人修羅×まどマギ まどマギにメガテン足して世界再構築   作:チャーシュー麺愉悦部

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281話 炎を運ぶ日

見滝原市の郊外に存在している日本でも最大規模の在日米軍基地に向けて飛行機がやってくる。

 

滑走路に着陸してきたのはネビロスが所有するプライベートジェット機のようだ。

 

停止した飛行機から降りてくるのはネビロスとベリアル、そして娘のアリスであった。

 

「うわーっ!ここがウサギさんの故郷だった日本なんだね?ワタシ初めてきたーっ!」

 

「コラ、アリス。はしゃぎ過ぎるのはいけません。はしたないですよ」

 

「構わん。下々の者共になど遠慮をする必要はない」

 

敬礼している米軍兵士達の真ん中を歩いていく魔王達が移動用の車に乗り込む。

 

いつでも離陸出来るラグジュアリーヘリに乗り込み大魔王の居城に向かうようだ。

 

離陸していく機内では高級椅子に座って向かい合う悪魔達が今後の予定を話し合う光景が続く。

 

アリスはヘリの窓から見える遠くの景色を見つめながら不気味な笑みを浮かべているのだ。

 

「あっちが東京なんだね?フフッ♪もう直ぐ楽しいパーティの始まりだよ♪」

 

笑みを浮かべながら手に持っているのはトランプカード。

 

ハート、ダイヤ、クラブの女王カードが不自然に持たれている。

 

遠ざかっていくヘリであるが、それを見送るのは基地の隅で隠れているアリスだったのだ。

 

「ごめんね、赤おじさんに黒おじさん。アリスはね、パーティを見物するだけじゃつまんない」

 

彼女は鏡の魔術という特殊な魔法を行使して自分の分身を生み出すことが出来る魔人。

 

移動用の車に乗り込む時に分身となる分霊を基地に置いてきたというわけだ。

 

Hey, Uncle. I have a question.(ねぇ、おじさん。質問したいんだけど)

 

英語で話しかけられたのはこの基地の司令官を務める者であり、声がした方に振り向く。

 

見つけたのはアリスであるのだが、背後からも同じ声が聞こえてくるのだ。

 

Where are the revolutionary forces waiting at the base?(革命部隊はどこの基地で待機してるの?)

 

慌てて後ろに振り向けば二体のアリスが笑顔を向けてくる。

 

三体のアリスに囲まれてしまった基地司令官の顔が青ざめる中、アリス達の目が真紅に光る。

 

I want you to take me there.(そこに連れていって欲しいの)

 

魅了魔法のマリンカリンを使われたことで基地司令官はアリスの分身達に支配されてしまう。

 

傀儡となった者が用意した軍用ヘリに乗り込んだアリス達は東京に向けて飛び立つのであった。

 

……………。

 

「これはこれはベリアル、久しいですね。こちらの世界に戻られたことは大変喜ばしいです」

 

海に浮かぶ大魔王の居城の迎賓館に現れたベリアル達を迎えたのはマンセマットである。

 

パーティ会場のような巨大ホール内では黒の貴族や堕天使達が大勢詰めかけているようだ。

 

「…久しいな、マステマ。もっとも、貴様と仕事をした時期は遥か遠い昔であったがな」

 

大魔王の元で工作員として動くマンセマットは自らをマステマと呼び、素性を偽っている。

 

悪しき天使として動ける彼は堕天使のフリを行うのがとても上手かったようだ。

 

「共に仕事をしたのは旧約聖書の時代でしたね。私と貴方がサタナエル(神の使者)と呼ばれた時期です」

 

元々マンセマットはエグリゴリの天使の一体としてアザゼルらと共に地上に派遣された天使。

 

彼とベリアルは見張る者達として人間達に知恵を授けた同僚であったというわけだ。

 

「昔話をしたいところだが連れ合いもいる。今日は宴の方を夜通し楽しむとしよう」

 

パーティ会場の席に座っていく擬態姿の堕天使達であるが、アリスがマンセマットの隣に座る。

 

「ねぇ、マステマおじさん!赤おじさんとはどんな関係だったの?」

 

「彼と私は人間に知恵をもたらし、試練を与えた者同士。まぁ…結果は分かってましたがね」

 

目元の仮面を眼鏡のように指で押し上げたマンセマットは遠い眼差しを浮かべていく。

 

預言者ノアを襲った洪水から生き残った人類を監視するために彼は地上に顕現した者。

 

人間達に禁じられた知識を教え、堕天使達と共にカナン族を導く立場となっていく。

 

何千年もの時間の中で人類社会を見つめてきた天使として彼は人間そのものを蔑んできた者だ。

 

「人は誘惑に抗えない愚かな生き物…ソドムとゴモラが滅びようとも再び世界を堕落させる」

 

試す者として彼は黒の貴族と啓明結社を用いてあらゆる堕落を世界に撒き散らした存在。

 

何度試そうとも人類は唯物主義、拝金主義、快楽主義によって堕落しか選ぶことが出来ない。

 

そんな者達に知恵を授けるだけ無駄だったと彼はアリスに語ってくれる。

 

「人々が求めるものなどパンとサーカス。消費と繁殖ばかりを求めるなら牧場の家畜と同じ」

 

「群衆生物の羊と同じだし、牧師の牧畜犬に吠えられなきゃ自分から動かない連中だよね~」

 

「各国のエリートという犬に誘導されなければ自立すら出来ない羊共など間引かれて当然です」

 

「人間性を拡張出来ない羊共なんて、いっそのことAIに管理されちゃえばいいんだよ♪」

 

「その通り。進化出来ないままテクノロジーを求める末路は…()()()()()()()()()()()()()()

 

ヒト科が善悪の判断を放棄してAI等のテクノロジーに身を委ねるなら排除しか起こりえない。

 

労働者の排除、老人や障碍者の排除、思想の排除、自由の排除、人間の排除しか起こりえない。

 

便利なものには裏があるという先人の格言通り、道具とは常に人間を殺す凶器になりえるもの。

 

「人類の在り方すらエリート任せでしかない民衆共などもはや不要…そのために今日がある」

 

――賢い者は災を見て自ら避け、思慮のない者は進んでいって罰を受ける。

 

聖書の箴言における22章3節をマンセマットが呟いた時、大魔王達がホール内に現れる。

 

立ち上がった礼服姿の金融資本家達に見守られながらルシファーが席に座っていく。

 

進行役として擬態姿のルキフグスがマイクの前に立ち、皆に着席を促したようだ。

 

迎賓館内のホールの奥側には複数の大型スクリーンによって東京の景色が映し出されている。

 

これから始まる地獄を運ぶ者となった大魔王の口元には不気味な笑みが浮かぶのであった。

 

────────────────────────────────

 

ロックダウンが続く東京の横田基地では多くの偽装トラックが集結している。

 

東京都に存在していた米軍基地の基地機能は見滝原市に隣接する新基地に移設済みである。

 

にも拘わらず多くの兵士達が集結している光景は異様ともいえるだろう。

 

横田基地は兵站基地として機能していた米軍司令部であり、多くの武器を隠しておける基地。

 

航空基地として機能していた横田基地内に空輸されていたのはロシア製の兵器の数々。

 

そして造魔工場から出荷された造魔兵士達を隠しておくにはうってつけの場所であった。

 

そんな中、夕日の光が差し込む独房に近づいてくる者達がいる。

 

近づいてくる者の魔力に気が付いたのは独房に囚われている御園かりんであったようだ。

 

「アリナ先輩!!なぎたん!!ここから出して欲しいの!!」

 

独房に囚われた彼女の姿は魔法少女姿ではなく栄総合学園の制服姿をしている。

 

左手にはソウルジェム指輪も見えず、変身することも出来ない状態で囚われていたのだ。

 

「グッドイブニング、フールガール。プリズンでの生活には慣れた?」

 

「慣れるわけないの!こんな場所に閉じ込めるだなんて酷いの……リパー君はどこ!?」

 

「あの小さいデビルはデリートしてMAGに変えるって聞いただけで行方は知らないワケ」

 

「そんなのってあんまりなの……アリナ先輩を止めて欲しいの、なぎたん!!」

 

「断る。我々の本陣に命懸けで潜入してきた者として…しかるべき対応をされるがいい」

 

鉄仮面姿の十七夜はかつての仲間であった者でも容赦はしてくれないだろう。

 

洗脳ではなくマインドコントロールされた十七夜は魔法少女時代から変わらず信念で動く者。

 

それはアリナも同じであり、ここには魔法少女としてではなくダークサマナーとしているのだ。

 

「ジャスティスヒロインとしてここにいるって言うなら…覚悟ぐらいは出来てるヨネ?」

 

「そ…それってもしかして……里見先輩のような目に合わされるの…?」

 

里見那由他がどのような目に合わされた者なのかは聞かされている。

 

ガタガタ震えだす後輩の姿を見つめるアリナであったが、辛そうな表情を浮かべていく。

 

「…どうして来たワケ?ジャスティスヒロインごっこなら…魔獣を相手にしていられたはず」

 

「それはアリナ先輩を助けたかったの!赤ちゃん殺しをさせられたアリナ先輩を救いたいの!」

 

「フールガール……」

 

「あの時は気が付いてあげられなくてごめんなの…だけど、アリナ先輩を助けたいだけなの!」

 

「ヘルプなんていらない。アリナはアリナのマイウェイを進むって…言ったヨネ?」

 

「アリナ先輩は操られてるだけなの!本当のアリナ先輩やなぎたんは…優しい魔法少女なの!」

 

今にも泣きそうな表情を浮かべているかりんに対してアリナと十七夜は顔を向け合う。

 

大きな勘違いをしている者に対して現実を突きつける必要があると感じているのだ。

 

「画伯…君は勘違いをしている。自分は優しくなどない…己のエゴだけが可愛かった偽善者だ」

 

「アリナも十七夜も自分の理想を追い求めたい。アナタだってそれは同じだと思うんですケド」

 

「私の理想は…アリナ先輩やなぎたんと一緒に暮らせる毎日なの!お願いだから帰ってきて!」

 

「それが画伯の譲れない理想であっても…押し付けるならば自分は踏み越えていくだけだ」

 

「アリナも踏み越えていく。アリナが求めたかったモノは…カミハマシティにはなかったカラ」

 

2人がかりんに向けて掲げるハンドサインはコルナサインであり、自分達の信念を語っていく。

 

「自分はこの国の圧政を終わらせる。真の平等世界を築き上げるために…この命を捧げよう」

 

「アリナはアリナの美を完成させる。そのためにアリナはダークサマナーになったんだカラ」

 

両膝が崩れ落ちた者を捨て置くようにしてアリナ達が去っていく。

 

行かないで欲しいと涙ながらに訴える声が聞こえた時、アリナの右手が強く握り込まれる。

 

震え抜く彼女の本音に気が付いている十七夜は鉄仮面を外して素顔のままこう告げてくれる。

 

「…本当は彼女を逃がしてあげたいのだろう?」

 

そう問われたアリナが立ち止まってしまうが俯いた顔は上げてくれない。

 

「このまま囚われていては…殺される以上の拷問が待っているのは分かっているはずだ」

 

「……余計なお世話なんですケド」

 

「そうか…それならばいい。自分とて大勢を殺した者だ…画伯だけを特別扱いはしない」

 

「アリナもそれは同じなワケ…覚悟を語った以上は…()()()()()()()()()()()()()()()

 

顔を上げたアリナの後ろをついていく十七夜は鉄仮面を纏い直す。

 

迷いのない表情を浮かべるアリナの脳裏に聞こえてきたのは取り憑いた千晶の念話である。

 

<<それでいい。弱い者は群れなければ何も出来ない…けど、貴女は違うでしょ?>>

 

「イグザクトリー。アリナはアリナが生きていけるロードを作っていく…アリナのパワーで」

 

<<群衆生物の羊で終わりたくない貴女の信念…見極めさせてもらうわね>>

 

基地の施設内に出てきたアリナ達が目にしたのは整列した二千人の兵士達。

 

PMC装備を纏った造魔達であり頭部は目出し帽と帽子、それに通信用ヘッドフォンを纏う。

 

傍から見れば偽装した市民兵に見えなくもない姿であり、カモフラージュしているのだ。

 

装備はロシア軍のものが使われているが、彼らの本当の力は造魔としての性能であろう。

 

魔法少女の身体能力と悪魔の能力まで備えた造魔は百人力の性能を発揮出来るはずだ。

 

ならば二千人の兵士であっても二十万人規模の戦果を挙げられるのやもしれなかった。

 

「これだけの革命兵士が集まってくれるか…やはり人々は平等を求めてくれているのだな」

 

兵士達が便衣兵であることにも気が付いていない十七夜に対してアリナは心でこう思う。

 

(造魔は魔力を上手く隠せてる…それに見た目ですら周りを騙せてるならOKなんですケド)

 

変人でずる賢い者ではあったがドクタースリルの仕事は十分な成果を出せているのだろう。

 

純粋に革命を信じている親友を騙している後ろめたさを感じながらもアリナは進んでいく。

 

隊列を組んだ兵士達の前ではルイーザやシド・デイビス達が立っているのだ。

 

指揮官達が全員揃ったことで造魔兵士達が一斉に敬礼を行ってくれる。

 

アリナと十七夜も右手を持ち上げながら敬礼を行い、戦場で散る者達に敬意を示したようだ。

 

「革命兵士達よ、よくぞ集まってくれた。今日この日こそが世界革命の火蓋が切られる日だ」

 

作戦司令官を務めるルイーザが兵士達に対して作戦内容を伝えていく。

 

武力革命は迅速な作戦展開が必要であり、主要目標に対して電撃作戦を決行する。

 

陸軍と空軍の協力によって国会と各省庁、大手メディアやインターネット企業等を制圧する。

 

制圧後はプロパガンダを展開して武力革命を正当化していくと説明する光景が続いていく。

 

「我々こそが自由の戦士。国際金融資本に支配された国々を解放し、真の国民主権を取り戻す」

 

<<株式会社化した愚劣な国家の嘘を白日の下に晒す!!正義は我らに在り!!>>

 

プログラミングされた思考回路の反応を示す造魔兵士達が歓声を上げていく。

 

その光景を満足そうに見つめる十七夜であるが、横の者達は違うのだ。

 

(この調子なら上手くダミーフラッグミッションが機能しそうなんですケド)

 

(この造魔達の役目が果たされた時…()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のでス)

 

(所詮は使い捨ての道具…精々華々しく騒ぎ立てて頂戴ね。操り人形らしく)

 

(全ては双頭の鷲作戦…正義の軍団と悪の軍団に分けられるが、繋がり合ったマッチポンプさ)

 

作戦に参加するマヨーネとユダの口元に不敵な笑みが浮かんでおり、シドは眼鏡を押し上げる。

 

「ルイーザ様、そろそろお時間でス」

 

「うむっ、それでは総員搭乗……な、なんだ!?」

 

突然空から強風が吹き荒れる中、皆が上空を見上げていく。

 

現れたのは見滝原市に隣接する米軍基地から飛んできたヘリであったようだ。

 

<<みーなさーん!楽しそうなイベントをするならアリスも混ぜて混ぜて~~っ!!>>

 

ヘリの扉を開けて元気よく手を振るアリス達を見上げる者達は開いた口が塞がらない様子。

 

「あれはネビロス様の御息女で在らせられるアリス様……の分霊達でいいのか?」

 

「……そのようですネ。しかし飛び入り参加は聞いてませんガ…いかがいたしまス?」

 

「もう時間がない…彼女については私からネビロス様にお伝えする。きっと我儘の行動だ」

 

「そうして頂けると有難いですネ…ルイーザ様程の権威がない私達では殺されてしまいまス」

 

アリスの勝手な飛び入り参加もあったが造魔兵士達は次々と偽装トラックに乗り込んでいく。

 

作戦時間までに作戦ポイントに向かう中、それぞれの指定地区にアリナ達も向かうことになる。

 

「生き残れよ、アリナ。自分は君と共に平等世界を生きたいのだからな」

 

「今夜はロングナイトになると思う。今のうちにブラッド補充をしておくといいんですケド」

 

「うむっ、そうしておこう」

 

魔法少女衣装の腰元に巻き付けてあるガンベルトのポーチから十七夜用の血液袋をくれる。

 

それを受け取った彼女は指揮官のユダと共に指定のポイントに向かうことになっていく。

 

見送るアリナであったが、その顔にはやり切れない表情が浮かんでいるようだ。

 

「十七夜…アナタはアリナ達に騙されている。それでもね…アリナはアナタと一緒に……」

 

言いかけた言葉であったが彼女は言葉を飲み込んでしまう。

 

家族を失ったアリナにとって、和泉十七夜と過ごせた日々は新しい家族そのものだった。

 

それでも彼女は全てを切り捨てる強さを求める者として在ろうとする。

 

それこそが高みに至る力であり、ヨスガの道なのだと信じて彼女は突き進むのであった。

 

────────────────────────────────

 

2020年のゴールデンウイークは飛び石連休となった5月1日の夜。

 

世間は病魔騒ぎで連休を楽しめるような空気ではないが労働者達は骨休め出来ると喜んでいる。

 

5月1日の夕日が沈む頃、それは静かに起こり始めようとしているのだ。

 

「おい……あのトラックの列は何なんだよ?」

 

「さぁ…分からねーよ。こんな場所でトラックを大量に停めてたら違反切符を切られるぞ…」

 

永田町や霞が関辺りの職場で働いていた者達が見つけたのは道端に泊まっている車両の列。

 

その光景は各省庁の前でも同じようにして停車しており、何故か警察は取り締まりにこない。

 

不審に思っている者達から大きく離れた東京湾のコンテナ街でも不審な動きが見られる。

 

戦闘指揮所として構築された大型コンテナの中では薄暗い空間の中で作戦指揮がとられていく。

 

現場指揮官としてルイーザが立ち、最高司令官の命令発令を待っているのだ。

 

「そろそろ時間だな……」

 

薄暗い指揮所の時計を見ればもう直ぐ18時になろうとしている。

 

多くの労働者や学生達が帰路につこうとしている東京の街並みに視線を向けるのは氷室ラビ。

 

高層ビルの屋上でサンダーバードと共に絶望の光景を見届けようとしている。

 

「……もう直ぐ始まるのね」

 

「刮目して見るがいい。守ろうとする意志は、より強い守ろうとする意志に潰される光景をな」

 

「人修羅…そして彼と関わる者達よ。貴方達の守ろうとする意志の末路を…見届けてあげる」

 

東京の郊外に存在している誰もいない屋敷の屋上では魔法少女服に身を包む暁美ほむらがいる。

 

後ろ手を組むクロノスと共にこれから始まる地獄の光景を見つめるのみの姿を残す。

 

「……始まるぞ、小娘。地獄の蓋が開く時がくる」

 

「私は正義の味方として戦う者ではないわ。今までもこれからも…私は私のために戦うのみよ」

 

「そうじゃったな…誰かを守ろうとすればするほど…お前さんは失うばかりであったな」

 

「他人に期待しても応えてなんてくれない…だからこそ私は…自己完結するしかなかったのよ」

 

「お前さんの末路こそ…ムスビの思想を啓いた男の末路でもあった。同じ道を進んでおるな」

 

「新田勇は関係ないわ…私は私の望みを果たすためにこそ…ムスビの世界を望むのよ」

 

「全ての物事を自分の内で完結させる隔絶の思想か…まるでお前さんが辿った道そのものじゃ」

 

暗い独房の中で三角座りをしている御園かりんが立ち上がり、鉄格子の窓に近寄っていく。

 

遠くの景色に見える東京を見つめる彼女は大切な先輩が地獄に堕ちる光景が浮かんでしまう。

 

「止めなきゃいけない…止めなきゃいけないけど…今の私は…こんなにも無力なの……」

 

多くの意思が集まる東京から遥か彼方に存在する大魔王の居城では全員が立ち上がっている。

 

グラスを手に持つ者達が地獄への乾杯はまだかとルシファーに視線が集まっているのだ。

 

血のように赤い酒が注がれたグラスを掲げる大魔王がついにオーダーを発令する時がくる。

 

「……オーダー18を発令する。皆の者!溢れ返る人間共の断末魔に乾杯するがいい!!」

 

<<今宵こそ666の赤き獣の日となろう!!赤き獣に相応しき血の海を世界に築け!!>>

 

18時ジャストにおいて、666の作戦が決行されることになる。

 

18という数字を多用するイルミナティにとって18は三つの6が合わさり666になるのだ。

 

「オーダー18発令!各員は速やかに作戦領域に展開して目標の制圧に当たれ!」

 

作戦指揮官のルイーザの檄が飛び、一斉に動き始める偽装された革命部隊。

 

コンテナ街にある巨大なコンテナが四方に開いていき、中に隠されていた戦闘ヘリが動き出す。

 

造魔兵士が操縦するのはロシア海軍のKa52Kカトレンでありプロペラが変形していく。

 

折り畳まれたプロペラが広がった後に次々とエンジンを始動させながら離陸していくのだ。

 

永田町や霞が関など主要攻撃目標を制圧する部隊の援護を行う地上部隊も展開していく。

 

大型コンテナトラックから発進していくのはロシアの多機能攻撃バギーである。

 

チャボルズM3には歩兵部隊を支援するための機関銃や榴弾銃などが装備されているようだ。

 

「キャァァァァーーーーッッ!!?」

 

「な、何なんだぁ!?あいつらはぁ!!」

 

次々と大型コンテナトラックから降りてくるのは武装したテロリスト集団である。

 

パニックになる民衆など目もくれず次々と制圧目標である各省庁や国会に流れ込んでいく。

 

「進め!革命戦士達よ!我々の武勇こそが世界の平等を築き上げる礎となるだろう!!」

 

防衛省の制圧任務に参加している十七夜は旗槍の赤旗を広げながら造魔兵達を鼓舞していく。

 

しかし本来の力を戦場で解放していく兵士達の姿を見た彼女の顔に動揺の色が浮かぶのだ。

 

(この者達から感じるのは悪魔の魔力…?作戦に参加するのは革命を望む人々ではないのか?)

 

迷っていても仕方がないと兵士達に続くようにして十七夜は防衛省に向けて突撃していく。

 

しかし防衛省に流れ込もうとした兵士達を迎え撃つかのようにして銃撃戦が始まってしまう。

 

「バカな……ッッ!!?」

 

防衛省から次々と現れてくるのはデモニカスーツを身に纏う部隊である。

 

先行量産モデルのスーツを纏ったデモニカ部隊を相手に激しい銃撃戦が広がっていくのだ。

 

「我々の電撃作戦が日本政府に漏れていたのか…?そうでなければ説明がつかん!!」

 

奇襲作戦が読まれていたのは他の制圧区域でも同じである。

 

国会を塞ぐようにしてバリケードが組まれている後ろ側では応戦するデモニカ部隊が現れる。

 

激しい銃撃戦が始まる光景を見た人々はパニックになりながら逃げ惑うのだ。

 

「ヒィィィィーーーーッッ!!テロリスト共の襲撃だぁぁぁーーーーッッ!!!」

 

「嘘でしょ!?どうして世界一平和な日本で戦争が始まっちゃうのよ!!」

 

「早く逃げろーーーーッッ!!殺されちまうーーーーッッ!!!」

 

東京の街でパニックの光景が始まっていき、道路は車を乗り捨てて逃げ惑う人々で溢れ返る。

 

地獄の光景は地上だけでなく地下空間でも起こっていく。

 

<<うわぁぁぁぁぁぁぁーーーーッッ!!?>>

 

東京から外に出られる路線が次々と爆発していき崩落した土砂によって電車が埋まってしまう。

 

爆発で炎上していく東京の光景を見つめるのは優雅なドレスを身に纏う女サマナーである。

 

「フフッ、東京からは一歩も外には出られないのよ」

 

破壊工作部隊を率いるマヨーネによって電車で東京から逃げるルートが潰されていく。

 

ならば地上の道路から逃げ出すしかないのだが、それを不可能にしている部隊がいるようだ。

 

<<既に東京は戒厳令が敷かれております!住民達は我々の指示に従ってもらいます!>>

 

作戦決行よりも前に動いていたのは東京を包囲する形で部隊を展開させた自衛隊である。

 

96式装輪装甲車を横に並べてバリケードとして使い、自衛隊員が重火器を握り締めている。

 

自走式バリケードの向こう側には群がっている避難民達がいるが外に出してくれない。

 

「ゲートを開けてくれ!!何で外に出してくれないんだよ!?」

 

「テロリスト共は民衆の中にも潜んでいる可能性があります!鎮圧できるまでお待ち下さい!」

 

「待ってられるか!!こんな火事場にいたんじゃ…いつ巻き添えで死ぬか分からないんだぞ!」

 

自走式バリケードを乗り越えようとする民衆に向けて自衛隊員達が銃を構える。

 

「勝手な行動をとるな!指示に従えない者はテロリストとみなして射殺する許可はでている!」

 

銃を構えて威嚇してくる自衛隊員達を見た民衆達がパニックになりながら逃げていく。

 

本当に彼らは日本人を守る自衛隊なのかと疑いを持ちながらも他の逃げ道を探そうとする。

 

しかし東京は自衛隊の部隊に完全包囲されておりゲートを突破しなければ脱出出来ないのだ。

 

そんな者達をさらに混沌に突き落とすために配置されているのがダークサマナー部隊である。

 

「我らの目標は全ての民衆でス。女子供、老人であろうと容赦する必要はありませン」

 

東京のビルの屋上に配置された大勢のダークサマナー達が一斉に召喚管を構えていく。

 

指揮官のシドの命令を受けた者達が悪魔召喚を行い、東京の夜空に多くのMAGが噴き上がる。

 

「ヒャッハーッ!!こいつは景気がいいぜぇ!俺達悪魔がアナーキーだってのを見せてやる!」

 

蝙蝠翼を背中に持った悪魔や巨大な機械竜達が口を開けながら火球を地上に放ち続ける。

 

<<ギャァァァァァーーッッ!!!!>>

 

空から空爆されるようにして次々と地上が焼き尽くされる光景によって地獄が溢れ返っていく。

 

「うっ……うぅ……」

 

生き残った人々が空を見上げても悪魔の姿は普通の人間には見えない。

 

そんな彼らでも見えてしまうのが夜空を飛んでいくロシアの戦闘ヘリなのだ。

 

「殺される……俺達は……武装したテロリスト軍団に……殺される……」

 

悪魔が行う蛮行でさえ目に見えるテロリスト部隊のせいにされる光景が広がってしまう。

 

これを狙うためにこそ電子戦を展開せずに作戦を行っているのだ。

 

「野次馬精神が強い日本人共の手にはスマホがある。地震や火事が起きようがSNSを利用する」

 

作戦司令部に立つルイーザが横を向けば様々なSNSメディアの画面が映っている。

 

被害に合う東京の人々が次々と届ける阿鼻叫喚の地獄画像や動画を見た者達もパニックと化す。

 

特定力の強いSNSによってテロリストが使用している武器や兵器もロシア製だと見抜かれる。

 

この武力革命は悪の枢軸国として名高いロシアがバックにいるとあらぬ方向に誘導されるのだ。

 

「これこそが偽旗作戦効果だ。便衣兵の蛮行を切り取り、敵に罪を擦り付けて世論を誘導する」

 

便衣兵がクライシスアクターとなり、さも悲劇が起きたように見せかけて誘導していく。

 

これこそがユダヤメディアがもっとも得意とするプロパガンダであり、多くの戦争で使われる。

 

ナイラ証言というペテンで始まった湾岸戦争や大量破壊兵器などないイラク戦争と同じ手口。

 

世界メディアの96%がユダヤ資本であり、その手口とは()()()()である。

 

一部だけを切り抜いて目立たせ、他の部分には一切意識を向けさせない手品誘導手口なのだ。

 

「所詮貴様らは異教徒(ゴイム)だ。異教徒はユダヤにその命も財産も管理されて初めて価値が生まれる」

 

ユダヤ財閥の者として高らかに笑っていく彼女が口にするのは元イスラエル首相の言葉である。

 

メナヘム・ベギンの発言の中にはカナン族ユダヤの本性が表れたおぞましい言葉があった。

 

――私達の人種はマスター人種です。

 

――私達はこの地球上の神です。

 

――他の人種は動物で野獣、よくて家畜です。

 

――私達の目指すのは、()()()()()()()()()()()()()

 




マギレコOPで軍帽アリナが敬礼するシーンが全く回収されなかったのが不満だったので拙作で回収したくなりました(汗)
世論誘導は偽旗作戦に過ぎないってのはメタルギアライジングでも描かれた展開でしたね。
メタルギアの小島監督も色々とお気づきになられてる人なんだな~と思ってました。
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