人修羅×まどマギ まどマギにメガテン足して世界再構築   作:チャーシュー麺愉悦部

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196話 ゆけ!ライドウ!

葛葉ライドウ対次世代部隊の戦いが始まる。

 

進軍してくるのは93式機動歩兵Gタイプと95式機動歩兵Dタイプ。

 

武装は機関砲や対戦車榴弾、対戦車ミサイルなどの武装に置き換わっているようだ。

 

前進してくるロボット部隊の武器が放たれようとした瞬間、凄まじい突風が吹き荒れる。

 

「イクでありまァァァァァァァす!!」

 

ロボット部隊に襲いかかったのは体を回転させながら竜巻を生み出す悪魔。

 

全身が葉っぱで編まれた人型の体に神社のしめ縄をマフラー代わりにする神であった。

 

【ヒトコトヌシ】

 

古事記では善事も悪事も一言で言い放つ神として雄略天皇の前に同じ姿をとって現れたという。

 

賀茂氏が祀っていた神ともされ、賀茂氏の政治力低下と共に一言主の神威も低下したようだ。

 

時代が下った日本霊異記では一言主は役行者に使役される神にまで地位が低下。

 

修験道を含めた仏教勢力の隆盛を感じさせる神であり、現在は奈良県葛城山に鎮座していた。

 

「オリムピック級の活躍だァァァァ!!」

 

『ヒトコト大風』の竜巻によってロボット部隊の態勢が崩れたため照準がズレていく。

 

あらぬ方向に撃たれる弾や榴弾砲がライドウ達の横を通過する中、巨大な白い蛇が動く。

 

「面妖な機械人形共じゃのぉ。どれ、ワシが気合を入れてやろうか!」

 

まるで白い蛇に手足が生えたような巨人が持つ大きな杖が地面に突き立てられる。

 

燃え上る曇天の空に雷が再び生まれていき、雷の雨が降り注ぐ。

 

機械であるロボット部隊にとっては弱点であり、次々と爆発したようだ。

 

【ミシャグジさま】

 

諏訪地方の土着神であり、タケミナカタとも同一視される神。

 

国譲りの際、タケミカヅチに追われたため悪霊の住み着くとされる諏訪に逃れてきたという。

 

その地に住むミシャグジ神を駆逐し、代わって自らがこの地の神になった存在だ。

 

ミシャグジ信仰は新しい祭神であるタケミナカタを受け入れ、様々な政治的争いを乗り越える。

 

蛇神信仰等の様々な原始信仰を取り込み、男性器崇拝の御神体としても崇められた。

 

「サマナーさんよ、魔法少女の前でワシを召喚するなよ?ワシの姿は生娘達の目の毒じゃ」

 

『ミシャクジ雷電』によって焼き尽くされた景色を見ながら曲がった腰を叩く。

 

蛇神であるため頭部は蛇のように思えるが、どちらかと言えば()()()()()()である。

 

ごりっぱな悪魔は亀頭の後ろ側から生えた黒い長髪を痒そうに掻きながら敵陣へと向かった。

 

機体構成素材が対電撃仕様であった95式機動歩兵Dタイプが対戦車ミサイルの照準を向ける。

 

ミシャグジさまの巨体に向けて対戦車ミサイルを撃とうとした時、空から人が飛来した。

 

「男は度胸ぉぉ!!悪魔は酔狂ぉぉ!!ヨシツネ見参ーーッッ!!」

 

飛来してきたのは緋色の鎧具足を纏った侍である。

 

四足歩行するロボットの上に飛び乗った侍が逆手に持つ刀の一撃を浴びせる。

 

カメラアイを貫かれたロボットの動きが停止するが横のロボットが狙いを向けてきた。

 

「動きが遅過ぎる!!」

 

対戦車榴弾を浴びせられるよりも早く侍が跳躍。

 

宙を舞う華麗な『八艘飛び』を行い、次々とロボットの上に飛び移っては刀を突き立てていった。

 

【ヨシツネ】

 

平安時代末期を生きた源氏の武将であり、幼名は牛若丸という。

 

兄頼朝の挙兵に呼応し、獅子奮迅の活躍で対平家勝利の最大の功労者となったようだ。

 

しかし後に頼朝と対立し、再び奥州平泉に下るがそこで攻められ自刃して果てたという。

 

その最期は世の多くの人々の同情を引き、多くの伝説・物語を生み出していったのであった。

 

「う~ん、ボク達へんな虫さんに追いかけられてるね。この時代の蝗害は深刻そうだね、チミ」

 

「ヤカマシイ!!オレサマノ背中二勝手二乗ルデナイ!!」

 

「チミとボクの仲じゃないか。嫌われたらボク、とってもロンリーだね」

 

双頭の大型獣に跨る小人の悪魔を上空から追い詰めるのはビットボールというドローン兵器。

 

監視任務だけでなく地上攻撃用の装備も施しているようだ。

 

機体下部にアサルトライフルと射撃反動を吸収する装置を搭載しているため反動に耐えられる。

 

空からの機銃攻撃を受けるが双頭の大型獣の俊敏な動きを捉えきることは出来ない。

 

大きく旋回しながら反撃を行おうとするが、跨る小人が武器を構える。

 

「ダメダメだね、チミ達。そんな遅い動きじゃボクからは逃げられないよ」

 

全身緑色のふんどし小人が投げたのは『モコイブーメラン』である。

 

意思があるかのように飛び回るブーメラン攻撃によって次々とドローン兵器が打ち落とされる。

 

「まさに入れ食い状態、ドリーミング。イケてるね、ボク」

 

「勝手二反撃スルナ!!オレサマガ仕留メヨウトシテタノニ!!」

 

「ホメなくてもいいッスよ。それより、あの虫さんマルカジリしないの?」

 

「アンナ鉄屑ナド喰エルカ!!」

 

「ダイエット中かな?そんなことより可愛い魔法少女の話をしようよ。ボク、ドキドキだったよ」

 

漫才しながらも果敢に攻め抜く二体の悪魔達が敵陣深くにまで攻め込み猛攻撃をしかけていく。

 

【オルトロス】

 

ギリシャ神話の魔物であり、ケルベロスとは兄弟となるエキドナの子。

 

双頭の魔犬の姿をしており蛇の頭と胴からなる尾を持つ。

 

西の果てのエリュテイア島でゲリュオンの牛の番をしていたがヘラクレスに殴り殺されてしまう。

 

しかし常人が立ち向かえば太刀打ちすることも出来ない程の獰猛な獣悪魔であった。

 

【モコイ】

 

北部オーストラリアのムルンギン人の伝承に伝わる霊であり、名は悪霊を意味する。

 

老衰死や病気、事故等の凶事の殆どはモコイによってもたらされるとされているようだ。

 

疫病神として扱われるが、従える者は不幸を退ける強大な力を得るとも考えられたようだ。

 

「…やはり未熟なAI兵器では悪魔の軍勢に敵いませんか」

 

ネビロスは揚陸艦の上部甲板の上に立ち、戦況を見ながらも不快な表情を浮かべている。

 

左手を空に向け、巨大な魔法陣を生み出していく。

 

「現地改修を行う必要があるようです。幸いなことに…ここには死体が山とある」

 

霧峰村を覆う程の巨大な魔法陣の力で空に吸い上げられていくのは死体の山。

 

撃ち殺された村人達、爆散したデモニカ兵、それに破壊されたAI兵器まで浮かされていく。

 

「死体共をぐわったいの材料に使う気かぁ!?うぉれを使う気かァァァァァ!?」

 

空に吸い上げられてはたまらんと、ヒトコトヌシがミシャグジさまの後ろに隠れてしまう。

 

「ムゥゥゥ…ネビロスの奴め。死体と機械を用いて悪魔を錬成するつもりじゃのぉ…」

 

魔法陣の下で浮かんでいるのは死肉と機械が混ざり合った醜悪な巨大肉塊。

 

霧峰村を漂う無念を抱えた怨念達まで取り込み、巨大な肉塊が破裂する。

 

地上に降り立ったのはまるで人造人間にも思えるだろう巨人の群れであった。

 

【ナタク】

 

西遊記や封神演義で登場する人造人間に近い悪魔。

 

毘沙門天の化身である道教の托塔李天王の子として現れた大羅仙の化身というのが原義に近い。

 

少年期に大暴れしすぎたために托塔季天王と敵対して自害したという。

 

それを釈迦が蓮根と蓮の糸と蓮の葉で造った体に蘇らせたのがナタクであった。

 

「グッ…ガッ…ゴガッ……」

 

赤い肌をしたフランケンシュタインのような巨人悪魔達であるが目は虚ろだ。

 

まるで自我が存在しない肉塊巨人の集団のように思えるが、ネビロスが右手を動かす。

 

持たれていた大きな人形を動かせば、ナタクの目が光り敵に向かって襲い掛かっていく。

 

「ケッ!無様な肉人形の数を揃えても無駄だ!我が薄緑の錆びにしてくれる!!」

 

くろぬりの烏帽子を被り美しい黒髪長髪をしたヨシツネが刀を構える。

 

白銀に輝くのは彼の愛刀である薄緑と呼ばれる刀であった。

 

「バカヤロウ!お前らだけにいいカッコさせるかよ!!」

 

ヨシツネの横を通り超えていくのは巨大な鬼の顔を持つ蜘蛛である。

 

「テメェ!?俺の獲物を横取りする気か!!」

 

「豆粒侍は下がってな!ガタイの大きい奴らはガタイの大きい奴が相手してやる!!」

 

【ツチグモ】

 

平安時代に葛城山に住むとされた巨大な蜘蛛の妖怪である。

 

元来は朝廷による併合政策に逆らい滅ぼされた先住の民を蔑称して呼んだものともされるようだ。

 

土蜘蛛は政治的な不安を妖怪や祟りのせいとする支配者達によってスケープゴートにされてきた。

 

一方近世以降になると能や神楽、歌舞伎の題材に取り上げられ、文化的な側面も生まれていた。

 

「行くぜーーーッッ!!オラオラオラァ!!!」

 

ロボット部品を錬成して作った巨大な鈍器を振り回すナタクに目掛けて猛突進を仕掛ける。

 

ナタクを上回る程の巨体の前足から繰り出す攻撃を受け、次々とナタクが破壊されていく。

 

ツチグモの大暴れ攻撃を受けるナタク達もまた鈍器を用いてツチグモを打ち付けていく。

 

しかし強固な脚を打ち付けてもビクともしない強度を誇っていたようだ。

 

「ヌゥゥゥ!!致し方ない!本艦はこれよりラムアタックを仕掛ける!!」

 

命令を受け取った艦長が号令をかける。

 

ネビロスを乗せた揚陸艦の超巨大装輪装甲が動き出し、ツチグモを破壊せんと迫りくる。

 

「ゲェェーーッッ!?オレよりもデカイのが来るとは聞いてねーぞ!!」

 

ツチグモに目掛けて猛突進してくる揚陸艦。

 

しかしツチグモの前にまできた青銅の巨人がそれを阻む。

 

「おお!!来てくれたかオオミツヌの兄貴!!」

 

全高50mをした巨神こそ、巨人だいだらぼっち伝承の原型である。

 

【オオミツヌ】

 

出雲土着の神話集とされる出雲風土記に登場する神であり、古事記ではスサノオの子孫。

 

彼は出雲の国を見て随分小さいと思い、あちこちから土地を引き寄せてきて大きくしようとした。

 

あちこちの土地に縄をかけて引っ張り、少しずつ今の島根半島を形作ったのだという。

 

これは国引きと呼ばれ、オオミツヌの力強さを物語る神話となった。

 

「その程度の鉄塊の船如きで我を通り超えられると思うな!!」

 

艦首にプラズマ装甲を展開した巨大揚陸艦がオオミツヌ目掛けて猛突進の直撃を浴びせる。

 

甲冑武者のような外観をした巨神は両腕を帯電させながら受け止めた。

 

「ヌゥゥゥーーーッッ!!!」

 

後ろ足を伸ばして堪えきるが巨神の巨体であっても後ろにまで押し込まれていく。

 

しかし国引き神話をもつオオミツヌの力はこの程度ではない。

 

「オォォォォォーーーーッッ!!!!」

 

全高40m、全長300mの揚陸艦の後輪が浮き上がっていく。

 

パニックとなる揚陸艦ブリッジから見える景色が下側へと下がってしまう。

 

オオミツヌは巨大な揚陸艦を抱え込み、一気に後方に目掛けて投げ飛ばす。

 

「ウソォォーーーーッッ!!?」

 

後ろにいたツチグモが巨大な影に覆われ、慌てながら逃げ出していく。

 

巨神が揚陸艦相手に仕掛けた技とはプロレス技のブレーンバスターであった。

 

ひっくり返った亀のように動かなくなった揚陸艦の横に立つオオミツヌがトドメを行う。

 

青銅の腕部が回転していき極大の雷が帯電していくのだ。

 

「破邪顕正の一撃!!受けてみよーーーッッ!!」

 

巨大な鉄槌落としとして放ったのは『大雷電忠義壊』の一撃。

 

揚陸艦の底部に叩きつけられた一撃が装甲ごと揚陸艦を貫く。

 

プラズマエンジンにまで届いた一撃の雷撃によってついに揚陸艦は最後を迎えるのだ。

 

<<うわあぁぁぁーーーッッ!!?>>

 

大爆発を起こした揚陸艦の爆風に巻き込まれて吹き飛んでいくライドウの仲魔達。

 

しかしこの程度の爆発で死ぬような悪魔達ではないようだ。

 

「くっ!!!」

 

「キャァァーーーーッッ!!!」

 

爆風を浴びる妖精王夫婦であったが、彼女達を庇うようにして漆黒のマントが盾となる。

 

顔を上げればライドウが背中を盾にしながら妖精王夫婦を守ってくれていたようだ。

 

「坊や!?ライドウの坊やじゃない!!あぁ…こんな奇跡が起こるだなんて!」

 

「また助けられましたね…ライドウ。天斗樹林の時といい…貴方には助けられてばかりですね」

 

爆風で汚れきった体を持ち上げ、後ろに振り向きながら口を開く。

 

「……動けるか?」

 

気遣ってくれたライドウのために夫婦は気力を振り絞りながら起き上がってくれる。

 

「この先にいる少女達を連れてこの村から逃げろ。後の事は…任せてもらおうか」

 

ライドウの視線の先にいるのは揚陸艦を捨てて空中に浮かんだ姿をしたネビロスだ。

 

この村で起きてしまった凄惨な戦いの決着をつけるために彼は駆け抜けていった。

 

「…なんだか変な雰囲気だったわね?まるで私達のことを覚えていないように思えたわ…」

 

「そもそも彼がここにいることそのものが変です。彼は大正時代のサマナーなのですよ?」

 

「きっとアカラナ回廊を渡ってきたのね…。あの坊やは私達と出会う前のライドウなのよ」

 

「どんな彼であったとしても…助けにきてくれる。変わらない書生でいてくれて嬉しいですよ」

 

ライドウの意思を託された妖精王夫婦は翼を羽ばたかせて飛び立っていく。

 

邪悪な敵を討たんと駆け抜けるライドウの全身からはMAGの光が溢れ出るようにして光輝く。

 

陰陽葛葉に溜め込まれたイザ・ベルのMAGがライドウに供給され、八体の悪魔を使役出来るのだ。

 

「オノレェェーーッッ!!私にこれだけの恥をかかせるとは…恩があろうと容赦はしません!!」

 

空中から降下してくるネビロスに目掛けて一気に跳躍。

 

陰陽葛葉を振りかぶる一撃を放つライドウ。

 

ついに霧峰村戦争は決着の時を迎えるのであった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「凄い…なんて数の悪魔を使役するのよ…。私の母様でさえ…あれ程の力はなかったわ…」

 

ライドウの戦いの光景を遠くで見守ることしか出来ない魔法少女達。

 

彼が召喚した悪魔達の力を前にして驚きを隠せないようだ。

 

「あの人は誰なんですか…?前時代的な身なりをした学生さんでしたよね…?」

 

「そうだよな…まるで大正時代の学生みたいに見えたよ」

 

「それに…凄いモミアゲをした人でしたよね?()()()()()()()()()()()()()()()()でした…」

 

「触れたら突き刺さりそうなぐらい男気に溢れるモミアゲでしたな…」

 

「もーっ!モミアゲじゃなくてライドウさんの戦いの凄さを見てあげなよー!!」

 

話が脱線していたがちはるが語った彼の名を聞いた瞬間、全員が驚愕する。

 

「ライドウですって!?もしかしてあの人が葛葉一族四天王の…葛葉ライドウなの!?」

 

「そうだよ!ライドウさんは14代目になる葛葉ライドウだって言ってたの」

 

「14代目葛葉ライドウですって!?その人は大正時代のデビルサマナーだった筈ですよ!」

 

「どういうことなんだ…?どうやって大正時代から現代に来てくれたんだよ…?」

 

「そ…そこまでは聞けてないから分からないよぉ…」

 

困惑の表情を浮かべていた魔法少女達の元へと空からモー・ショボーが下りてくる。

 

状況が飲み込めない魔法少女達に向けて笑顔でウインクしてくれたようだ。

 

「この子はね、モー・ショボーさん。ライドウさんの仲魔だと思うよ」

 

「うわー!みんな魔法少女さんなんだね!?みんなカワイイー!私も魔法少女やりたかったなー」

 

「え…えっと、モー・ショボーさんはどうしてこちらに戻られたんです?」

 

「あっちはみんなが頑張ってくれてるし、出番無さそうだからこっちに来ちゃったの」

 

ぴょんぴょん跳ねながら愛想を振りまく悪魔少女を見る魔法少女達も困惑顔を返すしかない。

 

「名前を聞いてなかったね。正義の探偵さんに憧れてるあなたの名前は何ていうの?」

 

「広江ちはる。こっちは静香ちゃんにすなおちゃん、それと涼子ちゃんとちかちゃんと旭ちゃん」

 

「ちはるちゃん、ライドウの戦いを見て…何か感じられたかな?」

 

問われたちはるの視線がライドウの戦いに向けられる。

 

軍隊が相手でも退かない戦いの光景こそ、ちはるが憧れた正義の探偵のように見えるだろう。

 

「あの人は…どうして戦えるの?相手は軍隊なんだよ…恐ろしい報復だってあるんだよ…」

 

正義の探偵に憧れた広江ちはるが最も恐れたのが国家権力による報復である。

 

国家の報復攻撃によって霧峰村は全滅し、多くの大切な人達が帰らぬ人となってしまった。

 

理想と現実はあまりにもかけ離れているもの。

 

正義という幻想を追いかける者は過酷な現実を受け止められる力こそが求められるのだ。

 

「ライドウだって怖い感情ぐらいはあると思うよ。だけどね…ライドウは絶対に逃げないから」

 

「どうしてなの…?どうしてそこまで強く在れるの…?」

 

それを聞きたいのはちはるだけでなく、周りの魔法少女達も同じ気持ちである。

 

これから先、たとえ生き延びれたとしても国家権力の報復は続くだろう。

 

彼女達は抜け忍の如く追われる人生を送り、楽しい日常に戻ることは出来ない。

 

逃亡犯のような気持ちを抱えている彼女たち全員が明日も知れない恐怖を抱えていたからだ。

 

みんなの視線が集まったモー・ショボーは笑顔を向けながらこう答えた。

 

「それはね……ライドウの心には()()()()()()()があるからだよ」

 

「諦めない……気持ち……?」

 

「絶望的な未来が待っていても諦めない。命をかけてでも未来を変えようと足掻いてくれる」

 

「たとえそれが…自分の大切な人達を犠牲にする道であったとしても…ですか?」

 

「ライドウもね…大切な仲魔を失ったよ。それでもね…ライドウは仲魔の意思を守ってくれた」

 

「仲魔の意思…」

 

「あなた達にはないの?死んでいった人達は…あなた達に何も残さずに死んでいったの?」

 

モー・ショボーの言葉を聞いた全員の目が見開いていく。

 

彼女達の心には未だに深く残っている矜持がある。

 

それこそが静香の母が命をかけてでも守り抜いてくれた時女一族の矜持。

 

静香の顔から悲しみの感情が消え、時女当主に相応しい程の覚悟を見せてくれたようだ。

 

「母様は私を残してくれた…。私に託してくれたのよ…時女の矜持を残してくれと…!」

 

「私…等々力さんの言葉を忘れてた…。探偵は諦めない心が一番大切だって…言ってくれたよ!」

 

「私の人生に光を与えてくれたのが静香です…。私は諦めたくない…静香と共に生きたいです!」

 

「母さんは命をかけてあたしを守ってくれた…。だからあたしも諦めない…母さんのように!」

 

「私も諦めません!日向のように温かい居場所を失っても…新しい日向をきっと見つけます!」

 

「迫害され人生を諦めようとしましたが…我も諦めたくない!未来はきっと…あるであります!」

 

諦めない心。

 

それこそが葛葉ライドウの戦いから学べた人生の教訓。

 

それを胸に抱き、彼女達はこれからの過酷な人生を突き進むだろう。

 

<<くっ!!?>>

 

揚陸艦の爆発がこちらにまで迫ってくる。

 

強風を浴び続けたが魔法少女達は無事なようであり、皆が顔を向け合って頷いた。

 

「行きましょう、みんな!!私達はここで死ぬわけにはいかない…今は生き残るべきよ!」

 

「私も諦めない!死んでいったみんなのためにも…絶対に悪の秘密組織をやっつけるんだから!」

 

静香の元にまで飛来してきた妖精王達が彼女達を妖精郷の神樹の元にまで導いてくれる。

 

残ったモー・ショボーは笑顔を向けながら静香達に手を振り、見送ってくれたようだ。

 

彼女達が走り去っていく時、静香とちはるは最後にもう一度だけ村の方角を振り向いてくれた。

 

「ライドウさん…生きて再び出会えることを願っているわ…」

 

「私…ライドウさんも探偵として尊敬する。あの人も尚紀先輩のような…理想の探偵さんだった」

 

静香とちはるもすなお達を追うようにして禁忌の森の中へと消えていく。

 

彼女達が駆け抜けていく森の木々に目を向ければカラスの姿を見かけていくだろう。

 

そのカラスとは、ヤタガラスから差し向けられていた監視員とも言える使い魔達であった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

地面に着地したライドウが周囲を伺う。

 

「……異界に取り込まれたか」

 

あの一瞬、ライドウの刃がネビロスの体に食い込むよりも先に異界に取り込まれた。

 

仲魔達と分断された異界の景色に目を向ける。

 

異界の景色は霧峰村の神楽殿があった場所の景色と同じようにして構築されていたようだ。

 

「頼れる仲魔とはぐれた上で…この私に勝てますか?葛葉ライドウ…?」

 

闇の中から現れたのは死霊共を纏うネビロスである。

 

ナタクを操っていた大きな人形は燃えており、彼は操り人形を捨てたようだ。

 

「…仲魔を失ったのは、そちらも同じのようだが?」

 

「勘違いをしないでもらいたい。あのような木偶などいなくとも、私は何の問題にもならない」

 

両手が使えるようになったネビロスは両手を掲げる。

 

掌からは巨大な大火球が生み出され、いつでも放てる構えを見せた。

 

「デモニカ部隊と次世代揚陸艦の実戦データは広帯域衛星通信で送信済み。後は貴方を倒すだけ」

 

「…やってみるがいい。それと…自分は仲魔とはぐれてなどいない」

 

強がりを言っているようには見えない。

 

ライドウの自信に満ちた顔つきを見て、嘘ではないと判断したようだ。

 

「姿を見せるがいい…葛葉ライドウの使い魔!!」

 

<<お呼びとあらば、出てきてやってもいいぜ?>>

 

ライドウの背後空間が歪んでいく。

 

隠し身の技術でライドウの後ろに隠れていた悪魔こそ、日本神話にとって最重要人物といえる神。

 

「まったく…手間ぁ取らせやがって。死霊術師だろうがなんだろうが退治してやるさぁ!」

 

尖った木の根を冠にした浅黒い肌を持つ大男であり、海原を表現した黒いマントを纏う神。

 

その手には天叢雲剣が握り締められていた。

 

「奴を倒す。自分に手を貸せ、スサノオ」

 

「ソイツぁ粋な命令だ!景気よくいこうじゃねーか!!」

 

【スサノオ】

 

三貴子の末子にあたる荒ぶる神。

 

イザナギが黄泉の国から戻って禊を行った際に鼻をすすいだ時に産まれたと言われる存在である。

 

イザナギから海原を治めるよう言われたが断り、母神のいる根の国に行きたいと言い出す。

 

その際に泣き喚き、その神気は天地に甚大な被害を与えたと言われていた。

 

また姉神であるアマテラスの元で乱暴狼藉を働き、天岩戸事件を引き起こした張本人でもある。

 

スサノオは国津神の祖神的な側面も強い事から天津神とすべきかは難しいところであった。

 

「バアル様と同一視される程の神が相手ですか…。なるほど、これは手が抜けませんね」

 

睨み合うライドウとネビロス。

 

先に動いたのはネビロスであった。

 

「行きますよ!!」

 

撃ち放たれるのは両手から繰り出すアギダイン。

 

大火球が迫る中、ライドウは右にスサノオは左に避けていく。

 

あぐらをかきながら宙を飛ぶスサノオは左手に魔力を込めてライドウに投げ放つ。

 

「受け取りな!気色悪い死霊術師に気合を入れてやれ!!」

 

魔力を受け取ったライドウは白いガンベルトのホルスターから銃を取り出して構える。

 

コルトM1977リボルバーの銃口から次々と弾が撃ち放たれていく。

 

弾には雷の魔力が籠っており敵悪魔に雷属性のダメージを与えられるのだ。

 

「無駄です」

 

ネビロスの周囲を漂う怨念が『雷磁魔弾』の盾となり銃弾を受け止めていく。

 

「イテェェェジャネェェカァァァーーーッッ!!」

 

物理に耐性はあるが雷属性攻撃によって体を弱らせたのはネビロスの盾となるファントムだった。

 

【ファントム】

 

ゴーストの中でもより暗黒の力を帯びた者をこう呼ぶ。

 

元来はギリシャ語の虚像・幻が原義であり、正体不明な存在の呼称にも使われる。

 

一般的なゴーストよりも含有MAG量が多く、より強く現実世界に干渉出来る悪霊であった。

 

弱ったファントムは体を輝かせて特攻を仕掛けてくる。

 

「チッ!!」

 

ライドウは自爆エネルギーの一直線奔流を横っ飛びで回避。

 

スサノオも天叢雲剣の投擲攻撃を行うが同じようにして特攻攻撃を受けていく。

 

「いかがですか?私の死霊弾の味は?」

 

防御と攻撃を同時に行う死霊はネビロスによって無尽蔵に呼び出されて出現する。

 

遠距離戦を仕掛けては反撃の特攻が返されると判断したライドウが一気に踏み込む。

 

「ハァァァァーーーッッ!!」

 

袈裟斬り、右切上げ、回転斬りと連続した剣技を舞うように放つ。

 

陰陽葛葉の退魔の力によってファントムは自爆する暇もなく消滅してMAGの光を放つのだ。

 

ネビロスに接近戦を仕掛けようとするがマハムドオンが周囲に放たれる。

 

ライドウは咄嗟の判断で大きく後方宙返りを行い即死を免れたようだ。

 

「サマナーさんよぉ!!こいつはキリがねーぜ!!」

 

スサノオは天叢雲剣を振るい死霊を打ち倒していくが次々と湧き出してくる。

 

ネビロスが放つ真空刃を剣で断ち切った後、スサノオがライドウに向けて念話を送った。

 

<こいつぁジリ貧だ!ここはいっぱつ…大技を仕掛けようじゃねーか?>

 

<…了解した>

 

ファントムに翻弄されるライドウ達を見下ろすようにして宙に浮かび上がるネビロス。

 

勝負を仕掛けるために右手を上に持ち上げていく。

 

「別の形で恩に報いる日を期待したのですが…仕方ありませんね」

 

掌に生み出されていくのはメギドの光。

 

「恩を仇で返すことになったのは…愚かな貴方のせいです!!」

 

地上に向けて放ったのはメギドラの光。

 

空から落ちてくるメギドの光に対し、ライドウはスサノオに向けて駆けていく。

 

「オレのことは気にするな!!一発かましてやれーーっ!!」

 

全身から魔力を噴き上がらせながら天叢雲剣を下に向けて構え、峰を向ける。

 

ライドウは剣の峰に飛び乗り、スサノオから受け取った魔力と共に一気に上に向けて飛ぶ。

 

迫りくるメギドラを超え、ネビロスさえも超える程の高さにまで昇っていく。

 

「何をする気です!?」

 

地上ではメギドラの光が爆発するがライドウは天高くに身を置く姿。

 

退魔刀の陰陽葛葉を掲げたライドウが一気に急降下してくる。

 

「勝負だ!!」

 

ネビロスに目掛けて放つのは唐竹割りの一撃。

 

「ぐぅ!!?」

 

ネビロスの右腕が切り落とされ、体勢が崩れたネビロスはライドウと共に地上に落ちる。

 

ネビロスがライドウに視線を向ければ、刀を逆手に持ち一回転を行っていた。

 

「この一撃は……まさか!?」

 

ネビロスよりも先に地面に降り立ったライドウが一撃を地面に放つ。

 

陰陽葛葉に込められた仲魔の魔力が地面に注ぎ込まれる。

 

鈍化した世界。

 

降下してくるネビロスに見えるのは、大地が星の世界と化していく光景。

 

光の線が無数に浮かび上がり大地を覆う破邪の陣と化す。

 

「バカなぁぁぁーーーッッ!!?」

 

破邪の陣から一気に光が溢れ出し、大爆発する程の光の現象を生み出していく。

 

まるで核爆発でも起きたかのように広がり続ける光の膨張光景が異界そのものを破壊するのだ。

 

メギドラオンに匹敵する合体技こそが、ライドウの奥の手とも言える『天命滅門』の一撃。

 

異界から解放されたライドウは燃え上る村に戻ってくる。

 

彼が周囲を見回すとメギドに焼かれてボロボロな姿をしたスサノオが地面に倒れていたようだ。

 

「オレはキメられなかったが…サマナーさんはバッチリとキメてくれたな!」

 

決まり悪げにスサノオは右手を持ち上げサムズアップのハンドサインを向けてくれる。

 

ライドウはそれを見て頷き、視線を逸らす。

 

彼の視界に映ったのは多くの仲魔達の姿である。

 

みんなが笑顔を向けながら頷いてくれたようだ。

 

不愛想な口元が若干微笑み、学帽を目深く被り直す。

 

ついに霧峰村に戦火をばら撒いた敵共は駆逐された。

 

霧峰村を救えはしなかったが、それでも村人達の無念は晴らせたと信じたいライドウである。

 

これがデビルサマナー葛葉ライドウが魔法少女世界に迷い込んできた時の最初の事件となった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

次々と封魔管に戻っていくライドウの仲魔達。

 

最後にミシャグジさまを残すのみであったが、白い亀頭顔を横に向ける。

 

「……ライドウ、まだのようじゃ」

 

蛇神が向ける視線の方に彼も目を向けたようだ。

 

未だに燃え上る村の方から歩いてくるのは人間に擬態した姿のネビロス。

 

右手には燃え上る人形が持たれていたようだ。

 

刀の柄を握り締めるライドウであったが、立ち止まったネビロスが首を横に振る。

 

「流石は14代目葛葉ライドウです。保険としてアンデットボディを用意して正解でした」

 

「アンデットボディじゃと?先程までのお前さんは…分身だったというわけじゃな?」

 

「その通り。私が魔力を用いて操っておりましたが…いやはや、手酷くやられましたよ」

 

「続きを始めるのか?老骨にはちと堪えるわい」

 

「イザ・ベルのMAGは枯渇したこのチャンスですが……止めておきます」

 

「なぜじゃ?」

 

「葛葉ライドウには恩がある。私とベリアルの愛しいアリスを見つけてくれた恩がね」

 

「律儀なものじゃのぉ。あの悪魔少女と共に迷惑かけずに隠居しておれば良かったのにのぉ」

 

「私がルシファー閣下に与するのは…アリスと暮らせるこの星を守るため。譲れませんね」

 

黙って聞いていたライドウだが、刀を抜刀して刃をネビロスに向けてくる。

 

「…貴様が娘を愛する気持ちと同じ感情を村の人々も持っていた。貴様だけが特別扱いか?」

 

言いたいことは察したネビロスが苦笑する。

 

「若いですね、ライドウ。言いたいことは分かりますが…みんな私と同じなのです」

 

「どういう意味だ…?」

 

「善人だろうと悪人だろうと、みんな()()()()()()()()()のです。正義の魔法少女とて同じです」

 

ネビロスが言おうとしているのはかつての神浜魔法少女社会のことである。

 

善人であろうと自分達が愛する人々だけを優先し、優先順位が低いものは見捨てていく。

 

それでいて自分達は見捨てた人々を守る正義の味方を気取ろうとした愚者共がいたのだと語った。

 

「私は悪を自覚しています。しかし善人は()()()()()()()()()…悪行を善行だとするのです」

 

燃え上る人形を捨て、蛇杖をライドウに向けてくる。

 

「葛葉ライドウ…貴方はどうなのです?」

 

「自分もまた…そうなっていくと言いたいのか?」

 

「ヤタガラスに言われるまま超力兵団事件を解決したようですが…()()()()()()()()()()()()

 

「原因…?」

 

「国津神達がなぜ国家を相手に反逆しなければならなかったのかを…()()()()()()()()()()

 

「じ…自分は……」

 

「原因があるから結果が起こるのが因果法則です。貴方もまた…()()()()()()()()()()()()

 

踵を返してネビロスは去っていく。

 

「無知は罪。知る努力を行わないものは無邪気に正義を気取り…悪行を善行だとするのです」

 

転送魔法陣を生み出したネビロスは片手を振りながら消えていったようだ。

 

刀を仕舞ったライドウではあるが顔は俯いている。

 

頭の中ではネビロスの言葉を否定出来る都合のいい言い訳を考えているのだろう。

 

「…奴の言葉を重く受け止めよ、ライドウ」

 

顔を向けてくるミシャグジさまだが、温厚な年寄りの雰囲気は消えている。

 

決断するかのようにしてミシャグジさまは決別の言葉をライドウに送るのだ。

 

「ライドウ…ワシはここまでじゃ。この時代の国津神達がワシを呼んでおる…」

 

「ミシャグジ…?」

 

「ネビロスが語った言葉こそが…我らがライドウに求めたもの。ゆめゆめ忘れなさるなよ」

 

餞別としてミシャグジさまは杖を地面に打ち付ける。

 

蛇神の霊圧によってポツポツと小雨が降ってきたようだ。

 

いずれは大雨となり霧峰村を覆う炎も消えていくだろう。

 

「さらばじゃ、ライドウ。次に会う時は……我らは敵同士やもしれんのぉ」

 

影に飲み込まれるようにしてミシャグジさまは消えていく。

 

突然の別れとなり無表情なライドウの顔にも困惑が浮かんでいたようだ。

 

自分に何か落ち度があったのかと悩んでいた時、視界の端に何かの光を見つける。

 

歩いていくと地面に突き刺さっていた七支刀を見つけたようだ。

 

迷いが浮かんだ目を向けていたが、冷たい夜風が吹き抜ける。

 

空を舞ってきた何かを見つけ、右手を持ち上げていく。

 

ライドウの右手に落ちてきたのは血染めのように赤い四葉桜の花であった。

 

「……自分は」

 

彼の心の迷いを表すようにして四葉桜の花が散っていく。

 

日本人の美意識を象徴する花である桜。

 

桜に向けてもっとも美意識を向けるのは日本人だけでなくヘブライ民族も同じ。

 

古来より中東や西欧世界で宗教的に大きな意味を持ち崇められてきた花こそがアーモンド。

 

同じバラ科サクラ属の落葉高木であり、先端に切れ込みのある桜花を咲かせる木。

 

アーモンドはイスラエルを象徴する花であり、アロンの杖。

 

アロンの杖は創世記に登場するエデンの園に生えていた二つの禁断の樹の一つ。

 

生命の樹である()()()()()()()()でもあった。

 

死を連想させる桜は同時に生命を象徴するセフィロトともなる。

 

時女一族もまたセフィロトを掲げる一族であり、()()()()()()()()()であった。

 

「死してなお花は咲く。いつかまた…この地に桜の花が芽生える日を……自分は願う」

 

刺さっていた七支刀を拾い上げてガンベルトに差し込む。

 

雨脚が強まっていく中、ライドウは聞いた事もない異音が聞こえたため空に目を向ける。

 

彼が目にしたのはヘリであり降下してくるようだ。

 

ライドウの視線が地上に向けられていく。

 

「ヤタガラスの使者…?」

 

彼の元に歩み寄ってきていたのは黒頭巾を纏う黒い和服の女性であった。

 

「…14代目葛葉ライドウで間違いありませんね?」

 

「……如何にも」

 

「アカラナ回廊を用いる時空移動におけるヤタガラスの禁則…知らぬわけではありませんよね?」

 

「……自分の罪を問いにきたのか?」

 

「それを問うのは私ではありません、三羽鳥様が問うことになりましょう」

 

ヤタガラスに所属するサマナーとして、三羽鳥の話を知らないライドウではない。

 

ヤタガラスのトップが直々に罪を罰する程の事態となったのかと彼の顔にも冷や汗が伝う。

 

「あのヘリコプターに乗りなさい。逃げ出すことは許しません…これは勅命なのです」

 

「……了解した。召集に応じよう」

 

迷いと恐怖を抱えたまま、ライドウは言われるままヘリに乗り込んでいく。

 

ヘリは飛び立ち、炎の勢いが衰えていく霧峰村を後にする。

 

遠ざかっていく村の方に視線を向けたままのライドウは心の中で思うだろう。

 

このまま自分は責任を問われ、葛葉ライドウの名を剥奪されるかもしれない。

 

帝都守護の任を解かれ、葛葉の里からも追放されるやもしれない。

 

そんな恐怖に支配されながらもライドウの心はそれ以上の暗い迷いを抱えているのだ。

 

「……無知は罪…か」

 

ネビロスの言葉を重く受け止めよと仲魔は言葉を残してくれた。

 

21世紀の地で生きることとなった14代目葛葉ライドウの試練は続くのだ。

 

彼は今でも…ヤタガラスのデビルサマナーであった。

 




ライドウさんも試されることになっていくのやもしれませんね(汗)
次で時女静香編は最後にしようと思います。
ですがサイドストーリーを後一つ書きたくなってくる…。
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