人修羅×まどマギ まどマギにメガテン足して世界再構築   作:チャーシュー麺愉悦部

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220話 マスターテリオン

週末の夜も見滝原総合病院の地下では悪魔崇拝行為ともいえる邪悪な催しが行われている。

 

集められた政界のエリート達が今宵も生贄となる子供達を相手にレイプパーティを行うのだ。

 

「バアル様万歳!!今宵も子供達を生贄に捧げましょう!!」

 

「イヤァァァァーーーッッ!!もうやめて!!許してぇぇぇぇッッ!!!」

 

「泣き叫ぶがいい!!子供達の絶望こそが!バアル様への最大の贈り物となるのだぁ!!」

 

「バアル様の像が我々を見ておられる!今宵の貴様らはゲヘナの炎に焚べられるというわけだ!」

 

「やだぁ!!イヤァァァァーーーッッ!!助けてお母さん…あぁ……お母さーーーんッッ!!!」

 

「ハァ!ハァ!!俺の股間も燃えてきた!!もう出すぞ……うぅ!!!」

 

フリーメイソンとはセックスカルトであり、金とセックスを崇拝するのがルシファー主義。

 

この退廃極まった社会文化こそがイルミナティが民衆にももたらした世界の変革の光景でもある。

 

ひとしきりハッスルして満足した男達は空腹を抱えているようだ。

 

やり捨てた性奴隷達の肉体はこれから食肉加工されることになるのであった。

 

その頃、アドレナクロム欲しさに子供の生き血を吸い上げ終えたアリナは手を洗っている。

 

「そういえば最近…あのトラニーチェイサーの変態ジジィを見かけないんですケド」

 

アリナの教育係として拷問指導をしていたアレイスターは彼女の教育係からは外れている。

 

今のアリナは子供を虐待することなどなんの苦しみも感じないまでに研磨することが出来た。

 

だからこそ教育係からは外され、彼は責任ある立場の者として連れ出されていたようだ。

 

「まぁいいんですケド。変態ジジィなんていなくても、アリナは自分でオペが出来るカラ」

 

儀式殺人部屋から出て行くアリナだが、通路に飾られている瞼の無いホルスの目に目がいく。

 

瞼の無い単眼はプロヴィデンスの目と呼ばれ、黙示録の騎士ホワイトライダーを象徴するものだ。

 

「そういや…オペを習う時に変態ジジィがブレインの輪切り模型を持ってきてくれたっけ」

 

思い出すのは脳の輪切り模型の中央部分の形。

 

人間の脳は輪切りにするとホルスの目の形と同じと言われている。

 

脳の中央こそが松果体であり、宗教的には松果体にこそ人間の魂の座があるという。

 

「松果体のブラッドを吸い上げてイートする…まるでデビルがソウルを食べるのと同じなワケ」

 

アリナがアドレナクロム欲しさに子供の生き血を吸い出すのは彼女もまた麻薬中毒になった証拠。

 

アドレナクロムは中毒症状をもたらす物質であり、活力を得られるが飲まずにはいられなくなる。

 

その姿はまさに十七夜と同じく吸血鬼の姿そのものだろう。

 

「アリナはね、神秘主義を望む。アートも神秘主義も同じ…真似をするからこそ本物になれる」

 

アリナが望むのは神の次元に辿り着くこと。

 

それは悪魔になる道でもあり、悪魔の真似をするからこそ悪魔となれると信じる者。

 

彼女が目指す頂きこそ美を司る星である暁の星。

 

しかしイルミナティが新たなる暁の女神として認めた者は猿真似しか出来ないアリナではない。

 

「暁美ほむら…アナタだけ特別視されるのは認めないカラ。アリナこそが…金星の女神になる」

 

人間の血が必要な十七夜の分のアドレナクロムも貰ったアリナは帰路につく。

 

車の中で景色に目を向ける彼女の心の中には強い嫉妬の感情が湧いているのか眉間にシワが寄る。

 

暁の女神になるのは暁美ほむらではないとライバル心を燃やしていた時、目が見開く。

 

「ストップ!!」

 

車を制止させた彼女が窓を開けて通り過ぎて行った対向車に目を向ける。

 

「人修羅……だったヨネ?見滝原に向かってるワケ?」

 

運転手に命令して人修羅の後を追わせていく。

 

ほむらの家に立ち寄った人修羅達の車を追った彼女が辿り着いたのは裏口玄関とも言える場所。

 

「なるほどね……どうやらシークレット施設も連中にバレちゃったってことなワケ」

 

「混沌王様があの施設に赴く理由とは……生体エナジー協会の破壊と同じ事をする気ですか!?」

 

「かもしれないワケ」

 

「そんな事をされたら施設関係者である我々の責任問題になります!直ぐ上に連絡しましょう!」

 

「待つワケ。こんなチャンスをアリナが見逃す筈がないんですケド」

 

「で、では……何をされるのですか?」

 

「アリナが相手をしてあげる」

 

不気味な笑みを浮かべるアリナは車を移動させていく。

 

向かった先とは見滝原総合病院と隣接している佐藤メディカルグループ施設だった。

 

「アイツが……暁美ほむら……」

 

車を停車させて監視していた時に見つけた人物を思い出し、苛立ちを募らせていく。

 

爪を噛む程の怒りを纏う者を乗せた車はダークサマナー達が利用する施設へと向かうのであった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

破壊されたかつての生体エナジー協会はアレイスターが所有する病院の地下にあった。

 

アレイスターもまた責任者として追及の手を逃れる術はなく、彼は米軍基地に連れていかれる。

 

「やめろーーっ!!やめてくれーーーっ!!!」

 

見滝原近くにある米軍基地に設けられた邪教の館に連行された彼に待っていたのは地獄であった。

 

「始めろ」

 

「嫌だーーーッッ!!私はまだ消えたくないーーーッッ!!!」

 

生贄を捧げる三つの巨大柱の上で拘束されたアレイスターが泣き叫ぶがもう遅い。

 

隣と奥の柱の上に立つ悪魔達と共に邪教の秘術を用いた原子分解現象が起きていく。

 

二体の悪魔と1人の人間を用いた『生贄合体』の実験体にされるのが彼に与えられた罰なのだ。

 

この頃はまだ人間と悪魔が合体した成功例が無く、失敗作が次々と処分されていた時期。

 

アレイスターもまた人間の自我を残す事が出来ずに失敗作として処分されようとしていた。

 

しかし、彼は悪魔に魂を売った生粋の悪魔崇拝者。

 

その魂は限りなく悪魔に近く、だからこそ悪魔の如く擬態する事が出来たようだ。

 

「失敗作の様子はどうだ?」

 

邪教の館に併設された米軍施設内の研究室には巨大試験管に収められたアレイスターがいる。

 

培養液のような水の中で拘束されたままの存在はにこやかな笑みを浮かべるばかり。

 

「自我の崩壊によって暴れ狂うこともありません。これは上にどう報告すればいいのですか?」

 

「金融資本家達が望むのは自分達の自我が悪魔を乗っ取り転生を果たすこと。これは失敗作だよ」

 

「では…やはり廃棄処分にするのでしょうか?」

 

「ふむっ…確かにこの失敗作のデータは見どころがある。使い魔として制御出来るやもしれんな」

 

こうしてアレイスターだった存在はダークサマナーに監視されながらも解放される。

 

彼の中身は完全な悪魔となったが、それでも地上に顕現した存在はアレイスターのフリを続けた。

 

悪魔は人の魂を吸収出来る存在であり、魂の経験値を手に入れられるために出来る芸当なのだ。

 

見滝原総合病院に戻った彼なのだが、病院経営は息子である副院長に委ねる手続きを始めていく。

 

これには理由があり、人間に擬態していようとも悪魔の本能が抑え込めない者だったからである。

 

「グググ……ギギギ……来ル、来ルワヨ……」

 

モニタールームに座り込んでいるのは女装姿のアレイスターだった者。

 

ドレス姿に顔の厚化粧は変わらないのだが、厚化粧には所々に亀裂が入っている。

 

スナック菓子感覚で食べているのは抗精神薬であるが、感情の高ぶりが抑え込めてはいない。

 

「私ガ…私コソガ…マスターテリオンヨ!!認メナイ……アノ2人ヲ私ハ認メナイワ!!」

 

モニターに視線を向ける狂気の女王を演じる男となった悪魔が爆発させるのは嫉妬の感情。

 

人修羅や悪魔ほむらのようなルシファーに選ばれし者達に向けた激しい憎悪であった。

 

「ククク……歓迎シテアゲルワ。ルシファー様二気二入ラレ様トモ…詰メノ甘イマヌケ共メ」

 

モニターに映っているのは各エリアに配置されている迎撃部隊の姿である。

 

尚紀達が侵入していたのはバレていたようであり、あえて泳がして迎え撃つ段取りをしてきた。

 

アレイスターだった者の勝手な行動を抑え込むためのダークサマナー達は後ろ側で倒れている。

 

血を流す者達は絶命しており、従順な態度で油断させられた上で殺害されていたようであった。

 

……………。

 

夜の見滝原総合病院近くの有料駐車場には尚紀達の車が停車している。

 

バンに乗り込んだ者達が後部座席の向かい合う椅子に座り机に置かれた見取り図に視線を向ける。

 

「俺達の記憶を頼りに見取り図を作ったが…どう攻める?派手にやると上の病院被害が怖いぞ」

 

「あの病院は高層ビルだ。地下には大きな支柱がある筈だからな…大規模な破壊は不味いだろう」

 

「分かっているわ。私の爆弾は地下施設を破壊する規模で抑え込む品を用意してるから大丈夫よ」

 

「どうだかなぁ…爆発させた部屋の隣に大きな支柱があったなら大変な事になるんじゃねーの?」

 

「悟空、私の爆弾技術を疑っているのかしら?」

 

「お前が爆弾技術のスペシャリストだなんて聞いたのは今日が初めてだ。まぁお手並み拝見だな」

 

「隠密行動をするつもりだが最悪の事態もあるだろう。逃げ出す場所も決めておくぞ」

 

あれだけの地下施設なら巨大な物資搬入用エレベーターがあるとほむらは指摘してくる。

 

そこを脱出ルートにしてはどうかという意見に対して反対意見は出てこなかったようだ。

 

「我ハドウ動ケバイイ?」

 

「お前は後詰めだ、ケルベロス。戦いが激化して敵の援軍が地上に迫るようなら迎え撃て」

 

「分カッタ、従オウ。敵ノ援軍ガ現レテクレレバ我モ楽シメルノダガナ」

 

「そうならないに越したことはない。それじゃ、俺達は地下に向かうとするか」

 

バンから出てきた尚紀達が黒の帽子を目深く被り口元をスカーフで覆う。

 

顔を晒さないように工夫しているようだが、ほむらはバンから降りてこない。

 

「ほむらはどうしたのだ?」

 

「アイツは女だから色々と準備があるんだろ?大荷物を抱えてきてたんだし」

 

「まさか化粧に時間がかかりますとかじゃねーだろうな?そうだったらはっ倒すぞ」

 

少し待っているとバンの扉が開き彼女が降りてくる。

 

「おいおい…その姿は……」

 

尚紀が目にしたほむらの服装とは魔法少女時代の服装と同じである。

 

頭部は黒のキャスケット帽子を被り、目元は赤い眼鏡を纏って頭部を隠す工夫をしていたようだ。

 

「悪魔になっても魔法少女時代の服装程度なら魔力で生み出せるようだな?」

 

「この服装の方が動きやすいもの。戦いでボロボロになってもお金がかからないし」

 

「お前らは服の出費を考える必要なんてなかったよな…羨ましい。今度生み出し方を教えてくれ」

 

「ダメよ。企業秘密だから」

 

「…変身ヒロインだけの特権かよ。泣けてくるぜ」

 

「つべこべ言ってないで行くぞ、お前ら」

 

ほむらは両手に持った大きな鞄を持ち、尚紀達と共に夜の見滝原総合病院の敷地内を目指す。

 

悟空と槍一郎の後ろについていく2人であったが、尚紀は隣のほむらに視線を向ける。

 

「その()()()()()()()()()()…似合ってるな」

 

「急にどうしたのよ?」

 

「いや…気にするな。俺の親友だった男も同じ帽子を被ってたから…思い出しちまったよ」

 

「もしかして…その人もまどかと同じくコトワリ神になったという……」

 

「新田勇…かつて在った世界では中学時代からの親友だった…」

 

辛そうな表情を浮かべる尚紀を心配そうに見つめるが、ほむらは妙な違和感を感じてしまう。

 

(黒のキャスケット帽子を被った男とは……何処かで出会った事があったような気がする)

 

思い出そうとしていたら病院敷地内まで歩いてきた事もあり、ほむらは考えるのをやめたようだ。

 

夜間・休日出入口方面に向かい中へと入っていく。

 

時間外受付室に座っていた者が怪しい連中が現れた事で立ち上がるのだが魔法の力が行使される。

 

人修羅の幻惑魔法を行使された事によって夜勤の警備員達は病院関係者だと誤認したようだ。

 

「貴方の幻惑魔法も便利なものね。私の記憶操作魔法は人間の知覚までは誤魔化せないし」

 

「そういや、お前は悪魔になったのに魔法少女時代の固有魔法を失ってないよな。どうしてだ?」

 

「説明は出来ないけれど…私はかなえやメルのように悪魔合体で悪魔になった者ではないもの」

 

「そういやそうだったな。お前の悪魔転生は特殊過ぎる例だから参考にはなりそうにないか」

 

地下に下れるエレベーターフロアまで来た一行が隠しボタンを押して階段を上げていく。

 

隠し階段を下りてエレベーターのボタンを押す。

 

エレベーターが来るまでほむらは鞄の中身を開けて用意した武装を装備していくようだ。

 

「まるで特殊部隊のコスプレでもしている魔法少女のように見えるぞ」

 

彼女が身に纏った武装は魔人の試練の時に身に纏っていた装備の数々であった。

 

「残念だけど、これはコスプレではなく本物よ」

 

「魔人との戦いの時でもそうだったが、どうやってそれ程の武装を用意出来たんだ…?」

 

「…私のためにルシファーが用意してくれた品の数々よ。それだけしか言えないわね」

 

「アイツが用意した品でイルミナティの施設を破壊してやるんだ。皮肉たっぷりで気に入ったよ」

 

爆弾を詰めた収納BOX型の鞄は背中に背負い、三点スリングで吊るした突撃銃を手にしたようだ。

 

「俺達はほむらの援護を行う。彼女が施設を爆破していくための露払いをやるぞ」

 

エレベーターに乗り込んだ者達が悪魔崇拝者達の根城へと乗り込むために地下へと進む。

 

内部で佇むほむらの脳裏には見滝原総合病院で入院していた頃の記憶が浮かんでしまう。

 

(子供の私を救ってくれた病院は…人々の希望だと信じてきた。だけど…現実は真逆だったのね)

 

下降を続けるエレベーターの光景は病院に対する信頼が地の底まで落ちる光景を表している。

 

病院という存在を真逆に向けて貶めた金融資本家達に怒りを燃やすほむらは躊躇わないだろう。

 

(美国さんを殺戮した罪と同じ行為を繰り返したくはない…。それでも、私にも限界はある…)

 

握り締められた銃を持つ手に力が入る。

 

彼女は撃ってくる者達が現れたのなら容赦なく引き金を引くだろう。

 

それでも敵の急所を避ける射撃技術を磨いてきた自分を信じてこれからの戦いに赴くのであった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

エレベーターが下りてくるエリアには既に迎撃部隊が配置されている。

 

民間軍事会社の武装兵のような男達が銃を持ち、VIP達の護衛を行う布陣をしていた。

 

彼らが過剰なまでの武装をしているのは侵入者が現れることを警戒しているためのようだ。

 

「見ろ、エレベーターが下りてくるぞ」

 

「これ以上の来客予定はない。だとしたら…報告通り侵入者のお出ましのようだな」

 

アサルトライフルを構える武装兵達がエレベーターの前に集まってくる。

 

到着の音が鳴り響き扉が開いた瞬間、彼らは引き金を引く。

 

次々と薬莢がばら撒かれていき銃のマズルフラッシュが薄暗い空間を照らしていく。

 

エレベーター内部の壁が蜂の巣にされていくのだが、尚紀達は隅に隠れて弾を避け続ける。

 

「私に任せなさい」

 

「お前と一緒に戦うのは初めてだ。どれ程の手並みなのか俺達に見せてみろ」

 

タクティカルベストの横腹付近に備え付けてあるスタングレネードを手に取りピンを抜く。

 

ほむらは片手を用いて外に放り投げ、スタングレネードが地面に転がり炸裂。

 

<<グワァァーーーッッ!!!>>

 

閃光と爆発音で怯んだ敵兵士に向けて射撃体勢を行うほむらがHK417の引き金を引いていく。

 

アッパーレシーバーに供えられたホロサイトに狙われた敵兵士達の手足や肩が射抜かれる。

 

片膝をついて蹲る敵兵士達に向けて悪魔化した仲魔達も飛び込んでいく。

 

「ぐはっ!?」

 

「ぎゃぁ!!」

 

急所打ちを浴びせられた敵兵士達は倒れ込み戦闘不能となるが命だけは残したようであった。

 

エレベーターから出てくるほむらに向けて人修羅はスカーフの中で微笑みを浮かべてくれる。

 

「安心したよ。お前は容赦のない奴だと思っていたが…俺のような虐殺者ではないようだな」

 

「…いいえ、私も虐殺者なの。だからこそ、私は同じ過ちを繰り返さないよう…反省したわ」

 

「ほむら…お前……」

 

「魔法少女の虐殺者として生きた貴方も反省したんでしょ?失敗は終わりなんかじゃないわ」

 

「ああ…やめたら終わりだ。まどかを救う為に何度もやり直したお前の言葉を重く受け止めるよ」

 

「無駄口はそこまでだ。私達を待ち構えていたということは…潜入がバレていた証拠だ」

 

「俺様はその方が楽しいから構わないぜ?さーて、お楽しみといこうじゃねーか!!」

 

侵入者が現れた事により悪魔崇拝者達は蜂の巣をつついたような騒ぎとなっていく。

 

逃げ出すVIP達を守る為に武装兵達が次々と迎撃しに駆けつけるのだが、押し留められない。

 

「「オオオォォォーーーッッ!!!」」

 

クーフーリンの風魔法とほむらの援護射撃を背に人修羅とセイテンタイセイが前に飛ぶ。

 

強風で体勢を崩され銃弾を浴びて怯んだ武装兵に目掛けて開脚蹴りを放ち、勢いのまま連続蹴り。

 

セイテンタイセイは飛び後ろ回し蹴りで蹴り倒した勢いのまま後方の敵にも飛び回し蹴りを放つ。

 

「くそっ!!!」

 

狙いをつけようとする相手に目掛けて人修羅は旋風脚を放ち、着地と同時に横の相手に後掃腿。

 

倒れ込んだ相手に目掛けて一回転したセイテンタイセイが踵落としをお見舞いして顔面を強打。

 

「ここは通さんぞぉ!!」

 

ナイフを抜いた武装兵が仕掛けてくる。

 

迎え撃つセイテンタイセイが刃物を持つ右手を手首で制止させ、すかさず踏み込み右頂肘を打つ。

 

みぞおちを打たれて咳き込んだ相手の手首を左手で掴み、逆の手を人修羅が掴む。

 

「「ハァァーーーッッ!!」」

 

同時に回し蹴りを放ち敵の後頭部を蹴り、前のめりになった相手の顔面にダブル回転蹴りを放つ。

 

次々と敵を蹴り倒していく師弟コンビを武装兵達は止めることさえ出来ないようだ。

 

「後ろは気にするな!クーフーリンとほむらに任せておけ!」

 

「本物の悪魔が遊びに来てやったんだ、出て来いよ悪魔崇拝者共!キツイご利益をくれてやる!」

 

一本道の武装兵を排除し終えた人修羅達が分岐点に差し掛かる。

 

「俺とほむらは悪魔崇拝儀式を行っている区画に向かう。お前らは隣の区画方面に向かってくれ」

 

「この奥は入れなかった場所だったな。先に行ってこじ開けておいてやるよ」

 

4人は各々の役目を果たすためにそれぞれが左右に分かれていく。

 

人修羅とほむらを迎え撃つため、大きな防護盾を装備した武装兵達が迫りくる。

 

彼らが身に付けているのは特殊部隊のアーマーベストであり、防御に特化した部隊のようだ。

 

盾でほむらの銃弾を受け止めながら兵士達が銃撃しつつ接近してくる中、2人は物陰に避難した。

 

「今度は俺の番だ。合わせろよ」

 

「何をやるのかは知らないけど…派手にやりなさい」

 

物陰から右手を伸ばし、指を鳴らす。

 

<<グワァァーーーッッ!!?>>

 

全体炎魔法の地獄の業火を弱めた威力であるが、敵陣を怯ませるには十分だろう。

 

地面が燃え上り怯んだ相手に向けて人修羅は飛び出し、一気に飛び込む。

 

「ぐふっ!!?」

 

壁を三角飛びして前に回り込み、右腕を首に絡めながら左膝蹴りを顔面に打つ。

 

「くそっ!!」

 

銃で殴りつけようとする一撃をバク転で避け、倒し込んだ男の後頭部に一回転の蹴り足を落とす。

 

シールドバッシュを狙う男の片腕を掴み、相手の踏み込む勢いを利用した背負い投げを放つ。

 

「がふっ!?」

 

投げ飛ばした男の顔面に拳を打ち込む中、背後には銃を向けようとする敵兵士がいるが問題ない。

 

「ぐはぁ!!?」

 

ほむらの援護射撃によって両足を撃ち抜かれて怯んだ相手に目掛けて一気に踏み込む。

 

片手倒立をする程の勢いで両足を上げ、大きく浴びせ蹴りを頭部に放ち壁にまで蹴り飛ばした。

 

「いい援護だ。お前は弓を使うよりも現代兵士のような戦闘の仕方を得意としているようだな」

 

「貴方のカンフーの腕前も見事なものね。頼れる仲魔がいるのはいいものだわ」

 

通路の兵士達を打ち倒した者達が駆け抜け、爆破する施設へと向かって行く。

 

忌まわしい儀式殺人が行われている手術室に向かった時、手術室の両開き扉が蹴り破られる。

 

「これ以上好きにはやらせんぞ!!」

 

現れたのは防爆スーツを改造してタクティカルアーマーとした重武装兵。

 

両手にはガトリングガンが握られており、背中の弾薬箱と給弾ベルトで繋がっている。

 

「チッ!!」

 

猛火を浴びせられる前に物陰に隠れるのだが奥に陣取った兵士が弾幕を張ってくる。

 

防爆スーツによって先程の小規模魔法程度では怯みそうにないため、ほむらが動く。

 

「これならどう!」

 

スタングレネードを物陰から放り投げ、体を半分出しながら射撃を行う。

 

ほむらの銃弾がスタングレネードを撃ち抜き、眩い光によって重武装兵が怯む。

 

その隙を人修羅は決して見逃さないだろう。

 

「なんだぁ!!?」

 

助走して相手の背後から肩口に飛びつき、頭を両脚で挟みこんで相手の首を軸に体を旋回させる。

 

体がぐらついた相手の左腕を掴みながら着地した人修羅が左の肩関節を決めた。

 

肩関節を決められて藻掻き苦しむ武装兵の視界に映った存在が迫りくる。

 

「ごふっ!!!」

 

俯き状態だった相手の顔面に目掛けてほむらの飛び膝蹴りが決まり大きく打ち上げられたようだ。

 

「初めてにしてはいいコンビネーションだったな」

 

「そうね。それよりも早く済ませてしまうわよ」

 

収納BOX型の鞄を背中から下ろしたほむらが中身を取り出す。

 

入っていたのは爆発規模をコントロールし易いC-4爆弾のようだ。

 

彼女は手早く儀式殺人部屋に爆弾を設置して人修羅と共に部屋から出て行く。

 

迫りくる敵兵を倒しながら他も同じように爆弾設置していく中、子供達の叫び声が聞こえてくる。

 

「この先は確か牢屋だったと思う。誘拐された子供達が掴まっているかもしれないな…」

 

「貴方は子供達を救出しに行って。この奥にも地上に上がれるエレベーターがあったと思うわ」

 

「了解した。子供達を地上に送った後、再び援護に向かう」

 

人修羅と別れたほむらは爆弾設置作業を終え、クーフーリン達との合流を急ぐ。

 

彼らと別れた通路まで来た彼女は遠隔起爆装置のスイッチを押す。

 

背後空間で次々と爆発が起こるが威力は調整されているため地上の崩落には繋がらないようだ。

 

仲魔達が打ち倒した武装兵を超え、風穴が開いた大きな扉に向かっている時だった。

 

()()()()()()()()()()()じゃねーか?>

 

何者かの念話めいた声が聞こえてきたほむらは立ち止まり、辺りを見回す。

 

大きな扉の横には休憩所が見えるのだが、そこに座っている男の存在に気が付く。

 

「あ…貴方は……?」

 

ほむらと同じ黒のキャスケット帽子を被り、カジュアルなアメカジ服を纏う少年の姿が見える。

 

しかし見えるのだが人の気配は感じないため、今一そこに人がいるという実感が湧かない。

 

<お前はまどかって子のために他の連中を切り捨てた女だ。なのに何で赤の他人を助けるんだ?>

 

「貴方の声…聞いた事がある…。あれはたしか……」

 

<あの時の忠告を聞いていたようだな?なのに…何で他人に振り回される人生を選ぼうとする?>

 

「私の勝手よ。誰かにとやかく言われる筋合いなんてないわ」

 

<お前の自由は認めてやるけどよぉ…他人に期待しても何もしてくれないんだぜ?>

 

「そ…それは……」

 

暁美ほむらの孤独な戦いの歴史を知っている少年は同族を見る目を向けてくる。

 

<助けを求めても応えてくれねぇ。他人は他人に興味はないし、自分の都合の良さしか求めない>

 

「まるで…()()()()()()()のような口ぶりね?」

 

<…俺も見捨てられた事がある男だからさ>

 

忌々しい表情を浮かべた少年は飲んでいるフリをしていた空き缶をゴミ箱に投げ捨てる。

 

立ち上がった彼が去っていくのだが、ほむらのためにこんな言葉を残すのだ。

 

<社会の維持がまどかを救うって考えるのか?違うな…拘泥しない精神生活が人を救うんだ>

 

「拘泥しない…精神生活…?」

 

<他に選びようがあるのに一つの事に拘る必要はねぇよ。求めていいのは利己主義だけさ>

 

「私の…利己主義…?」

 

<お前には鹿目まどかと、都合のいい連中がいればそれでいい。赤の他人なんて本当はいらない>

 

背を向けていたが振り返り、暁美ほむらが目を背けている本当の気持ちを代わりに答えてくれた。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。この善行だって尚紀を利用するためさ>

 

「貴方は尚紀を知っているの…?もしかして…貴方が新田勇…?」

 

<尚紀に向けて精々点数稼ぎをするといい。円環のコトワリ神と戦わせるための大事な駒なんだ>

 

――社会という全体に対する責任なんてお前が気にするな、お前には()()()()()()()()()

 

――それこそがムスビの思想であり……本当のお前の本心なのさ、暁美ほむらちゃん。

 

そう言い残した勇が手を振りながら去っていき、消えてしまう。

 

幻覚を見ていたのだと気が付いたほむらであるが、幻覚が言った言葉が彼女の心を苦しめる。

 

「違う…違うわ…私は……そんな嫌な女なんかじゃ……」

 

口では否定するが、本心では勇が語った言葉のほうが自分にしっくりくると感じてしまう。

 

彼女が命をかけて戦うに値する存在は鹿目まどかと、まどかを支えるのに都合がいい者達だけ。

 

それで鹿目まどかと自分が面白おかしく生きていければ、赤の他人が何処で死のうが関係ない。

 

正義のヒーローごっこをする本音とは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()我儘な気持ち。

 

かつての神浜魔法少女達が繰り返した偏見感情こそが、今の暁美ほむらの中には燻っている。

 

「……あの幻覚を私に見せてくる者がいる筈よ。探し出して…排除してみせる」

 

自分の薄暗い欲望から逃げ去るようにしてクーフーリン達との合流を急ぐほむら。

 

走りながらも彼女は考えてしまう。

 

今の自分は本当に赤の他人のために命をかけて戦う者なのか?

 

尚紀と同じように赤の他人であっても自分の全てをかなぐり捨てて戦える者なのか?

 

それを考えてしまった時、暁美ほむらは諦めの気持ちに支配されてしまう。

 

自分は何処までいっても個人の為にしか戦えない。

 

都合の良さしか求めない()()()()に過ぎない。

 

仲良し社会しか求めない引き籠り感情こそ、新田勇が啓いたムスビそのものに思えるのであった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

クーフーリンとセイテンタイセイと合流したほむらはダークサマナー施設を駆け抜けていく。

 

現れるダークサマナー達の中には手練れがいなかったようであり次々と打ち倒せたようだ。

 

爆弾を設置しながら爆破を繰り返して辿り着いた場所とはダークサマナー達の修験場であった。

 

「随分と大きな空間ね…。流石にこれだけの空間を破壊し尽くす量の爆薬は残ってないわ」

 

「ならば私と悟空が破壊してやろう。それよりも…気をつけろ」

 

「ああ…人間に擬態しているようだが、魔力を隠す気もない奴が近づいて来るぜ」

 

薄気味悪い空間の奥から現れた存在を見て3人の表情が歪んでいく。

 

ドレスを身に纏っているが顔の厚化粧は亀裂塗れであり、ヨボヨボの肌が露出している。

 

口の中でバリバリ噛み砕いている精神薬を吐き出し、侵入者を睨んでくる。

 

「……モウ薬ナンカジャ抑エ込メナイ。コノ怒リ…憎シミ…晴ラス以外ニ考エラレナイワ」

 

「何だよ…コイツ?厚化粧した上で女物の服とウイッグまで纏う…キモ過ぎるジジィは?」

 

「トラニーチェイサーのド変態のようだが、様子が変だな…?」

 

「この女みたいに気持ち悪い声…覚えがあるわ。手術が終わった時に私に挨拶に来た院長よ」

 

「この病院の院長は女装癖のあるド変態だったのかよ?そんな奴に命を救われるとはな」

 

「やめて…悟空。私だって…他の病院で命を救われた方がマシだったと後悔してるわよ」

 

首を鳴らし始めるアレイスターだった者が不気味な笑みを浮かべてくる。

 

彼が視線を向ける存在とは暁美ほむらのようだ。

 

「私ト同化シタ男ハネ、貴女二強イ嫉妬ヲ感ジテイタワ。ソノ怒リヲ私モ受ケ継イダノヨ」

 

「嫉妬ですって…?」

 

「コンナ小娘ガ666ノ赤キ獣ダナンテ相応シクナイ。マスターテリオンニナルノハ私ダトネ」

 

「私が…黙示録の赤き獣であるマスターテリオン?馬鹿な事を言わないで!」

 

「貴女ノ命ヲ救ッタノハ…イルミナティ二与エラレタ任務。マスターテリオンヲ生ミ出スタメヨ」

 

「この病院に入院されられたのも奴らの仕業だったのね…。私は流されるだけの者だった…」

 

体を慣らしていくアレイスターだった者。

 

人間の体に馴染めないのか体を内側から突き破ろうと体が蠢いていく。

 

「殺シテヤル…貴女ヲ殺シテヤル!!ルシファー様二認メラレル者ハ…私コソガ相応シイ!!」

 

ついに体を突き破った肉の塊が蠢きながら巨大化していく。

 

「フン!!女装していたのは666のローマ皇帝だった暴君ネロの真似事か!」

 

「とことん気持ち悪い奴だぜ!!こんなコンプレックス野郎は俺様の如意棒で叩き潰すさ!!」

 

背中に背負った鞄を下ろし、ほむらも銃を構える。

 

怒りの表情を浮かべた彼女はこう叫ぶのだ。

 

「私はもう…これ以上イルミナティに運命を弄ばれたくない!私の運命は…私が決める!!」

 

武器を構えた者達を見下ろす悪魔こそ、マスターテリオンと自らを自称する悪魔。

 

アヌンナキの三重冠を模した三つの王冠を被り、バアルを模した牛の角を生やす頭部。

 

年寄り顔をした頭部には白髭を蓄え、襟が立ったマントを纏う。

 

体は獣であり、ドラゴンの尾には自らの王権を示すような杖まで握り込まれている。

 

人面をした四足歩行の巨大な獣こそ、()()()()()()のマスターテリオンの姿であった。

 




三つに分けようかと思いましたが、いい加減アリナとほむらのバトルも描きたくなったので5つぐらいに分けますね。
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