人修羅×まどマギ まどマギにメガテン足して世界再構築 作:チャーシュー麺愉悦部
「ガハッ!!!」
人修羅に蹴り飛ばされた女悪魔がVIPルームの扉を突き破って室内まで蹴り込まれる。
呻き声を上げながら立ち上がろうとするのは、リリスの女性秘書を務めていた女悪魔。
【メデューサ】
ギリシャ神話に登場するゴルゴン三姉妹の末娘であり、名は支配する女という意味をもつ。
青銅のような鱗の肌と飛び出しそうな大きな目玉、毒蛇の髪をもつ存在だと言われている。
その姿を見た者は恐ろしさのあまり石にされると語られている存在だ。
元は美しい女性であったが、女神アテナの神殿において海神ポセイドンからレイプ被害を受ける。
神殿を荒らしたとしてアテナが激怒したのは、父の兄であるポセイドンではなく女性の方だった。
アテナはレイプされた女性を醜悪な蛇女に変え、それに抗議した他の姉達も怪物に変えたのだ。
「ぐっ…うぅ……おのれぇぇ…おのれぇぇぇぇ…ッッ!!」
下半身が蛇であり、無数の蛇を髪とする巨体を持ち上げようとする。
だが、相手の実力は桁外れ過ぎて勝ち目などないとメデューサも本能で感じていた。
「お前の存在は有名過ぎる。一目見て石化を用いてくる悪魔だと見抜けたよ」
通路から歩いて来るのは、全ての障害を排除した上で最後の護衛をも屠ろうとする人修羅の姿だ。
彼が飲み込んだマガタマとは、呪殺を防ぐ耐性を与えてくれる『サタン』である。
これによってメデューサが用いてくる魔眼の呪殺魔法ペトラアイを無効化したわけだ。
「リリス様はやらせない…リリス様こそが…私たち女悪魔を…女性を…救ってくれる!!」
巨体を持ち上げ、最後の抵抗を行う構えを見せてくる。
それに対し、人修羅は蔑みの眼差しを向けてくるのだ。
「…男では女を救えないとでも言いたいのか?」
「そうよ!!男共は女をレイプすることしか頭にないわ!!私もその被害者よ!!!」
「だから全ての男を強姦魔扱いするのか?被害者意識もそこまでいくと反吐が出る」
「女を救えるのは女だけよ!男共も…男に味方する女共も…全員許さない!!」
「自分の言っている言葉が破綻していると…なぜ気が付かない?」
フェミニズムを固く信じるメデューサもまた、虚言癖を患っている。
女の敵は男に味方する女もそうだとぬかす支離滅裂な理屈にさえ気が付かない。
同性愛者に成り果てたメデューサもまた、現実を自分の都合の良いようにしか解釈出来ない。
精神的引き籠りを患う精神疾患者であったのだ。
「私が倒され様とも…リリス様がこの世界を救ってくれる。女性が支配する世界を生みだす!」
獰猛な瞳を赤く染め、魔眼に頼らない戦いを仕掛けようとする構え。
迎え撃つ人修羅もまた右手に光剣を生み出し、鋭い目つきを返す。
「…お前もまた、鬼畜外道に蹂躙された者だと言うならば…やり直すつもりはないか?」
人修羅として生きる尚紀が見せた最後の慈悲。
その慈悲さえ、現実を見ようとしないメデューサの心には届かない。
「今更善人ぶるんじゃないわよ!!女を傷つけるものを股間にぶら下げる男共は…全員殺す!!」
右掌から放つ一撃とは、無数の麻痺針を発射する『百麻痺針』の一撃。
人修羅も左手を掲げ、風魔法の応用によって針の雨を逸らし続ける。
そのまま歩いていくと同時に一気に踏み込む。
「がっ……あっ……?」
背中側まで切り抜けた人修羅が光剣を振り、消しさる。
メデューサの腹部には一閃の如き斬撃の痕が浮かび、胴体が地面に転がり落ちてしまう。
「いや…いやよ…ッ!!私の体が…崩れて…ッ!!」
魔法少女達の感情エネルギーで構成された体に亀裂が入っていき、砕け散るメデューサの体。
<<うげェェェェェ…ッ!!!>>
断末魔の叫びと共に飛び散ったMAGの光に向けて振り向き、やりきれない表情を浮かべてしまう。
「見たいものしか見ないし、信じないのは…人類も悪魔共も同じってわけか」
エゴと共に生き、エゴと共に死んだ女悪魔から視線を逸らす。
VIPルーム内に視線を向けていくのだが…リリスとアモンの姿は見えない。
「なんだ…?」
周囲の景色が歪んでいき、ホワイトアウトしていく。
人修羅の周囲に広がっていく景色とは中東のイラクを思わせる程の荒野。
「異界に引き摺り込んだか…いいだろう。俺にとってもその方が都合が良い」
古代遺跡の跡地のような場所を歩いていくと神殿跡地のような場所に出る。
「あれは確か…神話の本で見た事がある。
崩壊した神殿ゲートを潜ると、そこに見えたのは巨大レリーフであった。
――――――――――――――――――――――――――――――――
メソポタミア文明において作られたものであり、夜の女王と呼ばれるのがバーニーの浮彫。
メソポタミアにおける愛と美の女神イナンナか、姉の冥界神エレシュキガルだと言われている。
両隣には梟が描かれており、梟の鉤爪の如き鋭い足が立つのは聖獣である獅子の上。
裸の背中には翼があり、両手には神権を示す尺度と巻き尺、頭にはアヌンナキの三重冠を被る。
三重冠とは天と地と地獄を治める太陽の象徴として語られるものであった。
<<フェミニズムの起源とは、オカルトであるグノーシス主義ですわ>>
声がした方に振り向けば、蜃気楼のようにして現れる人影。
バーニーの浮彫が聳え立つ段差の上に現れた人物こそ、フェミニズムの象徴であるリリス。
右腕には浮彫の絵を彷彿とさせる梟が止まっていた。
「…お久しぶりですわね、混沌王様。ボルテクス界におけるカグツチ塔以来かしら?」
不敵な笑みを浮かべてくるリリスに向け、鋭い眼差しを向ける。
「そうなる。そして…ボルテクス界では見かけなかった悪魔も連れているようだな?」
視線を向けられた梟が鳴き声を発する。
悪魔でなければ理解出来ない言葉であった。
「お初にお目にかかる。吾輩の名はアモン…古代エジプトの守護神を起源に持つ魔王である」
「アモンだと?仲魔から聞いた事がある魔王だ…かなりの強さを持っていると聞かされたな」
「吾輩とリリス、その両方が揃えばどれ程の強さとなるか…考えた事はありますかな?」
「覚悟の上で来ている。そして…俺の前に現れるということは、お前達の覚悟も問われるぞ」
「私の覚悟はあの頃から変わらない。分霊ではありましたが貴方様を鍛えるために戦いましたわ」
「アマラ深界に集った悪魔たち同様、吾輩たちもまた貴方の試練となる」
「全てはLAW勢力とのハルマゲドンに勝利するため。そのために最強の悪魔を生み出す」
「しかし、我らに敗れるような弱き悪魔であるならば…我らの期待を裏切る者として処分する」
「かつての試練では俺の強さの証明にはならなかったのか?」
「十分な資質を見せてくれましたわ。ですが…ダイヤは磨かなければ輝きが曇ってしまう」
「この世界に流れ着いた貴方の輝きがボルテクス界の頃と変わらないのか…見極めよう」
「いつでも始めて構わないが…その前に聞きたい事がある」
怪訝な表情を浮かべるリリスとアモンに向け、人修羅は口を開いていく。
「さっき倒したメデューサはこう言って死んだ。女が男を支配する世界をお前が築くとな」
「彼女も私の思想に賛同してくれた同志だったけれど…役目を果たして死んだようね」
「リリス…貴様こそがフェミニズムの象徴だと聞いている。お前は女性を救う悪魔なのか?」
「その通りよ。私の在り方が生み出したとも言えるフェミニズムこそが、女性社会を救うのよ」
それを聞いた人修羅の眉間にシワが寄っていく。
「ふざけるな…貴様が撒き散らすフェミニズムとは、魔法少女だけでなく全ての女性を貶める!」
男として生きる者が叫ぶのは、フェミニズムによって巻き起こってきた男女社会の弊害の糾弾だ。
性を標的にした社会改造プログラムによって、どれ程の男女が犠牲となってきたか。
性のアイデンティティの混乱により人間としての成長を阻害された人類の堕落した在り方。
自らの快楽のみを優先させ、同性愛とセックスが氾濫したことによる社会の退廃化。
家族、人種、宗教、国民国家を崩壊に導かせるために利用されたのが女性達。
我儘極まった思想に操られた女性達は同性愛万歳と叫び、逆らう男性や女性達と対立させられた。
異性愛と同性愛、どちらかが滅びるまで戦わさせられる呪いを与えた者こそがリリス。
「男女家庭とは、人生の目的や
尚紀の怒りの源とは、男女家族を失ったことがある悲しみの経験からきている。
この世界に流れ着き、辛かった苦しみを癒せる場所として真っ先に頼ったのが両親である。
子供である自分を育ててくれた我が家と両親があったからこそ、帰属意識が生まれた。
帰れる場所があることが、どれ程の救いとなったのか…その家族を失ったからこそ分かるのだ。
「女性が子を産んでくれる!男性が育ててくれる!こんな自然なことさえ…貴様は貶めた!!」
黙して語らずの態度であったリリスだが、眉間にシワが寄っていく。
「何が同性愛だ!?何がセックスだ!?そんなものより大事なものこそ…」
――
人の心が帰れる場所。
人類の祖になれたかもしれなかったリリスもまた、それを失ったことがあった。
眉間にシワが寄り切ったリリスが憎しみに支配された言葉を発する。
「…気が変わったわ。彼の相手は私1人でやらせて頂戴ね」
顔を向けなくとも、リリスの全身から発する桁外れの殺意を感じ取ったアモンは静かに頷く。
「混沌王殿の連れ合い共が近づいてきている。吾輩はそちらの相手をしてやろう」
リリスの右腕より飛び立ち、異界の中から消え去っていくアモンの姿。
残されたリリスの全身からは漆黒のカーテンとも言える煙を発する。
<<人の心が帰れる場所ですって?そんなもの…女性に必要ではないわ>>
漆黒のカーテン内のリリスが口ずさんでいくのは、彼女の在り方を表すような詩。
――男が作った世界が滅びても女は生きていく。
――国が滅びても、わたしは生きていく。
――
人修羅も上着を掴み、脱ぎ捨てる。
上半身に発光する刺青をもつ彼の左手を見るがいい。
そこに握られていたのは、東京の守護者と共に在った男達の魂が形となった刀。
「男達の魂は女に届くのか…試させてもらおうか!!」
666を象徴する三つ巴紋が刻まれた鍔を親指で弾き、怨霊剣の光と共に刃が煌めく。
一瞬で抜刀し、刀を左右に回しながらの回転納刀。
男達の魂は女に向けて何時でもかかって来いと示す。
憤怒に歪んだリリスもまた、人類の男達に向けて憎悪の言葉を発するのだ。
「さぁ、百合の名を持つ私が…男と呼ばれる邪悪な存在に制裁を与えてあげましょう!!」
ギルガメシュ叙事詩における夜の女王リリスの如く、全身から魔力が噴き出す。
叙事詩のくだりを象徴するバーニーの浮彫の前で互いの魔力が拮抗していく。
地面は揺れ、周囲の古代遺跡が魔力振動によって砕けていく中…互いが動く。
今こそ始めよう。
男への復讐に燃えたリリス(女)と、受けて立つアダム(男)との戦いを。
――――――――――――――――――――――――――――――――
全身に蛇柄文様が巻き付く鎖のように描かれたリリスの右手から放たれる無数の真空刃。
かつてのバアル神が放った風魔法と同等の威力を示す程の一撃が広域放射されていく。
迎え撃つ人修羅は腰を落とし足を半歩開いた状態で斬撃を放つ。
繰り返されるのは目にも止まらぬ居合術。
納刀状態から放たれる無数の斬撃が前方空間に張り巡らされ、真空刃を切り裂いていく。
刀身からは怨霊剣の魔力が噴き上がり、斬撃範囲を大きく伸ばしてくれる。
彼の背後の遺跡群は巨大な真空刃によって大地ごと切り裂かれていき崩壊していくのだ。
天変地異とも言える程の力に対抗出来る刀こそ、将門が託してくれた公の御剣たる怨霊剣。
(いける…この刀の強度ならば、スパーダの剣技に耐えきれる!)
技を振るえば振るう程、新たなる武器の強度に確信が持ててくる。
怨霊剣と呼ばれる刀を構成する材質こそ、神代の霊的金属である
古史古伝の一つである竹内文書に記された超金属であり、オリハルコンにも似た金属。
太陽の如く輝き、常温で加工できるが合金にすると極めて堅固になり錆びる事もないという。
「どうした!!女の力はその程度か!!」
山を背にした神浜市すら破壊し尽くせる程の巨大真空刃の雨の中でリリスを挑発。
「粋がらないで!!女の力はこの程度ではないわよ!!」
真空刃を放つのを止め、右手を天に向けていく。
その隙を見逃す人修羅ではない。
「今度はこっちの番だ!!」
刀を鞘に納めたまま右足を引き、背中に向けて右手を引き絞る形で構える。
右手からは逆手に向けた光剣が放出され、刀身から魔力が噴き上がっていく。
放たれた斬撃とは、二連続で放たれる魔力の刃。
『ドライブ』と呼ばれる剣技の一撃が迫るが、リリスは浮遊した体を高速移動させる回避行動。
斬撃がバーニーの浮彫に直撃してX字を描くように切り離されていく。
浮遊したまま移動を繰り返すリリスに向け、放たれた弾丸の如く人修羅は駆ける。
怒りに我を忘れていく彼女はアダム(男)を罵倒する言葉を発していく。
「男共はいつの時代も女を下にする!!私たち女こそが男の上に立つべき存在なのよ!!」
嵐の精霊の怒りに呼応するかの如く暴風が吹き荒れていく。
人間どころか岩まで吹き飛んでしまう突風を突き抜け、怨霊剣と光剣を同時に構える姿を見せる。
「行くぞリリスーーッッ!!」
連続して放たれる袈裟斬りと左薙ぎを高速で繰り返しながら接近。
破壊されて飛ばされてくる巨大な岩を切り裂きながら接敵を繰り返す。
跳躍し、迫る巨大岩に向けて体を横倒しに回転させながらの回転斬りを用いて切断。
向こう側に隠れていたリリスに向け、回転体勢からの左袈裟斬りを仕掛ける。
「見えてるわ」
巨大な大蛇を体に纏うリリスの体が揺れ、獰猛な猛禽類の如き左足から蹴りを放つ。
左袈裟斬りを放つ手首を蹴り飛ばし、すかさず大蛇が援護攻撃。
「チッ!」
首に巻き付いて圧し折る動きを見せたが咄嗟に右腕を差し込む。
身動きを止められた人修羅に向け、リリスの魔眼魔法が解放される。
「無駄だ!!」
リリスを蹴り込み、反動を利用して蛇の拘束から飛び出す。
「くっ!?魅了魔法が効かないのは…精神操作魔法に耐性を持つマガタマを装備しているからね」
分霊ではあるがリリスと戦ったことがあった人修羅は彼女の得意魔法を知っている。
全体を魅了して支配する『肉体の解放』への防御を固めてきていた。
一回転して着地した距離は近い。
この間合いならば接近戦を得意とする人修羅の独壇場だ。
怨霊剣を左掌内に収納し、接近戦を仕掛ける動き。
迎え撃つリリスもまた、猛禽類の如き鉤爪の足を用いた動きを見せる。
「「ハァァーーーッッ!!!」」
互いの連続蹴り足が交差していく。
リリスが放つのは、獰猛な足先を使って敵を引き裂くヘルファング。
人修羅が放つのは連続して13回蹴りを放つ『キック13』だ。
激しい打撃の応酬。
蹴り足がぶつかり合う衝撃波が周囲を砕いていく。
人修羅の回し蹴りを身を低めて潜り抜け、片手を地につける程の低空後ろ回し蹴りが迫る。
獰猛な鉤爪の如き足指に頭部を引き裂かれかけた時、彼の姿が一瞬で消える。
歩法技であるエア・トリックを用いて後方移動を瞬時に行い、再び踏み込む。
「うおおぉぉーーーッッ!!」
振り上げた拳を放とうとしたが、同じく一瞬で踏み込んできたリリスに顔面を掴まれてしまう。
浮遊したまま高速移動し、彼の体をバーニーの浮彫の残骸に目掛けて叩きつける程の一撃とする。
「がっ!!」
巨大レリーフが完全に砕け、尚も勢いは止まらず神殿跡地を破壊しながら突き進む。
掴まれた手から放つ魔法とは吸魔であり、人修羅の魔力を吸い上げながらの同時攻撃。
「男は女の下になるのが相応しいのよ!!」
曇天が渦を巻く雷雲に目掛けて空を昇り、地上に向けて急降下。
荒野にあった山に目掛けて叩きつけ、山そのものが激しく砕け散る。
それと同時に雷雲から神槍の如き雷の一撃が落ちてきたのだ。
掴まれたまま地面に叩きつけられた人修羅に向けて放ったのは、毘沙門天を殺した一撃。
「ぐあぁぁぁーーーーッッ!!!!」
ジオバリオンの一撃を浴びた人修羅の体が焼かれていく。
精神操作魔法に耐性を持つイヨマンテだが、雷を防ぐ耐性を持ち合わせてはいない。
雷に焼かれ続ける人修羅を掴んで離さないリリスの表情は女の喜びに包まれている。
「この光景よ…この光景こそが私たち女の望みなのよ!!」
女に組伏せられて上に乗られ、成す術なく支配された男の姿。
これこそがフェミニズムの象徴たるリリスが望んだ光景そのものであった。
「まだ…だぁ!!!」
顔を掴んだ右手の手首を掴み、伸びきった右腕の肘に向けて左腕刀を打ち込む。
「がぁ!!?」
鈍い音が響き、右腕を折られたリリスが怯む。
右足で腹部に蹴りを放ち、彼女を大きく蹴り飛ばす反撃を見せる。
起き上がっていく人修羅だが、全身が焼け爛れる程の大きなダメージを負っていた。
「カグツチ塔で戦った時の次元じゃない…これが本気の力ってわけかよ、リリス?」
左手に出現させた宝玉を飲み込み、回復の光を発する。
リリスもまた折られた右腕を左手で掴み、回復魔法を用いて回復していく。
互いが睨み合う中、人修羅が口を開く。
「バーニーの浮彫もまた貴様を示すものならば…共に在る梟はアモン一匹だけじゃない筈だ」
「そうよ。私と共に在るもう一つの梟とは、イルミナティを表すのよ」
「イルミナティを操り、女性が支配する新世界秩序を築き上げる算段かよ」
「私の望みであると同時に時代が望んだものでもある。産業革命によって女性は抑圧されたのよ」
「彼女達の不満を利用し、自由と平等を掲げさせたってわけか…」
「人々は自由と平等の意味すら考えようとしない。だからこそ簡単に扇動することが出来るのよ」
この世に平等という概念は存在するのか?
産まれた時から男女という格差を与えられ、見た目ですら不平等。
産まれる家の裕福さも格差があり、住んでいる地域によって得られるものにも格差がある。
持たざる者として産まれたみたまと十七夜でさえ、恵まれた容姿と豊満な肉体を与えられている。
彼女達を見れば他の恵まれない女性達はその美しさに嫉妬するしかないであろう。
この世に平等という概念は…本当にあるのであろうか?
「
「
イルミナティは唯一神が生み出した万物・自然の在り方を真逆にすり替える。
秩序を司る五芒星を真逆にすり替え、自由を司る逆五芒星にしていくかの如く。
これこそが唯一神への復讐を掲げる反キリスト主義であり、グノーシス主義であった。
「聞きたい事は聞いた。インターバルは終わりとしよう」
人修羅は再び左手に怨霊剣を出現させ、全身から魔力を噴き出す。
右腕を回復したリリスもまた体を宙に浮かび上がらせ、全身から魔力を噴き出す姿。
極限にまで高まっていく2人の魔力が弾け合い、大地震によって大地が引き裂かれていく。
「俺が求めるのは自然であり…秩序だ」
「自由を司る混沌王様ともあろうお方が…LAWの天使と同じ理屈を振りかざす。残念なお方ね」
「自由の中には秩序を望む自由もある。俺はそう信じよう」
腰を落とし足を半歩開いた状態で居合の構えを見せる。
リリスは右手を天に向けて掲げ、雷雲には次々と雷の光が生み出されていく。
「さぁ…男と女の戦いの決着をつけようぜ!!」
「最後に勝つのは…男ではなく女よ!!」
鞘から刀を抜刀し、宙に浮くリリスに仕掛ける技とは次元斬。
相手の位置を囲む程の斬撃の嵐を放つが、天高く飛翔して回避したリリスが反撃に転ずる。
放つ魔法とは荒れ狂う天雷が如き魔法攻撃である『マハジオダイン』の一撃。
次々と落ちてくる雷の槍を掻い潜り、リリスに迫る人修羅。
2人の戦いは極限の神域へと高まっていくのであった。
――――――――――――――――――――――――――――――――
「「ハァァーーーッッ!!!」」
天に浮かぶリリスは頭上に生み出す光球を地上に向けて投げ放つ。
対する人修羅は右手を頭上に掲げ、光が収束した右拳を地面に叩きつける。
互いに放った一撃とは、メギドの火を究極に高めた一撃たるメギドラオン。
互いの極限魔法が接触し、二発の核爆弾が爆ぜる程にまで膨らむ光の爆発現象を生む。
大地が大きく削られていき、リリスが生み出した巨大な異界領域を削り取る。
岩盤は砕け散り、光の爆発によって巻き上げられていく光景が続いていく。
巻き上げられていく大地に立っていたのは人修羅の姿。
「うおおぉぉーーーーッッ!!!」
飛び交う岩盤大地を跳躍しながら天に君臨する夜の女王へと目指す。
「もう試練で終わらせるつもりはない!!男に脅かされた女の尊厳をかけて滅ぼして見せる!!」
男に脅かされる女はダメで、女に脅かされる男は構わないというダブスタを吐き捨てるリリス。
エゴに囚われれば最後、他人のことなどどうでもよくなる。
客観性がなくなり、自分の言葉の辻褄さえ無視出来てしまう。
客観性のない主観性はこうも成り立たないのだ。
両手から魔力の波動を放つ。
人修羅の周囲に巻き上げられていく岩盤大地が操られ、彼を圧し潰さんと左右から迫りくる。
超能力魔法の最上位であり、全体に向けて極大超能力攻撃を仕掛ける『マハサイダイン』だ。
左右から迫る岩盤大地。
彼は鞘に納められた刀を構えていき、右手で刀を引き抜きながらの円運動。
円環を描く斬撃が周囲に放たれ、左右から迫る岩盤大地が切り裂かれる凄まじい光景。
『時空烈閃』と呼ばれる剣技を放った人修羅は片膝立ちから立ち上がり、さらに跳躍。
刀を納刀し、右手をかざしながら魔法を放つ。
リリスの周囲に竜巻が発生していく。
「バカね!!風を司る悪魔の私に風魔法が効くとでも思ったの!」
魔法ダメージなど最初から期待してはいない。
竜巻を発生させたのはリリスの視界を封じるため。
竜巻の渦を突き破って現れたのは、ドラゴンキックを放つ人修羅の姿。
「ぐふっ!!?」
腹部に直撃を受けたリリスが竜巻を突き破り、尚も蹴り飛ばされていく。
『流星脚』とも言える一撃を腹部に決めたままの人修羅の態勢が一回転。
リリスの頭上から迫るのは踵落としの一撃。
「アァァーーーッッ!!!」
『月輪脚』が頭部に打ち込まれたリリスの体が遠くの彼方にまで蹴り飛ばされる。
メギドラオン爆心地から大きく離れた廃墟に叩きつけられたリリスの体が落石に埋まっていく。
完全に埋まってしまったが、瓦礫の山から魔力が噴き上がり落石を周囲に弾き飛ばす。
中から現れたのは、オールバックにした髪が蹴りの一撃で下りてしまっているリリス。
頭部から血が流れ落ちていく顔が憤怒に歪み、男に向けたおぞましい呪いの言葉を紡いでいく。
「…
自分の正義のためならここまで暴力を正当化してくる狂気。
女性社会や同性愛社会を守ると言うフェミニズムの価値観とは、
「ア”ァ”ァ”ァ”ァ”ーーッッ!!アダム(男)は殺してやるぅぅぅーーーッッ!!!」
ヒステリーな叫びを上げる女の元まで迫ってくるのは、豪熱放射の一撃。
マグマ・アクシスの一撃を回避したリリスが浮遊しながら一気に加速。
風魔法の応用によって高速で迫りくる人修羅に向け、右手を振りかぶりながら突進してくる。
右掌には全魔力を収束させたメギドラオンの光。
これを直接ぶつけることで勝負を決める腹積もりのようだが…。
「男を憎む女達に虐げられてきた男達の無念…」
疾走しながら親指で鍔を弾き、右手で柄を握る。
鋭い眼差しを向ける地の果てからは飛翔しながら迫りくるリリス。
「…男の俺が晴らして見せる!!」
互いの全力の一撃が今、交差する。
人修羅として生きる男はリリスとして生きる女を斬り抜け、背中を通り超えている。
メギドラオンの一撃を振りかぶったリリスは人修羅を背にしたまま動けない。
「あっ……あぁ……」
リリスの首に巻き付いている大蛇の体が切断されていく。
右手に収束してあったメギドラオンの光が消えてしまう。
血払いを行い、回転納刀を行う男の口から言葉が出てくる。
「…毘沙門天達の無念と怒り、貴様の体に確かに刻んだ」
鍔が鳴る音と共にリリスの腹部から一気に血が吹き出す。
「どうして…わたし達…女は…」
自重によって体が倒れていき、胴と下半身が切断されてしまう。
「男に…勝てないの……?」
アダムを憎み、アダムとエヴァの愛の形を憎んだ女が辿り着いた最後の光景。
男と女の戦いは…リリスが憎んだアダム(男)の勝利で終わりを迎えようとしていた。
――――――――――――――――――――――――――――――――
下半身が砕け散り、MAGの光と化す。
負けを認められないリリスの上半身は両手で立ち上がろうとするがひっくり返すので精一杯。
仰向けに倒れ込んだリリスの上半身にも亀裂が入っていく。
もう長くはないのだ。
「ハァ……ハァ……」
足音が近づいてくる。
「ここで果てるわけには…百合の名をもつ私は…魔法少女達の…愛しい娘達の…望みの象徴よ…」
近づいてくる足音が止まる。
首を向ければ、トドメを刺しにきた人修羅の姿。
「貴様が魔法少女達の象徴だと?
怨霊剣を引き抜き、逆手に持って構える。
苦痛によって顔を歪めるリリスは振り下ろされる断罪の刃を見て、女として言葉を紡ぐ。
「女である私はまた…男の下にされるのね…。どうして女は…男と対等になれなかったの…?」
唯一神によって最初の女として生み出された存在の嘆きの言葉が空しく響く。
無念を抱えたまま静かに目を閉じる。
男が下す断罪の刃に身を任せる覚悟を示してしまう。
その光景はある意味、
女が男を無抵抗に受け入れる態度を示す。
その光景は愛という自己犠牲の証であるセックスと似ていた。
「……リリス」
無抵抗に男を受け入れようとする女の姿を見て、男の脳裏には美雨とななかの言葉が浮かぶ。
「利他的な愛は…人間の器が試される。愛は証を示さなければ…誰も信じない…」
目を瞑って死を受け入れる覚悟を示していたが、鍔の鳴る音が響いたことにより目を開ける。
「……なぜ、トドメを刺さないの?」
疑問を投げかける女に顔を近づけるため、右手に持ち替えた刀を杖にして片膝をつく。
左掌内に出現させたのは悪魔の傷を完全回復させる道具であるソーマだった。
「男の人生には…
残りわずかとなった最後のソーマを敵に譲り渡す態度を示す男。
その姿を見た女は苦痛に顔を歪めながらも憎しみの言葉を放つ。
「バカにしないで!!私にとっては敵である男に情けをかけられるぐらいなら…死を選ぶわ!」
頑なな態度を示す女に向け、男は疑問の言葉を投げかける。
「お前にとって敵であったとしても…アダムである最初の男はお前の事を敵だと思っていたか?」
「えっ…?」
「男って生き物はな…女をモノにしたい生き物だ。独裁的所有欲だと言われるが…そうじゃない」
「なら…何だと言いたいのよ…?」
リリスにはアダムが何故彼女を拒絶したのか分からない。
彼女はただ平等を叫んだだけ。
女の我儘を叫んだだけ。
夫婦だって我儘を言い合う光景なら日常的に見かけるはずだ。
その光景の何処に敵意を感じるというのだろうか?
「男だってな…女の愛が欲しいんだ。愛は自己犠牲を示すしか証を立てることが出来ない」
「愛は…自己犠牲……?」
「結婚式の仕事を手伝っていた時、佐倉牧師は誓いの言葉を語ったことがある」
――健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも。
――富めるときも、貧しいときも妻を愛し、敬い、慰め合い、共に助け合い。
――その命ある限り
「男がこの誓いを達成するにはな…女の努力を必要とする。証を示せば男も尽くしてくれる」
――真心を持って男に尽くし、自分を押し殺す自制心がなければ…夫婦は成り立たないんだ。
その言葉を聞いたリリスの両目が見開いていく。
彼女の記憶にフラッシュバックしたのは、アダムとのセックス中に喧嘩した時の記憶。
創成神話の時代において、リリスはアダムと言い争いになった。
セックスにおいて上か下かを競い合うような喧嘩をしてしまった。
リリスは我儘を受け入れない男とはセックスしたくないと駄々をこねた。
その時において、アダムは怒りの感情をリリスに叩きつけたのだろうか?
「アダム……わたしは……」
最初の男として産まれたアダムは、ただただ困惑した表情を浮かべていただけ。
リリスに敵意や憎しみをぶつけるような態度を示してなどいない。
リリスが逃げ出してしまった事に慌ててしまい、唯一神に助けを求めようとしただけだった。
「敵なんて何処にもいない、敵は己自身が生み出すもの。俺も過ちを犯し…お前も犯しただけだ」
――やり直そう、リリス。
――いっしょにやり直すんだ。
「あっ……?」
リリスに聞こえたのは尚紀の声であると同時に…かつて愛した男の声としても聞こえてくる。
男を堕落させ、その権威まで貶め続ける敵となった女に示す…自己犠牲の言葉。
怒りの感情を飲み下し、女に向ける愛を示す者となろうとする。
彼もまた常盤ななかと同じく、善悪を超える者となっていく。
中庸(NEUTRAL)の道を体現しようというのだ。
男の愛という自己犠牲は女に示された。
女の心にもまた、
「アダム……私…わたしぃぃ……」
両目に大粒の涙が浮かび、霞んだ瞳のまま男である尚紀に向けて手を伸ばしていく。
掠れた目には、人修羅の姿が映っているわけではない。
「あなたのこと…ずっとまっていたのよ…。永遠の…パートナーとして……」
リリスの目に映っていたのは…違う男の姿。
サイバースーツを纏い、右手には刀を持ち、左腕にはハンドヘルドコンピュータを装備する男。
リリスにとってはアダムの生まれ変わりだと信じた男がかつていた。
違う世界においての記憶が蘇り、男である尚紀の姿が重なって見えてしまう。
リリスが愛した男…
「リリス…早くソーマを飲み込め!命が持ちこたえられないぞ!!」
ひび割れていくリリスの体。
もう時期彼女も死ぬだろう。
命を繋ぎ留めろと男に叫ばれる女は静かに首を横に振る。
「いいのよ…。それは…貴方の命を繋ぎ留めるために…使って頂戴ね…」
「だが…お前は…!!」
「私はね…もう満足したわ。だって……だって……」
――女の私が…一番欲しかったモノを…男(アダム)の貴方が……示してくれたから。
リリスの体がついに砕け散り、莫大なMAGを放出。
「リリスーーーッッ!!!」
男を憎み続けた女が男の愛を思い出す。
女が欲しかったモノを示してくれた男に向ける死の間際の表情は…安らぎに満ちていた。
まるで愛した男に抱かれた女の顔のようにも見えたかもしれない。
女に先立たれ、男はまた独り残される。
この世界で愛した女性を失った時の感情が蘇り、リリスの名を叫んでしまった男の慟哭。
安らぎを感じさせる優しい感情エネルギーが天に昇っていくのを静かに見守る姿を残す。
「リリス……」
周囲の景色が変化していき、元のVIPルームへと戻っていく。
感情が高ぶり過ぎたのか、彼は右腕で目元を擦る。
「男の俺は女達に向けて……何をしてやれる?」
茫然としていたが、強大なアモンの魔力と仲魔達がぶつかり合う魔力を感じとる。
答えを出せないまま尚紀は走り出していった。
アダムとリリスの戦いは時代を超え、再び蘇ることとなった。
この戦いに勝者など何処にもいないだろう。
残されたのは…男女の愛。
互いが互いを尊重し、
友情出演として真・女神転生主人公のふつお君が一瞬登場するお話でした。
ふつお君と人修羅君は真・女神転生4Fでの金剛神界で縁がありますので、ふつお君の役目を人修羅君が肩代わりする形として描きました。