人修羅×まどマギ まどマギにメガテン足して世界再構築   作:チャーシュー麺愉悦部

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214話 大正時代からの因縁

イルミナティに所属するシド・デイビスと戦った葛葉キョウジは敗北した。

 

ダークサマナーとしてのシドの実力は桁外れであり、腕利きのサマナーでも敵わなかった。

 

からくも生き延びる事が出来たキョウジではあるが、屈辱に苛まれている。

 

葛葉一族の異端児として蔑まれてきた者であるキョウジは誰よりも負けん気が強い。

 

だからこそ敗北を受け入れることなく再戦の時を虎視眈々と狙っているのだ。

 

しかしデビルサマナーとして葛葉キョウジは超えられない壁を抱え込む者。

 

サマナーとしては力が弱い陰陽師系サマナーであるため、今のままでは力の差を覆せない。

 

ならばこそ、自身に足りないモノを別の何かで補う必要がある。

 

葛葉キョウジは目的の為なら手段を選ばない冷酷な男。

 

他人を道具にするだけでなく、自身の命すら省みない狂った悪魔召喚師。

 

だからこそ彼は初代葛葉キョウジが残した禁忌に手を出すのだ。

 

陰陽師系サマナーでも力を高められる霊薬を作るため、現代葛葉キョウジは動き出した。

 

……………。

 

地下室に下りていく足音が響く。

 

階段を下りるほど怨恨に塗れた悪魔の叫び声が聞こえてくる。

 

誰もいない地下室に入り込むと、囚われた悪魔が憎悪の叫びを上げるのだ。

 

「グガァァァーーーッッ!!!」

 

もはや自我すら崩壊する程にまで飢えて苦しむ悪魔とは、人の顔を持った牛であった。

 

【クダン】

 

牛の体と人間の頭、もしくは人間の体と牛の頭を持つとされる妖怪。

 

江戸時代から昭和前半まで日本各地で一種の都市伝説として様々な目撃談が伝わっているようだ。

 

出現時に不吉な予言を残す事が多いとされ、日本の太平洋戦争敗北も予言したとされた。

 

「MAG不足も限界に辿り着いたようだな?」

 

五芒星結界に囚われたクダンの全身には陰陽師が用いる護符を使った茨の鎖が巻き付いている。

 

拘束されたまま放置された人面牛は飢えに苦しみ錯乱するまでに追い込まれていた。

 

「お前を探し出すのには苦労した。()()()の秘術を完成させるには牛の神を用いた生贄が必要だ」

 

供倶璃(くくり)家とは、ライドウが生きた大正時代における悪魔召喚士一族の家系である。

 

その一族が残した秘術こそ、サマナーのMAGを練り上げる力を持つ蟲毒の丸薬レシピ。

 

これらを巡る騒動となった事件こそ、コドクノマレビト事件と呼ばれる都市伝説であった。

 

「供倶璃の祖は神の使いの牛を蟲毒に用いて飢えさせて殺し、その血で特殊な丸薬を作った」

 

キョウジの右手に持たれているのは七星剣と呼ばれる中国の伝統的な剣。

 

神の使いを生贄にした供倶璃の祖の真似をする形でキョウジはクダンを捕らえ、そして殺すのだ。

 

蟲毒という呪術は飢餓状態の生物が生み出す欲深さを力に変える呪術である。

 

財を集めたい強欲な者が蟲毒を用いて犬神憑きと言われたように、手段を選ばぬ者が用いる禁術。

 

冷酷なまでに求めるものを追い続ける欲深き者でなければ行使する事も躊躇われるだろう。

 

全てはシド・デイビスという強大なるダークサマナーを倒すため、キョウジを禁忌を犯すのだ。

 

「俺の力となれる事を喜びながら…死ぬがいい!!」

 

牛の悪魔に踏み込んだキョウジが七星剣を両手持ちで振り上げる。

 

「アガァァァァーーーーッッ!!!!」

 

天女のような頭部を持つ人面牛の首が跳ね落ち、牛の体も倒れ込む。

 

すぐさまキョウジは懐から試験管を取り出して掴んだ生首から悪魔の血液を採取していく。

 

痙攣を続けていた死体からの用事も済ませた彼はクダンの頭部を投げ捨てる。

 

MAGの光となって砕け散る悪魔に視線を向けることもなく、キョウジは地下室を後にした。

 

「神の使いであろうと悪魔に変わりは無い。クダンで代用出来る筈だが……ぐぅ!!」

 

階段を上っていたが体がふらつき、横の壁にもたれかかってしまう。

 

見れば葛葉キョウジの体は酷く痩せ細っている。

 

頬がこけるまで体重が落ちてしまったのは、全ては蟲毒の丸薬の毒素に耐える体を作るため。

 

「様々な蟲毒の種類を生み出しては体に馴染ませる荒行は堪えたな…。だが、全ては勝つためだ」

 

命を削る程の荒行を乗り越えてでも追い求めるものがある、それは勝利だ。

 

シド・デイビスは葛葉一族と同じようにして陰陽師系サマナーである彼を愚弄した。

 

葛葉キョウジの名にプライドを持つ彼にとって、それは絶対に許す事は出来ない侮辱。

 

プライドを傷つけられた者は飢える者となり渇望する。

 

他者を喰らい続けても生き残り、強欲なまでに勝利を求めるその姿は蟲毒そのもの。

 

それでも葛葉キョウジは恐れもなく蟲毒となり悪魔の呪詛を纏うのだろう。

 

供倶璃の祖が強欲なまでに財を求めたように、彼もまた強欲なまでに勝利を求めるのであった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

暫くした頃、キョウジは車を運転しながら神浜市に向かって行く。

 

ウラベから依頼を受けている者であるため、イルミナティの動向を報告しに行くというわけだ。

 

ついでに新たなる悪魔を得るために久方ぶりの業魔殿への来訪も予定している。

 

「久しぶりの神浜市か…魔法少女が多い街だったな。面倒な場所に業魔殿を建てやがって…」

 

運転する車はホテル業魔殿の地下駐車場で停車させ、エレベーターへと向かい一階店舗を目指す。

 

キョウジが訪れた場所とはホテルの商業フロアにあるレトロなBARであったようだ。

 

席に座って待っていたウラベの元にまで訪れた彼が向かい合うようにして椅子に座る。

 

しかしキョウジの顔を見たウラベは久しぶりの旧友との再会の喜びよりも心配の方が大きかった。

 

「暫く見ない間に…随分とやつれたな?」

 

「気にするな…背負うべき代償だ。それよりも、イルミナティについて調べた内容を報告する」

 

キョウジは生贄悪魔を探すだけでなくイルミナティについても調べている。

 

ダークサマナーを追っていくうちに氷室ラビを捜索していた者を見つけだし情報を吐かせていた。

 

「東京で何か大きなことをやらかすつもりなのか…?そのオーダー18とかいう作戦の内容は?」

 

「そいつを拷問してみたが知らなかった。末端の兵隊共には内容を伝えられていないようだ」

 

「イルミナティの狙いが東京だとしても…作戦決行日はいつだ?何も見えてこないな…」

 

「どうする?連中が何か大きな動きを見せ始める前に東京で待ち伏せておくか?」

 

「まだ情報が足りない…。もう少し情報を集めた後で東京で待ち構えるしかなさそうだな」

 

「その時は俺も動こう。大きな作戦になるならシド・デイビスが出てくる可能性も大きいからな」

 

「シドか…。イルミナティでも指折りのダークサマナーと戦ってよく生き残れたな?」

 

「他人を心配している場合か?お前だって狙うのはあのフィネガンだろうが?」

 

「そうだったな…。俺だって業魔殿で遊んでばかりいたわけじゃない。準備もしてきたさ」

 

「お互いに狙う獲物は大物だ。動くなら命を捨てる覚悟を決めておくことだな」

 

「俺に退路はないし、お前だって引くつもりは無いんだろ?リスクを承知で俺は行くぜ」

 

「フッ…いい覚悟だ。お互いに…長くは生きられないということだな」

 

依頼人との共闘の申し出を受け取ったキョウジは引き続き捜査を続けると言い残して立ち上がる。

 

しかしウラベは彼を引き留めるかのようにして視線を別の席に向けたようだ。

 

「すまないが、面倒事のついでをしてくれないか?会って欲しい人物がいる」

 

「会って欲しいヤツだと…?」

 

仕方なくウラベの後ろをついていき、女性が座っている席の前にくる。

 

鋭い視線を向けた先に座っていた人物とはナオミであったようだ。

 

「…貴方がミスターキョウジね?」

 

「貴様は何者だ?」

 

「私の名はナオミ。フリーのサマナーをしている者だけど…貴方に聞きたいことがあるの」

 

「答える義務はない。俺はボランティアなどやらない主義だ」

 

「私と同じくビジネスでしか人付き合いをしないタイプなのね。よろしくてよ」

 

答えてくれた情報には支払いをすると言われたため、渋々キョウジは椅子に座る。

 

ウラベは真ん中の席に座り込み、2人の会話内容を傍聴する態度を見せた。

 

彼女が話すまで黙っていたキョウジであるが、ナオミの顔を見ていると何かを思い出す。

 

(この女…何処かで見た事があるな?)

 

話始めるまで記憶の世界に浸っているとレイが持っていた写真の事を思い出す。

 

(まさか……この女がそうなのか?)

 

自分の部下の命を狙う者と出会う事になるとは考えもしなかったキョウジだが、直ぐに忘れる。

 

レイの問題はレイのものであり、彼が気にするべきではないからだ。

 

葛葉キョウジは冷酷な男であり自分の部下であるレイでさえ用済みになれば見捨てる男である。

 

そのため彼がレイに味方をすることもなく、レイが犯した罪を弁護する義理もなかったのだ。

 

「私が聞きたい話の内容とは……」

 

「俺の部下をやっているレイの居場所だろう?復讐を果たすために居所を突き止めたいか?」

 

それを問われた時、ナオミも鋭い目つきを返してくる。

 

「どうして分かったの?私がレイ・レイホゥの命を狙う者なのだと…?」

 

「答える必要は無い。俺は部下の問題に首を突っ込む気は無いし…アイツの弁護もしてやらない」

 

「薄情な男ですこと。でも私には都合がいい男ね…私の復讐を止めるつもりはないようだし」

 

「残念だが俺はレイの居場所は知らない。アイツは独自の依頼で動いている…それしか知らんな」

 

「上司のくせに部下が何をしているのかも把握してないだなんて…結構ズボラな男ね?」

 

「コイツは昔から面倒事は他人に押し付ける癖があるんだよ。その上でほったらかしなんだ」

 

「貴様…余計なことをベラベラ喋ると舌を引っこ抜くぞ」

 

「はいはい、お前は本気で実行する奴だから黙っておくよ」

 

レイの居場所を聞き出せなかったのは残念ではあるが、ナオミが聞きたかったのは別にある。

 

重苦しい表情を浮かべながらも、彼女はレイの上司だからこそ聞いてみたい事があったようだ。

 

「ミスターキョウジ。貴方はレイの上司としてコンビを組んできたのなら…見てきた筈よ」

 

ナオミが本当に聞きたかった話の内容とはレイ・レイホゥという加害者の人生である。

 

レイと再会した時ナオミはレイに対して期待していたものがあった。

 

それは加害者として悪女な態度を見せてくることであったのだが期待は裏切られてしまう。

 

香港時代で共に生きてきた頃のレイと変わらない態度を見せられたナオミは酷く混乱している。

 

だからこそ知りたくなったようだ。

 

罪人としてレイ・レイホゥがどんな人生を生きてきたのかを。

 

話の内容を伝えられたキョウジは沈黙していたが、それでも報酬分の内容だけは伝えてくれる。

 

客観的に彼女がどんな生き方をしてきたのかを伝えられたナオミの顔は俯いてしまう。

 

「俺が見てきた限りではレイは人殺しを楽しむ奴ではない。ヤタガラスの飼い狐でしかなかった」

 

「レイは自分の感情を押し殺してでも任務を果たすために…私の家族を殺したというわけね…」

 

「同情してやる必要は無い、それを選んだのはあの女だ。選択した者に責任が無いわけあるか」

 

「ええ…その通りよ。自由意志によって加害者になるのなら…その責任は背負わせるべきなのよ」

 

「自由を行使する者は常に責任が伴う。俺もまた己の自由の責任を果たす日がくるだろうな」

 

「誰も責任からは逃れられない…。だからこそ、人々は自由を欲するくせに自由を恐れるのね…」

 

「弱者は保身に走り秩序に盲従する。どう正しいかも考えず、()()()()()()()()()()()

 

「レイもまた保身に走る選択を選びヤタガラスに盲従した…。だからこそ、その責任を与えるわ」

 

知りたい内容を伝えてもらった彼女は口座を教えてもらいスマホ操作で入金を行っていく。

 

入金を確認し終えたキョウジは立ち上がり、地下の悪魔合体施設に向かう後ろ姿だけを残す。

 

顔を上げないナオミをそっとしておくためウラベも席から離れていった。

 

独り残された彼女は絞り出すようなか細い声で悔しい感情を吐き出してしまう。

 

「殺害任務なんてやりたくないって叫ぶ自由を…どうして望んでくれなかったの…レイ?」

 

悔しい感情を抱えたまま彼女の目から涙が零れ落ちる。

 

もしそれを望んで命を狙われたとしても、自分や老師達が守ってくれる未来だってあったはず。

 

それでもレイは自由(CHAOS)を望まず、秩序の道具として任務を果たすだけの駒となった。

 

レイ・レイホゥは独裁(LAW)国家やブラック企業と変わらないヤタガラスに育てられてきた者。

 

物心ついた時から自由を与えられず、それを望んでもいい自由すら知らない者でしかなかった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

ジャガー XJセダンを運転しながら帰路につくキョウジであったが水名区辺りで停車する。

 

「ぐっ…またか……っ!!」

 

道端に車を停めた彼は車から降り、急いで路地裏の方に駆けていく。

 

路地裏の壁に両手をついたキョウジは盛大に嘔吐してしまったようだ。

 

「蟲毒の丸薬製作は成功したが…副作用が抑えきれん…!」

 

供倶璃家が生み出した蟲毒の丸薬には使用者に害を成す副作用が存在する。

 

蟲毒に用いられた霊は強い飢餓に支配されており、丸薬を服用した者にも強い飢餓を与えていく。

 

丸薬そのものが飢餓という強い感情エネルギーの塊だと言えるだろう。

 

これを利用すればサマナーの足りないMAGを補う力にもなるが、使い続ければ無事では済まない。

 

最初のうちは強い活力を得られるが、やがて精神が強い飢餓感に支配されてしまう。

 

さらに服用を続ければ精神だけでなく肉体までも浸食され、いずれは強欲な悪魔と化す。

 

これらの副作用さえも陰陽師系サマナーは利用した上で自らを悪魔化させる事も行ったという。

 

「蟲毒の毒素に耐える体を作るためにあらゆる毒素を体に取り込んだが……ぐぅ!!」

 

胸を抑え込みながらキョウジは車に戻ろうとしていく。

 

歩きながらも彼の心の中にはどす黒い感情が噴き上がり続けている。

 

今の彼の心を支配している感情とは屈辱であった。

 

「俺は負けない…負ける訳にはいかない!葛葉キョウジの名を継いだ俺が…負ける訳には…!!」

 

脳裏に浮かぶのは初代葛葉キョウジの存在。

 

葛葉の異端児でありながらも葛葉の名を手に入れた男もまた屈辱を与えられた事がある。

 

初代キョウジが残した歴史に記されし存在こそが、14代目葛葉ライドウの名をもつ男であった。

 

「葛葉ライドウ…貴様も許す事は出来ない存在だ…!俺の先祖に屈辱を与えた者は…許さない!」

 

屈辱を与えた存在に向ける怒りと憎しみの感情こそが蟲毒の副作用である強い飢餓感。

 

屈辱を晴らし汚名返上を成し遂げたいという欲望こそが今の彼に力を与えてくれるだろう。

 

しかし制御出来ない力は力とは呼べないという事ならキョウジにだって分かっている。

 

何とか欲望を制御しようと車に乗り込み、ダッシュボードに入れてある精神安定剤を服用した。

 

「ふぅ……」

 

精神が落ち着くまではこの場から動けないキョウジは車の窓を開けて煙草を一服する。

 

紫煙を燻らせていたようだが、悪魔の魔力を感じ取ったようだ。

 

「悪魔の魔力だと…?近くにサマナーがいるのか?」

 

彼は助手席に置いてある七星剣の刀箱を背負い、車から下りて水名区の道を進んで行く。

 

この街は神浜テロで殆どを焼き尽くされており大勢の死者を出した瓦礫の街。

 

瓦礫が未だ散乱している街を歩いていくと誰かを見つけたようだ。

 

「この水名は神浜テロの際の主戦場だと聞いている。大勢が亡くなったからこそ悪魔が生まれる」

 

瓦礫の中で立っていたのは葛葉ライドウとお供のゴウト。

 

彼らは倒した悪魔が撒き散らしたMAGが空に向かって昇っていくのを見守っていた。

 

「荒ぶるミサキとなり果てた人間の魂は悪霊となる。鎮魂してやるのもサマナーの務めだ」

 

ライドウが戦った悪魔とは神浜テロの際に犠牲となった人間達が悪霊化した悪魔だったようだ。

 

【アラミサキ】

 

屍体に取り憑き崇る邪霊の事をミサキと呼ぶ。

 

異常な死を迎えた者や、祀られたり喪礼を受けられなかった死者の霊はミサキと化すとされる。

 

浮遊するミサキは生者にも取り憑き祟るとも言われているようだ。

 

また主神の荒ぶる崇りの側面をも象徴するアラミタマでもあった。

 

「魔法少女が戦うべきなのは魔獣。ライドウのようなサマナーが悪魔と戦ってやるべきなのだ」

 

「……それが古来から続いてきた魔法少女とデビルサマナーの役割分担なのか?」

 

「そうだ。うぬが生きた並行世界では魔法少女はいなかったようだがな」

 

「……どんな世界に流れ着こうとも、自分達がやるべき事は変わらないようで安心した」

 

「人修羅討伐の任務もあるが、うぬは人々を守るサマナーでもある。二足の草鞋を履くだろう」

 

「構わない。この街は未だ暗雲に飲まれている…悪霊となった悪魔共は自分が相手をしよう」

 

壊れた家屋の影に隠れていたキョウジはライドウとゴウトの会話のやり取りが聞こえている。

 

彼も葛葉一族のサマナーであるため猫に擬態させられているゴウトの言葉も分かるのだ。

 

物陰から出てきたキョウジの顔は俯いている。

 

近づいて来る男の気配に気が付いたライドウとゴウトは後ろに振り向く。

 

「う…うぬはまさか……葛葉キョウジ!?」

 

葛葉キョウジの存在なら葛葉一族に仕えてきたゴウトだから知っている。

 

しかしライドウはこの時代のキョウジを知る者ではない。

 

顔を俯けたままだが抑え込めない殺気を周囲に撒き散らすキョウジに鋭い眼差しを向けるのみ。

 

「…ゴウト、この時代がかった服装をしている男をライドウだと言ったな?」

 

「葛葉の里から追放されたうぬが…何故この街にいる!?」

 

「質問を質問で返すな。俺が聞きたいのは…この男が葛葉ライドウなのかということだけだ」

 

「……その通りだ。自分の名は14代目を襲名した葛葉ライドウだ」

 

不気味な笑い声が響きだす。

 

肩に背負っていた刀箱を地面に立てかけるように置き、上着の白いスーツのボタンを外していく。

 

ライドウもまた漆黒のハイカラマントの内側の右手を動かし刀の柄に右手を添えた。

 

「大正時代の葛葉ライドウ…貴様が何を目的にして現代に訪れたのかなど…俺にはどうでもいい」

 

顔を上げたキョウジの表情は憤怒を纏い酷く歪んでいる。

 

蟲毒の丸薬の副作用を抑え込めなくなり、屈辱を晴らしたいという欲望に支配されていた。

 

動じない表情を浮かべているライドウも彼の顔を見て思い出す。

 

彼が思い出したのは帝都に赴いた頃に起きた事件の時に出くわしたサマナーの姿だ。

 

「葛葉キョウジの面影を感じる…。あの狂人の名を継いだ者ならば…望みは報復か?」

 

帝都守護着任の数ヶ月後に起きた事件とは、都市伝説界隈では死人驛使と呼ばれる怪異だ。

 

東京駅で死人が歩くという怪異の調査に赴いた時、出会った存在こそが初代葛葉キョウジである。

 

蓬髪で白の着流しをまとい、足には雪駄、背中には七星剣という大刀を背負う姿。

 

全身にまいた曝布には無数の封魔管が差し込まれているという異様な風体の大男。

 

葛葉一族から狂い死ねと名付けられた男は目的のためなら手段を選ばない鬼畜外道な男だった。

 

「貴様に殺されかけた男の血筋の俺だからこそ…その時の屈辱を現代のキョウジが晴らす!!」

 

血走った目を向けたキョウジが左脇腹のホルスターから銃を抜く。

 

コルト・パイソンからマグナム弾が放たれた瞬間、既にライドウは抜刀している。

 

上段の構えから左足を引き、唐竹割りの一撃を繰り出す。

 

刃に接触したマグナム弾は真っ二つに切り裂かれ、ライドウの左右を飛び越えていった。

 

「この程度で死んでくれるなよ…初代キョウジが味わった屈辱を貴様にも味合わせてやろう!!」

 

「やめんかキョウジ!この場は異界ではないのだ!ライドウとうぬが戦えば甚大な被害が出る!」

 

「知ったことか!!初代キョウジの屈辱を晴らせるチャンスを前にして…退けるものかぁ!!」

 

目的のためなら手段を選ばない姿を見ていると初代葛葉キョウジの姿と重なってくる。

 

怒りを宿した目を向けるライドウもまた受けて立つ構えを行う。

 

「救いようのない一族め…。自分が生きた時代から続く禍根、この場で断つ」

 

「やってみろぉーーーーッッ!!!」

 

互いに封魔管を抜き悪魔を召喚。

 

悪魔とサマナー達が戦い合う光景こそ、大正時代からの因縁が現代に蘇った光景そのもの。

 

彼らは戦い合うだろう。

 

死人驛使事件の際に起きたデビルサマナー同士の戦いは時代を超えてまで続く宿命であった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「行くぜオラァァァァーーーッッ!!」

 

巨大な両手斧を振り上げて迫るのはキョウジが召喚した牛の頭をもつ地獄の役人。

 

【ゴズキ】

 

地獄の鬼の中で牛頭人身の鬼の事をゴズキと呼び、馬頭人身の鬼の事をメズキと呼ぶ。

 

閻魔大王の部下であり地獄では他の鬼達と同じく罪人に拷問を与える獄卒の役目を担っている。

 

罪人を引っ立てる役目もあり牛を食べた者はゴズキが、馬を食べた者はメズキが現れるという。

 

また地獄の鬼に角が生えているのはゴズキが由来だとする説もあった。

 

「来るがいい!!」

 

迎え撃つ悪魔とはこの街でライドウが仲魔にしたクルースニク。

 

銀のロングソードで巨大な斧の一撃を受け止めたがビクともしない。

 

強大な力をもつサマナーの仲魔となったことで彼のMAG不足問題は解決していたようだ。

 

激しい戦いを繰り返すのはデビルサマナー達も同じである。

 

七星剣を右手に持つキョウジは舞うような連撃を繰り返す。

 

応戦するライドウもまた流れるような剣舞を披露するかのようにして刃を打ち合っていく。

 

「やめぬかキョウジ!!騒ぎが大きくなれば警察や魔法少女共に気が付かれるぞ!!」

 

「うるさい!!誰の指図も受けない…俺は俺の自由を望む気持ちを貫き通すだけだぁ!!」

 

「……ならばその責任を負うがいい」

 

キョウジの右薙ぎを一回転する動きで避け、続く左薙ぎを腰を落として避けながら斬撃を放つ。

 

脚を狙う斬撃に対し片足を上げて避けたキョウジは間合いを離す動きを見せる。

 

互いに次の一手を狙うようにして円を描くような歩みを行う。

 

「貴様の首を跳ね落とし、先祖の墓に持っていく事こそが…俺にとって最高の供養となる」

 

「葛葉キョウジの名に誇りを持っているようだが…自分にとって、あの男は狂人でしかなかった」

 

「死人驛使事件の際に戦ったと先祖が残した記録には記されていた。俺は初代を超えてみせる!」

 

互いが同時に動く。

 

両者が放つ連続斬りを互いに避け、袈裟斬りを受け止めたライドウが回転して逆袈裟斬りを放つ。

 

両手持ちで刃を受け止めたキョウジが剣を押し込む。

 

火花が舞う刃が押し込まれて鍔迫り合う形となる。

 

「フンッ!!」

 

鍔迫り合いを押し込む形でキョウジがライドウに片膝をつかせ、剣を振り上げる。

 

しかし足を狙う反撃に合い飛び跳ねて距離を放す。

 

陰陽葛葉を振り抜く形で舞い、霞の構えを行いながら鋭い目を向けた。

 

互いが踏み込み斬撃を放ちながらも身を翻す回避を行い続ける。

 

最後には互いが刃を首元に向け合う形で静止した。

 

「俺の剣技と張り合うか…。流石は初代キョウジを追い詰めただけのことはある」

 

「見事な剣技だが…信念が宿らない刃になど自分は負けない」

 

「信念ならあるさ…。目的達成を第一とするプロフェッショナルこそが俺の信念だ!!」

 

互いが刃を持ち上げ斬撃の応酬によって激しい火花が飛び散る。

 

踏み込んで斬りかかったキョウジの刃を避けると同時に体勢を回転。

 

「ぐふっ!?」

 

背を向けた形で右肘を背中に打ち込み、続く逆袈裟斬りを放つが月面宙返りで避けられる。

 

着地したキョウジは背中から銃を抜く。

 

剣を地面に突き立て構えるのはモスバーグM500と呼ばれるショットガン。

 

キョウジはポケットからショットシェルを取り出す。

 

散弾や火薬を内臓するケースに描かれていたのは、ウラベが用いた自爆魔弾と同じ五芒星の印。

 

「あれは……!?」

 

ライドウは銃を抜くのを止め封魔管を抜く。

 

彼の脳裏に浮かんだのは初代キョウジとの戦いの記憶。

 

初代キョウジは目的の為なら手段を選ばなかった鬼畜外道のデビルサマナー。

 

曝布に差し込んだ無数の封魔管の使い道とは、爆撃の如き悪魔攻撃を仕掛けるための道具。

 

悪魔達を次々と発射して爆発させるための特攻兵器として周囲に甚大な被害をもたらしたのだ。

 

「キョウジ!!周りが見えぬのか!!それを放てば周囲に甚大な被害が出るぞぉ!!」

 

ゴウトの叫びを聞いても動じない態度を示すキョウジが銃口をライドウに向ける。

 

「同じ事を何度も言わせるな…俺は目的さえ達成出来ればそれでいい男の血筋の者だぁ!!」

 

引き金が引かれ銃弾となる悪魔が放たれる。

 

感情エネルギーが飛翔しながら実体化して悪魔の形となっていく。

 

<<助けてくれぇぇーーーッッ!!!>>

 

発射された鬼の体が輝いていく。

 

自爆のような周囲を大破壊する魔法ではない、一直線に向けて自爆エネルギーを放つ特攻の一撃。

 

迎え撃つライドウは召喚管を振り抜く。

 

「耐えてくれ!ツチグモ!!」

 

ライドウの前方空間に壁となる悪魔が召喚される。

 

目の前から迫る巨大な光のエネルギーに向け、覚悟を決めた顔を見せた。

 

「ぬぉぉぉぉーーーーッッ!!!!」

 

ツチグモに目掛けて自爆エネルギーの奔流が直撃。

 

巨大な脚を地面に突き立て耐え抜く仲魔であったが体に亀裂が入っていく。

 

「サマナーさんよぉぉぉ!!俺がいなくても…勝ち続ける姿を見せてくれぇぇぇッッ!!!」

 

ついに耐え切れなくなったツチグモの体が砕け散る。

 

MAGを空に撒き散らす最後となったが、ライドウと後ろで住まう民家の人々の命を守り抜いた。

 

土煙とMAGが舞う光景を見ながらキョウジは次弾を銃の中に入れる。

 

「…勝負だ!!14代目葛葉ライドウ!!」

 

獲物を仕留め切れていない事なら分かっている。

 

コッキングを引き銃弾を装填して銃口を向けようとした時、ライドウが動く。

 

鈍化した世界。

 

前方の土煙を突き破って現れたのは陰陽葛葉を構えたライドウの姿。

 

右手に持った刀を引き絞りながら突進。

 

放たれた弾丸の如く突き進んできたライドウが仕掛ける一撃とは的殺と呼ばれる刺突攻撃。

 

「ぐはっ!!?」

 

怒りに燃えるライドウの刃がキョウジの胸を貫く。

 

しかしキョウジは怯まず刃を突き立てる相手に目掛けて右肘打ちを放つ。

 

「くっ!?」

 

左側頭部に肘打ちを受けたライドウの体が大きく弾き飛ばされる。

 

受け身をとって着地した彼がキョウジに目を向ける。

 

背中を突き抜ける程の一撃を浴びたキョウジは佇んだまま右手で陰陽葛葉の柄を掴む。

 

「くぅ!!!!」

 

胸に突き刺さった陰陽葛葉を引き抜いた彼の胸が血染めに染まっていく。

 

早く回復させなければ失血死する程の一撃を浴びてもキョウジの目には闘争心が宿っていた。

 

「この程度で終わりだと思うなぁ!!俺の先祖が受けた屈辱の怒りは…この程度では消えん!!」

 

憤怒を浴びせるようにして陰陽葛葉を投げつける。

 

迫りくる刃を避けながら柄を片手で掴み、刃を振り抜く一回転を行ったライドウが刀を構えた。

 

睨み合う両雄に視線を向けるゴズキは舌打ちを見せる。

 

「チッ!旦那に死なれちゃ困るからなぁ…」

 

跳躍斬りを仕掛けてくるクルースニクの一撃を両手斧の柄で弾き、キョウジの元まで跳躍。

 

背後に立ったゴズキは撤退を進言したようだがキョウジは反対する叫びを上げてしまう。

 

「旦那、熱くなり過ぎたら死にますぜ。この街の魔法少女共も近づいている…ここらが潮時だな」

 

「チッ…!忌々しい魔法少女共め…どこまでも俺を苛立たせてくる!!」

 

キョウジは腰元から取り出した道具を地面に投げる。

 

スタングレネードが炸裂して眩い光が周囲を包み込む。

 

右腕で光を遮っていたライドウが目を開けるとキョウジとゴズキの姿は消えていたようだ。

 

「……手痛い被害を被ってしまったな」

 

ゴウトが近寄ってくるがライドウは刀を鞘に仕舞い帽子を目深く被り直したまま無言の態度。

 

マントの中では握り締められている拳が震えていたようだ。

 

「己を責めるな、ライドウ。ここは異界ではない…最初から全開戦闘など出来ないのだ」

 

「そのせいでツチグモを失った責任は自分にある…。己の未熟さが呪わしい…」

 

「仲魔達も覚悟はしているだろう。私とて命を救ってくれたお前のためなら命を懸けよう」

 

クルースニクの気遣いでようやく顔を上げてくれたライドウが頷いてくれる。

 

仲魔を封魔管に仕舞った彼が召喚したモー・ショボーと共に駆け抜けながら跳躍していく。

 

現場に辿り着いた魔法少女達は瓦礫塗れの町で繰り返された戦いを想像する事しか出来ない。

 

「あの後ろ姿って…葛葉ライドウだったかしら?」

 

「彼と誰かが戦ってたのでしょうが…それにしても、これ程の戦いの光景を生みだすなんて…」

 

「そうだね…今の水名区が瓦礫塗れじゃなければ、同じ光景になっていたかもしれないよ…」

 

ライドウとキョウジ、クルースニクとゴズキの戦いによって瓦礫の町はさらに破壊されている。

 

デビルサマナーの力を目の当たりにした竜城明日香と美凪ささらは顔を青くするばかり。

 

パトカーのサイレンまで聞こえてきたため彼女達も現場を後にしたようだ。

 

魔法少女達はデビルサマナーと呼ばれる存在については未だに不安を抱えている。

 

彼らの中にも悪の魔法少女達と同じようなサマナー達がいたとしたら大きな脅威となるだろう。

 

戦う事になったとしたらと考えた時、業魔殿で力を得た彼女達でさえ必ず勝つ自信は無かった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「ハァ……ハァ……」

 

パトカー巡回が周囲の道を走行していく中、路地裏で隠れているキョウジは座り込んだままだ。

 

刺突の一撃は心臓を僅かに逸れていたが、胸元からは未だ出血が続いており危険な状態である。

 

震える手で回復魔法が使える悪魔を召喚しようとするが封魔管を落としてしまった。

 

「くそっ……」

 

胸元から流れる血と共に全身の力も抜けていく。

 

このまま死ぬのかと考えるのが普通だろうが、彼が無念に思うのは自分の力の未熟さだった。

 

「蟲毒の丸薬に手を出してまで力を求めたというのに……まだ足りないのか?」

 

シドの力は強大でありそれを超える力を求めて禁忌にまで手を出した。

 

しかしその力をもってしても葛葉ライドウを追い込むには足りなかった結果が悔しくて堪らない。

 

現代のキョウジもまた初代キョウジと同じく自分の命にさえ興味を示さず結果だけを求める者。

 

大正時代から続く呪われた血筋の男達の道は周りの犠牲も自分の犠牲も厭わない修羅道そのもの。

 

そんな男達は何処で死のうと気にはしないが、目的を果たせず死ぬ事だけは認める事が出来ない。

 

「…まだ俺は目的を果たせていない。シドを倒す…そして葛葉ライドウも倒す……まだ死ねん」

 

落とした封魔管を拾い立ち上がろうとした時、近寄ってくる者の足音が聞こえてくる。

 

「派手にやられちゃったみたいね?」

 

近寄ってきた女に顔を向けるキョウジは舌打ちを行う。

 

現れたのは彼の部下をやっているレイ・レイホゥであったようだ。

 

「…何をしにきた?」

 

「死にそうな顔してるくせに相変わらずの態度ね。まぁ、そこがアンタらしいんだけど」

 

ナオミに切り裂かれたスーツを捨て、縦のストライプ柄な白スーツを纏う彼女が近寄ってくる。

 

今にも倒れそうな体をしているキョウジの胸元に片手を向け、淡い光を生み出す。

 

アマテラスの回復魔法を用いてキョウジの深手は癒えていったようだ。

 

「フン…礼は言わんぞ。頼んだ覚えは無いからな」

 

封魔管を仕舞ったキョウジは車が停めてある場所に行こうとするが体がグラついていく。

 

「無理しないの。回復魔法で傷を癒しても血が流れ過ぎてるんだから」

 

「俺に構うな……お、おい?」

 

横に視線を向ければ肩を貸すようにしてレイが手を伸ばしてくる。

 

突き飛ばそうと思ったが体に力が入らない。

 

仕方なく彼はレイに肩を貸してもらいながら歩いていく。

 

「こんな場所で潜伏中か…?さっさとこの街から出て行ったらどうなんだ?」

 

「そうしたいんだけどね…ヤタガラスの連中がこの街を包囲するようにして配置されているの」

 

「何かしら狙いがあるのだろうが俺にはどうでもいい。それより、追われる人生になったのか?」

 

「どうやらそのようね…。ヤタガラスで活動した痕跡を消しに行く前に…気が付かれちゃったわ」

 

「フン…これでお前も俺と同じく厄介者だ。ヤタガラスから追われる恐怖に苦しむがいい」

 

「そうね…これはあたしが背負うべき咎。アンタのように追われる人生になっても構わないわ」

 

自分でもどうしてここまで薄情者なキョウジに加担するのかは分かっていない。

 

今の彼女は孤独な一匹狼のような立場に追い込まれている。

 

そんな自分の立場が同じく一匹狼のような生き方を選ぶ葛葉キョウジと同じに思えてしまう。

 

だからこそ自分でも気が付かないうちに安心を求めている。

 

自分とよく似た存在に安心感を求める心理に陥っていたようだ。

 

路地裏から出てきた時、2人は夜空を見上げていく。

 

暫く沈黙していたが、それでも言いたい事があったのかキョウジが口を開いてくれた。

 

「…レイ、お前の価値を俺に示し続けるといい」

 

「えっ…?」

 

「俺は利用価値が無い奴はゴミのように捨てる。しかし、利用価値のある駒は簡単には捨てない」

 

「アンタ……」

 

「それだけだ。借りを作ったとは思わないからな。お前の面倒事はお前自身で解決しろ」

 

レイの腕を払ったキョウジが自分の車の元へと去っていく。

 

後ろ姿を見送るレイはキョトンとしていたが、少しだけ口元が微笑む。

 

「フフッ♪まったく、素直じゃないんだから…」

 

キョウジとは長い付き合いのため、口は悪くても伝えたい言葉の意味ならば分かる。

 

面倒事を解決出来たなら帰ってきてもいいと言ってくれた。

 

今の彼女にとって、それがどれだけ嬉しい言葉なのかキョウジは考えもしないだろう。

 

「フン…何を言ってるんだか。俺らしくも無い…」

 

車に乗り込んだキョウジは神浜市から去っていく。

 

屈辱を上塗りされる結果となったのに不思議と心が落ち着いている自分に戸惑っているようだ。

 

現代の葛葉キョウジは初代葛葉キョウジと同じく冷酷非道な男である。

 

それでも大正時代のキョウジとは違う部分も持っているのかもしれない。

 

違う部分とは彼が独りぼっちではなかったという部分であった。

 




分かり易いツンデレなキョウジさんでした。
やっぱりライドウとキョウジバトルはちゃんと描かないとと思ってたので書いてて楽しかったです。
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