人修羅×まどマギ まどマギにメガテン足して世界再構築 作:チャーシュー麺愉悦部
東京都品川区を縄張りにしていた魔法少女グループはペンタグラムによって壊滅する。
現在は彼女達の縄張りとして機能しているようだ。
この地区には日本滞在の拠点として用意された高級マンションが存在している。
現在はメンバーのうちの四人がここで過ごしている。
マッドサイエンティスト魔法少女だけは住んでいない。
彼女は他の四人に嫌われており、彼女も巨大なアジトを欲しがったので同居は避けたようだ。
「レベッカ…イマゴロ、ドコデクラシテルンダロ?」
「さぁな。墓場や死体安置所が似合う冒涜女の居所など知りたくもない」
「ソウダネ。アンナノトクラシタラ、ワタシタチノネコミ、オソワレル」
「無駄話より日本語の勉強に集中しろ、アイラ。教える私とて暇な身分ではない」
「マフィアノオシゴト?イソガシイネ、チェンシーハ」
「そうだ。出来ればメンバーの通訳もお前が代わってくれたら嬉しいのだがな」
「チェンシーハ、アタマイイカラネ。ワタシニデキルノハ、ココノカジシゴトダケ」
「サイファー様から頂いた多額の活動資金は計画的に使って生活費を賄ってくれ」
「ソレ、ワタシニジャナク……アリスニイッテ」
「……あの暴食ゲーマーか」
リビング方面からこの部屋にまで聞こえてくるゲーム音楽に苛立ちを感じていく。
「注意してくる」
部屋から出て廊下を移動するチェンシー。
歩きながら彼女はかつて自分達を招集したサイファーについて考えを巡らせていく。
サイファーと呼ばれる人物とはペンタグラムメンバーを世界中から集めてきた謎の存在。
死神のような黒いフード付きローブマントを纏う男の素顔を見たメンバーはいない。
魔法少女とは違う存在である男に付き従う魔法少女達、それがペンタグラムなのだろう。
(サイファー様の望みは我々が起こす決起までに人間の大量虐殺をもたらすこと…)
狂人の如き要求だが、それでも彼女達は喜んでサイファーに従う。
それを可能とするのは彼女達の願望を叶えてくれる存在だからだ。
悪魔の如き願望を持つ者達に対して、サイファーはこんな誘惑を与えている。
――人間など、魔法少女にとってはゴミ同然の無力で愚かな存在である。
――君はそう考えているね?
――本当は求めているものがあるのだろう?
――君が心の中に求めている真の理想が?
――私なら、それを君に叶えてあげる事が出来る。
――協力してはもらえないかな?
(あの御方は魔法少女ではない…だが、私達を遥かに超える魔力を秘めた存在でもある…)
もしかしたら、この世には神や悪魔が潜んでいるのかもしれないとチェンシーは思ってしまう。
リビングに入る扉を開けると乱暴な言葉が聞こえてくる。
「
大きなソファーに座り、奇声を上げながらゲームで遊んでいる少女の姿を見て現実に戻される。
「
「はぁ……アリス」
ゲーミングヘッドセットを頭に被っているせいか聞こえていない。
悪辣な態度と暴言を吐きながらゲームをプレイし続ける彼女の姿は名前とそぐわないだろう。
およそ不思議の国の主人公には見えそうにない荒くれ者なのだ。
遊んでたがチーム戦に負けた彼女がヘッドセットを投げ捨て、唾を吐いて中指を立てる。
「
「
「……マタ、ヘヤヨゴシテル、アリス」
後ろからついてきたアイラがリビングを見るとファーストフードのゴミが大量に散乱している。
「バンゴハン、アリスイラナイネ。フトルヨ」
「
「
アリスは大食い女であり、食べる品もファーストフードやジャンクフードばかりである。
「エイヨウ、カタヨルヨ」
「
「
「ネムレナクナルヨ?」
「
「
「セイリフジュン…ナルヨ」
「
「……通訳はいらないかもな」
こんな生活を繰り返して何故こんなグラビアモデルのような体型になるのかと訝しむ彼女達。
彼女の暴食性こそが彼女の固有魔法となるようだ。
「
アリスは自分の部屋に戻っていく中、チェンシーは寡黙な剣士に視線を向ける。
「
ドイツ語で話しかけた壁際にはルイーザと呼ばれる素顔を隠す魔法少女が立っている。
腕を組みながら立ち、静かに首を振る。
「この女の面倒を見るのは興味なさそうだな…あの女は」
「ハァ…マタ、カタズケナイト」
アイラはこのメンバーではまともな部類なのだが、それでも彼女はレイシスト。
「コウイウコト、ニンゲンノシゴト。マホウショウジョ、シゴトチガウ」
彼女はインド出身であり、カースト制度に縛られた生き方をしてきた少女。
それ故に魔法少女という絶対者として人間の為に戦う事に違和感を感じてきたのだろう。
「マホウショウジョ、トクベツナソンザイ。ニンゲンノヨウナマネ、ニアワナイ」
「その通りだ。我々は人類を支配すべき階級…強き者こそが世界を統べるべきなのだ」
「ウン、ソウダネ…チェンシー。カナラズ……ジツゲンサセル」
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念話を終えた頃には玄関の扉が閉まる音が響く。
鼻歌交じりに通路を歩くのは絵本のアリスと似ても似つかないバット・アリス。
右手をかざし、そこから取り出した彼女の武器とは現代火器である自動小銃なのだ。
「さて…最初の刺客はアリスという事になる。楽しめ、悪魔よ」
「ヒト、イッパイシヌ。アリス…ゲームトゲンジツ、ワカラナイ、ミサカイナイ」
「フフ…それぐらいがサイファー様には丁度いいのさ、アイラ」
「ワタシモ、アトデアリスニオイツク。アノアクマ、ゲンワクマホウ、ツカッテクル」
「…任せた」
こうして最初の刺客が送られた事で人修羅の死闘が幕を開けるのであった。
――――――――――――――――――――――――――――――――
尚紀はペンタグラムを追い続けた男。
たとえ他の東京魔法少女共を後回しにしてでも譲れない仇である。
東京中を当てもなく探し続けるが見つからない。
彼の行く手は治安が悪い街、足立区にまで及んでいた時だった。
「足立区か…人間だった頃から近寄らないエリアだ。ヤンキー街と呼ばれてたしな…」
女が夜に独り歩き出来ないと言われる程に治安が悪い地区として評判のエリアを歩き続ける。
住宅街や巨大団地群などを見て回り、繁華街の方にまで足を運ぶ。
駅前の大きな商業施設の入り口は1階と2階というように分かれたビル。
階段を登り、2階入り口通りを歩いていたがチンピラ共に目をつけられてしまう。
「おい、見ろよあいつ。なんだ…あのダサい黒服のパーカー野郎?」
地元のチンピラ達が近づいてくる中、その光景を見下ろす魔法少女がいる。
付き纏われている光景の頭上には大型商業施設ビルの屋上から見下ろすアリスがいるのだ。
「
彼女の後ろ側に小さな空間の歪みが生まれる。
丸く光る部分の奥こそ彼女の武器庫であり、ワームホールと呼ばれる現象と似ている。
そこには大小の様々な武器が収納されており、これが彼女の固有魔法なのだろう。
不思議の国のアリスは劇中でこんな言葉を残す。
――あたし好みの全ての物を喰らいたい。
「
武器庫に両手を入れ、何かを取り出す。
悪魔もビルの上で魔法を行使する存在に気がつく。
「おい、お前ら…死にたくなかったら俺の周囲から全力で逃げろ」
「何だてめぇ?立場わかってんのか?あぁ!?」
「お、おい?上から何か降ってきて…?」
「聞こえなかったのか!逃げろと言っている!!」
周囲に落とされたリンゴのような硬いモノ、それは複数のM67破片手榴弾である。
安全クリップも安全ピンも全て取り外されているため直ぐに爆発するはずだ。
「見境なしかよっ!?」
次々と破片手榴弾が爆発し、土煙が地上から舞い上がっていく。
悪魔の姿は街灯の上であり、あの一瞬で大きく宙返りして避けたようだ。
周囲の被害に目を向ける凄惨な光景となっている。
「くそっ…なんて光景だよ…」
人々が爆発や破片に巻き込まれ、戦場の如き凄惨な現場と化す。
「ハァイ、ナイスガイ」
爆発の土煙に目を向けると、そこには近づく人影が迫っている。
「貴様……正気か!!?」
現れた人物とはペンタグラムのミリタリー魔法少女。
「
戯けて両手を上げるその手には二丁銃が持たれている。
FNSCARと呼ばれるアサルトライフルであり、様々な小火器オプション品も装備されていた。
「魔法少女は秘密主義じゃなかったのかよ!!」
「
原型を留めていない骸を蹴り飛ばす。
体が酷く損傷した呻き声、恐怖でパニックとなり叫ぶ人々の声こそ彼女のゲームソング。
「
二丁銃を悪魔に向け構える。
――
黒衣のパーカー奥の瞳が金色となり、後ろ角でフードを押し退ける。
発光する入れ墨の顔が晒され、その表情は憤怒と化す。
悪魔は跳躍し、戦いの火蓋は切られていく。
悪魔と悪いアリスの不思議の国のデスマッチが始まるのであった。
――――――――――――――――――――――――――――――――
銃から空薬莢を次々に排出させ、二丁銃から鉛弾が噴き上がる。
悪魔に向けて発射しながら走り続けて移動射撃を繰り返す。
片手だけでアサルトライフルの反動を制御するかの如く、狙いは正確。
「
周りに人間がいる以上、彼は魔法が使えないのだが相手はお構いなしだ。
「チッ!!」
両腕で顔を覆いながら彼女に接敵していくが、猛火の銃撃に晒される。
悪魔の体は7.62x51mm NATO弾の威力でもびくともしない。
「
二丁銃投げ捨て、魔力で生み出したワームホールで回収する。
同時にドイツ製短機関銃であるMP7を二丁取り出し、迎え討つ。
だが、そこは既に悪魔の領域なのだ。
「俺の間合いだぁ!!」
銃身を腕で払い、逆側の銃も払い、それでも怯まず構えては撃ちまくるアリス。
ワンインチ距離で射撃を捌き続ける光景はまさに二人のバレットダンス。
攻防を制したのは悪魔の方だ。
「
右裏拳が右側頭部に決まり、追い打ちに左肘が迫る。
左手の銃を手放し、片手を地面につけて側転しながら後ろに下がる。
追撃を仕掛ける足元にはスカート内に生み出されたワームホールから落とされた品が転がる。
「うっ!?」
M84スタン・グレネードが炸裂し、閃光と轟音が一気に炸裂。
「くそ…視力と聴覚をやられたか。何処にいる?」
近くの魔力を探るがもう一人の魔法少女の魔力まで感じてしまう。
「魔力はあいつだけじゃない…もう一人いやがるな。この魔力は…チェンシーと組んでる女だ」
彼女が現れる事も想定しており、イヨマンテのマガタマを飲み込んでいるようだ。
「なんだ!?」
肌感覚が先に体を動かし、飛来物を避ける。
後ろ側の商業施設が爆発し、人間達の叫びが木霊する。
飛来物とはMK19グレネードマシンガンの40mmグレネード弾。
「
フランス語で爆弾を意味するボンブはケーキの名前。
遠く離れてグレネードマシンガンを構えるアリスから次々とケーキが撃ち出される。
驚異的連射速度で射撃が繰り返される中、悪魔の視力と聴覚はまだ回復していない。
爆発が次々と起こり、悪魔ごと周囲の人間達まで破壊されていく。
「
不思議の国の劇中では白兎がアリスの家の中に小さくなれるケーキとなる小石が投げ込まれる。
彼女が撃ち続けるケーキによって人間達が肉片のように小さくなっていく。
「この外道がぁぁーーーッッ!!!」
榴弾の雨でボロボロになった黒衣を脱ぎ捨てる。
視力と聴覚が治った悪魔が風を纏い、アリスに向けて跳躍する。
「
迎え討つ彼女が構える武器はFGM148ジャベリン。
後部から短い火が噴き、ミサイルが筒のような銃口から発射する。
(風の魔法の応用で逸らす事は出来る…だが…)
だが後ろには巨大商業施設があるのは分かっている。
(上階の窓辺に集まった野次馬共が死んでしまう!)
悪魔は両腕を交差して防御し、自らを盾として空中で爆発。
「ぐっ!!!」
大きく飛ばされながら悪魔は倒れ込んでしまう中、アリスは馬鹿を見るような眼を向けてくる。
「……
唾を吐き、理解出来ない悪魔の行動に不快感を示す。
「くそったれ……くたばれサディスト!!」
「Hahahaha!
商業施設通りを歩きながらも橋の上から地上を見下ろす。
手に持たれているのはM4アサルトカービンであり、地上に向けて構える。
「Ahahahaha!!
フォアグリップを握り締め、下に向けた銃口から次々と鉛弾が撒き散らされる。
「やめろーーッ!!?」
現場の光景を例えるならアメリカの銃乱射事件の如き惨状となってしまう。
「
空マガジンを捨て、ワームホールからマガジンを取り出してリロードする。
老若男女問わず人間達が次々と撃ち殺されていく。
「お前は…罪もない女も子供も殺すのかぁーーッ!!?」
「
有名戦争映画のお約束セリフをドヤ顔で語るのは殺戮の魔法少女。
しかし騒ぎが大きくなり過ぎて遠くからはサイレンの音が近づく。
「
サイレンの方角に向けて右手で中指を立てた後、ワームホールに銃を仕舞って飛び降りる。
「ヒィィーーッ!!今度は何だよ!?」
彼女が飛び降りたのはR35型GTRの屋根の上。
他の人々は逃げ出したが、彼は自慢の車を捨てて逃げられなかった哀れな存在。
「Hahahaha!!
M1911拳銃を取り出して屋根の下に撃ち込んでいく。
「やめ…やめてくれぇ!!殺さないで!!」
「
「え、英語!?何言って……」
「
さらに銃弾が屋根上から撃ち込まれ、ドライバーは慌ててアクセルを踏み込み走り出す。
「くそ……逃がすかよ!」
負傷状態から立ち上がっていた時、下の道から聞き覚えのある車のエンジン音が近づく。
「このエンジン音は……瑠偉か!」
逃げる車とすれ違うように開けた道路を逆走して現れるのはポルシェ918スパイダー。
「毎日開けた道だったらいいのにね♪」
飛び降りやすい地点にドリフト反転させて停止し、尚紀に声をかけてくる。
「まだ終わらせるつもりはないんでしょ?乗りなさい、こういうカーチェイスは好きだから♪」
「全く…俺が必要とした時には直ぐに現れてくれる相棒だな」
苦笑いを浮かべながらも下に飛び降り、オープンカーの上から助手席側に着地する。
「飛ばせ!!」
「喜んで♪」
アクセルを踏み込み荒々しいエンジン音と共に発進する。
「まだ終わりじゃないぞアリス!!これだけの犠牲者を出して生きて帰れると思うなよ!!」
逃げる車が次のバトルステージとなる首都高速道路に乗り込む。
不思議の国のデスマッチはカーチェイスバトルとなっていくのであった。
――――――――――――――――――――――――――――――――
東京都足立区北千住駅から北にあるのは中央環状線である。
二台の車は現在、南に向けて猛スピードで走行していく。
屋根の上で仁王立ちしながら後ろを見つめるアリスは愉快な表情をしてくる。
「
不思議の国の劇中では海亀とグリフォンが海に投げたロブスターを追いかけるゲームを行う。
「
ツインドラムマガジンを装備した汎用機関銃M240を構えて撃ちまくる中、悪魔は迎え撃つ。
「来るぞ!」
「任せなさい!」
走る車の群れの間を掻い潜り、弾を避けるが周りの車被害が広がっていく。
80キロ近い速度で走る車が次々と制御不能となりながら横転を繰り返す。
「くそ…人間社会が隣にあったら魔法で遠距離戦は無理だな…」
「追いついてみせるわ。飛びついてやりなさい」
促された彼が助手席側から立ち上がり、いつでも飛び移れる体勢を作る。
「遠くにオービスが見えるな…」
「速度違反になっちゃいそうかしら?」
「そうなるだろ?」
「ならないかもね♪」
逃げる車がオービスで速度違反になっていくのだが、彼らの前で異変が起きる。
「なんだ?」
二人が乗る車が近寄った瞬間、オービスが火花を噴いて壊れていく。
横や後ろを走る車のドライブレコーダーも同じように壊れる光景に疑問が浮かぶ。
(こいつの魔法か何かか…?)
「前を向きなさい。彼女の弾が当たるわよ?」
速度違反の証拠が消されていく中、前方からはなおも苛烈な射撃が飛んでくる。
「
ドラムマガジンを捨て、新しいドラムマガジンをリロードしていく。
「
下着が濡れる程の下腹部の熱さを感じているのは常軌を逸した顔つきのアリス。
彼女はトリガーハッピーであり、銃の乱射に性的興奮を感じる異常な少女。
乱射を繰り返すせいで瑠偉の車も被弾箇所が広がっていく。
「たくっ、無茶をするわね…あの子!修理代金請求してもいいのかしら?」
「払ってくれる奴には見えないな」
「…でしょうね!でも、こういうノリは嫌いじゃないわよ!」
蛇行運転を繰り返して逃走する車に猛追していく。
「
左手でワームホールを開き、中から銃を取り出す。
構えたのはフル装填されたM32MGLリボルバーグレネードランチャーである。
「
連続して放たれる三発のグレネード弾が弧を描く。
狙うのは前方を走る大型トレーラーだが、トレーラーコンテナの上を走る人影に目がいく。
「これ以上やらせるか!!」
鈍化した世界。
悪魔は跳躍して一発目を空中回し蹴り、二発目を後ろ回し蹴り、三発目を上に蹴り上げていく。
「こっちよ!」
トレーラーの横から車を走らせて彼を助手席側で拾い上げる。
三発のグレネード弾が隣の川で爆発する光景を尻目に猛追していくのだ。
「Ha ha!
中央環状線から湾岸線に向け、二台の車がドリフトして滑り込む。
射撃を掻い潜りながら走り、運悪く当たった車が爆発炎上を繰り返す。
車が横転、縦回転しながら宙を舞う道をなおも走り抜けていく。
「
武器を汎用機関銃に持ち替えるアリスだが、彼女よりも周りの車被害が彼らにも迫りくる。
「避けられそうか?」
「愚問だわ」
ブレーキを踏み、サイドブレーキを上げてハンドルを回す。
後輪を右にスライドさせ、左に大きく車体を横滑りさせて横転した車を回避。
「後ろからパトカーも迫ってきている。連中もカンカンだろうな」
「捕まらないようにしましょうね」
「当てはあるのか?」
「勿論よ♪」
アクセルを踏み込み一気に距離を詰めていく中、瑠偉が仕掛ける。
「ケツにキスしてあげるわ!」
逃走車のリアバンパーに目掛けて車体で体当たりを仕掛けていく。
「
バランスを崩して屋根から転倒しかけるが後部ガラスを拳で叩き割り、天井を掴んで堪える。
横側に抜けて並走して飛びかかろうとする中、運転させられている逃走男も必死のようだ。
「
「な、何か知らないが…やめてくれぇ!!」
弾を三発屋根から撃ち込んで運転手を脅す。
運転を任せたアリスは跳躍して瑠偉の車の後部エンジン部分に飛び移る。
「
「させるかよ!」
瑠偉に銃口を向けるが、悪魔が右腕で払い除ける。
発砲された弾がフロントガラスを撃ち抜き、亀裂が入ってガラスがホワイトアウトしてしまう。
「俺の間合いに訪れた事を後悔させてやる!」
悪魔は左肘で強打し、相手の銃を手放させる。
それでも怯まずアリスはアーミーナイフに持ち替えて刺突を仕掛けていく。
突いてくる手を掴み、捻じり上げると同時にナイフを払い除け、顔面に裏拳、そして右肘打ち。
「カハッ!!」
接近戦では不利と彼女は判断した事で隣の車に飛び移ろうとする。
左ストレートが打ち込まれる前に跳躍し、並走する逃走車の屋根に飛び移ったようだ。
「
「ギャァァーーー!!?」
屋根から飛び出してきたのは銃弾ではなくアリスの怒りの鉄拳。
悲鳴を上げた運転手がアクセルを踏み込み、スピードを上げて蛇行状態のポルシェを突き放す。
「ハハ!面白くなってきたわねぇ!!」
「目がギラついてきたな、瑠偉」
「貴方もねぇ!」
瑠偉は右肘打ちでホワイトアウトしたガラスを砕き、破片を後ろに撒き散らしながら猛追する。
後ろからパトカーが次々に迫ってくる。
横に見える東京ビックサイトを超え、二台の車はレインボーブリッジに向かう。
ライトアップされたブリッジ内で並走し、ボロボロのポルシェが横側から体当たりを行う。
目線がアリスと合う悪魔であるが、彼女は遊園地で十分楽しんだような子供の顔つき。
「
「お前はここで終わりだぁ!!」
悪魔が跳躍すると同時に彼女は後方に向けて跳躍する。
その先にあるのは橋の下であり、下側はもちろん海。
落下していくアリスの下側にワームホールが開き、彼女の姿が飲み込まれて消え去ったようだ。
「くそったれ!!」
「こっちに飛び移りなさい!私のお尻を追いかけてくるお巡りさん達が後ろにいるのよ!」
ポルシェに飛び移った尚紀を乗せてさらに加速する中、逃走車両の男はようやく解放される。
「ハ…ハハ…俺、助かったけど…社会的には…助からないかも…?」
逃走車を運転していた男の股間から湯気が上る中、容赦ない警察車両のスピーカーが鳴り響く。
<<そこの車!端に寄せて止まりなさい!!>>
放心状態で減速し、後続のパトカーに進路を塞がれて停車するのであった。
――――――――――――――――――――――――――――――――
レインボーブリッジから一般道に降りる円周の道路に向かいながら瑠偉の車は進み続ける。
円周道路をドリフトしながら下り、一般道へと降りていく。
「ここからは高速道路のようにはいかないわ、周りは一般道だし」
「無数の車が行き交う中を逃げ続けるんだが…大丈夫そうか?」
「こういうナイトドライブも偶にはいいわね?私も興奮しちゃったわ♪」
「そういうノリは逃げ切ってからにしてくれ」
前方の交差点は赤だが一気に突っ切る。
横の道路から車が前に出てくる。
相手もブレーキを踏んで止まり、壁となったが瑠偉は怯まずドラテクを披露する。
「見てなさい!!」
後輪を左右に大きくドリフトさせていき、車体をスライドさせて壁となった車を通り抜ける。
後続のパトカーの一台が壁となった車と衝突して停止する中、次の交差点をドリフトして左折。
「ハッ、お祭り騒ぎになってきたな」
後ろを見れば増援のパトカーが大量に迫りくる。
アクセルを踏み込み、メーターを回転させながら距離をどんどん離していく。
横を通るトラックの前で一気にドリフトして右折。
トラックが壁となり、パトカーは追跡出来ない。
細い道を通り抜けようとした時、横からいきなりバックしてくる車が現れてしまう。
「フフ♪これだから一般道は楽しいわね!」
ブレーキを踏み、サイドブレーキを引き、ハンドルを回転させる。
左に後輪がスライドし、バックする車を大きく通過。
細い道を越え、右にドリフトしながら次の道へ。
「頼むから安全運転してくれよ」
「右よし、左よし、前進♪」
パトカーの追跡から逃走し、大きな交差点に出ようとするが横からパトカーが現れる。
ドリフトしながら大きく避け、横側の道路に向けて加速する。
パトカーは合流していき、後ろからは無数のサイレン音が迫るが瑠偉はおどけた表情だ。
「ついてこれるかしら?色男さん達!」
パトカーを振り切るため、なんとポルシェが対向車線に入り込む。
「ハハ、荒っぽい運転だな…」
「私がドラテクを貴方に教えてるのよ?いずれ貴方もこんな運転になっていくわ」
「やれやれ、俺の車に乗る連中が可哀想になってきた」
前から次々と迫りくる対向車であるが蛇行運転を続けて回避し、次の交差点を右に曲がる。
対向車に阻まれたパトカーは追跡が出来ないようだ。
「あそこの細い路地で暫くやり過ごしましょう」
車が一台通れるような細い路地に入り、停止させる。
暫くパトカーが通り抜けるのを待ち、違う方向へと走らせる中、目的地が見えてくる。
前方に見えてきたのは大型立体駐車場だったようだ。
「あそこに替えの車が停めてあるの。それに乗り換えて逃げましょう」
ボロボロのポルシェを駐車場に滑り込ませて入り込む。
開けた駐車場に停めてあったのはアウディR8スパイダーである。
二人は何食わぬ顔で車から降り、替えの車に乗り込む。
「悪かったな、お前の車を台無しにしちまって」
「別にいいわよ?あの車も飽きてきていたところだし、乗り換えようと思っていたのよ」
「…何で私立探偵事務所の事務員なんてやってんだよ?大金持ちのお嬢様だろ?」
「私の秘密が知りたいなら飲みに付き合いなさい。ドライブの余韻をお酒で楽しみましょう♪」
「そんな気分じゃねぇよ…大勢の人間が死んだんだ」
「だったら…なおさら怒りの炎にアルコールをかけちゃいなさいよ、尚紀?」
「…フッ、そういう考え方もあるな。テキーラでも飲むよ」
車を発進させて別の入り口を出る時、窓を開けた悪魔が右手を伸ばす。
大きく指を鳴らし、炎の魔法がポルシェを業火で焼き払いながら爆発させてしまう。
「景気よく証拠隠滅したが、良かったんだよな?」
「ええ。スーパーカーなんて私は幾らでも持ってるしね」
立体駐車場に入ってくるパトカーを尻目に二人は夜の街に向けて走り去っていくのであった。
♦
「カエッタアリス、ミエナイ。ドコイッタノ?」
「…体が熱いからホットドッグを食べてくると言って出て行ったよ」
「マダタベルノ、アリス?……フトルヨ?」
「……悪食女め」
アメリカ人の食い意地の悪さに対して三人のメンバーは大きな溜息をついてしまう。
その魔法少女はというと、ある意味ホットドッグのような棒を食べようとしている。
「
性的興奮が収まらないアリスは妖艶な表情をしている。
コッキングオフしそうな体を引き摺りながら街を歩いていく。
「
信号待ちで停車していた大型SUVの運転手に目を向ける。
彼女は堂々と助手席のドアを開け、乗り込んでいく。
「
「ヒィ!!じゅ、銃!?」
銃口をこめかみに当てられた若い男はカージャックされたのだと理解する。
震えながら彼女の指示に従い、言われた通り車を走らせて目立たない路地裏で車を停車。
「あ…あの…命ばかりは助けて…」
顔を青くしながら震えた声を出すイケメンに対して妖艶な笑みを返す。
男のズボンのジッパーを彼女が下げていく光景に対して若い男は理解不能な顔をする。
「え…えっ!?あの……ちょっと!?」
「
懐から避妊具のゴムを取り出す彼女の表情を見た男は何をされるのか男として悟ってしまう。
「これ…ラッキーなのか?それとも、アンラッキーなのか…?」
「
暫くした後、だらしない男の喘ぎ声が響きだす。
もう暫くして大型SUVが上下にギシギシ動きだす。
さらに暫くして性的興奮を沈めてくれたイケメンに対してお礼を与えてくれる。
鉛弾のチップを恵む音が夜の闇に包まれた路地裏で響いてしまうのであった。
読んで頂き、有難うございます。