人修羅×まどマギ まどマギにメガテン足して世界再構築   作:チャーシュー麺愉悦部

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178話 悪魔崇拝サイン

男らしさとは力である。

 

男は私的な集団である家族に、物理的、社会的、文化的な枠組みを与えてくれる。

 

男は守り、養う存在で、リスクを恐れず冒険心に富み、必要なものを造っていける存在だ。

 

女らしさとは愛し愛されることである。

 

女性の心には夫と子供の世話をする本能が宿っていて、その見返りに愛情が男に要求される。

 

女性は体に血液を循環させる心臓のように、家族に愛を巡らせることが出来る存在なのだ。

 

その愛を男に一押しさせるために必要なものこそが、彼女達の愛という自己犠牲。

 

夫と子供、家庭への献身という愛情こそが、女性を女性らしくしてくれる。

 

男が力を求め、女が愛を求める生き物ならば、異性愛とは二つの要素を与え合う行為。

 

女性は男性を信頼して、自分が持っている愛を差し出す。

 

女性は男性への信頼によって愛情を表現し、男性はその信頼に応える契約関係を結ぶことになる。

 

男性が女性の信頼を裏切れば契約関係は崩れ、力を失うことになるだろう。

 

女性は男性のリーダーシップを受け入れる代わりに、真に求めているものを手に入れる。

 

それこそが、愛した女性への忠実な愛情と男性の力。

 

女性は男性的な力に憧れをもつ生き物。

 

しかし、それは男性こそが与えるべきだとしたものこそが古来から続く道徳観。

 

舵の無い船(女)は何処にもいけない。

 

船の無い舵(男)など役に立たない。

 

男女は協力し合う事によってはじめて厳しい社会で生きていくことが出来る。

 

それこそが、唯一神から楽園を追放された男女が生き残ることが出来た…原点の在り方。

 

男(陽)と女(陰)が描く陰陽太極図であり、強固なハニカム構造をした六芒星だ。

 

伝統的な男女の役割分担が抑圧的、男尊女卑だなんて大間違い。

 

伝統的な役割を柔軟に解釈するだけで、女は女らしい幸せを得る事が出来るのであった。

 

……………。

 

「…以上が、今の神浜魔法少女社会で起きている問題の報告よ」

 

大きな暖炉前に置かれた高級家具に座っているのはペレネルであり、後ろには護衛のタルトの姿。

 

ペレネルに内偵報告を行っているのはリズであった。

 

暖炉の灯りに照らされた眼鏡を指で押し上げ、ペレネルは溜息をつく。

 

「フェミニズムに汚染され尽くした欧米だけでなく…この国まで汚染されていたというわけね」

 

「マスター、フェミニズムとは何ですか?私は神学者なので政治には疎いです」

 

タルトの疑問に対し、ペレネルは手短に説明を行ってくれる。

 

それと同時に、フェミニズムによって欧米が深刻な社会汚染に晒されていることも語ってくれた。

 

「欧米の女性はね…不感症に苦しんでる。セックスしても集中出来ずに気持ちよくないと言うの」

 

性的な話題になってしまったが、感情がほとんどない造魔達は気にせず口を開いていく。

 

「何故…そのような心理的な病気になったのでしょうか?」

 

「不感症を患う女はフェミニズム的な精神をもつわ。そのため情動停止が起こり性的反応が鈍る」

 

「一種の発達障害ですね…その原因は何処からきているのでしょうか?」

 

「フェミニズムによって女らしさを失った弊害よ。そのため肉体的にも精神的にも満足出来ない」

 

ペレネルは出版されたが政治的に正しくないと言われて絶版にされた精神科医の本の内容を語る。

 

医師によると、女性の本質は本源的な利他行動にあるという。

 

夫と子供を第一に考えることで力が湧き、自己を表現していけるのだそうだ。

 

性的満足や精神的豊かさも、恭順によってもたらされるという。

 

「男性と女性は元来異なる生き物。男性は外的支配を行い、女は精神支配と家庭の支配を司るわ」

 

「フェミの理屈では、それが男社会の抑圧だと言っているようね。神浜の子もそう言ってたわ」

 

「私は中世から生きてきた者よ。昔の男女関係を知る者として、フェミが嘘つきだと分かるわ」

 

「マスターもニコラスさんを夫に迎えて、男女の婚姻を果たした魔法少女でしたね」

 

ニコラスの事を言われたペレネルは溜息をつき、暖炉に振り向く。

 

暖炉で燃え盛る炎の灯りに眼鏡が照らされながら、過去を語ってくれた。

 

「夫と別れた頃から…私も女らしさを失ったと思う。ビジネス世界に行ってから顕著に表れたわ」

 

ペレネルは錬金術師だけでなく、キャリアウーマンとしても大成功を収めた資産家だ。

 

しかし、ビジネス世界で活躍すればする程に女らしさを失ってきたという。

 

「女性はビジネスとは違う存在だわ。全く別の務めを果たすように出来ている…私の経験談よ」

 

「神様が与えた役目ですね…。男は労働の苦しみを、女は産みの苦しみを運命づけられました」

 

「…唯一神から与えられた使命を否定した弊害を女性は味わう。女のアイデンティティを失うの」

 

ペレネルはフェミニズムによって巻き起こる異性愛社会の崩壊を危惧している。

 

現代の女性はもはや女として男から必要とされないまでに落ちぶれてしまっていると考えるのだ。

 

「産業革命前は家族が生の基盤だったわ。女は育児を行い服と食事を用意して農作業を手伝った」

 

「産業革命が起きてから…女性はどのように変化していったのでしょうか?」

 

「子供が重荷になったのよ。必要な物は何でも店で買え、家庭は閑散とした場所に変質したわ」

 

「子供は学校に行き、夫は仕事に出る。妻である女は独り家庭に取り残されてきたというわけね」

 

「…これに対抗するために女性が選んだものこそ、女らしさに反旗を翻すことだったのよ」

 

フェミニズム声明的な著書の中には、このような言葉がある。

 

女性は男性とまったく同じである。

 

女性が自分の中の男性的な部分を引き出していくべきだと訴える内容だ。

 

「フェミニズムの教条は、女性の特質や欲求を完全に否定し、男と同じを目指せとあるわ」

 

「産業革命に対する反動こそが…フェミニズムだったのですね」

 

「その反動はもう一つあるの。ヴィクトリア派がその一つね」

 

英国のフェミニズム運動はヴィクトリア時代の初期から第一次大戦までの間に猛威を振るった。

 

ヴィクトリア派の女性は、自分達の性的感情を完全否定することで男性に報復したのだ。

 

彼女達の主張を大多数の男が信じ込み、科学者でさえ不感症は女性の本質だと考えてしまう。

 

「こうして、フェミニストとヴィクトリア派によって現代女性の神経症の素地が作られたわ…」

 

「基本的な女性教育において…生物学的、精神的な女性の理想像が完全否定されたのね…」

 

「大勢の女性達がそれに感化されてしまうなど…神様はどれ程の怒りを感じられたのでしょう」

 

家事、出産、育児、料理、忍耐、情愛、男への献身が貶められてきた。

 

それは唯一神が楽園から追放した原初の男女に与えた運命を完全否定することと同じ。

 

その光景はある意味、原初の男性であるアダムへの復讐の光景とも思えてくる。

 

「それまで目指してきた女性の生き方に、男性の目指す生き方が取って代わる。()()()()()よ」

 

「異性愛社会の未来は…女に滅ぼされる。その光景の一端を…私は神浜の魔法少女社会で見たわ」

 

「百合の間に男が挟まりに来る…だから男を排除する。まさにフェミニズムの理想的な行動ね」

 

「そのような社会で生きるしかない女性は…神様の幸せを得られません。孤独になっていく…」

 

「今までの私のようにね。キャリアウーマン…聞こえは良くても、男の愛からはぐれた負け犬よ」

 

タルトは神学者であるため、その光景が聖書の創世記で語られた女性存在と合致すると考える。

 

その女性は悪魔となり、アダムとエヴァを憎み血筋から生まれる新生児を殺戮する者と化した。

 

()()()()()()()()()()()()男女逆転…まるでアダムと喧嘩して離れていったリリスの望みです」

 

「リリスの理想社会そのもののように私も感じるわ…。資本主義社会こそ…悪魔の理想世界よ」

 

かつての創世記において、アダムとリリスはこんなやり取りを起こす。

 

――お前の下にはならない。

 

――お前の上には乗ってもいいが、下にはならない。お前は下になるのが相応しい。

 

――私達は平等だ。共に大地から創られたのだ。

 

ペレネルが語った男女の逆転。

 

それこそが、イルミナティを操る支配的存在でもあるリリスの悲願の光景でもあるのだろう。

 

重苦しい沈黙が場を支配する。

 

そんな時、車の音が外から聞こえてきたためタルトは窓を開けて来訪者の存在を確認する。

 

「尚紀のようです。マガタマの修復がどれぐらい進んだのかを見にきたのでしょう」

 

「急いではいないと言ってくれたのだけど…必要とする程の事態になったのかしら?」

 

「それも踏まえて、色々話を聞いてみる必要があるわね」

 

3人は尚紀を出迎えるために玄関へと移動していく。

 

その光景を静かに見つめているのは、屋敷の屋根の上に立つキュウベぇ。

 

彼はイギリスのインキュベーター個体からの情報を転送してもらい、こんな言葉を残した。

 

「フェミニストとヴィクトリア派の男性憎悪は母から娘に受け継がれ、多くの願いを生んだよ」

 

その望みとは、大勢の女性にとって異性を敵視する憎しみを叶える願い。

 

それによってどれ程のフェミニスト魔法少女を生んだのかは計り知れない。

 

「彼女達の望みは受け継がれ、現代女性にも継がれてきた。根底には男性への憎しみがある」

 

明るい家庭を献身的に支える妻という男性の理想に賛同するフリをすることはある。

 

だが、それは単なるリップサービスに過ぎないとキュウベぇは語っていく。

 

内心ではそのような役目に強い不快感を覚え、男性は基本的に敵であり搾取する存在だと憎む。

 

心の奥底では男性に取って代わり、役割を逆転させたいという願望を持っている。

 

そのことに自覚すらもたない女性も多いのだと語ってくれた。

 

「魔法少女達はフェミニズムによって自分達は救われると信じた。けど、そうはならなかったよ」

 

女性は不感症になり、情緒不安定になって離婚率が跳ね上がる。

 

ノイローゼや同性愛、若者の犯罪も増えた。

 

「全ては女性が真の役目を放棄した結果さ。これもまた、僕達の主神の天罰であり…」

 

――精神を司る感情的な女性達の、自業自得でもあるのさ。

 

原因があるから結果が起こる。

 

これもまた女性達が起こした因果。

 

故にリリス(百合)を崇めるフェミニスト魔法少女達は逃れられない。

 

自らの選択によって破滅していく因果からは逃れられないとインキュベーターは言葉を残した。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

自宅の自室にあるベットの上で三角座りをして顔を膝に埋めているのはレナの姿。

 

隣には落ち込んだ表情をしながら机の前に座るかえでの姿があった。

 

「…レナちゃん、もう直ぐ高校進学の受験でしょ?勉強…しなくていいの?」

 

「今のレナ…そんな気分になれないからいい。勉強の手伝いに来てくれたのに…悪いわね」

 

「ううん…いいの。本当はね…勉強の手伝いよりも…謝りに来たかったんだ」

 

かえでの脳裏に浮かぶのは、人間の守護者として立ちはだかった人修羅との戦いの記憶。

 

あの時、かえではももことレナを止めることが出来ずに無意識バイアスという偏りに陥った。

 

周りに流され、勇気が無い自分の保身を優先するように付和雷同を行ってしまった罪の記憶。

 

「私…結局は魔法少女という女の子を優先したかっただけだと思う。ごめんね…止められなくて」

 

「いいのよ…。レナだって…レナやももこ達…それにさゆさゆが一番可愛かっただけなのよ…」

 

過ちを繰り返してしまう愚かな自分への怒りの感情によって、レナの両目に悔し涙が浮かぶ。

 

だが彼女は右腕で涙を拭い、かえでに顔を向けてくれる。

 

「レナ…泣かないから。今回のレナ達が起こした騒動の中で…一番辛かったのは…ももこだから」

 

「私…ももこちゃんに頼り過ぎてたんだね。苦しみに気づいてあげられなかった…」

 

「レナも同じよ…。ももこはいつだって…レナを守ってくれた。だからレナも…甘え過ぎてたわ」

 

「本当のももこちゃんは…私やレナちゃんと同じだった。か弱い女の子でいたかったんだね…」

 

そんなももこを追い込む原因を作ってしまったことを2人は激しく後悔する。

 

それでも、繰り返したくない感情が再び湧いてきたレナとかえでは誓うのだ。

 

「もう…ももこに無理はさせない。日常生活だって…今度はレナがももこを守ってあげるわよ」

 

「私だって気持ちは同じ!私は臆病だけど…レナちゃんと一緒だったらももこちゃんを守れる!」

 

「力を合わせて…ももこを支えていきましょう。あんなにも辛そうなももこは…見たくないから」

 

「やっぱり私達はチームワークだね♪足りない部分を補い合うから…人間関係は築けるんだよ」

 

「今回の騒動で…レナもそれを学べたわ。男社会だって…レナ達の足りない部分を補ってくれる」

 

「男女合わせてチームワークを築けるから…きっと社会を維持する事が出来たんだって…思うよ」

 

2人は頷き合い、自分達の過ちを認め合う。

 

フェミニズムは女性社会を救う思想にはなり得ないと悟ってくれたようだ。

 

ベットから降りたレナがかえでと向き合うようにして机の前に座る。

 

勉強道具を机に並べてはいるが、レナは机の下に纏めてあった雑誌を手に取りかえでに見せる。

 

「それにしても…どうしてさゆさゆはフェミニズムなんかに目覚めたのかしら?」

 

「レナちゃんが好きなさゆさゆって、今では売れっ子の芸能人なんでしょ?」

 

「芸能界に行く前のさゆさゆは…政治の話題なんて公で話すような子じゃなかったわ」

 

「何か目覚めたキッカケを語ってるような記事はないのかな?」

 

「さゆさゆが載ってるから無造作に買っただけだから、全部の記事には目を通してないわ」

 

気になったレナは雑誌の束を机の上に置き、かえでと一緒に記事を確認していく。

 

そんな時、かえでは売れっ子芸能人になった史乃沙優希が写った表紙の違和感に気が付いたのだ。

 

「ねぇ…レナちゃん?これって…偶然なのかな?」

 

「何に気が付いたのよ?」

 

「えっとね…気のせいじゃないと思う。どうしてさゆさゆが写った雑誌の表紙は…」

 

――()()()()()()()()()()()ばかりで統一されているのかな?

 

かえでが感じた違和感を感じ取ったレナが雑誌の表紙を机の上に並べていく。

 

そうすると浮かび上がるものに気が付いたようだ。

 

「な…何よ…コレ?レナ…全然気が付かなかった…」

 

「なんだか…気持ち悪いよね…」

 

まるで統一されたかのように沙優希の片目が強調された写り方。

 

雑誌の表紙を並べたため、机の上は目玉だらけの光景となってしまう。

 

その写り方を体現する悪魔がかつていた。

 

悪魔となる前の暁美ほむらの師匠となり、試練の相手となった魔人。

 

第一の騎士ホワイトライダーが跨っていた目玉だらけの白馬の姿と酷似する光景であったのだ。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

日本やアメリカ等の芸能界においては、単眼サインで溢れている光景が目立つ。

 

単眼サインとは、イルミナティが崇拝するプロヴィデンスの目を表現するサイン。

 

米国の音楽関係のアーティストや芸能人はイルミナティと契約しないと売れないと言われる。

 

鳴かず飛ばずの売れないアーティストが突然売れ出した時には、国際金融資本が動くようだ。

 

彼らと契約した芸能人はメディアを通して悪魔崇拝の洗脳を広げる役目を与えられる。

 

アルバムのジャケット、ミュージックビデオにはイルミナティを表すサインが組み込まれてきた。

 

世界中の人々が娯楽として消費しながらも、知らない間にイルミナティ教義に感化されていく。

 

イルミナティは物理的な強制よりも、教育やメディアを通して人々を洗脳する事を重視する存在。

 

その尖兵として利用されてきたのが芸能人や映画スターだったというわけだ。

 

しかし、次第に耐えられなくなった芸能人も多くいる。

 

悪魔崇拝を自分の音楽や芸能活動で広めることに対し、後悔するようになった者達がいた。

 

……………。

 

ここは東京の新宿、夜の歌舞伎町。

 

東京で暮らしてきた尚紀が生活していたエリアであり、相変わらず夜の繁華街は盛況のようだ。

 

新宿歌舞伎町には大人だけでなく少女達も大勢集まる。

 

理由は売春や援助交際、中には人身売買の被害に合う少女もいた。

 

彼女達が新宿に集う原因は、推しの男達に金を貢ぐこと。

 

ホストやコンセプトカフェのコスプレ店員、それに地下アイドル男などが彼女達を食い物にする。

 

推しという呪われた言葉に女の子達はたぶらかされ、正常な判断を下せなくしてしまったようだ。

 

彼女達が集うエリアから因んで、トー横キッズと呼ばれるようになっていった少女達である。

 

今日も歌舞伎町にはそんな少女達が大勢集まっているようだ。

 

「ねぇ…見てよあの子?」

 

16歳ぐらいの少女が椅子に座っている少女を見て、怪訝な表情を浮かべる。

 

「サングラスとマスクなんてつけて…どういうつもりなわけ?」

 

「もしかして、有名人とか?」

 

「そんな人がこんな場所をうろついてるわけないでしょ~」

 

「だよね~」

 

気にするのを止めた少女達は再びスマホに視線を向け、援助交際の声が掛かるのを待つ。

 

そんな光景をサングラス姿をした少女は見つめながらも、マスクの中で溜息をつく。

 

(沙優希…逃げてきちゃった。彷徨ってたらこんな場所に来たけど…何だか凄く怖い場所…)

 

私服姿をしたサングラス少女とは、今では売れっ子芸能人となった史乃沙優希。

 

どうやら所属事務所から逃げ出してしまい、東京を彷徨った果てに歌舞伎町に辿り着いたようだ。

 

膝の上に置いた両手をギュッと握り締める。

 

心細いのか、サングラス奥の瞳には涙が浮かんでいた。

 

(帰りたい…。神浜市に…みんなのところに帰りたいよぉ…)

 

神浜市の魔法少女達に助けを求めることは出来ない。

 

彼女はスマホを持たされず、SNSや電話さえ利用することが出来ない。

 

SNS活動は事務所が行い、保護者からの連絡も沙優希のマネージャーが管理しているからだ。

 

着の身着のままで飛び出してきたため、小銭すら持ち合わせがなかったようである。

 

(友達が欲しかったから…アイドルになった。芸能人になったら…友達が増えると思ったのに…)

 

彼女の脳裏に浮かぶのは、スポンサーの命令を遂行するかのような事務所命令。

 

沙優希は自分が思ってもいないことを記者達に向けて語らされてきた。

 

それをさも本心のように語れと命令されてきたのだ。

 

所属する芸能事務所の意思に逆らうのは、スポンサーへの背信行為。

 

資本主義社会に組み込まれた者として、選択の余地など無かったのだ。

 

「お嬢ちゃん達、トー横キッズだろ?」

 

「えっ?」

 

沙優希が顔を上げれば、防犯ボランティア活動を行っている数人の男達。

 

奥の少女達の方にも目を向ければ、同様の人物達が声をかけているようだ。

 

「我々は防犯ボランティアをしている者だよ。この街は危険な大人が多いから守る活動をしてる」

 

「そ…そうなんですか…?」

 

「歌舞伎町を知らないのかい?なら、地方から来たんだろ?そういうトー横キッズも多いんだ」

 

「はい…。地方都市の神浜市から…来ました」

 

「地方から流れて来る子達の多くは…家に居場所がない、虐待を受けているから逃げた子も多い」

 

「沙優希は…家族と仲が悪いというわけではないです。家に帰りたいぐらいなんです…」

 

「そうなのか?では、家族とは連絡を取れないのかい?迎えを呼べないの?」

 

「その…着の身着のままで流れ着いたから…連絡が取れません」

 

「そうか…ならお腹も空いているだろう?我々は炊き出し活動も行ってるからついてくるといい」

 

「えっと…その……」

 

丁度お腹が空いていたのか、空腹を示す音が響く。

 

他の少女達もボランティア男達について行く様子を見て、彼女も流されてしまう。

 

数人のボランティア達に炊き出しが行われているという場所まで案内されていくのだが…。

 

「あ…あの……ここは……?」

 

沙優希が連れてこられた場所とは、誰もいない開けた路地裏。

 

目立つのはスモークガラスで内部を隠した白いミニバンであった。

 

「あ…あの…ここが炊き出しの場所なんですか?他の子達の姿も見えませんが…」

 

怪訝な表情をマスクの中で浮かべる沙優希に振り向く男達。

 

その顔つきが邪悪なものへと変化していく。

 

「馬鹿だね~君?ただのボランティアなんてするわけないじゃん」

 

「今どき正義の味方なんて流行らないんだよ」

 

「えっ!?」

 

男達の態度が豹変したのに慌てた彼女を背後から掴む別の男達。

 

「オラッ!!大人しくこっち来いやぁ!!」

 

「嫌っ!!放して下さい!!」

 

「うひょー!!カワイイお尻してやがるぜぇ♪」

 

「ダメェ!?スカートめくらないでぇ!!!」

 

「サングラスとマスクなんてつけやがって!どんな可愛い顔が隠れてるのかな~?」

 

男が無理やりサングラスとマスクを外す。

 

「おおっ!?お前…もしかして、売れっ子アイドルのさゆさゆじゃねーのか!?」

 

「ラッキー!!こんなデカい獲物が引っかかるなんてよぉ…こいつは楽しめそうだぜ!」

 

「沙優希をどうする気なんですか!?」

 

「決まってんだろ?」

 

邪悪な笑みを浮かべた男がミニバンを指さす。

 

扉が開いたミニバンには、下着姿の男がビデオカメラを手に持ちながら手を振っていた。

 

「お前のハメ撮り撮影会をするに決まってんじゃん♪」

 

レイプされるのだと理解した沙優希は顔が赤面していく。

 

力任せに藻掻く抵抗を行うのだが…。

 

「いやっ!!助けてぇ!!誰かーーッッ!!!」

 

「暴れるんじゃねぇ!!コイツ…細い体してなんて力を出しやがるんだぁ!?」

 

「抑えきれねぇ!?アレを使え!!」

 

数人がかりで抑え込んでいたが、ミニバンまで走っていった男が何かの道具を持ってくる。

 

手に持たれていたのはスタンガンだ。

 

「抵抗するなら覚悟は出来てるんだろうなぁ!!」

 

「や…やめて…やめてぇぇーーッッ!!!」

 

スタンガンの一撃を浴びせられようとした時だった。

 

<<お巡りさん!!こっちです!!!>>

 

男の叫び声が聞こえたレイプ魔達が慌て始める。

 

「くそっ!?誰かが通報しやがったのかよ!」

 

「畜生…こんな大物を楽しめる時だってのに!!」

 

慌てたレイプ魔達が沙優希を解放してミニバンに乗り込んでいく。

 

車は急発進していき、どうにか難を逃れる事が出来たようだ。

 

地面に膝をつきながら泣いている沙優希の元にまで男が近寄っていく。

 

その姿はホストのような服装をしていた。

 

「糞野郎共め…。あんな連中を防犯ボランティアだと思った僕が馬鹿だったよ」

 

両膝を屈め、目線を沙優希に合わせてくれる。

 

「大丈夫だったかい?」

 

「グスッ…ヒック……あなたは?」

 

「ただのホストだよ。休憩中だったんだけど、外を歩いてたら君の叫び声が聞こえたんだ」

 

「グスッ…助けてくれて……本当にありがとうございます…」

 

彼女を助けたのは、尚紀が便利屋活動を行う時の仕事の斡旋をしてくれている人物。

 

歌舞伎町で有名なホストクラブのナンバーワンホストであるシュウであった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

怖かった彼女を落ち着かせるため、シュウは沙優希を連れて場所を移動していく。

 

歌舞伎町公園にまで沙優希を連れていき、買ってあげた飲み物を彼女に手渡す。

 

飲み物を口にして落ち着きを取り戻した彼女に向けて、連中が何者なのかを語ってくれた。

 

「連中はボランティア団体の皮を被った反社共さ。自警団を自称して犯罪行為を繰り返す」

 

暴対法で締め付けが厳しくなったのを逆手に取り、対反社という表の組織を作るヤクザは多い。

 

その実態、裏の顔は売春斡旋、薬物取引、人身売買等を目的にしていると語ってくれる。

 

「沙優希…気が付きませんでした。見た目はボランティアをしてる人に見えたから…」

 

「人間はね…()()()()()()()()()()()。善人のフリをしながら近づき、人間を貶めるんだ」

 

「まるで…平和テロリスト集団です。偽装されたら直ぐには気がつきませんね…」

 

「見た目だけでなく、言葉や理論さえ偽装する事が出来る。それに騙される人達は多い」

 

それを言われた時、沙優希は暗い表情を浮かべながら顔を俯けていく。

 

「……史乃沙優希さんでいいのかな?」

 

「えっ?シュウさんは…沙優希を知ってるんですか?」

 

「コンビニ雑誌でよく見かけていたからね。立ち読みしていた時…君の記事を読んだよ」

 

その内容を言われるのが辛いのか、沙優希はまた顔を俯けてしまう。

 

「君は…フェミニズムを信じている芸能人なんだよね?」

 

それを問われた彼女は俯きながら首を横に振る。

 

「なるほど…仕事だから考えてもない理屈を言わされていたというわけか。芸能人は辛いね」

 

「沙優希は神浜市の伝統的な街で育ちました。だからフェミニズム理論は…受け入れられません」

 

歴史地区の伝統的な価値観をアイデンティティにしている彼女は、フェミニズムを嫌悪している。

 

それによって、どれ程の女性達が自由を叫んで社会を混乱させるのかを想像するだけで怖くなる。

 

ホストとしても思うところがあるのか、シュウはこんな話を語り始めるのだ。

 

「トー横キッズ達もそうだけど…今の時代、女性は男性から得られる愛に飢えていると思うんだ」

 

「えっ?」

 

顔を上げてシュウを見れば、まるで憂いを帯びたような表情。

 

異性愛社会がフェミニズムに滅ぼされていく光景を見ながら悲嘆に暮れるような男の顔つきだ。

 

「心から信頼出来る人がいない。うわべだけの付き合いしか生まれず、心細くなっていく」

 

「それによって…あそこにいた少女達は…どうなっていくんですか?」

 

「セックスで人間関係の信頼を作ろうとする。みんな騙されているんだ…フェミニズムに」

 

それを言われた沙優希は、強い罪悪感に苛まれていく。

 

自分は助かったが、連れていかれた他の少女達が傷つけられて捨てられていく事が耐えられない。

 

その後押しをするかの如く、芸能人の自分がフェミニズムをばら撒いた事が苦しかったようだ。

 

「ごめんね…性的な話題になったね。恥ずかしかったかな?」

 

「いいんです…気にしてません。沙優希だってもう18歳ですし」

 

「そうか…18歳以上の女の子なら、僕の話を聞いてくれるかな?」

 

静かに頷き、シュウの話を聞いていく。

 

現代の女性は心から信頼出来る人と出会えず、それを求めるセックスを繰り返す。

 

しかし、セックスを繰り返す程に男達の愛情からは遠ざかっていく。

 

男達はアバズレのヤリマン女など、セックス相手としてなら利用するが、捨てていく現実がある。

 

自ら信頼から遠ざかる行動を繰り返し、彼女達は理想的な存在に縋りつこうと偶像を求めていく。

 

ホスト等の男達は女性が欲している信頼を食い物にして、パパ活や援助交際で金を貢がせる。

 

負の連鎖が起きている根本の原因とは、異性愛をぶち壊しにしたフェミニズムにあると語った。

 

「セックスとは、男女の信頼関係を築く契約だ。それを売り物にして信頼など得られる筈がない」

 

「それを言ってくれるホストの人は…どれぐらいいるんですか?」

 

「…ほとんどいない。女がフェミニズムに染まってくれた方が利益になるんだ」

 

「シュウさんは…女性の弱みに付け込むホストではないんですね。凄く…安心出来ます」

 

「その安心感こそが僕の売りだよ。異性愛社会の伝統こそが、男女関係を固く結べると信じてる」

 

情動停止が解消されれば女性の本能が解放され、再び健全な状態に戻る。

 

それには男を心の底から信頼する気持ちが必要なのだ。

 

男を恐れたり張り合ったりする必要がない事を知り、それが女を守り女性らしさを開花させる。

 

「女性は男性を信頼出来て、初めてセックスは快感となる。恭順は偏見や抑圧なんかじゃない」

 

「沙優希も信頼出来る人と巡り合いたいです。友達が欲しかったから…アイドルになりました」

 

「…君がこれからどう生きるのかは分からない。芸能界で頑張りたいなら…止めはしないよ」

 

それを言われた時、沙優希は決意を持った表情を浮かべる。

 

資本主義社会に組み込まれても、捨てたくない信念があった。

 

「アイドルは…ファンという友達の為にあるべきだと思います。貶める為にあるんじゃないです」

 

「だからこそ、こんな場所にまで逃げてきたというわけだね。自分を偽るのが耐えられないから」

 

「もう直ぐ…神浜市で凱旋ライブイベントがあるんです。その時に沙優希は……」

 

「止めた方がいい」

 

「えっ!?」

 

「ファンを裏切りたくないと、ファンの前で真実を告白する気かい?どれだけの被害額が出る?」

 

「そ、それは……」

 

「ライブは個人でするものじゃない、協賛企業が大勢集まる。君は被害総額を支払えるのかい?」

 

それを問われた時、返す言葉が見つからなくなる。

 

これからも芸能人という操り人形となり、自分のファン達に病魔の思想を撒き散らす以外にない。

 

そんな恐怖に晒されてしまい、芸能界入りに飛びついた自分を激しく呪ってしまう。

 

シュウに縋りつくようにして抱き着き、涙ながらにこう訴える。

 

「沙優希…こんな筈じゃなかった!魔法少女になったのは…友達を貶めるためじゃないのに!!」

 

「魔法…少女……?」

 

魔法少女という存在をシュウは尚紀から聞かされたことがある。

 

アニメか漫画の話かと思ったが、尚紀は嘘をついているような態度ではなかった。

 

彼が語った魔法少女の特徴を思い出し、シュウは抱き着いている彼女の左手を見る。

 

「こ……これは!?」

 

沙優希の左手中指に嵌められたソウルジェム指輪が、穢れの光を放っている。

 

「尚紀さんが言ってた話は…本当だったのか!?魔法少女が実在してたなんて!?」

 

「えっ…?シュウさんは…尚紀さんを知ってるんですか!?」

 

2人が驚愕の顔を向け合っていた時、近づいて来る足音に気づく。

 

公園の入り口に2人が顔を向ければ、立っていたのは沙優希のマネージャー女性の姿。

 

後ろには黒スーツを着た屈強な男達まで控えている。

 

「……見つけたわよ、沙優希」

 

恐ろしい笑みを浮かべながらマネージャー女性が沙優希に近寄り、左手首を掴む。

 

「は、放して下さい!!」

 

強引に沙優希の左腕を持ち上げ、厳しい表情を向けてくる。

 

「な…なんだ…アレは?」

 

シュウの目には信じられない光景が映っている。

 

ソウルジェム指輪が発する穢れの光が、掴んだ手によって吸い出されていく光景。

 

明らかに人間が行える現象ではなかった。

 

「事務所の皆に迷惑かけて、どういうつもり?神浜のライブイベントが近いというのに」

 

「沙優希…もう芸能活動なんて…したくないです!!」

 

「なぜ?貴女はあんなにもファンから頂いたファンレターの数に大喜びしていたのに?」

 

「最初は嬉しかったです!でも…沙優希は言いたくもない話を記者達に語るのは嫌なんです!」

 

「仕事は嫌な事もしなければならない。他の人達は頑張ってるのに、貴女だけ楽したいの?」

 

「それは…その……」

 

「苦しみはいつかきっと貴女の力になってくれるわ。気の迷いで逃げ出した事は…許してあげる」

 

「……………」

 

「帰りましょう、みんな心配しているから。私は貴女の味方よ」

 

「……はい。勝手に出て行って…すいませんでした…」

 

「貴女は皆の期待に応えていればいい。魔法少女として…もう戦わなくても良いのだから」

 

暗い表情を浮かべながらも、沙優希はシュウに向き直り一礼を行う。

 

マネージャー女性の後ろについて行き、停められた高級セダンの後部座席に乗車していく。

 

沙優希の隣に乗ろうとしたマネージャー女性が立ち止まり、後ろに振り向く。

 

「沙優希がお世話になったみたいだから、礼をしてあげて頂戴ね」

 

シュウの前に残されていたのは、屈強な男達。

 

「お前…魔法少女の存在を知っているな?」

 

「運が無かったようだ」

 

景色が異界化していく光景の後ろでは、高級セダンが発進していく。

 

異界に取り込まれたシュウの眼前には、巨大化していく醜悪な存在が屹立する。

 

現実感を全て失い、地面にへたり込んだシュウは…己の死期を悟ることとなるだろう。

 

「すまない……尚紀さん……」

 

振り上げられた凶刃の一撃によって、地面が激しく砕け散る。

 

クレーターの中には、原型を留めない赤い血痕だけが残されたようだ。

 

その日の夜、尚紀と共に歌舞伎町を守り抜いたシュウは…帰らぬ人となった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

1月の第三日曜日を迎える頃。

 

まだ朝日も昇らない時間において、嘉嶋尚紀の家は物々しい空気を出す光景が続いている。

 

「車ノ免許トヤラヲ取ッテオイテ正解ダッタヨウダナ」

 

「クリスは目立ち過ぎる。静かに動くなら目立たない車で向かう方が良い」

 

ガレージの前に立つ人間姿のクーフーリンと、狼犬姿をしたケルベロスが視線を向ける。

 

クリスの横に停められていたのは、フォードのエコノラインと呼ばれるフルサイズバンであった。

 

「犬っころの運転で行くのかよ?事故るんじゃねーの?」

 

歩いてきたのは、カンフー着を身に付けた人間姿をしたセイテンタイセイ。

 

「嫌なら自慢の筋斗雲で向かっても良いのだぞ?」

 

「まぁいいさ。後ろ側で寝てるから、ついたら起こしてくれ…ふわ~……」

 

眠そうな顔つきで後部座席の扉を開けて中に入り込んでいく。

 

「緊張感ノ無イ奴メ」

 

「神経が図太いのだろう。プレッシャーに潰される者よりはマシだがな」

 

「セイテンタイセイノ酷イイビキト共二向カウノカ…ゾットスルナ」

 

ケルベロスも後部座席の中に入り込んでいく。

 

後部座席の扉を閉めるクーフーリンに向けて、隣のクリスがブーイングを浴びせてくる。

 

「アタシも暴れたい~~!!」

 

「今回は隠密行動になる。お前では無理だ」

 

「ブ~~~ッッ!!」

 

クリスのブーイングもどこ吹く風といった態度で運転席側に入り込む。

 

後は尚紀が来るのを待つだけであったのだが…。

 

<<なんだとぉ!!?>>

 

大声が家の方から聞こえ、クーフーリンは視線を明かりがついた窓に向ける。

 

リビングに見えたのは、スマホを持ちながら通話を行う尚紀の姿。

 

その顔つきは動揺を隠しきれない表情を浮かべていた。

 

通話を終えた尚紀を心配そうに見つめるのは、留守番を任されたケットシーとネコマタ。

 

「シュウが…行方不明ですって!?」

 

「そんな…シュウさんに一体何があったんだニャ!?東京で世話になってきた人なのに!!」

 

「連絡をくれたホストクラブの店長の話では…休憩時間中に外に出て行方不明になったようだ」

 

「心配ね…何かの事件に巻き込まれた可能性があるわ」

 

「シュウさんは…とても正義感が強い人だったニャ。きっと誰かを助けようとして…」

 

「シュウ……」

 

シュウがいなくなってしまった事により、尚紀は便利屋として活動していく事は困難となる。

 

それ以上にシュウは友人でもあったため、尚紀の心は心配によってかき乱されてしまう。

 

「…何があったのかは知らんが、今は戦いに赴く時だぞ」

 

視線を向ければ、車に来ない尚紀を迎えに来たクーフーリンの姿。

 

「集中しろ。相手はあのリリスだ…それに他の悪魔共も潜んでいる事態も十分考えられる」

 

「……そうだな。今はそちらが優先だったよ」

 

「ペレネルの造魔達は先に会場に向かってくれている。我々も早く行くぞ」

 

そう言い残してクーフーリンは家から出て行く。

 

事前に手に入れておいたライブスタッフのアルバイト制服を着た尚紀もそれに続いていった。

 

フルサイズバンのヘッドランプに明かりが灯り、車が発進していく。

 

助手席に座る尚紀はスタッフの帽子を目深く被りながらも、視線を外の景色へと向けていく。

 

「シュウ……」

 

彼の脳裏に浮かぶのは、シュウと初めて出会った日の記憶と、便利屋として生きてきた記憶。

 

シュウがいてくれたからこそ、彼は生活が出来てこれた。

 

恩人でもあり友人でもあった大切な人が無事でいてくれる事を願う事しか出来なかった。

 

夜道を進む車が向かう先は神浜アリーナ会場となるだろう。

 

男達は夜道を突き進む。

 

その先にあるのは、男社会を破壊し尽くす野望に燃えた女悪魔の牙城。

 

男の尊厳をかけて譲れない戦いがある。

 

そう決意する尚紀の顔つきには、迷いの色は消えていた。

 




版権ヒロインにちょっとエッチな事をしてしまいましたが、版権ヒロイン達がレ〇プされるような展開は描かないのでご安心下さい。
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