人修羅×まどマギ まどマギにメガテン足して世界再構築   作:チャーシュー麺愉悦部

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212話 ヴァンパイアハンター

東欧スロベニアのイストリア地方には、光に属し吸血鬼と戦う者の逸話が伝わっている。

 

十字架・洗礼者を語源とするその者の名はクルースニクと呼ばれる者であった。

 

吸血鬼クドラクと戦う定めにあるものだが、彼もまたクドラクと同じく異形の生まれ。

 

相反する存在でありながらも、どちらも異形・異能の力を授かった者達なのだ。

 

彼らの戦いは運命づけられ、時代を問わず数多の世界で起こってきた。

 

その戦いは魔法少女と呼ばれる存在が生きる世界でも起こり、彼らは戦い続けるだろう。

 

この世界に召喚されたクルースニクは探し続ける。

 

魔法少女達が戦う魔獣の影で暗躍する吸血鬼と呼ばれる悪魔を討伐するために今日を生きた。

 

……………。

 

新たなる新生活が控えたこの季節、浮かれる若者達は多い。

 

神浜市中央区の繁華街は若者達が憩いの場を求めて夜の街へと繰り出す時期だろう。

 

しかし、そんな若者達の血を求める邪悪な者が夜の街を見下ろしている。

 

「この街の魔法少女共からは煮え湯を飲まされたからなぁ…燻り出すなら、派手にやるか」

 

高層ビルの屋上に佇む人影が弾け、無数の蝙蝠となって下界へと飛来していく。

 

人間の天敵が街に現れている事など露知らず、若者達は熱狂を求めて踊り狂う。

 

クラブで飲酒を楽しみながら踊り抜いた女性達が店から出てきて帰っていく姿を見せる。

 

「ヒック…まだ飲み足りなーい!どっかで飲んでから帰ろうよーっ!」

 

「そうだねー♪飲み屋に行くならこっちの道が早いと思うよー」

 

路地裏を通って近道しようと歩いていく女性達。

 

夜を楽しむ者達は路地裏が異界化している事に気がついてはいないようだ。

 

頭上から迫りくる蝙蝠の群れが女性達の後ろ側に集まって人型化する。

 

「よぉ、お前ら。ムカつく奴らをおびき寄せるための手下になってくれよ」

 

「えっ…?」

 

後ろを振り向いた瞬間、女性達が悲鳴を上げる。

 

漆黒のマントを広げた男が開く口に見えたのは、吸血鬼を象徴する牙であった。

 

血の惨劇を行う生餌となった女性達が再びクラブの中へと戻ってくる。

 

彼女達はスタッフ以外は立ち入り禁止区域へと無断侵入していったようだ。

 

警備員達が止めようと肩を掴んだ時、背筋が凍り付く程の恐怖を顔に浮かべてしまう。

 

「ヒィィィーーッッ!!?」

 

突然首に噛みついてくる女達。

 

2人の警備員達は血を吸われていき地面に倒れ込んでしまった。

 

倒れた男達を見下ろす女達が邪悪な笑みを浮かべてくる。

 

彼女達の目は悪魔を表す真紅に染まり、その口元にも吸血鬼を象徴する牙が生えていた。

 

……………。

 

「里見メディカルセンターで大量の血液製剤が盗難される……か」

 

仕事が終わった尚紀は事務所のソファーに座りながら地元の新聞に目を通す。

 

何かしらの事件性を感じているようだが、それでも彼には彼の役目があるため立ち上がる。

 

「盗まれたのは輸血用の血液製剤だけってのが不安になってくるな……」

 

「もしかして…悪魔の仕業なんじゃねーのか?強盗が金品に目もくれないところが怪しいぞ」

 

「だとしても…俺には俺の役目がある。魔物共からこの街を守っているのは魔法少女達なんだ」

 

「そうだったな…お前は今でも東京の守護者だったよ」

 

喫煙していた煙草を灰皿で押し消し、事務所から出てきた尚紀がクリスに乗り込み発進していく。

 

クリスが道路に入った時、道端に停車してあったロンドンタクシー風の車も発進したようだ。

 

人修羅として生きる尚紀を尾行してくるのはライドウが召喚したオボログルマである。

 

「あの悪魔は探偵の仕事を終えればいつも何処かに向かって行く。何の目的があるのだ?」

 

「……それを見つけだすための尾行だ」

 

「高速道路を使うという事は遠出しに行くのか…。あの男は多忙な人生を生きているようだな」

 

ヤタガラスから使命を帯びているライドウは人修羅を倒す事を第一の目的にしている。

 

それでもライドウの信念は人々を守護するために生きるデビルサマナーであること。

 

神浜の地に現れた邪悪な気配には気が付いているが、それでも彼は人修羅を追う。

 

彼もまた正義のために戦う魔法少女と呼ばれる存在と出会った者。

 

彼女達の在り方を信じて神浜の平和を魔法少女達に託しているようであった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

今日のクラブイベントでは特別な催しを行うという情報を手に入れた若者達が集まってくる。

 

地下へと降りる階段を進めば受付を担当している者が立ち塞がったようだ。

 

「身分証明書をご提示ください」

 

免許証等を見せ受付を済ませた若者達がクラブの中へと入っていく。

 

受付の男の目を不気味に思う言葉も出てきたが、ハイテンション音楽が聞こえれば忘れるだろう。

 

今日も若者達は我を忘れて踊り狂う姿を見せる。

 

アルコールも入りテンションが最高潮になった時、イベント主催者がステージに昇る姿を見せた。

 

「今夜はレッドナイトパーティだぜ!最高に盛り上がってみせな!!」

 

暗い店内の中でも一際目立つ真紅の目をしたイベント主催者の言葉を聞いた周囲の客も騒ぎ出す。

 

楽しいイベントに遊びに来た若い女性達も盛り上がるのだが、周囲の異変に気が付いた。

 

「えっ…?」

 

周囲の者達の中にも真紅の瞳を持つ者達が大勢いる。

 

盛り上がる声を上げる者達の口元を見れば邪悪な牙まで見えてしまう。

 

「ブラッディパーティの始まりだーーーーッッ!!」

 

イベント主催者が両手を広げた瞬間、地下店舗のスプリンクラーが噴射される。

 

突然の冷たさを感じた若い女性達が自分の体を見た時、我を忘れて叫び出す。

 

<<キャァァーーーーッッ!!?>>

 

スプリンクラーから噴射されているのは大量の血液。

 

全身血塗れとなりながらもハイテンション音楽に合わせて踊り狂う真紅の瞳を持つ者達。

 

狂気の会場に来てしまった人間達が逃げ出そうとするのだが、周りの客が襲い掛かってくる。

 

<<アァァァァーーーーッッ!!!>>

 

全身に喰らいつかれた者達が声を上げながら泣き叫ぶ地獄の光景。

 

ここは既に人間達の憩いの場ではなくなっていた。

 

夜を象徴する店の一つである神浜のクラブ店舗は吸血鬼の巣となっていたのだ。

 

そんな地獄の店舗に向けて1人の男が下りてくる。

 

190cm近い男に驚いた受付の者が立ち塞がるが突然首を掴まれたまま持ち上げられてしまう。

 

「がふっ!!?」

 

頭部が天井にめり込む程にまで打ち付けられた男が藻掻く中、現れた男が武器を抜く。

 

クラブ店舗に入れる扉から剣の切っ先が貫通して飛び出してくる。

 

扉を蹴破った男が店舗に入る中、背後では絶命した者が弾けてMAGの光を放出する最後を迎えた。

 

スプリンクラーの血液噴射が止まった店内に入ってくる者に視線が向けられていく。

 

「お…お前は……?」

 

咽返る程の血の匂いに包まれた店内に現れたのは純白の剣士を思わせる男。

 

白いスーツズボンと白いトレンチコートを纏い、白銀のロングソードが納められた鞘を持つ姿。

 

真ん中分けにした黒い長髪を後ろで括り、額には赤い十字架のような印を刻む者。

 

その男こそ邪悪な吸血鬼であるクドラクと戦う定めを背負いしヴァンパイアハンターだった。

 

「吸血鬼共め…。貴様らを生み出したのはクドラクだという事なら分かっている」

 

血を吸い尽くして絶命した人間達を捨てた吸血鬼達が立ちあがっていく。

 

真紅の目を光らせる者達が吸血鬼として悪魔化を行うのだ。

 

「クドラク様が言ってたな…俺達を狩り殺すヴァンパイアハンターがいるってよぉ!!」

 

「アンタがそうだってのならさぁ…丁度いいじゃん!この場でぶち殺してあげるからさぁ!!」

 

吸血鬼の男達はストリゴイイ化を行い、吸血鬼の女達はカラスのような悪魔化を行う姿を見せた。

 

【ストリゲス】

 

イタリアに伝わる夜になるとカラスに変身して人間の血を求める吸血鬼の一種である。

 

中世の法律や勅令などの公文書でも言及された存在であり、子供の血を好むという。

 

ローマに古くから伝わる吸血フクロウ・ストリクスが原型とも言われているようだ。

 

そのためストリゲスは梟に変身することが出来るともされていた。

 

現れた純白の剣士を取り囲むようにして吸血鬼悪魔が動いていく。

 

迎え撃つ剣士は片手に握られた鞘を持ち上げ、銀のロングソードを抜刀する。

 

鞘を縦に向けて構え、ロングソードを合わせる形として生み出したのは十字架であった。

 

「十字架の名を持つ私に戦いを挑むというならば…神の炎で焼かれる覚悟を示すがいい!」

 

鞘に刃を滑らせながら振り抜き、大きな火花が舞う中を駆け抜ける。

 

「殺せぇぇぇぇーーーっ!!!」

 

キリングステップを駆使して飛びかかってくるストリゴイイの群れに対して剣を振るっていく。

 

<<ギャァァァーーーッッ!!?>>

 

連続した切上げで切り裂かれた吸血鬼達が地面に倒れ込んだ瞬間、体が燃え上っていく。

 

彼の振るうロングソードは吸血鬼の弱点である銀で出来ており切り裂けば吸血鬼を燃やし尽くす。

 

側面から飛びかかってくるストリゴイイに対し、舞うような払い斬りを行う。

 

一回転した勢いで振るわれた刃が左右から飛びかかってきた吸血鬼を同時に切り裂く。

 

「舐めてんじゃないわよーーっ!!」

 

牙を剥き出しにしながら飛びかかってくるのはストリゲスと呼ばれるカラスの吸血鬼。

 

巨大なカラスの体に女性の上半身が生えたような醜い吸血鬼に向けて低空姿勢からの蹴りを放つ。

 

「アギャーーーッッ!!?」

 

低空後ろ回し蹴りで蹴り飛ばされたストリゲスがクラブの奥にまで蹴り込まれてガラスを砕いた。

 

吸血鬼にされた者達が恐れおののくが、それでも数の暴力があるうちは怯まない。

 

取り囲む者達に視線を向けながらも、銀の刃を地面に沿わせながら円を描く。

 

「吸血鬼に成り立ての者共か。魔法さえロクに扱えないならば…私から動くこともない」

 

剣の切っ先で描いた円の中で立つ者が行うのは明らかなる挑発行為。

 

この場から動かず残りの吸血鬼を全て相手すると宣言してくるのだ。

 

「クソ…ビビるんじゃねぇ!舐め腐ったヴァンパイアハンターをぶっ殺してやれーーッッ!!」

 

怒り狂った吸血鬼達が飛びかかってくる。

 

しかしこれは罠なのだ。

 

純白の剣士の周囲に浮かぶのは破魔を司る光の書物の紙。

 

周囲を舞う破魔の書物に触れた瞬間、吸血鬼全てが光りと化していく。

 

<<ギャァァァーーッッ!!?>>

 

全ての吸血鬼を即死させた魔法こそ、悪しき存在を纏めて浄化の光で消滅させるマハンマオン。

 

吸血鬼の巣を滅ぼした者が周囲に目を向ける。

 

「……あの吸血鬼共の中には眷属を増やす力を与えられた者も混じっていたか」

 

血払いを行い剣を鞘に仕舞った男が次に狙うのは襲われた人間達。

 

見れば絶命したかと思われた者達が次々と起き上がってくる光景が広がっていたからだ。

 

純白の剣士が右手を掲げれば業火の炎が生み出され、店内に向けて一気に放つ。

 

吸血鬼として覚醒しかけた者達が業火に焼かれ燃える光景すら視線を向けずに男は去っていく。

 

燃えるクラブ店舗から出て行く男を高層ビルの屋上から見つめる男こそ、この惨劇の元凶だった。

 

「魔法少女を炙り出すつもりだったがクルースニクが釣り上がるとはな。どこまでもムカつくぜ」

 

忌々しい表情を浮かべる者こそ、クルースニクが追い求める邪悪な吸血鬼クドラクである。

 

漆黒のマントで体を包み込んだクドラクが弾けて無数の蝙蝠となり飛翔していく。

 

クルースニクとの戦いが近い事を考えながらも、彼と同じ目をした魔法少女も同時に探す。

 

「あの金髪ポニーテールの魔法少女は生かしておけねぇ…クルースニク共々ぶっ殺す!!」

 

クドラクは追い求める。

 

神浜テロの時に現れた魔法少女を殺すためにこそ、再びこの街に訪れたのだから。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

悪魔の力を手に入れた頃から神浜の街には悪魔の存在を見かけるようになってくる。

 

魔獣討伐の傍ら魔法少女達は見つけ出した悪魔と戦う毎日を送っていたようだ。

 

「行くぞ!レナ、かえで!!」

 

大剣を構えるももこが放つ魔法とは悪魔の補助魔法であるタルカジャである。

 

攻撃力が強化されたレナが槍を構えながら突進する。

 

「おっと危ねぇ!!」

 

槍の突撃をキリングステップで避けたのは吸血鬼化させられたストリゴイイ共である。

 

異界化した路地裏を飛び跳ねながら魔法少女達から距離をとる。

 

「逃がさないわよ!!」

 

頭上で槍を一回転させるレナの周囲に水の魔力が浮かび上がっていく。

 

浮かび上がった水が氷結していき鋭い刃と化して発射。

 

放つ魔法とは『マハブフ』と呼ばれる全体を攻撃する氷結魔法である。

 

「ぐふっ!?」

 

キリングステップで避け続けたが脇腹を貫かれた吸血鬼共が地面に倒れ込む。

 

呻き声を上げる悪魔共を一掃するためレナはマギア魔法を行使する。

 

彼女の背後に複数の鏡が生み出されガラスには複数のレナが生み出されていく。

 

槍を同時に投擲しようとした時、ストリゴイイ共を援護する別の吸血鬼が現れたようだ。

 

「そんなに鏡が好きなら!アンタも鏡になっちまいなぁ!!」

 

「あれも悪魔なわけ!?」

 

空から現れたストリゲスに狙いを変えようとしたが先に決まったのは吸血鬼の魔法である。

 

「えっ……?」

 

真紅の魔眼から放たれたのは敵全体をMIRROR化させる『ミラープリズン』と呼ばれる破魔魔法。

 

ももことかえでは咄嗟に避けるが攻撃態勢状態であったレナはMIRROR化させられてしまう。

 

<<何よコレェ!!?>>

 

並んだ鏡と同じようにMIRROR状態となってしまったレナに向けて手負いの吸血鬼が飛びかかる。

 

「そのままでいろ!俺が蹴り砕いてやる!!」

 

ストリゴイイが放つのはキリングステップから放つ蹴りの一撃。

 

ストリゲスのミラープリズンとの連携こそがストリゴイイの真価を発揮する凶悪な連携技である。

 

しかしレナと共に戦うのは長いコンビを組んだ魔法少女達。

 

「なんだぁ!?」

 

鏡にされたレナを蹴り砕こうとしたストリゴイイに絡みついたのは地面から伸びた木の根である。

 

「レナちゃんはやらせないよ!!」

 

魔法の杖を振りかざして放つのは、かえでのマギア魔法である『ジャッジメントアース』だ。

 

木の根で拘束されたストリゴイイにトドメを刺すため木で出来た魔法武器に風を纏わせていく。

 

「やぁ!!」

 

マギア魔法と組み合わせた悪魔の力とは敵全体に疾風属性ダメージを与える『マハザン』である。

 

<<ギャァァァーーーッッ!!?>>

 

無数のカマイタチに全身を切り裂かれたストリゴイイ達が砕けてMAGの光を放つ。

 

「チクショウ!!これ以上好きにやらせるもんか!!」

 

「往生際が悪いのはアンタら悪魔の方さ!!」

 

後方に振り向けば大剣に炎を纏わせたももこが横薙ぎの構えを行っている。

 

咄嗟に反撃の氷結魔法を放とうとするが遅過ぎたようだ。

 

「くらえーーーっ!!」

 

業火を纏わせた大剣の右薙ぎから発射されたのは炎の全体魔法攻撃である『マハラギ』である。

 

「グギャァァァーーーッッ!!?」

 

炎が弱点の吸血鬼が燃え上り灰となったストリゲスがMAGの光だけを残す最後を迎えたようだ。

 

ストリゲスを始末した事で鏡に変えられたレナの姿も元に戻る。

 

「危なかったねーレナちゃん!私がいなかったら鏡のように壊されちゃってたよ?」

 

「う…うるさいわね!悪魔パワーを手に入れたレナがバッチリキメてやろうと思ってたのに…」

 

「まぁまぁ、助かったんだからいいじゃないか。それにしても…悪魔の力は侮れないよな」

 

「うん…そうだね。魔獣と違って魔法攻撃を仕掛けてくるし…それに知性だって持ってるよ」

 

「知性があるなら会話も出来るわよね?あそこに倒れ込んでる奴を尋問してやりましょうよ」

 

レナのマハブフの刃で足を貫かれて片足だけとなったストリゴイイの元にまで歩み寄る。

 

なぜ神浜に吸血鬼悪魔が現れ出したのかを問おうとしたようだが唾を吐きかけてきた。

 

「このっ!!女の子の顔に唾を吐きかけるだなんて…悪意の塊みたいな奴ね!」

 

「ケッ!話す事なんぞ何もねーよ!殺すならさっさと殺しやがれ!!」

 

「そうはいかない!お前たち悪魔がどうして神浜に現れ出したのかを吐かせてやる!」

 

大剣を向けてくるももこを見たストリゴイイの表情が変わる。

 

「金髪のポニーテールの魔法少女か…。お前がもしかして…クドラク様が探してる奴なのか?」

 

「クドラクだって…?もしかして、神浜テロの時に現れた吸血鬼の事なのか…?」

 

「ククク…その通りさ。あの御方はお前の命を狙ってるのさ…行って殺されて来いよ」

 

背中を壁に預けたストリゴイイがクドラクが潜伏している場所を教えてくれる。

 

潜伏先とは工匠区にある旧車両基地であったようだ。

 

生き恥を晒したまま帰ったところでクドラクに殺されるのは分かっている。

 

片手を持ち上げたストリゴイイは自らの手刀を用いて心臓に片手を突き刺す。

 

「ガフッ!!!」

 

吐血して倒れ込んだストリゴイイが弾けてMAGの光を残す最後となった。

 

MAGの光が消えれば地面に転がっていた宝石等のアイテムを見つけられたようだ。

 

「クドラクがこの街に来てるなら…もしかしたら十七夜さんも来てるかもしれない」

 

「ももこの命を狙ってるって言ってたわよね…?あの吸血鬼の狙いは何なの…?」

 

「分からないけれど…アタシを狙うために吸血鬼悪魔をばら撒いてるなら…アタシは行くよ」

 

「ももこだけ行かせるつもりなんてないわよ!レナだって…あの吸血鬼は許さないんだから!」

 

「そ、そうだよぉ!あの悪い吸血鬼が十七夜さんを噛んだから…十七夜さんは悪魔になったし!」

 

「レナ…かえで…ありがとう。心強い仲間がいてくれて…アタシは幸せ者だね♪」

 

決心がついたももこは落ちていた魔石と宝石を拾い上げる。

 

「ヴィクトルさんが言ってたけど…悪魔から手に入る魔石の力が本物なら…」

 

ももこは魔石をソウルジェムに近づけてみる。

 

すると魔力消費による穢れを吸い出すことが出来たようだ。

 

「悪魔も魔獣と同じような石を生み出すのね…。吸い取る量はグリーフキューブを上回ってるわ」

 

「これから私達は…どう生きればいいの?魔獣を倒しながら…悪魔とも戦い続けるの…?」

 

「得られる物が無いならキツかったけど…得られる物が大きいなら…やる価値はあるよ」

 

「それにしても…悪魔は宝石まで落としてくれるし…レナ…宝石なんて初めて触るわよ…」

 

拾ったガーネットを見ながら物欲しそうな目つきをしているレナに向け白い眼差しを向けてくる。

 

ネコババしたい気持ちを見抜かれたレナは渋々懐に仕舞い業魔殿に持ち込むことにしたようだ。

 

帰路につく魔法少女達を見送るのは物陰に隠れていたクルースニクである。

 

「……工匠区の旧車両基地か」

 

暗闇の世界へと消えていく彼もまたクドラクを追う者である。

 

吸血鬼と縁深き者達が向かうのは古びた棺桶の山の如き旧車両基地。

 

そこに潜むのはリビングデッドとなった悪魔達であり、彼らを待ち受けているだろう。

 

吸血鬼となった人間達を救う術などない狩人達は一刻も早く終わらせなければならない。

 

これ以上の犠牲者を生み出すわけにはいかなかった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

工匠区にある旧車両基地の中には捨てられた電車の数々が横たわっている。

 

ここは地元でも有名な不良のたまり場であり、至る所にスプレーアートの落書きが描かれていた。

 

ここに目を付けたクドラクの目的とは手下を増やすためである。

 

夜中に集まっていたチンピラ達を襲い、全員を手下の吸血鬼に変えていたのであった。

 

古びた骨組みで作られた倉庫にある廃棄車両の席で寝転がっている者こそ邪悪な吸血鬼の親玉。

 

暇を持て余していたようだが突然起き上がり、憎悪の感情を燃え上らせる表情を浮かべるのだ。

 

「…へっ、テメーの方から先に現れたか。ここまで来なよ…オレの手で引き裂いてやるぜ」

 

古びた線路に並べられた廃棄車両置き場はまるで迷路のように入り組んでいる。

 

歩哨をやらせている吸血鬼達が潜んでいたのだが、絶叫を上げながら滅ぼされていく。

 

「つ…強過ぎる……ギャァァァーーーッッ!!!」

 

逃げ惑う吸血鬼の背中に大火球が命中して燃え上っていく。

 

倒れ込んだ悪魔がMAGの光となる光景を踏み越えていく者こそがクドラクの宿敵。

 

「奴の匂いがする…近いな。あの古びた倉庫の中か?」

 

チンピラ程度を吸血鬼に変えたところで戦力としてはたかが知れている。

 

古の頃より戦い続けてきた宿敵だからこそ相手の実力を知っているというものだ。

 

血のように染まった月に照らされた旧車両基地の倉庫を見上げる。

 

クルースニクの視界に入った者こそ、数多の世界で殺し合ってきた吸血鬼悪魔の姿。

 

眉間にシワが寄り切ったヴァンパイアハンターが宿敵に向けて叫ぶ。

 

「クドラクッッ!!!」

 

倉庫の屋根に佇む者が邪悪な笑みを浮かべてくる。

 

「イヨォォォ…クルースニク。久しぶりじゃねぇぇぇかぁぁぁ……」

 

漆黒のマントで身を包む邪悪な吸血鬼の目は血走っている。

 

クルースニクに向けて抑えようのない憎悪が浮かび上がった者が狡猾な態度で語り始める。

 

「この街でオレは恥をかかされたんだよ。恥をかかせた魔法少女を探してたんだがなぁ……」

 

「貴様ほどの吸血鬼でも魔法少女に後れを取るか。彼女達の力は侮れないからな……」

 

「そういや、テメェも戦った事があったよな。どうだった?悪魔の傀儡にされてた頃の気分は?」

 

「あれ程までの屈辱……晴らさずにはいられない。貴様を倒した後は…連中を探し出す」

 

「やる気十分なら連中を探すヒントを教えてやるよ。イルミナティとディープステートを追いな」

 

「イルミナティとディープステートだと…?そいつらがあの施設を運営していた連中か?」

 

「そういう事だ。連中なんぞどうでもいい…オレは自分のためにしか戦わない主義だからなぁ」

 

「…ならばこの地で終わらせてやろう。貴様には地獄の底で業火に焼かれる姿がお似合いだ!!」

 

左手を前に向けて握り込む。

 

左手から光りの魔力が噴き上がり、出現したのは光の弓。

 

寝かせて構える光弓の弦に右手を添えながら引き絞っていく。

 

天扇弓を放とうとするのだがクドラクは邪悪な笑みを浮かべながら高笑いを行ってくる。

 

「ハハハ!気が早いんじゃねーのかぁ?先ずはそいつらが相手をしてくれるってよぉ!」

 

視線を横に向ければ霧が充満している。

 

周囲も異界に包まれていき獲物を逃すつもりはない敵意を示してきた。

 

<<てやんでぇ!!ヴァンパイアハンターなんぞ俺達がぶっ殺してやるさ!!>>

 

霧が実体化して現れたのは二体のヴァンパイア達。

 

振りかぶった爪から噴き出すのは猛毒であった。

 

光弓を消したクルースニクが二体のヴァンパイア達を迎え撃つ。

 

「こいつらも吸血鬼を増やすのに一役買っていたか!!」

 

毒ひっかきを行うヴァンパイアの片腕を右腕で受け止める。

 

受け止めた手で相手の腕を回し込んで払い除けた手に握られていたのは袖から取り出した武器。

 

銀を加工した杭を心臓に目掛けて突き刺し、横から迫る相手に向き直る。

 

豪快な横薙ぎから放つ毒ひっかきを左腕で受け止めた直後に腕を掴み、相手の体を回し込む。

 

ヴァンパイアの背後に立ったまま右腕で相手の腕を絡めとった状態で左足を蹴り上げる。

 

「ぐふっ!?」

 

顔面を蹴り込まれて怯んだ相手に放つのは左手に持たれた銀の杭。

 

拘束したまま心臓に杭を打ち込み、よろけた相手に向けて後ろ回し蹴りを放ち蹴り飛ばした。

 

<<ギャァァァーーーッッ!!!>>

 

心臓に銀の杭を刺されたヴァンパイア達が藻掻き苦しみながら燃え上っていく。

 

広江ちはるが苦戦したヴァンパイア達を秒殺したクルースニクが周囲に視線を向ける。

 

「やるじゃねーか!技の方は衰えてはいないようだな!」

 

周囲の上空に浮かび上がっているのは廃棄車両である。

 

超能力によって全体を攻撃する物理系魔法の『マハサイオ』を行使したようだ。

 

「チッ!!」

 

クルースニク目掛けて複数の廃棄車両が高速で迫りくる。

 

地面に叩きつけられた衝撃で土煙が上がる中を突っ切ってくるのはクルースニクの姿だ。

 

クドラクも屋根の上から跳躍した勢いのまま蹴りを放つ。

 

「オラァァァァーーーッッ!!」

 

跳躍して斬撃を放つクルースニクの刃よりも先に決まった蹴りを受け、体が蹴り飛ばされていく。

 

「ぐはっ!!」

 

地面の廃棄車両ごと弾き飛ばされていった者に視線を向けるクドラクが邪悪な笑みを浮かべる。

 

「技は衰えていないようだが…力の方はからっきしじゃねーか!」

 

土煙を上げる中、剣を杖にしながら立ち上がるクルースニク。

 

口元の血を袖で拭いた男の目は揺るぎない闘志を向けてくる。

 

それでも今の彼は克服出来ない問題を抱えているようだ。

 

「あれから彷徨ったようだが、サマナーに拾われてないなら……MAG不足に陥っているな?」

 

本来のクルースニクの力ならクドラクに押し負ける事はなかった。

 

しかし今の彼は指摘された通りMAG不足に陥っている。

 

MAGは悪魔の体を構成する感情エネルギーであり食事と同じ。

 

食事をとらないまま動き続ければ人間だって体が弱り切ってしまうだろう。

 

「テメェの性格なら人間を襲ってMAGを喰らう事はないだろうが…その甘さが命取りなんだよ」

 

「くっ……っ!!」

 

立ち上がったクルースニクは剣に業火を纏わせて振り抜く。

 

放たれたのは敵全体に炎攻撃を放つマハラギオン。

 

しかしクドラクは両手を広げながら余裕の態度で歩いて来る。

 

次々と火球が直撃していくが、体は燃え上ってはいなかった。

 

「バカな…炎を無効化しただと!?」

 

「昔のオレだと思うんじゃねぇ!!」

 

蹴りを放つ足をガードするが威力に耐え切れずに弾き飛ばされる。

 

廃棄車両に体をぶつけたクルースニクは車両ごと弾き飛ばされていった。

 

「ククク…力が溢れるぜ!すげぇもんだよなぁ…悪魔合体の恩恵ってやつはよぉ!!」

 

邪教の館を手に入れたダークサマナー達は所有する悪魔を強化している。

 

シドが所有する悪魔であるクドラクも強化された事により、吸血鬼の弱点を大幅に克服していた。

 

「破魔の魔法も使ってみろよ。無駄な足掻きをしてくれねーと…オレも楽しめねーしなぁ」

 

迫りくる強敵を前にしても立ち上がろうとする。

 

MAG不足な上に弱点も大幅に克服された相手では分が悪過ぎるだろう。

 

それでも彼は立ち上がるのだ。

 

「ぐぅ!!」

 

胸倉を掴んで持ち上げられたクルースニクに向けて勝ち誇った顔を向けてくる。

 

「テメェは調子悪くても、オレは絶叫調ってわけだな?考えなしに現れるからこうなるのさ」

 

「黙れ…ッ!!我が名にかけて…貴様から退くわけには…いかん!!」

 

「そうだったよなぁ。テメェとオレとは殺し合うのが運命…何処の世界に召喚されても同じだな」

 

帯電させた右手を構えたクドラクが放つのは電撃を纏わせた貫手である。

 

狙うのはクルースニクの急所となるだろう心臓であった。

 

「テメェの顔も見飽きたぜ!そろそろオレの前から……永遠に消え失せろぉ!!」

 

貫手の一撃が放たれようとした時、クドラクは視線を横に向ける。

 

「チャンス逃してたまるかーーっ!!」

 

異界に侵入してきたのは魔法少女達。

 

ももこが振り下ろす大剣の一撃が迫るが、彼女に向けてクルースニクを投げ捨てる。

 

「くぅ!?」

 

一撃を放つのを止めたももこが彼を受け止めたが勢いのまま弾き飛ばされてしまう。

 

「見つけたわよ吸血鬼!!今度のレナ達は一味違うんだから!!」

 

槍で突撃を行うレナの一撃を跳躍して回避するが右足に木の根が絡みつく。

 

「よくも十七夜さんを……許さないんだから!!」

 

木の杖を構えて放つのは敵単体に中威力の疾風属性ダメージを放つザンマの魔法攻撃。

 

かえでが放った疾風の塊が拘束されたクドラクに迫るが、霧化によって拘束から抜け出された。

 

「へへへ…ようやく見つけたぜ!オレに恥をかかせた魔法少女共!!」

 

空中で実体化したクドラクの両手が帯電していく。

 

次々と雷魔法が繰り出される光景が広がる中、倒れ込んでいたももこが起き上がる。

 

「大丈夫!?」

 

クルースニクに近寄るが立ち上がることも出来ないまでにダメージを負っている。

 

「魔法少女か…助けてくれたことには礼を言う…。だが、直ぐに逃げるんだ…」

 

「そうはいかない!あの吸血鬼はアタシ達の大切な人を吸血鬼に変えた…絶対に許せない!!」

 

「クドラクを甘く見るな…。あの悪魔は強化されている…戦えばお前まで吸血鬼にされるぞ…」

 

「それでも引かない!アタシはね…大切な人々をもう…吸血鬼になんて…されたくないから!!」

 

燃え上る義憤の炎を宿したももこの目を見つめるクルースニク。

 

彼女の義憤の感情こそクルースニクの感情であり、クドラクと戦い続ける信念だった。

 

彼女の覚悟を認めるようにして微笑んでくれる。

 

「…少しの間だけ時間を稼いでくれ。体が動くようになれば…私も仕掛けに行く…」

 

「うんっ!!」

 

大剣を肩に担いだももこが駆けていく。

 

彼女の後ろ姿を見送るクルースニクの目には懐かしさが込み上げていた。

 

「あの子が叫んだ言葉こそが…私の原点だったな…」

 

ももこも加わった事でクドラクとの戦いは激戦となっていく。

 

悪魔の魔法まで行使出来るようになった魔法少女に驚きを見せるが、それでも実力が離れている。

 

「きゃぁ!!」

 

「あぁ!!」

 

クドラクの一撃を浴びせられたレナとかえでが廃棄車両に目掛けて叩きつけられていく。

 

「くそっ!!」

 

クドラクの胴体に目掛けて袈裟斬りを放つももこであったが右手で刃を掴まれてしまった。

 

「魔法少女が悪魔の魔法まで行使出来るか…。まさかテメェらも悪魔合体を行ったのか?」

 

「それがどうした!!アタシはお前を倒す力を手に入れられるなら…()()()()()()()()()()!」

 

「へっ!十七夜を吸血鬼にされた事が悔しいようだな?喜べよ、あの女は最高の吸血鬼になる」

 

「黙れぇ!!お前を倒して十七夜さんを連れ戻す…それが調整屋との約束なんだぁ!!」

 

「相変わらずムカつく女だぜ!!テメェだけは八つ裂きにしないと気が済まねぇ!!」

 

御霊合体で強化された力をもってしても強化されたクドラクを圧しきれない。

 

徐々に刃が彼女の顔にまで押し上げられ、かつての再現となってしまう。

 

「悪魔合体で強化されたのはテメェだけじゃねぇ!今度こそ命乞いをさせてやる!!」

 

「まだ…届かないのか…!!アタシの力は…足りないのか…ッッ!!」

 

力を求めた魔法少女がさらなる力を求める。

 

それを手に入れられるかもしれないキッカケとなる者こそが、彼女と同じ信念を宿す者。

 

「ハァァーーーッッ!!!」

 

ももこの背後から跳躍斬りを仕掛けてきたのはクルースニク。

 

彼が放つ刃が届いたのはももこの大剣。

 

放たれた横薙ぎの一撃が合わさり十字架の形となる。

 

「なんだとーーーッッ!!?」

 

クルースニクの力とももこの力が合わさった大剣の一撃がクドラクの右手を切り裂いていく。

 

ももこの大剣はそのままクドラクを斬り捨て、上半身が滑り落ちた。

 

「キサマらーーーーッッ!!!」

 

上半身を切り落とされようが吸血鬼はこの程度では死ぬことがない不死性を持っている。

 

無数の蝙蝠となったクドラクが飛び去るようにして異界の空へと消え去る姿だけを残すのだった。

 

異界が消え去り元の旧車両基地の光景が広がっていく。

 

後ろに振り向いたももこが片手を上げながらサムズアップのハンドサインを見せてくる。

 

「ナイスコンビネーション♪」

 

「フッ……私に一撃を浴びせた魔法少女達の真似をしてみただけだ」

 

微笑んでくれたクルースニクの元へとレナとかえでも駆け寄ってくれる。

 

こうしてクドラクとの再戦を乗り越えた魔法少女達であったが敵はさらなる力を手に入れていた。

 

助けてくれたクルースニクの助力を乞うのだが、彼は何も言わずに去っていく。

 

「何よアイツ……感じ悪いヤツじゃない」

 

「でもさ…悪い悪魔じゃないと思う。だって悪い吸血鬼と戦い続ける狩人さんだし」

 

「クルースニクさんかぁ…。いつかまた…再会したいよね♪」

 

「ももこはああいうのがタイプなわけ?」

 

「そ、そういう意味じゃないって!顔はまぁ……イケメンだったけど」

 

「うふふっ♪そこらへんをもっとリサーチしてもいいと思うなー♪」

 

「いいこと言うじゃない♪明日の昼休みは!ももこの男性好みを徹底的にリサーチするわよー!」

 

「どうしてそうなるんだよーっ!?」

 

生き残れた彼女達だが、再びクドラクと戦う日が訪れることになるだろう。

 

ももこを許さないクドラクは彼女の命を狙い続ける者となったのだから。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「こんなところで……倒れるわけには……」

 

路地裏に倒れ込んでいたのはクルースニクである。

 

彼のMAG不足は深刻な状態であり、クドラクとの戦いで全身が傷ついている。

 

このまま放置しては彼の命に関わる状態であるのだが、それでも魔法少女に助けは求めなかった。

 

「私は独りでいい…。心を通わせる者など…もう必要としない……」

 

意識が薄れていくクルースニクが思い出すのは数々の世界で巡り合えた人々の姿。

 

心を通わせる事が出来た者達もいたが、ヴァンパイアハンターに待っていたのは悲惨な現実。

 

クドラクに襲われて血を吸われた大切な人々は吸血鬼となり、殺す事でしか救えなかった。

 

吸血鬼を狩る者が背負わなければならない悲しみの業は何度でも繰り返されてしまう。

 

いつしかクルースニクは他人との繋がりを求めない孤独な者と成り果てた過去を背負っていた。

 

「クドラクを倒す…。私は…光のヴァンパイアハンター…。それこそが…私の存在意義だ……」

 

「ならばその道、我らと共に進むつもりはないか?」

 

掠れた目を路地裏の奥に向ければ、近寄ってくる者達が現れる。

 

クルースニクの前に現れたのは葛葉ライドウとゴウトであった。

 

「この近くで強大な魔力を感じたので駆けつけようとしたが、逃げられてしまってな」

 

「お前は……デビルサマナーか……?」

 

「この者は葛葉ライドウ。うぬと同じく人々に害を成す悪魔共を憎む者なのだ」

 

「私に……仲魔となれと言いたいのか…?」

 

「このままではうぬは死ぬ。目的も果たせずこの世界から消えようというのか?」

 

「そんなつもりは……ない……」

 

「MAGが枯渇しても人々を襲わない覚悟を示すうぬが気に入ったとライドウも言っているぞ」

 

視線を隣に向ければ応えるようにしてライドウが頷いてくれる。

 

誰とも触れ合う気はなかったが、それでもこのままでは死ぬしかない。

 

背に腹は代えられないと覚悟を決めたクルースニクは頷いてくれたようだ。

 

封魔管を一本取り出したライドウがクルースニクに向けてくる。

 

蓋が開いていくとクルースニクの体がMAGの光となっていき封魔管へと吸い込まれた。

 

「強力な悪魔を手に入れられたようだな、ライドウ?」

 

「……この者が言っていたクドラクと呼ばれる悪魔を放っておくわけにはいかないな」

 

「そうだな…。これ程までに吸血鬼をばら撒く悪魔を放置するわけにはいかん」

 

ヤタガラスからの使命を預かる者であるが、それでもライドウの心にも義憤の炎が宿っている。

 

次にクドラクが現れた時はライドウもまた動く。

 

クルースニクの召喚者となった者として共に生きる意志を示してくれる。

 

封魔管の中に納まった形無きクルースニクは安心するかのようにして眠りにつく。

 

神浜の地にばら撒かれた吸血鬼騒動は魔法少女達の尽力によって終息を迎える事になるだろう。

 

それでもこの地の平和が訪れることはない。

 

神浜は悪魔と深く関わる街となり、これからも悪魔を引き寄せる事になるのであった。

 




ももこちゃんの元に純白の剣士…ももこちゃんもいずれ純白の剣士になっちゃうんでしょうかねぇ?
まぁヴァンパイア化したなぎたんが出るならお約束が待ってるということでしょう(汗)
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