人修羅×まどマギ まどマギにメガテン足して世界再構築   作:チャーシュー麺愉悦部

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時女静香編
183話 シオンの丘


季節は去年の11月頃にまで戻る。

 

神浜市で出会った人々との別れを終えた時女静香達は帰路につくため電車に乗り込む。

 

彼女達の故郷である霧峰村は神浜から遠く離れており、電車を乗り継ぎ次の駅を目指していく。

 

時女の里に向かうのは時女本家組である時女静香と土岐すなおと広江ちはる。

 

そして分家組である南津涼子と青葉ちかまで何故か帰郷せよとの命令が下ったようだ。

 

それについて涼子とちかは納得しておらず、不満そうな顔つきのまま窓の景色を見つめている。

 

ちかが隣の席を見れば寝息を立てる静香と憂鬱そうな顔をしたすなおとちはるがいるようだ。

 

「やれやれ…我らの未来の大将ときたら、肝っ玉が据わったような態度でいらっしゃる」

 

「静香さん…里に戻るのを怖がらないんですかねぇ?私は凄く怖い…気が休まらない程に…」

 

「長が慌ててたんじゃ、下のあたしらだって不安になる。その点については度胸があると思う」

 

「でも…他の2人は私達と同じ気持ちのようですね。ずっと俯いたまま無言だし…」

 

「すなおも思うところがあるんだろうけど…いつも天真爛漫なちはるまであんな態度か…」

 

ちはるの様子が変だったのは駅のホームにいた頃からだと涼子とちかは気が付いている。

 

心配になったのか、席が空いているこっちに来るかとちはるに聞いてみる。

 

「え…えっと……」

 

「行って構わないですよ。寝てる静香の面倒は私が見ておきますから」

 

「いいの?その…雰囲気が暗いすなおちゃんと一緒にいるのが嫌という訳じゃないからね…」

 

「そんな風には思いません。私は大丈夫だから隣に行ってもいいですよ」

 

「ごめんね…すなおちゃん」

 

席を立ち上がり、涼子とちかの隣に座る。

 

涼子は視線を隣に向け、窓の景色に視線を向けるすなおの様子を確認してから小声で話し出す。

 

「随分と元気が無いみたいだけど…何をそんなに心配してるんだ?」

 

「えっ…?それは…その…」

 

「駅のホームにいた時に…ちはるさんの態度が急に変になったのには気が付いてます」

 

「そうだった…?私…別に普通だったと思うけど…」

 

「隠すなって。あたし達だって静香と一緒に里に呼び出されたのには不信感を募らせてるんだ」

 

「分家の私達まで静香さんの里に帰れだなんて…変です。それについて、何か心当たりでも?」

 

それを問われたちはるの顔が青ざめていき、出てくる言葉もしどろもどろになってしまう。

 

「なぁ…ちはる。やっぱりお前さん…何か知ってるんじゃ…」

 

「や、やめてよぉ!取り調べを受けるような事なんて…私は何もしてないから!」

 

「あっ…ちはるさん!」

 

声を荒げたちはるが立ち上がり、逃げるようにしながら静香とすなおの席に戻ってしまう。

 

何事かとすなおは涼子達に顔を向けるのだが、彼女達は首を横に振るばかり。

 

「あの2人に何か言われたんですか…ちゃる?」

 

すなおの言葉も聞こえないかのような態度を示すようにして窓の景色に顔を向けてしまう。

 

そんな彼女を見て、ちはる以外の仲間達は彼女が何かを隠していると思ってしまうようだ。

 

(みんなには言えない…。私だって…あの光景が何だったのか…分からないもん…)

 

窓の景色を見ながらちはるは思い出していく。

 

彼女の脳裏に浮かんだのは今年の8月に起きた任務の時の光景であった。

 

♦

 

季節は去年の8月頃に戻り、尚紀が神浜市に引っ越しを行うために奔走していた時期であろう。

 

静香達はヤタガラスから受けた重要任務のため、朝早くから中央区にまで足を運んでいる。

 

「うわ~…これがセントラルタワーなんだ?大きいね~初めて来たよ~♪」

 

整備された敷地内にウキウキ気分で入っていくちはるに対し、静香とすなおがたしなめてくる。

 

「コラ~ちゃる!遊びに来たわけじゃありませんからね~!」

 

「私達はヤタガラスから重要任務を受けた身です。気を引き締めないとダメですよ」

 

「は~~い!!」

 

心配もどこ吹く風か、彼女は高層ビル敷地内を回りながらビルを見上げてはしゃいでいる。

 

「はぁ…あんな態度じゃ観光客にしか見えないわよ」

 

「でも、その方が私達にとっては都合がいいかもしれませんよ?」

 

「それもそうね。私達は隠密任務を受けているわけだし、それでいきましょう」

 

「ヤタガラスから来られるという方々の到着まで大分間があります。その間に確認しましょう」

 

「じゃあ涼子とちかも呼んでから作戦会議ね」

 

敷地内にあった休憩所に集まった静香達が椅子に座って向かい合う。

 

机の上に置かれたのはセントラルタワー周辺地図とビルの内部案内図であろう。

 

「今日神浜に来られるというヤタガラスの最重要人物の警備任務、それが我々の役目になるわ」

 

作戦会議を行う静香であったが、分家組である涼子とちかは冷ややかな視線しか向けてこない。

 

「なんで分家組のあたしらまで…ヤタガラスなんぞの護衛に回されなきゃならないんだよ?」

 

「そうですよ!私達にだって日常でする事があるし…振り回されてる気分です」

 

「不満があるのも分かるけど、ヤタガラスは人材不足なの。だから魔法少女も必要とされるの」

 

「連中の尻拭いを末端にまで回されるってわけか。つくづく泣けてくるね~…」

 

「文句なら任務が終わってから私が聞くわ。それじゃあ、私達の配置から説明するわね」

 

静香が人員配置について説明を行ってくれる。

 

後から合流するヤタガラスの護衛達はセントラルタワー内部の警備を担当する。

 

時女一族はタワー周辺警備と地下駐車場警備を任されているようだ。

 

「ズルい!!あたしらは8月の炎天下に晒される下で警備任務をやらされるなんて!」

 

「涼しそうなのは…地下駐車場の警備だけみたいですね…」

 

目を細めながら静香を睨む涼子とちか。

 

その目には地下駐車場に行かせろという無言の脅しが込められているようだ。

 

分家組に無理をさせる静香も嫌な汗をかきつつ、皆を無理やり納得させる提案を行ってくれる。

 

「そ…それじゃあ!地下駐車場警備に向かう子はジャンケンで決めましょう!」

 

ジャンケンの結果、地下駐車場に行くことになったのは意外な人物である。

 

「わ~い!涼しい地下駐車場に行くのは私で決まりだね~♪」

 

勝ち残ったのはちはるであり、炎天下で働く事になる涼子とちかはガックリ項垂れる始末。

 

こうして人員配置も決まった事により、静香達は行動を開始していく。

 

耳に身に付けているのは無線機であり、ヤタガラスの護衛達と連絡を取り合うようだ。

 

少ししてヤタガラスの護衛達が乗車した車の列が地下駐車場に入っていくのを確認する。

 

彼らと連絡を取りつつ、今回の警備任務を完遂するため静香達は気を引き締めるのだ。

 

北側警備を任されている静香とすなおは周辺に視線を向けながら警戒感を強めていく。

 

「もう直ぐ11時です…そろそろあの御方達が到着される頃合いですね」

 

「そうね…それよりすなお、無線機はこのぼたんを押せば通話が出来るのよね?」

 

「ハァ…機械音痴な静香に無線機を渡してくるヤタガラスの情報収集力も痴れてますね」

 

「すなおが隣にいてくれて本当に良かったわ。それよりも…三羽烏様はどんな方なのかしら?」

 

「私達と同じく女性だとしか聞かされてませんね…神道の祭祀を司る大本ですし…」

 

「神道は女が祭祀を行う宗教だったと聞かされたわ。神道の祭司長は天皇陛下ではないのね…」

 

「戦後の宮中祭祀は天皇陛下が私的に執り行う儀式です。それとは別の祭祀長がいたのですね」

 

「天皇は太陽を司る皇帝…祭司とは本来、月(・)の(・)存(・)在(・)が(・)執(・)り(・)行(・)う(・)って母様から聞いた事がある」

 

「では…三羽烏様達もまた、月の一族なのやもしれません…」

 

無駄口を叩いていると無線機から連絡が入り、静香達が視線を道路に向けていく。

 

見えたのは黒塗りの高級セダンが車列を作って走行してくる光景である。

 

車列の中央には内部が見えない高級リムジンが走行しており、静香達も息を飲み込む。

 

「こちらは異常ありません」

 

静香が無線機を用いてタワー内部に設置された警備指揮所に連絡を入れる。

 

静香達に見守られる中、ヤタガラスの重要人物達を乗せた車列は地下駐車場へと下っていった。

 

「今回の護衛任務にはヤタガラス直轄のデビルサマナー達が来てくれている。心強いわね」

 

「私達も負けてはいられませんね」

 

「勿論!時女一族本家の娘として、三羽烏様からお褒めの言葉を貰うぐらいに活躍しないとね」

 

「まぁ、有事になったら…それはそれで困るとは思いますけど」

 

「うぅ…何事もなく終わったらお疲れ様でした~…で、終わりそうな予感がするわ…」

 

大きな溜息をつきながらも静香達は警備任務を続けてくれる。

 

涼子とちかから念話による文句が聞こえてくる中、彼女達は滞りなく警備任務を全うするのだ。

 

日も沈んできた頃、車列を見送る静香達は指揮所から任務完了の連絡を受ける。

 

解放された静香達は合流するのだが、その顔には戸惑いの表情が浮かんでいる。

 

「ちゃる…何処に行ったのかしら?念話も無線も通じないだなんて…」

 

「上に報告して警備していた地下駐車場を見てもらいましたが…異常はなかったそうです…」

 

「何かあったと考えるのが自然だよな…ヤタガラスは胡散臭いし、あたしは信用してないよ」

 

「ちはるさん…無事だといいんですけど…」

 

静香が左手を掲げてソウルジェムを出現させる。

 

もう一度魔力探知を行った時にちはるの魔力を感じ取れた事で安心したようだ。

 

「ちゃる!何処に行ってたのよ!?」

 

魔力が近寄ってくる方向に皆が視線を向ける。

 

地下駐車場方面から歩いてくるのは俯いたまま顔を上げない広江ちはるである。

 

静香達が集まってくる中、彼女は俯いた顔を上げようともしない。

 

「どうして連絡してくれなかったんですか?みんな心配してたんですよ?」

 

「え…えっと…その……」

 

「ヤタガラス連中に何かされたのか?もしそうなら…あたしは絶対に許さない!」

 

「私達はちはるさんの味方です。正直に話してくれて大丈夫ですよ」

 

優しい言葉をかけてくれるが、しどろもどろな態度しか返せない。

 

(ごめん…みんな……)

 

顔を上げたちはるは無理やり笑顔を作り、片手で後頭部を掻く仕草をしながらこう告げる。

 

「えっとね…私はその…警備中にトイレに行きたくなって…便座が温かくて…寝てたみたい」

 

地面に倒れ込むぐらいの反応を示す仲間達に照れた表情を返すちはる。

 

起き上がった静香の目が据わり、クワッとした顔つきで怒鳴ってくる。

 

「この…おたんこなす~~っ!!!」

 

ちはるのこめかみを両拳でグリグリと制裁行為を始めてしまい、ちはるが悲鳴を上げる。

 

「いたいいたい~~!!ごめんなさ~~い!!」

 

制裁が続く光景を見守る仲間達は呆れながらも彼女の無事を喜んでくれているようだ。

 

帰路につく中、ちはるは顔を俯けながらも内心では混乱が続いている。

 

(あの光景は…何だったんだろう?悪い夢の世界に迷い込んだとしか…思えないよぉ…)

 

歩きながら彼女は思い出してしまう。

 

思い出す光景とは現実感を全く感じられない不可解な景色であった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

中央区のセントラルタワーは神浜市を象徴する高層ビルであり複数の施設が入っている。

 

下層部分は観光メインとなっており、中層辺りからオフィス区画となっているようだ。

 

この区画に入っている企業とはIT大臣を務める門倉をCEOとするアルゴンソフト社であろう。

 

上層には展望フロアがあり、最上層に位置するフロアは関係者以外誰も知らない区画である。

 

秘匿されたエリアに入っていくのは3人の女性と側仕えを務める巫女達。

 

前を歩く3人の女性こそ、ヤタガラスの最重要人物である裏天皇と呼ばれる三羽鳥であろう。

 

顔はヤタガラスを象徴する八咫烏紋が描かれた雑面布で覆われており、表情は伺えない。

 

彼女達の美しい黒髪は異常なまでに伸びており、後ろを歩く巫女達が髪を持ち運ぶ程である。

 

女性の髪には霊力が宿ると言われており、三羽鳥に生まれた女性は生涯髪を切る事はない。

 

装束は紅指袴の上に白衣と鴉が描かれた千早を着た身なりをしているようだ。

 

回廊を歩いていくのだが、そこはまるで宗教施設かと思わせるような外観をしている。

 

フリーメイソン施設と酷似した内部を超えていくと、そこにあったのは秘密儀式を行うフロア。

 

両開きの扉が開くと内部はフリーメイソンが入団儀式を行うロッジと同じ外観をしている。

 

出迎えたのは総理大臣を務める八重樫とアルゴンソフト社CEOでありIT大臣の門倉の姿。

 

彼らはモーニングコートを纏っており、最も格式高い正礼装をしている。

 

総理とIT大臣は深々と頭を下げ、三羽鳥達が片手を上げると頭を上げていく。

 

「奥の院より遠路はるばるお越しいただき、恐悦至極に御座います…三羽鳥様」

 

太った老人である八重樫総理の顔には冷や汗が滲み出ており、緊張を隠せない。

 

天皇陛下と謁見するよりも困難な存在と面会を許される経験など彼にはなかったからだろう。

 

<<よきにはからえ>>

 

三羽鳥である3人の女性は動きも喋りも3人揃って行ってくる光景は酷く不気味に見える。

 

まるで自分の分身を両隣に立たせているかのような不自然さを周りに与える存在のようだ。

 

それ以降は口を開かず、側仕えの巫女の代表者である女性が代わりに受け答えを行ってくれる。

 

「三羽鳥様にとって、下界は空気が澱んでおります。御体に触りますのでお早くお願いします」

 

「承知しました。我々がザイオンを御案内致しますので…どうぞこちらへ」

 

総理とIT大臣が先導するようにして部屋を出て行く。

 

秘密フロアにまで昇れる専用エレベーターまで向かう道中、門倉は心の中でこう思う。

 

(八咫烏は三(・)本(・)足(・)を(・)持(・)つ(・)神(・)…三羽鳥は3人の女性…しかし、三本足があっても烏(・)の(・)胴(・)体(・)は(・)一(・)つ(・))

 

三羽鳥について色々思うところもあるようだが、それ以降は考えないようにする。

 

深入りすればたとえ門倉であっても命は無いのだろう。

 

セントラルタワーには地下駐車場が整備されている。

 

広大な地下駐車場は地下三階まで続いており、ここが広江ちはるの警備エリアになる。

 

「駐車場まで冷房が効いてるわけじゃないけど、日差しが照り付けてこない分マシだよぉ」

 

広い駐車場エリアを歩きながら不審な人間がいないかを警戒していく。

 

警備任務を張り切っているようだが、急に腹痛を感じ出したちはるの表情が苦しみだす。

 

「うぅ…暑いからって作戦会議中に冷たいジュースを飲み過ぎたよぉ。お腹痛い…」

 

地下三階を回っていたのを中断してトイレに向かい出す。

 

地下三階はタワーで働く人々が利用する業務エリアであり、人通りは見かけない。

 

「ふぅ…トイレが混んでなくてよかった~」

 

用を足しながら安堵の溜息をつく。

 

スマホで時間を確認するが、まだお昼を回って間もないため仕事はまだまだ続くのだ。

 

お腹が痛くなくなるまでスマホを弄っていたようだが手から滑り落ちてしまう。

 

スマホを拾う時、視線が便座の横に向く。

 

「も~…生理用品入れぐらいちゃんと片付けといてよぉ~」

 

いっぱいになっていた生理用品入れを見た彼女は溜息をついてしまう。

 

トイレから出たちはるが掃除用具入れを開けて中を物色していた時、人の気配を感じる。

 

「あっ…誰か来る」

 

勝手に掃除道具を漁っている不審者だと誤解されかねないので扉を閉めて姿を隠す。

 

女性用トイレに入って来たのは黒スーツとサングラスを身に付けた女性である。

 

タワー職員の身なりでないところから自分と同じく警備任務に就く者だと彼女は判断する。

 

扉の隙間からそっと向こう側を見ていると黒スーツの女は手を洗い出したようだ。

 

「ハァ…あんなオンボロ車の運転手に選ばれるだなんて…計器のランプも所々点かないわよ」

 

ヤタガラスも色々と財政難なのか、切り詰めるところは切り詰められているようだ。

 

調子が悪くなったエンジンを色々と整備したため汚れてしまった手を洗い続ける。

 

溜息をついた黒スーツ女が周囲を見回す。

 

女性用トイレの扉は全て開いており、誰もいないものだと判断する。

 

愚痴を零すかのようにして、誰もいないと思われる女性用トイレで独り言を語ってしまう。

 

「人(・)類(・)は(・)も(・)う(・)直(・)ぐ(・)滅(・)ぶ(・)…そのために用意された箱舟をこの目で見れるだなんて…光栄よね」

 

(えっ……?)

 

何かの冗談に聞こえてしまうがタチが悪過ぎる。

 

動揺してしまったちはるが後ろに後退りした時、バケツに踵をぶつけてしまう。

 

「誰かいるの!!?」

 

黒スーツ女が慌てて後ろを振り向くと見えたのは扉が開きっぱなしの掃除用具入れである。

 

「不味い…聞かれてしまった!サマナーじゃないただの構成員だから…気がつけなかった!!」

 

自分の不手際を呪いながら女性用トイレから黒スーツ女が出てくる。

 

「何処に消えたの!?出てきなさい!!」

 

腰のホルスターから拳銃を抜いた黒スーツ女が辺りを警戒しながらちはるを探す。

 

「ど…どうしよう…」

 

車の影で身を潜めているちはるであるが、魔法少女に変身する素振りは見せない。

 

ヤタガラスの構成員を襲えば静香達に大迷惑がかかると分かるからだ。

 

どうにかやり過ごそうとするが、足音が近づいてくる。

 

「逃げなきゃ…!」

 

車を縫うようにして逃げていくが、他には誰もいないため足音が響いてしまう。

 

「出てきなさい!!抵抗は無意味よ!!」

 

走ってくる追手の足音が近寄ってきたちはるは慌ててしまい、冷静な判断が出来なくなる。

 

「このままじゃ…どうしよう!?」

 

万事休すかと思ったが、手を置いていた方に視線を向ける。

 

「この車…トランクケースが開いてる?」

 

近寄って来た追手が銃を向けるが、そこにちはるの姿は見えない。

 

「何処に消えたの…?」

 

ただの人間に魔法少女の魔力を追う力はないため、警戒しながら歩いていく。

 

年季が入った黒のセダンを通り超えていき、足音が遠ざかってしまう。

 

それを待っているのは修理工具が入ったトランクケース内に身を潜める者なのだ。

 

(早く何処かに行ってよぉ…)

 

ちはるは追手が諦めるまでここで籠城戦を行う覚悟を決めてしまう。

 

聞き耳を立てていたと思われる不審者を完全に見失ってしまったヤタガラス構成員は焦り出す。

 

「不味いわ…!ここで私の不手際が発覚したら…ザイオンへの移住権を剥奪されるかも…!」

 

青ざめた顔をしながら震えていた時、無線機から定時連絡の声が聞こえてくる。

 

慌てて対応する黒スーツ女であったが、どうやら見なかった事にしたようだ。

 

<<もうじき三羽鳥様方が駐車場に到着される。急いで準備しろ>>

 

「りょ…了解しました」

 

駆け足で走って行き、年季の入った黒のセダンに乗り込む。

 

(嘘でしょ!?)

 

ちはるが乗り込んだ黒のセダンとは追手が乗ってきた車であったようだ。

 

出るに出られなくなってしまったため、息を殺して耐え忍ぶしかない。

 

少しした後、大勢の足音が近寄ってくる。

 

他の構成員達を乗せた黒スーツ女が車のエンジンを点ける。

 

計器のランプが点いていくのだが、所々明かりが点いていない。

 

そのためトランクケースが開いているという事に気がつかない醜態をさらに晒す事態になる。

 

(ウワァァーーッ!!車が走り出しちゃったよぉ~~!)

 

三羽鳥や総理大臣を乗せた車列が地下駐車場三階の奥に向かって走行していく。

 

ちはるが乗った黒のセダンは最後尾を走っており、彼女は逃げ出すチャンスを伺っている。

 

(あれ?こっちの道は行き止まりだったと思うけど…)

 

車列が走って行くのは地下駐車場の壁かと思われた場所。

 

車列が停止した事で逃げ出すチャンスだと思ったちはるがトランクルームの扉を薄く開ける。

 

人気が無いのを確認してから逃げ出そうとした時、何かが移動している音が聞こえてくる。

 

「えっ…?何が外で起きてるの…?」

 

動揺していたら車列が動き出し、逃げ出すチャンスを逃した彼女は再びトランクを閉める。

 

薄く開いた外の景色しか見えないちはるだが、自分達が移動していくエリアに疑問を持つ。

 

(この辺りにも道があったの…?まさか…隠し通路?)

 

車列が地下に向けて移動していく光景が続く中、ちはるは息を殺し続ける。

 

存在を隠された広大な空間は大型トレーラーが何台も収納出来る程の奥域があるようだ。

 

(また止まった…?今度は何が始まるの…?)

 

トランクの扉を少しだけ開けてみる。

 

彼女が目にした空間とは超巨大エレベーターと思わしき場所。

 

(ま…待って!私は下ろさせて!!)

 

飛び出す間もなくエレベーターが地下へと下り始める。

 

不安に怯えるしかないが、外が気になるのかトランク内から外の景色を見つめ続ける。

 

まるでSF映画世界に迷い込んでしまったような気分に浸っていた時だった。

 

「えっ…?」

 

彼女にとっては信じられない景色が広がり出す。

 

超巨大エレベーター内から見えてきた景色とは、広大な大都市。

 

地底深くに隠されていた大都市の光景こそ人類が生き残るために用意された箱舟の一つ。

 

この地こそ神の山と呼ばれる都市であり、シオンの民と隷属する民のみが生き残れる選民都市。

 

聖書においてはシ(・)オ(・)ン(・)の(・)丘(・)と(・)呼(・)ば(・)れ(・)し(・)ザ(・)イ(・)オ(・)ン(・)であった。

 

♦

 

数十年前、鶴乃の祖父の元にジャーナリストがやってきて祖父からこんな話を聞きだす。

 

祖父の父であり由比財閥当主であった人物は神浜市の開発計画に心血を注いでいたという。

 

それは日本人である大和民族の未来を救う為でもあったと言葉を残す。

 

彼が口にしたのはザイオンという単語。

 

ザイオンとは旧約聖書に出てくるエルサレムの聖なる丘。

 

かつてのダビデ王とその子孫が王宮を営み、宮殿を立てて政治の中心にした地の名称であろう。

 

取材に訪れた人物はザイオンの支配者について聞きたかったが祖父は口を閉ざしている。

 

年月が過ぎ、取材に訪れた人物から送られたカセットテープが鶴乃達の元に届く事になる。

 

取材に訪れた人物の元まで訪れたのだが、その人物は口封じの為に殺されてしまう。

 

それ程までの機密とされるザイオンと呼ばれる秘密都市計画の全様が見えてしまう。

 

巨大エレベーターが降下する中、透き通った強化ガラスの向こうに見えるのは大都市の景色。

 

半球形の超巨大空洞に建設されていたのは巨大な摩天楼都市。

 

色鮮やかなネオンが輝き、蜘蛛の巣のように張り巡らされた未来的なモノレール等も見える。

 

遠くの景色を見れば海を思わせる湖も広がっており、海沿いの都市のような外観をしている。

 

「え…?なに…ここ?私…何処に連れてこられたの…?」

 

まるでサイバーパンクの世界にでも迷い込んだかのような景色に対し、ちはるは混乱していく。

 

そんな彼女などお構いなく、地下都市に到着した車列が次々と発進する。

 

摩天楼を縫うように張り巡らされた高速道路を走る車内では都市のプレゼンが行われている。

 

「ザイオンは人工的に気象制御が行われます。現在は夜を模してますが天気は自在に変化する」

 

三羽鳥が乗るリムジンの運転手の後ろ側には大きなモニターがあり、門倉の姿が映っている。

 

彼がモニター内で説明する内容とは以下の通りだ。

 

大都市を中心として横坑を結び、都市に必要な資源を製造するプラントが複数用意されている。

 

それらは工業プラント、農業プラントといった名称で呼ばれているようだ。

 

走行している大都市は政治・金融・経済が集う中心コロニー都市として機能する予定だという。

 

「これらのザイオンは世界に13都市建造されており、ここが人類の新たな国となります」

 

門倉のプレゼンは続くのだが、三羽鳥達は黙して語らずの態度が続く。

 

横の席に控えている巫女が代わりの受け答えを行うようだ。

 

「21世紀の人類は都市国家時代に逆戻りするわけですね。都市の稼働率はどうなってます?」

 

「既にザイオン都市は完成しており、日本の政治・金融・経済は移転を開始しております」

 

「これで地上が滅びようとも、我が国は存続し続ける事が出来るというわけですか?」

 

「生き残れるのは秦氏一族と政治・経済界のエリート。そして我々に隷属する奴隷達のみです」

 

「我々秦氏企業群も移転を急がせています。来年の夏が終わる頃には完了しているでしょう」

 

「世界の13都市には100年分の資源が備蓄されている。地上が滅びようとも種は存続する」

 

「生き残った我々こそが地上の神々となる。荒廃した地上を立て直さねばなりません」

 

「テラフォーミングを行う為に人類は増やしていきますが…5億人を超えるのは許されない」

 

「承知しております。全ては人類の持続可能性を保証するための配慮というものです」

 

「13都市には地球上全ての動植物を補完しております。ザイオンこそがノアの箱舟となる」

 

「世界に13存在しているザイオンの居住可能人数は何人ですか?」

 

「一千万人です。それが13合わさることになるので人類の数は一億三千万人となるでしょう」

 

「ハルマゲドンによって残りの人類は駆逐される。ですが、最終戦争に負ければ全てが終わる」

 

「勿論です。ハルマゲドンに敗北する事はすなわち…人類の絶滅に繋がりますからな」

 

「全ては貴方達の啓蒙神であるルシファーの計画通りに事が進めば良いのですけどね」

 

「フフ…それこそ神のみぞ知るという領域の話ですな」

 

車列が大都市を超えていく中、最後尾を走る車ではトランクケースが大きく開いている。

 

隠れていたちはるが身を乗り出す程にまで驚愕し、地下都市を見つめていたようだ。

 

「セントラルタワーの地下には巨大都市があるなんて…宿無し探偵シリーズでも見れないよ…」

 

魔法少女が車列の中に混じっているとは人間の構成員では気が付かないかもしれない。

 

しかし三羽鳥達を護衛するためについてきているヤタガラス直轄のデビルサマナー達は違う。

 

「…後ろの車から魔法少女の魔力を感じるが、どうするんだ?」

 

「泳がせておけと上から命令があったわ。何者なのかは地上に帰ってから探りを入れていく」

 

「そうか。神浜市には魔法少女が多いと聞くが、そいつらが入り込んだか…もしくは…」

 

「警備任務には魔法少女一族である時女一族も混じっているわ。もしかしたら…その線かもね」

 

「やれやれ…好奇心は猫をも殺すとはよく言ったものだ」

 

車列は都市部を超えていき、ザイオンの郊外へと向かって行く。

 

人工的な山のふもとには森が広がっており、程なくして大きな鳥居が見えてくる。

 

車列は駐車場に止まっていき、三羽鳥達も地上に降り立つ。

 

ちはるはトランクケースを閉め、どうにか無事にやり過ごせる事を祈るばかり。

 

「ここからは我々ヤタガラスの自治区となる神域。付き添いは結構です」

 

「承知しました。我々はここでお待ち申し上げます」

 

八重樫と門倉は深々とお辞儀をし、残された構成員達と共に三羽鳥達の帰りを待つ。

 

護衛と共に鳥居を潜り、伊勢神宮を模した神社の正宮を目指していく。

 

灯籠が灯りを照らす中を進んで行き、川に架けられた赤い橋を渡っていたのだが立ち止まる。

 

<<…このシオンの丘こそ、我(・)ら(・)レ(・)ビ(・)族(・)の(・)新(・)た(・)な(・)る(・)平(・)安(・)京(・)となる>>

 

黙り込んでいた三羽鳥達が一斉に口を開く。

 

周りの者達は深々とお辞儀をし、裏天皇のお言葉を拝聴する。

 

<<憎(・)き(・)ユ(・)ダ(・)族(・)め…我らが故郷を南北に分断し、我らを離散に追い込んだ裏切り者共め…>>

 

三羽鳥達が憎む存在こそ、今でいうユダヤ民族と呼ばれる者達。

 

ユダヤ民族のルーツとは南北時代のイスラエルでいう南のユダ族が起源だという説がある。

 

北に別れたイスラエルの民とは失(・)わ(・)れ(・)た(・)十(・)支(・)族(・)と呼ばれる者達。

 

レビ族とは祭司の一族として特別な役割を与えられているが相続する土地をもたなかった者達。

 

支族としては数えられないが、出エジプト記のモーセとアロンはレビ族出身の神官達である。

 

モーセとアロンの指導の元でイスラエル人はエジプトから脱出を行う話が聖書で記されている。

 

<<東の果ての島国に流れ着き…我らは国を作った。なのに…奴らは再び攻めてきた…>>

 

脳裏に浮かぶのは日本の歴史でいう黒(・)船(・)来(・)航(・)である。

 

島国として地域主権を守れていたのだが、欧米の影響を多大に受けた時期であろう。

 

<<我らの国は奴らに奪われた…それでも我らは諦めない…奴らからシオンの丘を奪い取る>>

 

「…そのための交渉材料こそ、奴らにとっては啓蒙神である人修羅の存在です」

 

側仕えの巫女の代表者である女性が口を開くが、視線は遠くの景色に向いたまま。

 

見えていたのはザイオン都市の明かりであり、野望をたぎらす顔を雑面布で覆い隠す。

 

<<サタンの言葉を奴らは無下には出来ない。神に信仰を示す者が神に逆らうなど不可能だ>>

 

「だからこそ、時女一族の者達を派遣したのですが…状況は芳しくありません」

 

<<構わん。あの娘共が使えないならば、他の者とて結果は同じ。強硬手段が必要になる>>

 

「ま…まさか、封魔を用いて使い魔になされるおつもりですか!?」

 

<<人修羅は強敵…今の我々の手駒では敵わない。だからこそ過去からの使者が必要なのだ>>

 

「過去からの使者…?」

 

<<月神は啓示を行った。もうじきヤタガラスの歴史において、最強のサマナーが現れる>>

 

「最強のデビルサマナー…?まさか…あの葛葉一族四天王の…?」

 

答えは返さず、赤い橋の手摺の方にまで三羽鳥達は歩いていく。

 

<<ザイオンこそが我らの新たなる平安京…エ(・)ル(・)サ(・)レ(・)ム(・)となる>>

 

エルサレムとはユダヤ教の聖市であり、太古においてはヘブライ王国と呼ばれる地。

 

イスラエルのレビ族は国を失いながらも魂はエルサレムと共にある。

 

だからこそ彼らは再びヘブライの神と神民が幸福に暮らせる安住の国を起こそうというのだ。

 

<<きーみーがーあぁーよーおーわー……>>

 

三羽鳥達は突然日本の国家である君が代を歌い出す。

 

<<ちーよーにーいいーやーちーよーにー…さーざーれー…いーしーのー……>>

 

日本人ならば誰もが歌える国歌として知られる君が代。

 

しかし君が代は日本人だけに通じる国歌ではない。

 

ユダヤ人達が君が代を聞けばヘ(・)ブ(・)ラ(・)イ(・)語(・)に(・)聞(・)こ(・)え(・)る(・)という。

 

君が代の発音は独特であり、ヘブライ語に置き換えられるという説がある。

 

その説によるヘブライ語に直した君が代の内容とはこうだ。

 

君が代は→クム・ガ・ヨワ→『立ち上がり神をたたえよ』

 

千代に→チヨニ→『シオンの民』

 

八千代に→ヤ・チヨニ→『神の選民』

 

さざれ石の→ササレー・イシィノ→『喜べ残された民よ、救われよ』

 

巌となりて→イワオト・ナリタ→『神の預言(印)は成就した』

 

苔のむすまで→コ(ル)カノ・ムーシュマッテ→『全地に語れ』

 

<<こーけーのー…むーすー…まーぁぁ…でー……>>

 

三羽鳥達の体から強大な霊力が噴き上がっていく。

 

3人の頭上に浮かび上がっていくのは天津神族の神の御姿。

 

その姿は月の民達を照らす神としてヤタガラスにおいては崇拝される神。

 

月神の啓示を受けた三羽鳥達が待ち望む存在もまた人修羅と同じくこの世界に流れ着くだろう。

 

その者は葛葉四天王においては歴代最強と呼ばれし誉れあるデビルサマナー。

 

その名は14代目葛葉ライドウと呼ばれし者であった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

ザイオン都市を照らす巨大摩天楼の明かりを見下ろす少女がいる。

 

その少女とはホワイトメンと一つになった氷室ラビ。

 

彼女が生体エナジー協会に捕まるのはまだ先の話であり、ここは彼女にとっては過去の世界。

 

時空を流浪する存在となったラビは過去、現在、未来を行き交う時間渡航者になり果てている。

 

「この地下都市が…教授が言っていた箱舟計画の都市なのね」

 

<<シオンの丘と呼ばれしザイオン…しかし山は天を目指す存在であるが…ここは地の底だ>>

 

彼女の脳裏に聞こえてきた声こそ、氷室ラビの外側の肉体に取り憑いたホワイトメンである。

 

「本来の存在を真逆にすり替える…それを最も得意とする者達こそが…イルミナティね」

 

<<無駄な足掻きである。抵抗すればする程に…抗体によって排除されるのみ>>

 

「そう…世界にあるのは絶望のみ。人間も魔法少女も等しく…逃れられない絶望が訪れる」

 

諦念に支配されたラビの瞳は濁っており、世界の全てに絶望している。

 

望むのは世界の終わりであり、自身の終わりでもある。

 

<<このザイオンに光をもたらす膨大なエネルギーを生み出す存在こそが…我らの鍵となる>>

 

「無(・)限(・)発(・)電(・)炉(・)ヤ(・)マ(・)ト(・)…それこそが世界を終わらせられる。もう人々は苦しみを感じなくて済む」

 

<<しかし守りは厳重だ。今の我々では事を成すことも出来ないまま死ぬであろう>>

 

「それは望みではない。人類に安息をもたらす悲願を成就してこそ…私の死に価値が生まれる」

 

<<チャンスは必ず巡ってくる。それまで我らは傍観者であればいい>>

 

「私は世界の終わりを見届ける者。午前0時のフォークロアとして…足掻く者達を見届けるわ」

 

インディアンを彷彿とさせる魔法少女衣装を纏うラビの元にまで飛来する存在が現れる。

 

空から現れたのはインディアンの霊鳥として知られる鷲であろう。

 

右腕を横に持ち上げる彼女の腕に鷲が留まる。

 

ハクトウワシの姿をした存在に目を向ける彼女はこう伝えてくる。

 

「行きましょう、私達の使命を果たすために」

 

ラビに顔を向けるハクトウワシの目が真紅に光る。

 

「蛇と戦う者よ…私もついて行こう。鷲である私もまた、蛇を喰らう者だ」

 

悪魔の言葉を理解出来るようになったラビは頷き、踵を返して去っていく。

 

彼女の姿が鷲と共に蜃気楼化していき、誰もいない高層ビルの屋上だけが残るだろう。

 

視察に訪れていた三羽鳥達も地上に戻っていく。

 

それを見送り任務は終了となる静香達であったが、駐車場入り口に顔を向ける。

 

歩いてくるのは地上に戻れたタイミングを見計らって脱出したちはる。

 

彼女達は水徳寺へと戻っていく後ろ姿を残すだろう。

 

しかし彼女達の背中に対し、不気味な視線を送るデビルサマナー達の存在が潜んでいる。

 

「やはり時女一族の者であったか」

 

「ザイオンを見られた以上は…厄介な事になるわよ」

 

ヤタガラス直轄のデビルサマナー達は携帯を取り出して連絡を行う姿を残す。

 

この日より広江ちはるは眠れない夜を度々繰り返す事になっていくだろう。

 

彼女の心を支配しているのは未知の都市を見てしまった混乱だけではない。

 

ヤタガラスの三羽鳥達が秘密裏に訪れる程の秘密を見た事に対する恐怖心が纏わりつく。

 

その恐怖心は時女の里に帰る事になった今でも彼女の心を支配してしまう。

 

彼女はこう考えている。

 

静香達が霧峰村に帰ることになったのは自分の責任を追及されるのだと。

 

もし静香達まで自分のせいで傷つけられる事になったら生きてはいけない。

 

酷い自責の念に縛られている者こそ、電車の景色を眺めるのみの広江ちはるであった。

 




日ユ同祖論ネタから始まる時女一族編スタートです。
ザイオン都市のネタは真女神転生4の地下東京ですが、アニメのエヴァやマクロスFの影響も多大に受けております。
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