に決まる。
「ぐふっ!?」
大きく突き飛ばされたあきらを超え、援護に入る美雨の蹴り足が迫りくる。
だが、トンファーを自在に操るこころの守りは想像以上に堅牢だ。
「お前の親が酷い奴なのは分かたネ!でも、だからて全ての男女社会を否定するのは止めるヨ!」
「邪魔しないでぇ!!男女社会の慣習があるから…私のように苦しむ子供達が生まれるのよ!!」
次々と繰り出す連続蹴りをトンファーで弾き落とし、踏み込み突きを狙う。
しかし、彼女の体が静止する。
背後から羽交い絞めにして抑え込む魔法少女が突然現れたからだ。
「止めなさいこころ!!」
青白い炎のような光の中から出現したのは加賀見まさら。
「尾行していたの!?放してまさら!!」
「落ち着きなさい!両親が酷い人物でも、曲がりなりにも貴女を育ててくれた人なのよ!!」
「育ててくれても愛してくれなくなった!!子供を犠牲にして自分達の我儘ばかりを言い合う!」
「鏡を見なさい!!今の貴女の姿は…我儘ばかりを言う酷い両親と同じになってるわ!!」
「違う!!私は魔法少女社会や女性社会の未来を守るために…戦ってる!!」
羽交い絞めにしながら懸命に説得を試みるまさらではあるが…。
「後ろネ!!」
「えっ!?」
背後に振り向いた瞬間、頭部に衝撃が走る。
「あっ……」
力なく倒れ込み気絶するまさら。
こころが振り向けば、彼女を援護しにきたのは胡桃まなか。
まさらの頭部を打ち付けた魔法武器のフライパンを構え、美雨を睨んでくる。
「ごめんなさいです、まさらさん。そこで大人しくしてて下さい」
「お前たち…何処までもフェミニズムを魔法少女社会に押し付ける気カ!?」
「女性が抑圧されて自立出来ないのは、男社会のせいです。まなかはそれが許せません」
「自立自立…それだけしか求めないのカ!?家庭のことなど考えてはくれないのカ!?」
「まなかは将来コックさんになりたいです!それを抑圧するのが男女社会の慣習なんです!」
「女は男に尽くせばいい…そんな抑圧をされたからお母さんは出て行った!お父さんのせいよ!」
「冷静になるネ!!何でも前提にして決めつけてしまうのは悪のレッテル張りヨ!!」
「違うわ!!私達が求めているのは性の自由!そして男社会が女社会に与える寛容と平等よ!!」
同性愛者はあらゆるモラルや固定観念を否定する。
性の自由で正当化して周りを傷つける。
寛容を叫びながら男社会に不寛容になり、平等を叫びながら男性を迫害する。
同性愛者とフェミニストの最大の武器とは欺瞞なのだ。
「まだ…ボクはやれる」
「あきら…」
美雨の肩を掴んで現れたのは、口元の血を腕で拭いているあきら。
こころの一撃で内臓を痛めたようだが、彼女の闘志は微塵も揺るぎない。
「心正しからざれば剣また正しからず。明日香のお父さんが残した言葉が骨身に染みるね…」
「自分の間違いにさえ気づかず振るう武は…狂気そのものネ。それをこいつらは気が付かない」
「人間は…見たいものしか見ないし、信じないのかもね…。それでも!!」
2人は同時に武術の構えをとる。
相手が武器や魔法を使おうが、彼女達には譲れない信念がある。
武という文字を分解すれば二と戈と止になり、二つの争いを止めると読む。
そのための術こそが武術なのだと、空手家のあきらと拳法家の美雨は信じるのだ。
「こころさん!受け取って下さい!」
「うん!これが魔法少女達が優先して守るべき!絆の力だよ!!」
まなかのコネクト魔法を受け取ったこころの体が光り、攻撃力が増大していく。
堅牢なこころの防御に加え、回復効果も伴うコネクト魔法も行使してくる。
こころとまなかとの戦いは激戦を深めていくのだ。
公園内は既に乱戦となり混迷を深めていく。
魔法のバズーカを構え、どうにかフェミニスト魔法少女達の動きを止めようとするのは観鳥令。
「この音色は…!?」
笛の音色を聞いた瞬間、酷い頭痛に苛まれて膝をついてしまう。
東の魔法少女仲間達も同じ状況だ。
「やめて…くれ!!月夜さん!月咲さん!!」
令が叫んだ向こう側では、天音姉妹が横笛を構えて魔法を放つ。
笛花共鳴を行い、動きを止めてくる。
<そこでじっとしていて欲しいです>
<ウチらの邪魔をしたら…これ以上の苦しみを味わうことになるよ>
横笛を演奏しながら念話を送ってくる。
演奏を行うのを止めないのは、洗脳魔法の使い手を警戒するため。
吉良てまりのマギア魔法を行使されては戦闘を継続出来なくされるからだ。
<わたくしは認めません!女性に向けて男尊女卑の伝統を押し付けてくる工匠区の伝統を!>
<ウチはいつも抑圧された!本音を言ったり意見を持ったり面白いことを言うのを嫌悪された!>
<知的でシニカルで独創的な女性は女性扱いされません!男の嫉妬が女性を抑圧するのです!>
神浜の東に根付いた男尊女卑の伝統を憎む叫びを令は浴びせられる。
同じように東で生きてきた令ではあるが、女として気に喰わない一面だけに縛られる者ではない。
「知的で自立した女性であってもね…自分のことしか考えない女は男達は願い下げなんだ!」
<それが差別です!女性らしくを強制され、支配される!!>
<ウチは自立して生きたい!それを邪魔する男社会の伝統なんて…変えるべきだよ!>
「人はね…自分の事を愛してくれて、自分のために生きてくれる人の事を好きになってくれる!」
<これからも月咲ちゃんは男社会に尽くさせられて!抑圧されて生きろというのですか!?>
「気の利いた受け答えが出来るだけじゃ…気持ちを生涯繋ぎ留めることは出来ない!!」
相手がどん底の状態になったとしても幻滅したり見捨てたりしない者にだけ、愛は与えられる。
女が自立を望むのなら、どん底になった男など幻滅して簡単に捨てていくと令は語るのだ。
「男社会はね…知的な女性が嫌いというわけじゃない!女を支配したいわけじゃない!」
<な…なら!ウチは…ウチは男達から何を求められてるっていうの!?>
「自立を犠牲にしてでも尽くしてくれる…家族愛だよ!!」
<ウチだけが犠牲になれっていうの!?そんなの嫌だよ!!>
「犠牲になっていたのは男達も同じだよ!!そのために
<あっ……>
月咲の脳裏に浮かぶのは、毎日遅くまで働いてくれた男達の姿。
彼らの献身とも言える労働力によって、天音月咲は生きてこれたのではないのか?
女の自分だけが家事という労働を押し付けられ、男尊女卑に苦しんでいただけなのか?
「やりたくないは男も女も
同性愛者とフェミニストは自己愛の塊だ。
そのため女の苦しみばかりが優先され、男の苦しみには目を向けてくれない。
<ウ…ウチ……>
令の言葉で気が付かされた月咲は、大事な父親が警察に逮捕された日の光景を思い出す。
娘のために自分を犠牲にして働いてくれた男が冤罪で奪われていく辛さが思い出されるのだ。
「女性の家事仕事が男尊女卑だなんて誰が決めた!?恥ずべきことなんかじゃ…ぐっ!!」
「裏切り者のミソジニーめぇ!!そんなに女を男の奴隷にしたいの!?」
地面に蹲る無抵抗の魔法少女達を取り囲み、新参の魔法少女達が蹴り飛ばしていく。
その光景を茫然と見つめることしか出来ない天音姉妹ではあるが、動揺を隠しきれない。
乱戦が繰り返される中、レナとかえでのコンビも猛攻を仕掛けてくる。
迎え撃つのはこのは達姉妹。
「なんでアンタ達は同じ女なのに…同性愛やフェミニズムを毛嫌いするのよ!!」
レナの槍が連続で突かれていく。
このはは自身の魔法武器である両刀薙刀を振るい、槍の矛先を弾き続ける防戦となる。
「私達は同性愛者に敵意を抱いてるわけじゃないわ!!」
「嘘よ!!フェミニズムを否定するのは同性愛者を否定してるのと同じよ!!」
「疾病を患った人に抱くのと同じ感情を持っているだけ!感染が食い止められたらそれでいい!」
「やっぱり同性愛者を差別してる!!同性愛者を病人にしてる奴らの方が頭の病気なのよ!!」
「風邪をひいた人を差別するの!?家で安静にして心の風邪を早く治して欲しいだけよ!!」
「レナ達を病人扱いしないで!!同性愛を否定するのは魔法少女の絆を否定するのと同じよ!!」
打ち払われた槍の勢いを利用し、頭上で回転させた後に横薙ぎ打ちをレナは放つ。
両刀薙刀の柄で受け止めようとするが、このははレナの姿が別人になっているのに気付く。
「アァァァァーーーッッ!!!」
変身魔法でももこに変化した一撃がこのはに決まり、武器ごと体が弾き飛ばされる。
公園の木に背中を強打して倒れ込む長女の援護に入るため葉月が武器を構えて迫っていく。
「やらせないよ!!」
レナの後方にいたかえでが湾曲した魔法の杖を構えて魔法を発動。
大量の植物が地面から召喚され、葉月に迫りくる。
「ちっ!!」
側方宙返りを行い絡みつこうと迫る植物を跳躍回避。
勢いのままさらに跳躍し、連続回転斬りを行い植物のツタを切り裂きながら着地。
ももこの姿をしたレナが迫るが、大剣の技術までは真似出来ないため変身を解く。
「さゆさゆは言ってた!女性らしさは女を抑圧するために男社会が生み出した偏見だって!」
右薙ぎ、左薙ぎとレナは連続して槍を振るうが、葉月は二刀流の武器を駆使して弾いていく。
防戦一方となるが、葉月は懸命に交渉を試みようと叫ぶのだ。
「自分の考えを他人に委ねたらダメだよ!たとえそれが有名人であっても!!」
「アンタまでさゆさゆを馬鹿にする気なの!?さゆさゆを馬鹿にするヤツは許さないから!!」
「女らしさは偏見じゃない!現実を自分達の都合の良いように歪められてるって気づいてよ!」
「さゆさゆが間違ったことを言うはずがないわ!!間違ってる悪なのは男とその味方の方よ!!」
権威主義に汚染され尽くした者が揺るぎない正義感をぶつけてくる。
自分達が間違っている可能性を考えようともしない。
大好きな存在が語る言葉の裏で巻き起こる弊害など知る努力もしないし、知った事ではない。
社会正義を振りかざす者達とは何処までも我儘であり無責任。
その行動は病的であり、他者に伝染する傾向が強い。
同性愛活動家はフェミニストと結託して異性愛社会の慣習を破壊する。
その尖兵にされているとも気が付かず、フェミニズムを信じる魔法少女達は正義を掲げていく。
<<ウーマン・リブ!!ウーマン・リブ!!ウーマン・リブ!!>>
痛覚を麻痺させたフェミニスト魔法少女達が、いつの間にか掛け声を上げている。
自分達の正義が女性社会と同性愛社会を守るのだと固く信じる叫びの光景だ。
「聞こえるかい?女性解放を叫ぶ魔法少女達の声が?」
大剣を構えるももこが目の前のななかに言葉を放つ。
息を切らせたななかの魔法少女衣装は所々が切り裂かれ、両手も未だに痺れが強い。
「魔法少女社会の長として、彼女達の切実な言葉を聞き届けるのが役目だろ」
「批判なら甘んじて受け入れる所存です。ですが、我儘で無責任な理屈ならば別です」
「女性解放が我儘で無責任だと!?我儘で無責任なのは男社会の方だぁ!!」
「貴女方が掲げる男女平等とは、同性愛のノーマライゼーション。異性愛社会の脱感作です」
「それを望ませた原因は…男社会の道徳観が繰り返した偏見に満ちた抑圧だ!!」
「男の道徳観は偏見に満ちた社会維持を望むと叫ぶ。ですが、道徳はそんなものではありません」
常盤ななかは人類が育んできた道徳観をこう信じる者。
道徳とは、人類が蓄積してきた充足に至る健全な生き方についての知恵の集大成にほかならない。
「健全な生き方から外れる行為を行う同性愛者とフェミニストを…私はこう言ってあげましょう」
――異性愛社会に病魔の思想を撒き散らす…
その言葉を女性である自分の侮辱だと思い込んだももこの眉間にシワが寄っていく。
大剣の柄を握る力が増し、一気に踏み込む。
「この裏切り者がぁーーッッ!!!」
ななかも同時に踏み込む。
チャージして威力が増した袈裟斬りを放つももこの右側に抜け、右肘打ちを右側頭部に決める。
怯まず右薙ぎを狙うが、ななかの左肘打ちの方が先に肋骨にヒット。
「ぐっ!!」
肋骨が折れる音が響き、怯んだももこの左側頭部に向けて回し蹴りを放つ。
鈍い音が響く。
しかし、ももこの顔を見たななかは戦慄したかのような冷や汗が浮かぶ。
ももこは蹴り飛ばされることなく踏ん張り、ななかの蹴りを受け止めきったのだ。
「うぉぉぉーーーーッッ!!!」
片足立ちで態勢が不安定な相手に向け、体当たりを仕掛ける。
「きゃぁ!!」
痺れがまだ残る両手から二刀小太刀が零れ落ち、大きく弾かれ地面に倒れ込む。
「ななかさん!!!」
助けに向かおうとする夏目かこだが、フェミニスト魔法少女達に阻まれて向かうことが出来ない。
「「ななかぁ!!!」」
同時に叫ぶあきらと美雨だが、こころとまなかの猛攻が凌ぎきれず救援には向かえない。
鈍化した世界。
怒り狂ったももこが大剣を背負うようにして構え、一気に跳躍。
「ななかぁーーッッ!!!」
葉月も叫ぶが、レナの槍が邪魔して助けには向かえない。
「チャンス逃してたまるかぁぁーーーッッ!!!」
一刀両断を狙うが如く唐竹割りの構え。
「くっ……!!」
起き上がろうとするが間に合わない常盤ななかが最後に見た光景とは…。
「「えっ!!?」」
空中で構えたももこの大剣に向け、青白い光の一撃が刃に直撃。
大剣が大きく弾かれ、ももこは唐竹割りを行う事が出来ないまま着地。
武器を失ったももこが視線を向けた先にいた魔法少女とは…。
「れんちゃん…?」
魔法の杖を構えて攻撃を放ったのは、五十鈴れん。
駆けつけたのは彼女だけではない。
「何っ!!?」
公園内に飛んできた魔法の試験管が砕け散り、大量のマグネシウムが強い光を放つ。
眩い光で目が眩み、全員が戦いを中断してしまう。
両腕で光を遮る姿をした魔法少女達に向けて、怒鳴り声が響く。
<<この大馬鹿者共!!仲間同士で潰し合うのもいい加減にしろぉ!!!>>
全員が視線を向けた先には、駆けつけた中央の魔法少女達の姿。
江利あいみ、都ひなの、木崎衣美里、綾野梨花。
そして……。
「あ…あぁ……」
ももこの体が震えていく。
中央の魔法少女達の中にいる魔法少女の姿に釘付けとなってしまう。
「なんで…なんでここに現れるんだよ…」
中央の魔法少女達と共に現れたのは、ももこの大好きな親友。
悲しみに満ちた顔をした八雲みたまであった。
――――――――――――――――――――――――――――――――
新たに現れた中央の魔法少女達を見て、フェミニスト魔法少女達は睨んでくる。
彼女達がフェミニズムに反対している事は聞いているからだ。
「加勢をしに現れたわけ!?男に味方をするなら容赦しないわよ!!」
「貴女達だって魔法少女でしょ!魔法少女の絆を邪魔する存在は男だって分からないの!?」
魔法少女の絆という、美しい百合(リリス)の世界だけを尊ぶフェミニスト魔法少女達。
その光景はさながら、やちよの治世時代に繰り返された光景と同じ。
百合の世界が美しい友情でしかないのなら、堂々と男が挟まりにきてもいいはず。
しかし、それでは百合にはならないと百合を尊ぶ者達は口を揃えて言うだろう。
百合の中身は同性愛でしかないのに友情だと言い張るのは、もはや支離滅裂の理屈。
欺瞞を用いてでも譲れないのだ。
魔法少女同士の美しい絆の世界に男が挟まりにくるのは。
ひなのが言い返そうとするが、梨花が肩を掴む。
「お願い…都先輩。ここはあたしにやらせて」
静かに頷き、ひなのはフェミニスト魔法少女達の元に向かう梨花の背中を見送る。
彼女達の前に立ち、梨花は同性愛者として言葉を紡ぐのだ。
「みんな…聞いて欲しいの。あたしはね……レズビアンなの」
突然の同性愛者発言を受け、フェミニスト魔法少女達は動揺の声を漏らす。
「あたしのような同性愛者のために皆が戦ってくれてるのは嬉しい。だけどね…間違ってるよ」
同性愛者でありながら同性愛のために戦うフェミニスト魔法少女を否定する。
これには彼女達も激怒し、罵倒の叫びが上がっていく。
「アタシ達が間違ってるですって!?レズビアンのアンタのために戦ってるのに!!」
「そうよ!貴女もレズビアンなら…女の子同士の愛の世界に男が挟まりに来るのが憎い筈よ!!」
カリフォルニア大学の有名な精神医学者は、同性愛者の行動は復讐が原動力だと言葉を残す。
今の彼女達の叫びこそ、百合を侵害する男に向けた剥き出しの復讐心そのものだと言えるだろう。
「あたしもね…男の人が憎かった。だから魔法少女契約を利用して…男の人を遠ざけたんだ」
「私達と同じ気持ちだったのに…どうして突然男の味方なんてする気になったの!?」
梨花の顔が俯き、両手を握り締める。
向き合うのが辛い過去と、同性愛者としての優越性を求めたいエゴ。
それでも梨花は逃げない。
現実逃避を選んだところで苦しかったのは経験済みだからだ。
震えながらも梨花は語ってくれる。
自分が犯した過ちから学んだことを。
「自分を騙してきても辛かった…愛した幼馴染の気持ちを踏み躙ったのが辛かった!!」
自分の過ちを認めて愛した幼馴染を男に託し、見送った時の感情が蘇っていく。
涙が溢れ出す梨花は訴えてくれる。
「男の人にだって優しい人は大勢いるよ!それを認めたくなくて……あたしは罪を犯したの!!」
「ア…アタシは……」
「怖かったの!!男の人が素敵だったら…愛した人が奪われちゃうって…怖かったの!!」
「私……その……」
フェミニズムに染まった新参の魔法少女達が振り向き合う。
見つめ合う先にいるのは、苦楽を共にしても良いと思えるほどに大切な魔法少女の姿。
「あたしの気持ちは…皆と同じだよ!!だけど…もう踏み躙りたくない!!」
――愛した女の子の本当の幸せを踏み躙るぐらいなら…あたしはフェミニズムを求めない!!
「だって…大切な女の子を騙しながら付き合っていくのが……つらかったからッッ!!!」
両膝が崩れ、梨花は顔を覆いながら号泣してしまう。
彼女が向き合ってくれたのは、フェミニズムを掲げていた魔法少女達と同じ気持ち。
だからこそ、新参の魔法少女達の心に深く届いてくれる。
「アタシは…大切なパートナーを…騙してたの…?」
「私は…間違ったことを…大切な人にやらせてたの…?」
梨花の苦しみを共有出来た新参の魔法少女達の手から魔法武器が落ちていく。
「ご…ごめん…アタシ…その……」
「ううん…いいの。この子のお陰で…私達はこの子の過去と同じ苦しみを背負わずに済んだわ…」
「アタシも…男が優しいと認めるのが怖かった。けど…大切な人を騙し続けるのは…もっと怖い」
「私もよ…。やり直して…いけるかな?」
「そのチャンスを…目の前の勇気ある魔法少女仲間が…与えてくれたんだよ…」
フェミニズムを掲げた同性愛者達が己のエゴと向き合い、克服してくれる。
それが大切に思うパートナーのためにならないならば、エゴや思想よりも大切な人を優先したい。
梨花と同じ気持ちになれた魔法少女達が抱きしめ合い、嗚咽をこらえる音が響いていく。
感極まって泣きそうなひなのの横を超え、れんが走ってくる。
泣き喚く梨花の横で両膝を屈め、抱き締めてくれる姿。
「やっぱり…梨花ちゃんは…勇気ある人です…」
「あたしぃぃ…ヒックッ…あたしぃぃぃぃ……ッッ!!」
「梨花ちゃんは…女の子の気持ちを踏み躙る人じゃないです…。女の子の心を…救う人です…」
「あぁぁぁぁ~~…グスッ…ヒック……アァァァァ~~……ッッ!!!」
「私も…梨花ちゃんに救われた女の子です。だから梨花ちゃんと一緒に…生きたいです…はい」
言葉にならない叫びの中で、梨花は感謝の言葉をれんに送る。
それでも言葉にならないから、梨花はれんに抱き着きながら泣き続けていった。
……………。
ひときわ大きな音を立て、武器が地面に転がり落ちる。
両手に持っていた機械仕掛けの巨大トンファーを手放したこころの両膝が崩れてしまう。
「私は……」
梨花の必死な叫びを聞き届けたこころは動揺を隠しきれない。
自分を騙し続けても辛いだけだと気づかされたためだ。
彼女の元まで走ってくるのは、親友のあいみ。
「こころ!!」
駆け寄ってきたあいみが片膝をつき、こころを抱きしめてくれる。
「心配したんだから!!家族のことで苦しんでたなら…どうして今まで教えてくれなかったの!」
「だって…あいみの迷惑になると思って…」
「迷惑をかけない人間なんていないよ!!友達にぐらい迷惑をかけてくれたって良い!!」
「私…間違ってたの?お父さんとお母さんの不仲を必死に止めようとしたけど…ダメだった…」
フェミニズムを否定されたとしても、両親が不仲な現実は変わらない。
こころには両親が喧嘩を起こす原因の根本が見えてはいないからだ。
そんな時、あいみはこんな言葉を送ってくれる。
「私ね…伊勢崎君と結婚したいと考えてる。だけどね…夫婦生活を妄想してると…怖くなるの」
「何が怖いの…?」
「もし…私が家事をするのが当たり前になって、伊勢崎君が
それを言われた時、幼かった頃の光景が蘇っていく。
夫は仕事はしてくれるけど、家事を行う妻に感謝の言葉や贈り物をしてくれた事があったのかと。
「夫婦愛はね…献身という自己犠牲だと思う。それでもね…献身が報われないと…辛過ぎるよ」
こころの両目が見開き、確信が持ててくる。
母親が家を出て行った原因の根本に気が付かされたのだ。
「間違ったなら…やり直せばいい。登り切れなかったら…また登ればいい」
声がした方に2人が振り向けば、気絶から目が覚めたまさらが近寄ってくる。
「私という休憩所を利用してくれても構わない。何度でも登れるわ…登りたい場所があるのなら」
「こころは登山が好きだよね?だったら!疲れたこころの体は私が山頂まで背負っていくわ!!」
「あいみ…まさら…私…わたしぃぃ……ッッ!!!」
両目に大粒の涙が浮かび、こころは2人に抱き着いてくる。
あいみとまさらもこころを抱きしめ、親愛というものが何なのかを噛み締めるのだ。
「まなかは女です…。女は男のように社会に出て働いたら…ダメなんですか?」
両膝が崩れ、魔法武器のフライパンを両手で抱きしめたまま震えるまなかの姿。
その姿は、夢であり目標のコックさんの道を捨てたくないという縋りつきにも見えてくる。
「平等という、男性的な力を女性が求めた時…女性は女らしさを失うと思うんだ」
近寄って来たのは、あきらと美雨。
「ボクは空手道場の師範代として、男のような強さを求められた。応えてきたけど…失ったよ」
「それは…
「男の門下生達と一緒に働く職場みたいなものさ。女は男の領域に進出すると…らしさを失う」
「女らしさを失ったら…何が起きるんですか?」
「女らしさを求められなくなる。性的な目で見られたとしても…守る価値は無いと思われる」
「…男は弱い女を守りたいという本能があるネ。女が自立したら…男は女の人生を守らなくなる」
「ボクは門下生達以上の力を持ってきた。だからルームメイトみたいな関係しか作れない…」
「平等を求められた弊害ネ。自然の在り方を否定しても、男達の心は離れていくだけヨ」
まなかは将来の自分の姿を想像してみる。
例えば、世界一のコックさんとして成功したとする。
コック業界で知り合った男性と結婚することが出来たとする。
その過程において、平等な関係であるために巻き起こる弊害を想像出来るだろうか?
平等故に夫は妻の活躍に嫉妬し、いつしか守るという自己犠牲を与える価値はないと思われる。
弱い女で無いのなら、自立出来るのなら、
男のプライドは本能であり、捨てられないもの。
いがみ合いの末、男は強さを求めた女を捨てていくのだ。
「女は男と競い合い、同時に愛を求めることは出来ないヨ。男の領分である力を求めたからネ」
「男と女の力の綱引きだね…。ボクはそのせいで…力を得られたけど…守られない女になった」
「まなかは…世界一のコックさんになったら…守られない女になるんですか?」
「お前も女の子なら、白馬の王子様が私を守てくれると憧れたはずネ。でも、平等を望めば別ヨ」
――白馬の王子様は守る価値の無い御姫様とセックスして、犯り捨てていくだけヨ。
コックになりたい願望と、女としての本能がせめぎ合う。
「仕事をとるか…家庭をとるかネ。女として生まれた自分に問い続けると良いヨ」
フライパンを抱きしめながら蹲り、すすり泣く音が響く。
あきらと美雨はまなかの人生の選択を尊重するために、これ以上は口を開かなかった。
月咲はあいみとこころ達の会話が聞こえたため、両膝が崩れたまま泣いている。
「ウチも…感謝が欲しかった!家事をしてくれてありがとうって言ってくれたら…耐えれたよ!」
「月咲ちゃん…わたくしは…その……」
月夜は自責の念に駆られていく。
人は迷惑をかけるのが当たり前だから許すべきだという思想を信じた者が、許さない者になった。
見たいものを見たいという欲が心を曇らせ、偏ったものしか見えなくなった己自身を恥じていく。
その光景はレナとかえでも同じであった。
……………。
立ち上がった常盤ななかの前まで歩いていくのは、八雲みたま。
立ち止まり、ななかの前で謝罪の言葉を述べてくる。
「……本当にごめんなさい。もう少しで…貴女の命をももこが…」
「…いいんです。後の事は…お願いしますね」
「……分かったわ」
再びみたまは歩き出す。
目の前にいるのは、震えながら後ずさる十咎ももこの姿。
親友を遠ざけたこと、男を罵倒したこと、魔法少女社会を混乱させたこと、凶剣を振るったこと。
あらゆる罪悪感が心の中で噴き出してしまい、逃げ出したい衝動が体を操る。
何よりも辛いのは、それらは全てみたまが好きになった男に向けた復讐心が原因だったこと。
「逃げないで、ももこ!!」
ももこの体がビクッと大きく震え、立ち止まってしまう。
追いついたみたまがももこの前で立ち止まる。
「ア…アタシは……その……」
頭の中がグチャグチャとなり、言い訳一つ出す事が出来ない。
怒りに来た母親に怯えた娘のような表情を浮かべることしか出来なかった。
「……ももこ」
みたまの手が持ち上がっていく。
ぶたれるのだと思ったももこは、両目を瞑ってしまう。
「……えっ?」
体に温かい感触を感じる。
両目を開ければ、みたまはももこの体を抱きしめてくれていた。
「…貴女はいつだって、自分を犠牲にして誰かを守ろうとする。優しい子だから…」
「調整屋…?」
「戦う力が無い私や、魔法少女仲間や、頼ってくれた人達のために…守る者になってくれる」
――でも、それは本当に…ももこが望んだ本心だったの?
それを問われた時、ももこの心臓が大きく高鳴る。
十咎ももこは姉御肌で男っぽい性格の娘。
気さくで面倒見がよく、度が過ぎておせっかいだから頼られる存在にされた少女。
だがしかし、彼女は本当に男のような性格と強さを求めた少女であったのだろうか?
親友の八雲みたまは知っている。
「本当のももこは…誰よりも女らしさに憧れてた子」
「ア…アタシ…」
「可愛いぬいぐるみや服が大好きだし、アイドルの世界に憧れたし、女らしさに憧れた子よ」
女らしさとは何か?
それは、
「みんな…貴女を頼り過ぎていた。私も…レナちゃんも…かえでちゃんも…だから断れない」
自分がずっと隠していた感情を語られるももこの心に、熱い感情が迸っていく。
「ごめんなさい…ももこ。私達のせいで…貴女は本当の自分を隠す生き方しか出来なかった」
本当は知って欲しかった自分の弱さに気が付いてもらえた。
ももこの両目に大粒の涙が浮かんでいく。
「弱くてもいいの…弱くても私はももこを嫌ったりしない。カッコつけなくてもいいの」
――私はね…どんなももこでも…大好きになれるから。
ももこの両膝に力が入らなくなり、抱き締めたまま2人は地面に膝をついていく。
「アタシ…アタシィィ…ッ!弱いんだ…本当は臆病で…勇気がなくて…弱いんだぁぁ…ッッ!!」
「うん…それが言えたももこはね…とっても可愛い女の子よ」
「本当は…守られたいんだ…ッッ!好きな人が盗られたり…遠ざかったら…寂しいんだッッ!!」
「ずっと…
「調整屋みたいに…みたまみたいに…守られたいッ!!弱いアタシを誰か守ってよぉ…ッッ!!」
ももこの両手が伸び、みたまの背中を抱きしめながら泣きじゃくる。
みたまも強くももこを抱きしめ、二度と離れないと誓うのだ。
「これからは私も貴女を守っていく、支えていくわ。だからね…本当のももこのままでいてね…」
「アァァァ~~~……ッッ!!!!」
熱い雫が流れ落ちていくももこの頬に、雪の雫が触れてくれる。
気が付けば、1月の夜空からは雪が降り落ちてくる美しい光景。
心が熱くなった魔法少女達の体と心を癒すようにして雪が降り続く冬の夜。
そんな夜空の下で、弱さを抱えた魔法少女達は気づくのだ。
敵なんて…
――――――――――――――――――――――――――――――――
「…認めぬ…認めぬぞぉぉ…ッッ!!」
雪が降りしきる公園を一望出来る廃ビルの屋上には、人間に擬態したアンドラスの姿。
顔は憤怒に歪み、怒りを隠しきれない。
アンドラスとイルミナティがもっとも見たくない光景が眼前に広がっているためだ。
「人々の人間的成長を阻害するための憎しみ…それを覆すのが愛!だから滅ぼさねばならぬ!!」
同性愛者の大多数は、ただ干渉されたくないと望む善良な人々。
だが、金融エリートが支配する財団や巨大企業は同性愛者をNWOの道具として利用してきた。
同性愛者の団体に資金を与え、社会の異性愛の基盤を破壊するために使い潰そうとした。
そのために男に向けた憎しみを利用してきたが、それを覆されたのだ。
「不快な存在を憎め!!攻撃しろ!!憎しみを克服する愛など…捨ててしまえーッッ!!!」
アンドラスが正体を表し、梟の頭部をした悪魔と化す。
両翼を広げたアンドラスの目が瞬膜となり、再び扇動魔法を放とうとする。
だが、それは迂闊な行為。
悪魔化したため周囲に魔力をハッキリと示してしまう。
自分の居場所はここだとアピールしているようなものだ。
<<貴様の心臓、貰い受ける>>
アンドラスが向こう側の廃ビルから感じた魔力に気が付いたが、もう遅い。
魔法少女達が集う公園の夜空を、一筋の赤い流星が飛翔していく。
「がっ……あっ……?」
アンドラスが胸を見れば、貫通して巨大な穴が開いている。
自身の心臓は後ろ側の入り口近くの壁に突き立てられていた。
アンドラスの胸を貫いた魔槍こそ、ゲイボルグ。
「申し訳…ありま…せん…閣…下……」
後ろに倒れ込んだアンドラスの体が砕け散り、MAGを夜空に向けて放出。
その光景を向こう側の廃ビル屋上で見つめていたのは、三体の悪魔達。
「ジャックポット。ど真ん中だ」
不敵な笑みを浮かべるのは、黒のトレンチコート姿をした嘉嶋尚紀。
隣にいるのは、悪魔化したクーフーリンとケルベロス。
飛んできたゲイボルクの柄を掴み、クーフーリンは尚紀に振り向く。
「あれは堕天使アンドラスだ。扇動を得意とする堕天使であり、人々を争わせることを好む」
「ボルテクス界では出会わなかった悪魔だが、出会っていたなら真っ先に殺したい悪魔だな」
「アノ悪魔…生体エナジー協会ニ現レタコトモアッタ。イルミナティ関係者デ間違イナイ」
「今回の騒動の影にも、イルミナティの影がチラついていたというわけか…」
「だからこそ、我々も陰ながら動いている。イルミナティ共に好き勝手されるのは腹が立つ」
「奴ラニハ借リガアルカラナ」
「イルミナティが絡んでると分かった事だし、気乗りしてなかった悟空も動いてくれるだろう」
「孫悟空カ…。セイテンタイセイト呼ビ過ギタセイカ…未ダニ戸籍名ガシックリコナイ」
「じきに慣れるさ。それよりも…」
屋上から下界を見下ろす。
尚紀の視線の先には、常盤ななかの姿。
「…よく頑張ったな、ななか。それでこそ、俺が太鼓判を押した魔法少女なだけはある」
「善悪を超えた者…か。あの少女の生き方こそが…中庸(NEUTRAL)だ」
「LAWニモCHAOSニモ惑ワサレルコトノナイ豪ノ者。ソレ故二双方ヲ敵二回ス」
「中庸の道はあまりにも苦しい。それでも…俺はNEUTRALを探していかなければならないんだ」
「秩序でも自由でもない、道なき道を探す者か…。まるで幻を追いかけているような気分になる」
「それでも…ついてきてくれるか?」
それを問われた時、クーフーリンとケルベロスは微笑みを見せる。
「勿論だ、尚紀。かつての世界同様、私の槍はお前に預けている」
「我モマタ使命ヲ負ウ者。汝ガ何者ニナルノカヲ見極メル者ダ」
それを聞けた尚紀も微笑み、踵を返した悪魔達が夜の街へと消えていく。
去っていく時、尚紀はこんな言葉を口にする。
「インキュバスからの情報では、もうじきリリスがこの街に現れる」
「いよいよか…激戦となるだろう」
「リリスガ分霊デアルニシロ本霊デアルニシロ、侮レヌ相手ダ」
「だからこそ…これは俺達の戦いとなる。魔法少女達に戦いを押し付けるわけにはいかない」
降りしきる雪の中、悪魔達の足跡が雪によって消されていく。
その光景は魔法少女達も同じであり、今宵は一晩中降り続くだろう。
まるで争いがあった世界を美しき世界へと変えてくれる雪景色。
夜空を見上げる尚紀には、それが懐かしい景色を思い出させてくれるような気がしたのだ。
辛い気持ちをチャージすることしか出来ないチャージももこちゃんも大団円といったところですね(汗)
本当は弱い女の子を描いてると、男塾塾長江田島平八のセリフが頭に浮かびます。
男なら幸せになろうと思うな!幸せになるのは女と子供だけでいい!
男なら死ねい!!